JP2010276610A - マイクロ流体システム(ms) - Google Patents

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Abstract

【課題】液体試料の被検体をMS被検体として質量分析計に提示する方法を開示する。
【解決手段】この方法は、(a)(i)液体試料を、マイクロ流体デバイスのマイクロチャンネル構造(I)であって、MS−ポートをも含む構造の試料引入れポート(I)に適用し、(ii)マイクロチャンネル構造(I)において液流により被検体を輸送することによって、被検体をMS被検体に変換させ、そして(iii)MSポートを介して質量分析計にMS被検体を提示する工程を含み、そして(b)慣性力を用いてマイクロチャンネル構造(I)の少なくとも一部内で液流を作り出すことを特徴とする。(a)ディスクの面に垂直な対称軸、(b)引出しポートよりも短い半径距離のところに内部適用領域を含み、MSポートおよび試料引入れポート(I)を含むマイクロチャンネル構造(I)を含むマイクロ流体ディスクを開示する。
【選択図】図8a

Description

本発明は、質量分析計(MS)にインターフェースで連結され得るマイクロ流体デバイス(装置)に関するものである。このデバイスは、第一ポート(引入れポート)および第二ポート(引出しポート)を有するマイクロチャンネル構造を含む。分析すべき試料を第一ポートに適用し、第二ポートで質量分析計に提示する。この第二ポートはMSポートと呼ばれる。追加的な引入れおよび引出しポートも存在し得る。マイクロチャンネル構造を通過する間に、試料は質量分析計による分析に適したものに調製される。
MSポートに提示された試料はMS試料と呼ばれる。MS試料中の被検体はMS被検体である。接頭辞無しの「試料」および「被検体」は、主として引入れポートに適用される試料をいう。
伝導および非伝導特性は、電気の伝導に関するものである。
本発明は、MS試料を、エネルギーの投入により表面からのエネルギー脱離/イオン化にかける質量分析法(EDI MS)に関するものである。包括的に本願明細書では、この種の方法をEDIと呼び、表面をEDI表面と呼ぶ。典型的には、EDIは、熱脱離/イオン化(TDI)、プラズマ脱離/イオン化(PDI)および様々な種類の照射脱離/イオン化(IDI)であり、例えば高速原子衝撃(FAB)、電子衝撃などによるものがある。レーザーを使用する場合、この原理はレーザー脱離/イオン化(LDI)と呼ばれる。脱離は、表面における様々なヘルパー物質または官能基と一緒にMS被検体を提示することにより支援され得る。共通の名称は、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)を含むマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)である。MALDIについては、下記の「背景となった刊行物」で検討されている刊行物を参照。SELDIについては、国際公開第WO0067293号(サイファージェン・バイオシステムズ)参照。
本発明はまた、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)に関するものである。
「EDI領域」の語は、EDI表面それ自体およびこの表面により被覆されるサブストレートの一部、例えばEDI表面下にあるサブストレートの一部を包含する。図5の描写を比較されたい。
「マイクロフォーマット」の語は、マイクロチャンネル構造の少なくとも一部において深度および/または幅がマイクロフォーマット範囲にある、すなわち<10μm、好ましくは<10μmに含まれることを意味する。深度および/または幅は、引入れポートおよび引出しポート間、例えば試料引入れポートおよびMSポート間の本質的にいかなる場所においてもこれらの範囲内にある。「マイクロチャンネル構造」の語は、チャンネルがサブストレートにおいて囲まれていることを包含する。
「マイクロ流体デバイス」の語は、被検体を含む液体および様々な試薬の輸送が、液流によりマイクロチャンネル構造内の異なる部分間で輸送されることを意味する。
背景となった刊行物
かなり長い間にわたって、MSポートを組込んだマイクロ流体試料処理および調製デバイスが要求されている。この種のデバイスは、自動化および並行実験を簡易化し、被検体の喪失を減らし、再生能および速度などを増加させる。
・特許文献1(国際公開第WO9704297号(Karger et al))は、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI MS)、大気圧化学イオン化質量分析法(APCI MS)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析法(MALDI MS)および若干の他の分析原理を実施するときに有用であると主張されている引出しポートを有するマイクロ流体デバイスについて報告している。
・特許文献2(米国特許第6110343号(Ramsey et al))は、マイクロ流体デバイスおよび質量分析計間におけるエレクトロスプレーインターフェースについて報告している。
・特許文献3(米国特許第5969353号(Hsieh))は、エレクトロスプレーイオン化質量分析法についてのインターフェースの改良を報告している。インターフェースは、チップのマイクロチャンネル構造に連結されたエレクトロスプレーチップの形態をしている。
・特許文献4(米国特許第5197185号(Yeung et al))は、質量分析計へ微小規模の液体に基く分離プロセスを直接連結するためのレーザー誘導蒸発作用およびイオン化インターフェースについて報告している。光吸着成分を溶離液に含ませることにより、蒸発作用が促進され得る。
・特許文献5(米国特許第5705813号(Apffel et al))および特許文献6(米国特許第5716825号(Hancock et al))は、MSポートを含むマイクロ流体チップについて報告している。チップ内の試料を処理後、試料はMSポートに現れる。次いで、チップ全体をMALDI−TOF MD装置に置く。マイクロ流体デバイスは、
(a)MALDI−TOF MS装置の真空ゲートにおけるプローブ表面として使用され得る開口イオン化表面(特許文献5(米国特許第5705813号)の6欄、53〜58行)または
(b)MS被検体がMALDI−TOF MSにとって適当なプローブ表面へ移され得る純粋な捕獲/反応表面(特許文献6(米国特許第5716825号)の12欄、13〜34行)
を含む。
これらの刊行物は、デバイスのマイクロチャンネル構造内の液体輸送手段がデバイスに組込まれているか連結されていることを示唆している。与えられた手段は電気結線、ポンプなどである。これらの種類の輸送手段は、設計および用途についての余分な複雑さを余儀なくされるため、これらのデバイスの生産コスト、処理の容易さなどにマイナスの影響を及ぼし得る。
特許文献5(米国特許第5705813号(Apffel et al))および特許文献6(米国特許第5716825号(Hancock et al))は両方とも明らかにマイクロ流体デバイスに関するものであるが、それらは、
・MALDIイオン化表面周囲の適当な流体、
・MALDIイオン化表面における適当な結晶化、
・結晶化、蒸発作用に関するポートの適当なジオメトリー、入射レーザービームなど、
・MALDI MS分析用のMALDIイオン化表面への導電性接合部
についてはあまり触れていない。
これらの特徴は、有効にMALDI質量分析計へマイクロ流体デバイスをインターフェースで連結するために重要である。
特許文献7(国際公開第9704297号(Karger et al))および特許文献8(PCT/SE01/02753(ジャイロス AB))は、マイクロ流体デバイスのマイクロチャンネル構造の放射状または輻射状配列を示唆している。
特許文献9(国際公開9721090号(Mian et al))(30頁、3〜4行、および51頁、10行)および特許文献10(国際公開第0050172号(Burd Mehta))(55頁、14行)は、概略的にはそれらのマイクロ流体が、質量分析法により分析されるはずの試料の調製に使用され得ることを示唆している。特許文献9(国際公開第9721090号)は、明らかに遠心力を用いて液流を押し流すシステムに関するものである。
遠心力を用いてマイクロ流体システム内の液体を動かすことに触れた若干の刊行物が過去何年間かの間に出ている。例えば、特許文献9(国際公開第9721090号)(ガメラ・バイオサイエンス)、特許文献11(国際公開第9807019号)(ガメラ・バイオサイエンス)、特許文献12(国際公開第9853311号)(ガメラ・バイオサイエンス)、特許文献13(国際公開第9955827号)(ジャイロス AB)、特許文献14(国際公開第9958245号)(ジャイロス AB)、特許文献15(国際公開第0025921号)(ジャイロス AB)、特許文献16(国際公開第0040750号)(ジャイロス AB)、特許文献17(国際公開第0056808号)(ジャイロス AB)、特許文献18(国際公開第0062042号)(ジャイロス AB)、特許文献19(国際公開第0102737号)(ジャイロス AB)、特許文献20(国際公開第0146465号)(ジャイロス AB)、特許文献21(国際公開第0147637号)(ジャイロス AB)、特許文献22(国際公開第0154810号(ジャイロス AB))、特許文献23(国際公開第0147638号(ジャイロス AB))参照。
特許文献24(米国特許出願第60/315471号)および対応する国際特許出願は、マイクロ流体機能の様々な設計について検討しており、それらの中には本発明に適用され得るものもある。
また、非特許文献1(Zahang et al.、“Microfabricated devices for capillary electrophoresis-electrospray mass spectrometry”、Anal.Chem.71(1999)3258〜3264)およびそこに引用された参考文献も参照。
非特許文献2(Kido et al.(“Disc-based immunoassay microarrays”、Anal.Chim.Acta 411(2000)1〜11))は、コンパクトディスク(CD)でのマイクロスポットイムノアッセイについて報告している。著者らは、CDが、マイクロボアHPLCおよび後続の例えばMALDI MSによる検出のための連続試料収集装置として使用され得ることを示唆している。予備実験では、ポリカーボネートで製造した1枚のCDを金で被覆し、ペプチドおよびMALDIマトリックスの混合物によりスポットした。
優先権主張出願について編集された国際類型調査報告において、特許文献25(米国特許第6191418号(Hinsgaul et al))、特許文献26(米国特許第4279862号(Bretaudiere et al))、および特許文献27(米国特許第5869830号(Franzen et al))は、X/Yと分類された。これらの刊行物の中に、マイクロ流体デバイスおよび質量分析計とのそれらのインターフェースに付随する問題に関するものは無い。特許文献25(米国特許第6191418号(Hinsgaul et al))は、配列を回転させることによりMS装置へ一つずつインターフェース連結され得るエレクトロスプレーチップの環状配列について記載している。液流が外部手段により適用されるクロマトグラフィーカラムにチップを連結する。特許文献26(米国特許第4279862号(Bretaudiere et al))は、(a)遠心力により押出される流れに乱流を生じさせることにより混合を誘発するユニットおよび(b)終結測定用チャンバーを含む外に向かうフローシステムを含む環状ディスクについて記載している。特許文献27(米国特許第5869830号(Franzen et al))は、レファレンス化合物と一緒にMALDI MS装置において慣用的方法で提示されるMS被検体の正確な質量測定法について記載している。
国際公開第WO9704297号 米国特許第6110343号 米国特許第5969353号 米国特許第5197185号 米国特許第5705813号 米国特許第5716825号 国際公開第9704297号 PCT/SE01/02753 国際公開9721090号 国際公開第0050172号 国際公開第9807019号 国際公開第9853311号 国際公開第9955827号 国際公開第9958245号 国際公開第0025921号 国際公開第0040750号 国際公開第0056808号 国際公開第0062042号 国際公開第0102737号 国際公開第0146465号 国際公開第0147637号 国際公開第0154810号 国際公開第0147638号 米国特許出願第60/315471号 米国特許第6191418号 米国特許第4279862号 米国特許第5869830号
Zahang et al.、"Microfabricated devices for capillary electrophoresis-electrospray mass spectrometry"、Anal.Chem.71(1999)3258〜3264 Kido et al.("Disc-based immunoassay microarrays"、Anal.Chim.Acta 411(2000)1〜11)
発明の目的
・第一の目的は、質量分析計とインターフェース連結され得るマイクロ流体デバイスにおける試料、フラグメントおよび誘導体を含む被検体、試薬等の輸送についての改良された手段および方法の提供である。
第二の目的は、試料被検体をMS被検体として提示する前の試料処理について改良されたマイクロ流体方法および手段の提供である。副目的は、再生可能な収率/回収、および/または貴金属喪失を最小に維持しながらマイクロ流体装置内における試料の有効な濃縮、精製および/または変換を可能にすることである。
第三の目的は、MS試料/MS被検体の有効で改善された提示を可能にする改良されたマイクロ流体方法および手段の提供である。特にこの目的は、EDI表面で、またはエレクトロスプレーイオン化(ESIチップ)により提示されたMS試料に適用される。
第四の目的は、液流が慣性力により誘発されるマイクロ流体デバイスに存するEDI表面で提示されたMS試料からの再生可能な質量値を可能にすることである。
第五の目的は、MS被検体を質量分析計に提示する前の並行試料処理について改良されたマイクロ流体手段および方法の提供である。この目的の改良点は、例えば濃縮、化学的変換、個々の工程および処理プロトコル全体についての所用時間等における正確さといった特徴をいう。並行試料処理とは、2個またはそれ以上の試料処理が、同じマイクロ流体デバイス内の異なるマイクロチャンネル構造で並行して進められることを意味する。並行実行数は、5より大、例えば10、50、80、100、200、300または400実行数より大であり得る。並行試料の特定重要数は、マイクロタイタープレートにおけるウェルの標準数未満またはそれと同等、例えば96またはそれ未満、384またはそれ未満、1536またはそれ未満等である。
第六の目的は、並行試料処理を可能にし、質量分析計に適合化された1個またはそれ以上のMSポートを有する安価で使い捨て可能なマイクロ流体デバイスユニットの提供である。
発明の要約
本発明者らは、この明細書で特定されたマイクロ流体デバイス内における液体の輸送に慣性力が用いられる場合には、上述の目的の幾つかが満たされ得ることを認識した。これは、液体、例えば洗浄液および(a)その誘導体およびフラグメントを含む被検体、(b)試料/被検体の変換で使用される試薬等の少なくとも一つを含む液体に適用可能である。
本発明者らはまた、マイクロ流体デバイスにおけるEDI領域の最適化が、
(a)EDI領域における導電層の設計および/または位置設定、および/または
(b)EDI MSポートに付随するキャリブレーター領域の必要性、および/または
(c)MS分析についてのEDI領域への適当な導電性接合部の必要性
と関連していることを認めた。
適当な導電性接合部は、例えば、EDI領域での適当な電圧および/または電荷輸送を維持する。不適当な導電特性は、質量の正確さ、感度、分離等にマイナスの影響を及ぼし得る。マイクロ流体デバイスに複数のマイクロチャンネル構造が存在する場合、(a)〜(c)の重要性は高まる。
MSポートを有する様々なマイクロチャンネル構造を示す。 MSポートを有する様々なマイクロチャンネル構造を示す。 MSポートを有する様々なマイクロチャンネル構造を示す。 エレクトロスプレー形態のMSポートを示す(側面図)。 EDI表面を含むMSポートにおける導電層(I)の様々な設計および配置を示す(MSポートの断面側面図)。 層(I)および導電性接合部を伴うEDI MSポート周囲の配置を示す(透明のふた、上から見たもの)。 透明のふたを伴うEDIポートの変形モデルを示す(それぞれ上から見たものおよび断面側面図)。 透明のふたを伴うEDIポートの変形モデルを示す(それぞれ上から見たものおよび断面側面図)。 MALDI MSとインターフェースで連結されるのに適切なマイクロチャンネル構造の変形モデルおよび完全環状マイクロ流体ディスク(CD)における最適配列を示す。 MALDI MSとインターフェースで連結されるのに適切なマイクロチャンネル構造の変形モデルおよび完全環状マイクロ流体ディスク(CD)における最適配列を示す。
発明の詳細な記載
本発明の第一態様は、液体試料の被検体をMS被検体として質量分析計へ提示する方法である。この方法は、
(a)
(i)液体試料を、マイクロ流体デバイスのマイクロチャンネル構造(I)であって、MS−ポートをも含む構造の試料引入れポート(I)に適用し、
(ii)マイクロチャンネル構造(I)において液流により被検体を輸送することによって、被検体をMS被検体に変換させ、そして
(iii)MSポートを介して質量分析計にMS被検体を提示する
工程を含み、そして
(b)慣性力を用いてマイクロチャンネル構造(I)の少なくとも一部内で液流を押出す
ことを特徴とする。
本発明の第二の態様は、
(a)ディスクの面に垂直な対称軸、
(b)内部引入れポートからディスクの周縁部に向かう液流方向により放射状に指向され、MSポートおよび試料引入れポートを含むマイクロチャンネル構造(I)
を含むことを特徴とするマイクロ流体ディスクである。
この態様は、MSポートがESI MSポートまたはEDI‐MS‐ポートであり得ることを包含する。EDI MSポートの場合。
本方法態様はまた適用される質量分析方法を包含するもので、すなわち革新的方法はまた、例えば被検体に関する分子量および構造情報を得るために、マススペクトルおよびその分析値の実際の収集を包含し得る。
本発明の態様の様々な革新的実施例について下記で検討している通りさらに定義する。
液流
マイクロチャンネル構造内での被検体、被検体由来の物質、試薬等の輸送に使用される液流は、動電学的力および/または非動電学的力により引き起こされ得る。典型的な非動電力は慣性力、例えば遠心力、毛管力、圧力差により生じる力などである。この明細書で検討されている環状形態を有するマイクロ流体デバイスの場合、例えばMSポートへ輸送するためには、各マイクロチャンネル構造の少なくとも一部において、デバイスを回転させることにより、すなわち遠心力により液流を引き起こすのが好ましい。「圧力差により生じる力」の語は、一連の液体アリコートの回転および適用の組み合わせ作用によりある種のマイクロチャンネル構造内で生じる静水圧を包含する(下記および国際公開第0146465号(ジャイロス AB)参照)。
優先権主張日時点で、この革新的デバイスおよび方法で使用される最も重要な慣性力は遠心力、すなわちデバイスを回転させることによるディスク周縁部に向かう液体の外向的輸送の達成である。回転軸はディスクの対称軸と一致する。
慣性力、例えば遠心力は、1種またはそれ以上の他の駆動力と組み合わされ得る。この組合わせは、マイクロチャンネル構造の同じ部分にあり得る。この組合わせはまた、遠心力形態の慣性力が、流れが環状ディスク周縁部に向かって外向きに指向される部分での輸送に用いられ、他の部分では他の力がディスク周縁部に対し内向きまたは多少平行である流れを生じさせることを意味し得る。
毛管力は、典型的には引入れポートから引入れポートに伴うマイクロチャンネルへの液体アリコートの輸送に使用され得る。この種のマイクロチャンネルは、ディスクの中心に向かって内向きまたはほぼそれと垂直に指向され得る。
特に流動開始時および/または液体が分岐および湾曲部を通過するとき、流動抵抗におけるチャンネル間変動を克服するために流れを増加させるパルスを含むのが有益であり得る。
試料およびその処理
引入れポートに適用される試料は、1種またはそれ以上の被検体を含有し得、それには脂質、炭水化物、核酸および/またはペプチド構造または他の有機構造が含まれ得る。被検体はまた、無機構造を含み得る。マイクロチャンネル構造内で行なわれる試料処理プロトコルは、典型的には、試料が1種またはそれ以上のMS試料に変換されることを意味し、その場合、
(a)MS被検体は、出発被検体の誘導体であり、および/または
(b)非被検体種の量(複数も可)は、出発試料と比べて変化を被っており、および/または
(c)試料中における異なるMS被検体の相対出現度は、出発試料と比べて変化を被っており、および/または
(d)MS被検体の濃度は、出発試料中における対応する出発被検体と比べて変化を被っており、および/または
(e)試料構成成分、例えば溶媒は変化を被っており、および/または被検体は溶解形態から固体形態、例えば共結晶化形態へ変化している。
(a)項は、被検体の様々なサイズのフラグメントへの消化および/または化学的誘導体化を包含する。消化は、純粋に化学的または酵素的であり得る。誘導体化は、出発被検体または試料処理プロトコル中に形成されたフラグメントまたは他の誘導体のいわゆるマス標識を包含するもので、これはマイクロチャンネル構造で行なわれる。(b)および/または(c)項は、試料被検体が精製および/または濃縮されたことを含む。(a)〜(d)項は、特に炭水化物、核酸および/またはペプチド構造を含むバイオポリマーである被検体に適用される。
試料は、典型的には液体形態であり、水性であり得る。
試料はまた、変化を被らずにマイクロチャンネル構造を通過し得る。この場合、マイクロチャンネル構造内での処理は、質量分析計へ被検体を投与するための形態を提供するのみである。
図面。
図1〜3は、MSポートを有する様々なマイクロチャンネル構造を示す。
図4は、エレクトロスプレー形態のMSポートを示す(側面図)。
図5a〜fは、EDI表面を含むMSポートにおける導電層(I)の様々な設計および配置を示す(MSポートの断面側面図)。
図6は、層(I)および導電性接合部を伴うEDI MSポート周囲の配置を示す(透明のふた、上から見たもの)。
図7a〜bは、透明のふたを伴うEDIポートの変形モデルを示す(それぞれ上から見たものおよび断面側面図)。
図8a〜bは、MALDI MSとインターフェースで連結されるのに適切なマイクロチャンネル構造の変形モデルおよび完全環状マイクロ流体ディスク(CD)における最適配列を示す。
図1〜8に示されたマイクロチャンネル構造は、平面マイクロ流体デバイスに存在する。
マイクロ流体デバイス。
マイクロ流体デバイスは、液体試料を適用するための引入れポートおよびMS被検体を質量分析計へ放出および提示するためのMSポートを有する1個またはそれ以上のマイクロチャンネル構造を含む。これらの種類のポートは、マイクロチャンネル構造で同時に存在し得る。また、溶媒および試薬を適用するための別々の引入れポートおよび構造において添加および/または生成される他の成分を回収するための別々の引出しポートまたは廃棄チャンバー/空洞が存在し得る。2個またはそれ以上のマイクロチャンネル構造は、共通の引入れポートを有し得る。デバイスの特定設計によっては、例えばMS被検体の適当な放出および提示を可能にするために、試料処理中は閉じられるが、後で開かれるポートもあり得る。
マイクロチャンネルにおいて向かい合った2壁間の距離は、典型的には≦1000μm、例えば≦100μm、更には≦10μm、例えば≦1μmである。機能的チャンネルパーツ(チャンバー、空洞など)は、典型的には≦500μl、例えば≦100μl、更には≦10μl、例えば≦1μlの容積を有する。重要な変形モデルでは、これらの容積は、≦500nl、例えば≦100nlまたは≦50nlであり得る。これらのパーツの深度は、≦1000μm、例えば≦100μm、例えば≦10μm、更には≦1μmの間隔であり得る。下限(幅および深度)は、常に、マイクロチャンネル構造内で輸送される試薬および被検体(フラグメントおよび誘導体を含む)の最大のものより顕著に大きい。異なるチャンネルパーツの下限は、典型的には0.1〜0.01μmの範囲である。縦横比(深度対幅)は、マイクロチャンネル構造の全パーツまたは一部のみにおいて≧1または≦1であり得る。
好ましいマイクロ流体デバイスは、典型的には1個、2個またはそれ以上、好ましくは5個を越えるマイクロチャンネル構造を含む。好ましい変形モデルでは、デバイスは、マイクロチャンネル構造のサブストレート表面露出パーツをマイクロチャンネル構造の残りのパーツがあるとすればそれを包含するふたで覆うことにより形成される。ふたは、液体の望ましくない蒸発を阻止または最小限に抑え、そして液体の輸送を促進する。
マイクロチャンネル構造は、好ましくは幾つかのマイクロチャンネル構造に共通した平面で拡張する。さらに、他の方向、主として共通面に垂直に伸びる他のマイクロチャンネルが存在し得る。上記の他のマイクロチャンネルは、例えば、共通面に位置していないマイクロチャンネル構造への試料または液体適用領域または接合部として機能し得る。
マイクロ流体デバイスはディスク形状であり、様々な幾何図形的配列を有し得、環状形態が好ましい変形モデルである(CD形態)。環状形態のようなディスクの他の変形モデルは、少なくとも3または少なくとも6−総数である対称軸を有し得る。環状形態は、典型的には、慣用的CDの半径の≧10%または≦300%である半径(r)を有するが、慣用的CDフォーマットが好ましい。
対称軸を有する環状形態または他の形態を有するデバイスでは、MSポートは、典型的には、マイクロチャンネル構造の引入れポート、共通分配系/チャンネル等よりも対称軸からの半径距離が大きいところに位置する。複数の引入れポートが存在する場合、それらは対称軸から異なる半径距離のところに位置し得る。各マイクロチャンネル構造についての流動方向は、内側適用領域(引入れポート、共通分配系またはチャンネル等)からディスク周縁部にある引出しポート、典型的にはMSポートへ向かう。マイクロチャンネル構造は、ディスクの対称軸周囲において1個またはそれ以上の同心円形態(輪状/環状配列)で配列され得る。各円におけるMSポートは、対称軸から同じ半径距離のところにある。
「放射状指向マイクロチャンネル構造」の語は、マイクロチャンネル構造が、引出しポート、典型的にはMSポートよりも回転軸(対称軸)に近いところに引入れポートまたは共通分配ユニットを有することを意味する。この語は、部分構造の設計または方向を考慮したものではない。
各マイクロチャンネル構造は、機能の点で異なるパーツを含み得る。引入れポート、MSポート、輸送導管/チャンネルに加えて、
(a)試料液体以外の試薬および液体用適用ゾーン/ポート(第二引入れポート)、
(b)追加的MSポート、
(c)例えば上記で検討した被検体の誘導体化(消化、標識等)についての反応ゾーン、
(d)圧力を生じさせるゾーン(例えば静水圧)、
(e)容積規定ゾーン、
(f)混合ゾーン、
(g)例えば毛管電気泳動、クロマトグラフィーなどにより、被検体またはその誘導体またはフラグメントを分離および/または濃縮および/または精製するためのゾーン、
(h)廃棄導管/チャンバー/空洞(例えば引出しポート形態で)、
(i)液流スプリットゾーンなど
として機能する1個またはそれ以上のパーツが存在し得る。これらのパーツは各々、マイクロチャンネル構造の先行および/または後続部分と同一または異なる断面寸法を有し得る。
様々なパーツ(a)〜(i)のサイズは、若干の因子、例えば試料、使用試薬、洗浄、処理プロトコル、所望の感度、質量分析計のタイプなどにより異なる。典型的サイズは、1nl〜1000μlの範囲にあり、主として1μl未満、例えば500nl未満、更には100nl未満、例えば25または10nl未満(容積規定ユニット、リアクター部分、分離部分等)である。同じ引入れポートへの液体、例えば試料、洗浄液、脱着液等の反復適用により、大きな容積規定ユニットの必要性は無くなり得る。
液流のスプリットが、上流部分に位置し、引入れに付随し得ることにより、出発試料は幾つかのアリコートに分割され、次いでそれらの各々は、本発明デバイス内で並行処理される。
MSポートの存在を除き、有用なマイクロチャンネル構造については、若干の先行特許公開で報告されている。上記で検討されている背景となった刊行物参照。
異なる機能を有するパーツ間には、液流を駆立てる力を増すことにより克服され得るバルブが存在し得る。回転を利用する変形モデルの場合、これは例えば、スピニングの増加および/または回転と合わせた新たな分量の液体の追加故に構造内で強められた圧力の利用により実施され得る。例えば、国際公開第0040750号(ジャイロス AB)および国際公開第0146465号(ジャイロス AB)参照。バルブは、毛管接合(国際公開第9807019号(ガメラ・バイオサイエンス))または疎水性ブレーク(国際公開第9958245号(ジャイロス AB)、国際公開第0185602号(ジャイロス ABおよびエーミック AB))またはバルブ材料の熱特性に基き得る。後者の種類のバルブは、例えばワックス様材料のプラグを含むいわゆる犠牲バルブ(国際公開第9853311号(ガメラ・バイオサイエンス))、または可逆性バルブ、例えばプラグ形態の熱可逆性ポリマーを含むもの(国際公開第0102737号(ジャイロス AB))により説明され得る。
本発明にしたがって使用されるマイクロチャンネル構造の一種は、被検体または被検体由来の物質の分離および/または濃縮および/または精製が行われ得るゾーンを含む。このゾーンは、MSポートまたはその前部に位置する。被検体由来の物質の例は、被検体のフラグメントおよび誘導体である。この種の機能性は、低濃度の被検体を含む試料、被検体の複雑な混合物またはMS被検体の分離および/または感度にマイナスの影響を及ぼし得る高濃度の干渉物質にとって特に重要であり得る。本発明において分離、濃縮、精製、誘導体化、フラグメント化等に利用される原理は、生命科学領域で使用されるものと同様であり、例えばサイズ排除および/またはリガンド構造への結合差異に基く分離が適用可能である。したがって、分離ゾーンは、被検体または被検体由来の物質とは結合し得るが汚染物質とは結合し得ない(または逆もまた同様)分離媒質を含み得る。分離媒質は、典型的には粒子/ビーズ形態、分離ゾーンの表面、またはスルーフローを可能にするモノリシックプラグ(多孔質)である。被検体または被検体由来の物質が結合した場合、それに続いて結合物質に適切な脱離特性を有する液体にゾーンを通過させると、結合物質は解離され、下流へ輸送される。この輸送は、MSポートまたは更なる分離工程が実施されるゾーンに向けて直接行われ得る。洗浄工程は、試料液および脱離液間に挿入され得る。分離媒質は、結合工程中には可溶性または非可溶性であり得る。可溶性分離媒質は、所望の物質結合後には概して不可溶化されている。これらの原理は、肉眼的分離分野では熟知されている。
先行段落で検討されている結合は、概して分離媒質へのアフィニティー(親和性)結合または共有結合を意味する。共有結合は、典型的には例えばチオールジスルフィド交換により可逆性である。アフィニティー結合(=アフィニティー吸着)は、
(a)典型的にはリガンドおよび結合される物質が反対の電荷を有することを必要とする静電的相互作用、
(b)典型的にはリガンドおよび結合される物質が疎水性基を含むことを必要とする疎水性相互作用、
(c)典型的にはリガンドおよび結合される物質が電子受容体および電子供与体基をそれぞれ有する(逆もまた同様)ことを必要とする電子供与体受容体相互作用、および
(d)相互作用が複雑な性質を有する、典型的には異なる種類の相互作用および/または基の混合物を含むバイオアフィニティー(生物学的親和性)結合
により説明され得る。
イオン交換リガンドはカチオン性(=アニオン交換リガンド)またはアニオン性(=カチオン交換リガンド)であり得る。典型的アニオン交換リガンドは、正に荷電した窒素を有し、最も一般的なものは第1級、第2級、第3級または第4級アンモニウムリガンド、およびある種のアミジニウム基である。典型的カチオン交換リガンドは、負に荷電したカルボン酸基、燐酸基、ホスホン酸基、硫酸基およびスルホン酸基を有する。
バイオアフィニティー結合は、被検体または被検体由来の物質がいわゆるバイオアフィニティー対の一員であり、リガンドが対の他の一員であることを含む。典型的なバイオアフィニティー対は、抗原/ハプテンおよび抗体/抗体の抗原結合フラグメント、相補的核酸、免疫グロブリン結合タンパク質および免疫グロブリン(例えばIgGまたはそのFc部分およびプロテインAまたはG)、レクチンおよび対応する炭水化物等である。「バイオアフィニティー対」の語は、構成員の一方または両方が合成的、例えばバイオアフィニティー対の天然構成員を模倣するものであるアフィニティー対を包含する。
試料中の被検体がペプチド構造または核酸構造を有するかまたは他の形で著しい疎水性を有する場合、分離媒質は、有機性である脱着液(溶離液)、例えばアセトニトリル、イソプロパノール、メタノール等の使用と組み合わされた逆相型(疎水性)に属し得る。特定試料、および共通結合構造を有する被検体または被検体由来の物質の存在によって、基特異的分離媒質が使用され得る。すなわち分離媒質は、逆相吸着剤と同様、低い塩濃度を有する、すなわち脱塩されたMS試料をもたらし得る。
各マイクロチャンネル構造では、同一または異なる原理、例えばサイズおよび電荷を利用する2つまたはそれ以上の分離ゾーンが存在し得る。両性物質、例えばタンパク質およびペプチドの場合、後者の原理は等電点電気泳動により説明され得る。
分離媒質への結合を含む分離工程後、分離媒質通過後の脱離液中における被検体または被検体由来の物質の濃度は、一般的に出発試料中の場合よりも高い。増加は係数>10、例えば10‐10、例えば10‐10の間隔によるものであり得る。
既に述べた通り、分離ゾーンは、フラグメント化を含む誘導体化のためのゾーンと組み合わされ得る。また、分離ゾーンではなく誘導体化ゾーンを有するマイクロチャンネル構造も存在し得る。
米国特許出願第60/322621号および対応する国際出願は、検定法における上述のアフィニティー原理の使用について報告しているが、はっきりと質量分析法に言及しているわけではない。
図1は、(a)試料液を含む液体用の引入れポート(1)、(b)例えばEDI表面を含むMSポート(2)、(c)引入れポート(1)およびMSポート(2)間のフロー導管(3)を含むマイクロチャンネル構造を示す。MSポートは開いているかまたは蓋され得る。フロー導管(3)は、分離/濃縮用吸着剤を含むゾーン(4)を有し得る。デバイスに幾つかのマイクロチャンネル構造がある場合、引入れポート用の開口部(図示せず)と共に共通の適用領域/チャンネルが存在し得る。MSポートは、EDI MSポート、エレクトロスプレーMSポートであり得る。
図1の構造は、MSポート(2)よりも中心に近いところに引入れポート(1)を伴う環状ディスク上に存在し得る。MSポートがEDI−MSポートであり、ディスクを回転させることにより液体が導管(3)を通って輸送される場合、液体は、液体の蒸気圧および/または回転速度しだいで滴として、または蒸発によりMSポートを離れる。蒸気圧が低く、回転速度が増加すると、滴の形成が促進され、蒸気圧が高く、回転速度が減少すると、液体の蒸発およびmSポートにおけるMS被検体の結晶化が促進される。回転速度が低すぎ、蒸気圧が低すぎると、導管(3)における物質の沈着についての危険性が増加する。
図2は、マイクロチャンネル構造の別の変形モデルを示す。それは、試料、洗浄液および脱離液の適用に使用され得る2個の引入れポート(5,6)を有する。引入れポートの一方(5)を、同デバイスにおける幾つかのマイクロチャンネル構造に共通したものであり得る適用領域/チャンネル(7)に連結する。この第一引入れポート(5)を、適用領域/チャンネル(7)を介してU形状チャンネルのシャンク(8)の一つに連結する。他方の引入れポート(6)を、Uの他方のシャンクに連結する。Uの下方部分には、MSポート(10)に至る出口導管(9)が存在する。出口導管(9)は、分離媒質を含有するゾーン(12)を含み得る。MSポート(10)からは、同デバイスにおける幾つかのマイクロチャンネル構造に共通したものであり得る廃棄チャンネル(14)に至る廃棄チャンネル(13)が形成され得る。導管(9)は、可能な分離ゾーン(12)の上流に、例えば疎水性ブレーク形態をしたバルブ機能を含み得る。
また、図2のマイクロチャンネル構造は、環状ディスクおよびディスクの回転により生じた液流に適合化されている。適用チャンネル(7)は、廃棄チャンネル(14)よりもディスクの中心から短い半径距離のところにある。
図3は、別々の試料引入れポート(14)、MSポート(15)およびその間に試料調製に使用され得る構造を含むマイクロチャンネル構造を示す。この変形モデルでは、試料引入れポート(14)およびMSポート(15)間に計量用微小空洞(16)を含む容積規定ユニットが存在し、末端が、幾つかのマイクロチャンネル構造に共通したものであり得る廃棄チャンバー(25a)に至るオーバーフロー導管(17)が付随する。計量用微小空洞(16)の下方部分には、U形状チャンネルのシャンク(19)の一つに至る第一出口導管(18)が存在する。このUの他方のシャンク(20)は、洗浄および/または脱離液用の引入れポート(21)に連結され得る。U形状チャンネルの下方部分では、第二U形状チャンネルのシャンク(23)の一つに入る第二出口導管(22)が存在し得る。他方のシャンク(24)は、湾曲部(26)の後に末端が廃棄チャンバー(25a)に至り得る廃棄チャンネル(25b)に連結され得る。第二U形状チャンネルの下方部分には、EDI表面またはエレクトロスプレーユニットを含み得るMSポート(15)に入る第三出口導管(27)が存在し得る。マイクロチャンネル構造における流れを制御するために、バルブ機能は、
(a)第一出口導管(18)、例えば容積規定ユニット(16)の下流付近、
(b)同じく可能ならば第二出口導管(22)、例えば第一Uの直後、
(c)第三出口導管(27)、例えば第二Uの直後、および
(d)オーバーフローチャンネル(17)および廃棄チャンネル(25b)間の接合部と共に
配置され得る。
バルブは、疎水性ブレークについて優先的に上記で検討されたタイプに属し得る。上記で検討された適切な吸着剤(28)は、第二出口導管(23)に設置され得、またバルブとして機能し得る。吸着剤が粒子形態である場合、それらは、好ましくは導管内壁の収縮により定位置に保持される。
図3に示された構造は、遠心力で液体を輸送するのに適合化され、すなわちディスクに存在し、ディスクの中心から外向きに放射状に向けられた構造を伴う。実験開始時、計量用空洞(16)を、例えば毛管作用により、少なくともオーバーフローチャンネル(17)および計量用空洞(16)間の接合部まで試料液で満たす。液体はオーバーフローチャンネル(17)に入る。まずオーバーフローチャンネル(17)および廃棄チャンネル(25a)間のバルブ機能を克服することにより、過剰の液体を廃棄チャンネル(25a)中へ通す。次いで、第一出口導管(18)においてバルブ機能を克服することにより、計量用微小空洞(16)中の液体を第一U中へ通し、そして下方へと吸着剤(28)を通過させ、そこで被検体を捕獲させる。次いで、現時点で本質的に被検体を欠く液体は、第二Uの底部で停止する。次の段階では、洗浄液の一つまたはそれ以上のアリコートは、引入れポート(14、21)のどちらかを通して、すなわち第一Uの第二シャンク(20)を通してまたは試料と同じ引入れポート(14)を介して適用され得る。洗浄液は吸着剤(28)を通過し、第二Uの底部に集まり、既に存在する液体を廃棄チャンバー/チャンネル(25a,b)へ押出す。それに続いて、脱離液を2つの引入れポート(14、21)のどちらかに通して適用し、吸着剤(18)を通過させると、そこで被検体が第二Uの底部へと放出され、そこで洗浄液は廃棄チャンバー/チャンネル(25a,b)中へ押出される。次いで、放出された被検体を含有する脱離液を、第三出口導管(27)のバルブ機能を克服することにより第二Uの底部からMSポート(15)へ通す。
好ましくはディスクを回転させながら操作を実施する。バルブが疎水性ブレーク形態である場合、それらはg力を適度に適合させることにより、すなわち回転させることにより通過され得る。液体の親水性/疎水性の均衡を適度にとることにより、バルブを通過するか非通過かは回転速度を変えなくても制御され得る。これは、試料としての水‐溶液および洗浄液および脱離液としての有機溶媒含有液の使用と組み合わせて第三出口導管(27)におけるバルブとして疎水性ブレークを利用することにより説明される。別法では、外部手段により開かれるバルブが使用され得る。計量用微小空洞(16)の最下部よりも対称軸からの半径距離が短いところに第一出口導管(18)の引出し口を設けることにより、計量用微小空洞(16)が第一出口導管(18)を通じて空になったとき、粒状物質が試料中に存在する場合、それらは沈降し、容積規定ユニットに保持される。
キャリブレーター領域(29)は、図1〜3の各々に示されている。各キャリブレーター領域は、キャリブレーター物質を適用するための共通領域に連結され得る。
これらの種類のフローシステムは、国際公開第0040750号(ジャイロス AB)および国際公開第0146465号(ジャイロス AB)に報告されており、これらを出典明示で援用する。
ある種の変形モデルでは、試料用引入れポートおよびMSポートは一致し得る。この場合、MSポートは、好ましくは被検体が集められ(吸着され)得る表面を含む。残存液および洗浄液(使用された場合)がマイクロチャンネル構造中へ通されると、次いでそれが廃棄チャンネルとして機能し、恐らくは廃棄物などに特に適合化させた独立した引出しポート、または廃棄チャンバーを含むと思われる。濃縮および/または分離効果を達成するため、表面は、分離ゾーンについて上記で検討された通り被検体を選択的に結合/捕獲する構造を露出し得る。この変形モデルはまた、洗浄および脱離液用の独立した引入れポートおよび合わせた試料およびMSポートと通じるマイクロチャンネル部分が存在し得る場合を包含する。
MSポート
MSポートは、典型的には導電性部分を有する。導電性部分は、例えばEDI領域またはエレクトロスプレーイオン化に適切なノズル、例えばナノスプレー、または試料を質量分析計に提示するのに使用される他の形態のデバイスに存在し得る。エレクトロスプレーノズルは、例えば貫通している穴を備えたチップ形態の開口部を提供する。様々な種類の試料提示装置が上記で検討された刊行物において報告されている。
マイクロチャンネルにはMSポートへのその引入れ口の前にバルブが存在し得る。
導電性材料の語は半導体材料を包含するが、珪素より大きいかまたはゲルマニウムよりも大きい導電性を有する材料が好ましい。典型的な導電性材料には、
(a)金属、例えば銅、金、白金等、金属混合物(合金)、例えばステンレス鋼等、
(b)導電性金属酸化物およびその混合物、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫等、
(c)それ自体導電性であるポリマーを包含する導電性ポリマーおよび非導電性ポリマーおよび例えば(a)−(c)による導電性金属を含む導電性合成物および他の導電性合成物等
がある。
ESI MSポート
図4は、質量分析計におけるエレクトロスプレーイオン化に適したMSポートを示す。この種類のポートは、MSポートが図1〜3で描かれた構造のいずれかに示されている場所に配置され得る。すなわちMS被検体は、収集ゾーン(30)を含むMSポートに集められ得、そのゾーンは、引出し開口部(32)を備えたエレクトロスプレー導管(31)を介して流動的に連絡されている。エレクトロスプレー導管は、チップ形態であり得る。MS被検体は、導管(33)を介してMSポートに入っている。エレクトロスプレー配列の開口部(32)は、好ましくは一マイクロチャンネル構造につき1個、2個またはそれ以上の開口部を備えたディスクの縁に位置する。典型的ディスク形態は上記で検討されている。使用時、エレクトロスプレー開口部は、質量分析計の試料開口部に適合化され、収集ゾーン(30)中の液体は質量分析計中に噴霧される。好ましい変形モデルでは、ディスクは環状である。エレクトロスプレーチップの配列は、好ましくはディスク中心の周囲で環状になっている。開口部は、好ましくは放射状スプレー方向をもつディスクの縁に位置する。別法として、エレクトロスプレー開口部は、側面に垂直である成分を有するスプレー方向をもつマイクロ流体デバイスの一平面側にあり得る。好ましくは環状ディスクの縁における環状配列は、質量分析計の試料適用開口部に対するエレクトロスプレー開口部の正確な配置を簡単にする。
エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI MS)に適したエレクトロスプレーユニットは、例えばナノスプレーフォーマットに適合化されており、主としてガラスまたは融解石英、または珪素のようなポリマー材料でできた毛細管で形成される。管系は、典型的には5〜20μm範囲のチップ内径をもつ円筒状の幾何図形的外形を有する。ナノスプレーの語は、管系から移された液体が1分につきナノリットル範囲であることを意味する。質量分析計への液体の移動に適した速度は、1〜1000nl/分の間、例えば10〜500nl/分の間に含まれ得る。注入により(外部の力は無い)、1分当たり僅か数ナノリットル(5〜25nl/分)が管系から輸送され、外圧が適用されると50〜500nl/分がより一般的となる。
ESI MS分析に適した液体の溶液は、有機溶媒:水混合物を含み、低濃度の酸または塩基を含む。組成は特に表面張力および導電性に関して重要である。有効な脱溶媒和およびイオン化プロセスおよび安定した噴霧を達成するためには、低い表面張力および低い導電性が望ましい。試料を水のみに溶かす場合、好ましくはいわゆる補給(make-up)溶媒を加える(外部送達)。補給溶媒は、典型的にはナノスプレーチップ周囲で同軸状(シートフロー)の配置をとる。補給ガス(一般的にはN)を(例、同軸状に)加えることにより、脱溶媒和プロセスが補助され得る。MS試料の適切な液体組成物の生成は、マイクロ流体デバイスの他の部分におけるMSポート上流で行なわれる試料調製プロセスの一部であり得る。
チップの幾何図形的外形は、安定した噴霧にとって重要である。好ましくは、チップを円筒状管系から引張ることにより、円錐形状をもつ細長いチップを形成させる。そのとき、開口部付近の管系の外径は、内径と同様の寸法になる。
エレクトロスプレーチップから噴霧を(質量分析計の引入れ口へ向かって)誘導するためには、チップに電圧をかけなければならない。したがって、チップは導電性にされなければならない。金属の種類によって異なる技術により、チップ(または管系の一部)へ金属を沈積させ得る。適用電圧および異なる溶媒はチップの安定性に影響を及ぼすため、ここで重要な局面は金属被覆チップの安定性(寿命)に関するものである。他の可能性も存在し、例えば電極がチップへ挿入され得、そこで電圧が適用されてエレクトロスプレーを誘導し得る。別の方法としては、上述の導電性材料のいずれかを含む材料においてチップを製造する。ナノスプレーで使用される一般的な電圧は、500〜2000ボルト間の範囲に含まれる。
典型的エレクトロスプレーノズルは、若干の製造会社、例えばニュー・オブジェクティブ(マサチューセッツ、米国)から入手され得る。マイクロ流体デバイスにとっての利点を有すると考えられる変形モデルは、PCT/SE01/02753(ジャイロス AB)で示されている。上記で検討した国際公開第9704297号(Karder et al)、米国特許第5969353号(Hsieh)および米国特許第6110343号(Ramsey et al)も参照。
EDI MSポート
MSポートはまた、EDI−MSに使用され得、その場合EDI領域を含む。上向きおよび下向き方向がEDI領域の関係で使用されるとき、それらはその領域が質量分析計でどのように位置するかとは関係無く図面で規定された方向をいう。
EDI MSポートは、種々のEDI質量分析計変形モデル、例えば飛行時間質量分析計(TOF)、四重極質量分析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT−ICR)、イオントラップ等に適合化され得る。
EDI MSポートは、脱離/イオン化中に生成されたイオンを放出させるために自由な通過を必要とするため、EDI−表面の真上に開口部を有する。この開口部は、当然EDI表面と同軸状であり、それを覆っている。言い換えれば、EDI MSポートは、一般的には底部にEDI表面を伴い、対応するマイクロチャンネル構造の少なくとも上流部分と流動的に連絡した状態のウェルまたは窪みの形態をとる。これは、開口部が、マイクロ流体デバイス内での試料処理中には蓋されるが、その後には開かれ得、脱離/イオン化および恐らくは溶媒蒸発をも可能にすることを含む。IDI原理を使用する場合、開口部はまた、当然付随する照射用の空間を提供する。
EDI表面は、主としていかなる幾何図形的外形でも有し得るが、好ましい形態は可能な限りコンパクトなもの、例えば等辺等角形態、例えば四角および四角様形態、および丸い形態、例えば円状および円様形態をとるべきである。EDI表面のサイズは、好ましくは25〜2000μmの間の直径をもつ円と同じである。照射に使用される入射ビームの断面積が完全なEDI表面または可能な限り多く、例えば25%より大または50%より大を包含し得るならば有利であり得る。
EDI領域は、導電層(層I)、例えば銅、金、白金、ステンレス鋼などの金属層または上記で検討した種類に属する他の導電性材料の層を含む。層(I)は、EDI表面と一致するかまたはそれと平行であり得る。層(I)は、EDI表面での適度の電圧および電荷輸送を支持するための導電性接合部を有する。最低部分からEDI表面への完全EDI領域は、導電性材料で製造されており、すなわち層(I)に相当し得る。マイクロ流体デバイスがEDI MSポートを伴う複数のマイクロチャンネル構造を含む場合、一EDI MSポートの層(I)は、他のEDI MSポートの2個またはそれ以上の層(I)へ伸びており、それを包含する共通連続伝導性層の一部であり得る。好ましい変形モデルでは、共通導電層は、マイクロ流体デバイスの全EDI‐MSポートの層(I)を含む。共通導電層は、本質的に平面であり得る。共通導電層は、革新的デバイスのマイクロチャンネル構造のEDI表面および/または他の部分に対応する窪みを有し得る。典型的な変形モデルは、共通導電層が、
(a)マイクロ流体デバイスの上部または
(b)一緒に連結されてマイクロ流体デバイスの閉じ込められたマイクロチャンネル構造を形成する2つのサブストレート間
に位置するものである。
両変形モデルとも、共通導電層は、MSポートの内壁および層(I)へ及んでいる。MSポートは、窪みに相当する。
MSポート外側の層(I)の正確な幾何図形的形状は、特定デバイスおよび実際的なその製造方法により異なる。例えば、MSポートが環状に配置されている場合、共通の導電層は、環状または円弧様形態を有し得る。
一つの革新的変形モデルでは、EDI領域は非導電層(層(II))を含み、それは導電層(I)を蓋する。一EDI領域における層(II)は、層(I)について記載された他のEDI領域の2つまたはそれ以上における層(II)へ及びそれを包含し得る。
別の革新的変形モデルでは、デバイスは、デバイスの各EDI領域の表面により画定された共通面の上部に位置し、異なるEDI MSポートにおける層(I)には連結されていない独立した導電層(III)を有する。層(III)は、EDI表面に適合し、これらの表面の照射および開口部からのイオンの脱出を可能にする開口部を有する。
EDI領域のこれらの革新的変形モデルは、図5a〜fで概略的に説明されており、それらは各々本発明マイクロ流体デバイスにおける2つのMSポートのEDI領域の断面図を示す。EDI表面は(51)としておよびEDI領域は(52)として(点線の垂線内、図5fのaおよびb)参照しやすく示されている。各MSポートは、EDI領域および対応する窪みを含む。導電層(54)には細かい平行線が引かれている。各EDI領域が導電層(I)(53)を含むことは明らかである。
図5aは、層が各EDI領域(52)の層(I)(53)を包含するデバイスの底部にある共通連続導電層(54)を示す。非導電層(II)(55)は、層(I)(53)およびEDI表面(51)間に配置されている。図5bは変形モデルを示しており、図5aにおける変形モデルに類似しているが、共通連続導電層はデバイス内に埋封されている。非導電層(II)(55)が存在する。図5cには、EDI表面および層(I)を含む共通連続導電層(54)がある。図5dには、共通連続導電層は存在しない。異なるMSポートについての層(I)(53)は、互いに分離されており、EDI表面に対応する。図5eは、EDI領域の層(I)(53)上部に独立した連続導電層(54)が存在する変形モデルを示す。この導電層(54)は、各MSポートの開口部に対応する開口部(56)を有しており、マイクロチャンネル構造を覆う蓋の上側または下側における表面層であり得る。図5fは、層(I)を含む共通連続導電層が存在する変形モデルを示す。EDI表面はMSポートにおける層(I)と一致している。また連続層は、MSポートの内壁を包含する。MSポートは、共通導電層における窪みとして現れる。
開放的マイクロチャンネル構造がベースサブストレートで製作され、蓋により覆われている変形モデルの場合、ベースサブストレートは導電性材料から成り、層(I)に対応し得る。これらの変形モデルでは、蓋は非導電性または導電性材料を含み得る。
図6は、環状ディスク(透明の蓋を伴う)におけるMSポートの配列を示すもので、各MSポートの層(I)(34)は、MSポートよりもディスクの縁に近い周縁導電層(36)を伴う導電性接合部(35)を有する。この変形モデルでは、各マイクロチャンネル構造(37)は、MSポートを含み、引入れポート(38)へと上流に伸びている。層(I)(34)、接合部(35)および層(36)は、連続導電層として解釈され得る。
図7a〜bは、EDI表面上部の開口部が、この場合は透明である蓋(40)の穴(39)により画定されているMSポートを示す。入ってくるマイクロチャンネル(41)は、穴(39)の直径よりも小さい直径を有する環状領域(42)へ通じる。層(I)(43)、EDI領域(44)、EDI表面(45)は、2本の点線間にある。層(I)は、共通導電層(46)へ伸びている。MSポートがEDI領域よりも大きい開口部を提供するこの設計は、入射ビームをEDI表面のあらゆるスポットに浴びせるのを容易にする。好ましい変形モデルでは、マイクロチャンネル(41)は、深度が一定の開放的マイクロチャンネルとしてMSポートの底部へ伸びている。上から見ると、マイクロチャンネルは、膨張する水滴のように広がり得る。
導電層自体は、導電性接合部として機能し得るかまたは層(I)への別個の接合部(35)が存在し得る。図6参照。
ある種の変形モデルでは、マイクロチャンネル構造を覆う蓋はEDI表面をも覆う。これらの変形モデルの場合、蓋は少なくともMSポートで取り外せる。マイクロチャンネル構造の上流部分で試料を処理し、覆われたMSポートへ処理試料を輸送した後、蓋を取り外すことによって、MSポートから溶媒が蒸発し、照射が行なわれることによりMS被検体分子の脱離/イオン化が達成され得る。
MSポートへ入る液体。
マイクロチャンネル構造を通って輸送中、溶媒組成物は、使用される特定種類の質量分析計に適合するよう変更され得る。EDI MSポートおよび分離媒質含有分離ゾーンを含むマイクロチャンネル構造の場合、被検体または被検体由来の物質との共結晶化後に脱離/イオン化を補助する化合物(=EDIマトリックス)は、(a)脱離液に含まれるか、(b)同じくMSポートに導かれる別の液体に含まれるか、または(c)EDI表面に予め分配または被検体または被検体由来の物質がEDI表面に沈積された後この表面に分配され得る。また、EDI表面での結晶化を容易にする化合物も含まれ得る。分離ゾーンが存在しない場合でも、両種類のヘルパー化合物は含まれ得る。
質量尺度の目盛定め
正確な質量測定を確実にするため、既知分子量の化合物(標準、キャリブレーター物質)を含むキャリブレーター領域(スポット)がMSポートの近位に存在し得る。キャリブレーター領域(29)は図1〜3に示されている。別法として、標準物質を試料に含ませるかまたは脱離/イオン化前にEDI領域に加え得る(内部キャリブレーター)。キャリブレーター物質の選択、その量などは、外部または内部キャリブレーターとしてのその使用、MS被検体およびその濃度等により異なる。
マイクロ流体デバイスを製造する材料
マイクロチャンネル構造は、典型的には無機および/または有機材料、好ましくはプラスチックまたは他の有機ポリマーで製作される。材料は既に検討した通り導電性または非導電性であり得る。マイクロチャンネル構造のある種の部分は金属被覆され得る。
適切な有機ポリマーは、不飽和、例えば炭素‐炭素二重結合および/または炭素‐炭素三重結合を含むモノマーの重合から誘導され得る。モノマーは、例えばモノ−、ジおよびポリ/オリゴ不飽和化合物、例えばビニル化合物および不飽和を含む他の化合物から選択され得る。
使用され得る別のタイプの有機ポリマーは、モノマーが、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ等の基から選択される2個またはそれ以上の基を呈する化合物から選択される縮合ポリマーに基くものである。予測されるプラスチックは、典型的にはポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミン、ポリエーテル等である。ポリエーテルには、対応する珪素類似体、例えばシリコーンゴムが含まれる。
ポリマーは、好ましくは架橋形態である。
プラスチックは、2種またはそれ以上の異なるポリマー(複数も可)/コポリマー(複数も可)の混合物であり得る。
マイクロチャンネル構造の少なくとも一部は、例えば国際公開第0147637号(ジャイロス AB)で概説された原理にしたがって非イオン系親水性ポリマーで被覆されることにより、またはガスプラズマでの処理により、誘導体化および/または親水性化された表面を有し得る。典型的なガスプラズマ処理は、例えば国際公開第0056808号(ジャイロス AB)で概説されているように、非重合性気体を用いる。また親水性化表面を官能化することにより、試料被検体、被検体由来の化合物または加えられた1種またはそれ以上の試薬と相互作用し得る1個またはそれ以上の官能基が導入され得る。表面は、例えば金属化による銅、金、白金、ステンレス鋼等でできたものであり得、それによって所望の誘導体化が可能となり、例えばMSポートにおいて導電性表面が提供され得る。例えば金表面は、所望の官能性、例えば親水性を有するチオール含有化合物との反応により誘導体化され得る。
構造内の表面についての最適な水接触角度は、実施されるプロトコル、マイクロチャンネルおよびチャンバーの寸法、液体の組成および表面張力等により異なる。経験則として、マイクロ流体デバイスにおけるマイクロチャンネルの内壁(側壁、底部または上部)の1、2、3または4つの表面は、使用液体、好ましくは水性液、例えば水で湿潤可能なものでなくてはならない。好ましい水接触角度は≦40゜または≦30゜、例えば≦25゜または≦20゜である。これらの数字は、使用温度、主として室温で得られた値をいう。
本発明マイクロ流体デバイスの好ましい変形モデルは、乾燥状態で顧客に送達されると考えられる。したがって、デバイスのマイクロチャンネル構造の表面は、使用される水性液が毛管力(自己吸引)により構造のチャンネルの異なる部分へ浸透するのに充分な程度の親水性を有するべきである。勿論、特定部分の入口でバルブ機能が克服された場合に、これは当てはまるだけである。
最善のモード
優先権主張日で得られる最善の質量分析結果が、下記実施例4に記載された変形モデルについて得られた。
出願日での最善モードは実施例5により説明されている。
さらに本発明は、添付の請求の範囲で規定されており、非限定的実験部分により説明される。
以下の特許および特許出願は、この明細書で引用されたものであり、出典明示で援用する。国際公開第9116966号(ファルマシア・バイオテックAB)、国際公開第9704297号(Karger et al)、国際公開第9721090号(ガメラ・バイオサイエンス)、国際公開第9807019号(ガメラ・バイオサイエンス)、国際公開第9853311号(ガメラ・バイオサイエンス)、国際公開第9955827号(ジャイロス AB)、国際公開第9958245号(ジャイロス AB)、国際公開第0025921号(ジャイロス AB)、国際公開第0040750号(ジャイロス AB)、国際公開第0056808号(ジャイロス AB)、国際公開第0062042号(ジャイロス AB)、国際公開第0102737号(ジャイロス AB)、国際公開第0146465号(ジャイロス AB)、国際公開第0147637号(ジャイロス AB)、国際公開第0154810号(ジャイロス AB)、国際公開第0147638号(ジャイロス AB)、国際公開第0185602号(エーミック ABおよびジャイロス AB)、PCT/SE01/022753(ジャイロス ABおよびエーミック)、米国特許第5969353号(Hsie)、および米国特許第6110343号(Ramsey et al)、および米国特許出願第60/315471号、米国特許出願第60/322621号および対応する国際出願。
実験部分
実施例1.CDの異なる位置における金
金のパターン 感度 サブストレートの荷電**
金無し 不良 有り
全側面に金 良好 無し
上側に金 良好 無し
底側に金 良好 有り
上側に点在する金スポット 良好 有り
上側に金スポット 良好 無し
いずれのスポットも全て、個々の金ストリン
グまたは共通金領域を通してアダプタープレー
トと導電的に連続して接触している。

良好=慣用的ステンレス鋼標的で得られた感度に匹敵するBSAの溶液中トリプシン消化物についての感度
**荷電は、反復レーザー脱離/イオン化および/またはシグナル喪失時における顕著な質量シフト(≧1Da)として観察される。
この表は、これらの結果が、CD−MALDIインターフェースの設計を最適化するために優先権主張日前に遂行された実験の要約を形成することを示す。CDの様々な位置で金をスパッターし(付着させ)、牛血清アルブミン(BSA)のトリプシン消化物についてMALDI特性を試験した。CDをイオン供給源へ挿入された金属アダプター上に置いた。このため、金を様々な方法でパターン化することにより、MALDIポートおよびアダプタープレート間の電気的接触の重要性を測定した。
実施例2.平面CDおよび構造化された除去可能な蓋
この実施例は、蓋と組合わせた平面CDを示し、そこにはマイクロ流体構造が存在する。ニッケルコーティングした母型に対してメモジル(ヘレアウス、ドイツ国)を型にとることにより、構造化された蓋を完成した。この実施例で使用したマイクロ流体構造は、図2に示されている。
構造化された蓋を粘着力によりCDに結合させる。本発明は毛管作用を用いてマイクロ流体構造を満たすため、蓋に面する表面は当然親水性であるべきである。シリコーンゴムタイプであることは疎水性であるため、これは成形された蓋として特に重要である。
CDの上側を、DCバイアスマグネトロン付着方法(1 10〜5トル、接着層としてArプラズマおよびチタン)を用いて金で被覆し、以下の手順にしたがって親水性にした。金を付着させた側をエタノールですすぐことによりクリーニングし、次いで酸素プラズマ処理(プラズマ・サイエンス PSO500)を行った。プラズマクリーニング後、ヒドロキシルチオールの自己集合単層(SAM)を金表面で形成させた。ヒドロキシルチオールは、11−メルカプト−1−ウンデカノール(アルドリッチ、ミルウォーキー、ウィスコンシン)であり、脱気エタノール中2mMの濃度で使用された。完全に整ったSAMを得るため、金付着ディスクをチオール溶液に一晩浸漬した。チオール吸着後、CDをエタノール中で約2分間音波処理した。
マイクロ流体チャンネルを含む蓋を、粘着力によりCDに結合させた。第2片のポリマー材料を、釣合いをとるものとして構造化された蓋から180゜の位置に載せた。共通分配チャンネルに存在する充填ポートを用いて、直径15μmの逆相ビーズ(ソース15 RPC、アマーシャム・ファルマシア・バイオテック、スウェーデン)を個々の構造に詰めた。ビーズを含むスラリーを毛管作用により個々のチャンネルへ引入れた。18本の平行逆相カラムを形成させ、ディスクを1分間3000rpmで回転させた。0.1%TFA(トリフルオロ酢酸、アルドリッチ)含有水により2回カラムをすすいだ。約1分間2500rpmですすぎを行った。BSAの溶液中トリプシン消化物200nLを、試料引入れ口から個々のチャンネルに加えた。以下の手順を用いて消化を行った。BSA(シグマ)を、0.1重炭酸アンモニウム緩衝液(pH8)に4.75pmol/μlの最終濃度になるまで溶かした。酵素修飾トリプシン(プロメガ・コーポレーション、マディソン、ウィスコンシン)を加え、BSA/トリプシン20:1の割合で溶かした。試料を37℃で4時間インキュベーションし、次いで使用時まで−20℃で貯蔵した。
試料を1500rpmでの逆相カラムに通した。第2のすすぎ/洗浄工程を、0.1%TFA含有水を用いて上記と同様に行った。最後に、不飽和の50%イソプロパノール、50%水およびα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(アルドリッチ)から成る溶離液200nLを用いてペプチドを溶離した。α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸で水:イソプロパノール(50%)混合物を飽和させることにより、溶離液を製造した。この混合物100μLに、200μLの50%水:50%イソプロパノールを加えると、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸により約2/3に飽和した溶離液が得られた。
MALDIポートでの試料の提示を2つの異なる方法で実施した。
a)第一例では、完全構造を使用した(図2)。カラムからの溶離液を、逆相カラムに対し外側放射状位置に置いた容器に集めた。蓋を除去すると、液体は急速に蒸発し、金スパッター表面には共結晶化マトリックスおよびペプチドが残された。ディスクを半分に切断して、MALDIイオン化インターフェースにおいて適合させた。
b)充填カラムが開放型微小構造を残した後、成形された構造を直接切断した。溶離液を予め定められた速度(1500rpm)でカラムに通すことにより、MALDIポートでの溶媒蒸発制御、およびこれによってMALDI分析に適切な共結晶化したマトリックスおよびペプチドの形成をもたらした。ディスクを半分に切断することにより、MALDIイオン化インターフェースにおいて適合させた。
実施例3.構造化CDおよび部位特異的溶離
この実施例は、マイクロ流体構造が組込まれたCD、CDにおけるMALDIポートに適合する位置に穴をもつ薄い(≦70μm)蓋を使用する。この実施例で使用されたマイクロ流体構造は図1に示されている。
ポリカーボネートCDを上記と同様にして金で被覆した。上記チオール手順を用いて、側面を親水性にした。予め穿孔した穴を有する蓋(スクルツナフレキシブル、スクルツナ、スウェーデン)を、135℃での熱プレスによりCDに結合させた。
直径15μmの逆相ビーズ(ソース15 RPC)を、遠心力と組合わせた毛管力を用いて個々の構造に詰めた。カラムをエタノールですすぎ、回転乾固した後、23fmolのトリプシン消化BSAを加え、700rpmを用いてスピンダウンさせた。BSAのトリプシン消化物を上記手順にしたがって生成させた。試料添加後、カラムを水で2回すすいだ。α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸を、0.1%TFA含有アセトニトリル/水3:7の有機溶媒中で2/3の飽和度まで混合し、250nlを用いて3nl充填カラムから試料を溶離した。
有機/水混合物の蒸発後に得られた結晶は、共結晶化したペプチドを含有していた。8個の単一荷電ペプチドピークが、得られた質量スペクトルに存在した。
実施例4.CD製品における平行試料調製。
マイクロ流体ディスク(CD)の記載
図8aは、環状ディスク(1000)の回転軸(対称軸)(1003)の周囲において環状に配置された10セット(1001)の同一マイクロチャンネル構造(1002)を含むマイクロ流体デバイス(CD)(1000)製品を示す。各セットは、10個のマイクロチャンネル構造を含む。各マイクロチャンネル構造は、引出しポート(MSポート)(1006)よりも短い半径距離のところに位置する引入れポート(1004、1005)を伴い放射状に向けられている。MSポートは、ディスクの縁から〜0.9cmである(図示せず)。ディスクは慣用的CDと同じサイズを有していた。CDは、液体分配時にディスクの位置決定をするため縁(1036)にホームマーク(1035)を有する。
最終デバイスは、図8aで与えられたマイクロチャンネル構造の非被覆形態を含むプラスチック材料の底部を含む。マイクロチャンネル構造は、最終マイクロ流体デバイスにおいて引入れ口(1007、1008)または引出し口(1009、1010)としてまたは独立したキャリブレーター領域(1011、1012)として機能する環状の穴(図7bにおける1007、1008、1009、1010、1011、1012)が存在する蓋で覆われている。底部はその微小構造と共にプラスチックでできており、成形複製方法により製造された。マイクロチャンネル構造の非被覆形態をもつ表面は、国際公開第0056808号(ジャイロスAB)にしたがって親水性にされている。蓋は、国際公開第0154810号(ジャイロスAB)にしたがって底部に加熱接着(ラミネーション)した。
図8bは、10個のマイクロチャンネル構造(1002)のセット(1001)を拡大した形で示す。各マイクロチャンネル構造は、試料引入れポート(1005)および他の液体用の1つの共通引入れポート(1004)を有する。これら2つの引入れポート(1004、1005)の各々の底部には、マイクロチャンネル構造中へ向けられた隆起線/溝(1013)が存在する。試料引入れポート(1005)は、Y形状試料レザーバー(1016)の2つの内向き/上向きシャンク(1014、1015)の一方(1014)に連結されている。他の液体用引入れポート(1004)は、1セット中の全マイクロチャンネル構造に共通しており、各試料レザーバー(1016)の他方の上向きシャンク(1015)に連結された試料以外の液体用の一レザーバー/容積規定ユニット(1018)を伴う共通分配多岐管(1017)に連結されている。分配多岐管(1017)は、セットの各側面に1つの廃棄引出しポート(1009)を有する。Y様試料レザーバー(1016)の下向きシャンク(1019)は、引出しポート(MSポート)(1006)に至り、下向きシャンク/マイクロチャンネル(1019)の外側部分の、2重の深度(1021)(流動方向で100μm〜10μm〜20μm)に対して収められたクロマトグラフィー粒子(RPC、逆相クロマトグラフィー)のベッド(1020)を含む。下向きシャンク(1021)に対応するマイクロチャンネルは、末端が引出しポート(MSポート)(1006)の底部(1022)で広がった溝(上からは滴様に見える)(1023)として終結し、そこが結晶化領域として機能する。
他の液体用の各容積規定ユニット(1018)は、容積規定ユニット(1018)間で液体が毛管作用により排出するのを阻止する抗排出手段(1024、1025)により囲まれている。抗排出手段は、(a)容積規定ユニット(1018)間または容積規定ユニット(1018)から廃棄引出しポート(1009)へと進む縁の幾何図形的変形(1024)および疎水性表面ブレーク(1025、矩形)を両方とも含む。
局在的疎水性表面ブレーク形態をしたバルブ機能(矩形、1026、1027)は、側面にある引出し開口部(1009)前の分配多岐管(1917)の廃棄チャンネル(1028)、および他の液体用容積規定ユニット(1018)および試料レザーバー(1016)の上向きシャンク(1015)間の各微小導管(1029)に存在する。バルブ機能(疎水性表面ブレーク)(1027)は、微小導管(1029)および試料レザーバー(1016)の上向きシャンク(1015)間の接点の前、全域または直後に位置し得る。微小導管(1029)および上向きシャンク(1015)間の接点における外側寸法の鋭い変化にもかかわらず、疎水性表面ブレーク(1027)はバルブ機能にとって避けられないものであった。
液体を構造中へ向けるための局在的疎水性表面ブレーク(1030、1031、矩形)は、引入れ開口部(1007、1008)に存在する。
さらに、U(蹄鉄)形状局在的疎水性表面ブレーク(1032)は、ポートへ出る液体がディスク上部に拡散するのを阻止するために引出し開口部(各引出しポート(1006、MSポート)の1010)に位置する。
上部サブストレート(蓋)を、開放型のマイクロチャンネル構造を含む底部サブストレートの表面にラミネート化する前に、疎水性表面ブレーク(1026、1027、1030、1031)を適用した。ラミネート化および金スパッター後に疎水性表面ブレーク(1032)を適用した。
蓋の開口部(10011、1012)は、検量物質用の検量領域である。環内表面は底部分の上部である。それらの一つ(1012)は、MSポート(1006)の広がっている溝(1022)を模倣する窪み(1033)を含む。
開口部(1010)周囲における局在的疎水性表面領域(1032)の適用前、蓋の上部を、少なくともキャリブレーター領域を含む開口部(1010)中、その周囲およびその間における連続層として金でスパッターした。すなわち、連続金薄膜は、MSポート(1006)の底および壁およびキャリブレーター領域を繋いでいた。MSポートおよびキャリブレーター中およびその周囲領域を除く、蓋の他の部分(ただし、蓋全体ではない)についても金で被覆した。この目的は、金層がマイクロ流体および器具機能に干渉しない限り、可能な限り蓋を金で被覆することであり、例えば金は疎水性増強により毛管作用に影響を及ぼす(次いで、液体はチャンネルを満たすのがより困難になる)ことから、CDまたはマイクロ流体構造の引入れ口(1007、1008)の定位置配置を混乱させるため、蓋(CD)の端を金で被覆しないようにした。金以外の材料もこの出願には有益であり得、例えば出願日時点では酸化インジウム錫を蓋にスパッターすることにより、この出願について有望であることが示された。酸化インジウム錫は、金よりかなり透明で比較的親水性であるため、マイクロ流体および器具面について懸念せずとも蓋全体を被覆することができた(すなわち、導電層をスパッターするのにマスクは必要ではない)。したがって、製作および製造方法はさらに単純で安価になる。
マイクロチャンネル構造の深度は、引入れ開口部(1007、1008)から2重の深度(1021)まで同じ(100μm)で一定している。
RPC粒子のローディング。分配多岐管(1017)を、共通引入れポート(1004)によりRPC粒子の懸濁液で充填する。充填後、懸濁液は、引入れポート(1004)および側面に位置する廃棄開口部(1009)にあるバルブ(1026)間に存在する。初速で回転させると、過剰の廃棄懸濁液は側面に位置する開口部(1009)より分配多岐管(1017)から排出され、共通引入れ口(1004)より多岐管に空気が入る。懸濁液の規定アリコート(約0.2μl)は、容積規定ユニット(1018)で保持される。容積規定ユニット(1018)を囲む抗排出手段(1024、1025)は、各容積規定ユニットにおいて規定容積を保持するのを助ける。回転速度を増すと、容積規定ユニット(1018)中のアリコートはバルブ(1027)を突破し、上向きシャンク(1015)およびY形状試料レザーバー(1016)を通過し、下向きシャンク(1019)を通り抜ける。粒子は2重深度(1021)に対する充填ベッド(1020)として集められ、液体は引出し開口部(1012)を通り抜けこのシステムから出て行く。
共通引入れポート(1004)を通る容積規定ユニット(1018)を含む分配多岐管(1017)の充填は、単に毛管力によるものである。
実験
50mM重炭酸アンモニウム緩衝液、pH8中の牛血清アルブミン(BSA)から成るモデル蛋白質を、標準プロトコルにしたがって還元およびアルキル化し、トリプシンで液中消化した。トリフルオロ酢酸(TFA)を0.1%の最終濃度になるまで加えることにより、反応をクエンチングし、上記と同様、CDにおける後続試料処理のためにマイクロプレートに移した。
試料および試薬を、ロボットアームによりマイクロプレート(5〜100μlの典型的容量を含む)からCDへ移した。ロボットアームは10本の毛細管を保有しており、試料および試薬は移動中その内側に内包される。毛細管へ吸引され、その後CDへ分配される試料/試薬の容量は、注射器ポンプにより押し流され、ソフトウェアにより制御される(ロボットアームと同様)。吸引および分配速度は一般的には秒速0.5〜10μlである。一旦液体が各引入れポートでCDへ分配されると、それは毛管力により各共通/マイクロ構造へ引入れられる。
実験を実施するための器械は、CDマイクロラボラトリー(ジャイロラボ・ワークステーション、ジャイロスAB、ウプサラ、スウェーデン)であった。この器械は、アプリケーション特異的ソフトウェアにより制御される完全自動化ロボットシステムである。試料または試薬を含むマイクロプレートをシステム内の回転ラックに貯蔵する。高精度ロボットは、試料をマイクロプレートまたは容器からCDのマイクロワールドへ移す。CDをスピニングステーションへ動かすことにより、試料および試薬を添加する。ソフトウェア内のアプリケーション特異的方法により、正確に制御された速度にスピニングが制御され、アプリケーションの進行にしたがって微小構造を通る液体の動きが制御される。分析および同定を行うためMALDI質量分析計へCDを移す。
個々のマイクロチャンネル構造間における最終的な持越しを低減化するため、すなわちCDへの分配後に試料の一部が毛細管の内側に残存している場合、後に試料が汚染され得るため、適切に洗浄しなければならないことから、以下の洗浄手順を適用した:
1.20μlの水で全毛細管を洗い流した。
2.次いで、水中50%のエタノール4μlを毛細管中に吸引させ、廃棄処理し、最後の2サイクルでは4.5μlを用いてこれを4回反復した。
3.最後に、4μlの0.1%TFAを吸引させ、廃棄処理し、最後の2サイクルでは4.5μlを用いてこれを4回反復した。
操作方法:
以下のスキームは、上述のMALDIアプリケーション用CDで多重試料に対して行う典型的スピンプログラムの外観を示すものである。CDは上記のものである。ランプ(下記参照)は、加速段階、減速段階、または一定のrpm値を示す。
CDは、ジャイロスAB製の器械で適用された。
1.第一スピン。ここでの目的は、クロマトグラフィーカラムをもとに戻す(「再充填する」)ことである。
Figure 2010276610
2.共通/個々の微小構造および逆相カラムの条件づけ。水中50%のアセトニトリル3.8μl(10構造当たり)を各共通引入れポート(1004)中へ分配する。第一ランプ(スピン無し)は、液体が共通チャンネルを完全に満たすための遅滞期間である。
Figure 2010276610
3.個々の微小構造の条件づけ。この項目は、項目2で述べた手順により接近できないマイクロチャンネル構造の他の部分を扱うことにより、上記のもの(2.)とは異なる。目的は、いかなる微小構造にせよより完全に再湿潤させることである。水中50%のアセトニトリル400nlを、各引入れポート(1005)を通して一マイクロチャンネル構造につき分配する。
Figure 2010276610
4.共通/個々の微小構造および逆相カラムの条件づけ。水中0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)3.8μl(10構造当たり)を各共通引入れポート(1004)中へ分配する。第一ランプ(スピン無し)は、液体が共通チャンネルを完全に満たすための遅滞期間である。
Figure 2010276610
5.試料移動。1〜10μlの試料を各引入れポート(1005)中へ適用する(全部で100の同一微小構造、したがって一CDにつき100試料)。第一ランプ(スピン無し)は、液体が共通チャンネルを完全に満たすための遅滞期間である。
Figure 2010276610
6.試料の脱塩/洗浄。水中5〜10%の有機溶媒/0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)3.8μl(10構造につき)を各共通引入れポート(1004)中へ分配する。第一ランプ(スピン無し)は、液体が共通チャンネルを完全に満たすための遅滞期間である。
Figure 2010276610
7.試料溶離およびCDにおけるMALDI標的領域でのペプチドマトリックス共結晶化。
溶離液は、水中50%のアセトニトリル/0.1%のTFAから成り、MALDIマトリックス(1.5mg/mlのα−シアノヒドロキシ桂皮酸)が溶かされている。4.1μlの溶離液(10構造につき)を各共通引入れポート(1004)中へ適用する。
Figure 2010276610
それに続いて、CD(またはより正確にはその半分)をスチール製標的ホルダーに固定し、質量分析を実施するためMALDI TOF器械(ブルーカー・バイフレックス)へ挿入した。
結果:
ピークの分子質量は、データベース検索(NCBI)によりBSAペプチドとして同定された。マススペクトルは、典型的にはBSAペプチドとして同定される10個のピークを示した。試料濃縮および調製用にCDを用いることにより高感度が達成可能であった。高い質量分離度および正確さもまた立証された。
MSポート設計に関する解説
ペプチドを、MALDIマトリックス含有有機水性溶媒を用いてクロマトグラフィーカラムから溶離させる間、液体は遠心力によりMSポート(すなわち、MALDI標的領域)へ流入する。一旦液体成分(滴)がこの開放領域(蓋の壁および底部サブストレートの上表面により制限されている)に入ると、溶媒は急速に蒸発し、ペプチドおよびマトリックスは表面で共結晶化する。このプロセスをさらに強固にするため、すなわち回転(スピニング)が行なわれる間液体成分をより強固に保持するため、MSポート周囲(その時点ではより親水性領域であると考えられる)に疎水性パターンを形成させた。この疎水性パターン化プロセスおよびその流動制限効果は、疎水性ブレークを造るプロセスおよび効果と類似しているが、ここで異なるのは、蓋をCDへラミネート化した後および導電層の適用後にMSポートを囲む疎水性パターンが形成されることである。この疎水性領域はU形状(蹄鉄形)形態を有し、MSポートの部分および蓋表面およびその壁の部分を覆う。液体成分はこの疎水性領域からはじかれるため、小滴は、好ましくは結晶化の間より親水性の高い領域に留まる。これに加えて、結晶は、蓋の壁からある程度離れたところにある狭い表面領域で形成される。これは、試料が広く拡散している広い表面に結晶が沈積された場合と比べて被検体濃度がさらに高められる(したがって、潜在的に後続の質量分析においてより高い感度が達成され得る)ことを意味する。また、自動化MALDI分析の場合、レーザーにとって、(異種結晶形成を想定、すなわち「スイートスポット」が無いことを想定すると)より短時間でその特定領域をより効果的にカバーするには結晶が見出される表面領域は小さい方が好ましい。さらに、蓋の壁からある程度離れたところに結晶を生じさせることにより、低い電界強度妨害が、壁に近い不均一場故にMALDI分析中に予測される。そうであれば、質量精度および分離度低下が予測される。同じことは、蓋の壁に結合した異なる高度レベルで見出される結晶についても当てはまり、すなわち結晶が壁に沿って異なる高度でレーザーにより照射される場合には、質量精度および分離度低下が予測される。最後に、壁による「レーザーシャドー」の影響は縮小される。
本発明のある種の革新的態様は、添付された請求の範囲でより詳細に規定されている。本発明およびその利点について詳細に記載したが、添付された請求の範囲により規定された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変化、置換および改変がここでは為され得るものと理解すべきである。さらに、本出願の範囲を、明細書に記載されたプロセス、機械、製造、複合物、手段、方法および工程の実施態様に限定するつもりはない。一般的な当業者であれば、現存するかまたは後で開発される予定のプロセス、機械、製造、複合物、手段、方法または工程について、本明細書に記載された対応する実施態様が本発明にしたがって使用され得る場合と実質的に同じ機能を果たすかまたは実質的に同じ結果を達成することを本発明の開示から容易に認めるはずである。したがって、添付された請求の範囲は、上記プロセス、機械、製造、複合物、手段、方法または工程を包含するものとする。
1003・・・回転軸(対称軸)、1004、1005・・・引入れポート、1006・・・引出しポート(MSポート)、1007、1008・・・引入れ開口部、1017・・・分配多岐管。

Claims (21)

  1. 少なくとも一つのマイクロチャネル構造を有する平面基板を含むマイクロ流体デバイスであって、
    上記マイクロチャネル構造は、MALDI質量分析器とインタフェースを取ることが可能である試料引入れポートと引出しポート(MSポート)を含み、上記マイクロチャネル構造の少なくとも一部の内部での液体移動のために遠心力が利用され、引出しポート(MSポート)が導電層を含む底を有するマイクロ流体デバイス。
  2. 上記マイクロチャネル構造の少なくとも一部の内部での液体移動が、毛細管現象、動圧、若しくは動電的作用による、請求項1に記載のデバイス。
  3. MSポートが外側位置に配置され上記試料引入れポートが内側位置に配置されて、上記マイクロチャネル構造が上記平面基板内で放射状に広がる、請求項1に記載のデバイス。
  4. 上記マイクロチャネル構造が、プラスチック部材で作成されている、請求項1に記載のデバイス。
  5. 上記平面基板が円形である、請求項1に記載のデバイス。
  6. 更に、上記マイクロチャネル構造を2つ若しくはそれ以上含む、請求項2に記載のデバイス。
  7. 更に、上記マイクロチャネル構造を2つ若しくはそれ以上含み、
    上記マイクロチャネル構造が、中心軸周りに環状に配置されている、請求項3に記載のデバイス。
  8. 上記平面基板が、片側の表面に上記マイクロチャネル構造の少なくとも一部を含み、更に平面基板のもう片側に上記マイクロ構造の残余部分を含む適合蓋を含み、
    上記マイクロチャネル構造は上記二つの側が相互に対に成るときに完成し、
    EDI領域を含むMSポートの部分は、上記平面基板若しくは上記適合蓋に存在する、
    請求項1に記載のデバイス。
  9. 上記平面基板及び上記適合蓋が、相互に分離可能である、請求項8に記載のデバイス。
  10. MSポートが、質量分析器の中へのMS被検体の放出を可能にする開口部を含む、請求項1に記載のデバイス。
  11. 上記マイクロチャネル構造が更に、上記試料引入れポートの下流にあり且つ上記MSポートの上流にある、分離媒体を有するゾーンを含む、請求項1に記載のデバイス。
  12. 上記マイクロチャネル構造が更に、MSポートと並存する、分離媒体を有するゾーンを含む、請求項1に記載のデバイス。
  13. 上記試料引入れポートと上記MSポートが並存して分離媒体を含み、上記マイクロチャネル構造が上記MSポートから延在する廃棄チャンネルも含む、請求項1に記載のデバイス。
  14. 上記分離媒体が、粒子、上記ゾーンの内側表面、及び流れによって可能になるプラグで構成されるグループから選択される、請求項1、11、12若しくは13のうちのいずれか一に記載のデバイス。
  15. 上記分離媒体が、上記マイクロチャネル構造内で生成される被検体若しくは被検体導出エンティティを親和結合できる、請求項11、12若しくは13のうちのいずれか一に記載のデバイス。
  16. 上記分離媒体が群特異的である、請求項14に記載のデバイス。
  17. 上記分離媒体が、逆相吸着剤である、請求項14に記載のデバイス。
  18. 非試料引入れポート、反応ゾーン、圧力生成ゾーン、混合ゾーン、分離ゾーン、凝縮ゾーン、精製ゾーン、体積規定ゾーン、及び廃棄チャンバで構成されるグループから選択された機能ユニットを、上記マイクロチャネル構造が更に含む、請求項1に記載のデバイス。
  19. 上記マイクロチャネル構造が更に、上記液体を駆動する力を増加することにより克服されるバルブを含む、請求項1に記載のデバイス。
  20. 上記バルブが疎水性遮断器である、請求項19に記載のデバイス。
  21. 上記マイクロチャネル構造の表面の少なくとも一部が、水接触角が40°以下であるような親水性である、請求項1に記載のデバイス。
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