JP2010281506A - 燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法 - Google Patents

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聡 中島
Kuniaki Okada
邦明 岡田
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Abstract

【課題】燃焼空気予熱用熱交換器単体の性能低下に伴う補修時期を適正に決定することが可能な燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法を提供する。
【解決手段】(実際の排熱回収率)/(設計上の排熱回収率)からなる排熱回収率比及び(燃焼空気予熱用熱交換器からの空気のリーク量)/(燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量)からなるリーク率を求め、排熱回収率比が所定値以下、及び/又はリーク率が所定値以上であるときに燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期であると決定することにより、排熱回収率比からはダストの付着などによる熱交換量の低減を監視し、リーク率からは燃焼空気の漏れによる加熱能力の低下を監視することができ、両者によって燃焼空気予熱用熱交換器8単体の性能低下に伴う補修時期を適正に決定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱炉の排ガス経路中に設けられ且つ当該加熱炉に供給する燃焼空気を予熱する燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期を決定する方法に関するものである。
鉄鋼の製造プロセスにおいて用いられる鋼材の加熱炉では、燃料ガスと燃焼空気を送給して両者を燃焼し、炉内を通過させる鋼材を予熱、加熱、均熱している。加熱炉から排出される排ガスの顕熱を、当該排ガスの経路中に設けられた燃焼空気予熱用熱交換器で熱交換して、次の燃焼に用いられる燃焼空気を予熱する。
この燃焼空気予熱用熱交換器は、長期間の使用により、高温の排ガスに晒された熱交換器中のチューブや風箱に亀裂が生じたり、燃焼排ガス中の物質によってチューブが腐食したり穴が開いたり、燃焼排ガス中のダストが熱交換器を構成する機器に付着したりする。このような状態になると、燃焼空気予熱用熱交換器の亀裂や穴開き部から燃焼空気が煙道中に漏れたり、付着したダストなどにより燃焼排ガス流量が低下したりする。このうち、前者は燃焼量、つまり加熱能力の低下につながり、後者は、熱交換量の低減から燃料原単位の悪化につながる。
そこで、下記特許文献1に記載される燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法では、燃焼負荷中の加熱炉の燃料ガス投入量、熱交換器入側及び出側の排ガス圧力と排ガス成分、及び排ガスの炉尻温度から煙道及び煙突内における諸排ガス圧力損失を計算し、この圧力損失計算結果に基づき、煙突内抵抗を含めた煙突通風力と煙突入口までの燃焼排ガス圧力損失の総計とを計算し、煙突通風力と煙突入口までの排ガス圧力損失の総計との比が設定値よりも小さくなったときに、通風余裕がないとして燃焼空気予熱用熱交換器の補修を行うようにすることが提案されている。
特開平8−338697号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載される燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法は、煙突を含む煙道の通風余裕がなくなったときを燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期としているため、燃焼空気予熱用熱交換器単体の性能低下に伴う補修時期を適正に決定できない可能性がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、燃焼空気予熱用熱交換器単体の性能低下に伴う補修時期を適正に決定することが可能な燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法は、加熱炉の排ガス経路中に設けられ且つ当該加熱炉に供給する燃焼空気を予熱する燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期を決定する方法であって、(実際の排熱回収率)/(設計上の排熱回収率)からなる排熱回収率比及び(燃焼空気予熱用熱交換器からの空気のリーク量)/(燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量)からなるリーク率を求め、排熱回収率比が所定値以下、及び/又はリーク率が所定値以上であるときに燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期であると決定することを特徴とするものである。
而して、本発明の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法によれば、(実際の排熱回収率)/(設計上の排熱回収率)からなる排熱回収率比及び(燃焼空気予熱用熱交換器からの空気のリーク量)/(燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量)からなるリーク率を求め、排熱回収率比が所定値以下、及び/又はリーク率が所定値以上であるときに燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期であると決定する構成としたため、排熱回収率比からはダストの付着などによる熱交換量の低減を監視し、リーク率からは燃焼空気の漏れによる加熱能力の低下を監視することができ、両者によって燃焼空気予熱用熱交換器単体の性能低下に伴う補修時期を適正に決定することができる。
また、燃焼空気予熱用熱交換器からのリーク量を、燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量から実際に加熱炉に供給された燃焼空気量を減じた値とすることにより、燃焼空気の漏れによる加熱能力の低下を簡易且つ正確に監視することができる。
本発明の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法の一実施形態を示す連続焼鈍炉の概略全体構成図である。 図1の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法の説明図である。
次に、本発明の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法が適用される連続焼鈍炉の概略全体構成図である。加熱炉2は、被加熱物である鋼材1を、予熱帯3、加熱帯4、均熱帯5の順に通過させ、必要な熱処理、例えば熱間圧延に先立つ鋼材の加熱が行われた後、炉から払い出される。
加熱帯4や均熱帯5では、炉壁に燃焼バーナが設けられており、この燃焼バーナに供給される燃料ガスと燃焼空気を燃焼させ、その輻射熱で炉内或いは鋼材1を加熱或いは均熱するものである。予熱帯3には、炉内の燃焼排ガスを排出するための排気路6が接続されており、排気路6内の燃焼排ガスは煙突7から排出される。ちなみに、予熱帯3は、吸引される均熱帯5や加熱帯4内の炉内ガスによって加熱される。
排気路6内には、加熱炉2からの排ガスの顕熱を熱交換して燃焼バーナへの燃焼空気を加熱(予熱)する燃焼空気予熱用熱交換器8が設けられている。この燃焼空気予熱用熱交換器8は、器内に九十九折りに配設され且つブロワ9からの燃焼空気が通過するチューブ10を排ガス流と直交方向に設置して、排ガスの顕熱を燃焼空気の予熱に熱交換するものである。ブロワ9の送風量はホストコンピュータ11によって行われる。
本実施形態では、ホストコンピュータ11によって燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期を決定するために、ブロワ9出側での空気流量から燃焼空気予熱用熱交換器8に供給された全空気量Vaiを検出する全空気量センサ12、燃焼空気予熱用熱交換器8の出側での空気量から実際に加熱炉に供給された空気量Vaoを検出する燃焼空気量センサ13、燃焼空気予熱用熱交換器8前の排ガス顕熱を検出するために排ガス中のO濃度Cogiを検出する入側排ガス中酸素濃度センサ14及び排ガス温度Tgiを検出する入側排ガス温度センサ15、燃焼空気予熱用熱交換器出側の排ガス顕熱を検出するために排ガス中のO濃度Cogoを検出する出側排ガス中酸素濃度センサ19及び排ガス温度Tgoを検出する出側排ガス温度センサ18、燃焼空気の受熱量を検出するために燃焼空気予熱用熱交換器8の入側での燃焼空気の温度Taiを検出する入側空気温度センサ16及び燃焼空気予熱用熱交換器8の出側での燃焼空気の温度Taoを検出する出側空気温度センサ17を備える。
燃焼空気量センサ13で検出される燃焼空気予熱用熱交換器8の出側での空気量Vaoを、全空気量センサ12で検出されるブロワ9出側での空気量Vaiから減じれば、燃焼空気予熱用熱交換器8からのリーク量が求められる。この燃焼空気予熱用熱交換器8からのリーク量を、全空気量センサ12で検出されるブロワ9出側での空気流量、即ち燃焼空気予熱用熱交換器8に供給された全空気量で除せば、燃焼空気予熱用熱交換器8のリーク率が求められる。
即ち、下記1式でリーク率を求めることができる。
リーク率=(Vai−Vao)/Vai ……… (1)
或いは燃焼空気予熱用熱交換器8の入側と出側での排ガス流量の増分を、燃焼空気予熱用熱交換器8の出側での空気量と排ガス流量の増分との和で除することからも計算できるから、排ガス流量Vgi、燃焼空気予熱用熱交換器8の出側の排ガス流量Vgoから、下記2式によってリーク率を求めることもできる。なお、排ガス流量Vgi、Vgoは、炉に投入した燃料の流量Q(Ncm/hr)、排ガス中のO濃度測定値Cogi、Cogoから、下記3式、4式によって計算できる。
リーク率=(Vgo−Vgi)/(Vao+(Vgo−Vgi)) ……… (2)
Vgi=Q×(Go’+Ao×(mi−1))
=Q×Go’×21/(21−Cogi) ……… (3)
ここで、Go’:理論排ガス量(燃料組成で決まる定数)
Ao :理論空気量(燃料組成で決まる定数)
mi :空気比(=Go’×Cogi/(Ao×(21−Cogi))
Vgo=Q×(Go’+Ao×(mo−1))
=Q×Go’×21(21−Cogo) ……… (4)
ここで、Go’:理論排ガス量(燃料組成で決まる定数)
Ao :理論空気量(燃料組成で決まる定数)
mo :空気比(=Go’×Cogo/(Ao×(21−Cogo))
次に、燃焼空気予熱用熱交換器8での排熱回収率は、空気の燃焼空気予熱用熱交換器8を通過することによる顕熱増分を、燃焼空気予熱用熱交換器8の入側での排ガスの顕熱で除すことにより求められる。空気の顕熱増分は、燃焼空気予熱用熱交換器8の出側での空気量Vao、燃焼空気予熱用熱交換器8の出側の空気温度Tao、燃焼空気予熱用熱交換器8の入側の空気温度Tai、燃焼空気予熱用熱交換器8の入側の空気の比熱Cpai、燃焼空気予熱用熱交換器8の出側の空気の比熱Cpaoから下記5式により求めることができる。
空気の顕熱増分=Vao×(Tao×Cpao−Tai×Cpai) ……… (5)
また、燃焼空気予熱用熱交換器8の入側での排ガスの顕熱は、燃焼空気予熱用熱交換器の入側の排ガス流量Vgi、排ガス温度Tgi、排ガスの比熱Cpgiから下記6式により求めることができる。
燃焼空気予熱用熱交換器8入側での排ガスの顕熱=Vgi×Tgi×Cpgi……(6)
従って、燃焼空気予熱用熱交換器8での熱回収率は、下記7式で求められる。
熱回収率
=Vao×(Tao×Cpao−Tai×Cpai)/(Vgi×Tgi×Cpgi)
……… (7)
このようにして求めた実際の排熱回収率を燃焼空気予熱用熱交換器8の設計上の排熱回収率で除せば排熱回収率比が得られる。
本実施形態では、図2に示すように、前記実際の排熱回収率を、燃焼空気予熱用熱交換器8の設計上の排熱回収率で除した排熱回収率比が、例えば80%程度に設定された所定値以下、及び/又は(燃焼空気予熱用熱交換器からの空気のリーク量)/(燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量)からなるリーク率が、例えば25%程度に設定された所定値以上である場合に、燃焼空気予熱用熱交換器8の補修時期であると決定する。このうち、排熱回収率比は、ダストの付着などによる燃焼空気予熱用熱交換器8の熱交換量の低減を監視するものであり、リーク率は、燃焼空気予熱用熱交換器8からの燃焼空気の漏れによる加熱能力の低下を監視するものである。
本発明では、リーク率及び排熱回収率比を監視するが、補修時期の決定に際しては、リーク率が所定値以上である場合か、排熱回収率比が所定値以下である場合かの何れかを満足するときとしてもよいし、リーク率が所定値以上であり且つ排熱回収率比が所定値以下であるときとしてもよい。燃焼空気予熱用熱交換器の劣化による燃料原単位の上昇や加熱能力低下に伴う鋼材の加熱時間の長時間化といった炉の運転コストが上昇する分と、補修費用とを勘案して、どの時期に補修必要有と判断するかは決めればよい。少なくとも、排熱回収率比が所定値以下、リーク率が所定値以上の両方を満足する場合には、補修必要有と判断する必要がある。
例えば、排熱回収率比とリーク率とを常時、或いは、週1回などの所定の間隔で監視しておき、図2に示す、リーク率と排熱回収率比との関係で、どの領域にあるかを監視する。そして、リーク率が25%以上、排熱回収率比が80%以上の何れをも満足する場合には、補修は必須であると判断し、何れかを満足する場合には、補修が好ましいと判断し、それ以外、即ち、リーク率が25%未満、且つ、排熱回収率比が80%以上を健全であると判断するようにすることができる。
なお、本実施形態では、ホストコンピュータ11が補修時期を決定するようにオンライン診断を可能となっている。本発明では、このようにオンライン診断を行うことが好ましいが、定期的にセンサを排ガス系統に設置して、リーク率と排ガス回収率比を測定する、所謂バッチ診断を行うようにしてもよい。
このように、本実施形態の燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法によれば、(実際の排熱回収率)/(設計上の排熱回収率)からなる排熱回収率比及び(燃焼空気予熱用熱交換器からの空気のリーク量)/(燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量)からなるリーク率を求め、排熱回収率比が所定値以下、及び/又はリーク率が所定値以上であるときに燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期であると決定することにより、排熱回収率比からはダストの付着などによる熱交換量の低減を監視し、リーク率からは燃焼空気の漏れによる加熱能力の低下を監視することができ、両者によって燃焼空気予熱用熱交換器8単体の性能低下に伴う補修時期を適正に決定することができる。
また、実際の排熱回収率を、(燃焼空気の受熱量)/(燃焼空気予熱用熱交換器前の排ガス顕熱)とすることにより、ダストの付着などによる熱交換量の低減を簡易且つ正確に監視することができる。
また、燃焼空気予熱用熱交換器からのリーク量を、燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量から実際に加熱炉に供給された燃焼空気量を減じた値とすることにより、燃焼空気の漏れによる加熱能力の低下を簡易且つ正確に監視することができる。
なお、本発明の燃焼空気予熱用熱交換器は、連続焼鈍炉に限らず、あらゆる加熱炉の排ガス経路に用いることができる。
1は鋼材、2は加熱炉、3は予熱帯、4は加熱帯、5は均熱帯、6は排気路、7は煙突、8は燃焼空気予熱用熱交換器、9はブロワ、10はチューブ、11はホストコンピュータ、12は全空気量センサ、13は空気量センサ、14は入側排ガス中酸素濃度センサ、15は排ガス温度センサ、16は入側空気温度センサ、17は出側空気温度センサ、18は出側排ガス温度センサ、19は出側排ガス中酸素濃度センサ

Claims (1)

  1. 加熱炉の排ガス経路中に設けられ且つ当該加熱炉に供給する燃焼空気を予熱する燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期を決定する方法であって、(実際の排熱回収率)/(設計上の排熱回収率)からなる排熱回収率比及び(燃焼空気予熱用熱交換器からの空気のリーク量)/(燃焼空気予熱用熱交換器に供給された全空気量)からなるリーク率を求め、排熱回収率比が所定値以下、及び/又はリーク率が所定値以上であるときに燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期であると決定することを特徴とする燃焼空気予熱用熱交換器の補修時期決定方法。
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