JP2010274314A - 消失模型用塗型剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗型膜の塗布状態を容易に確認できる上、均一な厚みの塗型膜が得られる消失模型用塗型剤組成物、並びにこれを用いた鋳物用消失模型の製造方法及び鋳物の製造方法を提供する。
【解決手段】消失模型の表面に塗布される消失模型用塗型剤組成物であって、L***表色系において、L*、a*及びb*の値が、それぞれ35.0〜80.0、−60.0〜60.0及び−60.0〜40.0であり、25℃において、ブルックフィールド型粘度計による6rpmの粘度V及び60rpmの粘度Vが、それぞれ3000〜10000mPa・s及び700〜1800mPa・sである消失模型用塗型剤組成物とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、消失模型の表面に塗布される消失模型用塗型剤組成物、並びにこれを用いた鋳物用消失模型の製造方法及び鋳物の製造方法に関する。
消失模型に使用される鋳造用塗型剤は、消失模型の表面に塗布されるものであり、溶融金属と接触する前には、消失模型に由来する熱分解ガスを効率良く鋳型側に排出できるように気孔を有する塗型膜を形成し、溶融金属と鋳型との接触を防ぐ機能が要求される。そのため、消失模型用塗型剤組成物は、通常、砂型鋳造用塗型剤組成物よりも高粘度のものを使用することによって、塗型膜の厚みを確保している。
従来の消失模型用塗型剤組成物として、例えば、特許文献1には、鋳造された鋳物表面の色と同様な色となるような量の炭素成分(黒鉛等)を含有した消失模型用塗型剤組成物が開示されている。この塗型剤組成物によれば、鋳造後の鋳物の表面に塗型膜が残っている場合でも、鋳物の外観からは判別できないため、鋳物の外観を良好に仕上げることができる。なお、上記特許文献1には、塗型剤組成物のL***表色系の色度について記載されていない。
特開2001−347340号公報
しかしながら、上記特許文献1の消失模型用塗型剤組成物では、塗型膜の色が暗色になるため、複雑な形状の消失模型の場合、影が生じる部分において塗型膜の塗りむら等の塗布状態を確認することが困難であった。塗りむらが生じると、塗型膜が薄い場合には焼着が生じ、塗型膜が厚い場合でも、コーナー部分が特に厚くなり塗型膜の乾燥不足による水等の分散媒が残存し、鋳込み時にこの分散媒が高温の溶湯と接触し急激な膨張が起こるため、塗型膜の破壊が生じ、これが原因で焼着が生じる。また、塗りむらは、塗型膜からガスが均一に抜けることを妨げ、残渣欠陥の発生等、鋳物の品質に悪影響を与える。
また、砂型鋳造に用いられる塗型剤組成物を高粘度化して消失模型用に適用しても、塗型膜の厚みの均一性を確保することが困難であることが本発明者の検討により判明した。消失模型の表面に塗布された塗型膜の厚みが不均一である場合、上述した消失模型用塗型剤組成物に要求される耐焼着性や通気性等の機能が発現しなくなるおそれがある。
本発明は、塗型膜の塗布状態を容易に確認できる上、均一な厚みの塗型膜が得られる消失模型用塗型剤組成物、並びにこれを用いた鋳物用消失模型の製造方法及び鋳物の製造方法を提供する。
本発明の消失模型用塗型剤組成物は、消失模型の表面に塗布される消失模型用塗型剤組成物であって、L***表色系において、L*、a*及びb*の値が、それぞれ35.0〜80.0、−60.0〜60.0及び−60.0〜40.0であり、25℃において、ブルックフィールド型粘度計による6rpmの粘度V及び60rpmの粘度Vが、それぞれ3000〜10000mPa・s及び700〜1800mPa・sである消失模型用塗型剤組成物である。
本発明の鋳物用消失模型の製造方法は、消失模型の表面に塗型膜を有する鋳物用消失模型の製造方法であって、前記本発明の消失模型用塗型剤組成物を前記消失模型の表面に塗布する工程を有する鋳物用消失模型の製造方法である。
本発明の鋳物の製造方法は、前記本発明の鋳物用消失模型の製造方法によって得られた鋳物用消失模型を用いる鋳物の製造方法であって、前記鋳物用消失模型を鋳型定盤に配置する工程と、鋳物砂に埋設した前記鋳物用消失模型に溶融金属を鋳込む工程とを有する鋳物の製造方法である。
本発明の消失模型用塗型剤組成物によれば、塗型膜の塗布状態を容易に確認できる上、塗型剤組成物に適度な粘りとチキソトロピー性を付与することができるため、均一な厚みの塗型膜が得られる消失模型用塗型剤組成物を提供できる。また、本発明の鋳物用消失模型の製造方法及び鋳物の製造方法によれば、上記本発明の消失模型用塗型剤組成物を用いるため、塗型膜の塗布状態を容易に確認できる上、塗型膜の厚みの均一性が確保できる。これにより、溶融金属と鋳型との接触を防ぐ機能等が有効に発揮され、鋳肌表面の良好な鋳物が得られる。
実施例及び比較例の評価に用いた消失模型の概略図である。
本発明の消失模型用塗型剤組成物(以下、単に「塗型剤組成物」ともいう)は、L*、a*及びb*の値、並びにブルックフィールド型粘度計(以下、「B型粘度計」ともいう)による6rpm(25℃)の粘度V及び60rpm(25℃)の粘度Vが、それぞれ上記特定の範囲内である。
*、a*及びb*の値は、塗型剤組成物を株式会社生産日本社製のチャック付ポリ袋ユニパックB−4(縦5cm、横4cm、高さ1cm、ポリ袋の厚み0.04mm)に詰め、ミノルタ社製カラーレコーダーCR−13(みそ用測色計)により測定して得られる。
本発明において、L*の値は35.0〜80.0の範囲であるが、光の乱反射を繰り返して、消失模型の入り組んだ形状の奥や底にまで到達させる観点から、40.0〜80.0の範囲であることが好ましく、50.0〜80.0の範囲であることがより好ましい。また、a*の値は−60.0〜60.0の範囲であるが、白い消失模型上における塗型膜の視認性の観点から、−35.0〜35.0の範囲であることが好ましく、−20.0〜20.0の範囲であることがより好ましい。また、b*の値は−60.0〜40.0の範囲であるが、白い消失模型上における塗型膜の視認性の観点から、−10.0〜20.0の範囲であることが好ましく、−5.0〜15.0の範囲であることがより好ましい。L*、a*及びb*の値を上記範囲内に調整するには、後述する耐火粒子や顔料の種類、これらの含有量等を調整すればよい。L*値を上げるには、雲母を多く加えればよい。a*の値を上げるには弁柄を加えればよい。b*の値を上げるにはアンスラキノンイエローを加えればよく、下げるにはフタロシアニングリーンを加えればよい。
粘度Vの値は、塗型剤組成物を25℃に調整し、B型粘度計(ローター:No.3又はNo.4)にて6rpmに設定し、1分間回転させた後の粘度を測定して得られる。また、粘度Vの値は、60rpmに設定すること以外は、上記粘度Vの場合と同様に測定して得られる。
本発明において、粘度Vの値は3000〜10000mPa・sであるが、塗型剤組成物が垂れ落ちにくく適度な膜厚の塗型膜を形成するには、4000mPa・s以上であることが好ましい。また、美麗な塗型膜面を形成する観点からは、6000mPa・s以下であることが好ましく、5000mPa・s以下であることがより好ましい。以上の観点から、粘度Vの値は3000〜6000mPa・sであることが好ましく、4000〜5000mPa・sであることがより好ましい。粘度Vの値を上記範囲内に調整するには、鱗片状の耐火粒子(例えば鱗片状雲母)を用いたり、チキソトロピー性付与剤、分散剤などを適宜加えたりすればよい。粘度Vの値を上げるには、鱗片状の耐火粒子やチキソトロピー性付与剤を加えればよく、下げるには分散剤を加えればよい。また、塗型剤組成物の固形分濃度を高くしてVの値を上げることもでき、あるいは上記固形分濃度を低くしてVの値を下げることもできる。
本発明において、粘度Vの値は塗型膜の厚みの均一性の観点から700〜1800mPa・sであるが、ブッカケ塗布する際や刷毛により塗布する際の作業性の観点からは、1500mPa・s以下であることが好ましく、1300mPa・s以下であることがより好ましい。以上の観点から、粘度Vの値は700〜1500mPa・sであることが好ましく、700〜1300mPa・sであることがより好ましい。粘度Vの値を上記範囲内に調整するには、鱗片状の耐火粒子(例えば鱗片状雲母)を用いたり、チキソトロピー性付与剤、分散剤などを適宜加えたりすればよい。粘度Vの値を上げるには、鱗片状の耐火粒子やチキソトロピー性付与剤を加えればよく、下げるには分散剤を加えればよい。また、塗型剤組成物の固形分濃度を高くしてVの値を上げることもでき、あるいは上記固形分濃度を低くしてVの値を下げることもできる。
本発明では、粘度Vを粘度Vで割った値(以下、「チキソトロピーインデックス」又は「T.I.」ともいう)が、3.5〜7.0であることが好ましく、3.7〜4.5であることがより好ましく、4.0〜4.5であることが更に好ましい。T.I.が上記範囲内であれば、塗型膜の膜厚を適切な範囲に保持することができる上、ブッカケ塗布する際や刷毛により塗布する際の作業性が良好となる。
以下、本発明の塗型剤組成物に含有され得る成分について説明する。
<耐火粒子>
本発明の塗型剤組成物は、骨材として耐火粒子を含有することができる。耐火粒子の例としては、雲母(SiO2:45.2%、Al23:40.0%、Fe23:2.2%、MgO:1.1%、TiO2:0.3%、Na2O:0.8%、K2O:10.3%)、黒曜石(SiO2:73.3%、Al23:14.0%、Fe23:1.8%、Na2O:3.0%、K2O:3.6%)、真珠岩(SiO2:73.0%、Al23:12.0%、Fe23:1.3%、Na2O:3.0%、K2O:5.3%)、松脂岩(SiO2:70.0%、Al23:12.0%、Fe23:1.5%、Na2O:3.0%、K2O:3.6%)、正長石(SiO2:65.0%、Al23:18.0%、K2O:17.0%)、曹長石(SiO2:69.0%、Al23:19.0%、Na2O:12.0%)、白瑠石(SiO2:55.0%、Al23:23.0%、K2O:22.0%)、霞石((Na,K)AlSiO4)、シリカ(SiO2:92.8%、Al23:3.8%、Na2O:0.3%、K2O:0.7%)、アルミナ(Al23:100%)、ムライト(SiO2:28.0%、Al23:72.0%)、シャフトバンケツ50%(SiO2:38.0%、Al23:56.0%、Fe23:1.7%、TiO2:2.6%)、シャフトバンケツ85%(SiO2:8.0%、Al23:85.0%、Fe23:2.1%、TiO2:3.3%)、ダイアスポア(Al23:85.0%、H2O:15.0%)、蝋石(SiO2:67.0%、Al23:28.0%、H2O:5.0%)、スピネル(MgO:28.0%、Al23:72.0%)、カオリン(SiO2:46.0%、Al23:40.0%、H2O:14.0%)、シリマナイト(SiO2:37.0%、Al23:63.0%)、アンダルサイト(SiO2:37.0%、Al23:63.0%)、カイヤナイト(SiO2:37.0%、Al23:63.0%)、ギブサイト(SiO2:35.0%、Al23:65.0%)、黒砂石(SiO2:46.0%、Al23:38.0%、Fe23:0.3%、TiO:0.4%、CaO:0.3%、MgO:0.1%)、デッカイト(SiO2:43.0〜47.0%、Al23:39.0〜41.0%)、灰長石(SiO2:43.0%、Al23:37.0%、CaO:20.0%)、ボーキサイトを焼成したもの等が挙げられる。なお、これらの%はいずれも重量%である。
本発明では、耐火粒子として雲母、黒曜石、シリカ及びムライトから選択される1種以上を含むことが好ましく、雲母、シリカ及びムライトから選択される1種以上を含むことがより好ましく、雲母を含むことが更に好ましい。これらの耐火粒子を含有する場合は、L*、a*、b*、粘度V及び粘度Vを上記範囲内に容易に制御できる。
上記耐火粒子の平均粒径は、残渣欠陥を防止する観点からは、70μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましい。また、焼着欠陥を防止する観点からは、耐火粒子の平均粒径は、180μm以下であることが好ましく、160μm以下であることがより好ましい。以上の観点から、耐火粒子の平均粒径は、70〜180μmであることが好ましく、80〜160μmであることがより好ましい。なお、上記耐火粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−920型)にて測定した粒子の粒度分布のメジアン径である。
本発明の塗型剤組成物中の耐火粒子の含有量は、乾燥時の塗型膜の収縮を低減する観点から、20〜70重量%であることが好ましく、20〜60重量%であることがより好ましい。
本発明の塗型剤組成物には、焼着欠陥をより確実に防止するために、耐火粒子として黒鉛が含まれていてもよいが、黒鉛を含む場合は、L*の値を35.0〜80.0の範囲内に容易に制御する観点から、その塗型剤組成物中の含有量が9.0重量%以下であることが好ましく、5.2重量%以下であることがより好ましく、5.0重量%以下であることが更に好ましい。なお、本発明の塗型剤組成物には、黒鉛は含まれていなくてもよい。
<顔料>
本発明の塗型剤組成物は、L*、a*及びb*を上記範囲内に容易に制御する観点から、顔料を含んでいてもよい。顔料としては、キナクリドン、ポリアゾイエロー、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ペリレン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー等の有機顔料や、弁柄、酸化チタン、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、酸化亜鉛、群青、コバルトブルー、炭酸カルシウム、チタンイエロー、鉛白、鉛丹、鉛黄、紺青等の無機顔料が挙げられる。なかでも、白い消失模型上における塗型膜の視認性の観点から、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、弁柄が好ましい。
本発明の塗型剤組成物中の顔料の含有量は、L*、a*及びb*を上記範囲内に容易に制御する観点から、0.05〜6重量%であることが好ましく、0.08〜5重量%であることがより好ましい。
<分散媒>
本発明の塗型剤組成物は、水やアルコール類等の通常使用されるような分散媒を含有することができる。水系塗型剤組成物に適用する場合は水が主分散媒となる。アルコール系塗型剤組成物に適用する場合は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類が好ましく、メタノールがより好ましい。この場合、芳香族溶剤や炭化水素系溶剤を補助溶剤として使用してもよい。分散媒の含有量は、水系塗型剤組成物の場合、塗型剤組成物中、30〜50重量%であることが好ましく、35〜45重量%であることがより好ましい。また、アルコール系塗型剤組成物の場合は、塗型剤組成物中、30〜60重量%であることが好ましく、35〜55重量%であることがより好ましい。
<粘結剤>
本発明の塗型剤組成物は、通常使用されるような粘結剤を含有することができる。例えば、水系ではポリアクリル酸ナトリウム、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性高分子や酢酸ビニルエマルション等の樹脂エマルション等が使用できる。アルコール系ではアルコールに可溶又は分散する各種樹脂を添加するのが、塗型膜強度の点から好ましい。粘結剤の含有量は、塗型剤組成物中、1.0〜5.0重量%であることが好ましく、2.0〜4.0重量%であることがより好ましい。
<焼結剤>
本発明の塗型剤組成物は、通常使用されるような焼結剤を含有することができる。例えば、ナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイト等のベントナイト、木節粘土等の粘土類、エチルシリケート等が使用できる。中でも、ベントナイトは、焼結剤としての役割の他、チキソトロピー性付与剤としての役割も果たすため好ましい。焼結剤の含有量は、塗型剤組成物中、2.0〜5.0重量%であることが好ましく、2.5〜4.0重量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
その他に、本発明の塗型剤組成物に配合できる成分として、β‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、ポリビニルピロリドン等の分散剤、界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明の塗型剤組成物は、消失模型の表面に塗布される塗型剤組成物として好適に使用することができる。即ち、本発明の鋳物用消失模型の製造方法は、消失模型の表面に塗型膜を有する鋳物用消失模型の製造方法であって、上記本発明の消失模型用塗型剤組成物を上記消失模型の表面に塗布する工程を有する鋳物用消失模型の製造方法である。
本発明の塗型剤組成物が塗布される消失模型としては、通常と同様の合成樹脂発泡体の模型を用いることができる。合成樹脂発泡体としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、又はこれらの共重合体等の発泡体が用いられる。塗型剤組成物を消失模型に塗布する方法は、流し塗り(ブッカケ法)、浸漬(ドブ漬け法)、刷毛塗り、スプレー塗布等の従来知られている方法の何れでも良い。
次に、本発明の鋳物の製造方法について説明する。本発明の鋳物の製造方法は、上記本発明の製造方法によって得られた鋳物用消失模型を用いる鋳物の製造方法であって、上記鋳物用消失模型を鋳型定盤に配置する工程と、鋳物砂に埋設した上記鋳物用消失模型に溶融金属を鋳込む工程とを有する鋳物の製造方法である。鋳物砂に埋設する方法としては、上記鋳物用消失模型の周囲に金枠(フラスコ)を設置し、上記鋳物用消失模型の空間部、及び上記鋳物用消失模型と金枠の間に鋳物砂を充填する方法が好ましい。鋳造に用いる鋳物砂としては、石英質を主成分とする珪砂の他、ジルコン砂、クロマイト砂、合成セラミック砂等の新砂又は再生砂が使用される。鋳物砂は粘結剤を添加せずに用いることもでき、その場合には充填性が良好であるが、高強度の鋳型が要求される場合には、粘結剤を添加し、硬化剤により硬化させるのが好ましい。
本発明の鋳物の製造方法は、通常の方法に準じて行うことができる。通常の鋳込み温度は、使用する金属により異なるが、鋳鉄系の場合は一般に1330〜1410℃であり、アルミニウム系の場合は一般に700〜750℃であり、鋳鋼系の場合は一般に1450〜1500℃である。
本発明によれば、溶融金属と鋳型との接触を防ぐ機能等が有効に発揮されるため、鋳肌が美麗な鋳物が得られる。よって、本発明は、複雑な構造や、鋳肌表面の美しさが要求されるもの等に好適である。具体的な鋳物の例としては、建設機械の油圧バルブ、モーター、金型、エンジンフレーム、工作機械、建築部材等に用いられる、部材、部品等が挙げられる。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
<塗型剤組成物の調製>
関東混合機工業株式会社製縦型ミキサー「KTM−10」を用い、容量5Lのステンレスボールに、表1に示す量の粉体原料(耐火粒子、顔料、カルシウムベントナイト、分散剤)をそれぞれ測り取り、スピードセレクトスイッチ2にて、5分間攪拌した。続いて、これらに表1に示す量の酢酸ビニルエマルション及び防腐剤を入れ、スピードセレクトスイッチ2にて、徐々に水を入れながら、いわゆるFunicular IIの状態からCapillaryの状態になるまで5分間混練して、ペースト状の塗型剤組成物を得た。上記「Funicular II」及び「Capillary」については、「橋本健次 著「混練装置」 1986年9月20日 初版第1刷発行 科学技術総合研究所 第4頁」に詳細に記載されている。なお、表1に示す酢酸ビニルエマルションとしては、固形分濃度が58重量%のものを使用した。また、表1に示す耐火粒子の平均粒径(メジアン径)は、それぞれムライト:79μm、黒曜石:94μm、シリカ:80μm、雲母:100μm、鱗状黒鉛:82μmであった。これらの平均粒径の値は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−920型)を用い、相対屈折率は、それぞれの鉱石の文献値を入力して測定した。
<視認性評価>
発泡ポリスチレン(発泡倍率50倍)を用いて図1に示す形状の消失模型を作製した。この消失模型の表面に得られた塗型剤組成物を流し塗りし、50℃で24時間乾燥して鋳物用消失模型を得た。そして、250ルクスの照度下にて目視で下記基準により評価した。結果を表2に示す。
[視認性の評価基準]
a:消失模型のポケット部の底面に塗布された塗型膜を観察し易い。
b:消失模型のポケット部の底面に塗布された塗型膜の一部に見え難い部分があるが、観察することは可能。
c:消失模型のポケット部の底面に塗布された塗型膜を観察することが困難。
<塗型膜の厚みの均一性>
上記<視認性評価>で評価した鋳物用消失模型をカッターナイフで切って分解し、ポケット部の底面における消失模型と塗型膜の間に、厚み0.5mmのステンレス製の物差しを入れて塗型膜を剥がし取り、剥がし取った塗型膜の厚みを任意に4箇所ノギスで測定し、その最大値と最小値、及びそれらの差を求めた。結果を表2に示す。なお、最大値と最小値の差は小さい程よく、厚みの測定値は適度な範囲内(0.8〜1.5mm)であることが好ましい。
<鋳物評価>
表1に示す実施例4,5及び比較例8,9について、上記<視認性評価>の場合と同様の方法により鋳物用消失模型を作製し、得られた鋳物用消失模型をポケット部が下になるようにして湯道管とともに鋳型定盤に配置して、金枠を鋳物用消失模型の周りに10cm以上の間隔を空けて配置した。そして、フラン再生砂(AFS45)を鋳物砂として使用し、花王クエーカー製フラン樹脂(340B)を鋳物砂100重量部に対して0.8重量部添加し、更に花王クエーカー製硬化剤(TK−3)をフラン樹脂100重量部に対して40重量部添加して得られた混練砂を型込めし、25℃で1時間放置した。鋳型が硬化した後、ポケット部が上になるように鋳物用消失模型を鋳型及び前記金枠と共に鋳型定盤から分離するように上下を反転させた。前記鋳型定盤が除去された後、この反転して得られた鋳物用消失模型と鋳型を囲む前記金枠の上に、前記金枠と同様の金枠で高さのみ異なる金枠を乗せ、湯道管を上に延長して混練砂を型込めし、その上に同じ形状の金枠を更に乗せ、堰鉢用の木型を配置した後、混練砂を型込めし、25℃で1時間放置した後、木型を抜き取った。次いで、堰鉢部分に塗型剤(花王クエーカー株式会社製 フランクリーン OSK−540)を塗布し、鋳鉄(FC−250)の溶湯を1400℃で鋳込んだ。24時間放置し、冷却後、金枠と砂型をばらして鋳物を取り出し、ブラスティングマシン(株式会社サンポー製:型式L−112)を用いてショットブラストを5分間行った。得られた鋳物について下記基準により評価した。結果を表2に示す。
[焼着]
a:鋳物のポケット部の底面に全く焼着がない。
b:鋳物のポケット部の底面のコーナー部のみに焼着が認められる。
c:鋳物のポケット部の底面の中央部まで焼着しているが、焼着部分の厚みが1cm未満である。
d:鋳物のポケット部の底面の中央部まで焼着しており、焼着部分の厚みが1cm以上である。
[残渣欠陥]
a:鋳物上面に全く残渣欠陥がない。
b:鋳物上面に1〜3点の残渣欠陥がある。
c:鋳物上面に4〜10点の残渣欠陥がある。
d:鋳物上面に11点以上の残渣欠陥があるか、鋳物上面の全面にわたって残渣欠陥がある。
Figure 2010274314
Figure 2010274314
表2に示すように、実施例1〜9は、視認性評価及び塗型膜の厚みの均一性の何れについても良好な結果が得られた。一方、比較例1〜9は、視認性評価及び塗型膜の厚みの均一性の少なくとも一方について、実施例1〜9に比べて顕著に劣る結果が得られた。なお、比較例9は、適度な膜厚の塗型膜を得ることができなかった。これは、比較例9の粘度Vが低すぎたためと考えられる。この結果から、本発明によれば、塗型膜の塗布状態を容易に確認できる上、均一かつ適度な厚みの塗型膜が得られる塗型剤組成物を提供できることが確認された。

Claims (5)

  1. 消失模型の表面に塗布される消失模型用塗型剤組成物であって、
    ***表色系において、L*、a*及びb*の値が、それぞれ35.0〜80.0、−60.0〜60.0及び−60.0〜40.0であり、
    25℃において、ブルックフィールド型粘度計による6rpmの粘度V及び60rpmの粘度Vが、それぞれ3000〜10000mPa・s及び700〜1800mPa・sである、消失模型用塗型剤組成物。
  2. 前記消失模型用塗型剤組成物中の黒鉛の含有量が9.0重量%以下である請求項1記載の消失模型用塗型剤組成物。
  3. 前記粘度Vを前記粘度Vで割った値が3.7〜4.5である請求項1又は2記載の消失模型用塗型剤組成物。
  4. 消失模型の表面に塗型膜を有する鋳物用消失模型の製造方法であって、
    請求項1〜3の何れか1項記載の消失模型用塗型剤組成物を前記消失模型の表面に塗布する工程を有する、鋳物用消失模型の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法によって得られた鋳物用消失模型を用いる鋳物の製造方法であって、
    前記鋳物用消失模型を鋳型定盤に配置する工程と、
    鋳物砂に埋設した前記鋳物用消失模型に溶融金属を鋳込む工程とを有する、鋳物の製造方法。
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