JP2010279035A - 磁気トンネル接合を使用する不揮発性論理装置 - Google Patents

磁気トンネル接合を使用する不揮発性論理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁気トンネル接合を使用する不揮発性論理装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、レジスタセルであって、不平衡フリップフロップ回路を形成するような、第2のインバータに結合された第1のインバータを含む差動増幅部分と、第1および第2のインバータのそれぞれの一端部に接続された第1および第2のビット線と、第1および第2のインバータのそれぞれの他端部に接続された第1および第2のソース線とを備え、前記第1および第2のインバータのそれぞれの前記他端部に電気的に接続される第1および第2の磁気トンネル接合をさらに備えることを特徴とする、レジスタセルに関する。本明細書に開示するシフトレジスタは、従来のシフトレジスタよりも小さく製造することができ、シフトレジスタの読み書き動作中の消費電力を低くすることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、一般には、フリップフロップ、シフトレジスタ、およびこれらと同様のもの等のプログラムレジスタおよびプログラミング論理回路に関する。本発明は、より詳細には、プログラムレジスタにデータを記憶するか、またはプログラムレジスタに対して論理演算を実行する技術に関する。
消費電力の低減および高速データ演算の増大は、次世代論理回路の主要目標である。ナノメートル規模のCMOS技術での漏れ電流による静的電力放散の劇的な増大が予想されている。さらに、高度なVLSIでの全体の相互接続の長さの増大により、電力および遅延の両方がさらに増大することになる。メモリ素子が論理回路平面上に分散するロジックインメモリアーキテクチャが、不揮発性メモリと組み合わせられて、超低電力および相互接続遅延の短縮の両方が実現されると予期される。しかし、ロジックインメモリアーキテクチャを十分に利用するために、利用されているCMOS技術よりも短いアクセス時間、限りない耐久性、スケーラブル(拡張可能)な書き込み、および小寸法という性能を有する不揮発性メモリを実装することが重要である。
その結果、低電力の装置および設計技術における革新的な開発が急増している。大半の場合、低消費電力要件は、チップ密度が高く、処理能力の高い回路という厳しい目標を等しく満たさなければならない。したがって、低電力のデジタル設計およびデジタルICは、研究開発が非常に活発な分野である。これらの分野は、性能およびダイサイズと同様に、主要な設計パラメータとしての電力の台頭に貢献した。実際に、消費電力は、CMOS技術の絶え間ない拡大に対する制限要因とみなされている。この問題に対処するために、高密度を不揮発性および低消費電力を費用効率的に組み合わせたメモリ技術が、望ましいデータ用途を提供し、広範囲のデータ用途の土台を提供することができる。
埋め込みSRAMは、論理チップ内への埋め込みに最も頻繁に使用されるメモリのうちの1つであり、典型的な用途としては、オンチップバッファ、キャッシュ、レジスタファイル等が挙げられる。アクセス時間が短いことにより、論理IC業界で普及している。それにも関わらず、その揮発性および構成データを記憶する外部不揮発性メモリの必要性により、最近の埋め込み用途には適さない。実際に、埋め込みFPGA素子では、消費電力を低減するために、フラッシュ技術のような不揮発性内部メモリを使用することにより、チップが使用されていないときにチップをスタンバイモードにして電力を低減できるようにする。実際に、これらのFPGAは、構成層内にフラッシュメモリを使用し、それにより、電力アップ時に実行可能な状態にする。しかし、チップの全体にわたってメモリを分散させると、いくつかの技術的な制約が生じると共に、追加のマスク(フラッシュ技術の場合、10〜15)および専用プロセスステップが必要になり、それにより、チップコストが増大する。さらに、フラッシュメモリに固有の長いアクセス時間により、これらFPGAの再プログラミング速度は高速ではない。
消費電力を低減するいくつかの従来の方法がある。これらの方法としては、算術処理を実行中ではない場合に回路クロックを停止させる「クロックゲーティング」および演算処理を実行していない回路への電力を遮断する「パワーゲーティング」が挙げられる。しかし、クロックゲーティングを使用する場合、回路内の漏れ電流を止めることはできず、省電効果が低減し、パワーゲーティングを使用する場合、電力を遮断することにより漏れ電流の大半を止めることができるが、電力をレジスタに供給する必要があるため、漏れ電流を完全になくすことはできない。逆に、不揮発性論理技術を使用する場合、レジスタを含め、回路への電力をただ遮断するだけで、消費電力をゼロに低減することが可能である。
代替案は、不揮発性(nv)構成要素を集積するようにSRAMセルを調整することである。いくつかのnv−SRAM技術が、不揮発性構成要素(フラッシュ型)をSRAMセルに集積することを提案している。しかし、より発達し、かつより確実なアーキテクチャは、セル毎に12個を超えるトランジスタを使用し、密度およびコストに対して大きな影響を及ぼす。さらに、フラッシュの書き込み/消去電圧は高く、SRAMセルの供給電圧とあまり上手く合わず、素子の追加という負荷が課される。最後に、これら技術の耐久性は低く(<1E10)、キャッシュメモリ(論理IC素子内の埋め込みメモリ)等の用途にあまり適さず、非常に低頻度でしか完全なバックアップを保証することができない。
MRAM等の不揮発性メモリの使用は、大きな速度ペナルティなしでの従来のSRAMベースの論理ICの欠点の解消に役立つ。スタンバイモード中の節電におけるその利点の他に、SRAMベースの論理ICで使用されるように構成データを外部不揮発性メモリからロードする必要がないため、構成時間の短縮という恩恵も有する。さらに、回路動作中、MRAM素子に書き込むことができ、これにより、動的な(またはシャドウ化された)構成が可能になると共に、MRAMに基づく論理IC回路の柔軟性がさらに増大する。他方、MRAMメモリは、高いタイミング性能、高密度集積、信頼性の高いデータ記憶、良好な耐久性、および磁気後処理のための追加マスクの数が少ないことを含む興味深い特徴を示した(MRAM素子の集積は、「アバブCMOS(above−CMOS)技術」(CMOSフロントエンドプロセス後、磁気バックエンドプロセスを行うことができる)により行われる)。
不揮発性レジスタは、電力がない場合でも記憶情報を保持するデータ記憶回路である。デジタル処理(論理)回路では、計算中のデータ、算術処理、または演算状態を一時的に保持するために使用される記憶領域が、レジスタと呼ばれる。一般に、レジスタは論理回路内に分散する。論理IC(すなわち、CPU)およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)は、他のICおよび周辺機器の様々なプロセスの状態、バックグラウンド情報、および演算状態を一時的に保持するこの種のレジスタを含む。従来の論理ICは揮発性である。これは、ICへの電力を遮断すると、レジスタ内の情報が失われることを意味する。したがって、常に電力をICに供給しなければならない。
これより図1を参照して、nビットシリアルインパラレルアウト(SIPO)レジスタ10の簡略ブロック図を示す。レジスタは複数のレジスタセル1を含み、各レジスタセル1は、入力D、クロック入力CK、データ出力Q、および反転データQnを有する。
これらは、最も単純な種類のシフトレジスタである。データ列は「データ入力」に提示され、「データ進行」(クロック信号)がハイになる都度、1段ずつ右にシフトされる。進行の都度、左端(すなわち、「データ入力」)にあるビットは、第1のフリップフロップの出力にシフトされる。右端(すなわち、「データ出力」)にあるビットは、読み出し動作のためにシフトして出され、失うことができる。データ列がレジスタにクロック制御されて入力されると、レジスタ内に記憶されている任意のバイトまたはワードは、データ出力Qiにおいて並列に同時に読み出される。当業者に理解されるように、これら種類のレジスタは、直列分散メモリ(serial distributed memory)またはビットストリームとして最も一般に使用される。
米国特許第6603677号明細書 米国特許第5695864号明細書 米国特許第6950335号明細書
Science、285巻、867頁、1999年
本願は、従来技術の少なくともいくつかの制限を解消するレジスタセルを開示する。
実施形態によれば、レジスタセルは、不平衡フリップフロップ回路を形成するために、第2のインバータに結合された第1のインバータを含む差動増幅部分と、第1および第2のインバータのそれぞれの一端部に接続された第1および第2のビット線と、第1および第2のインバータのそれぞれの他端部に接続された第1および第2のソース線とを備えることができ、第1および第2のインバータのそれぞれの他端部に電気的に接続される第1および第2の磁気トンネル接合をさらに備えることを特徴とすることができる。
一実施形態では、前記第1のインバータは、第1のNMOSトランジスタに直列接続された第1のPMOSトランジスタを備え、第2のインバータは、第2のNMOSトランジスタに直列接続された第2のPMOSトランジスタを備える。
別の実施形態では、第1のトランジスタのゲートのそれぞれは、第2のトランジスタのドレインおよび第2のトランジスタのソースに結合される。
さらに別の実施形態では、第1および第2のビット線はそれぞれ、第1および第2のトランジスタに接続される。
さらに別の実施形態では、第1および第2の磁気トンネル接合の一端部はそれぞれ、第1のNMOSトランジスタおよび第2のNMOSトランジスタのドレインに接続される。
さらに別の実施形態では、第1のソース線および第2のソース線はそれぞれ、第1および第2の磁気トンネル接合の他端部に接続する。
さらに別の実施形態では、第1および第2の磁気トンネル接合はそれぞれ、第1のPMOSトランジスタのドレインとNMOSトランジスタのドレインとの間および第2のPMOSトランジスタのドレインとNMOSトランジスタのドレインとの間に接続される。
さらに別の実施形態では、第1および第2の磁気トンネル接合は、逆の抵抗値を有するように構成される。
さらに別の実施形態では、第1および第2の磁気トンネル接合が、固定磁化を有する基準層および第1の安定方向から第2の安定方向に切り替え可能な磁化方向を有する記憶層から形成される。
本発明は、従来技術の少なくともいくつかの制限を解消したシフトレジスタにも関し、このシフトレジスタは、複数のレジスタセルを備えることができ、各レジスタセルは、隣接するレジスタセルの2つのインバータを一緒に連結し、データを1つのレジスタセルの1つのノードから、隣接するレジスタセルの1つのノードにシフトするために使用されるシフトトランジスタを介して隣接するレジスタセルに直列接続される。
一実施形態では、シフトレジスタは、シフト動作中、あるレジスタセルの第2のインバータに記憶されているデータを連続する隣接レジスタセルの第1のインバータの第1のインバータにシフトされるようなクロック信号を生成するように構成されるクロック線をさらに備える。
別の実施形態では、シフトレジスタは、フィールド電流を通すように構成されると共に、フィールド電流により生成される外部磁場が、レジスタセルのすべての磁気トンネル接合に同時に対処することができるように構成されるフィールド線をさらに備える。
本発明は、シフトレジスタに書き込む方法にも関し、この方法は、
同じ磁気状態を有する磁気トンネル接合を選択するステップと、
選択された磁気トンネル接合を加熱するステップと、
選択された磁気トンネル接合が所定の高閾値温度に達した場合、選択された磁気トンネル接合の磁気状態を変更するステップと
を含む。
一実施形態では、前記加熱するステップは、隣接するレジスタセル内に記憶されているデータを使用して、加熱電流31を選択された磁気トンネル接合に通すステップを含む。
別の実施形態では、前記磁気状態を変更するステップは、フィールド電流をフィールド線に通すステップを含む。
さらに別の実施形態では、前記磁気状態を変更するステップは、CIMS電流を選択された磁気トンネル接合に通すステップを含む。
本明細書において開示するシフトレジスタは、従来のシフトレジスタよりも小さく製造することができ、シフトレジスタの読み書き動作中の消費電力を低くすることができる。
好ましい実施形態は、例として与えられ、図示される実施形態の説明の助けにより、よりよく理解される。
nビットシリアルインパラレルアウト(SIPO)レジスタの従来の簡略ブロック図を示す。 一実施形態による不平衡フリップフロップに基づくレジスタセルを示す。 一実施形態による不揮発性磁気シフトレジスタを示す。 一実施形態によるレジスタセルの書き込みを表す。 別の実施形態による磁気シフトレジスタセルを示す。 別の実施形態によるシフトレジスタのCIMSベースの書き込み動作を示す。
図2は、一実施形態による不揮発性不平衡レジスタセル1を示す。レジスタセル1は、不平衡フリップフロップ回路を形成する交差結合された第1および第2のインバータ3、3’を備える。第1および第2のインバータ3、3’はそれぞれ、NMOSトランジスタN1に直列接続された第1のPMOSトランジスタP1および第2のNMOSトランジスタN2に直列接続された第2のPMOSトランジスタP2を備える。第1のトランジスタP1およびN1のゲートはそれぞれ、第2のトランジスタP2のドレインおよび第2のトランジスタN2のソースに結合される。第1および第2のトランジスタP1およびP2のソースはそれぞれ、第1のビット線BL0および第2のビット線BL1に接続される。
図2の抵抗6および6’でそれぞれ表される第1および第2の磁気トンネル接合が、それぞれの一端部において、第1のNMOSトランジスタN1のドレインを介して第1のインバータ3に接続され(図2のノード4として表される)、第2のNMOSトランジスタN2のドレインを介して第2のインバータ3’に接続される(図2のノード4’として表される)。これら2つの磁気トンネル接合6、6’はそれぞれ、逆の抵抗値、例えば、最大抵抗値および最小抵抗値を有し、1論理ビットを符号化するように構成することができる。ここで、CMOS前置増幅器を形成するこれら2つのインバータ3、3’は、1ビットアナログ/デジタル変換器(ADC)として機能し、差分抵抗、すなわち第1および第2の磁気トンネル接合6、6’の差分をいわゆるレール間電圧(二値情報)に変換する。第1のソース線SL0および第2のソース線SL1がそれぞれ、第1および第2の磁気トンネル接合6、6’のそれぞれの他端部を介して、第1および第2のインバータ3、3’の他方の側を第1および第2のNMOSトランジスタN1、N2のドレインに接続する。
示されていない実施形態の一変形では、磁気トンネル接合6、6’は、固定磁化を有する基準層、セルに書き込まれると第1の安定方向から第2の安定方向に切り替わることができる磁化方向を有する記憶層、および記憶装置と感知層との間の絶縁層から形成することができる。磁気トンネル接合6、6’の磁気状態は、基準層の磁化および記憶層の磁化の相対的な向きにより定義される。
レジスタセル1の開始時、電圧が第1および第2のビット線BL0、BL1に印加され(信号はハイになる)、第1および第2の磁気トンネル接合6、6’の抵抗値に応じて、図2のノードQで表される第1のインバータ3の入力がハイ(VDD)になり、その一方で、図2のノードQnで表される第2のインバータ3’の出力はロー(0V)になる。レジスタセル1は、2つのインバータ3、3’と、2つの磁気トンネル接合6、6’を備える磁気不揮発性段部分とを備える差動増幅部分2またはCMOS揮発性段から形成される。この構成では、レジスタセル1は、揮発性記憶機能および不揮発性記憶機能の両方が可能である。
図3を参照して、一実施形態による不揮発性磁気シフトレジスタ10のブロック/概略図を示す。シフトレジスタ10は、図2の実施形態による複数のレジスタセル1を含む。図3では、一連のレジスタセル1が記号「n−i」で示され、シフトレジスタ10の最初および最後のレジスタセル1はそれぞれ記号「0」および「n−1」で示される。磁気シフトレジスタ10の各レジスタセル1は、シフトトランジスタ11を介して隣接するレジスタセル1に直列接続される。シフトトランジスタ11は、隣接するレジスタセル1の2つのインバータ3、3’を一緒に連結し、データをレジスタセル1のうちの1つの入力ノードQおよび出力ノードQnのうちの一方から、隣接するレジスタセル1の入力ノードQおよび出力ノードQnのうちの一方にシフトさせるために使用される。
図3の記号CKで示されるクロック線は、交互に繰り返される0および1、すなわち連続した交流方形波を含むクロック信号を生成するように構成される。シフト動作中(図3の左から右に進んで示される)、セルレジスタ1のうちの1つ(例えば、「n−3」)の第2のビット線BL1の側はVDDであり、隣接するセルレジスタ1「n−2」の第1のビット線BL0の側は0Vである。クロック線CKにより生成されるクロック信号は、1に対応する値を有し、第2のインバータ3’に記憶されており、出力ノードQnに出力されるデータは、シフトレジスタ11を通り、隣接するレジスタセル1の入力Qを介して隣接するレジスタセル1の第1のインバータ3にシフトされる。
シフトレジスタ10内において、情報ビットは、最初のレジスタセル1の、図3のノード12で示されるデータ入力に直列に与えられる。次に、このデータは、クロック線CKにより生成され、各シフトレジスタ11のゲートを介してすべてのセルレジスタ1の入力Qに同時に与えられるクロック信号により、最初のレジスタセル1である「0」にクロック制御されて入力される。図3では、記号
Figure 2010279035
が「否定CK」、すなわち、クロック線
Figure 2010279035
がクロック線CKにより与えられるクロック信号を反転させたクロック信号を与えることを表す。ビットのうちの1つが最初のセルレジスタ1(「0」)にクロック制御されて入力されると、後続するセルレジスタ1に記憶されているその他のビットも同時に、隣接する次のセルレジスタ1にクロック制御されて入力されるか、またはデータ出力13を介して最後のレジスタ1(「n−1」)からクロック制御されて出力される。
図4a〜図4cは、一実施形態による単一のメモリレジスタセル1の不揮発性シフトレジスタ10の書き込み動作を概略的に示す。より詳細には、この書き込み動作は、記憶層の磁化が切り替えるために、磁気トンネル接合6、6’が所定の高閾値温度まで加熱される、熱支援スイッチング(TAS:thermally assisted switching)に基づく書き込み動作に基づいている。
書き込み動作に先立ち、シフトレジスタ10内の同じ磁気状態を有する磁気トンネル接合6、6’が、レジスタセル1の対応する入力Qおよび/または出力Qnに高電圧VDDを有するような、情報シーケンスデータをシフトさせることにより選択される。ここで、同じ磁気状態は、記憶層の磁化と基準層の磁化とが平行する低抵抗値または記憶層の磁化と基準層の磁化とが平行しない高抵抗値を意味する。
選択された第1の磁気トンネル接合6を有するレジスタセル1のうちの1つでの書き込み動作の例示的な第一の書き込みステップを図4aに示す。この第1の書き込みステップ中、第1の磁気トンネル接合6は、レジスタセル1内に記憶されたデータを使用することにより、加熱電流31を通すことにより加熱される。より詳細には、電圧VDDが入力Qに印加されると、第1のソース線SL0の信号は、第1のトランジスタN1および磁気トンネル接合6を両端として、磁気トンネル接合6を通る加熱電流31が、所定の高閾値温度まで磁気トンネル接合6を加熱するのに十分に高くなるように十分な電圧を有するような、ロー(V)になる。ここで、加熱電流パルス31は、第1のソース線SL0を介して制御される。例えば、高閾値温度は、記憶層を固定する反強磁性層(図示せず)の約150℃というブロッキング温度に対応することができる。第1の磁気トンネル接合6が所定の高閾値温度に達すると、記憶装置の磁化方向を変更するかまたは切り替えるような外部磁場が磁気トンネル接合6に印加される。
示されていない実施形態の一変形では、外部磁場は、生成される外部磁場が選択されたすべての磁気トンネル接合6、6’に同時に対処し、それぞれの記憶層の磁化を外部磁場に従った方向に切り替えるように構成される界磁線(力線)に界磁電流を通すことにより生成される。外部磁場は、磁化方向を切り替えるために、記憶層の保磁力よりも高くなければならない。共有フィールド線は、2ステップ電流パルス(two step current pulse)を使用して、すべての磁気トンネル接合6、6’に書き込むことができるため、低電力の書き込み動作を実行する。2ステップ電流パルスを使用しての書き込み動作の実行とは、低抵抗値および高抵抗値が磁気トンネル接合6、6’に逐次書き込まれることを意味する。
次に、磁気トンネル接合6を、記憶層の磁化を書き込まれた状態で固定する低閾値温度まで冷ますために、加熱電流31がオフにされる。加熱電流31をオフにすることは、第1の選択ソース線SL0を高レベルモード(VH)に設定することにより実行される。磁気トンネル接合6を冷ましている間、フィールド電流を維持し、磁気トンネル接合6が低閾値温度に達した場合、オフに切り替えることができる。第1の書き込みステップの完了後、第1の磁気トンネル接合6の抵抗は、記憶層の磁化と基準層の磁化との相対的な向きに応じて、第1の書き込みステップの前後で低値から高値に、または高値から低値に変更されている。
図4bに示す第2のステップでは、シフトレジスタ10が1クロック分、進められる。
図4cに示す第3の書き込みステップでは、シフトレジスタ10が第2のステップにおいてクロックが進められた後、第2の磁気トンネル接合6’が相補的に書き込まれる。ここで、相補的に書き込まれるという表現は、第2の磁気トンネル接合6’が、第1の磁気トンネル接合6の抵抗値とは逆の抵抗値を有するように書き込まれることを意味する。第3の書き込みステップ中、書き込み動作は第1のステップにおいて説明した書き込み動作と同じである。しかし、フィールド電流は、第1のステップにおける書き込み動作中のフィールド電流とは逆の極性でフィールド線を流れる。
図4a〜図4cに概説した書き込み動作は、第2および第1の磁気トンネル接合6’、6がそれぞれ第1および第3の書き込みステップにおいて書き込まれる状態でも等しく説明することができる。この場合、電圧VDDが出力Qnに印加され、第2のソース線SL1の信号が、第2のトランジスタN2を両端として、第2の磁気トンネル接合6’を通る加熱電流31を通すのに十分な電圧を有するようにVに設定される。
読み出し動作(図示せず)中、ビット線BL0、BL1は高電圧VDDに設定され、レジスタセル1は、2つの磁気トンネル接合6、6’内に磁気的に記憶されたデータを局所的に事前増幅する。次に、読み出し動作のノードQnにデータが出力されるまでシフトさせることにより、レジスタセル1の入力Qまたは出力Qnにおいてデータを読み出すことができる。読み出し動作は、シフトレジスタ10の終わりにある読み出し回路に応じて、データをビット毎またはビットブロック毎に読み出すことができる。
図5は、別の実施形態における不揮発性レジスタセル1を表す。この構成では、第1および第2の磁気トンネル接合6、6’はそれぞれ、第1のPMOSおよびNMOSトランジスタP1、N1のドレインと第2のPMOSおよびNMOSトランジスタP2、N2のドレインとの間に配置される。ここで、上述したように、レジスタセル1を他の同一のレジスタセル1に直接接続して、不揮発性シフトレジスタ10を形成することができる。開始および書き込み動作は、上述したように実行することができる。
レジスタセル1の書き込み動作は、フィールド電流ではなく、スピン偏極(STT)電流を使用することにより、または誘導磁化反転(CIMS)電流を使用することにより、実行することもできる。STT電流またはCIMS電流をTASと組み合わせることもできる。
示されていない別の実施形態によれば、レジスタセル1の書き込み動作は、誘導磁化反転(CIMS)電流をTASと組み合わせて使用することにより実行される。ここで、書き込み動作は、図4a〜図4cの実施形態において上述した書き込み動作と同様であるが、外部磁場は使用されない。外部磁場に代えて、CIMS電流パルスが磁気トンネル接合6、6’に通されて、CIMS電流の偏極に従って磁気状態を変更する。ここで、CIMS電流は磁気トンネル接合6、6’に通され、磁気トンネル接合6、6’は所定の高閾値温度まで加熱される。CIMS電流は、特許文献1に記載のように、1つまたはいくつかの特定の磁気層、例えば、磁気トンネル接合6、6’において垂直磁化を有する磁気層を追加することにより、適宜スピン偏極することができる。
CIMS電流を使用する磁気トンネル接合の書き込み動作の実現可能性は、金属製小サイズ(<100nm)構造で実験的に実証されている(非特許文献1参照)。特許文献2では、CIMS電流により、調節可能な磁気方向を有する磁気層の磁化の歳差運動またはさらには反転までも誘導された。歳差運動は、偏極キャリア間のスピン角運動と層の磁気モーメントとの転送プロセスにより得られた。CIMSベースの書き込み動作をTASと組み合わせることが、MRAMベースのメモリに関して特許文献3に記載されている。
STT電流またはCIMS電流を使用しての書き込み動作の実行は、STT電流またはCIMS電流が磁気トンネル接合6、6’の面積と共に増減可能であるため、高度なスケーリング性を有する。さらに、STT電流またはCIMS電流を使用しての書き込み動作は潜在的に非常に高速であり、レジスタセル1は、外部磁場を生成するための追加のフィールド線を必要としないため、レジスタセル1のサイズおよび対応するドライバオーバーヘッドの両方が低減する。さらに、TASと組み合わせられたCIMSベースの書き込み動作は、特に特徴サイズが小さい場合、書き込み消費電力を低減することができる。読出しは、磁場誘導シフトレジスタアーキテクチャでの読出しと同様のままである。
図6は、図5の実施形態による複数のレジスタセル1を備えるシフトレジスタ10を示す。より詳細には、記号「I−1」、「I」、および「I+1」で連続して示される3つの隣接するレジスタセル1が図6に示される。隣接するレジスタセル1は、双方向電流ISWがすべての磁気トンネル接合6、6’を通って流れるように配置される。
図6の例では、書き込み動作の初期ステップ中、ノードVS1をハイ値にし、ノードVS0を接地にすることにより、双方向電流ISWをノードVS1からノードVS0に流す。これにより、例えば、記憶層の磁化を基準層の磁化に対して平行方向または反平行方向に切り替えることにより、「I−1」により示されるレジスタセル1の第2の磁気トンネル接合6’の磁気状態を変更することができる。この構成では、レジスタセル1「I」は値「0」を入力Qに記憶し、値VDDを出力Qnに記憶し、レジスタセル1「I−1」は値VDDを入力Qに記憶し、値「0」を出力Qnに記憶する。双方向電流ISWを逆方向に流すことにより、逆の値が、レジスタセル1「I」および「I−1」それぞれの入力Qおよび出力Qnに記憶される。ここで、双方向電流ISWを逆方向に流すことは、VS0およびVS1の偏極を逆にし、情報を1クロックサイクルだけシフトさせることにより実行される。第2の磁気トンネル接合6’は、双方向電流ISWを第2の磁気トンネル接合6’に通し、ビット線VB0およびVB1の偏極を変更することにより、同じように書き込むことができる。
本明細書において開示するシフトレジスタ10は、レジスタセル1毎に5つのみのトランジスタN1、N2、P1、P2、11を備える。4つのトランジスタN1、N2、P1、P2は、レジスタセル1に使用され、2つの磁気トンネル接合6、6’のアナログ抵抗変動を、レジスタセル1の出力Qnにおけるレール間データに変換する。第5のトランジスタ、すなわちシフトトランジスタ11は、レジスタセル1のうちの1つから、隣接するレジスタセル1にデータをシフトさせるために使用される。トランジスタN1、N2、P1、P2、11は小さくてよく、実際に、所与の技術で最小サイズを使用することができ、読み書き動作中の消費電力を低くすることができる。さらに、シフトレジスタ10の表面面積も小さくすることができる。
実施形態によるシフトレジスタ10は、混成レジスタセルとして使用することもできる。より詳細には、磁気トンネル接合6、6’は回路上に直接集積されるため、「アバブIC(Above IC)」として一般に既知の集積の種類、オプションとして、追加の磁気マスクを使用してシフトレジスタ10上に実装することができる。したがって、同じプロセスフロー内で不揮発性磁気要素、すなわち2つの磁気トンネル接合6、6’を標準のシフトレジスタに追加して、上記の実施形態によるシフトレジスタ10を得ることができる。
1 レジスタセル
2 差動増幅部分
3 第1のインバータ
3’ 第2のインバータ
4 第1のノード
4’ 第2のノード
6 第1の磁気トンネル接合
6’ 第2の磁気トンネル接合
10 シフトレジスタ
11 シフトトランジスタ
12 データ入力
13 データ出力
31 加熱電流
L0 第1のビット線
L1 第2のビット線
CK クロック線
SW 双方向電流
N1 第1のNMOSトランジスタ
N2 第2のNMOSトランジスタ
N3 第3のNMOSトランジスタ
P1 第1のPMOSトランジスタ
P2 第2のPMOSトランジスタ
Q 入力ノード
Qn 出力ノード
L0 第1のソース線
L1 第2のソース線
DD 高電圧
VH 高レベルモード

Claims (10)

  1. レジスタセルであって、
    不平衡フリップフロップ回路を形成する、第2のインバータに結合された第1のインバータを含む差動増幅部分と、
    前記第1および第2のインバータのそれぞれの一端部に接続された第1および第2のビット線と、
    前記第1および第2のインバータのそれぞれの他端部に接続された第1および第2のソース線と
    を備え、
    前記第1および第2のインバータのそれぞれの前記他端部に電気的に接続される第1および第2の磁気トンネル接合をさらに備える、レジスタセル。
  2. 前記第1のインバータは、NMOSトランジスタに直列接続された第1のPMOSトランジスタを備え、前記第2のインバータは、第2のNMOSトランジスタに直列接続された第2のPMOSトランジスタを備える、請求項1に記載のレジスタセル。
  3. 前記第1および第2の磁気トンネル接合の一端部はそれぞれ、前記第1のNMOSトランジスタおよび前記第2のNMOSトランジスタのドレインに接続される、請求項2に記載のレジスタセル。
  4. 前記第1および第2の磁気トンネル接合はそれぞれ、前記第1のPMOSトランジスタのドレインと前記第1のNMOSトランジスタのドレインとの間および前記第2のPMOSトランジスタのドレインと前記第2のNMOSトランジスタのドレインとの間に接続される、請求項2に記載のレジスタセル。
  5. 複数のレジスタセルを備えるシフトレジスタであって、前記レジスタセルは、不平衡フリップフロップ回路を形成する、第2のインバータに結合された第1のインバータを含む差動増幅部分と、前記第1および第2のインバータのそれぞれの一端部に接続された第1および第2のビット線と、前記第1および第2のインバータのそれぞれの他端部に接続された第1および第2のソース線とを備え、前記レジスタセルは、前記第1および第2のインバータのそれぞれの前記他端部に電気的に接続される第1および第2の磁気トンネル接合をさらに備え、
    各レジスタセルは、隣接するレジスタセルの2つの前記インバータを一緒に連結し、データを1つのレジスタセルの1つのノードから、前記隣接するレジスタセルの1つのノードにシフトさせるために使用されるシフトトランジスタを介して隣接するレジスタセルに直列接続される、シフトレジスタ。
  6. シフト動作中、前記レジスタセルのうちの1つの前記第2のインバータに記憶されているデータを、連続した前記隣接するレジスタセルの前記第1のインバータの前記第1のインバータにシフトさせる、クロック信号を生成するように構成されたクロック線をさらに備える、請求項5に記載のシフトレジスタ。
  7. 界磁電流を通すように構成されると共に、前記界磁電流により生成される外部磁場が前記レジスタセルのすべての磁気トンネル接合に同時に対処することができるように構成される力線をさらに備える、請求項5に記載のシフトレジスタ。
  8. 不平衡フリップフロップ回路を形成する、第2のインバータに結合された第1のインバータを含む差動増幅部分と、前記第1および第2のインバータのそれぞれの一端部に接続された第1および第2のビット線と、前記第1および第2のインバータのそれぞれの他端部に接続された第1および第2のソース線とを備える複数のレジスタセルを備えるシフトレジスタに書き込む方法であって、前記レジスタセルは、前記第1および第2のインバータのそれぞれの前記他端部に電気的に接続される第1および第2の磁気トンネル接合をさらに備え、各レジスタセルは、隣接するレジスタセルの2つの前記インバータを一緒に連結し、データを1つのレジスタセルの1つのノードから、前記隣接するレジスタセルの1つのノードにシフトさせるために使用されるシフトトランジスタを介して隣接するレジスタセルに直列接続され、前記方法は、
    同じ磁気状態を有する前記磁気トンネル接合を選択するステップと、
    前記選択された磁気トンネル接合を加熱するステップと、
    前記選択された磁気トンネル接合が所定の高閾値温度に達した場合、前記選択された磁気トンネル接合の前記磁気状態を変更させるステップと
    を含む、方法。
  9. 前記加熱するステップは、前記隣接するレジスタセル内に記憶されているデータを使用して、加熱電流(31)を前記選択された磁気トンネル接合に流すステップを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記磁気状態を変更させるステップは、CIMS電流を前記選択された磁気トンネル接合に通すステップを含む、請求項8に記載の方法。
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