JP2010279898A - 圧縮機の液滴生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置の大型化を招くことなく、より多くの振動子を配設することができ、且つ、生成した液滴を吸気に効率よく混合することができる液滴生成装置を提供する。
【解決手段】圧縮機1の吸気通路4に設けられ、径方向外方にリング状の入口11を有すると共に中心に出口12を有する液滴生成室13と、液滴生成室13の底部に設けられ、液体Lを貯留する貯留部14と、貯留部14に液滴生成室13の周方向に間隔を隔てて複数配設され、貯留部14内の液体Lに振動を与える振動子15とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機の吸気通路内に液滴を生成する装置に関する。
従来の圧縮機では、圧縮効率を向上させるために、吸気に液滴(液体)を噴霧して、インペラやスクリュー等を備えるケーシング内の吸気温度を低下させる方法が取り入れられている(例えば、特許文献1、2等参照)。吸気と混合した液滴は、圧縮工程中に気化することで圧縮空気の圧縮熱を奪い、このような熱交換作用によって必要動力を低減させることができる。
特開2000−120596号公報 特開平11−148489号公報
しかしながら、吸気と混合した液滴はその粒径によっては一部が気化されず、ディフューザへと送られてしまうことがある。このような液滴は圧縮空気の温度低減に寄与できず、かえって動力が増加する(圧縮効率が低下する)という問題がある。
図7に示す液滴生成装置70は、圧縮機71の吸気通路(吸気管)72の底部に設けられ、液体Lを貯留する貯留部(貯留槽)73と、その貯留部73の底部に設けられ、貯留部73内の液体Lに振動を与える複数の振動子(超音波振動子)74とを備える。図7に示す液滴生成装置70では、振動子74を吸気管72の長手方向に直列に且つ吸気管72の幅方向に複数列(図示例では、2列)で複数配設している。
図7に示す液滴生成装置70では、貯留部73内の液体Lを振動子74による振動によって霧化させ、生成した液滴(液滴粒子)Dを吸気管72内を流れる吸気と混合するようになっている。図7に示す液滴生成装置70によれば、振動子74の周波数を調整することにより、平均粒径(ザウター平均粒径)が1〜5μmの微細な液滴Dを生成することが可能である。
ところで、液滴Dの生成量を増やすには振動子74の数を増やす必要があるが、振動子74を吸気管72の長手方向に沿って直列に配列した場合には、その分吸気管72が長くなり装置が大型化してしまう。
また、振動子74を吸気管72の長手方向に沿って直列に配列した場合、吸気が通る流路が長くなるので、吸気管72の下流側では吸気がそれ以上液滴Dを含まない状態(飽和状態)となり、生成した液滴Dを吸気に効率よく混合させることができない可能性がある。
そこで、本発明の目的は、装置の大型化を招くことなく、より多くの振動子を配設することができ、且つ、生成した液滴を吸気に効率よく混合することができる液滴生成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、圧縮機の吸気通路に設けられ、径方向外方にリング状の入口を有すると共に中心に出口を有する液滴生成室と、該液滴生成室の底部に設けられ、液体を貯留する貯留部と、該貯留部に上記液滴生成室の周方向に間隔を隔てて複数配設され、上記貯留部内の液体に振動を与える振動子とを備えたものである。
また、上記液滴生成室の出口が上記貯留部の上方に形成されても良い。
また、上記液滴生成室の径方向外方に設けられ、通路面積が下流側に向かい小さくなるスクロール部を備えても良い。
本発明によれば、装置の大型化を招くことなく、より多くの振動子を配設することができ、且つ、生成した液滴を吸気に効率よく混合することができる液滴生成装置を提供することができるという優れた効果を奏する。
図1(a)は本発明の一実施形態に係る液滴生成装置の側断面図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線断面図である。 図2(a)は本発明に係る振動子の配置を示す図であり、図2(b)は従来例に係る振動子の配置を示す図である。 図3(a)は別の実施形態に係る液滴生成装置の側断面図であり、図3(b)は図3(a)のIIIb−IIIb線断面図である。 図4(a)は別の実施形態に係る液滴生成装置の側断面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線断面図である。 図5(a)は別の実施形態に係る液滴生成装置の側断面図であり、図5(b)は図5(a)のVb−Vb線断面図である。 図6(a)は別の実施形態に係る液滴生成装置の側断面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線断面図である。 図7(a)は本出願人が開発中の液滴生成装置の側断面図であり、図7(b)は図7(a)のVIIb−VIIb線断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示すように、圧縮機(遠心圧縮機)1は、非容積形の圧縮機であって、ケーシング2と、このケーシング2内に回転可能に収容された回転軸(図示せず)と、この回転軸に装着されたインペラ3とから主に構成される。本実施形態では、圧縮機1を回転軸が略水平となるように設置している。圧縮機1としては、エンジンの過給器、産業用の圧縮機又はガスタービン等を用いることが可能である。
本実施形態に係る液滴生成装置10は、圧縮機1の吸気通路(吸気管)4に設けられ、径方向外方にリング状(環状)の入口11を有すると共に中心に出口12を有する液滴生成室13と、液滴生成室13の底部に設けられ、液体Lを貯留する貯留部(貯留槽)14と、貯留部14に液滴生成室13の周方向に間隔(図示例では、30度)を隔てて複数配設され、貯留部14内の液体Lに振動を与える振動子(超音波振動子)15とを備える。
本実施形態では、液滴生成室13の入口11には、通路面積が下流側に向かい小さくなるスクロール部16が連接されている。つまり、液滴生成室13の径方向外方に、通路面積が下流側に向かい小さくなるスクロール部16が設けられている。
また、本実施形態では、液滴生成室13の出口12には、上方に向かい延出し且つ通路面積が下流側に向かい小さくなるように縮径された縮径部17が連接されており、その縮径部17の下流側に、水平方向に向かい屈曲し且つ通路面積が流れ方向に略一定となるように形成された屈曲部18が連接され、屈曲部18の下流側に圧縮機1が配設される。
また、貯留部14には、貯留部14に液体Lを供給する液体供給機構(図示せず)が接続されており、液体供給機構から供給される液体Lにより貯留部14内の液体Lは所定量(所定水位)に保たれるようになっている。本実施形態では、液体Lとして水を用いるが、液体Lは水以外のものであっても良い。
また、本実施形態では、振動子15は、貯留部14の底部(下面)に装着されている。また、本実施形態では、振動子15を、液滴生成室13の半径方向に複数列(図示例では、3列)で配設している。
次に、本実施形態の作用を説明する。
振動子15によって貯留部14内の液体Lに振動エネルギーが与えられると、液面の表面張力が減少して霧状の液滴(液滴粒子)Dが液滴生成室13内に生成され、液滴生成室13内が液滴Dで満たされる。ここで、振動子15によって生成される液滴Dの平均粒径は10μm以下である。本実施形態では、振動子15の周波数を調整することにより、平均粒径が1〜5μmの微細な液滴Dを生成することが可能である。液滴直径の計測には、「PDPA(Phase Doppler Particle Analyzer/位相ドップラー粒子分析計)」を用いた。PDPAは、流れにレーザー光を照射し、流体中に含まれる微粒子からの散乱光により流速・粒子径を計測する装置である。この計測によって得られた液滴直径から「ザウター平均粒径」を求めた。
吸気をスクロール部16を介して液滴生成室13内に供給すると、液滴生成室13内を流れる吸気の相対湿度が高まる。そして、液滴Dと混合した吸気が縮径部17及び屈曲部18を経て圧縮機1へと供給されることになる。
吸気と混合する液滴Dは、振動子15を用いることで微細なものとできる。つまり、振動子15により所定の振動エネルギーを与えることで液滴Dを微細なものとでき、吸気と混合した液滴Dを圧縮機1のインペラ3を通過する間に完全に蒸発させることが可能になる。そのため、液滴Dによる熱交換効率が向上し、必要動力をより低減させることができる。
ここで、本実施形態に係る液滴生成装置10は、圧縮機1の吸気通路4に設けられ、径方向外方にリング状の入口11を有すると共に中心に出口12を有する液滴生成室13と、液滴生成室13の底部に設けられ、液体Lを貯留する貯留部14と、貯留部14に液滴生成室13の周方向に間隔を隔てて複数配設され、貯留部14内の液体Lに振動を与える振動子15とを備える。
つまり、本実施形態では、圧縮機1の吸気通路4に、径方向外方にリング状の入口11を有すると共に中心に出口12を有する液滴生成室13を設け、液滴生成室13の底部に貯留部14を設け、貯留部14に、複数の振動子15を円周上に配設したので、振動子15が占めるスペース(圧縮機1の回転軸軸方向に沿ったスペース)を、図7に示すように振動子74を吸気管72の長手方向に沿って直列に配設する場合と比較して小さくすることができ、限られたスペースにより多くの振動子15を配設することができる。
例えば、振動子15、74を36個配設する場合、振動子15、74の最小設置間隔をA[mm]とすると、図2(b)に示す従来例のように振動子74を吸気管72の長手方向に沿って直列に配設し且つ幅方向に2列で配設する場合では、A×17[mm]のスペース(圧縮機1の回転軸軸方向に沿ったスペース)が設置のために必要となる。一方、図2(a)に示す本実施形態のように振動子15を液滴生成室13の周方向に間隔(図示例では、30度)を隔てて且つ液滴生成室13の半径方向に3列で配設する場合であれば、振動子15を、図2(b)に示す従来例の半分程度のスペース(圧縮機1の回転軸軸方向に沿ったスペース)Bで設置することが可能である。
また、本実施形態では、液滴生成室13は、その径方向外方にリング状の入口11を有すると共に中心に出口12を有するので、吸気を液滴生成室13の周方向のいずれの位置(0〜360度)からも液滴生成室13内に供給することができ、液滴生成室13内に生成した液滴Dを吸気に効率よく混合することができる。
また、本実施形態では、液滴生成室13の出口12が貯留部14の上方に形成されるので、液滴Dは貯留部14から上方へと吸い上げられるところ、比較的粒径が大きい必要粒径以上の液滴Dは上方へと吸い上げられにくいので、必要粒径以上の液滴Dが圧縮機1へ吸い込まれることを防ぐことができる。
また、液滴生成室13の径方向外方に、通路面積が下流側に向かい小さくなるスクロール部16を設けた。これによって、該スクロール部16の通路面積が減少していくに伴い、スクロール部16を流れる吸気は順次液滴生成室13内に取り込まれていくことから、スクロール部16を流れる吸気を周方向に一定の流量で液滴生成室13内に取り込むことができるので、液滴生成室13内に生成した液滴Dを吸気に効率よく混合することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
例えば、図3に示す液滴生成装置20のように、振動子15を液滴生成室13の周方向に位相をずらして配設しても良い。即ち、全ての振動子15を液滴生成室13の周方向に対して同位相で配設すると、半径方向の外側では、振動子15によって振動を与えにくい箇所が貯留部14にできてしまうところ、振動子15を液滴生成室13の周方向に位相をずらすことで、振動子15によって振動を与えにくい箇所を減らすことができ、液滴生成室13内に生成した液滴Dを吸気に効率よく混合することができる。
また、図4に示す液滴生成装置30のように、圧縮機1を回転軸が略鉛直となるように配設しても良い。その場合、縮径部17の下流側に、上方に延出し且つ通路面積が流れ方向に略一定となるように形成された直線部19が連接され、直線部19の下流側に圧縮機1が配設される。
また、図5に示す液滴生成装置40及び図6に示す液滴生成装置50のように、液滴生成室13の出口12を、その底部に形成しても良い。図5に示す液滴生成装置40の場合、液滴生成室13の出口12には、下方に向かい延出し且つ通路面積が下流側に向かい小さくなるように縮径された縮径部20が連接され、縮径部20の下流側に、上方に延出し且つ通路面積が流れ方向に略一定となるように形成された直線部21が連接され、直線部21の下流側に圧縮機1が配設される。また、図6に示す液滴生成装置50の場合、縮径部20の下流側に、水平方向に向かい屈曲し且つ通路面積が流れ方向に略一定となるように形成された屈曲部22が連接され、屈曲部22の下流側に圧縮機1が配設される。
上記実施形態では液滴生成装置を1段圧縮機に適用したが、これには限定はされず、液滴生成装置を2段圧縮機等の多段圧縮機に適用しても良い。
1 圧縮機
4 吸気通路(吸気管)
10、20、30、40、50 液滴生成装置
11 入口
12 出口
13 液滴生成室
14 貯留部(貯留槽)
15 振動子(超音波振動子)
16 スクロール部

Claims (3)

  1. 圧縮機の吸気通路に設けられ、径方向外方にリング状の入口を有すると共に中心に出口を有する液滴生成室と、該液滴生成室の底部に設けられ、液体を貯留する貯留部と、該貯留部に上記液滴生成室の周方向に間隔を隔てて複数配設され、上記貯留部内の液体に振動を与える振動子とを備えたことを特徴とする圧縮機の液滴生成装置。
  2. 上記液滴生成室の出口が上記貯留部の上方に形成される請求項1に記載の圧縮機の液滴生成装置。
  3. 上記液滴生成室の径方向外方に設けられ、通路面積が下流側に向かい小さくなるスクロール部を備える請求項1又は2に記載の圧縮機の液滴生成装置。
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