JP2010283273A - インダクタンス微調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルが実際に機器に組み込まれた状態でもインダクタンス値の微調整が容易に得られるようにしたインダクタンス微調整装置を提供する。
【解決手段】ボビン部材3(3A、3B)にコイル導線2を巻回し、端子ネジ4、5に接続したコイル1において、一方の端子ネジ5を、調整用ネジ6に螺合されている雌ネジ部材7に取り付け、調整用ネジ6の回動によりボビン部材3の軸方向に移動できるようにしたもの。調整用ネジ6を回動させ、雌ネジ部材7を移動させればコイル1が軸方向に伸縮されるので、インダクタンス値が調整され、雌ネジ部材7の移動が調整用ネジ6の回動により与えられるので、インダクタンス値が微調整できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイルのインダクタンスを微調整する装置に係り、特に大電力の高周波信号を扱うコイルに好適なインダクタンス微調整装置に関する。
例えば、比較的大電力のHF帯の信号を扱う送信機の最終段に使用されるコイル(タンクコイル)やローパスフィルタ用のコイルは、大電流を許容するため、径の大きな導線(銅線)を用いる必要があり、一例としてキロワットオーダーの電力の場合、太さが3mmφ程度の導線が必要であり、結果として強度にあまり問題が生じないので、通常、数ターンの空心コイルとして作られる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、コイルのインダクタンス値はコイルの形状に依存し、特にターン数が少ない場合、僅かな形状変化でもインダクタンス値は相対的に大きく変化する。
従って、いかに注意して正しい形状のコイルを作成したとしても、それだけで直ちに設計通りのインダクタンス値を得るのはかなり困難で、通常は、この後、インダクタンス値の調整が不可欠であり、このため、例えば図3に示すコイルが従来技術として知られている。
この図3は、一例として、平角線の短辺を内径面として縦に巻いたコイル、いわゆるエッジワイズコイルを対象としてインダクタンス値が調整できるようにしたコイルの一例で、図3(a)は正面図で図3(b)は側面図、それに図3(c)は部分拡大図であり、これらの図において、40はエッジワイズ巻されたコイル、41は平角線でコイル導体となるもの、42はコイルの端子、43、44、45、46はコイル支持部材、47、48は端板部材、49、50は取付部材、51、52はタップ金具、53は締付用のネジ、そして54は接続用のリード部材である。
まず、平角線41は、所定の厚さの銅板を細条(ストリップ)に切り出し加工したもので、これを、上記したように、短辺を内径面として縦に巻いてコイル40が形成されている。
このとき4個のコイル支持部材43〜46は、2個のリング状の端板部材47、48の間に、図示のように、相互に45°の角度で等間隔に取り付けられている。なお、ここで、コイル支持部材46は、図には表わされていない。
そして、これらコイル支持部材43〜46には、コイル40を構成している平角線41に対応して複数の溝が予め形成してあり、これらの溝にコイル40を構成している平角線41が、その内周面から入り込んだ状態にされることにより、コイル40がコイル支持部材43〜46に保持され、ひいては端板部材47、48に保持されていることになり、この結果、2個の取付部材49、50によりコイル40を所望の場所に取り付け、例えばタンクコイルとして使用することができるようになる。
このとき、タップ金具51、52は、図3(c)に示されているように、2個で対になっていて、締付ネジ53により相互に締め付けることができるように作られている。
そこで、図示のように、タップ金具51、52の一方の端部(図では上端)の間に平角線41が挟まれるようにして、これらタップ金具51、52を平角線41の外側から挿入し、平角線41を挟んだ状態にした後、ネジ53を締め付けてやれば、タップ金具51、52を平角線41に取り付けることができる。このときタップ金具52には、薄板状金属板からなるリード部材54がネジで取り付けられている。
従って、タップ金具51、52は、平角線41を挟んだ後、ネジ53を締め付ければ平角線41に固定でき、ネジ53を緩めれば平角線41から取り外すことができることになり、この結果、リード部材54を平角線41の任意の位置に取り付けることができる。
そこで、コイル40を作成したら、この後、タップ金具51、52の取付位置を変えてやれば、端子42とリード部材54の間のコイルについてのインダクタンスを調整することができ、従って、所望のインダクタンスのコイル40を得ることができる。
特開2008−117843号公報
ところで、送信機などの電子装置は、通常、複数の部品の集合体で、このときコイルは部品の1部であり、従って、実際に機器の部品として組み込まれ、他の部品と組み合わされたとき、微妙にインダクタンス値が変化してしまうのが避けられない。
従って、製品としてコイルが供給されたとしても、実際に使用されるときには、インダクタンス値について微細な調整が必要になるが、このとき、従来技術では、インダクタンス値の微調整が困難で、このため機器に所期の性能を発揮させるのが困難であるという問題があった。
従来技術の場合、インダクタンス値の調整が、タップ金具のコイル導体に対する取付位置の変更により与えられるようになっており、従って、インダクタンス値の調整には、ネジ53を緩め、タップ金具51、52を適当な位置に移動させてネジ53を締め付けた後、インダクタンス値が所望の値になったか否かを調べる必要があり、これらの操作をコイル40が装置内に位置決めされている状態で行わなければならない。
従って、従来技術は、インダクタンス値の微調整が困難で、このため所期の性能が発揮できないという問題が生じてしまうのである。
本発明の目的は、コイルが実際に機器に組み込まれた状態でもインダクタンス値の微調整が容易に得られるようにしたインダクタンス微調整装置を提供することにある。
上記の目的は、一方と他方の端部の近傍にそれぞれ端子を備えた略円筒形のボビンにコイル導線を巻き付け、該コイル導線の一方と他方の端部をそれぞれ前記端子の一方と他方に接続して形成したコイルにおいて、前記端子の一方を前記ボビンの軸方向に移動させるネジ機構を設け、該ネジ機構のネジ部材の回動により前記コイルのインダクタンスの調整が得られるようにして達成される。
本発明によれば、ネジの回動だけでコイルのインダクタンス値を変えることができるので、コイルが実際に機器に組み込まれた状態でも、簡単に、且つ容易にインダクタンス値の微調整が可能になる。
従って、本発明によれば、送信機などの電子機器に適用して、当該機器を常に最適な性能に維持できるコイルが得られることになる。
本発明に係るインダクタンス微調整装置の一実施の形態を示す3面図である。 本発明に係るインダクタンス微調整装置の一実施の形態を示す一部拡大図である。 従来技術によるインダクタンス調整機能を備えたコイルの一例を示す説明図である。
以下、本発明に係るインダクタンス微調整装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
まず、図1は、本発明の実施形態に係るコイルの一例で、側面図(a)と上面図(b)、図(a)を左側から見た図(c)、そして断面図(d)であり、次に、図2は、一部を拡大した上面図(a)と断面図(b)である。
そして、これらの図において、1はコイル、2はコイル導線、3はボビン部材、4、5は端子ネジ、6は調整用ネジ、7は雌ネジ部材、8はロックナット、9、10はスタンド部材、11は長孔、12は空洞部である。
このときボビン部材3は、ボビン部材3Aとボビン部材3Bの2個の部材を組合せたもので、これらボビン部材3Aとボビン部材3Bは、円柱部材を、その中心軸を含む平面で2分割した形に、例えばガラスエポキシ樹脂やセラミックス材などHF帶で誘電損失の少ない材料により作られている。
そして、このボビン部材3にコイル導線2を巻き付け、端子ネジ4、6の間に所望のターン数のコイル1が形成されている。
また、このボビン部材3には、その端面の双方に各々スタンド部材9、10がネジで取り付けてあり、これらにより機器に組み付けることができるようになっている。
このコイル1は、端子ネジ4、5に配線を施すことにより、例えばタンク回路やフィルタ回路のコイルとして使用されるが、ここで、一方の端子ネジ4はボビン部材3(正しくはボビン部材3A)に取り付けられ、そこに固定されている。
しかし、他方の端子ネジ5は、ボビン部材3Aに固定されるのではなく、このボビン部材3Aの表面から中心軸に向って形成してある長孔11を通って雌ネジ部材7に取り付けられ、この雌ネジ部材7に保持されている。
そして、この雌ネジ部材7は、その全体はボビン部材3Aとボビン部材3Bの合わせ面にボビン部材3Aの一方の端面から軸方向に伸びた形で形成してある略正方形をした空洞部12の中に位置し、その雌ねじ部分は調整用ネジ6のネジ部分に螺合されている。
このため雌ネジ部材7は、略正立方体の部材で作られ、雌ネジ部材7のネジ部分に螺合するための雌ネジ孔を備え、この雌ネジ孔に直交するようにして端子ネジ5が取り付けられている。
また、このとき調整用ネジ6の頭部6Aは、特に図2に明瞭に表わされているように、空洞部12の奥にある段部の中に入り込み、これによりボビン部材3の軸方向には移動せず、回動が可能に保持されている。
そして、調整用ネジ6の頭部6Aとは反対側の端部には、ドライバなどの工具による回動を可能にするため、工具の刃先が嵌合するための溝が形成してあり、さらにロックナット8が螺合されている。
従って、ロックナット8を緩め、調整用ネジ6を回動させたとすると、これに伴って雌ネジ部材7は、ボビン部材3の軸方向に移動し、その移動方向は調整用ネジ6の回動回動方向に依存し、例えば調整用ネジ6を右回動させると、雌ネジ部材7は左に移動し、左回動させたとすると、雌ネジ部材7は左に移動することになる。
そして、この雌ネジ部材7に端子ネジ5が取り付けられ、この端子ネジ5には、上記したように、コイル導線2の一方の端部が取り付けられている。
そこで、雌ネジ部材7が左に移動した場合は、コイル1が軸方向に引き延ばされるので、コイル1のインダクタンス値は減少し、反対に右に移動した場合は、コイル1が軸方向に縮められるので、インダクタンス値が増加する。
従って、調整用ネジ6を回動させることにより、コイル1のインダクタンス値が任意に変えられることになり、この後、ロックナット8を締め付けてやれば、調整用ネジ6の回動が抑止され、微調整したインダクタンス値を維持させることができる。
しかも、このときの作業は調整用ネジ6とロックナット8を回すだけの操作で済むので、インダクタンス値の変更は極く簡単にスムースに行なえ、微調整が容易に得られることになる。
従って、このコイル1を、電子機器、例えばHF帯の送信機に組み込んだ後でインダクタンス値の微調整が必要になったとき、調整用ネジ6を回動させるだけでインダクタンス値が変えられるので、コイル1が機器に組み込まれていてもインダクタンス値の微調整が簡単にでき、必要なインダクタンス値に容易に設定することができ、この結果、この実施形態によれば、コイル1を組み込んだ電子機器の動作条件を最良な状態に容易に維持し、必要とされる性能を充分に発揮させることができる。
1 コイル
2 コイル導線
3 ボビン部材
4、5 端子ネジ
6 調整用ネジ
7 雌ネジ部材
8 ロックナット
9、10 スタンド部材
11 長孔
12 空洞部

Claims (1)

  1. 一方と他方の端部の近傍にそれぞれ端子を備えた略円筒形のボビンにコイル導線を巻き付け、該コイル導線の一方と他方の端部をそれぞれ前記端子の一方と他方に接続して形成したコイルにおいて、
    前記端子の一方を前記ボビンの軸方向に移動させるネジ機構を設け、
    該ネジ機構のネジ部材の回動により前記コイルのインダクタンスの調整が得られるように構成したことを特徴とするインダクタンス微調整装置。
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