JP2010284534A - 生体模倣コーティング法 - Google Patents

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Abstract

【課題】埋め込み可能な医療機器の表面上での血液凝固を防ぐための、生体模倣界面活性剤塗布の改良方法の提供。
【解決手段】基材表面に生体模倣コーティングを設けるための方法であって、当該方法が、a)コーティングがなされる表面を有した基材を準備する工程、b)生体模倣界面活性剤を準備する工程、c)水と有機性水混和性溶媒とから成る溶媒混合物中に、前記生体模倣界面活性剤を混合し、これによって、生体模倣界面活性剤溶液を生成する工程、及び、d)前記生体模倣界面活性剤溶液を前記基材表面に塗布する工程を含み、該有機性水混和性溶媒が、生体模倣界面活性剤を溶液から基材表面上に追い出して、生体模倣界面活性剤のコーティングを生成することによる、基材表面への生体模倣コーティングの改良方法。生体模倣材料としては、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン‐co‐N‐ビニルマルトノアミド)などが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般的に生体適合性のあるコーティングに関する。より詳しくは、本発明は、医療機器表面に生体模倣(バイオミメティック)コーティングを塗布する方法に関するものである。
埋め込み可能な医療機器、例えば、ペースメーカー、除細動器、神経刺激器、静脈挿入器およびカテーテルは、健康を改善し、生命を維持するのに役立つものとしてよく知られた機器である。しかしながら、埋め込み可能な医療機器が提供する重要な利点にもかかわらず、その使用は、血栓、すなわち、死に至る可能性のある重大な医学的問題を生じる可能性がある。血栓は、血流を阻害する血管内の血塊形成であり、これにより、脳梗塞、心臓発作、臓器不全及び、死をもたらす恐れがある。
医療機器に関連する血栓は、最初は、血液と医療機器の表面が互いに接触したときに、両者の間の相互作用の結果生じる。血液は医療機器に接触するとすぐに、血小板および他の血液成分が医療機器の表面で凝固し、凝塊を形成し始める。血液の凝固は、医療機器を製造するのに使用されている物質である金属材料やポリマー材料の上で生じることが知られている。
血液の凝固が医療機器の表面上で生じた後に、その塊は機器表面から離脱して血流中を移動し、血管の中で停留して血流を妨げるおそれがある。血栓は、継続して血液と接触する永久的に埋め込まれる機器にとって、特に大きな問題である。
細胞付着と活性化を減少させるコーティングを開発するために多くの研究がなされてきた。これらのコーティングは生体模倣コーティング(biomimetic coating)と呼ばれているが、血塊の発生を阻止して、血栓症の生じる可能性を減少させることができる。
このような一群の生体模倣コーティングとしては、マルカン等の米国特許第6,759,388号、同第7,276,474号、および米国特許出願公開20080247988および20080262614に記述された界面活性剤があり、これらの文献は、本願において参考資料として引用する。
米国特許第6,759,388号 米国特許第7,276,474号 米国特許出願公開20080247988 米国特許出願公開20080262614
これらのコーティングは、良好な血塊抑制をもたらす。しかしながら、最近の加工方法及びコーティング調製方法には、かなり多くの時間は必要とされ、これは、コスト的に効率の良い製造にとって理想的ではない。
それゆえ、本発明の課題は、医療機器の表面への生体模倣界面活性剤の塗布に関する改良された効率の良い方法を提供することである。
本発明は、医療機器の表面上に塗布する生体模倣物質を調製するための方法の改良に関するものである。生体模倣界面活性剤は、以下にさらに詳しく説明するが、蛋白質、血小板および白血球の接着を減少させ、その結果、血栓症の発生の可能性を減少させるように設計されている。
マルカン等によって開発された生体模倣界面活性剤コーティングは、コーティング表面上における血小板の接着と活性化を減少させることが知られている。これらの生体模倣界面活性物質は、後で基材表面に塗布される、完全に水溶性の生体模倣溶液を生成するために、水と混合させなければならないと現在では理解されている。前記’388特許の第6欄においてマルカンが述べているように、「本発明の界面活性剤ポリマーは、好ましくは、水に可溶であり、しかも、生体材料の表面に容易に塗布される。塗布は、溶液、好ましくは界面活性剤ポリマーを含む水溶液中に生体材料を浸漬させることによって行われる。この界面活性剤は、自発的にポリマー生体材料の疎水性表面に結合して、親水性表面の表面特性を変更する単分子層をもたらす。」マルカンは更に、前記’388特許において、「実施例2の界面活性剤ポリマーの単分子層はまた、1〜2mg/mlの界面活性剤ポリマーを含む水溶液中に24時間、基材を浸漬させることによって、低密度ポリエチレン基材に結合した。その後、この単分子層は空気乾燥され‐‐‐」と述べている。
しかしながら、これら生体模倣界面活性物質の完全に水性の溶液が、十分なコーティング接着を達成するために必要であるという、このような一般的に考えられている理解を否定する一連の実験が行われてきた。更に、水溶性の生体模倣界面活性剤溶液を作る従来の方法は、十分に接着力のあるコーティングをを達成するために、少なくとも24時間の間、当該溶液中に表面を浸漬させる必要がある。生体模倣溶液中に少なくとも24時間浸漬させる必要のある、このようなコーティング方法は、実現性のあるコスト的に有利な製造方法の助けとならない。それゆえ、よりコスト的に効率的で製造可能な、十分に接着力のある生体模倣コーティングを達成するためのコーティング方法を効率的に改良するのに、現在の水溶性生体模倣コーティング溶液法を改変することが望ましい。
この改良された方法は、主に、ポリウレタン基材の表面上に、生体模倣コーティングを設ける方法に関するが、この他の一般的な医療機器基材であるポリマー材料および金属材料、例えば、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、“Pebax”という商品名で製造されているポリエーテルブロックアミド、ステンレススチール、チタン、及びMP35Nなども、本方法を用いて容易にコート可能である。
これらの物質は、カテーテル、静脈挿入器、ペースメーカー、細動除去器、神経刺激器およびこれらに関連するリード線のような広範囲の医療機器の製作にしばしば使用されている。
それゆえ、よりコスト的に効率的で、製造可能な良好な接着性のある生体模倣コーティングを製造するのに必要な時間が減少するように、生体模倣コーティングの製造方法を改変することが望ましい。
本発明においては、生体模倣界面活性剤が溶解された、溶媒と水の配合物を含む溶媒混合物を作るために、有機性の水混和性溶媒が添加される。
ここで、“生体模倣(biomimetic)”という語は、生体において悪い影響あるいは反応を生じさせないようにして、分子レベルにおいて生体細胞の相互作用を模倣する性質として定義される。ここで、“非血栓発生性”という語は、血管中において血液の凝固を阻止する性質として定義される。ここで、“水混和性”という語は、水に溶解可能な性質として定義される。ここで、“基材”という語は、原料物質の表面にコーティングを施すことによって、あるいは、ベース材料の製造過程にて添加物質を混入することによって修飾可能なベース材料として定義される。本発明においては、基材表面とは、医療機器の表面を意味している。
基材表面が十分に修飾されると、ここに参考文献として組み入れられる米国特許出願連続番号12/776,095に記載されているように、生体模倣界面活性剤ポリマー、例えば、ポリ(N‐ビニルデキストランアルドンアミド‐co‐N‐ビニルヘキサンアミド)、またはその誘導体が、本方法を用いて、修飾された基材表面上に与えられる。
生体模倣界面活性剤は、側鎖と結合するための官能基を有した反復単量体ユニットのポリマーバックボーンを含んでいる。この界面活性剤は、2つの主たる官能基、すなわち疎水性の側鎖官能基と親水性の側鎖官能基とを含んでいる。疎水性の側鎖官能基は、基材表面への界面活性剤の結合接着に影響を与える。親水性の側鎖官能基は、界面活性剤の生体模倣性質を制御し、血液凝固を遅延させる効果的な非血栓発生性表面を形成する。
更に詳細に議論されるように、本発明の方法における溶媒混合物中に含まれる有機性の水混和性溶媒成分は、生体模倣界面活性剤の溶解性を変更して、当該界面活性剤が基材表面に、より接着し易くなるようにする。このようにして、十分に接着性のある生体模倣コートされた表面を生成するのに必要とされる時間が著しく減少する。
図1は、本発明において使用される好ましい生体模倣界面活性剤の化学構造を示したものである。 図2は、本発明の方法の順序を示すフローチャートである。
本発明には、基材表面上に、より効率的なコーティング塗布をもたらす生体模倣コーティングを調製する改良方法が詳述されている。好ましい具体例においては、生体模倣界面活性剤であるポリ(N−ビニルデキストランアルドンアミド−co−N−ビニルヘキサンアミド)が、血栓症の発生を減らすために、本発明で使用する医療機器の表面に塗布される。
図1に示されるように、生体模倣界面活性剤は、疎水性分子鎖と親水性分子鎖との結合からなる化学構造10より成る。この疎水性分子鎖は、ポリ(N‐ビニルヘキサノイロキシ)(PNVH)成分12からなり、親水性分子鎖は、ポリ(N‐ビニルデキストランアルドンアミド)(PNVDA)成分14からなる。この好ましい界面活性剤の分子量は、約1,000〜約2,000,000ダルトンの範囲である。
上記の生体模倣界面活性剤は、コーティングの適用によって基材表面に塗布されることが好ましい。ポリウレタン基材表面がコートされることが好ましい。しかしながら、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、及びポリエーテルエーテルケトンに限定されない他のポリマー基材材料がコートされても良い。本方法は、ポリマー表面のコーティングに限定されるものではない。その代わりに、本方法はまた、ステンレススチール、MP35N、チタン、金、プラチナ、パラジウム、及び銀に限定されない金属表面に生体模倣界面活性剤を塗布することも可能である。
これらの代わりの材料表面に生体模倣コーティングを塗布する際、生体模倣コーティングを塗布する前に、最初にポリウレタン、シリコーン又はポリエーテルブロックアミドの層が、ポリマー表面又は金属表面に塗布されなければならない。それゆえ、ペースメーカー、細動除去器、神経刺激器、挿入器、リード線、カテーテルおよびステントに限定されないが、このような医療機器のポリマー表面及び金属表面を、本方法を用いて生体模倣コーティングで修飾できるものと考えられる。
他の生体模倣性界面活性剤、例えば、ポリ(N‐ビニルデキストランアルドンアミド‐co‐N‐ビニルドデカノアミド)(PNVDA-co-PNVL)、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン)(PNVHA-co-PNVHep A)、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン‐co‐N‐ビニルマルトノアミド)(PNVHA-co-PN-VHepA-co-PNVM)、およびポリ(N‐ビニル‐5‐ペプチジル‐ペンチルアミン‐co‐N‐ビニルデキストランアルドンアミン‐co‐N‐ビニルヘキシルアミン)(PVAm(Pep:Dex:Hex))も、同様に本方法において利用することができる。更に、ポリ(N−ビニルデキストランアルドンアミド−co−N−ビニルパーフルオロウンデカンアミド)等のフルオロカーボンをベースとした生体模倣界面活性剤が、本発明において利用できる。
図1に示すように、好ましい生体模倣界面活性剤は、多数の疎水性側鎖であるポリ(N‐ビニルヘキサノアミド)(PNVH)12と、多数の親水性側鎖であるポリ(N‐ビニルデキストランアルドンアミド)(PNVDA)14の結合体に連結した可撓性ポリマーバックボーン16からなる櫛状構造を有している。
この疎水性側鎖12は、エステル結合、アミン結合またはアミド結合を介してポリマーバックボーン16に連結されたアルキル基からなる。好ましくは、疎水性側鎖12は、アルカノイル(CH3(−CH2−)nCO−)またはアルカナール(CH3(CH2−)nCHO)をバックボーンのホモポリマーと反応させることにより、ポリマーバックボーン16に結合される。
本発明では、生体模倣界面活性物質は、水と有機性水混和性溶媒との溶媒混合物、好ましくはイソプロピルアルコール(IPA)を含む溶媒混合物中に溶解される。この溶媒混合物は、イソプロピルアルコールを含むことが好ましく、約10〜70体積%のイソプロピルアルコールの水溶媒混合物であることが好ましく、約40〜60体積%のイソプロピルアルコールがより好ましく、約50体積%のイソプロピルアルコールが最も好ましい。
更に、この混合物においては、他の有機性水混和性溶媒が、イソプロピルアルコール成分と置き換えられても良い。このような水混和性溶媒は限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、N,N’−ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランが挙げられ、溶媒を形成するために水と混合されても良い。このような有機性水混和性溶媒成分は、医療機器の表面上における生体模倣コーティング効率を改良する。
イソプロピルアルコール等の上記水混和性溶媒成分の含有量によって、溶液相と基材表面相との間の生体模倣界面活性剤の分布が変化する。このような変化は、溶液中における生体模倣界面活性剤の分布を減少させ、これにより、生体模倣界面活性剤は、溶液から基材の表面へ追い出される。
コーティング効率を高める上記の水混和性溶媒成分、即ち、イソプロピルアルコールの効果は、パーティション又は分配係数式(式1)によって表すことができる。このパーティション係数式は、気体と液体のような、2つの混ざりあわない相の平衡分布を表しており、これらは、以下に示すように不均一な平衡に相互作用する。
Figure 2010284534
本発明では、上記式の原理は、生体模倣界面活性剤溶液と、基材表面との間の平衡を示すのに用いることができる(式2)。
Figure 2010284534
上記の式2からわかるように、パーティション係数は、イソプロピルアルコールと水の混合物から成る生体模倣界面活性剤溶液と、基材表面との間の動的平衡を表している。単位を持たない数である係数Kは、2つの相の間のバランスのとれた平衡を達成する際の、基材表面に対する活性剤物質の分散速度に等しい。
イソプロピルアルコール又は、類似の本発明の水混和性有機溶媒の添加によって、純水中の溶解性に比べ、溶媒混合物中の生体模倣界面活性剤の溶解性は減少する。これは、生体模倣界面活性物質を溶液から基材表面へ追い出して、生体模倣界面活性剤のコーティングを生成し、溶液の相と基材表面の相との間の平衡を安定させる。溶媒混合物から基材表面への界面活性物質の接着力が増加して、その結果、生体模倣コーティング処理の効率が高まる。
本方法の工程1では、基材表面は、イソプロピルアルコールと水の溶媒混合物を用いて最初に洗浄される。好ましい具体例においては、この溶媒混合物は、約80〜約95体積%のイソプロピルアルコールを含む。イソプロピルアルコールと水の溶媒混合物を用いて基材表面を洗浄した後、この表面を脱イオン水で約1〜2分間濯ぎ、その後、外気中で乾燥させる。
本方法の工程2では、生体模倣コーティング溶液が調製される。好ましい具体例においては、約1重量%の生体模倣界面活性剤が、体積比で約50:50の、水と、有機性水混和性溶媒、好ましくは前述のイソプロピルアルコールとから成る溶媒混合物中に溶解される。これに代わる好ましい具体例では、約0.1〜約20重量%の生体模倣界面活性物質が上記溶媒混合物中に溶解される。
本方法の工程3では、上記の生体模倣溶液が基材表面に塗布され、当該表面上に生体模倣界面活性物質のコーティングが形成される。好ましい具体例においては、この表面は、約1〜2分間、上記溶液内に浸漬されて、約1nm〜約10nmのコーティング厚みが達成される。もう一つの方法として、上記の生体模倣溶液は、スプレーコーティングやスピンコーティング等の代替手段を用いて上記基材表面に、あるいは、ブラッシングによって上記表面上に塗布することができる。上記の生体模倣界面活性物質の多層が、基材表面に塗布可能である。
上記表面がコートされたら、その後、外気中で約15〜25分間放置して乾燥させ、圧縮空気を用いて、全ての割れ目または内部表面が確実に乾燥するようにする。
本方法の工程4では、生体模倣コーティングが塗布され、乾燥された後、コートされた表面を次に洗浄する。コートされた表面は、脱イオン水を用いて浸漬されるか、水洗いされることが好ましい。好ましい具体例においては、この表面は、少なくとも2つの脱イオン水の浴中に連続して浸漬される。この表面は、緩く結合した界面活性剤粒子を除去するために、攪拌された脱イオン水の第1浴中に約3〜5分間浸漬される。この第1浴に続いて、その後、この表面は、第1浴で除去されなかった残りの界面活性剤粒子を除去するために、攪拌された脱イオン水の第2浴中に更に1〜2分間浸漬される。又、この表面は、接着していない界面活性剤粒子を除去するために、約1mL/分〜約10mL/分の好ましい流速にて脱イオン水を用いて水洗いされても良い。上記表面が水洗いされたら、その後、この表面を、濾過された圧縮空気を用いてブロー乾燥する。
本方法の工程5、即ち、当該方法の最終工程においては、コートされた表面が、約30℃〜約55℃の温度で、約30〜60分間熱処理される。
本方法のフローチャート図が、図2に示されている。この図は、以前の24時間という処理時間に比べて、約2時間で十分な接着性を持った生体模倣コーティングが達成される本発明において必要とされる工程の全体像を示している。
このようにして、本発明は、医療機器表面上へ生体模倣界面活性剤を塗布する改良された、より効率的な方法を教示している。このように改良された加工方法は、ポリマー基材上に生体模倣コーティングを接着させるのに必要な時間を著しく減少させ、血栓の形成を防止する。これにより、本発明の改良された生体模倣コーティング加工方法は、体内移植可能な医療機器の製造において使用するのに好ましい候補となる。

Claims (19)

  1. 基材表面に生体模倣コーティングを設けるための方法であって、当該方法が、以下の工程a)〜d):
    a)コーティングがなされる表面を有した基材を準備する工程、
    b)生体模倣界面活性剤を準備する工程、
    c)水と有機性水混和性溶媒とから成る溶媒混合物中に、前記生体模倣界面活性剤を混合し、これによって、生体模倣界面活性剤溶液を生成する工程、及び、
    d)前記生体模倣界面活性剤溶液を前記基材表面に塗布する工程
    を含み、この際、前記の有機性水混和性溶媒が、前記生体模倣界面活性剤を溶液から前記基材表面上に追い出して生体模倣界面活性剤のコーティングを生成することを特徴とする、基材表面への生体模倣コーティングの提供方法。
  2. 前記の生体模倣材料が、ポリ(N−ビニルデキストランアルドンアミド−co−N−ビニルヘキサンアミド)、ポリ(N‐ビニルデキストランアルドンアミド‐co‐N‐ビニルドデカノアミド)(PNVDA-co-PNVL)、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン)(PNVHA-co-PNVHep A)、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン‐co‐N‐ビニルマルトノアミド)(PNVHA-co-PN-VHepA-co-PNVM)、ポリ(N‐ビニル‐5‐ペプチジル‐ペンチルアミン‐co‐N‐ビニルデキストランアルドンアミン‐co‐N‐ビニルヘキシルアミン)(PVAm(Pep:Dex:Hex))、及びポリ(N−ビニルデキストランアルドンアミド−co−N−ビニルパーフルオロウンデカンアミド)から成るグループより選ばれた界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記基材表面が、ポリウレタン、シリコン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ステンレス鋼、チタン、MP35N、金、プラチナ、パラジウム、銀、及びこれらの配合物から成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記の有機性水混和性溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、N,N’−ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランから成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記の溶媒混合物が、約10〜約70体積%の有機性水混和性溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記の溶媒混合物が、約40〜約60体積%の有機性水混和性溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記の溶媒混合物が、約50体積%の有機性水混和性溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記の生体模倣界面活性剤の濃度が、約0.1〜約20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記の生体模倣コーティングの厚みが、約1nm〜約10nmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記の生体模倣コーティングが、ディッピング、スプレーコーティング、スピンコーティング、及びブラッシングから成る塗布方法のグループから選ばれて、前記基材表面に塗布されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記基材表面が、ペースメーカー、除細動器、神経刺激装置、挿入器、リード、カテーテル及びステントから成る医療機器のグループから選ばれた表面であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 基材表面に生体模倣コーティングを設けるための方法であって、当該方法が、以下の工程a)〜f):
    a)コーティングがなされる表面を有した基材を準備する工程、
    b)生体模倣界面活性剤を準備する工程、
    c)水と有機性水混和性溶媒とから成る溶媒混合物中に、前記生体模倣界面活性剤を混合し、これによって、生体模倣界面活性剤溶液を生成する工程、
    d)前記基材表面に第1層を塗布する工程、
    e)前記生体模倣界面活性剤溶液を前記第1層に塗布し、この際、前記の有機性水混和性溶媒が、前記生体模倣界面活性剤を溶液から前記基材表面上に追い出して生体模倣界面活性剤のコーティングを生成する工程、及び
    f)前記の生体模倣コーティングに熱処理を行う工程
    を含むことを特徴とする、基材表面への生体模倣コーティングの提供方法。
  13. 前記の生体模倣材料が、ポリ(N−ビニルデキストランアルドンアミド−co−N−ビニルヘキサンアミド)、ポリ(N‐ビニルデキストランアルドンアミド‐co‐N‐ビニルドデカノアミド)(PNVDA-co-PNVL)、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン)(PNVHA-co-PNVHep A)、ポリ(N‐ビニルヘキシルアミン‐co‐N‐ビニルヘパリンアミン‐co‐N‐ビニルマルトノアミド)(PNVHA-co-PN-VHepA-co-PNVM)、ポリ(N‐ビニル‐5‐ペプチジル‐ペンチルアミン‐co‐N‐ビニルデキストランアルドンアミン‐co‐N‐ビニルヘキシルアミン)(PVAm(Pep:Dex:Hex))、及びポリ(N−ビニルデキストランアルドンアミド−co−N−ビニルパーフルオロウンデカンアミド)から成るグループより選ばれた界面活性剤であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記基材表面が、ステンレス鋼、チタン、MP35N、金、プラチナ、パラジウム、銀、及びこれらの配合物から成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  15. 前記第1層が、ポリウレタン、シリコン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、及びポリエーテルエーテルケトンから成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  16. 前記の溶媒混合物が、約40〜約60体積%の有機性水混和性溶媒を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  17. 前記の有機性水混和性溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、N,N’−ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランから成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  18. 前記の生体模倣界面活性剤の濃度が、約0.1〜約20重量%であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  19. 前記の生体模倣コーティングが、約30℃〜約55℃で、約30〜約60分間熱処理されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
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