JP2010274319A - 多軸スクリュープレス - Google Patents

Abstract

【課題】スクリーンの外側面における排水性を高めて脱水機全体の脱水効率を向上させることができるとともに、補強用リブで仕切られた区画ごとに排水性を操作して含水率を制御できる多軸スクリュープレスを提供する。
【解決手段】横並びに配列した複数のスクリュー軸３と、各スクリュー軸３に形成するスクリュー羽根４と、スクリュー羽根４を包囲して内部にろ室を形成し、かつ上部にスクリュー軸３の軸心に沿って凹部２３が存在するスクリーン２と、スクリーン２の外側面にスクリュー軸３の軸心方向に所定間隔で配列し、かつスクリーン２の凹部２３を複数の凹領域に区画する複数の補強用リブ２２を備え、各補強用リブ２２には隣接する凹領域の相互間を連通する連通孔２４を設けた。
【選択図】図１

Description

本発明は多軸スクリュープレスに関し、例えば下水汚泥や工業廃水汚泥等の有機性汚泥を脱水する技術に係るものである。

従来のスクリュープレスは、本体ケーシングの外周部がスクリーンをなし、本体ケーシングを軸心方向に挿通してスクリュー軸を配置し、スクリュー軸にスクリュー羽根を形成している。スクリュー羽根は汚泥供給側から汚泥排出側へ行くほどにピッチが狭くなる形状をなし、あるいはスクリュー軸の軸径が汚泥排出側ほど太くなる形状をなす。

本体ケーシングの汚泥排出側には開口に対向して背圧板を配置しており、背圧板はシリンダー装置によって開口に向けて出退自在であり、開口に向けて作用させる圧力を調整することにより脱水力（圧搾力）を制御する。

本体ケーシングに投入した脱水対象汚泥は、スクリーンでろ過されながらスクリュー軸およびスクリュー羽根の回転によって汚泥排出側へ搬送される。この際に、スクリュー羽根のピッチが汚泥排出側ほど狭くなり、あるいはスクリュー軸の軸径が汚泥排出側ほど太くなることで、本体ケーシングにおけるスクリュー羽根の１ピッチ当たりのろ室容積が減少して行く。汚泥はろ室容積の減少による圧密力および背圧板による背圧の作用により脱水されて、汚泥排出側の開口から本体ケーシングの外部へ脱水汚泥（ケーキ）として排出される。

複数のスクリュー軸を設ける多軸スクリュープレスとしては、例えば特許文献１に記載するものがある。これは、濃縮用ケーシングの内部に一対の多条螺旋翼を水平方向に所定間隔で平行に配列したもので、双方の多条螺旋翼は自身の螺旋翼が相手の螺旋翼間に入り込むように配置しており、双方の多条螺旋翼が相互に逆方向へ回転する。

また、特許文献２に記載するものは、スクリーン篭の内部に一対のアルキメデス・スクリューを水平方向に所定間隔で平行に配列してあり、各アルキメデス・スクリューは主ネジ山の間に主ネジ山よりも高さの低い補助ネジ山を設けてある。一対のアルキメデス・スクリューは一方のアルキメデス・スクリューの補助ネジ山が他方のアルキメデス・スクリューの主ネジ山の近くに位置するように配置してある。

特公昭６１−３７０３１号公報 特開平９−２７３０６６号公報

ところで、スクリュープレス型脱水機は、スクリーンをスクリュー羽根の外周に沿って断面円形状に形成するので、多軸スクリュープレスではスクリーンの形状がスクリュー羽根の相互間において窪んで凹部を有するものとなる。また、スクリーンは外側面に複数の補強用リブを備えており、補強用リブはスクリーンの軸心に対して垂直な方向に取り付けている。

このため、多軸スクリュープレスにおいて複数のスクリュー軸を横並び配列した場合には、スクリーン上部に凹部が存在し、スクリーンを透過してスクリーン上部の凹部へ流入するろ液（脱離液）は、両側のスクリーンの頂部を越えてオーバーフローするか、スクリーン上部の凹部に残留する傾向を生じる。

このスクリーン上部に残留するろ液の水頭圧は、スクリーンを介してスクリーン外側からスクリーン内部のろ室側へ作用し、脱水機のろ室内部において作用する「ろ過圧力」をうち消す方向に働くので、スクリーン上部の凹部でのろ過効率が低下する要因となる。また、スクリーン上部の凹部に残留するろ液が再びスクリーン内に侵入し、脱水効率の低下を招く場合がある。

本発明は上記した課題を解決するものであり、スクリーンの外側面における排水性を高めて脱水機全体の脱水効率を向上させることができるとともに、補強用リブで仕切られた区画ごとに排水性を操作して含水率を制御できる多軸スクリュープレスを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明の多軸スクリュープレスは、横並びに配列した複数のスクリュー軸と、各スクリュー軸に形成するスクリュー羽根と、スクリュー羽根を包囲して内部にろ室を形成し、かつ上部外側にスクリュー軸の軸心に沿って凹部が存在するスクリーンと、スクリーンの外側面にスクリュー軸の軸心方向に沿って所定間隔で配列し、かつスクリーンの凹部を複数の凹領域に区画する複数のリブを備え、各リブには隣接する凹領域の相互間を連通する連通部を設けたことを特徴とする。

また、本発明の多軸スクリュープレスにおいて、連通部はリブに設けた連通孔もしくは切欠き部からなることを特徴とする。
また、本発明の多軸スクリュープレスにおいて、連通部に開閉手段を装着したことを特徴とする。

また、本発明の多軸スクリュープレスにおいて、スクリーンは供給側に比べて排出側を高くして水平に対して所定角度に傾斜配置したことを特徴とする。
また、本発明の多軸スクリュープレスにおいて、少なくとも凹部の何れかの凹領域に連通して排水手段を設けたことを特徴とする。

本発明では、スクリーンの上部外側の各凹領域が各リブの連通部において相互に連通しているので、スクリーンを透過してスクリーンの凹部へ流入するろ液（脱離液）は各凹領域の相互間において流通可能である。

このため、少なくとも凹部の何れかの凹領域に連通する排水手段を通してろ液を排出することにより、凹部のろ液はリブの連通部を通して隣接する凹領域へ順次に流れ出し、排水手段を通してスクリーン上から排出される。このため、スクリーンの上部外側の凹部にろ液が残留することはなく、スクリーン上部外側の凹部のろ液が再びスクリーン内に侵入することがないので、従来のように凹部に溜まるろ液を要因とするろ過効率の低下が生じず、結果として脱水機の脱水効率を向上させることができる。

また、各リブの連通部に開閉手段を装着したので、開放した開閉手段より上流側の凹領域のろ液は下流側の凹領域に流れてろ液が溜まらず、閉鎖した開閉手段より上流側の凹領域にはろ液が滞留する。このため、凹部にろ液が溜まらない凹領域に対応するスクリーン内部では含水率の低下を促進することができ、ろ液が溜まる凹領域に対応するスクリーン内部では含水率の低下が抑制される。よって、開閉手段の開放位置や閉鎖位置を調整することにより、結果として脱水機全体の脱水効率を制御することができる。

本発明の実施の形態における多軸スクリュープレスの断面を示す模式図 同実施の形態におけるスクリーンを示す斜視図 同実施の形態における補強用リブを示す正面図 他の実施の形態における補強用リブを示す正面図

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、以下の説明においては、スクリーン内での汚泥供給側のゾーンに必要な脱水力を「ろ過圧力」と定義し、「ろ過圧力」＝「基準水頭圧」＋「外部圧力」と定義する。「基準水頭圧」とは、外部ケーシング高さ（スクリーン径）など構造的に決定されるろ過圧力であり、「外部圧力」とは汚泥投入ホッパの水位など、運転上、調整可能なろ過圧力を指す。外部圧力は、汚泥供給側では汚泥供給圧が支配的となり、汚泥排出側では背圧が支配的となる。

図１乃至図４において、本実施の形態に係る多軸スクリュープレスの基本的な構成は概略的に以下のものである。
汚泥脱水機としての多軸スクリュープレスは、本体１によりスクリーン２を支持しており、スクリーン２にはパンチングメタルやウェッジワイヤ等の種々の形態のろ材を適用可能である。スクリーン２の内部には一対のスクリュー軸３、およびスクリュー軸３の軸心廻りに形成したスクリュー羽根４がスクリーン２の内部に挿通してあり、本体１の汚泥排出側にはスクリーン２の開口に対向して背圧板５を配置している。

スクリーン２は汚泥供給側に比べて汚泥排出側を高くして水平に対して所定角度に傾斜配置してあり、スクリュー軸３およびスクリュー羽根４はスクリーン２と同様に水平に対して所定角度に傾斜し、かつ横並びに配列してある。

スクリュー羽根４は羽根のピッチが汚泥排出側ほど狭くなっており、羽根の１ピッチ当たりのろ室容積が減少して行く。あるいはスクリュー軸３の軸径を汚泥排出側ほど太くすることでスクリュー羽根の１ピッチ当たりのろ室容積を減少させることも可能である。スクリュー軸３およびスクリュー羽根４の数は一対に限定されるものでなく、３軸以上にすることも可能である。

スクリーン２はスクリュー羽根４を包囲して内部にろ室を形成しており、スクリーン２の外側面には複数の補強リブ２２がスクリュー軸３の軸心方向に沿って所定間隔で配列してあり、補強用リブ２２はスクリーン２の外側面に対して垂直に取り付けている。本実施の形態において、スクリーン２はスクリーン２の軸心方向で複数に分割し、かつ上下に分割した複数のセグメント２１からなる。

スクリーン２の上部外側にはスクリュー軸３の軸心に沿って凹部２３が存在し、補強用リブ２２がスクリーン２の凹部２３を複数の凹領域に区画しており、図３に示すように各補強用リブ２２には隣接する凹領域の相互間を連通する連通部として連通孔２４を設けている。しかしながら、図４に示すように、補強用リブ２２に連通部として切欠き部２５を設けることも可能である。

各連通孔２４には開閉手段としてプラグ、弁、シャッター等（図示省略）を装着するが、図１乃至図３は全ての連通孔２４を開放した状態を示しており、プラグ、弁、シャッター等の開閉手段は省略している。

凹部２３の最下流側の凹領域に連通して排水手段をなすチューブ６が連通しており、チューブ６は本体１のドレーンパン１１に接続している。
ところで、スクリーン２、スクリュー軸３およびスクリュー羽根４は必ずしも傾斜配置する必要はなく、この場合には排水手段が少なくとも何れかの凹領域に連通すれば良く、排水手段にポンプ等を設けることも可能である。

以下、上記した構成の作用を説明する。運転時には、左右のスクリュー羽根４を回転させつつ、汚泥供給側からスクリーン２の内部に脱水対象汚泥を投入する。脱水対象汚泥はスクリーン２でろ過されながらスクリュー軸３およびスクリュー羽根４の回転によって汚泥排出側へ搬送される。この際に、スクリュー羽根４の各羽根のピッチが汚泥排出側ほど狭くなり、各羽根の１ピッチ当たりのろ室容積が減少して行くことで、汚泥はろ室容積の減少による圧密力および背圧板５による背圧の作用により脱水され、汚泥排出側の開口からスクリーン２の外部へ排出される。

スクリーン２を透過して凹部２３の各凹領域へ流入するろ液は下流側の汚泥供給側へ流れ、各補強用リブ２２の連通孔２４を通して隣接する下流側の凹領域へ順次に流れ出る。このように、下方に位置する汚泥供給側へろ液が流れることで、脱水処理が進んだ排出前の汚泥、つまり汚泥排出側の汚泥にろ液がスクリーン２を通して侵入することを防止できる。

そして、凹部２３の最下流側の凹領域に連通するチューブ６を通してスクリーン２の上から排出されてドレーンパン１１に流れ出る。このため、スクリーン上部の凹部２３にろ液が残留することはなく、スクリーン上部の凹部２３のろ液が再びスクリーン２の内部に侵入することがないので、従来のように凹部２３に溜まるろ液を要因とするろ過効率の低下が生じず、結果として脱水機の脱水効率を向上させることができる。

また、各補強用リブ２２の連通孔２４に装着するプラグ等の開閉手段を適宜に操作することで、開放した開閉手段より上流側の凹領域のろ液は下流側の凹領域に流れてろ液が溜まらず、閉鎖した開閉手段より上流側の凹領域にはろ液が滞留する。

このため、凹部２３にろ液が溜まらない凹領域に対応するスクリーン内部では含水率の低下を促進することができ、ろ液が溜まる凹領域に対応するスクリーン内部では含水率の低下が抑制される。よって、開閉手段の開放位置や閉鎖位置を調整することにより、結果として脱水機全体の脱水効率を制御することができる。

１ 本体
２ スクリーン
３ スクリュー軸
４ スクリュー羽根
５ 背圧板
６ チューブ
１１ ドレーンパン
２１ セグメント
２２ 補強用リブ
２３ 凹部
２４ 連通孔
２５ 切欠き部

Claims (5)

1. 横並びに配列した複数のスクリュー軸と、各スクリュー軸に形成するスクリュー羽根と、スクリュー羽根を包囲して内部にろ室を形成し、かつ上部外側にスクリュー軸の軸心に沿って凹部が存在するスクリーンと、スクリーンの外側面にスクリュー軸の軸心方向に沿って所定間隔で配列し、かつスクリーンの凹部を複数の凹領域に区画する複数のリブを備え、各リブには隣接する凹領域の相互間を連通する連通部を設けたことを特徴とする多軸スクリュープレス。
2. 連通部はリブに設けた連通孔もしくは切欠き部からなることを特徴とする請求項１に記載の多軸スクリュープレス。
3. 連通部に開閉手段を装着したことを特徴とする請求項１または２に記載の多軸スクリュープレス。
4. スクリーンは供給側に比べて排出側を高くして水平に対して所定角度に傾斜配置したことを特徴とする請求項１から３の何れか１項に記載の多軸スクリュープレス。
5. 少なくとも凹部の何れかの凹領域に連通して排水手段を設けたことを特徴とする請求項１から４の何れかに記載の多軸スクリュープレス。

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