JP2010282869A - ライン照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
棒状の導光体を用いたライン照明装置において、導光体の入射対向端部に反射部材を設けなくても高い光利用効率が得られ、反射部材を設けることによるコスト上昇、温度湿度変化による特性変化、長手寸法の増大などの問題を回避する。
【解決手段】
透明部材からなる棒状の導光体と該導光体の一方の端面に配置された光源とを有するライン照明装置において、導光体の長手方向一側面に反射パターンが配列形成され、反射パターンの形成された側面に対向する側面が出光面となっており、導光体への光入射面に対向する端面に、稜線を有する鋸歯形状を形成する。入射対向端面に形成した鋸歯形状の稜線は出光方向と70〜90度の角度であり、鋸歯形状の先端角度は80〜100度であることが好ましい。
【選択図】 図4

Description

本発明は、細長い棒状の導光体を利用するライン照明装置に関し、特には画像読み取り装置に用いられるライン照明装置に関するものである。
ファクシミリ、電子黒板、電子複写機その他、画像読取装置に備えるライン照明装置としては、キセノン蛍光ランプなどの放電管、発光ダイオード(LED)チップを多数アレイ状に並べたLEDアレイバー、導光体の端部にLEDを配置した導光体照明などが用いられている。このうち導光体照明方式は、ウォーミングアップが不要、小型、低消費電力、低発熱、低コストといった優れた特徴を有する。
図1に導光体照明方式の基本的な原理を説明する。導光体2の端面7の近傍に配置された光源であるLED1からの発光は入射端面7より導光体内部に取り込まれ、導光体の内面反射により全反射を繰り返して入射対向端面8に向かって伝播される。導光体の長手方向一側面には伝播された光を導光体出光面4から取り出すための反射パターン3が形成されている。反射パターンは光を反射/拡散させる機能を持ち、反射パターンに到達した光の一部は出光面より導光体外部に出射され原稿5を照明する。入射端面から遠ざかるに従い導光体内の光束密度は低下していくことになるが、反射パターンの密度を光束密度に逆比例させて徐々に高くすることによって、長手方向で一定の照度分布を得ることが可能となる。
図2は導光体2の断面図であるが、出光面4はシリンドリカルレンズ面となっており、反射パターン3で反射/拡散された光を出射光として集光させ、原稿5の細長い読み取りエリアを効率的に照明できるようになっている。
反射パターンによって導光体外部に出射されなかった光は、入射対向端面8にまで到達する。入射対向端面は通常は長手方向に垂直の平面となっており、図3に示すようにこの面8に到達した光のごく一部の光9は反射されて反対方向へと折り返されて有効利用されるが、大部分の光は端面より透過し光ロス10となってしまう。この透過光を有効に活用しようとする場合には、入射対向端面に近接させて反射部材を設けるか、もしくは対向端面に直接に反射部材を貼り付ける必要がある。しかしながらいずれの方法においても反射部材を設置することがコストを押し上げる要因となる。
また特に、外部に反射部材を近接させる方法では、温度や湿度変動による反射部材とのクリアランス変化に伴って照度特性が変動する問題が発生する。さらに、固定構造によっては、導光体の長手方向の膨張を反射部材が押さえ込んでしまうために、導光体膨張時に反射部材などが変形してしまうといった問題が発生する。導光体の材料としてアクリル樹脂を用いる場合には特に、湿度による大きな膨張があるためこうした問題が顕在化しやすい。
特許文献1では、入射対向端面の形状の工夫によって、入射対向端面からの透過光を少なくし、反射部材を設けなくても効率が犠牲にならないようにする方法が提案されている。
ここで提案されている形状は、図15に示すように入射対向端面の形状を一対の傾斜面としたものである。しかしながらこのような形状では、導光体が長手方向に長くなるという問題がある。さらに、発明者らが光線追跡ソフト(OPTICAL RESEARCH ASSOCIATES
社製 “LIGHT TOOLS” ) によりシミュレーションした結果では、ここで提案されている形状は光ロスを抑える効果は不十分であった。
特開2007−183470号公報
本発明はこのような事情のもとで考え出されたものであって、導光体の入射対向端部に反射部材も設けなくても高い光利用効率を得られ、これによって反射部材を設けることによるコスト上昇、温度湿度変化による特性変化、照明装置長手寸法の増大、などのデメリットを回避することを課題としている。
本発明は、透明部材からなる棒状の導光体と該導光体の一方の端面に配置された光源とを有する照明装置において、該導光体の長手方向一側面には反射パターンが配列形成されており、反射パターンの形成された側面の対向側面がライン状出光面となっており、光源の配置されていない入射対向端面には稜線を有する鋸歯形状を形成したことを特徴とするライン照明装置である。
本発明において、入射対向端面に形成する鋸歯形状の稜線と出光方向との成す角度が70度から90度の範囲にあることが特に好ましく、また、鋸歯形状の先端角度が80度から100度の範囲にあることが特に好ましい。
本発明によれば、入射対向端面からの透過光が低減されるために入射対向端部に反射部材を配置しなくても光を効率良く利用でき十分な照度を確保できる。また、入射対向面の外側に必要とするスペースを短くできる。
以下に図面を用いて本発明の好適な実施形態を説明する。
図4は本発明の好適な実施形態を説明するための斜視図である。透明部材からなる棒状の導光体2の一方の端面(入射端面7)にはLED光源1が配置されている。該導光体の長手方向一側面には反射パターン3が配列形成されており、LED光源の配置されていない入射対向端面8は鋸歯形状となっており、鋸歯形状の稜線は出光方向と垂直方向になっている。
入射対向端面の鋸歯形状の働きについて説明する。
LEDの発光は導光体と空気界面で屈折され、ほぼ40度(半角)の広がりを持って入射される。入射端面直後においては、導光体内を伝播する光の方向は点対称である。図5に示すように、X-Z平面内でのX軸との成す角度αが大きい光(Z方向に大きく傾いた光)は反射パターンに到達し外部へ出射される確率が高いのに対して、αが小さい光は反射パターンに到達する確率が小さい。この影響により、導光体内を伝播する光は入光面より遠ざかるに従って小さいαの光の割合(分布量)が多くなるよう角度分布の変化が生じることになる。
ここでは、簡便化のために反射パターン形成面とその法線上をαが一定のままで内部反射して伝播するように描いた図を用いて説明したが、実際には光は種々の面で反射するため光路は複雑で内部反射ごとにαも変化する。しかしながら、統計的に入射面より遠ざかるに従ってαの小さい光の割合が多くなることは変わりない。
導光体内を伝播する光が光源から離れるに従って光の角度分布がどのようになるかについて説明する。導光体としては断面をR2.2mmの円弧形状とし、長手一側面は円弧中心より2.0mmの位置で直線断面となる平面を形成し、この平面には頂角120度の二等辺三角形断面の凹凸反射パターンを配列形成した、長手寸法320mmの導光体Aを用いた。この導光体Aに対して、光線追跡ソフトを用いて導光体内を伝播する光の角度分布αを入射面からの距離Xを0mm、50mm、230mm、320mmの各断面位置でのαの分布を求めたのが図6である。横軸が角度αであり、縦軸はそれぞれの断面位置において伝達されている全光束で標準化したときの角度α成分の割合を示していいる。このように入射面より遠ざかるに従ってαの小さい光の割合が多くなることがわかる。
図7は、入射対向端面に出光方向と垂直方向になっている稜線を有する鋸歯形状が形成されているときの導光体端面の断面図示すもので、大きなαで到達した光は図7Aのように導光体外部へ透過してしまうが、小さなαで到達する光は大部分が図7Bのように反射され折り返される。細長い導光体内を伝播して入射対向端面に到達する光はαの小さい光の割合が多くなっているので、図7Aのように透過してしまう光の割合は小さく、大部分の光を図7Bのように反射させることが可能となる。
次に鋸歯の形状について説明する。図8は前記の導光体Aについて、入射対向端面の先端鋸歯形状を二等辺三角形の断面とし、鋸歯の先端角度を変化させたときの平均照度比の光線追跡ソフトによるシミュレーション結果をプロットしたものである。ここで縦軸の相対照度は、入射対向端面が垂直の平滑平面となっているときの平均照度を100%としたときとの相対値で示している。グラフは90度でいったん凹んだ特長的なカーブとなっているが、これは次のような理由によるものと説明できる。図9は入射対向端面における鋸歯の先端角度による反射光光路の状態を示したもので、先端角度が90度のときには図9Aの光路で示したようにちょうどX−Z面内で180度回転した方向へと反射さる。つまり反射された光が再び小さな角度αで折り返すことになるため、折り返し光が反射パターンに到達せずに入射端面まで到達してしまう確率が高くなる。入射端面まで到達した折り返し光の大部分は端面より導光体外部へ透過し、光源で吸収されたり、光源と入射端面の隙間から漏れてロスされるため、有効利用率が低下する。これに対して鋸歯先端が90度から少し大きいか小さい場合には図9B又は9Cに示すように、いずれの場合も折り返し光のαがより大きくなるために入射端面まで戻る間に反射パターンに到達して出射される確率が高くなる。このように光の利用効率を最も高める観点から鋸歯先端角度を96度前後にすることが最も好適である。
なお、導光体Aの先端を垂直の平面で100%鏡面反射性としたときの平均照度のシミュレーション結果は126.2%であり、鋸歯先端を96度としたときの平均照度は128.8%であり、100%鏡面反射性としたとき以上の照度が得られている。このことから、適切な鋸歯形状は単に光を反射して折り返す効果を持つだけでなく、折り返し光のαを大きくすることにより、折り返し光を反射パターンから効率良く出射させることに寄与すると考えられる。
次に鋸歯稜線の方向について説明する。 図10は導光体Aの入射対向端面に頂角96度の二等辺三角形断面の鋸歯を形成したとき、稜線方向と出光方向(反射パターン形成面の法線方向)との成す角度を0度から90度まで変化させたときの平均照度比の光線追跡ソフトによるシミュレーション結果をプロットしたものである。入射対向端面を垂直の平滑平面としたときの平均照度を100としている。稜線方向が90度のときの照度向上率(先端が平滑面のときと比較して)が28.8%有るのに対して、稜線方向が0のときは12.9%に留まる。この結果も鋸歯稜線の方向が重要であることを改めて示している。このグラフより鋸歯稜線と出光方向の成す角度が90度から70度の範囲のときに最も高い効果を示すと言える。
このような鋸歯形状は、金型上に対応する先端形状の刃物(バイト)を使用して引き切り加工することで平滑性に優れた凹凸面を金型上に高精度に加工でき、インジェクション成形法によって金型上の凹凸の反転した凹凸形状が転写され形成できる。
鋸歯の突出部分は有効照射領域として利用できないため、鋸歯は小さいほど長手方向の寸法を小さくする上では有利である。しかしながら、インジェクション成形では、微小で鋭利な先端部分は形状を正確に転写することができずダレが生じるため、鋸歯の寸法が小さすぎると光を反射させる効果が減少し好ましくない。したがって鋸歯の大きさとしては突出寸法が0.1mmから1mm程度が最も好適である。
次に反射パターンについて説明する。
反射パターンとしては、成形品の表面に微細な凹凸パターンを形成して凹凸面による反射を利用する方式と、白色(もしくは光拡散性)のインクを印刷塗布してインクによる拡散反射を利用する方式とが利用できる。
印刷方式においては、微小な円形や方形の印刷パターンの密度や大きさを徐変させながら配列させることによってY軸方向の照度均一性を得ることができる。凹凸パターン方式では微小な凹凸パターンの密度や大きさを徐変させて配列させることによって照度均一性を得ることができる。
凹凸パターンによる反射を利用する方式では、対応する凹凸を形成した金型を用いてインジェクション成形することにより同時に反射パターンを形成できるため、印刷工程が不要で低コストとなる利点がある。さらに、印刷方式は拡散反射を利用するため出射角度をコントロールできないのに対して、凹凸反射方式では鏡面反射による出射角度をコントロールできるため、目的に合わせて効率的に集光して照度を高めることができる。
特にY軸方向(導光体の長手方向と直角方向)に稜線を持つ凸部または凹部が配列したパターンを形成することにより出射角度のコントロール性が高まる。このような凹凸反射パターンは、金型上に対応する先端形状の刃物(バイト)を使用してY軸方向に引き切り加工することで平滑性に優れた凹凸面を金型上に高精度に加工でき、インジェクション成形法によって金型上の凹凸の反転した凹凸形状が転写される。
次に凹凸反射パターンについて詳細に説明する。
図11〜14は一つの凹凸反射パターンとそこでの光路を説明する側面図である。
凹凸パターンに到達した光の一部は出光面側に反射され、また一部は裏側に屈折して出射される。凹凸パターン裏面に出射した光はそのままでは原稿面を照明する光として利用されないためロスとなる。この光を有効に利用するためには少なくとも凹凸パターンを形成した長手方向一側面の裏側には拡散反射性の部材を空気層を介して配置することが望ましい。反射部材が導光体側面と密接していれば、間接的に反射して導光体側に戻された光もシリンドリカルレンズ面により集光されて出射される。
しかしながら反射部材からの間接反射光の集光効率は、直接反射光の集光効率に及ばないため、原稿読取位置での照度を高くする上で、凹凸パターンから裏側に出射される光の割合は直接に出光面側に反射される光に対して小さくする方が有利である。凹凸パターンを対称形状で直接反射の比率を高める目的では、図11のように二つの反射面13が頂角120度付近の二等辺三角形となる形状が好適である。しかしながらこのような形状の場合は出射光の角度がX−Z面で光源と反対側に傾いてしまうために原稿の凹凸による影の出方が長手位置によって異なり、位置によっては影が際立つといった問題も生じる。この問題を回避したい場合は出射角度ピークを法線方向に近づけることが望ましく、一つの選択肢として図12のように台形の形状とすることし反射面13の角度γを25〜35度にすることが好適である。凹凸パターン断面幅をE、高さをDとした時、E/Dの比は小さ過ぎても大き過ぎても出射光率が低下する。E/Dの適正な範囲は概ね3から8である。
また、反射の比率を高くして出射光の角度ピークを法線方向にしたい場合の別の選択肢として、図13のように第一反射面14と第二反射面15とを持つ非対称形状とし、第一反射面の法線と成す角度δを75度から85度とし、第二反射面の成す角度εを30度から45度とすることが好適である。
さらに、入光面側から伝播する光の出射機能を優先しつつ入射対向面側から反射して戻ってきた光も効果的に出射させるために、図14のように非対称な断面形状とすることも好適である。
このような凹凸パターンは、金型上に対応する先端形状の刃物(バイト)を使用してY軸方向に引き切り加工することで平滑性に優れた凹凸面を金型上に高精度に加工でき、インジェクション成形法によって金型上の凹凸の反転した凹凸形状が転写され形成できる。
反射パターン以外の導光体の表面は全て平滑であることが望ましい。平滑性が悪い場合には界面での光散乱が起こるため、制御されていない漏れ光が発生し効率が悪化するばかりでなく、X軸方向に長い導光体では光源から離れたところまで光が伝達されないため全体を発光させることができなくなる。
導光体の材質としては、用いる光源(LED)の発光波長において高い透過率を持つものが望ましく、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、などが好適に用いられる。
本発明の主旨は入射対向端面を鋸歯状の形状とすることにより入射対向端面からの透過光が低減されるために入射対向端部に反射部材を配置しなくても光の効率良く利用し十分な照度を確保できるようになることであって、導光体が細長い棒状であり、長手方向一側面に反射パターンが配列形成されている条件が整えば、さまざまな用途においてその効果が得られる。実施例では円筒の長手一側面が平面となっているような形状を挙げたが、導光体の形状はなんらこれに限定されるものではなく、どのような断面形状であっても適用できる。たとえば導光体を固定するためのフランジを全長に亘って設けるなどの構造を追加することが適宜行える。
このような細長い導光体を用いるライン照明としては、画像読取装置に用いる以外にも、間接照明、棚下照明、イルミネーション照明、標識灯、ステップ照明など種々の用途で利用できる。
導光体照明方式の基本原理を説明する図 出光面の集光原理を説明する図 一般的な導光体における入射対向端面での光の挙動を説明する図 本発明の照明装置の特徴を示す斜視図 導光体内を伝播する光の方向を説明する図 導光体内を伝播する光の入射端面からの距離による角度分布の変化を示す図 鋸歯形状における光の挙動を説明する図 鋸歯先端角度と照度比の関係を示す図 鋸歯の断面形状と光の挙動を説明する図 鋸歯稜線方向と照度比の関係を示す図 二等辺三角形の凹凸反射パターンを形成した場合の光路を説明する図 台形の凹凸反射パターンを形成した場合の光路を説明する図 非対称三角形の凹凸反射パターンを形成した場合の光路を説明する図 非対称四角形の凹凸反射パターンを形成した場合の光路を説明する図 従来技術の実施形態を説明する図
1 光源(LED)
2 導光体
3 反射パターン
4 出光面
5 原稿面
7 入射面
8 入射対向面
9 折り返し光
10 透過光
13 反射面
14 第一反射面
15 第二反射面

Claims (3)

  1. 透明部材からなる棒状の導光体と該導光体の一方の端面に配置された光源とを有する照明装置において、該導光体の長手方向一側面には反射パターンが配列形成されており、光源の配置されていない入射対向端面には稜線を有する鋸歯形状を形成したことを特徴とするライン照明装置。
  2. 鋸歯稜線と出光方向との成す角度が70度から90度の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のライン照明装置。
  3. 鋸歯形状の先端角度が80度から100度の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載のライン照明装置。
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