JP2010279150A - リアクトルの容量変化を検出する装置 - Google Patents

リアクトルの容量変化を検出する装置 Download PDF

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Abstract

【課題】リアクトル容量の変化を検出できるようにする。
【解決手段】リアクトル(L)の電流量を検出する電流検出部(121)と、スイッチング素子(S1)のON又はOFF期間の中心タイミングとは異なるタイミングを含む複数のタイミングでそれぞれ電流検出部(121)にて得られる複数の検出値と、リアクトル(L)の容量が所定値である場合の前記検出値に関する基準値とに基づいて、リアクトル(L)の容量変化を検出する検出制御部(20)と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、リアクトルとスイッチング素子とを備えた電圧変換器に関わる技術に関する。
電圧変換器として、直流(DC)電圧を昇圧及び/又は降圧するDC−DCコンバータが知られている。DC−DCコンバータは、パーソナルコンピュータや、AV機器、携帯電話機、電源システム等の、電気回路を含む電気機器に幅広く用いられている。近年では、燃料電池自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の電源システムにDC−DCコンバータが用いられる例もある。
国際公開第2006/098376号
DC−DCコンバータは、例えば、トランジスタ等のスイッチング素子、コイル(リアクトル)、コンデンサ、及びダイオード等を組み合わせて構成することができる。ここで、リアクトルは、経年劣化や製造不良等の要因により、その容量が所期値とは異なる値に変動することがある。仮に、リアクトルの容量が所期値よりも低下すると、リアクトルに流れる電流(以下、「リアクトル電流」と称することがある。)が増加する。
このようなリアクトル容量の変化は、例えばスイッチング素子に定格電流以上の過電流が流れ続ける等して、DC−DCコンバータに用いられている素子に異常をきたす一因になり得る。
そこで、本発明の目的の一つは、リアクトル容量の変化を検出できるようにすることにある。また、当該変化に起因するリアクトル電流異常によって素子異常が発生することを回避できるようにすることも本発明の目的の一つである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
本発明の装置の一態様は、リアクトルとスイッチング素子とを備え、前記スイッチング素子の周期的なスイッチング制御によって前記リアクトルに流れる電流量を制御して入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換器に用いられる装置であって、前記リアクトルの電流量を検出する電流検出部と、前記スイッチング素子のON又はOFF期間の中心タイミングとは異なるタイミングを含む複数のタイミングでそれぞれ前記電流検出部にて得られる複数の検出値と、前記リアクトルの容量が所定値である場合の前記検出値に関する基準値とに基づいて、前記リアクトルの容量変化を検出する検出制御部と、を備える。
ここで、前記複数のタイミングは、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングに依存するタイミングとしてもよい。
前記スイッチングタイミングに依存するタイミングは、前記中心タイミング、及び、前記スイッチング素子のOFF又はON時のタイミングとすることができる。
その場合、前記検出制御部は、前記第1及び第2のタイミングにおける各検出値の差分を求める差分検出部と、前記差分検出部で得られた差分と、当該差分に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、を備えてもよい。
また、前記スイッチングタイミングに依存するタイミングは、前記スイッチング素子のON及びOFF時の各タイミングとしてもよい。
その場合、前記検出制御部は、前記各タイミングにおける検出値の差分を求める差分検出部と、前記差分検出部で得られた差分と、当該差分に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、を備えてもよい。
さらに、前記複数のタイミングは、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングに依存しないタイミングとしてもよい。
前記スイッチングタイミングに依存しないタイミングは、前記検出値が最大値及び最小値をとる各タイミングとすることができる。
その場合、前記検出制御部は、前記各タイミングにおける検出値である最大値と最小値との差分を求める差分検出部と、前記差分検出部で得られた差分と、当該差分に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、を備えてもよい。
また、前記スイッチングタイミングに依存しないタイミングは、前記スイッチング素子のON期間又はOFF期間内の任意の複数タイミングとしてもよい。
その場合、前記検出制御部は、前記各タイミングにおける検出値から前記リアクトルの電流量の変化レートを求めるリアクトル電流変化レート検出部と、前記リアクトル電流変化レート検出部で得られた変化レートと、当該変化レートに関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、を備えてもよい。
さらに、前記スイッチングタイミングに依存しないタイミングは、前記スイッチング素子のON期間及びOFF期間のいずれよりも短い周期の任意の複数タイミングとしてもよい。
その場合、前記検出制御部は、前記各タイミングにおける検出値の最大値及び最小値のいずれか一方又は双方を検出する最大値/最小値検出部と、前記最大値/最小値検出部による検出結果と、前記最大値/最小値検出部での検出対象に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、を備えてもよい。
また、前記検出制御部は、前記容量変化があると判定すると、前記スイッチング素子をOFF制御してもよいし、前記スイッチング制御の周期を減少制御してもよい。
なお、前記電圧変換器は、昇圧型の直流電圧変換器であってもよく、前記昇圧型の直流電圧変換器は、車両に搭載されており、かつ、当該車両に搭載された燃料電池の出力電圧を前記入力電圧とし、当該入力電圧を前記車両の駆動に用いられる前記出力電圧に昇圧する、こととしてもよい。
本発明によれば、リアクトル容量の変化を検出できる。ひいては、リアクトル電流異常による素子異常の発生を回避できる。
一実施形態に係る電源システム及び当該電源システムを搭載した車両の構成例を模式的に示す図である。 図1に例示するFC昇圧コンバータの電気回路の一例を示す図である。 図2に示すリアクトルを流れる電流の時間波形の一例を模式的に示す図である。 図2に示すリアクトルの容量変化を検出する第1の方法に対応する検出回路例を示す図である。 図2に示すリアクトルの容量変化を検出する第2の方法に対応する検出回路例を示す図である。 図2に示すリアクトルの容量変化を検出する第3の方法に対応する検出回路例を示す図である。 図2に示すリアクトルの容量変化を検出する第4の方法に対応する検出回路例を示す図である。 図2に示すリアクトルの容量変化を検出する第5の方法に対応する検出回路例を示す図である。 図2に示すリアクトルを流れる電流の時間波形の一例を模式的に示す図である。 キャリア周波数を2倍にした場合にリアクトルに流れる電流の時間波形の一例を模式的に示す図である。 降圧コンバータの電気回路の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
〔1〕一実施形態
図1は、一実施形態に係る電源システム10及び当該電源システム10を搭載した車両1の構成例を模式的に示す図である。
電源システム10は、例示的に、燃料電池(FC)11を有する燃料電池システムであり、車両1は、燃料電池システム10を駆動電力の供給源とする電気機器の一例としての燃料電池自動車である。ただし、車両1は、電気自動車やハイブリッド自動車であってもよい。
車両1は、駆動輪2を駆動するモータ16や、電子制御ユニット(ECU)20、アクセルペダルの開度を検出するアクセルペダルセンサ21等を備える。アクセルペダルセンサ21は、電子制御ユニット20に電気的に接続されており、例えば、検出したアクセスペダルの開度に応じてモータ16(駆動輪2)の回転速度がECU20によって制御される。
燃料電池システム10は、前記燃料電池(FC)11のほか、非限定的な一例として、FC昇圧コンバータ12、バッテリ13、バッテリ昇圧コンバータ14、インバータ15等を備える。
FC11は、電気化学反応を利用して発電する装置である。FC11には、固体高分子型、燐酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、アルカリ電解質型等の種々のタイプの燃料電池が適用可能である。FC11が発電した電力は、車両1の駆動輪2を駆動するモータ16の駆動電力や、バッテリ13の充電に用いられる。
バッテリ13は、充放電可能な二次電池であり、リチウムイオン、ニッケル水素、ニッケルカドミウム等の種々のタイプの二次電池を適用可能である。バッテリ13は、車両1やFC11の運転時に使用される種々の電気機器に電力を供給することができる。ここでいう電気機器には、例えば、車両1の照明機器、空調機器、油圧ポンプ、FC11の燃料ガスや改質原料を供給するポンプ、改質器の温度を調整するヒータ等が含まれる。
これらのFC11及びバッテリ13は、図1に例示するように、インバータ15に対して電気的に並列に接続されている。FC11からインバータ15に至る電気経路には、FC昇圧コンバータ12が設けられている。FC昇圧コンバータ12は、入力DC電圧を昇圧するDC−DCコンバータであり、FC11で発生したDC電圧を変換可能な範囲で所定のDC電圧に変換(例えば昇圧)して、インバータ15に印加することができる。このような昇圧動作により、FC11の出力電力が低くても、モータ16の駆動に要する駆動電力を確保することが可能となる。
一方、バッテリ13からインバータ15に至る電気経路には、バッテリ昇圧コンバータ14が、FC昇圧コンバータ12とインバータ15との間の電気経路に対して並列に接続されている。当該コンバータ14も、DC−DCコンバータであり、バッテリ13又はインバータ15から印加されたDC電圧を変換可能な範囲で所定のDC電圧に変換することができる。
コンバータ14には、昇圧及び降圧の双方が可能な昇降圧型のコンバータを適用でき、例えば、バッテリ13からの入力DC電圧を制御(昇圧)してインバータ15側に出力する一方、FC11又はモータ16からの入力DC電圧を制御(降圧)してバッテリ13に出力することが可能である。これにより、バッテリ13の充放電が可能となる。
また、コンバータ14は、出力電圧が制御されることで、インバータ15の端子電圧を制御することが可能である。当該制御は、インバータ15に対して並列に接続された各電源(FC11及びバッテリ13)の相対的な出力電圧差を制御して、両者の電力を適切に使い分けることを可能にする。
インバータ15は、FC11からコンバータ12を介して、また、バッテリ13からコンバータ14を介して、DC電圧の入力を受け、当該入力DC電圧を交流(AC)電圧に変換し、これをモータ16の駆動電圧として供給する。その際、ECU20は、要求動力に応じたAC電圧がモータ16に供給されるよう、インバータ15の動作(スイッチング)を制御する。
ECU20は、既述の制御のほか、車両1及び燃料電池システム10の動作(運転)を統括的に制御する。ECU20は、例示的に、演算処理装置の一例としてのCPU、記憶装置の一例としてのRAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータとして実現できる。ECU20は、モータ16や燃料電池システム10の各要素、種々のセンサ群と電気的に接続され、各種センサ値の受信、演算処理、指令(制御信号)の送信等を適宜に実施する。センサ群には、アクセルペダルセンサ21のほか、例示的に、バッテリ13の充電状態(SOC:State Of Charge)を検出するSOCセンサ、車速(モータ16の回転数)を検出する車速センサ、図4〜図8により後述する電流センサ121等が含まれ得る。
〔2〕昇圧コンバータ12
次に、昇圧コンバータ12の電気回路図の一例を図2に示す。図2に示す昇圧コンバータ12は、例示的に、リアクトル(コイル)Lと、出力ダイオードD1と、コンデンサC1及びC2と、ダイオードD2及びスイッチング素子S1を有するスイッチ回路SWと、を備える。
スイッチング素子S1には、非限定的な一例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を適用可能である。
リアクトルLは、一端が直流電源(FC11)の正極に直列に接続されるとともに、他端が出力ダイオードD1のアノードに直列に接続されている。なお、図2において、電源電圧(FC11の出力電圧)は、VLで表わしている。
リアクトルLとFC11との間には、コンデンサC1の一端が接続され、当該コンデンサC1の他端は、FC11の負極に接続されており、FCの出力電圧VLが両端に印加される。コンデンサC1は、FC11の出力電流を平滑化してリプルを低減する入力平滑コンデンサとして機能する。
リアクトルLとダイオードD1との間には、スイッチング素子S1のコレクタが接続され、スイッチング素子S1のエミッタは、FC11の負極に接続されている。また、スイッチング素子S1のコレクタには、ダイオードD2のカソードが接続され、スイッチング素子S1のエミッタには、ダイオードD2のアノードが接続されている。
ダイオードD1のカソードには、コンデンサC2の一端が接続され、当該コンデンサC2の他端は、FC11の負極に接続されている。コンデンサC2は、ダイオードD1からインバータ15を介してモータ16へ供給される出力電流を平滑化してリプルを低減する出力平滑コンデンサとして機能する。当該コンデンサC2の両端電圧(VH)が、昇圧後の電圧である。
スイッチング素子S1は、そのゲート電圧が例えばECU20から周期的にON/OFF制御される。スイッチングの周期(キャリア周波数)は、非限定的な一例として、100ms(10kHz)程度である。
スイッチング素子S1がONの期間、FC11の出力電流は、リアクトルL及びスイッチング素子S1を経由してFC11の負極へ還流し、リアクトルLに電気エネルギーが蓄積される。一方、スイッチング素子S1がOFFの期間では、それまでにリアクトルLに蓄積された電気エネルギーがFC11の出力電圧に重畳されて出力ダイオードD1経由で出力される。このようにしてコンバータ12は、昇圧動作を実施する。
図3に、昇圧動作時のリアクトル電流の時間変化の一例を示す。図3に実線100で示すように、リアクトル電流は、スイッチング素子S1のON/OFF制御に応じて、線形的な増減(電気エネルギーの蓄積及び解放)を交互に繰り返す。すなわち、スイッチング素子S1がONの期間において、リアクトル電流は線形的に徐々に増加し、スイッチング素子S1がOFFの期間において、リアクトル電流は線形的に徐々に減少する。
スイッチング周期の1周期においてON時間が占める割合を「デューティ(Duty)比」あるいは単に「デューティ」という。例えば、スイッチング素子S1のON時間をTON、OFF時間をTOFFでそれぞれ表わすと、デューティDは、D=TON/(TON+TOFF)で表わすことができる。
ECU20は、スイッチング素子S1のゲートに与える制御信号のパルスパターン(デューティD)を制御することで、スイッチング周期における平均的なリアクトル電流量、ひいては、リアクトルLの平均的な蓄積及び解放エネルギー量を制御できる。当該制御によって、コンバータ12の昇圧比、すなわち、FC11の出力電圧VLに対する、インバータ15に印加されるコンバータ12の出力電圧VH、ひいては負荷(例えばモータ16)への平均的な供給電力を制御できる。
〔3〕リアクトル容量変化検出
当該制御は、例えば、スイッチング周期の1周期における平均的なリアクトル電流量をモニタしながら、要求される出力電圧(昇圧比)に応じて実施することができる。リアクトル電流のモニタには、例えば電流センサを用いることができる。
ここで、図3に例示したように、リアクトル電流はスイッチング素子S1のON/OFFに応じて線形的に増減を繰り返す三角波形(実線100参照)となるから、スイッチング周期の1周期あたりの平均リアクトル電流量(図3の点線300参照)は、スイッチング素子S1のON期間(又はOFF期間)の中心タイミングにおけるリアクトル電流量として等価的に扱うことができる。したがって、ECU20は、各スイッチング周期において当該中心タイミングで得られる電流センサのセンサ値をリアクトル電流量の平均値として前記リアクトル電流制御に用いることができる。
さてここで、リアクトルLのインダクタンス値(リアクトル容量)が、経年変化等に起因して変化(仮に減少)した場合、リアクトル電流の振幅(増減幅)は、例えば図3中に点線200で示すように、変化前よりも大きくなる傾向にある。
既述のように、このような振幅増大は、スイッチング素子S1に定格電流を超える電流が流れて、素子異常をきたす要因となり得る。しかし、上述のようなスイッチング素子S1のON期間(又はOFF期間)の中心タイミングでのモニタ(平均値モニタ)では、リアクトル容量に変化があっても中心タイミングでのリアクトル電流量は変化しないか変化しても誤差範囲程度の微小な変化である。そのため、リアクトル容量の低下、ひいてはリアクトル電流異常を検出できない。
そこで、本例では、スイッチング素子S1のON期間又はOFF期間の中心タイミングとは異なるタイミングを含む複数のタイミングでのリアクトル電流量に基づいて、リアクトル容量の変化(リアクトル電流異常)を検出できるようにする。ひいては、スイッチング素子S1等の素子異常の発生を回避できるようにする。
ここで、リアクトル電流のサンプリングタイミング(周期)は、スイッチング素子S1のスイッチングパターン(タイミング)に依存するタイミングに設定してもよいし、依存しないタイミングに設定してもよい。
前者の場合は、スイッチング素子S1のスイッチングタイミングに同期したタイミングでサンプリングを行なえばよいから、サンプリングに関わる処理の簡易化を図ることができる。また、前者における各サンプリングタイミングは、同一スイッチング周期内に設定してもよいし、異なるスイッチング周期に設定してもよい。換言すれば、サンプリングタイミングは、適宜に変更可能である。例えば、ECU20は、他の制御との関係で処理負荷が相対的に高いスイッチング周期ではサンプリングを見送って、当該スイッチング周期以降の都合の良いタイミングにサンプリングタイミングを設定することも可能である。
一方、後者の場合は、スイッチング素子S1のスイッチングタイミングに非同期のタイミングでサンプリングを行なえるから、例えばECU20は、処理負荷が相対的に高いタイミングを避けてサンプリングタイミングをスケジューリングする等、ECU20の処理の都合に応じてサンプリングタイミングを柔軟に設定することが可能である。
スイッチングタイミングに依存するタイミングの例としては、(1)スイッチング素子S1のON(又はOFF)期間の中心タイミング及びスイッチング素子S1がOFF(ON)となった時のタイミング、(2)スイッチング素子S1がON及びOFFとなった時の各タイミングが挙げられる。
一方、スイッチングタイミングに依存しないタイミングの例としては、(3)リアクトル電流が最大値及び最小値をとった時の各タイミング、(4)リアクトル電流の変化レート(傾き)を求めるのに足りるタイミング、(5)任意のタイミングが挙げられる。
以上の(1)〜(5)に基づく検出方法の具体例として、それぞれ下記の第1〜第5の方法を例示する。なお、以下に例示する方法は、バッテリ昇圧コンバータ14に適用することも可能である。また、いずれか複数を相補的に組み合わせて実施してもよい。
(第1の方法)スイッチング素子S1のON(又はOFF)期間の中心タイミングでサンプリングしたリアクトル電流量(平均値)と、その後にスイッチング素子S1がOFF(ON)になった時にサンプリングしたリアクトル電流量との差分が、所定の基準値に対して一定以上の偏差をもつ場合に、リアクトルの容量変化(又はリアクトル電流)が異常(以下、「リアクトル異常」ともいう。)であると判定する。なお、スイッチング素子S1がOFF(ON)になったタイミングは、前記中心タイミングとは異なるタイミングの一例であり、図3に例示したように、理論的には、リアクトル電流量が最大値(最小値)をとるタイミングに相当する。
(第2の方法)スイッチング素子S1がON及びOFFになった時にそれぞれサンプリングしたリアクトル電流量の差分が、所定の基準値に対して一定以上の偏差をもつ場合にリアクトル異常と判定する。
(第3の方法)リアクトル電流のピーク(最大値)及びボトム(最小値)をそれぞれ検出し、検出したピーク−ボトム間の差分が、所定の基準値に対して一定以上の偏差をもつ場合にリアクトル異常と判定する。
(第4の方法)一定期間、例えばスイッチング素子S1のON(又はOFF)の期間に複数のタイミングでサンプリングしたリアクトル電流量を基にその変化レート(傾き)を求め、当該変化レートが、所定の基準値に対して一定以上の偏差をもつ場合にリアクトル異常と判定する。
(第5の方法)スイッチング素子S1のスイッチング周期よりも短い周期、好ましくはスイッチング素子S1のON期間及びOFF期間のいずれよりも短い周期でリアクトル電流量を複数サンプリングし、ソフトウェア処理で各サンプリング値をピーク及び/又はボトムホールドする。ホールドした値と、所定の基準値との間に一定以上の偏差がある場合にリアクトル異常と判定する。
上記のいずれの方法においても、リアクトル異常が検出された場合、例えば、ECU20は、スイッチング素子S1をOFF制御する。これにより、スイッチング素子S1に定格電流を超える過電流が流れ続けることを防止して、素子異常の発生を回避することが可能となる。
以下に、各方法に対応した検出回路(検出装置)の具体例をそれぞれ図4〜図8に示す。なお、図4〜図8において、同一符号を付した要素は、特に断らない限り、同一又は同様の要素を表わす。
(3.1)第1の方法
図4に示す検出回路30Aは、例示的に、リアクトルLのFC11側の電気経路に設けられた電流センサ121と、ピークホールド回路22と、ECU20とを備える。電流センサ121及びピークホールド回路22の各出力は既述のECU20に電気的に接続されている。
電流センサ121は、リアクトルLに流れる電流量を検出する電流検出部の一例である。電流センサ121には、例示的に、磁気比例式のセンサを適用可能である。磁気比例式の電流センサは、測定すべき電流が導体を流れた時の磁界を測定することにより、電流の大きさを間接的に測定する。例えば、電流に応じた磁界をホール素子により電圧信号に変換し、その出力電圧を増幅回路にて増幅し、電流に応じた出力電圧をセンサ値として出力する。
ECU20は、電流センサ121で検出されたリアクトル電流と、リアクトルLの容量が所定値(例えば定格値)である場合のリアクトル電流に関する基準値とに基づいて、リアクトルLの容量変化を検出する検出制御部の一例として機能する。そのため、ECU20は、例示的に、リアクトル電流平均値検出部201、差分検出部202、及び比較・判定部203としての機能を具備する。
ピークホールド回路22は、電流センサ121と電気的に接続されて、電流センサ121でリアルタイムに検出される、リアクトル電流量に応じた電圧のピーク値(最大値)を保持する。当該ピーク値が保持されるタイミングは、スイッチング素子S1のON期間の中心タイミングとは異なるタイミングの一例であり、理論的には、スイッチング素子S1がOFFとなった時のタイミングに相当する。なお、ピークホールド回路22に代えて、ボトムホールド回路を設けて、リアクトル電流量のボトム値を保持してもよい。ボトム値は、スイッチング素子S1がONとなった時のタイミングに相当する。
リアクトル電流平均値検出部201は、ECU20がスイッチング素子S1にON(又はOFF)の制御信号を与えている期間の中心タイミングで電流センサ121から入力されるセンサ値をリアクトル電流の平均値として検出する。この平均値は、既述のリアクトル電流制御にも用いられる。換言すれば、当該検出部201は、既述のリアクトル電流制御に用いることを目的としてECU20に本来的に備えられているものを流用できる。したがって、ECU20の最小限の機能改変で本方法をサポートすることが可能である。
差分検出部202は、リアクトル電流平均値検出部201で得られたリアクトル電流値(平均値)と、ECU20がスイッチング素子S1にOFFの制御信号を与えた時に相当するタイミングでピークホールド回路22に保持されているリアクトル電流値との差分を求める。
比較・判定部203は、差分検出部202によって得られた差分と当該差分に関する所定の基準値(後述)とを比較して、差分と基準値との間に一定以上の偏差があれば、リアクトル異常と判定し、そうでなければ、正常と判定する。なお、リアクトル異常判定は、前記偏差のある状態が所定時間継続した場合に行なうようにしてもよい。この点は、下記の他の方法においても同様である。
なお、比較・判定部203による判定結果は、例えばECU20から車両1の運転者や保守者に提示することができる。提示態様の一例としては、車両1に設けられた所定の警報ランプの点灯や、車両1に設けられたスピーカからの音声出力等が挙げられる(以降において、同様)。
(判定基準値)
ここで、リアクトル電流の振幅は、以下の式(1)で求めることができる。
Figure 2010279150
ただし、VLは電源電圧、Dはデューティ、fはキャリア周波数(スイッチング周波数)、L0はリアクトルLのインダクタンス値をそれぞれ表わす。電源電圧VLには、電圧センサ(図示省略)による実測値を用いることができる。デューティD及びキャリア周波数fは、それぞれECU20の指令値としてECU20において既知の値であり、インダクタンス値L0は既知の設計値である。
ECU20は、式(1)により求められる振幅を、正常時のリアクトル電流(基準値)として比較・判定部203での判定に用いることができる。すなわち、L0が低下すると、差分検出部202で求められた前記差分が式(1)で表わされる基準値よりも大きな値となるため、比較・判定部203は、両者の偏差が一定以上あれば異常と判定することができる。
(その他)
なお、L0が増加した場合は、前記差分が式(1)で表わされる基準値よりも小さな値となる。ECU20は、両者の偏差が一定以上あればリアクトル容量の増加に起因する異常と判定することもできる。リアクトル容量が増加する要因の一例としては、リアクトルLの製造不良等が挙げられる。基準値は、ECU20内のRAM等のメモリに記憶しておくことができる。また、比較・判定部203でリアクトル異常(又は正常)と判定する偏差の範囲は、誤差範囲内の基準値からのずれを許容するように設定することができる。これらの「その他」に例示した事項は、下記の説明する他の方法においても当てはめることができる。
(3.2)第2の方法
図5に示す検出回路30Bは、例示的に、リアクトルLのFC11側の電気経路に設けられた電流センサ121と、電流センサ121に電気的に接続されたECU20とを備える。また、ECU20は、例示的に、サンプリング処理部211、差分検出部212、及び比較・判定部213としての機能を具備する。
サンプリング処理部211は、ECU20がスイッチング素子S1に対してON及びOFFの制御信号をそれぞれ与えた時に電流センサ121から入力されるセンサ値をサンプリングする。各サンプリング値は、理論的には、リアクトル電流のピーク値(最大値)及びボトム値(最小値)に相当する。
差分検出部212は、サンプリング処理部211でサンプリングされた各センサ値の差分(つまりは、ピークとボトムとの差分)を求める。
比較・判定部213は、差分検出部212にて求められた差分と当該差分に関する所定の基準値とを比較して、両者に一定以上の偏差がある場合に、リアクトル容量低下に起因するリアクトル異常と判定し、そうでなければ、正常と判定する。なお、本方法における基準値も前記の式(1)を基に得ることができる。
以上のように、本方法によれば、スイッチング素子S1のON時及びOFF時のリアクトル電流値の差分を基に、リアクトル異常の有無を判定し、異常と判定した場合に、スイッチング素子S1をOFF制御することができる。したがって、スイッチング素子S1に定格電流を超える過電流が流れ続けて素子不良が生じることを防止できる。
(3.3)第3の方法
図6に示す検出回路30Cは、例示的に、リアクトルLのFC11側の電気経路に設けられた電流センサ121と、電流センサ121と電気的に接続されたピークホールド回路22及びボトムホールド回路23と、ECU20とを備える。また、ECU20は、例示的に、差分検出部222及び比較・判定部223としての機能を具備する。
ピークホールド回路22は、電流センサ121から入力されるセンサ値のピーク値(最大値)を保持する。ボトムホールド回路23は、電流センサ121から入力されるセンサ値のボトム値(最小値)を保持する。これらは、リアクトル電流の複数のサンプリングタイミングが、電流センサ121のセンサ値が最大値及び最小値をとる各タイミングであることに相当する。換言すれば、各回路22及び23によるセンサ値の保持タイミングは、いずれも、ECU20がスイッチング素子S1に与える制御信号(つまりはスイッチングタイミング)に依存しない。
差分検出部222は、ピークホールド回路22で保持されているピーク値と、ボトムホールド回路23で保持されているボトム値との差分を求める。
比較・判定部223は、差分検出部222で求められた差分と、当該差分に関する所定の基準値とを比較して、両者に一定以上の偏差があれば、リアクトル容量低下に起因するリアクトル異常と判定し、そうでなければ、正常と判定する。
以上のように、本方法によれば、リアクトル電流の実際のピーク値とボトム値とをサンプリングして、両者の差分を基に、リアクトル異常の有無を判定することができる。したがって、既述の第2の方法に比して、リアクトル電流のピーク値とボトム値とを精度良く検出でき、リアクトル容量変化の検出精度を向上することができる。その結果、スイッチング素子S1の素子不良をより確実に防止することができる。
また、本方法では、リアクトル電流(電流センサ121のセンサ値)のサンプリングタイミングが、スイッチング素子S1のスイッチングタイミングに依存しないから、ECU20は、他の制御等の処理との関係で都合の悪いタイミング、例えば処理負荷が相対的に高いタイミングを避けてサンプリングタイミングをスケジューリングすることができる。したがって、検出、判定処理を効率的に実施できる。
(3.4)第4の方法
図7に示す検出回路30Dは、例示的に、リアクトルLのFC11側の電気経路に設けられた電流センサ121と、電流センサ121に電気的に接続されたECU20とを備える。また、ECU20は、例示的に、サンプリング処理部231、リアクトル電流変化レート検出部232、及び比較・判定部233としての機能を具備する。
サンプリング処理部231は、電流センサ121から入力されるセンサ値を周期的にサンプリングする。サンプリングタイミングは、スイッチング素子S1のスイッチング周期よりも短い時間間隔とすることができる。好ましくは、スイッチング周期の1周期におけるON時間又はOFF時間よりも短い時間間隔に設定することで、スイッチング素子S1のON時間又はOFF時間におけるセンサ値の変化レートを効率的に得ることができる。
リアクトル電流変化レート検出部232は、サンプリング処理部231でサンプリングされたセンサ値を基に、スイッチング素子S1がONの期間又はOFFの期間におけるリアクトル電流の変化レート(傾き)を求める。
そして、比較・判定部233は、リアクトル電流変化レート検出部232で求められた変化レート(例えば絶対値)と、当該変化レートに関する所定の基準値とを比較して、両者に一定以上の偏差がある場合に、リアクトル容量低下に起因するリアクトル異常と判定し、そうでなければ、正常と判定する。本例での基準値は、次式(2)又は(3)により与えることができる。
Figure 2010279150
なお、式(2)はスイッチング素子S1がONの期間の変化レートの基準値、式(3)はスイッチング素子S1がOFFの期間の変化レートの基準値をそれぞれ表す。
以上のように、本方法によれば、リアクトル電流の変化レートを基に、リアクトル異常の有無を判定し、異常の場合にスイッチング素子S1をOFF制御することができる。したがって、スイッチング素子S1に定格電流を超える過電流が流れ続けて素子不良が生じることを防止できる。
(第5の方法)
図8に示す検出回路30Eは、例示的に、リアクトルLのFC11側の電気経路に設けられた電流センサ121と、電流センサ121に電気的に接続されたECU20とを備える。また、ECU20は、例示的に、サンプリング処理部241、ピーク/ボトムホールド処理部242、及び比較・判定部243としての機能を具備する。
サンプリング処理部241は、電流センサ121によって得られるセンサ値を、周期的にサンプリングする。サンプリングタイミングは、スイッチング素子S1のON期間及びOFF期間のいずれよりも短い時間間隔の任意のタイミングとすることができ、ECU20の処理能力との関係で許容される範囲で短くすることができる。サンプリング周期を短く設定するほど、比較・判定部243での判定精度を向上できる。
ピーク/ボトムホールド処理部242は、サンプリング処理部241でサンプリングされた電流センサ値のピーク値及びボトム値のいずれか一方又は双方を保持する。
そして、比較・判定部243は、ピーク/ボトムホールド処理部242で保持されたセンサ値(例えば絶対値)と、当該センサ値に関する所定の基準値とを比較して、両者に一定以上の偏差がある場合に、リアクトル容量低下に起因するリアクトル異常と判定し、そうでなければ正常と判定する。なお、ピーク値及びボトム値の双方をピーク/ボトムホールド処理部242で保持する場合、比較・判定部243は、いずれか一方がその基準値に対して一定以上の偏差がある場合に異常と判定してもよいし、双方が対応する基準値に対してそれぞれ一定以上の偏差がある場合に異常と判定してもよい。
以上のように、本方法によれば、ECU20においてソフトウェア的にリアクトル電流のピーク及び/又はボトム値を検出し、検出値に対応する基準値に対して一定以上の偏差がある場合にリアクトル異常と判定して、異常の場合にスイッチング素子S1をOFF制御することができる。したがって、ハードウェア的な改変を加えずに、スイッチング素子S1に定格電流を超える過電流が流れ続けて素子不良が生じることを防止できる。
(異常判定時のスイッチング周期制御)
リアクトル容量が低下すると、例えば図9に模式的に示すように、リアクトル電流の振幅が大きくなるため、スイッチング素子S1の定格電流(一点鎖線400参照)を超えてしまうおそれがある。ここで、リアクトル電流の振幅は、前記式(1)から分かるように、キャリア周波数fを大きくすると、小さくなる関係にある。例えば図10に模式的に示すように、キャリア周波数fを2倍にすると、平均電流は変わらないが、リアクトル電流の振幅は1/2にすることができる。
そこで、既述のようにリアクトル容量低下に起因するリアクトル電流の異常(振幅増大)が検出された場合、ECU20は、スイッチング素子S1をOFF制御する代わりに、スイッチング素子S1のキャリア周波数を増加制御(スイッチング周期を減少制御)してもよい。これにより、リアクトル電流の振幅が低減され、スイッチング素子S1に定格電流を超える過電流が流れることを回避することが可能となる。
なお、リアクトル容量増加に起因するリアクトル電流の異常(振幅減少)が検出された場合、ECU20は、スイッチング素子S1のキャリア周波数を維持又は減少制御することができる。また、ECU20は、キャリア周波数の増加又は減少制御と併せて、リアクトル異常の旨をユーザに提示する処理を実施してもよい。
〔4〕降圧コンバータの場合
上述したリアクトル異常の検出方法は、降圧コンバータに適用することも可能である。降圧コンバータの電気回路の一例を図11に示す。図11に示す降圧コンバータ40は、例示的に、直流電源Eと、リアクトルLと、ダイオードD3と、コンデンサC3及びC4と、ダイオードD4及びスイッチング素子S2を有するスイッチ回路SWと、を備える。スイッチング素子S1には、非限定的な一例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を適用可能である。
降圧コンバータ40は、図2に例示した昇圧コンバータ12に比して、リアクトルL、スイッチング素子(S1とS2)及びダイオード(D1とD3)の配置位置が異なる。
直流電源Eの正極には、スイッチング素子S2及びリアクトルLが直列に接続されている。直流電源Eの正極とスイッチング素子S2のコレクタとの間には、コンデンサC3の一端が接続され、当該コンデンサC3の他端は、直流電源Eの負極に接続されており、直流電源Eの出力電圧VHが両端に印加される。コンデンサC3は、直流電源Eの出力電流を平滑化してリプルを低減する入力平滑コンデンサとして機能する。
スイッチング素子S2のエミッタとリアクトルLとの間には、ダイオードD3のカソードが接続され、当該ダイオードD3のアノードは、直流電源Eの負極に接続されている。また、スイッチング素子S1のコレクタ及びエミッタ間には、ダイオードD2が並列に接続されている。
リアクトルLの出力側には、コンデンサC4の一端が接続され、当該コンデンサC4の他端は、直流電源Eの負極に接続されている。コンデンサC4は、リアクトルLの出力電流を平滑化してリプルを低減する出力平滑コンデンサとして機能する。当該コンデンサC4の両端電圧(VH)が、降圧後の電圧である。
スイッチング素子S2は、そのゲート電圧が周期的にON/OFF制御される。降圧コンバータ40が車両1に搭載される場合には、ECU20から当該ON/OFF制御が可能である。スイッチング素子S2がONである期間、直流電源Eの出力電流は、スイッチング素子S2及びリアクトルLを流れて、リアクトルLに電気エネルギーが蓄積される。スイッチング素子S2がOFFされると、ダイオードD3及びリアクトルLを経由して電流が流れて、リアクトルLに蓄積された電気エネルギーが出力側に解放される。デューティ(スイッチング素子S2のOFF期間)を調整することで、必要な降圧電圧VLを得ることができる。
このような降圧コンバータ40において、例えば図11中に示すように電流センサ121を設けることで、既述の昇圧コンバータ12の場合と同様にして、リアクトル異常を検出することが可能である。
ここで、降圧コンバータ40でのリアクトル電流の振幅(基準値)は、以下の式(4)で求めることができる。
Figure 2010279150
ただし、VHは入力電圧(降圧前電圧)、VLは出力電圧(降圧後電圧)、Dはデューティ、fはキャリア周波数、L0はリアクトルLのインダクタンス値をそれぞれ表わす。電圧VH及びVLは、既知として固定値でもよいし、電圧センサによる実測値でもよい。デューティD及びキャリア周波数fは、それぞれECU20の指令値として既知の値とすることができ、インダクタンス値L0は既知の設計値である。
ECU20は、式(4)により求められる振幅を、正常時のリアクトル電流(基準値)としてリアクトル異常判定に用いることができる。すなわち、L0が低下すると、実際のリアクトル電流の振幅が、式(4)で表わされる振幅よりも大きな値となるため、両者に一定以上の偏差がある場合に、リアクトル異常と判定することができる。逆に、L0の値が増加した場合は、実際のリアクトル電流の振幅が、式(4)で表わされる振幅よりも小さな値となるため、両者に一定以上の偏差がある場合に、リアクトル異常と判定することができる。
また、降圧コンバータ40においてリアクトル電流の変化レート(傾き)を基に異常検出する場合、リアクトル電流の傾きの基準は、以下の式(5)及び式(6)により与えることができる。
Figure 2010279150
なお、式(5)はスイッチング素子S2がONの期間の変化レートの基準値、式(6)はスイッチング素子S2がOFFの期間の変化レートの基準値をそれぞれ表す。
〔5〕その他
上述した実施形態は、車載のDC−DCコンバータに限らず、パーソナルコンピュータや、オーディオビジュアル(AV)機器、携帯端末等の電気機器に搭載されているDC−DCコンバータに適用することも可能である。
10 電源システム(燃料電池システム)
12 昇圧コンバータ
13 バッテリ
14 バッテリ昇圧コンバータ
15 インバータ
16 モータ
20 電子制御ユニット(ECU)
21 アクセルペダルセンサ
22 ピークホールド回路
23 ボトムホールド回路
30A〜30E 検出回路
40 降圧コンバータ
121 電流センサ(電流検出部)
201 リアクトル電流平均値検出部
202,212,222 差分検出部
203,213,223,233,243 比較・判定部
211,231,241 サンプリング処理部
232 リアクトル電流変化レート検出部
242 ボトムホールド処理部
C1〜C4 コンデンサ
D1〜D4 ダイオード
E 直流電源
L リアクトル
S1,S2 スイッチング素子
SW スイッチ回路

Claims (17)

  1. リアクトルとスイッチング素子とを備え、前記スイッチング素子の周期的なスイッチング制御によって前記リアクトルに流れる電流量を制御して入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換器に用いられる装置であって、
    前記リアクトルの電流量を検出する電流検出部と、
    前記スイッチング素子のON又はOFF期間の中心タイミングとは異なるタイミングを含む複数のタイミングでそれぞれ前記電流検出部にて得られる複数の検出値と、前記リアクトルの容量が所定値である場合の前記検出値に関する基準値とに基づいて、前記リアクトルの容量変化を検出する検出制御部と、
    を備えた、リアクトルの容量変化を検出する装置。
  2. 前記複数のタイミングは、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングに依存するタイミングである、請求項1記載の装置。
  3. 前記スイッチングタイミングに依存するタイミングは、
    前記中心タイミング、及び、前記スイッチング素子のOFF又はON時のタイミング
    である、請求項2記載の装置。
  4. 前記検出制御部は、
    前記第1及び第2のタイミングにおける各検出値の差分を求める差分検出部と、
    前記差分検出部で得られた差分と、当該差分に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、
    を備えた、請求項3記載の装置。
  5. 前記スイッチングタイミングに依存するタイミングは、
    前記スイッチング素子のON及びOFF時の各タイミングである、請求項2記載の装置。
  6. 前記検出制御部は、
    前記各タイミングにおける検出値の差分を求める差分検出部と、
    前記差分検出部で得られた差分と、当該差分に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、
    を備えた、請求項5記載の装置。
  7. 前記複数のタイミングは、前記スイッチング素子のスイッチングタイミングに依存しないタイミングである、請求項1記載の装置。
  8. 前記スイッチングタイミングに依存しないタイミングは、
    前記検出値が最大値及び最小値をとる各タイミングである、請求項7記載の装置。
  9. 前記検出制御部は、
    前記各タイミングにおける検出値である最大値と最小値との差分を求める差分検出部と、
    前記差分検出部で得られた差分と、当該差分に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、
    を備えた、請求項8記載の装置。
  10. 前記スイッチングタイミングに依存しないタイミングは、
    前記スイッチング素子のON期間又はOFF期間内の任意の複数タイミングである、請求項7記載の装置。
  11. 前記検出制御部は、
    前記各タイミングにおける検出値から前記リアクトルの電流量の変化レートを求めるリアクトル電流変化レート検出部と、
    前記リアクトル電流変化レート検出部で得られた変化レートと、当該変化レートに関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、
    を備えた、請求項1記載の装置。
  12. 前記スイッチングタイミングに依存しないタイミングは、
    前記スイッチング素子のON期間及びOFF期間のいずれよりも短い時間間隔の任意の複数タイミングである、請求項7記載の装置。
  13. 前記検出制御部は、
    前記各タイミングにおける検出値の最大値及び最小値のいずれか一方又は双方を検出する最大値/最小値検出部と、
    前記最大値/最小値検出部による検出結果と、前記最大値/最小値検出部での検出対象に関する基準値との間に一定以上の偏差がある場合に、前記容量変化があると判定する判定部と、
    を備えた、請求項1記載の装置。
  14. 前記検出制御部は、
    前記容量変化があると判定すると、前記スイッチング素子をOFF制御する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
  15. 前記検出制御部は、
    前記容量変化があると判定すると、前記スイッチング制御の周期を減少制御する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
  16. 前記電圧変換器は、昇圧型の直流電圧変換器である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
  17. 前記昇圧型の直流電圧変換器は、車両に搭載されており、かつ、当該車両に搭載された燃料電池の出力電圧を前記入力電圧とし、当該入力電圧を前記車両の駆動に用いられる前記出力電圧に昇圧する、請求項16記載の装置。
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