JP2010278408A - ベルヌーイチャック - Google Patents

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高橋  清
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和夫 高橋
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Abstract

【課題】縦置きのワークを取り出して搬送することができるベルヌーイチャックを提供する。
【解決手段】本発明に係るベルヌーイチャック1は、ワークWを非接触状態で吸着保持するもので、流路部材11の流路を開閉する開閉弁13と、吸着保持板31の先端側の前記吸着面31dに対して出没可能に設けられて突出状態において前記ワークWの移動を規制する可動ストッパ36と、前記開閉弁13の開閉および可動ストッパ36の出没を切り替えるスイッチ機構5とを備える。スイッチ機構5は、開閉弁13を閉じ、且つ可動ストッパ36を埋没させる第1切替状態と、開閉弁13を開き、且つ可動ストッパ36を埋没させる第2切替状態と、前記開閉弁13を開き、且つ可動ストッパ36を突出させる第3切替状態とを切り替える。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体ウエハその他の薄板状ワークを吸着保持して搬送する際などに用いられるベルヌーイチャックに関する。
薄板状ワークの非接触保持搬送装置の1つとして、ベルヌーイ効果によって、すなわち、吸着保持板の吸着面に設けた噴射口から高圧気体を噴射し、これにより生じる吸着面とワーク表面との間に発生する負圧によって、吸着保持板の吸着面に対して非接触状態でワークを吸着保持する、いわゆるベルヌーイチャックが知られている(特許文献1,2)。また、このようなベルヌーイチャックにおいて、吸着保持板から可動ピンストッパを出没させて薄板状ワークの横移動を防止したベルヌーイチャックが提案されている(特許文献3)。
また、本願の発明者らによってもベルヌーイチャックが提案されている(特許文献4)。このベルヌーイチャックは、噴射孔から固定ストッパが設けられた方向に高圧気体を噴射させる構成を備えたことにより、ワークを固定ストッパ側に押し付けるようにスライドさせながら吸着するため、吸着保持板を傾けて搬送する場合でもワークを安定して保持できる。また、このベルヌーイチャックは、流路形成部材が吸着保持板とは別部材で形成されるため、薄型化を実現することが可能である。
特開2005−142462号公報 特開2005−251984号公報 特開平6−32499号公報 特開2007−214529号公報
しかるに、これらの先行技術では、縦置きされたワーク(例えば、両側壁の内面の縦方向に多数のリブ状の仕切り部材を並設したウエハ用カセットに置かれたウエハ)を取り出すには不便であった。すなわち、特許文献3に記載された先行技術では縦置きされたワークを保持搬送することは考慮されておらず、仮に、縦置きされたワークに使用すると、ワークの吸着前および搬送終了後において、吸着保持板と接触することでワークが損傷するおそれがあった。また、特許文献4に記載された先行技術では、吸着保持中に、ワークが吸着保持板に対して傾いて、ワーク下部が吸着保持板に接触して損傷するおそれがあった。
そこで本発明では、これら従来技術の課題を解決し、縦置きされたワークを傷つけることなく、非接触吸着保持および搬送が可能なベルヌーイチャックを提供することを目的とする。
第1の発明に係るベルヌーイチャック(1,101,201,301)は、ワーク(W)を非接触状態で吸着保持するベルヌーイチャックであって、 高圧気体源から吐出された高圧気体の流路をその内部に有する流路部材(11,311)と、前記流路部材の流路を開閉する開閉弁(13)と、前記流路部材の吐出側に接続され、噴射口(38〜40,412)が形成された吸着面(31d,231d)を有する吸着保持板(31,231)と、前記吸着保持板の辺縁近傍に前記吸着面に対して出没可能に設けられ、突出状態において前記ワークの移動を規制する可動ストッパ(36)と、前記開閉弁の開閉状態および前記可動ストッパの出没状態の切り替えに供されるスイッチ機構(5,105,205,305)とを備え、前記スイッチ機構は、前記開閉弁を閉じ、且つ前記可動ストッパを埋没させる第1切替状態と、前記開閉弁を開き、且つ前記可動ストッパを埋没させる第2切替状態と、前記開閉弁を開き、且つ前記可動ストッパを突出させる第3切替状態とを切り替えることを特徴とする。
第2の発明にかかるベルヌーイチャック(1,101,201,301)は、第1の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、前記スイッチ機構(5,105,205,305)は、往復移動するスイッチ本体(62,162,262,324)と、前記スイッチ本体に従動して往復移動するスライドカム(64)と、一端側に前記可動ストッパ(36)が取り付けられるとともに、前記スライドカムの往復移動に伴って軸周りに回動するストッパシャフト(67)とを備え、前記スイッチ本体は、前記スライドカムを駆動しない第1可動範囲内を移動することで前記第1切替状態と前記第2切替状態とを切り替え、前記スライドカムを駆動する第2可動範囲内を移動することで前記第2切替状態と前記第3切替状態とを切り替えることを特徴とする。
第3の発明にかかるベルヌーイチャック(1,101,201,301)は、第2の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、前記開閉弁(13)は、前記流路部材(11,311)の側面から突出する頭部(13a)が押圧されることによって開放状態となり、前記スイッチ本体(62,162,262,401)は、その移動方向に対して傾斜するとともに前記スライドカム(64)を駆動する対スライドカム面(77,354)と、前記開閉弁の開度を調整すべく前記開閉弁の前記頭部を摺動させる対開閉弁面(76・78,355,403)とを有し、前記スライドカムは、前記対スライドカム面と摺接する従動傾斜面(86)と、当該スライドカムの移動方向と略直交して突出する突起(84)とを備え、前記ストッパシャフト(67)は、その一端側に前記可動ストッパ(36)が軸方向に対して略垂直に固定されるとともに、前記突起の突出方向と略平行に配置されて前記吸着保持板31,231)に回動可能に支持され、前記スイッチ機構(5,105,205,305)は、前記スイッチ本体が前記スライドカムを駆動する方向に対して反対方向に前記スライドカムを付勢する第1弾性部材(65)と、前記スライドカムの往復移動に応じて前記ストッパシャフトを回動させるべく、一端側が前記ストッパシャフトに固定され、他端側が前記突起を摺動可能に挟持する連結片(66)とをさらに備え、前記スイッチ本体の前記第1可動範囲においては、前記開閉弁(13)の頭部(13a)が前記対開閉弁面に押圧されながら摺動し、前記スイッチ本体の前記第2可動範囲においては、前記開閉弁の頭部が前記対開閉弁面に押圧されながら摺動するとともに、前記第対スライドカム面に前記従動傾斜面が摺動することによって前記スライドカムが駆動されることを特徴とする。
第4の発明にかかるベルヌーイチャック(1,101,201,301)は、第2または第3の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、前記スイッチ機構(5,105,205,305)は、作業者が直接操作する被操作部材(63,193,341・343)を備え、当該被操作部材が操作されることによって前記第1〜第3切替状態を切り替えることを特徴とする。
第5の発明に係るベルヌーイチャック(101,201,301)は、第4の発明に係るベルヌーイチャックにおいて、前記被操作部材(193,341・343)は、作業者の操作によって回動し、前記スイッチ機構(105,205,305)は、前記被操作部材の回動を前記スイッチ本体(162,262,401)の往復運動に変換する変換機構(192・194,323・345)をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のベルヌーイチャック。
第6の発明に係るベルヌーイチャック(201,301)は、第2〜第5の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、前記第2切替状態の前記開閉弁(13)の開度は、前記第3切替状態の前記開閉弁の開度よりも小さいことを特徴とする。
第7の発明に係るベルヌーイチャック(301)は、第6の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、前記スイッチ本体がスリット(357)と、当該スリットの幅を調整する調整機構(358・359)とを備え、前記対開閉弁面(355)は、前記スリットによって前記開閉弁(13)の可動方向に弾性を有するとともに、前記調整機構によって撓むことを特徴とする。
第8の発明に係るベルヌーイチャック(201,301)は、第2〜第7の発明に係るベルヌーイチャックにおいて、その基端側が前記スイッチ本体(262,324)に取り付けられ、その先端側が前記吸着面(231d)の上方に位置するとともに、前記スイッチ本体(262,324)の移動方向に弾性を有する第2弾性部材(265・297)をさらに備え、前記第2弾性部材は、第3切替状態においてワーク(W)の辺縁に圧接することを特徴とする。
第9の発明にかかるベルヌーイチャック(201)は、第2〜第7の発明に係るベルヌーイチャックにおいて、前記スイッチ機構は(205)、さらに、前記開閉弁(13)を閉じ且つ前記可動ストッパ(36)を突出させる第4切替状態と、前記第1〜第3切替状態とを切り替え、その基端側が前記スイッチ本体(401)に取り付けられ、その先端側が前記吸着面(231d)の上方に位置するとともに、前記スイッチ本体(401)の移動方向に弾性を有する第2弾性部材(265・297)をさらに備え、前記第2弾性部材は、第4切替状態においてワーク(W)の辺縁に圧接することを特徴とする。
第10の発明にかかるベルヌーイチャック(1,101,201,301)は、第1〜第9の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、前記吸着保持板(31,231)は、前記流路部材(11,311)を通過した高圧気体を前記噴射口(38〜40,412)に送るための吸着保持板内流路(47〜49)を備え、前記吸着保持板内流路は、前記吸着保持板に形成された溝(44〜46)と、当該溝の開放面側に取り付けられた薄板(32〜34)とによって形成され、前記溝の開放面側は、前記薄板を挿入するためのアリミゾ状を呈することを特徴とする。
第11の発明にかかるベルヌーイチャック(1,101,201,301)は、第1〜第10の発明にかかるベルヌーイチャックにおいて、一端側が皿ビス状を呈する噴射口整流板(35)をさらに備え、前記噴射口の少なくとも1つ(38)は、その底部が前記噴射口整流板の他端側と嵌合することを特徴とする。
第1の発明によれば、作業者は、以下のような簡単な操作で縦置きのワークを損傷させずに搬送することができる。すなわち、作業者は、スイッチ機構を操作することによって、開閉弁を開き、かつ、可動ストッパを吸着保持板に埋没させた第2切替状態にした後、可動ストッパが下側に位置するように吸着保持板を縦置きのワーク収納容器に挿入する。そして、可動ストッパの位置がワークの下端より下方になるまで挿入した後、開閉弁を開き、かつ、可動ストッパを吸着保持板から突出させる第3切替状態に切り替え、ワークの下端のみを可動ストッパに接触支持させて、ワークを取り出すことができる。また、ワークを搬送先の縦置き収納装置に置く場合には、取り出すときと逆の操作を行う。すなわち、作業者は、第3切替状態のまま、ワークを吸着保持した吸着保持板を可動ストッパが下側に位置するように縦置きの収納容器に挿入し、ワークの保管位置まで挿入した後、第2切替状態に切り替えて、吸着保持板のみを引き抜く。この間、開閉弁は開いており、吸着保持板から気体が流出してベルヌーイ効果が生じるため、ワークに接触させることなく吸着保持板を引き抜くことができる。
第2および第3の発明によれば、スイッチ機構が合理的な構造であるため、部品点数の増加を抑えることができる。第4およびの第5の発明によれば、1つの被操作部材によって前記第1〜第3切替状態が切り替えられるため、当該ベルヌーイチャックの操作性が向上する。第6の発明によれば、噴射口から噴射される高圧気体をその状況に応じた量に簡易に調整できるため、使用コストを下げることができる。第7の発明によれば、1つの切替状態(第2切替状態)における開閉弁の開度を容易に調整することができるため、開閉弁やスイッチ本体を高精度に製作する必要がなく、ベルヌーイチャックの製造コストの増加を招かずに第6の発明の効果を実現できる。第8の発明によれば、第2弾性部材がワークの辺縁に圧接して、ストッパとともにワークを狭持するため、ワークが安定する。第9の発明によれば、第2弾性部材(弾性体に付勢された補助ストッパ)と他のストッパとによりワークを狭持するとき、高圧気体の噴出が止まるため、使用コストを低減できる。第10の発明によれば、吸着保持板内流路が、吸着保持板に形成された溝と、アリミゾに挿入された薄板とによって構成されるため、吸着保持板を薄くできるとともに吸着保持板の耐久性を高めることができる。第11の発明によれば、皿ビス状の噴射口整流板を吸着保持板に嵌合させて噴射口を形成するため、噴射角度を小さくすること(噴射角を吸着面と略同じ角度とすること)と吸着保持板の薄型化とを両立することができる。
第1実施形態に係るベルヌーイチャックの全体斜視図 第1実施形態に係るベルヌーイチャックの平面図 吸着保持板内流路の流路方向と直交する断面の拡大断面図 中央噴射口の拡大分解縦断面図 中央噴射口の拡大縦断面図 吸着保持板内左流路の流路方向に沿った拡大縦断面図 第1切替状態において、(a)前端側から見た可動ストッパ、(b)上方から見たスイッチ部、(c)後端側から見たスイッチ部、の状態を示す図 第2切替状態において、(a)前端側から見た可動ストッパ、(b)上方から見たスイッチ部、(c)後端側から見たスイッチ部、の状態図 第3切替状態において、(a)前端側から見た可動ストッパ、(b)上方から見たスイッチ部、(c)後端側から見たスイッチ部、の状態図 縦置きの半導体ウエハの取り出しに供された第1実施形態に係るベルヌーイチャックの斜視図 縦置きの半導体ウエハの搬送に供された第1実施形態に係るベルヌーイチャックの斜視図 第2実施形態に係るベルヌーイチャックの平面図 第2実施形態に係るベルヌーイチャックの側面図 第3実施形態に係るベルヌーイチャックの平面図 第3実施形態に係るベルヌーイチャックの側面図 第3実施形態の第1変形実施例に係るベルヌーイチャックの平面図 第3実施形態の第1変形実施例に係るスイッチ本体の正面図 第3実施形態の第1変形実施例に係る第1〜第4切替状態におけるスイッチ本体周辺の拡大平面図 第4実施形態に係るベルヌーイチャックの平面図 第4実施形態に係るベルヌーイチャックの側面図 第4実施形態に係るスイッチ本体の周辺の拡大平面図 図19のXXII−XXII面の拡大断面図(第1切替状態) 図22の状態から第3切替状態に操作したときの拡大断面図
≪第1実施形態の構成≫
以下、本発明に係る第1実施形態について、図1〜図11を参照して詳細に説明する。図示のベルヌーイチャック1は半導体ウエハなどの薄板状のワークWを吸着保持して搬送する手持ち式のものであり、図1は第1実施形態に係るベルヌーイチャック1の斜視図であり、図2はワークWに対する吸着面側から見た平面図である。図2では、紙面の上下方向を実施形態の前後方向とし(紙面下側が前端(先端)側、紙面上側が後端側)、紙面の左右方向を実施形態の左右方向とし、紙面に垂直な方向を実施形態の上下方向とする。なお、図2では、後述のスイッチカバー63を省略している。
図1を参照すると、ベルヌーイチャック1は、作業者が手で把持する把持部2と、把持部2の先端側(吐出側)に取り付けられる基盤部3と、基盤部3に取り付けられてワークWを吸着保持する吸着部4と、スイッチ部5とを有し、把持部2の後端側に、吐出用配管6を介して高圧気体源である吐出ポンプ(図示を省略)が接続された状態で使用される。
<把持部>
図2に示すように、把持部2は、流路部材11と、接続コネクタ12と、開閉弁13とを備えている。流路部材11は、樹脂を素材とする円筒状を呈する部材であって、作業者による把持に供される。流路部材11は、吐出用配管6に接続した状態において、流路部材11の内部が吐出用配管6の内部と連通して高圧気体(空気)の流路(把持部流路15)となる。接続コネクタ12は、流路部材11の後端側に設けられており、流路部材11と吐出用配管6とを接続する。開閉弁13は、把持部流路15に設けられた図示しない弁体と、弁体と一体形成されて流路部材11の側面から略垂直に突出する頭部13aとを有する。また、吐出ポンプから流出した高圧気体の圧力が開閉弁13の弁体を閉じる方向に働くため、その他の力が開閉弁13に加わらない場合には把持部流路15が遮断され、その力に逆らって開閉弁13の頭部13aが流路部材11側に押圧されたときは弁体が開き把持部流路15が開通する。
<基盤部>
図2に示すように、基盤部3は、高圧気体の流路を分岐させ、また、他の部材を取り付けるための基盤となる。基盤部3は、樹脂を素材とする略直方体を呈する基盤部材21を備えている。開閉弁13の頭部13aが右方に向くように、流路部材11が基盤部材21の後端に接続されている。また、基盤部材21の内部には、把持部流路15と連通して上部に向かって分岐する基盤部材内流路22が設けられるとともに、基盤部材21の上部の右側には、後述するスライドカム64および圧縮コイルばね(第1弾性部材)65が収容される凹部23が設けられている。凹部23はその底面から上方に突出する突起24を有し、凹部23の右側の後面は開口している。また、後述するガイドシャフト60,61が摺動するガイド孔25,26が基盤部材21の後端の右側に上下に所定の間隔をおいて設けられている。さらに上側のガイド孔25の右側には後述する小球60cおよび圧縮コイル60dばねが収容されるための横孔27が設けられている。
<吸着部>
次に、図2〜図6を参照して吸着部4について説明する。図3は吸着保持板31の中央に配置された吸着保持板内流路47の縦断面図であるが、左右の吸着保持板内流路48,49も同様の断面形状を呈する。図4は中央噴射口38の分解縦断面図であり、図5は中央噴射口38の縦断面図である。図6は、左側噴射口39の断面図であるが、右側噴射口40も同様の断面形状を呈する。
図2に示すように、吸着部4は、吸着保持板31と、3枚の薄板32〜34と、噴射口整流板35と、可動ストッパ36と、2つの固定ストッパ37,37とを備えている。
吸着保持板31は、樹脂を素材とする厚さ約3mmの平板であり、その平面形状は、後側に位置する基端部31aが基盤部材21と略同幅であり、中央に位置する中央部31bが基端部31aより幅広となり、前側に位置する先端部31cが中央部31bより幅狭となっている。また、吸着保持板31の吸着面31d側には3つの噴射口38〜40が形成されている。吸着保持板31の裏面31e側には3本のアリミゾ41〜43が形成されており、さらにこれらの上方には矩形断面を有する溝44〜46が形成されている。アリミゾ41〜43の幅は溝44〜46の底面の幅よりも広く設定されている。さらに、吸着保持板31の先端部31cの先端には、可動ストッパ36を埋没させるための平面視でコ字型の切り欠き31fが設けられており、この切り欠き31fは先端側から見ると吸着面31d側が長く裏面31e側が短い底辺を備えた台形状を呈している(図9(a)参照)。また、吸着保持板31は、その基端部31aが基盤部材21の上面に取り付けられることによって、流路部材11に接続し、後述する各吸着保持板内流路47〜49が基盤部材内流路22を介して把持部流路15と連通している。
図2および図3に示すように、3つの薄板32〜34は、ステンレス等の金属を素材とし、アリミゾ41〜43を補完する断面形状を有する直線状の板材であって、それぞれアリミゾ41〜43に差し込まれ、その下面に塗布された接着剤からなる接着層32a,33a,34aによって吸着保持板31に気密に固定される。これにより、薄板32〜34と溝44〜46とで形成された中空部が、高圧気体が流通する吸着保持板内流路47〜49となる。各吸着保持板内流路47〜49の基端は、基盤部材21の上面で基盤部材内流路22と連通している。
吸着保持板31の左右方向の略中央に配置された中央の吸着保持板内流路47は、基端部31aから先端部31cにかけて延在し、先端側で中央噴射口38と連通している。吸着保持板31の左側に配置された吸着保持板内流路48は基端部31aから中央部31bにかけて延在し、吸着保持板31の右側に配置された吸着保持板内流路49も基端部31aから中央部31bにかけて延在し、それぞれ先端側で左右の噴射口39,40と連通している。左右の吸着保持板内流路45,46は、先端側ほど互いに離れるように吸着保持板31の前後方向軸に対して傾斜しており、前後方向軸に対する傾斜角度γはそれぞれ10度〜40度の範囲であることが望ましく、図示の実施形態では両傾斜角度γは13度に設定されている。
図2および図4に示すように、噴射口整流板35は、樹脂を素材とし、円錐台状すなわち皿ビス状を呈する皿ビス部35aと、皿ビス部35aの頂面側に頂面と略同径に延設された円筒部35bと、円筒部35bにおける皿ビス部35aと反対側の端部から径方向に突設された円環状のフランジ部35cとから構成される。また、中央噴射口38は、吸着保持板31に形成された凹部であって、吸着面31dに円形の開口を形成するともに、吸着面31dから円錐台形の凹部を画定する傾斜面38a(吸着面側が大径)と、傾斜面38aの下端から裏面31e方向に円柱形の凹部を画定する側周面38bと、側周面38bにおける吸着保持板31の裏面31e側の端部に形成された円形の底面38cとからなり、側周面38bの底面38c側の端部には、周方向に延在する嵌合溝38dが設けられている。また、側周面38bの後端側には、中央噴射口38と中央の吸着保持板内流路47とを連通する連通孔50が開口している。傾斜面38aと吸着面31dとのなす角度αは、8度〜20度の範囲が望ましく、図示の実施形態では14度に設定されている。
図5に示すように、噴射口整流板35は、フランジ部35cを嵌合溝38dに嵌合させることにより、中央噴射口38に取り付けられる。取付状態において、皿ビス部35aの吸着面31d側は、吸着面31dと略同一の平面を構成し、皿ビス部35aの斜面と傾斜面38aとは高圧気体を噴射できるように所定の間隔をもって対峙している。また、円筒部35bと側周面38bとの間にも所定の間隙が形成されている。
図2および図6に示すように、左右の噴射口39,40は、それぞれ左右の吸着保持板内流路48,49の基端側に向けて、吸着面31dに対して角度βをもって開口している。角度βは8度〜20度が望ましく、図示の実施形態では15度に設定されている。
可動ストッパ36(図9(a)参照)は、樹脂を素材としており、吸着保持板31の先端側の辺縁に位置し、その長辺がストッパシャフト67の軸線と直交するようにその基端36a側がストッパシャフト67の先端に取り付けられている。可動ストッパ36は、吸着保持板31に埋没した埋没状態で吸着保持板31の切り欠き31fに収まっており、吸着面31dから突出しないようになっている。よって、可動ストッパ36の厚さは吸着保持板31の厚さより薄いことが望ましく、本実施形態では2.6mmである。また、可動ストッパ36は、ストッパシャフト67の回動にともなってその先端36b側が吸着面36dから突出した突出状態となる。また、突出状態における可動ストッパ36の先端36bから吸着面31dまでの距離は、突出状態においてワークWを吸着面31dに非接触状態で吸着保持したときに可動ストッパ36がワークWを係止できるように、ワークWと吸着面31dとの吸着時の距離よりも長くする必要がある。そのため、可動ストッパ36の長辺が十分な長さを持つ必要があり、本実施形態では12mmである。また、可動ストッパ36の先端面36cは、埋没状態において吸着面側から裏面側にかけて基端側に傾斜している。ストッパシャフト67を埋没方向に回動させると、可動ストッパ36は、その先端面36cが切り欠き部31fを画定する傾斜面31g(図9(a)参照)に、所定の間隔を持って対峙し、または当接することによりその動きが規制され、先端36bが吸着保持板31の裏面31e側に突出しないようになっている。
図2に示すように、2つの固定ストッパ37,37は、樹脂を素材として吸着面31dから略垂直に突出する略円柱状の突起であって、吸着保持板31の中央部31bの左右の辺縁近傍にそれぞれ配置されている。また、これらは、左右の噴射口39,40よりも基端部31a側に配置されている。これら2つの固定ストッパ37,37と可動ストッパ36との3点が作る円が吸着保持できるワークWの最大の大きさであり(ワークWが平面視で円形の場合)、この3点にワークWが囲まれた状態で吸着保持される。なお、各固定ストッパ37,37は、ワークWと吸着面31dとの非接触状態が維持されやすいように、ワークWの辺縁が接触する部分、すなわち側面中央が、縮径され、またはV字状の切り込みを有することが望ましい。
<スイッチ部5>
図2および図7〜図9を参照して、スイッチ部5について説明する。なお、図7,図8および図9において、(a)は吸着保持板31の先端部分の拡大正面図を、(b)は基盤部3周辺の拡大透視平面図を、(c)は基盤部3周辺の拡大透視背面図をそれぞれ示している(スイッチカバー63は省略されており、(b)および(c)においては吸着保持板31も省略されている)。また、図7は、スイッチ本体62の位置、開閉弁13の状態および可動ストッパ36の状態が、それぞれ、最後方、閉状態および埋没状態である第1切替状態を示し、図8は同じく、中間、開状態および埋没状態である第2切替状態を示し、図9も同じく、最前方、開状態および突出状態である第3切替状態を示す。
スイッチ部5は、2本のガイドシャフト60,61と、スイッチ本体62と、スイッチカバー(被操作部材)63(図1参照)と、スライドカム64と、圧縮コイルばね65(第1弾性部材)と、連結片66と、ストッパシャフト67とを備えている。
2本のガイドシャフト60,61は、金属を素材とした棒状部材であって、スイッチ本体62の移動をガイドするとともに、所定の位置でスイッチ本体62を保持(係止)するための部材である。2本のガイドシャフト60,61は、流路部材11および開閉弁13の右方に位置し、かつ、互いに上下に所定の距離をおいて流路部材11に対して平行に配置されている。これらガイドシャフト60,61は、その前端側が基盤部材21のガイド孔25,26に挿入されており、それぞれ前後に摺動可能である。また、これらは次のようなディテント機構を備えている。すなわち、上方に配置されたガイドシャフト60には、軸の径が細くなった第1縮径部60aおよび第2縮径部60bが前後に所定の間隔をおいて設けられている(第1縮径部60aが前端側、第2縮径部が後端側)。また、基盤部材21の横孔27には、先端に金属を素材とする小球60cが取り付けられた圧縮コイルばね60dが取り付けられており、小球60cは圧縮コイルばね60dに付勢されてガイドシャフト60を押圧している。小球60cの径はガイドシャフト60に設けられた2つの縮径部60a,60bの幅よりも大きく設定されている。
スイッチ本体62は、樹脂を素材とする成形品であって、その形状および位置によってスイッチの状態を切り替える主要な役割を果たす部材である。スイッチ本体62は、平面視で長方形の1隅が欠けた形状を呈する厚肉の主部71と、主部71の左方に延設された平面視で長方形を呈する薄板状の上壁72とから構成されており、後方から見ると、流路部材11の左方と上方とを覆うL字状を呈している。
主部71にはガイドシャフト60,61が挿入/固定されるシャフト取付孔73,74が設けられており、ガイドシャフト60,61が基盤部材21のガイド孔25,26に沿って摺動することによってスイッチ本体62が前後移動可能になっている。主部71の前面75から左側面76にかけては、平面視で切り欠きとなる傾斜面である対スライドカム面77が設けられている。対スライドカム面77には、主部71の前面75側から左側面76側にかけて溝78が設けられている(溝78の底面及び左側面76が対開閉弁面となる)。溝78は、前後方向に対するその傾斜角度が対スライドカム面77の傾斜角度に比べて小さくなっている。換言すると、左側面76側の深さが前面75側の深さにくらべて深くなっている。また、左側面76の後端側には、開閉弁13の頭部13aが嵌合する凹部79が設けられている。
上壁72は、主部71の後端側から左方に延設され、流路部材11の上方に位置している。スイッチ本体62の上面80は、上壁72の上面と主部71の上面とによって構成される単一平面となっている。
次に、スイッチ本体62と流路部材11および開閉弁13との位置関係を説明する。主部71の左側面76は流路部材11と所定の間隔をおいて対峙している。主部71の対スライドカム面77の前端縁は、開閉弁13が閉じた状態におけるその頭部13aの位置よりも右方に位置する、すなわち、頭部13aよりも流路部材11から離れている(図7参照)。そして、対スライドカム面77の後端縁の流路部材11からの距離は、開閉弁13が開いた状態におけるその頭部13aの流路部材11からの高さに略一致する(図8、図9参照)。また、スイッチ本体62を最後方に移動させた状態では、主部71の前面75が開閉弁13の中心より後方にあり、スイッチ本体62を最前方に移動させた状態では、主部71の左側面76の凹部79に開閉弁13の頭部13aが嵌入する(図9参照)。
スイッチカバー63は、樹脂を素材とした薄板であって、スイッチ本体62を保護し、作業者によって直接操作される部材である(図1参照)。スイッチカバー63は、スイッチ本体62の上面80に固定される。スイッチカバー63の上面には、作業者が指を滑らさずに操作できるようにするための凸部81が設けられている。
スライドカム64は、樹脂を素材とする成形品であって、スイッチ本体62が所定の範囲(第2移動範囲)を動くときに、スイッチ本体62の可動方向(前後方向)と略直交する方向(左右方向)に往復移動する部材である。スライドカム64は、略直方体状を呈するスライドカム本体82と、スライドカム本体82から後方に延設された傾斜部83と、スライドカム本体82から後方に突出する円柱状を呈する突起84とから構成される。
スライドカム本体82は、上下に貫通して左右に長い貫通孔82aを備えている。スライドカム本体82は、基盤部材21の凹部23に挿入され、その貫通孔82aに基盤部材21の突起24に差し込まれるため、凹部23内を左右方向にのみ摺動可能である。スライドカム本体82の後面の右端側から略四角柱状を呈する傾斜部83が延設されおり、この四角柱(平面視で台形)の一側面(長辺の下底側)がスライドカム本体82と接し、他の一側面(短辺の上底と下底とに鉛直な辺側)が左方を向いた左内側面85であり、他の一側面(上底と下底とに傾斜している辺側)が右後方を向いた従動傾斜面86であって、従動傾斜面86はスイッチ本体62の対スライドカム面77と略平行になっている。スライドカム本体82の後面であって傾斜部83よりも左方の位置から円柱状を呈する突起84が後方に突出している。また、傾斜部83および突起84がスライドカム64の左右移動を規制しないように、基盤部材21の凹部23の後方の右側は開放されている。
次に、スライドカム64と流路部材11およびスイッチ本体62との位置関係について説明する。スライドカム64が最右方に位置するとき、従動傾斜面86の左端はスイッチ本体62の対スライドカム面77の右端よりも左方に位置する(図7、図8参照)。また、スライドカム64が最左方に位置するとき、少なくとも、従動傾斜面86の右端側とスイッチ本体62の対スライドカム面77の左端側とが圧接している(図9参照)。すなわち、スライドカム64の可動範囲において、従動傾斜面86と対スライドカム面77とは流路部材11と平行な方向から見て少なくとも一部が重なり合う。また、スライドカム64は流路部材11の上方に位置して両者は接触しない。
圧縮コイルばね65は、基盤部材21の凹部23内であって、スライドカム64の左方に配置され、スライドカム64を右方に付勢している。
連結片66は、金属を素材とする小片状の部材であって、スライドカム64の左右方向の往復移動に応じてストッパシャフト67を回動させるための部材である。また、ストッパシャフト67は、金属を素材とする棒状の部材であって、回動することによってその先端に固定された可動ストッパ36を吸着面に出没させる。
連結片66は、ストッパシャフト67に略直交するように配置され、その一端(固定端66a)がストッパシャフト67の後端67aに固定されている。他端(可動端66b)は、後方から見て端部側に開いたU字形を呈しており、スライドカム64の突起84を摺動可能に狭持している。なお、可動端66bの形状は、後方から見て、長孔のO字形としてもよい。また、ストッパシャフト67は、前後方向に沿って吸着保持板31の略中央に配置され、吸着保持板31に回動自在に支持される。
次にスイッチ部5の作用について説明する。図7に示すように、スイッチ本体62が後方に位置する第1切替状態では、スイッチ本体62が開閉弁13とスライドカム64とのいずれにも圧接していない。そのため、開閉弁13は高圧気体によって付勢されて把持部流路15を遮断している。また、スライドカム64も圧縮コイルばね65に付勢されて最右方に位置しているため、可動ストッパ36は吸着保持板31に埋没した状態で安定している。また、基盤部材21内部の小球60cが圧縮コイルばね60dに付勢されて、ガイドシャフト60の先端側の第1縮径部60aに嵌る状態になるため、スイッチ本体62はこの位置で安定し、作業者が力を加えない限り動かないようになっている。
作業者が第1切替状態から第2切替状態に切り替えるため、スイッチカバー63を前方にスライドさせて、スイッチ本体62を前方に移動させると(第1可動範囲)、開閉弁13の頭部13aはスイッチ本体62の対スライドカム面77に設けられた溝78を摺動しながら押圧される。図8に示すように、第2切替状態では、スイッチ本体62の左側面76が頭部13aを押圧して開閉弁13を開弁させ、把持部流路15が開通する。一方、スイッチ本体62はスライドカム64に第1切替状態と同様に、圧接していないため、スライドカム64は圧縮コイルばね65に付勢されて最右方に位置し、可動ストッパ36は吸着保持板31に埋没した状態で安定している。また、基盤部材21内部の小球60cが圧縮コイルばね60dに付勢されて、ガイドシャフト60の第2縮径部60bに嵌る状態になるため、スイッチ本体62はこの位置で安定し、作業者が力を加えない限り動かない。
作業者が第2切替状態から第3切替状態に切り替えるため、スイッチカバー63をさらに前方にスライドさせて、スイッチ本体62をさらに前方に移動させると(第2可動範囲)、開閉弁13は位置をほとんど変えず、その頭部13aをスイッチ本体62の左側面76が摺動する。また、スイッチ本体62の対スライドカム面77とスライドカム64の従動傾斜面86とが摺接して、スライドカム64は左方に駆動される。図9に示すように、第3切替状態では、スイッチ本体62は最前方に位置している。第2切替状態から第3切替状態に切り替わるときには、スイッチ本体62の左側面76が開閉弁13を押圧して開き、把持部流路15が開通している。また、スイッチ本体62がスライドカム64を左方に駆動するため、スライドカム64に設けられた突起84も左方に移動する。すると、連結片66はストッパシャフト67を軸にして回動するように、その可動端66bが突起84を摺動する。そして、連結片66の回動に応じてストッパシャフト67が回動するため、その先端に固定された可動ストッパ36もストッパシャフト67を軸にして回動する。すなわち、可動ストッパ36が、吸着保持板31の吸着面31dから突出する。第3切替状態では、開閉弁13の頭部13aがスイッチ本体62の凹部79に嵌っているため、スイッチ本体62はこの位置で安定し、作業者が力を加えない限り動かない。
≪第1実施形態の使用例≫
図10は、ベルヌーイチャック1を用いて縦置きのウエハ用カセット87から半導体ウエハWを取り出す様子を示す斜視図であり、図11は、縦置きのウエハ用カセット88にウエハを差し入れる様子を示す。図10および図11を用いて、第1実施形態に係るベルヌーイチャック1を使って、この2つのウエハ用カセット87,88の間で半導体ウエハWの搬送する手順について説明する。なお、吐出用ポンプは図示を省略している。
各ウエハ用カセット87,88は、両側壁の内面に形成したリブ状の仕切り部材87a,88aで区分され、隣接する各仕切り部材87a,88aの間に半導体ウエハWを収容する容器である。
まず、作業者は、スイッチカバー63を先端側へスライドさせて第1切替状態から第2切替状態にする。第2切替状態になると(図8参照)、開閉弁13が開かれるため、高圧気体が把持部流路15から、基盤部材内流路22、吸着保持板内流路47〜49へと流れ、噴射口38〜40から噴射する(図2参照)。この時、中央噴射口38では、噴射口整流板35の円筒部35bと中央噴射口38の側周面38bとに間隙があるため、高圧気体がこの間隙全体に回り込み、図5に矢印で示されるように、吸着面31dと略平行に全方位へ噴射する。また、左右の噴射口39,40では、図6に矢印で示されるように、左右の吸着保持板内流路48,49中の流れと略反対向きに高圧気体が吸着面31dに略平行に噴出される。
この状態で、図10のように、吸着保持板31の吸着面31dと半導体ウエハWとが近接するように、作業者はベルヌーイチャック1を先端側からウエハ用カセット87に挿入する。この際、ベルヌーイ効果により、作業者は吸着保持板31を半導体ウエハWに接触させずにウエハ用カセット87の奥まで挿入することができる。換言すると、ベルヌーイチャック1を挿入しても、噴出した高圧気体によって半導体ウエハWと吸着面31dとの距離が一定に保たれるため、吸着保持板31を半導体ウエハWに沿って挿入することができる。また、裏面31e側に他の半導体ウエハがあったとしても、吸着保持板31が薄く、かつ、吸着対象の半導体ウエハWに沿って挿入されるため、両者は接触しない。
そして、吸着保持板31の先端に取り付けられた可動ストッパ36が半導体ウエハWの下方に位置するまで吸着保持板31を挿入した後、作業者はスイッチカバー63をさらに先端側へスライドさせて第3切替状態に切り替え(図9参照)、可動ストッパ36を吸着面31dから突出させる。このとき、吸着保持板31は半導体ウエハWに十分近接し、半導体ウエハWが吸着保持板31に非接触状態で吸着されているため、ベルヌーイチャック1を引き上げると、可動ストッパ36が半導体ウエハWの下端を係止し、半導体ウエハWを前後方向にずらすことなく安定して取り出すことができる。
ここで、吸着保持板31には先端側の可動ストッパ36だけでなく、後端側の固定ストッパ37,37があるため、吸着保持された半導体ウエハWは前後左右への動きを規制されて安定している。また、左右の噴射口39,40から噴出される高圧気体はそれぞれベルヌーイチャック1の斜め後方(中央寄り)に噴射されており、この点からも吸着保持された半導体ウエハWはベルヌーイチャック1の左右方向にも安定する。従って、半導体ウエハWの搬送中にベルヌーイチャック1をどのような方向に向けても、半導体ウエハWの非接触吸着保持は維持される。
そして、作業者は、ベルヌーイチャック1を先端側から搬送先のウエハ用カセット88に挿入する。半導体ウエハWがウエハ用カセット88の所定の位置まで下げられたら、作業者はスイッチ部5を操作して、第2切替状態にする。すると、可動ストッパ36が吸着保持板31に埋没するが、開閉弁13は開いたままであり、高圧気体が噴射され続ける。そこで、作業者がベルヌーイチャック1を引き上げると、半導体ウエハWはウエハ用カセット88に残置され、吸着保持板31は噴出された高圧気体にガイドされるように半導体ウエハWとの距離が一定に保たれるため半導体ウエハWに接触せずに引き上げられる。
そして、吸着保持板31がウエハ用カセット88から完全に引き上げられた後、作業者はスイッチ部5を操作して第1切替状態に切り替えて、開閉弁13を閉じ、高圧気体の噴出を止める。
≪第1実施形態の効果≫
本実施形態では、噴射口の構造に関して、中央噴射口38の底面38c側に嵌合溝38dを設けるとともに、噴射口整流板35の裏面側にフランジ部35cを設け、これらを嵌合させることによって中央噴射口38の噴出構造が作られている。そのため、噴射角度αを吸着面31dと平行に近い角度にして高圧気体を全方位に噴射できることによって十分なベルヌーイ効果を得ることができるとともに、吸着保持板31を薄型化できる。従って、収納容器に収められたワークW間のピッチが狭い場合であっても吸着保持板31をその間に挿入して、ワークWを取り出すことができる。また、従来、噴射口整流板は接着剤によって吸着保持板に取り付けていたため、接着力が弱く、また、高圧の負荷がかかることによる劣化が問題となっていた。この点、本実施形態では、噴射口整流板35の吸着保持板31への取り付けは嵌合構造であるため、強固に取り付けられ、耐久性が向上している。
また、吸着面31dと略平行な全方位に高圧気体を噴出する中央噴射口38を先端部31cに設け、中心軸寄りの斜め後方に高圧気体を噴出する左右の噴射口39、40を中央部31bに設けている。そのため、非接触に吸着保持されたワークWが吸着面31dに対して傾いたり、左右方向にずれたりすることを防止できる。さらに、縦置きの収納容器の底にあるパーティクル(ゴミ、ほこり)の巻き上げが抑制される。
気密性が要求される吸着保持板内流路47〜49は、吸着保持板31の裏面31e側にアリミゾ41〜43および溝44〜46を形成した後、薄板32〜34をアリミゾ41〜43に挿入することによって形成されている。そのため、前後方向にキリ等によって孔をあけて流路を作る場合に比べて、薄い吸着保持板31でも容易に流路を作成できる。また、薄板32〜34は、接着剤だけで吸着保持板31に固定されると接着不良部分から高圧気体が浸入してはがれる可能性があるが、本実施形態ではアリミゾ41〜43によっても固定されているため、はがれるおそれはなく、吸着保持板31の耐久性が向上している。
また、作業者は、噴射口38〜40から高圧気体を噴射させてから任意の時間が経過した後に可動ストッパ36を吸着保持板31から突出させることができ、また、可動ストッパ36を吸着保持板31に埋没させてから任意の時間が経過した後に、高圧気体の噴射を止めることができる。そのため、縦置きの収納容器に収められたワークW間のピッチが狭い場合であっても吸着保持板31をその間に挿入して、ワークWの取出および収納ができる。さらに、1つのスイッチによる一連の操作でこの状態を切り替えることができるため、操作性が向上している。
≪第2実施形態≫
次に、本発明に係る第2実施形態を図12および図13を参照して説明する。図12および図13は、第2実施形態に係るベルヌーイチャック101の平面図および側面図である。図12の前後、左右、上下の方向は、図2と同じである。また、図13では、紙面の上下方向が実施形態の前後方向であり、紙面の左右方向が実施形態の上下方向であり、紙面に垂直な方向が実施形態の左右方向である。なお、説明に当たって、第1の実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。
第2実施形態に係るベルヌーイチャック101は、作業者が手で把持する把持部2と、把持部2の先端側(吐出側)に取り付けられる基盤部3と、基盤部3に取り付けられてワークWの吸着保持を行う吸着部4と、スイッチ部105とを有し、把持部2の後端側に、吐出用配管6を介して高圧気体源である吐出ポンプ(図示を省略)が接続された状態で使用される。すなわち、第2実施形態は、第1実施形態と比べてスイッチ部105が異なり、他の部分は同一である。また、第1実施形態では、作業者がスイッチカバーを前後にスライドさせてスイッチ本体を前後に動かすが、第2実施形態では、スイッチ部105はラックアンドピニオン機構を備えており、作業者がダイヤル(被操作部材)193を操作してスイッチ本体162を前後に移動させる。
スイッチ部105は、第1実施形態と同様のガイドシャフト60,61と、スライドカム64と、圧縮コイルばね65、連結片66と、ストッパシャフト67とを備えている他に、スイッチ本体162と、ダイヤル支持部材191と、ピニオン192を備えたダイヤル193と、ラック194を備えた上部カバー195と、下部カバー196とを備えている。
スイッチ本体162は、第1実施形態のスイッチ本体62の主部71に相当する部材であるため、詳細は第1実施形態の主部71の説明を参照されたい。スイッチ本体162は、ガイドシャフト60,61に固定されており、これらとともに前後に移動する。
ダイヤル支持部材191は、樹脂を素材とする前部191aおよび後部191bと、ステンレス等の金属を素材とする軸191cとから構成される。ダイヤル支持部材191の前側に位置する前部191aは、直方体状を呈し、基盤部材21の後端の左側にボルトによって固定されている。また、後部192bが前部191aの後端の左右方向の中央付近から後方に延設されており、前部191aよりも左右の幅の狭い直方体状を呈している。軸191cは後部191bの右側面の略中央から垂直に突出するように取り付けられている。
小径のピニオン192を同心に備えた大径のダイヤル193は、軸191cに回動可能に支持されている。両者はともに樹脂を素材とし、ピニオン192はダイヤル193の右方に取り付けられている。なお、ダイヤル193の外周はローレット加工が施されている。
上部カバー195は、樹脂を素材とする平面視で四角形の薄い平板であって、吸着保持板31と略平行に、スイッチ本体162、流路部材11およびピニオン192の上方、かつ、ダイヤル193の右方に配置され、ボルト等によってスイッチ本体162に固定されている。また、作業者がダイヤル193を回すときに上部カバー195が障害とならないように、ダイヤル193の上端側の一部は上部カバー195よりも上方に位置する。また、ラック194は、上部カバー195の下面、左端側に、ピニオン192と噛み合うように取り付けられている。
下部カバー196は、樹脂を素材とする平面視で四角形の平板であって、上部カバー195と略平行に、スイッチ本体162、流路部材11およびピニオン192の下方に配置され、ボルト等によってスイッチ本体162に固定されている。また、作業者がダイヤルを回すときに下部カバー196が障害とならないように、ダイヤル193の下端側の一部は下部カバー196よりも下方に位置する。
第2実施形態では、作業者は、ダイヤル193を前後に回転させることによって、ピニオン192、ラック194および上部カバー195を介してスイッチ本体162を前後に移動させ、第1切替状態、第2切替状態または第3切替状態に切り替えることができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、作業者は、スイッチを切り替えるときに、ダイヤル193の上部側および下部側のどちらを操作しても良い。特に、上部カバー195に第1実施形態のスイッチカバーのような厚みがないため、作業者はダイヤル193の下部側を操作することによって水平の台上に置かれたワークWを容易に吸着保持できる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明に係る第3実施形態について図14および図15を参照して説明する。図14は、第3実施形態に係るベルヌーイチャック201の平面図であり、図15は同側面図である。図14の前後、左右、上下の方向は、図12と同じである、図15の前後、左右、上下の方向は、図13と同じである。なお、説明に当たって、第2の実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。
第3実施形態に係るベルヌーイチャック201は、作業者が手で把持する把持部2と、把持部2の先端側(吐出側)に取り付けられる基盤部3と、基盤部3に取り付けられてワークWの吸着保持を行う吸着部204と、スイッチ部205とを有し、把持部2の後端側に、吐出用配管6を介して高圧気体源である吐出ポンプ(図示を省略)が接続された状態で使用される。すなわち、第3実施形態は、第2実施形態と比べて吸着部204とスイッチ部205が異なり、他の部分は同一である。
吸着部204の吸着保持板231には、その中央部231bの右側に補助ストッパ用溝231hが前後方向に延びるように設けられている。その他は、第2実施形態と同様の構成である。
スイッチ部205については、上側に配置されたガイドシャフト260とスイッチ本体262と上部カバー(第2弾性部材)295と下部カバー296とが第2実施形態と異なる構成を採っている。
ガイドシャフト260のディテント機構については、第1および第2実施形態と同様に基盤部材21に挿入された先端側には第1縮径部260aと第2縮径部260bとが設けられているが、その位置が第1および第2実施形態における位置よりも後方にずれている。そして、基盤部材21に収容されて圧縮コイルばね60dの先端に取り付けられた小球60cは、第2切替状態で第1縮径部260aに圧接し、第3切替状態で第2縮径部260bに圧接する。よって、ダイヤル193を回転させるために必要な力が増大し、第2または第3切替状態の維持が容易になる。
第2実施形態と同様に、基盤部材21の後端にダイヤル支持部材191が取り付けられ、ダイヤル支持部材191にピニオン192を同軸に備えたダイヤル193が回動可能に支持されている。しかし、第3実施形態では、ピニオン192と噛み合うラック294は下部カバー296に取り付けられている。ラック294の前端には上方に延設された前壁294aが設けられており、この前壁294aがピニオン192と接触すると、下部カバー296の後方への移動が規制される。この前壁294aとピニオン192とが接触した状態が第1切替状態となる。
スイッチ本体262には、下部カバー296がボルトによって取り付けられており、ガイドシャフト260,61が前面から突出するように固定されている。スイッチ本体262は、両ガイドシャフト260,61が基盤部材21のガイド孔25,26を摺動するため前後方向にのみ可動であり、前後方向の移動はダイヤル193によって調整される。スイッチ本体262には、第2実施形態における左側面76の凹部79に相当する凹部がなく、左側面276が平坦である。これは、上述のようにガイドシャフト60の第2縮径部60bに小球60cが圧接することによる効果が、第2実施形態における開閉弁13の頭部13aが凹部79に嵌ることによる効果に相当するからである。その他は、第2実施形態と同様である。
上部カバー295は、スイッチ本体262の上部にボルトによって取り付けられている。上部カバー295は、樹脂を素材とする薄い平板部材であって、平面視において左右両辺が平行で前辺の右側が前に出るように傾斜した略台形を呈する。そして、上部カバーの前側の弾性部295aは、右端から左側にかけて前辺と略平行な切り込み295bを設けることによって形成される。そして、弾性部295aは、弾性部295a自体の撓みや弾性部295aと後部295cとの連結部分の撓みによって前後方向に弾性を有する。すなわち、上部カバー295の弾性部295aは、板ばねになっている。また、上部カバー295は、その後部295cがスイッチ本体262に固定され、弾性部295aは吸着面231dの上方に配置されている。
弾性部295aの右端側には、略円柱状の補助ストッパ297が下方に突出するように取り付けられている(弾性部295aと補助ストッパ297とが第2弾性部材を構成する)。そして、弾性部295aの右端側の前端部は、その下面側が段差または傾斜を有するように薄くなっており、補助ストッパ297の側周面の前側が広く露出している。また、補助ストッパ297の下端側が補助ストッパ用溝231hに収容されている。なお、補助ストッパ297は、樹脂を素材とする略円筒状を呈した部材であるが、その前面側に露出してワークWの辺縁と接触する部分にV字状の切り込みまたは縮径している部分を有することが望ましい。
補助ストッパ297は、上部カバー295を介してスイッチ本体262に取り付けられているため、スイッチ本体262とともに前後に移動する。そして、図14の二点鎖線で示すように、第3切替状態において、ワークWが可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37および補助ストッパ297に狭持されるように、補助ストッパ297の配置、すなわち上部カバー295の形状および大きさが決められている。
ここで、第3実施形態に係るベルヌーイチャック201の使用方法および効果を説明する。まず、第2実施形態と同様に、作業者はスイッチ部205を操作して第1切替状態から第2切替状態に切り替え、ベルヌーイチャック201を先端側から縦置きのウエハ用カセット87に挿入した後、第3切替状態に切り替えて可動ストッパ36を突出させる。このとき、補助ストッパ297の側面が吸着された半導体ウエハWの辺縁に圧接し、半導体ウエハWが可動ストッパ36および左側の固定ストッパ37に押し付けられる。すなわち、可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37および補助ストッパ297が半導体ウエハWを狭持する。従って、半導体ウエハWが安定して搬送が容易になり、また、開閉弁13以外の高圧気体の流入を遮断する開閉弁(例えば吐出用配管6や吐出ポンプの開閉弁、非図示)を閉じて高圧気体の噴射を止めても半導体ウエハWと吸着保持板231との非接触状態を維持して搬送できる。特に、可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37および補助ストッパ297の半導体ウエハWと圧接する部分が、切り込みや縮径した部分であると、半導体ウエハWと吸着保持板231との非接触状態が維持しやすくなる。このため、高圧気体の使用量が減るため、ベルヌーイチャック201の使用コストを低減できる。
≪第3実施形態の第1変形実施例≫
次に、図16〜図18を参照して第3実施形態の第1変形実施例を説明する。図16は第1変形実施例の平面図であり、図17はスイッチ本体401の正面図であり、図18は各切替状態におけるスイッチ本体401と開閉弁13との位置関係を示す拡大平面図である。なお、説明にあたって、第3実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。
第3実施形態においては、可動ストッパ36、固定ストッパ37および補助ストッパ297でワークWを狭持した後、開閉弁13とは異なる開閉弁を閉じて高圧気体の噴射を停止していた。このワークWの狭持中の高圧気体の噴射停止をより容易に行えるように、スイッチ部205によって行えるようにしたものが第1変形実施例である。
第1変形実施例は、スイッチ本体401の形状および上側のガイドシャフト410の形状が第3実施形態と異なる。また、中央噴射口38、左側噴射口39、右側噴射口40の他に、左右方向の中央、前側に第4噴射口412が設けられているが、これは主に吸着保持の対象となるワークWの重さに応じて要否が決定されるものであって、第1変形実施例に必須のものではない。第4噴射口412に関しては、左側噴射口39および右側噴射口40と同様に、金属を素材とする薄板およびアリミゾ等によって流路が作られ(図3参照)、高圧気体がこの流路を通過し、第4噴射口412から噴射される(図6参照)。
スイッチ本体401は、平面視で1隅の欠けた略長方形の厚肉部材であり、正面視で、左下部位が長方形形状に欠けている長方形形状を呈する(図17参照)。スイッチ本体401の上部に設けられた前面から左側面にかけての傾斜面は、平面状の対スライドカム面402となっている。また、スライドカム本体401の左側面の下部は、前後・上下方向に平行な略平面形状の対開閉弁面403であり、その左右方向の位置は、対スライドカム面402の前端と後端との中間にある。対スライドカム面403には、前後方向の中間にわずかに右方に盛り上がったバンプ404が設けられている。バンプ404は前側から緩やかに盛り上がり、その盛り上がりの頂点から後側にかけては急な斜面である。
スイッチ本体401から前方に突出するガイドシャフト410,411は、第3実施形態と略同様の構成である。しかし、上側のガイドシャフト410には、4つの縮径部410a〜410dが設けられている点が異なる。縮径部は、前方から後方にかけて、第1縮径部410a、第2縮径部410b、第3縮径部410cおよび第4縮径部410dである。
次に、スイッチ本体401と開閉弁13との位置関係について説明する。なお、スイッチ本体401とスライドカム64との位置関係は第3実施形態と同様である。
図18(a)に示すように、第1切替状態(開閉弁13が閉じ、可動ストッパ36が埋没した状態)では、圧縮コイルばねに付勢された小球60cが上側のガイドシャフト410の第1縮径部410aに圧接してこの状態を安定させている(縮径部410a〜410dについては図16参照)。この時、開閉弁13の頭部13aは、スイッチ本体401の対開閉弁面403前端側に当接しているが、開閉弁13は閉じた状態にある。また、開閉弁13の頭部13aが対開閉弁面403から離れていても良い。
図18(b)に示すように、第2切替状態(開閉弁13が開き、可動ストッパ36が埋没した状態)では、小球60cが第2縮径部410bに圧接してこの状態を安定させている。この時、開閉弁13の頭部13aは、パンプ404の緩やかな前側斜面の途中にあり、開閉弁13が部分的に開き、吸着保持板231のウエハ用カセット87(図10参照)への挿入のガイドに必要な分だけ高圧気体が噴射される。
図18(c)に示すように、第3切替状態(開閉弁13が開き、可動ストッパ36が突出した状態)では、小球60cが第3縮径部410cに圧接してこの状態を安定させている。この時、開閉弁13の頭部13aは、パンプ404の略頂点に位置し、開閉弁13は全開し、ワークWの吸着保持に必要な高圧気体が噴射されている。さらに、ワークWの辺縁が、可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37及び補助ストッパ297に当接しているか、または各ストッパ36,37,297に設けられたV字状の切り込み若しくは縮径部に収容された位置にある。
図18(d)に示すように、さらに、ダイヤル193をまわして、スイッチ本体401を前方に移動させると、小球60cが第4縮径部に圧接してその状態を安定させてる第4切替状態になる。この時、第3切替状態に比べて、ストッパシャフト67がさらに回動しており、可動ストッパ36もその基端36aを中心にさらに回動しているが、ワークWを係止するという機能が保たれる範囲での回動である。また、開閉弁13の頭部13aは、バンク404を超えて略第1切替状態と同じ左右位置で対開閉弁面403に当接している(または、開閉弁面から離れている)。そのため、開閉弁13は閉じている。すなわち、第4切替状態とは、開閉弁3が閉じ、可動ストッパ36が突出した状態である。また、補助ストッパは第3切替状態よりも前方へ移動し、ワークWが、可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37および補助ストッパ297によって狭持される。なお、対開閉弁面403のこの部分は急斜面となっているため、わずかな移動で第3切替状態から第4切替状態に切り替わる。そのため、補助ストッパ297を付勢する弾性部295aが過大にワークWを押圧することを防止できる。
第1変形実施例では、第3切替状態でワークWを吸着保持する(可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37および補助ストッパ297での狭持と併用されても良い)。そして、吸着保持板231をウエハ用カセット87(図10参照)から引き上げた後、第4切替状態にしてワークWを可動ストッパ36、左側の固定ストッパ37および補助ストッパ297で狭持し、ワークWを吸着面に接触させないで保持できる。このため、このような狭持によっても変形しないワークWに対しては、ワークWを狭持し搬送している間、高圧気体の噴射が不要である。よって、ベルヌーイチャック201を用いた一連の作業において、高圧気体の使用量が減り、使用コストを削減できる。
≪第4実施形態≫
次に、本発明に係る第4実施形態について図19〜図23を参照して説明する。図19は、第4実施形態に係るベルヌーイチャック301の平面図であり、図20は同側面図であり、図21は第4実施形態に係るベルヌーイチャック301のスイッチ部305の拡大平面図であり(吸着保持板231および上部カバー295は省略している)、図22は図19におけるXXII−XXII面における拡大断面図(第1切替状態)であり、図23は、図22と同じ断面における第3切替状態の拡大断面図である。図19および図20の前後、左右、上下の方向は、図12および図13と同じである。なお、説明に当たって、第3実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。
第4実施形態に係るベルヌーイチャック301は、作業者が手で把持する把持部302と、把持部302の先端側(吐出側)に取り付けられる基盤部303と、基盤部303に取り付けられてワークWの吸着保持を行う吸着部204と、スイッチ部305とを有し、把持部302の後端側に、吐出用配管6(図1参照)を介して高圧気体源である吐出ポンプ(図示を省略)が接続された状態で使用される。
把持部302は、流路部材311が、その後端側が吸着面31dを含む平面から離れるように傾斜している点を除いて、第3実施形態と略同様の構成である。このため、水平の台上に置かれたワークWを吸着保持する場合でも、把持部302をつかんでいる作業者の手が台に接触しない。すなわち、水平の台上に置かれたワークWの吸着保持を行う場合には、図面の上面(吸着面側)が下を向くようにベルヌーイチャック301を保持するが、持ち手部材である流路部材311が台から離れるように傾いているため、作業者の手が台に接触しない。
基盤部303は、基盤部材312に流路部材311が傾斜して取り付けられる点および基盤部材312に横孔27(図12参照)がない点を除いて、第3実施形態と略同様の構成である。
吸着部204は、第3実施形態と同様の構成である。
スイッチ部305は、基盤部303の後端左側から後方に取り付けられたダイヤル支持部321と、ダイヤル支持部321に回動自在に支持されるダイヤル部(被操作部材)322と、軸が左右方向を向くとともに一端がダイヤル部322に摺動可能に支持されるリンクバー323と、リンクバー323の他端側に取り付けられてダイヤル部322の回動に伴って前後に往復移動するスイッチ本体324と、一端側がスイッチ本体324に固定され他端側が基盤部材312のガイド孔25,26を摺動することによってスイッチ本体324の前後移動をガイドするガイドシャフト325,326と、スイッチ本体324の上部に取り付けられてワークWの保持に供される上部カバー295と、スイッチ本体324が所定の範囲(第2移動範囲)を動くときに左右に往復移動するスライドカム64と、基盤部材312の凹部23内に配置されスライドカム64を右方に付勢する圧縮コイルばね65と、一端が回動可能にスライドカム64に取り付けられた連結片66と、後端側に連結片66の他端が固定されて前端に可動ストッパ36が固定されるとともにスライドカムの左右往復移動に伴い軸周りに回動するストッパシャフト67とを備える。
ダイヤル支持部321は、基盤部材312に固定されてスイッチ部305の基端となる支持部本体331と、ディテント機構を構成するための圧縮コイルばね332および爪333と、ダイヤル部322の回転軸となる軸334とを有する。
支持部本体331は、樹脂を素材とした略直方体の形状を呈する部材であり、その前面が基盤部材312の左側後端に固定されている。また、支持部本体331は、右側面に円形の凹部335を有し、前端から凹部34に向けて貫通孔336を有している。
圧縮コイルばね332は前端が基盤部材312の後端に取り付けられて貫通孔336内に配置されている。
爪333は、樹脂または金属を素材とし、その後端側が側面視で三角形を呈する部材である。爪333は、圧縮コイルばね332の後端に取り付けられており、圧縮コイルばね332が自然長のときには凹部335に突出し、圧縮コイルばね332が圧縮されると貫通孔336内に埋没可能である。
軸334は、ステンレス等の金属を素材とする棒材であり、凹部335の中心から右方に突出するように支持部本体331に取り付けられている。
ダイヤル部322は、軸334周りに回動するコントロールダイヤル341と、ディテント機構を構成する位置決め部材342と、レバー343とを有する。
コントロールダイヤル341は、樹脂や金属を素材とし、大小2つの円柱を同心に重ねた形状の部材であって、小径側が左方、大径側が右方になるように配置されている。この同心軸は貫通孔344になっており、コントロールダイヤル341は、貫通孔344が軸334に差し入れられることによってダイヤル支持部321に回動可能に支持されている。また、コントロールダイヤル341の右側面には、径方向に長い案内溝345が設けられている。
位置決め部材342は、樹脂を素材とする略円筒形状の部材であり、その外周壁には、爪333の後端側の形状と略一致する3つの係止溝346,346,346が円筒の軸と平行に設けられている。それぞれの係止溝346間の間隔は、後述するスイッチ本体324の往復移動の範囲に基づき決定される。本実施形態では、その間隔は30.5度および47.5度となっている。位置決め部材342の中空部にはコントロールダイヤル341の小径側(左方)が嵌合しており、そのため位置決め部材342はコントロールダイヤル341と一体となって回動する。
レバー343は、樹脂を素材とする棒材である。レバー343は、コントロールダイヤル341の大径側の辺縁からその径方向に突出するように取り付けられている。コントロールダイヤル341またはレバー343が作業者によって操作される。
リンクバー323は、ステンレス等の金属を素材とする棒状の部材であり、その長手方向が左右を向き、流路部材311の上方に配置される。リンクバー323の左端には円柱状を呈する突起323aが設けられており、この突起323aは、コントロールダイヤル341の案内溝345に摺動可能に収容される。
スイッチ本体324は、樹脂を素材とする成形品であって、概ね直方体の一部が欠けた形状、より具体的には、平面視で長方形の1隅が欠けた形状を呈する厚肉の部材である。
スイッチ本体324の左側面352には、リンクバー323の他端側が固定されており、そのため、リンクバー323とスイッチ本体324とは一体となって移動する。
また、スイッチ本体には、ガイドシャフト325,326が挿入/固定されるシャフト取付孔73,74が設けられており、ガイドシャフト325,326が基盤部材312のガイド孔25,26に沿って摺動することによってスイッチ本体324が前後移動可能になっている。
スイッチ本体324の前面351から左側面352にかけては、平面視で切り欠きとなる面353が設けられている。面353は、上下2つに分かれている。この上側の面がスライドカム64の従動傾斜面86と平行な対スライドカム面354であり、下側の面が平面視でなだらかな曲線となる対開閉弁面355であり、対スライドカム面354と対開閉弁面355とは、平板状の区切り壁356で区切られている。
対スライドカム面354とスライドカム64との位置関係は、第3実施形態の対スライドカム面77とスライドカム64との位置関係と同様である。
次に、スイッチ本体324と流路部材311および開閉弁13との位置関係を説明する。スイッチ本体324の左側面352は流路部材311と所定の間隔をおいて対峙している。スイッチ本体324の対開閉弁面355の前端縁は、開閉弁13が閉じた状態におけるその頭部13aの位置よりも右方または略同位置にある、すなわち、頭部13aよりも流路部材311から離れているか、または略同じ距離にある。そして、対開閉弁面355の後端縁の流路部材11からの距離は、開閉弁13が開いた状態におけるその頭部13aの流路部材11からの高さに略一致する。また、スイッチ本体324を最後方に移動させた状態では、その前面351が開閉弁13の中心より後方または略同位置にある。一方、スイッチ本体62を最前方に移動させた状態では、スイッチ本体324の左側面352に開閉弁13の頭部13aが接している。
スイッチ本体324には、その下面から区切り壁356の上下方向位置と略同じ深さに達するスリット357が設けられており、このスリット357は上下方向および前後方向に略平行になっている。スリット357は、対開閉弁面355の前端縁の位置より右方であって、対開閉弁面355の強度に支障がない程度で左方寄りに設けるとよい。また、スイッチ本体324の右側面からスリット357にかけて貫通孔であるねじ孔358が設けられている。このねじ孔358にねじ359を嵌め、ねじ位置を調整することでスリット357の左側部分(対開閉弁面355)を撓ませることができる。
ガイドシャフト325,325は、その軸が前後方向に平行に、互いに上下方向に所定の距離をおいて配置されている。上側のガイドシャフト325は、第3実施形態の上側のガイドシャフト60と異なり、ディテント機構のための縮径部がない。その他の構造、作用効果は、第3実施形態と同様である。
補助ストッパ297が取り付けられた上部カバー295、スライドカム64、圧縮コイルばね65、連結片66およびストッパシャフト67の構造、作用効果は、第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。
次に、第4実施形態のスイッチ部305の作用の内、第3実施形態と異なる部分を説明する。
まず、リンクバー323の作用について説明する。スイッチ本体324に固定されたリンクバー323がコントロールダイヤル341の回動に応じて動くとき、その突起323aがコントロールダイヤル341の案内溝345を摺動することによって、その上下方向位置を変えずに前後移動する(図22、図23参照)。そのため、コントロールダイヤル341が前後に回動すると、スイッチ本体324が前後に往復移動する。
次に、ダイヤル支持部321及びダイヤル部322に備えられているディテント機構について説明する。コントロールダイヤル341と一体になって回動する位置決め部材342は、3つの係止溝346、346、346を備えている。この各係止溝346に圧縮コイルばね322に付勢された爪333が係止することにより、その状態で、ダイヤル部322が安定する。爪333が前方の係止溝346に係止した状態が第1切替状態に対応し、中央の係止溝346に係止した状態が第2切替状態に対応し、後方の係止溝346に係止した状態が第3切替状態に対応する。よって、操作者の切替操作が容易であるとともに、操作者がレバーまたはコントロールダイヤル341から指を離しても各状態を維持できる。
最後に、スイッチ本体324のスリット357について説明する。第2切替状態は、開閉弁13が開き、可動ストッパ36が埋没した状態である。ここで、第3実施形態では、開閉弁13が全開していた。しかし、第4実施形態では、第2切替状態の開閉弁13の開度は、第3切替状態の開度(全開)よりも小さくなっている。ところで、開閉弁13は約0.7mm程度押圧されると全開状態になる。そのため、開閉弁13の開く度合いによって吐出空気量を調整するためには、対開閉弁面355の位置の微調整が必要となる。そこで、スイッチ本体324の作成時にスリット357およびねじ孔358を設けておき、製品組立後、ねじ孔358に挿入されたねじ359によってスリット357の左側の壁を左方に押し、対開閉弁面355の左右方向位置を調整する。この調整機構によって、所望の吐出空気量が得られる開閉弁13の開度を容易に実現できる。なお、開閉弁13の閉じた状態(第1切替状態)と全開状態(第3切替状態)がこの調整によって影響を受けないように、これらの状態に対応する弁体の位置には十分な遊びが設けられている。
≪第4実施形態の使用例≫
第4実施形態に係るベルヌーイチャック301の使用例について、図10および図11と同様の縦置きウエハ用カセット87からワーク(半導体ウエハ)Wを取り出して、縦置きウエハ用カセット88まで搬送する場合について説明する。
まず、作業者は、レバー343を後方に動かし、あるいは直接コントロールダイヤル341を操作することにより、コントロールダイヤル341を回動させて第1切替状態から第2切替状態にする。第2切替状態になると、開閉弁13の頭部13aが対開閉弁面355の中途に位置し、開閉弁13が半開状態となる。この状態は、あらかじめ、ねじ孔358に挿入されたねじ359によってスリット357が調整されており、そのため、所望の吐出空気量で高圧気体を噴射する。噴射された高圧気体がベルヌーイチャック301の吸着保持板231の挿入時のガイドとなり、半導体ウエハWを傷つけずに吸着保持板231を挿入できる。ここで、吐出空気量は、半導体ウエハWの吸着保持には不十分でも、ガイドとして機能できるのに十分な空気量である。
そして、吸着保持板231を半導体ウエハWに沿ってウエハ用カセット88に挿入し、可動ストッパ36が半導体ウエハWの下端よりも下方に位置するところまできたら、コントロールダイヤル341を回動させて第3切替状態にする。すると、第2切替状態より吐出空気量の多い高圧気体が流れ、半導体ウエハWが吸着保持板231に吸着保持される。さらに、可動ストッパ36、固定ストッパ37及び補助ストッパ297によって、半導体ウエハWが狭持される。吸着保持板231を引き上げて、吸着面31dを略水平に保ち、半導体ウエハWを所定の位置に移送する。この時、開閉弁13以外の高圧気体の流入を遮断する開閉弁(非図示)を閉じて高圧気体の噴射を止めても、可動ストッパ36、固定ストッパ37及び補助ストッパ297が半導体ウエハWを狭持しているため、半導体ウエハWと吸着保持板231との非接触状態を維持して搬送できる。逆の操作で、半導体ウエハWをウエハ用カセット88に置くことができる。
≪第4実施形態の効果≫
第4実施形態は、第1〜第3実施形態と同様の効果の他に、次のような効果を有する。レバー343を設けたことおよび回動する部材にディテント機構を設けたことにより、容易に操作でき、各切替状態を容易に切り替えることができるとともに、被操作部材であるレバー343やコントロールダイヤル341を過剰に動かすことを防止できる。また、第2切替状態における吐出空気量を所望の量に変更できる。このため、パーティクル(ゴミ)の飛散を低減することができる。さらに、ワークWの水平搬送時に高圧気体の噴射を止めることができることを合わさって、使用コストを低減することができる。
以上で本発明に係る実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施が可能である。例えば、可動ストッパは、スイッチ本体と機械的に連結されて出没可能となるのではなく、高圧気体の噴出によって可動ストッパを突出させて、かつ、この高圧気体は噴射口へ向かう流路および開閉弁とは異なる流路および開閉弁を通るようにしても良い。また、縦置きされたワークについて使用例を示したが、横置きされたワークについても使用可能である。また、第1実施形態において、溝78を設けずに、第1可動範囲において、開閉弁13の頭部13aを、スライドカム64が摺動する対スライドカム面77に摺動させても良い。また、第4実施形態において、コントロールダイヤルに第4切替状態のための係止溝を設け、第3実施形態の第1変形実施例のスイッチ本体を適用し、さらにスイッチ本体に対開閉弁面の調節用のスリットを設けても良い。
W ワーク
1,101,201,301 ベルヌーイチャック
5,105,205,305 スイッチ部(スイッチ機構)
11,311 流路部材
13 開閉弁
15 把持部流路(流路)
21,121,312 基盤部材
31,231 吸着保持板
32〜34 薄板
35 噴射口整流板
36 可動ストッパ
38 中央噴射口
39,40 左右の噴射口
41〜43 アリミゾ
44〜46 溝
47〜49 吸着保持板内流路
60 ガイドシャフト
62,162,262,324 スイッチ本体
63 スイッチカバー(被操作部材)
64 スライドカム
65 圧縮コイルばね(第1弾性部材)
66 連結片
67 ストッパシャフト
76 左側面・78 溝(対開閉弁面)
77,353 対スライドカム面
86 従動傾斜面
193 ダイヤル(被操作部材)
295a 弾性部・297 補助ストッパ(第2弾性部材)
323 リンクバー・345 案内溝 (変換機構)
341 コントロールダイヤル・343 レバー(被操作部材)
355,403 対開閉弁面
357 スリット
358 ねじ孔・359 ねじ (調整機構)

Claims (11)

  1. ワークを非接触状態で吸着保持するベルヌーイチャックであって、
    高圧気体源から吐出された高圧気体の流路をその内部に有する流路部材と、
    前記流路部材の流路を開閉する開閉弁と、
    前記流路部材の吐出側に接続され、噴射口が形成された吸着面を有する吸着保持板と、
    前記吸着保持板の辺縁近傍に前記吸着面に対して出没可能に設けられ、突出状態において前記ワークの移動を規制する可動ストッパと、
    前記開閉弁の開閉状態および前記可動ストッパの出没状態の切り替えに供されるスイッチ機構と
    を備え、
    前記スイッチ機構は、
    前記開閉弁を閉じ、且つ前記可動ストッパを埋没させる第1切替状態と、
    前記開閉弁を開き、且つ前記可動ストッパを埋没させる第2切替状態と、
    前記開閉弁を開き、且つ前記可動ストッパを突出させる第3切替状態と
    を切り替えることを特徴とするベルヌーイチャック。
  2. 前記スイッチ機構は、
    往復移動するスイッチ本体と、
    前記スイッチ本体に従動して往復移動するスライドカムと、
    一端側に前記可動ストッパが取り付けられるとともに、前記スライドカムの往復移動に伴って軸周りに回動するストッパシャフトとを備え、
    前記スイッチ本体は、
    前記スライドカムを駆動しない第1可動範囲内を移動することで前記第1切替状態と前記第2切替状態とを切り替え、
    前記スライドカムを駆動する第2可動範囲内を移動することで前記第2切替状態と前記第3切替状態とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のベルヌーイチャック。
  3. 前記開閉弁は、前記流路部材の側面から突出する頭部が押圧されることによって開放状態となり、
    前記スイッチ本体は、その移動方向に対して傾斜するとともに前記スライドカムを駆動する対スライドカム面と、前記開閉弁の開度を調整すべく前記開閉弁の前記頭部を摺動させる対開閉弁面とを有し、
    前記スライドカムは、前記対スライドカム面と摺接する従動傾斜面と、当該スライドカムの移動方向と略直交して突出する突起とを備え、
    前記ストッパシャフトは、その一端側に前記可動ストッパが軸方向に対して略垂直に固定されるとともに、前記突起の突出方向と略平行に配置されて前記吸着保持板に回動可能に支持され、
    前記スイッチ機構は、
    前記スイッチ本体が前記スライドカムを駆動する方向に対して反対方向に前記スライドカムを付勢する第1弾性部材と、
    前記スライドカムの往復移動に応じて前記ストッパシャフトを回動させるべく、一端側が前記ストッパシャフトに固定され、他端側が前記突起を摺動可能に挟持する連結片とをさらに備え、
    前記スイッチ本体の前記第1可動範囲においては、前記開閉弁の頭部が前記対開閉弁面に押圧されながら摺動し、
    前記スイッチ本体の前記第2可動範囲においては、前記開閉弁の頭部が前記対開閉弁面に押圧されながら摺動するとともに、前記第対スライドカム面に前記従動傾斜面が摺動することによって前記スライドカムが駆動されることを特徴とする、請求項2に記載のベルヌーイチャック。
  4. 前記スイッチ機構は、作業者が直接操作する被操作部材を備え、当該被操作部材が操作されることによって前記第1〜第3切替状態を切り替えることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のベルヌーイチャック。
  5. 前記被操作部材は、作業者の操作によって回動し、
    前記スイッチ機構は、前記被操作部材の回動を前記スイッチ本体の往復運動に変換する変換機構をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のベルヌーイチャック。
  6. 前記第2切替状態の前記開閉弁の開度は、前記第3切替状態の前記開閉弁の開度よりも小さいことを特徴とする請求項2〜請求項5に記載のベルヌーイチャック。
  7. 前記スイッチ本体がスリットと、当該スリットの幅を調整する調整機構とを備え、
    前記対開閉弁面は、前記スリットによって前記開閉弁の可動方向に弾性を有するとともに、前記調整機構によって撓むことを特徴とする請求項6に記載のベルヌーイチャック。
  8. その基端側が前記スイッチ本体に取り付けられ、その先端側が前記吸着面の上方に位置するとともに、前記スイッチ本体の移動方向に弾性を有する第2弾性部材をさらに備え、
    前記第2弾性部材は、第3切替状態においてワークの辺縁に圧接することを特徴とする、請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載のベルヌーイチャック。
  9. 前記スイッチ機構は、さらに、前記開閉弁を閉じ且つ前記可動ストッパを突出させる第4切替状態と、前記第1〜第3切替状態とを切り替え、
    その基端側が前記スイッチ本体に取り付けられ、その先端側が前記吸着面の上方に位置するとともに、前記スイッチ本体の移動方向に弾性を有する第2弾性部材をさらに備え、
    前記第2弾性部材は、第4切替状態においてワークの辺縁に圧接することを特徴とする、請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載のベルヌーイチャック。
  10. 前記吸着保持板は、前記流路部材を通過した高圧気体を前記噴射口に送るための吸着保持板内流路を備え、
    前記吸着保持板内流路は、前記吸着保持板に形成された溝と、当該溝の開放面側に取り付けられた薄板とによって形成され、
    前記溝の開放面側は、前記薄板を挿入するためのアリミゾ状を呈することを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のベルヌーイチャック。
  11. 一端側が皿ビス状を呈する噴射口整流板をさらに備え、
    前記噴射口の少なくとも1つは、その底部が前記噴射口整流板の他端側と嵌合することを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のベルヌーイチャック。
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