JP2010276097A - 車両の制御装置 - Google Patents

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光博 深尾
Hitoshi Matsunaga
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Abstract

【課題】ダウンシフトを実行する際に、自動変速機の変速態様を的確に目標変速態様としつつ、変速ショックの発生を的確に抑制することのできる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ダウンシフトを実行する際に、タービン回転速度NTの上昇速度を大きくすべくスロットル開度制御を通じてエンジンの出力トルクを増大させるトルクアップ処理を行う。そして、ダウンシフトを実行する際に、当該ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTに基づいて学習制御処理が行われる場合には、同学習制御処理が行われない場合に比べて係合側油圧PEの制御量ePEを増大させる一方、当該係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEに対応する分(ΔeTA)だけトルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAを低減させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、複数の摩擦係合要素における油圧による選択的な摩擦係合によりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる自動変速機が搭載され、同自動変速機を通じて機関側から車輪側への回転伝達を行う車両の制御装置に関する。
自動車等の車両においては、機関側の回転が自動変速機等の変速機を介して車輪側に伝達される。自動変速機は、トルクコンバータや変速歯車機構等を備えており、変速歯車機構の動力伝達経路を切り換えることでギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものである。
自動変速機のギヤ段を切り換えるための変速歯車機構における動力伝達機構の切り換えに関しては、例えばクラッチやブレーキ等の複数の摩擦係合要素の選択的な摩擦係合により実現される。尚、クラッチやブレーキ等の各摩擦係合要素は、油圧制御回路を通じて供給される作動油の油圧に基づき作動するものであり、油圧制御回路に設けられた各種ソレノイドバルブの作動態様を通じて上記油圧を調整することにより、係合状態と開放状態との間で切り換えられる。
自動変速機において、上記各摩擦係合要素の作動によるギヤ段の切り換えは、ギヤ段の切り換え指示に基づき同指示に沿ったギヤ段の切り換えを行うための変速処理を通じて実現される。この変速処理は、例えば以下のように行われることとなる。
ギヤ段の切り換え指示がなされると変速処理が開始され、現在のギヤ段を成立させるために摩擦係合されている摩擦係合要素を解放すべく同摩擦係合要素に作用する油圧(以下、「解放側油圧」)を低下させつつ、切り換え予定のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素を摩擦係合させるべく同摩擦係合要素に作用する油圧(以下、「係合側油圧」)を上昇させる油圧制御処理が行われる。これにより、切り換え前のギヤ段を成立させるために摩擦係合されている摩擦係合要素が解放されるとともに、切り換え予定のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素が摩擦係合される。
こうした摩擦係合要素の解放・摩擦係合が行われると、それにともない自動変速機(変速歯車機構)における機関側の回転速度であるタービン回転速度が切り換え予定のギヤ段の同期回転速度に向けて変化してゆく。そして、タービン回転速度が上記同期回転速度に到達すると、切り換え予定のギヤ段が成立する。これにより、上記切り換え指示に沿ったギヤ段の切り換えが完了し、同ギヤ段の切り換えのための上記変速処理が終了することとなる。
ところで、機関の出力特性や自動変速機の変速特性における個体毎のばらつきや、例えば大気圧や外気温度といった車両の外部環境の変化等に起因して、上記変速処理におけるタービン回転速度の変化態様(例えばタービン回転速度の変化速度)が目標変化態様から乖離することがある。
そこで、上記変速処理におけるタービン回転速度の変化態様を目標変化態様とすべく、変速処理の実行にともなうタービン回転速度の変化態様と目標変化態様との乖離度合に基づいて係合側油圧の制御量を学習する学習制御処理を行うものがある。
ところで、切り換え予定のギヤ段を現在のギヤ段に比べて低速段側のギヤ段とするダウンシフトが行われる際には、運転者によるシフトレバーの操作等のギヤ段の切り換え指示がなされてから、より早い段階において運転者が減速感を得ることができるように変速処理を早期に終了することが求められる。
そこで、例えば特許文献1に記載の技術も含め、従来の車両の制御装置においては、ダウンシフトを実行するに際して、機関の出力トルクを増大させるトルクアップ処理を行うことにより、タービン回転速度の上昇速度を大きくすることで同タービン回転速度が切り換え予定のギヤ段の同期回転速度に到達するまでに要する時間の短縮を図るようにしている。
特開2008―45676号公報
ところで、ダウンシフトを実行する際に、上記トルクアップ処理を行うと、タービン回転速度の上昇に対する寄与度合のうち、上記トルクアップ処理による寄与度合が大きくなる一方、その分だけ係合側油圧による寄与度合が小さくなる。そのため、上記学習制御処理を通じて係合側油圧の制御量を学習した場合であっても、上記トルクアップ処理を行わない場合、すなわちタービン回転速度の上昇に対する係合側油圧による寄与度合が大きい場合に比べて、当該学習の感度及び精度が低下することとなる。しかも、タービン回転速度の上昇に対する係合側油圧による寄与度合が小さいことから、タービン回転速度の変化態様を目標変化態様に向けて大きく変更することができず、自動変速機の変速態様を的確に目標変速態様とすることができないといった問題が生じる。
尚、ダウンシフトを実行する際に、例えば上記トルクアップ制御に代えて、係合側油圧PEを増大させることにより、すなわちタービン回転速度の上昇に対するトルクアップ処理による寄与度合を小さくするとともに、係合側油圧による寄与度合を大きくすることによりタービン回転速度の上昇速度を大きくすることが考えられる。しかしながらこの場合には、例えば解放側油圧の低下が十分に進行していない状態において係合側油圧が過度に上昇することとなり、現在のギヤ段を成立させるために摩擦係合されている摩擦係合要素と切り換え予定のギヤ段を成立させるために摩擦係合がなされることとなる摩擦係合要素とのタイアップが生じる結果、変速ショックが発生するといった新たな問題が生じる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダウンシフトを実行する際に、自動変速機の変速態様を的確に目標変速態様としつつ、変速ショックの発生を的確に抑制することのできる車両の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、複数の摩擦係合要素における油圧による選択的な摩擦係合によりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる自動変速機が搭載され、同自動変速機を通じて機関側から車輪側への回転伝達を行う車両の制御装置であって、前記ギヤ段の切り換え指示に基づき、その切り換え指示に沿った前記ギヤ段の切り換えを行うための変速処理を実行する変速制御手段を備え、前記変速処理は、現在のギヤ段を成立させるべく摩擦係合されている摩擦係合要素を解放すべく同摩擦係合要素に作用する解放側油圧を低下させつつ、切り換え予定のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素を摩擦係合させるべく同摩擦係合要素に作用する係合側油圧を上昇させる油圧制御処理と、前記切り換え予定のギヤ段を現在のギヤ段に比べて低速段側のギヤ段とするダウンシフトを実行する際に、前記自動変速機における機関側の回転速度の上昇速度を大きくすべく前記機関の出力トルクを増大させるトルクアップ処理と、前記ダウンシフトの実行にともなう前記自動変速機における機関側の回転速度の変化態様と目標変化態様とに基づき前記係合側油圧の制御量の学習を行う学習制御処理と、を含む車両の制御装置において、前記変速処理は、前記ダウンシフトを実行する際に、当該ダウンシフトの実行にともなう前記自動変速機における機関側の回転速度の変化態様に基づいて前記学習制御処理が行われる場合には、同学習制御処理が行われない場合に比べて前記係合側油圧の制御量を増大させる一方、当該係合側油圧の制御量の増大量に対応する分だけ前記トルクアップ処理における前記機関の出力トルクの制御量を低減させる制御量変換処理を含むことをその要旨としている。
同構成によれば、ダウンシフトを実行する際に、学習制御処理が行われる場合には同学習制御処理が行われない場合に比べて、自動変速機における機関側の回転速度の上昇に対する寄与度合のうち、係合側油圧による寄与度合が大きくされるとともに、トルクアップ処理による寄与度合が小さくされる。これにより、学習制御処理が行われる場合には、上記トルクアップ処理による寄与度合が比較的大きいことに起因して当該学習の感度及び精度が低下することを抑制することができるようになる。
また、ダウンシフトを実行する際に、学習制御処理が行われない場合には同学習制御処理が行われる場合に比べて、自動変速機における機関側の回転速度の上昇に対する寄与度合のうち、係合側油圧による寄与度合が小さくされるとともに、トルクアップ処理による寄与度合が大きくされる。これにより、学習制御処理が行われない場合には、自動変速機における機関側の回転速度の上昇速度を的確に大きくしつつ、係合側油圧による寄与度合が比較的大きいことに起因して変速ショックが発生することを的確に抑制することができるようになる。
従って、ダウンシフトを実行する際に、自動変速機の変速態様を的確に目標変速態様としつつ、変速ショックの発生を的確に抑制することができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制御装置において、前記制御量変換処理は、前記ダウンシフトが実行される際に、当該ダウンシフトの実行にともなう前記自動変速機における機関側の回転速度の変化態様に基づいて前記学習制御処理が行われない場合には、直前に行われた前記学習制御処理により学習された前記係合側油圧の制御量を低減させる一方、当該係合側油圧の制御量の低減量に対応する分だけ前記トルクアップ処理における前記機関の出力トルクの制御量を増大させることをその要旨としている。
同構成によれば、学習制御処理が行われた後、ダウンシフトを実行する際に、学習制御処理が行われない場合には、直前に行われた学習制御処理により学習された係合側油圧の制御量の低減量に対応する分だけ、トルクアップ処理における機関の出力トルクの制御量が増大される。これにより、比較的高い感度及び精度のもと行われた学習処理制御の結果を、トルクアップ処理における機関の出力トルクの制御に的確に反映させることができるようになる。従って、ダウンシフトを実行する際に、自動変速機の変速態様を一層的確に目標変速態様とすることができるようになる。
(3)請求項1又は請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の車両の制御装置によるように、前記制御量変換処理は、前記制御量変換処理は、前記学習制御処理が行われる場合における前記係合側油圧の制御量の増大量を固定値とするといった態様をもって具体化することができる。この場合には、制御量変換処理における制御構成を簡易なものとすることができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の制御装置において、前記制御量変換処理は、前記学習制御処理が行われる場合における前記係合側油圧の制御量の増大量を前記自動変速機の駆動状態に基づいて可変設定することをその要旨としている。
制御量変換処理において、係合側油圧の制御量の増大量を大きくするほど、すなわちトルクアップ処理における機関の出力トルクの制御量の低減量を大きくするほど、自動変速機における機関側の回転速度の上昇に対する寄与度合のうち、係合側油圧による寄与度合が大きくなり、トルクアップ処理による寄与度合が小さくなる。このことから、係合側油圧の制御量の増大量を大きくするほど、学習制御処理における感度及び精度の低下を一層抑制することができるようにはなる。ただし、上記係合側油圧による寄与度合が過度に大きくなると、このことに起因して変速ショックが発生しやすくなる。また、変速ショックが発生し始める係合側油圧は自動変速機の駆動状態によって異なるものとなる。
この点、上記構成によれば、学習制御処理が行われる場合における係合側油圧の制御量の増大量を自動変速機の駆動状態に基づいて的確に設定することができ、学習制御処理における感度及び精度の低下を的確に抑制しつつ、変速ショックの発生についてもこれを的確に抑制することができるようになる。
(5)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明は、請求項5に記載の発明によるように、前記学習制御処理は、前記自動変速機における機関側の回転速度の変化速度と目標変化速度との乖離度合が所定度合以上であることをもって前記係合側油圧の制御量の学習を行うといった態様をもって具体化することができる。
(6)請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明は、請求項6に記載の発明によるように、前記機関は内燃機関として構成されるものであり、前記トルクアップ処理は、内燃機関の吸入空気量制御、点火時期制御、及び燃料噴射量制御の少なくとも一方を通じて前記機関の出力トルクを増大させることをその要旨としている。
本発明に係る車両の制御装置の一実施形態について、自動車の駆動系全体の概略構成を示す概略構成図。 同実施形態の自動変速機における変速歯車機構の構成を説明するための骨子図。 同実施形態における変速歯車機構の各摩擦係合要素の作動の組み合わせと、それにより成立するギヤ段との関係を示す作動表。 同実施形態における車速とアクセル操作量とに基づく指示段の切り換え態様を説明するための説明図。 同実施形態における係合側油圧の制御量の増大量(低減量)とスロットル開度制御量の低減量(増大量)との関係を示すグラフ。 同実施形態における制御量変換処理の実行手順を示すフローチャート。 同実施形態における制御量変換処理が実行された場合における各パラメータの推移の一例を示すタイミングチャートであって、(a)タービン回転速度の推移、(b)スロットル開度制御量の推移、(c)解放側油圧の制御量の推移、(d)係合側油圧の制御量の推移を併せ示したタイミングチャート。
以下、本発明を自動車の制御装置に具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に、本実施形態における自動車の概略構成を示す。
図1に示すように、自動車1においては、エンジン2の回転が自動変速機3等を介して車輪4に伝達されるようになっている。エンジン2は、空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ42による点火を行って同混合気を燃焼させることにより回転駆動されるガソリンエンジンである。エンジン2に供給される空気の量(以下、「吸入空気量」)GAは、吸気通路に設けられたスロットルバルブ44の開度に応じて調整される。また、エンジン2に供給される燃料の量(以下、「燃料噴射量」)Qは、燃料噴射弁46の開弁時間に応じて調整される。また、自動変速機3は、トルクコンバータ5と変速歯車機構6とを備え、変速歯車機構6の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の各係合要素を選択的に係合して切り換えることにより、ギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものである。
図2は、自動変速機3における変速歯車機構6の構成を説明するための骨子図である。尚、変速歯車機構6は中心線に対してほぼ上下対称に構成されており、図2では中心線よりも下側の半分が省略されている。
変速歯車機構6においては、エンジン2側からの回転がタービンシャフト20に入力され、この回転が第1遊星歯車装置32、第2遊星歯車装置34、及び第3遊星歯車装置36を介してアウトプットシャフト12に伝達される。そして、アウトプットシャフト12から出力された回転は車輪4(図1)に伝達される。変速歯車機構6は、クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4といった複数の摩擦係合要素の選択的な摩擦係合、並びに複数のワンウェイクラッチF1〜F4の選択的な係合により、同機構6での動力伝達経路を切り換えてギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものである。
尚、上記クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4は、いずれもオイルポンプから供給される作動油の油圧によって作動される多板式の油圧式摩擦係合装置であり、上記油圧の調整を通じて係合状態と解放状態との間で切り換えられる。また、上記クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4を動作させるための作動油を供給する上記オイルポンプは、エンジン2により駆動され、同エンジン2の回転速度の上昇に伴い作動油の供給量が増大するものとなっている。
図3は、クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4といった各摩擦係合要素、並びにワンウェイクラッチF1〜F4における作動状態と、成立するギヤ段(パーキング、リバース、ニュートラル、1〜6速)との関係を示す作動表である。同図において、「○」はトルク伝達のある係合、「◎」はエンジンブレーキ時などの係合、「△」はトルク伝達のない係合を表している。同図から分かるように、前進側のギヤ段である1〜6速のうち1速〜4速といったギヤ段では、クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4といった摩擦係合要素の選択的な摩擦係合とワンウェイクラッチF1〜F4の選択的な係合との組み合わせにより、ギヤ段が成立するようになる。また、前進側のギヤ段である1〜6速のうち5速、6速といったギヤ段では、クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4といった摩擦係合要素の選択的な摩擦係合のみにより、ギヤ段が成立するようになる。
次に、本実施形態における自動車1の制御装置の電気的構成について、図1を参照して説明する。
自動車1には、エンジン2及び自動変速機3等に関する各種制御を実行する電子制御装置8が搭載されている。この電子制御装置8は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置8の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・変速歯車機構6の入力軸であるタービンシャフト20の回転速度(以下、「タービン回転速度」)NTを検出する入力回転速度センサ9。
・変速歯車機構6のアウトプットシャフト12の回転速度を検出する出力回転速度センサ10。
・自動車1の運転者によって操作されるシフトレバー13の位置(以下、「シフト操作位置」)SHIFTに対応した信号を出力するシフトポジションセンサ14。
・エンジン2の出力調整のために運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル15の操作量(以下、「アクセル操作量」)ACCPを検出するアクセルポジションセンサ16。
・吸入空気量GAを検出する吸入空気量センサ43。
・スロットルバルブ44の開度(以下、「スロットル開度」)TAを検出するスロットルポジションセンサ45。
電子制御装置8の出力ポートには、点火プラグ42、スロットルバルブ44、燃料噴射弁46の各駆動回路の他、自動変速機3のギヤ段を切り換えるための油圧制御回路54に設けられたソレノイドバルブ55〜62の駆動回路が接続されている。
油圧制御回路54は、クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4といった摩擦係合要素に作動油を供給するためのものである。また、油圧制御回路54に設けられたソレノイドバルブ55〜62はそれぞれ対応する摩擦係合要素、すなわちクラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4に作用する油圧を調整し、それら摩擦係合要素を個別に作動させるためのものである。
そして、電子制御装置8は、上記各センサから入力した検出信号に基づき把握されるエンジン2及び自動車1の運転状態を検知し、上記出力ポートに接続された各種駆動回路の指令信号を出力する。こうしてエンジン2の出力トルクを調整する制御(以下、「出力トルク制御」)、及び自動変速機3のギヤ段の切り換え制御(以下、「変速制御」)等が電子制御装置8を通じて実行される。
エンジン2の出力トルクは、アクセル操作量ACCPに応じてスロットル開度TAが調整され、これにより吸入空気量GAが調整されることに基づいて行われる。
自動変速機3の変速は、自動車1の運転状態に適したギヤ段である指示段に基づいて行われる。この指示段は、アクセル操作量ACCP、及び車速V等に基づき図4に示されるように設定される。尚、ここで用いられる車速Vについては、出力回転速度センサ10からの検出信号、或いは、入力回転速度センサ9からの検出信号及び現在のギヤ段に基づき求めることが可能である。同図中において、実線は低速段側(1速側)から高速段側(6速側)に指示段を変化させるアップシフトの際の指示段の境界を表しており、破線は高速段側から低速段側に指示段を変化させるダウンシフトの際の指示段の境界を表している。同図から明らかなように、アクセル操作量ACCP及び車速V等に基づき設定される指示段は、車速V一定の条件下では、アクセル操作量ACCPの増大に伴い低速段側に変化するようになる。上記のように指示段が設定されると、自動変速機3のギヤ段が上記指示段となるよう、各摩擦係合要素を係合状態または解放状態とすべくソレノイドバルブ55〜62が個別に作動される。
また、自動変速機3の変速は、自動車1の運転者によるシフトレバー13の操作に基づいても行われる。すなわち、シフト操作位置SHIFTが変更されると、これにともない指示段の高速段側の限界段が変更される。このため例えば、現在のギヤ段が4速であるときに、運転者によりシフト操作位置SHIFTを3速とするダウンシフトの切り換え指示が行われると、指示段が3速とされる。
自動変速機3の変速において、クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4といった摩擦係合要素の作動とワンウェイクラッチF1〜F4の作動とによるギヤ段の切り換えは、そのギヤ段の切り換え指示に基づき同指示に沿ったギヤ段の切り換えを行うための変速処理を通じて実現される。以下、この変速処理のうち切り換え予定のギヤ段を現在のギヤ段に比べて低速段側のギヤ段とするダウンシフトについて、4速から3速へのギヤ段の切り換えを行う場合を例に詳しく説明する。
4速から3速へのギヤ段の切り換え指示(指示段の4速から3速への変更)に基づき変速処理が開始されると、上記ギヤ段の切り換えを実現するまでに必要な摩擦係合要素の係合状態と解放状態との間での切り換えを行うための油圧制御処理が実行される。この油圧制御処理では、現在のギヤ段を成立させるために摩擦係合されている摩擦係合要素を解放すべく同摩擦係合要素に作用する油圧(以下、「解放側油圧」)PRを低下させつつ、切り換え予定のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素を摩擦係合させるべく同摩擦係合要素に作用する油圧(以下、「係合側油圧」)PEを上昇させることが行われる。より具体的には、4速を成立させるために摩擦係合されているクラッチC2等を解放すべくそれに作用する解放側油圧PRを低下させつつ、3速を成立させるためのクラッチC3等を摩擦係合させるべくそれに作用する係合側油圧PEを上昇させることが行われる。これにより、切り換え前のギヤ段(4速)を成立するために摩擦係合されている摩擦係合要素(クラッチC2等)が解放されるとともに、切り換え予定のギヤ段(3速)を成立させるための摩擦係合要素(クラッチC3等)が摩擦係合される。
こうしたクラッチC2及びクラッチC3等の摩擦係合要素の解放・摩擦係合が行われると、それに伴いタービン回転速度NTが、切り換え予定のギヤ段(3速)を成立させるためのワンウェイクラッチF1,F4の係合が行われる回転速度である同期回転速度(N3)に向けて変化してゆく。尚、タービン回転速度NTは変速歯車機構6におけるエンジン2側の部分の回転速度となる。そして、タービン回転速度NTが上記同期回転速度(N3)に到達すると、上記ワンウェイクラッチF1,F4が係合して切り換え予定のギヤ段である3速が成立する。これにより、上記4速から3速への切り換え指示に沿ったギヤ段の切り換えが完了し、同ギヤ段の切り換えのための上記変速処理が終了することとなる。
ところで、前述したように、エンジン2の出力特性や自動変速機3の変速特性における個体毎のばらつきや、例えば大気圧や外気温度といった自動車1の外部環境の変化等に起因して、ダウンシフトにおける変速態様が目標変速態様から乖離することがある。
そこで、ダウンシフトにおける変速態様を目標変速態様とするために、本実施形態では、ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTと目標変化速度ΔNTtrgとの偏差の絶対値DN(=|ΔNT−ΔNTtrg|)に基づいて係合側油圧PEの制御量ePEを学習する学習制御処理が実行される。
学習制御処理が実行されると、同処理としてタービン回転速度NTの変化速度ΔNTと目標変化速度ΔNTtrgとの偏差DNが小さくなる方向に係合側油圧PEの制御量ePEが学習される。こうした学習制御処理を行うことにより、係合側油圧PEの制御量ePEが的確に設定され、タービン回転速度NTの変化速度ΔNTを目標変化速度ΔNTtrgとすることができ、ダウンシフトにおける変速態様を目標変速態様とすることができるようになる。
また、前述したように、ダウンシフトが行われる際には、運転者によるシフトレバー13の操作等のギヤ段の切り換え指示がなされてから、より早い段階において運転者が減速感を得ることができるように変速処理を早期に終了することが求められる。
そこで、本実施形態では、変速処理の過程において、タービン回転速度NTの上昇速度を大きくしてタービン回転速度NTが切り換え予定のギヤ段の同期回転速度に到達するまでに要する時間を短縮するためにエンジン2の出力トルクを増大させるトルクアップ処理が実行される。
トルクアップ処理が実行されると、同処理としてスロットルバルブ44の開度が開き側に大きくされることで吸入空気量GAが増大され、これにともない燃料噴射弁46の開弁時間が大きくされることで燃料噴射量Qが増量され、それによってエンジン2の出力トルクが増大される。こうしたトルクアップ処理を行うことにより、変速処理の過程においてタービン回転速度NTの上昇速度が大きくされ、タービン回転速度NTが切り換え予定のギヤ段の同期回転速度に到達するまでに要する時間の短縮を図ることができ、ギヤ段の切り換え指示がなされてから、より早い段階において運転者が減速感を得ることができるようになる。
ところで、前述したように、ダウンシフトを実行する際に、上記トルクアップ処理を行うと、タービン回転速度NTの上昇に対する寄与度合のうち、トルクアップ処理による寄与度合が大きくなる一方、その分だけ係合側油圧PEによる寄与度合が小さくなる。そのため、上記学習制御処理を通じて係合側油圧PEの制御量ePEを学習した場合であっても、上記トルクアップ処理を行わない場合、すなわちタービン回転速度NTの上昇に対する係合側油圧による寄与度合が大きい場合に比べて、当該学習の感度及び精度が低下することとなる。しかも、タービン回転速度NTの上昇に対する係合側油圧PEによる寄与度合が小さいことから、タービン回転速度NTの変化速度ΔNTを目標変化速度ΔNTtrgに向けて大きく変更することができず、自動変速機3の変速態様を的確に目標変速態様とすることができないといった問題が生じる。
尚、こうした問題に対して、ダウンシフトを実行する際に、例えば上記トルクアップ制御に代えて、係合側油圧PEを増大させることにより、すなわちタービン回転速度NTの上昇に対するトルクアップ処理による寄与度合を小さくするとともに、係合側油圧PEによる寄与度合を大きくすることによりタービン回転速度NTの変化速度(上昇速度)ΔNTを大きくすることが考えられる。しかしながらこの場合には、例えば解放側油圧PRの低下が十分に進行していない状態において係合側油圧PEが過度に上昇することとなり、現在のギヤ段を成立させるために摩擦係合されている摩擦係合要素と切り換え予定のギヤ段を成立させるために摩擦係合がなされることとなる摩擦係合要素とのタイアップが生じる結果、変速ショックが発生するといった新たな問題が生じる。
次に、本実施形態における上記不具合への対策について説明する。
本実施形態では、ダウンシフトを実行する際に、自動変速機3の変速態様を的確に目標変速態様としつつ、変速ショックの発生を的確に抑制するために、次の制御量変換処理が実行される。
制御量変換処理が実行されると、同処理として、ダウンシフトを実行する際に、当該ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTに基づいて上記学習制御処理が行われる場合には、同学習制御処理が行われない場合に比べて係合側油圧PEの制御量ePEが増大される一方、当該係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEに対応する分だけトルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAが低減される。
また、同処理として、ダウンシフトが実行される際に、当該ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTに基づいて学習制御処理が行われない場合には、直前に行われた学習制御処理により学習された係合側油圧PEの制御量ePEが低減される一方、当該係合側油圧PEの制御量ePEの低減量ΔePEに対応する分だけトルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAが増大される。
こうした制御量変換処理を行うことにより、ダウンシフトを実行する際に、学習制御処理が行われる場合には同学習制御処理が行われない場合に比べて、タービン回転速度NTの上昇に対する寄与度合のうち、係合側油圧PEによる寄与度合が大きくされるとともに、トルクアップ処理による寄与度合が小さくされる。このため、学習制御処理が行われる場合には、上記トルクアップ処理による寄与度合が比較的大きいことに起因して当該学習の感度及び精度が低下することを抑制することができるようになる。
また、ダウンシフトを実行する際に、学習制御処理が行われない場合には同学習制御処理が行われる場合に比べて、タービン回転速度NTの上昇に対する寄与度合のうち、係合側油圧PEによる寄与度合が小さくされるとともに、トルクアップ処理による寄与度合が大きくされる。これにより、学習制御処理が行われない場合には、タービン回転速度NTの上昇速度を的確に大きくしつつ、係合側油圧PEによる寄与度合が比較的大きいことに起因して変速ショックが発生することを的確に抑制することができるようになる。
更に、学習制御処理が行われた後、ダウンシフトを実行する際に、学習制御処理が行われない場合には、直前に行われた学習制御処理により学習された係合側油圧PEの制御量ePEの低減量ΔePEに対応する分だけ、トルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAが増大される。これにより、比較的高い感度及び精度のもと行われた学習処理制御の結果を、トルクアップ処理におけるエンジン2の出力トルクの制御に的確に反映させることができる。
ここで、制御量変換処理において、係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEを大きくするほど、すなわちトルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAの低減量ΔeTAを大きくするほど、タービン回転速度NTの上昇に対する寄与度合のうち、係合側油圧PEによる寄与度合が大きくなり、トルクアップ処理による寄与度合が小さくなる。このことから、係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEを大きくするほど、学習制御処理における感度及び精度の低下を一層抑制することができるようにはなる。ただし、上記係合側油圧PEによる寄与度合が過度に大きくなると、このことに起因して変速ショックが発生しやすくなる。また、変速ショックが発生し始める係合側油圧PEは自動変速機3の駆動状態によって異なるものとなる。
そこで、本実施形態においては、学習制御処理が行われる場合における係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEが自動変速機3の駆動状態に基づいて可変設定される。具体的には、係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEは、当該係合側油圧PEによる寄与度合の増大に起因する変速ショックの大きさが許容範囲内に含まれるうちの最大値に設定される。これにより、学習制御処理が行われる場合における係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEを自動変速機3の駆動状態に基づいて的確に設定することができる。尚、自動変速機3の駆動状態を表すパラメータとしては、例えば油圧制御回路を通じて供給される作動油の温度、自動車1の外気温度や大気圧等を挙げることができる。
図5に、係合側油圧PEの制御量ePEの増大量(低減量)ΔePEとスロットル開度制御量eTAの低減量(増大量)ΔeTAとの関係を示す。
図5に示すように、係合側油圧PEの制御量ePEの増大量(低減量)ΔePEが大きくなるほど、スロットル開度制御量eTAの低減量(増大量)ΔeTAが大きくなるように設定されている。具体的には、係合側油圧PEの制御量ePEが所定量ΔePEだけ増大(低減)されるとともに、スロットル開度制御量eTAが所定量ΔeTAだけ低減(増大)される場合と、係合側油圧PEの制御量ePE及びスロットル開度制御量eTAが増減されない場合とで、変速処理の過程におけるタービン回転速度NTが略同じ上昇態様となるように、これら増大量ΔePE及び低減量ΔeTAが実験等を通じて設定されている。
次に、上記制御量変換処理の実行手順について、制御量変換処理実行ルーチンを示す図6のフローチャートを参照して説明する。この制御量変換処理実行ルーチンは、電子制御装置8を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
図6に示すように、同ルーチンにおいては、まずは学習完了フラグFが「ON」であるか否かを判断する(ステップS101)。ここで、学習完了フラグFは、学習制御処理を通じて自動変速機3の変速態様が目標変速態様となっている場合には「ON」とされ、自動変速機3の変速態様が目標変速態様となっておらず学習制御処理を実行する必要がある場合には「OFF」とされるものである。
従って、学習制御処理が一度も行われていない場合には、学習完了フラグFは「OFF」とされており、上記ステップS101において否定判断されることで(ステップS101:「NO」)、次に、学習制御処理が実行される(ステップS102)。そして、ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTと目標変化速度ΔNTtrgとの偏差の絶対値DN(=|ΔNT−ΔNTtrg|)が所定値DNth以下であるか否かを判断する(ステップS103)。ここで、上記偏差の絶対値DNが所定値DNth以下である場合(ステップS103:「YES」)には、学習制御処理を通じて自動変速機3の変速態様が目標変速態様となったものとして、次に、学習完了フラグFが「ON」とされ(ステップS105)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、上記偏差の絶対値DNが所定値DNthよりも大きい場合(ステップS103:「NO」)には、自動変速機3の変速態様が目標変速態様となっていないものとして、次に、学習完了フラグFが「OFF」とされ(ステップS104)、この一連の処理を一旦終了する。
上記ステップS101において、学習完了フラグFが「ON」とされている場合(ステップS101:「YES」)には、次に、学習制御処理を再度実行する必要があるか否かを判断する(ステップS106)。ここでは、上記ステップS102において学習制御処理が行われた後に、例えば油圧制御回路を通じて供給される作動油の温度が変化するなどして、ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTと目標変化速度ΔNTtrgとの偏差の絶対値DNが上記所定値DNthよりも大きくなった場合に、学習制御処理を再度実行する必要があると判断する。そしてその結果、上記ステップS106において、学習制御処理を再度実行する必要のない場合(ステップS106:「NO」)には、マップ(図5参照)と自動変速機3の駆動状態とに基づきに基づき係合側油圧PEの制御量ePEの低減量ΔePE及びスロットル開度制御量eTAの増大量ΔeTAが設定される(ステップS107)。尚、係合側油圧PEの制御量ePEの低減量ΔePEは、当該係合側油圧PEによる寄与度合の低減に起因する変速ショックの大きさが許容範囲内に含まれるうちの最大値に設定される。そして、次に、係合側油圧PEの制御量ePEに、学習制御処理が行われた直後の値ePEから上記低減量ΔePEだけ減算した値が設定されるとともに、スロットル開度制御量eTAに、学習制御処理が行われた直後の値eTAに対して増大量ΔePEだけ加算した値が設定されて(ステップS108)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、上記ステップS106において、学習制御処理を再度実行する必要がある場合(ステップS106:「YES」)には、マップ(図5参照)と自動変速機3の駆動状態とに基づき係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePE及びスロットル開度制御量eTAの低減量ΔeTAが設定される(ステップS109)。そして、次に、係合側油圧PEの制御量ePEに、そのときの値ePEに対して増大量ΔePEだけ加算した値を設定するとともに、スロットル開度制御量eTAに、そのときの値eTAから低減量ΔePEだけ減算した値が設定される(ステップS110)。そして、次に、学習完了フラグFが「OFF」とされて(ステップS105)、この一連の処理を一旦終了する。
次に、図7のタイミングチャートを参照して、(a)タービン回転速度NTの推移、(b)スロットル開度制御量eTAの推移、(c)解放側油圧PRの制御量ePRの推移、(d)係合側油圧PEの制御量ePEの推移の一例について説明する。尚、同図において、実線は学習制御処理が実行されない場合(非学習時)を、一点鎖線は学習制御処理が実行される場合(学習時)をそれぞれ表している。
ギヤ段が「n速」とされている時刻t1において、指示段を「n―1速」とするダウンシフトの切り換え指示が行われると、これにともない解放側油圧PRを急激に低下させるために同解放側油圧PRの制御量ePRがそれまでの「ePR1」から一時的に「0」とされる(b)。また、係合側油圧PEを急激に上昇させるために同係合側油圧PEの制御量ePEがそれまでの「0」から時刻t2まで「ePE3」とされる(0<ePE3)(c)。尚、スロットル開度制御量eTAは全閉開度に対応する「0」とされている。
そして、時刻t2において、スロットル開度TAが開き側に大きくなるようにスロットル開度制御量eTAが徐々に増大されるようになる。ここで、学習制御処理が実行される場合には、スロットル開度制御量eTAは時刻t3から時刻t4まで「eTA1」に維持される(0<eTA1)(b)。一方、学習制御処理が実行されない場合には、スロットル開度制御量eTAは時刻t3から時刻t4まで「eTA1」よりも所定量ΔeTAだけ大きい「eTA2」とされる(eTA1<eTA2)(b)。尚、スロットル開度制御量eTAが大きくなるほどスロットル開度TAは開き側に大きくされるようになっている。
また、時刻t2以降において、解放側油圧PRの制御量ePRは徐々に低減され、時刻t6において「0」とされる(c)。
また、時刻t2から時刻t5まで、係合側油圧PEの制御量ePEは所定値に維持される。ここで、学習制御処理が実行される場合には、係合側油圧PEの制御量ePEは上記「ePE3」よりも小さい「ePE2」とされる(0<ePE2<ePE3)(d)。一方、学習制御処理が実行されない場合には、係合側油圧PEの制御量ePEは上記「ePE2」よりも所定量ΔePEだけ小さい「ePE1」とされる(0<ePE1<eEP2)(d)。
こうしてスロットル開度制御量eTA、解放側油圧PRの制御量ePR、及び係合側油圧PEの制御量ePEがそれぞれ制御されることにより、時刻t2以降において、タービン回転速度NTは「n−1速」における同期回転速度NTn−1に向けて上昇するようになる。
そして、時刻t4において、スロットル開度TAが開き側に小さくなるようにスロットル開度制御量eTAが徐々に低減されるようになり、時刻t5において「0」とされる(b)。
また、時刻t5から時刻t6まで、係合側油圧PEの制御量ePEは徐々に増大されるようになり、時刻t6において所定値ePE4とされる(ePE3<ePE4)(d)。
こうしてスロットル開度制御量eTA、解放側油圧PRの制御量ePR、及び係合側油圧PEの制御量ePEがそれぞれ制御されることにより、時刻t6において、タービン回転速度NTは「n−1速」における同期回転速度NTn−1となる。
以上説明した本実施形態によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)変速処理は、ダウンシフトを実行する際に、当該ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTに基づいて学習制御処理が行われる場合には、同学習制御処理が行われない場合に比べて係合側油圧PEの制御量ePEを増大させる一方、当該係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEに対応する分だけトルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAを低減させる制御量変換処理を含むものとした。これにより、ダウンシフトを実行する際に、自動変速機3の変速態様を的確に目標変速態様としつつ、変速ショックの発生を的確に抑制することができる。
(2)制御量変換処理は、ダウンシフトが実行される際に、当該ダウンシフトの実行にともなうタービン回転速度NTの変化速度ΔNTに基づいて学習制御処理が行われない場合には、直前に行われた学習制御処理により学習された係合側油圧PEの制御量ePEを低減させる一方、当該係合側油圧PEの制御量ePEの低減量ΔePEに対応する分だけトルクアップ処理におけるスロットル開度制御量eTAを増大させることとした。これにより、ダウンシフトを実行する際に、自動変速機3の変速態様を一層的確に目標変速態様とすることができるようになる。
(3)学習制御処理は、学習制御処理が行われる場合における係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEを自動変速機3の駆動状態に基づいて可変設定することとした。これにより、学習制御処理が行われる場合における係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEを自動変速機3の駆動状態に基づいて的確に設定することができ、学習制御処理における感度及び精度の低下を的確に抑制しつつ、変速ショックの発生についてもこれを的確に抑制することができる。
尚、本発明にかかる車両の制御装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、トルクアップ処理として、スロットル開度制御、すなわち吸入空気量制御を行うものについて例示したが、これに代えて、点火時期制御によりエンジン2の出力トルクを増大させるようにしてもよい。また、吸入空気量制御と点火時期制御の双方によりエンジン2の出力トルクを増大させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、ガソリンエンジン2について例示したが、本発明に係る機関はこれに限られるものではなく、ディーゼルエンジンを採用することもできる。この場合には、吸入空気量制御や点火時期制御に代えて、燃料噴射量制御によりエンジンの出力トルクを増大させるようにすればよい。
・また、本発明に係る機関は内燃機関に限られるものではなく、これを電動機として構成することもできる。要するに、自動変速機3に対して回転駆動力を出力するものであればよい。
・上記実施形態では、タービン回転速度NTの変化速度ΔNTと目標変化速度ΔNTtrgとの偏差の絶対値DN(=|ΔNT−ΔNTtrg|)に基づいて係合側油圧PEの制御量ePEの学習を行うものについて例示したが、これをタービン回転速度NTの変化速度ΔNTと目標変化速度ΔNTtrgとの比に基づいて行うようにすることもできる。
・また、本発明に係る学習制御処理における学習態様は上記実施形態によるようなタービン回転速度NTの変化態様に基づくものに限られるものではなく、自動変速機3における機関側の回転速度の変化態様に基づいて行うものであれば、機関側の回転速度の変化態様を把握するための任意のパラメータを採用することもできる。
・上記実施形態によるように、学習制御処理が行われる場合における係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEを、当該係合側油圧PEによる寄与度合の増大に起因する変速ショックの大きさが許容範囲内に含まれるうちの最大値に設定することが、変速ショックの発生を的確に抑制しつつ学習制御処理における感度及び精度の低下を的確に抑制する上では望ましい。しかしながら、係合側油圧PEの制御量ePEの増大量ΔePEにおける自動変速機3の駆動状態に基づく可変設定態様はこれに限られるものではなく、上記増大量ΔePEを上記最大値よりも小さい値に設定するようにしてもよい。
・また、本発明に係る制御量変換処理における係合側油圧の制御量の増大量を固定値として設定することもできる。この場合には、制御量変換処理における制御構成を簡易なものとすることができるようになる。
要するに、ダウンシフトを実行する際に、当該ダウンシフトの実行にともなう自動変速機における機関側の回転速度の変化態様に基づいて学習制御処理が行われる場合には、同学習制御処理が行われない場合に比べて係合側油圧の制御量を増大させる一方、当該係合側油圧の制御量の増大量に対応する分だけトルクアップ処理における機関の出力トルクの制御量を低減させるものであればよい。
1…自動車、2…エンジン、3…自動変速機、4…車輪、5…トルクコンバータ、6…変速歯車機構、8…電子制御装置(変速制御手段)、9…入力回転速度センサ、10…出力回転速度センサ、12…アウトプットシャフト、13…シフトレバー、14…シフトポジションセンサ、15…アクセルペダル、16…アクセルポジションセンサ、20…タービンシャフト、42…点火プラグ、43…吸入空気量センサ44…スロットルバルブ、45…スロットルポジションセンサ、46…燃料噴射弁、54…油圧制御回路、55〜62…ソレノイドバルブ。

Claims (6)

  1. 複数の摩擦係合要素における油圧による選択的な摩擦係合によりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる自動変速機が搭載され、同自動変速機を通じて機関側から車輪側への回転伝達を行う車両の制御装置であって、
    前記ギヤ段の切り換え指示に基づき、その切り換え指示に沿った前記ギヤ段の切り換えを行うための変速処理を実行する変速制御手段を備え、
    前記変速処理は、
    現在のギヤ段を成立させるべく摩擦係合されている摩擦係合要素を解放すべく同摩擦係合要素に作用する解放側油圧を低下させつつ、切り換え予定のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素を摩擦係合させるべく同摩擦係合要素に作用する係合側油圧を上昇させる油圧制御処理と、
    前記切り換え予定のギヤ段を現在のギヤ段に比べて低速段側のギヤ段とするダウンシフトを実行する際に、前記自動変速機における機関側の回転速度の上昇速度を大きくすべく前記機関の出力トルクを増大させるトルクアップ処理と、
    前記ダウンシフトの実行にともなう前記自動変速機における機関側の回転速度の変化態様と目標変化態様とに基づき前記係合側油圧の制御量の学習を行う学習制御処理と、
    を含む車両の制御装置において、
    前記変速処理は、前記ダウンシフトを実行する際に、当該ダウンシフトの実行にともなう前記自動変速機における機関側の回転速度の変化態様に基づいて前記学習制御処理が行われる場合には、同学習制御処理が行われない場合に比べて前記係合側油圧の制御量を増大させる一方、当該係合側油圧の制御量の増大量に対応する分だけ前記トルクアップ処理における前記機関の出力トルクの制御量を低減させる制御量変換処理を含む
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制御装置において、
    前記制御量変換処理は、前記ダウンシフトが実行される際に、当該ダウンシフトの実行にともなう前記自動変速機における機関側の回転速度の変化態様に基づいて前記学習制御処理が行われない場合には、直前に行われた前記学習制御処理により学習された前記係合側油圧の制御量を低減させる一方、当該係合側油圧の制御量の低減量に対応する分だけ前記トルクアップ処理における前記機関の出力トルクの制御量を増大させる
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両の制御装置において、
    前記制御量変換処理は、前記学習制御処理が行われる場合における前記係合側油圧の制御量の増大量を固定値とする
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の車両の制御装置において、
    前記制御量変換処理は、前記学習制御処理が行われる場合における前記係合側油圧の制御量の増大量を前記自動変速機の駆動状態に基づいて可変設定する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両の制御装置において、
    前記学習制御処理は、前記自動変速機における機関側の回転速度の変化速度と目標変化速度との乖離度合が所定度合以上であることをもって前記係合側油圧の制御量の学習を行う
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両の制御装置において、
    前記機関は内燃機関として構成されるものであり、
    前記トルクアップ処理は、内燃機関の吸入空気量制御、点火時期制御、及び燃料噴射量制御の少なくとも一方を通じて前記機関の出力トルクを増大させる
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101835741B1 (ko) * 2011-11-28 2018-03-08 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 자동 변속 차량의 학습 제어 방법 및 장치

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KR101835741B1 (ko) * 2011-11-28 2018-03-08 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 자동 변속 차량의 학습 제어 방법 및 장치

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