JP2010273008A - アナログデジタル変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のアナログデジタル変換器は、変換処理と並列してキャリブレーション動作を行うことができなかった。
【解決手段】本発明のアナログデジタル変換器は、アナログ値を有する入力信号AINが一方の入力端子に入力され、入力信号AINに対する比較電圧が他方の入力端子に入力される比較器を備え、入力信号AINに対応したデジタル値を出力する変換回路10と、比較器の出力信号の期待値を入力信号に基づき生成し、比較器が出力する出力信号と期待値とに基づきオフセット制御信号OSを生成するキャリブレーション回路20と、を有し、変換回路10は、オフセット制御信号OSに基づき比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明はアナログデジタル変換器に関し、特に、アナログ値をデジタル値に変換する比較器の校正機能を有するアナログデジタル変換器に関する。
近年、信号処理分野では、デジタル信号に基づく信号処理が主流となってきている。このとき、外部から得られる信号がアナログ値を有する信号(以下、アナログ信号と称す)である場合、アナログ信号をデジタル信号に変換して処理を行うことが行われる。このような変換処理を行う回路の1つにアナログデジタル変換器がある。アナログデジタル変換器は、比較器を有し、入力されるアナログ信号の値と基準信号の値とを比較し、アナログ信号をデジタル信号に変換する。しかしながら、この比較器は、一般的にオフセットを有する。比較器は、このオフセットによって出力信号の論理レベルを反転させる閾値が基準電圧の電圧値からずれる問題がある。そのため、高精度にアナログデジタル変換処理を行うためには、この閾値のずれを少なくする必要がある。閾値ずれを解消する1つの方法として、校正処理によって比較器の閾値ずれを小さくする方法がある。
このような、校正処理を行う技術の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるアナログデジタル変換器100のブロック図を図20に示す。図20に示すアナログデジタル変換器100は、キャリブレーション基準電圧発生回路130、セレクタ145、サンプルホールド回路160、変換回路121、122、制御回路140を有する。そして、アナログデジタル変換器100は、キャリブレーション期間において、キャリブレーション基準電圧発生回路130が生成するキャリブレーション基準電圧CALREFを用いて変換器100の校正処理を行う。これにより、アナログデジタル変換器100は、変換器100の誤差を補正することで、変換精度を向上させる。
なお、特許文献2には、校正処理を行うことなく変換精度を向上させるアナログデジタル変換器の一例が開示されている。
米国特許7,046,179号公報 特開2008−54205号公報
特許文献1に開示されたアナログデジタル変換器100では、校正処理を行うために通常の動作とは別にキャリブレーション期間を設ける必要がある。しかしながら、アナログデジタル変換器の変換精度は、電源電圧の変動や半導体装置の温度等の動作環境の変化により変化する。そのため、アナログデジタル変換器100において変換精度を保つためには、動作環境に応じて適時にキャリブレーション期間を設けなければならない。つまり、アナログデジタル変換器100では、継続してアナログデジタル変換処理を行うと動作環境の変化に対応できないため、変換精度を保つことができない問題がある。
本発明にかかるアナログデジタル変換器の一態様は、アナログ値を有する入力信号が一方の入力端子に入力され、当該入力信号に対する比較電圧が他方の入力端子に入力される比較器を備え、前記入力信号に対応したデジタル値を出力する変換回路と、前記比較器の出力信号の期待値を前記入力信号に基づき生成し、前記比較器が出力する出力信号と前記期待値とに基づきオフセット制御信号を生成するキャリブレーション回路と、を有し、前記変換回路は、前記オフセット制御信号に基づき前記比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する。
本発明にかかるアナログデジタル変換器のオフセット補正方法の一態様は、アナログ値を有する入力信号が一方の入力端子に入力され、当該入力信号に対する比較電圧が他方の入力端子に入力される比較器を備えるアナログデジタル変換器のオフセット補正方法であって、前記入力信号に基づき前記比較器により出力信号を生成し、前記入力信号に基づき前記比較器の出力信号の期待値を生成し、前記出力信号の値と前記期待値との差の極性に基づき前記比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する。
本発明にかかるアナログデジタル変換器及びそのオフセット補正方法によれば、入力信号に基づき変換回路が出力すべき出力信号の期待値を生成し、当該期待値に基づき変換回路の比較器の出力反転閾値レベルにオフセット量を設定する。つまり、本発明にかかるアナログデジタル変換器及びそのオフセット補正方法では、変換回路による変換処理と並行してオフセットの補正が可能になる。
本発明にかかるアナログデジタル変換器及びそのオフセット補正方法によれば、アナログデジタル変換器の変換精度を高精度に維持しながら変換処理を実行することができる。
実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器のブロック図である。 実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器の詳細なブロック図である。 実施の形態1にかかるステートマシンが出力する制御信号の時間変化を示すグラフである。 実施の形態1にかかる温度計コード生成回路の真理値表である。 実施の形態1にかかるデジタル比較器の真理値表である。 実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器における校正処理の動作を示すタイミングチャートである。 実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器における校正処理の動作を示すタイミングチャートである。 実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器における校正処理の動作を示すタイミングチャートである。 実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器の線形性の初期状態を示すグラフである。 実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器の線形性の校正処理後の状態を示すグラフである。 実施の形態2にかかるアナログデジタル変換器の詳細なブロック図である。 実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器の詳細なブロック図である。 実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器の動作を示すフローチャートである。 実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器の詳細なブロック図である。 実施の形態4にかかるデジタル比較器の真理値表である。 実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器の動作を示すフローチャートである。 実施の形態5にかかるアナログデジタル変換器の詳細なブロック図である。 実施の形態5にかかるアナログデジタル変換器の動作を示すフローチャートである。 実施の形態6にかかるステートマシンが出力する制御信号の時間変化を示すグラフである。 特許文献1に記載のアナログデジタル変換器のブロック図である。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、所定ビットの分解能を有するアナログデジタル変換器を例に本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器を説明する。なお、以下の説明においてnは整数とし、各構成要素を示す符号の末尾に付される数字によりその構成要素が受け持つ変換処理のビット値を示す。また、以下の説明では、構成要素の符号は、対応するビット値を特定する必要がない場合は、ビット値を特定する数字を付すことなく説明する。
まず、図1に本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1のブロック図を示す。図1に示すように、アナログデジタル変換器1は、変換回路(例えば、アナログデジタル変換回路(ADC:Analog Digital Converter))10、キャリブレーション回路20、エンコーダ30を有する。本実施の形態では、アナログデジタル変換回路10として複数の比較器によりアナログ値をデジタル化して、そのデジタル値を温度計コードとして出力するフラッシュ型アナログデジタル変換回路を用いる。
アナログデジタル変換回路10は、アナログ値を有する入力信号AINが一方の入力端子に入力され、入力信号AINに対する比較電圧が他方の入力端子に入力される比較器を備え、入力信号AINに対応したデジタル値DAを出力する。ここで、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換回路10は、入力信号AINを所定の間隔でサンプリングし、そのサンプリング値を多ビットの信号(例えば、出力信号DA1〜DAn+1)により構成される温度計コードとして出力する。
キャリブレーション回路20は、アナログデジタル変換回路10の比較器CMPの出力信号(例えば、温度計コード)の期待値を入力信号AINに基づき生成し、比較器が出力する出力信号と期待値とに基づきオフセット制御信号OSを生成する。そして、アナログデジタル変換器1では、アナログデジタル変換回路10は、オフセット制御信号OSに基づき比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する。
エンコーダ30は、アナログデジタル変換回路10が出力した温度計コードをエンコードして後段回路に出力するADC出力信号を生成する。
ここで、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1をさらに詳細に説明するために、図2にアナログデジタル変換器1の詳細なブロック図を示す。図2に示すように、アナログデジタル変換回路10は、複数の比較器CMP1〜CMPn+1、基準電圧生成回路、フリップフロップ回路D−FFを有する。本実施の形態では、Nビットのアナログデジタル変換器を構成するために、2+1個(以下の説明では、n+1個とする)の変換器を用いる。そのため、アナログデジタル変換回路10は、比較器CMP1〜CMPn+1を有する。
基準電圧生成回路は、正極側定電圧VRTと負極側定電圧VRBとの間に直列に接続されるn+1個の抵抗(図2に示す抵抗RA1〜RAn+1)を有する。そして、基準電圧生成回路は、抵抗列によって正極側定電圧VRTと負極側定電圧VRBとを分圧した複数の基準電圧を出力する。この複数の基準電圧は、比較器CMP1〜CMPn+1に入力される比較電圧である。図2に示す例では、アナログデジタル変換回路10に設けられた基準電圧生成回路が、比較器CMP1〜CMPn+1に基準電圧REFA1〜REFAn+1を出力する。
複数の比較器CMP1〜CMPn+1は、それぞれが基準電圧REFA1〜REFAn+1のうち対応する1つの基準電圧と入力信号AINの電圧とを比較してデジタル信号を出力する。また、比較器CMP1〜CMPn+1は、キャリブレーション回路20によるキャリブレーション処理が行われる前の初期状態において出力値を反転させる出力反転閾値レベルに入力オフセットを有する。より具体的には、比較器CMP1〜CMPn+1は、基準電圧よりも高い電圧値を有する入力信号AINが入力された場合には出力信号をハイレベルとし、基準電圧よりも低い電圧値を有する入力信号AINが入力された場合には出力信号をロウレベルとする。しかし、比較器CMP1〜CMPn+1が入力オフセットを有している場合、この入力オフセットによって入力信号AINと基準電圧REFAの比較結果にずれが生じる。そこで、本実施の形態にかかる比較器CMP1〜CMPn+1は、入力オフセットの調整機構を有する。比較器CMP1〜CMPn+1には、キャリブレーション回路20からオフセット制御信号OS1〜OSn+1が入力される。そして、比較器CMP1〜CMPn+1は、オフセット制御信号OS1〜OSn+1に基づき所定のステップ幅Δで入力オフセットを相殺する。この入力オフセットの調整動作(キャリブレーション動作)の詳細については後述する。
また、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換回路10は、変換結果として温度計コードを出力する。温度計コードは、多ビットのデータであって、入力信号の大きさに応じて下位ビット側から上位ビット側に第1の論理レベル(例えば、ハイレベル)の信号の数を増加させるものである。本実施の形態では、比較器CMP1が出力する出力信号DA1が温度計コードの最下位ビットのデータとなり、比較器CMPn+1が出力する出力信号DAn+1が最上位ビットのデータとなる。
比較器CMP1〜CMPn+1の出力に設けられているフリップフロップ回路(図中のD−FF)は、サンプリング周期に基づき比較器の出力値を一時的に保持するものである。
キャリブレーション回路20は、基準電圧生成回路、シーケンス制御回路(例えば、ステートマシン)21、第1の選択回路22、リファレンス比較器RCMP、第2の選択回路22、デジタル比較器DCMP1〜DCMPn+1、カウンタCNTA1〜CNTAn+1を有する。
基準電圧生成回路は、正極側定電圧VRTと負極側定電圧VRBとの間に直列に接続されるn+1個の抵抗(図2に示す抵抗RB1〜RBn+1)を有する。そして、基準電圧生成回路は、抵抗列によって正極側定電圧VRTと負極側定電圧VRBとを分圧した複数の基準電圧を出力する。この複数の基準電圧は、比較器CMP1〜CMPn+1に入力される比較電圧と同じものである。図2に示す例では、キャリブレーション回路20に設けられた基準電圧生成回路は、第1の選択回路22を介してリファレンス比較器RCMPに基準電圧REFB1〜REFBn+1を出力する。なお、図2に示す例では、アナログデジタル変換回路10とキャリブレーション回路20とに基準電圧生成回路を示したが、これら2つの基準電圧生成回路は同一の電圧値を有する基準電圧を生成する。つまり、アナログデジタル変換回路10及びキャリブレーション回路20は、共通に設けられた基準電圧生成回路から基準電圧の供給を受けても良い。
ステートマシン21は、第1の選択回路22と、第2の選択回路23と、にキャリブレーション処理対象の比較器を指示する制御信号S1を出力する。本実施の形態では、ステートマシン21は、キャリブレーション対象の比較器を循環的に指示する。そこで、ステートマシン21が出力する制御信号S1の時間変化を示すグラフを図3に示す。図3に示す例は、比較器CMPが9つの場合である。図3に示すように、この場合、制御信号S1は、循環的に9つの値をとる。そして、例えば、制御信号S1の値が0を示す場合制御信号S1は比較器CMP1を指定し、制御信号S1の値が1を示す場合制御信号S1は比較器CMP2を指定していることになる。
第1の選択回路22は、スイッチSWa1〜SWan+1を有する。スイッチSWa1〜SWan+1は、一方の端子が対応する基準電圧生成回路の基準電圧生成点(例えば抵抗の間)に接続され、他方の端子が共通に接続される。スイッチSWa1〜SWan+1は、ステートマシン21が出力する制御信号S1に基づきいずれかがオンする。より具体的には、スイッチSWa1〜SWan+1は、制御信号S1により通知されるキャリブレーション対象の比較器に供給される基準電圧REFAと同電圧の基準電圧REFBに対応するものがオンする。例えば、制御信号S1の値が0の場合、スイッチSWa1がオンし、他のスイッチはオフする。この第1の選択回路22が制御信号S1に基づき選択した基準電圧REFBは、キャリブレーション用基準電圧としてリファレンス比較器RCMPに与えられる。
リファレンス比較器RCMPは、第1の選択回路22により選択された基準電圧をキャリブレーション用基準電圧として受ける。そして、リファレンス比較器RCMPは、キャリブレーション用基準電圧と入力信号AINの電圧とを比較して期待値を出力する。この期待値は、第1の選択回路22が選択した基準電圧REFBと同じ電圧値を有する基準電圧REFAが入力される比較器CMPに対するものである。
第2の選択回路23は、少なくともリファレンス比較器RCMPに供給されるキャリブレーション用基準電圧に対応する基準電圧REFAが供給される比較器に対してリファレンス比較器RCMPが出力した期待値を出力する。本実施の形態では、第2の選択回路23として温度計コード生成回路(以下、温度計コード生成回路23と称す)を用いた。温度計コード生成回路23は、制御信号S1及びリファレンス比較器RCMPが出力する出力信号(期待値)に基づき、キャリブレーション処理対象の比較器に対応する期待値を含むリファレンス用温度計コードを出力する。このリファレンス用温度計コードは、出力信号DB1〜DBn+1により構成される。出力信号DB1はリファレンス用温度計コードの最下位ビットであって、出力信号DBn+1はリファレンス用温度計コードの最上位ビットである。また、出力信号DB1〜DBn+1は、それぞれ比較器CMP1〜CMPn+1の出力信号DA1〜DAn+1の期待値を示すものである。
また、本実施の形態にかかる温度計コード生成回路23は、制御信号S1の値及びリファレンス比較器RCMPが出力する期待値に応じて、出力信号DB1〜DBn+1のいずれに期待値を出力するかを切り替える。より具体的には、温度計コード生成回路23が出力するリファレンス用温度計コードは、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値が第1の論理レベル(例えば、ハイレベル)である場合、キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号よりも下位ビット側の信号の値がハイレベルとなり、キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号よりも上位ビット側の信号の値が不感値となる。また、温度計コード生成回路23が出力するリファレンス用温度計コードは、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値が第2の論理レベル(例えば、ロウレベル)である場合、キャリブレーション処理対象の比較器に対応するビットよりも上位ビット側の値が前記ロウレベルとなり、キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号より下位ビット側の信号の値が不感値となる。なお、温度計コード生成回路23が出力するリファレンス用温度計コードは、上述したように、キャリブレーション処理対象の比較器に対応する期待値を含むものであり、制御信号S1により指定されたキャリブレーション処理対象の比較器に対応する出力信号DBの値は、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値と同一値になる。また、温度計コード生成回路23が出力する不感値とは、デジタル比較器DCMPに比較動作の停止を指示する値である。出力信号DB1〜DBn+1は、例えば2ビットの信号であって1ビット目の値により出力信号が不感値を示すか否かを示し、2ビット目の値により出力信号がハイレベルであるかロウレベルであるかを示す。
ここで、温度計コード生成回路23の真理値表の一部を図4に示す。図4に示す例は、比較器CMPが9個であって、制御信号S1の値が3のときと、制御信号S1の値が6のときの出力信号DB1〜DB9(温度計コード)の値を示すものである。制御信号S1=3の場合、キャリブレーション対象の比較器として比較器CMP4が指示される。そのため、図4に示すように、期待値ROUTがハイレベル(H)である場合、比較器CMP4に対応する出力信号DB4とそれよりも下位ビット側の出力信号DB1〜DB3がハイレベルとなる。また、このとき出力信号DB4よりも上位ビット側の出力信号DB5〜DB9は不感値Xとなる。期待値ROUTがロウレベル(L)である場合、比較器CMP4に対応する出力信号DB4とそれよりも上位ビット側の出力信号DB5〜DB9がロウレベルとなる。また、このとき出力信号DB4よりも下位ビット側の出力信号DB1〜DB3は不感値Xとなる。
また、制御信号S1=6の場合、キャリブレーション対象の比較器として比較器CMP7が指示される。そのため、図4に示すように、期待値ROUTがハイレベル(H)である場合、比較器CMP7に対応する出力信号DB7とそれよりも下位ビット側の出力信号DB1〜DB6がハイレベルとなる。また、このとき出力信号DB7よりも上位ビット側の出力信号DB8〜DB9は不感値Xとなる。期待値ROUTがロウレベル(L)である場合、比較器CMP7に対応する出力信号DB7とそれよりも上位ビット側の出力信号DB8〜DB9がロウレベルとなる。また、このとき出力信号DB7よりも下位ビット側の出力信号DB1〜DB6は不感値Xとなる。
デジタル比較器DCMP及びカウンタCNTAは、本実施の形態におけるオフセット調整回路を構成する。オフセット調整回路は、第1の選択回路22が出力するキャリブレーション用基準電圧に対応する基準電圧VREFAが供給される比較器CMPの出力信号の値と、第2の選択回路23から出力される期待値(図中のDB1〜DBn+1)とを比較し、オフセット制御信号OSを出力する。ここで、デジタル比較器DCMPは、キャリブレーション用基準電圧に対応する基準電圧VREFAが供給される比較器CMPの出力信号の値と、第2の選択回路23から出力される期待値(図中のDB1〜DBn+1)とを比較してカウント制御信号ADJA1〜ADJAn+1を出力する。また、カウンタCNTA1〜CNTAn+1は、カウント制御信号ADJA1〜ADJAn+1に応じてカウント値を増減させ、カウント値をオフセット制御信号OS1〜OSn+1として出力する。
ここで、デジタル比較器DCMPの真理値表を図5に示す。図5に示すように、デジタル比較器DCMPは、比較器CMPの出力信号の値DA1〜DAn+1とリファレンス比較器RCMPが出力する期待値DB1〜DBn+1との関係によってカウント制御信号ADJAの値を切り替える。図5に示す例では、比較器CMPの出力信号の値とリファレンス比較器RCMPが出力する期待値とが一致する場合にはカウント制御信号ADJAとして不感値Xを出力する。デジタル比較器DCMPが出力する不感値Xは、カウンタCNTAにカウント値を保持する指示を与えるものである。また、比較器CMPの出力信号の値がハイレベル(H)であって、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値がロウレベル(L)である場合、デジタル比較器DCMPはカウント制御信号ADJAとしてカウントアップを指示する信号UP(例えばハイレベルの信号)を出力する。比較器CMPの出力信号の値がロウレベル(L)であって、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値がハイレベル(H)である場合、デジタル比較器DCMPはカウント制御信号ADJAとしてカウントダウンを指示する信号DOWN(例えばロウレベルの信号)を出力する。
そして、カウンタCNTAは、カウント制御信号ADJAに基づきカウント値をカウントアップ又はカウントダウンする。なお、カウント制御信号ADJAは、2ビットの信号であって、1ビット目の値によりカウント制御信号ADJAが不感値を示すか否かを示し、2ビット目の値によりカウント制御信号ADJAがカウントアップを指示すものであるかカウントダウンを指示すものであるかを示す。
続いて、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1の動作について説明する。本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1は、入力信号AINをデジタル値に変換する変換処理とキャリブレーション動作とを並列して行う。ここでは、特にキャリブレーション動作を中心にアナログデジタル変換器1の動作を説明する。
本実施の形態にかかるアナログデジタル変換回路10の比較器CMPは、所定のステップ幅Δで入力オフセットを調整する。そこで、初期の入力オフセット状態として3つの場合を例にアナログデジタル変換器1の動作を説明する。なお、アナログデジタル変換器1は、サンプリング周期毎に入力オフセットの調節及び温度計コードの出力を行うものとする。また、以下の説明では、1サンプリング周期を1サイクルと称す。さらに、以下の説明では、便宜的に制御信号S1の値が1であって、キャリブレーション対象の比較器として比較器CMP2が選択され、入力信号AINとして基準電圧REFA2の近傍(例えば、REFA2の上下Δの範囲内)の電圧値が入力されている場合について説明する。また、アナログデジタル変換器1では、キャリブレーション対象の比較器は循環的に選択されるものであり、入力信号AINの電圧値は変換すべき全ての電圧範囲をとるものであり、全ての比較器CMPに対してキャリブレーション動作が行われる。
まず、第1の例として、比較器CMP2の初期の入力オフセットが3Δの場合のアナログデジタル変換器1の動作を示すタイミングチャートを図6に示す。図6に示すように、第1の例では、1番目のサイクルCY1で、比較器CMP2の入力オフセットが3Δである。このとき、比較器CMP2の出力反転レベルはREFA2+3Δとなるため比較器CMP2はロウレベルを出力する。一方、リファレンス比較器RCMPの出力反転閾値レベルは基準電圧VREFA2と同電圧の基準電圧VREFB2であるため、入力信号AINがREFA2〜REFA2+Δの範囲の電圧値である場合には、リファレンス比較器RCMPはハイレベルを出力する。これにより、デジタル比較器DCMP2には、比較器CMP2の出力信号DA2としてロウレベルが入力され、期待値DB2としてハイレベルが入力されるため、デジタル比較器DCMP2はカウント制御信号ADJAとしてカウントダウンを指示するDOWNを出力する。そして、カウント制御信号ADJAに基づきカウンタCNTA2は、カウント値を1減らす。これにより、比較器CMP2に与えられるオフセット制御信号OS2が示す値が1減るため、比較器CMP2の入力オフセットは2Δとなる。また、入力信号AINがREFA2−Δ〜REFA2の範囲の電圧値である場合には、リファレンス比較器RCMPはロウレベルを出力する。これにより、デジタル比較器DCMP2には、比較器CMP2の出力信号DA2としてロウレベルが入力され、期待値DB2としてロウレベルが入力されるため、デジタル比較器DCMP2はカウント制御信号ADJAとして不感値Xを出力する。そのため、カウンタCNTA2は、カウント値を保持する。
同様の動作は2番目のサイクルCY2及び3番目のサイクルCY3においても行われる。そして、4番目のサイクルCY4では、比較器CMP2の入力オフセットはゼロになる。比較器CMP2の入力オフセットはゼロとなることで、比較器CMP2は入力信号AINの値に関わらずリファレンス比較器RCMPと同じ結果を出力するため、デジタル比較器DCMP2が出力するカウント制御信号ADJAはその後不感値Xを維持する状態となる。つまり、比較器CMP2の初期状態における入力オフセットはその後もゼロを維持する。
続いて、第2の例として、比較器CMP2の初期の入力オフセットが3.9Δの場合のアナログデジタル変換器1の動作を示すタイミングチャートを図7に示す。図7に示すように、第2の例では、1番目のサイクルCY1で、比較器CMP2の入力オフセットが3.9Δである。このとき、比較器CMP2の出力反転レベルはREFA2+3.9Δとなるため比較器CMP2はロウレベルを出力する。一方、リファレンス比較器RCMPの出力反転閾値レベルは基準電圧VREFA2と同電圧の基準電圧VREFB2であるため、入力信号AINがREFA2〜REFA2+Δの範囲の電圧値である場合には、リファレンス比較器RCMPはハイレベルを出力する。これにより、デジタル比較器DCMP2には、比較器CMP2の出力信号DA2としてロウレベルが入力され、期待値DB2としてハイレベルが入力されるため、デジタル比較器DCMP2はカウント制御信号ADJAとしてカウントダウンを指示するDOWNを出力する。そして、カウント制御信号ADJAに基づきカウンタCNTA2は、カウント値を1減らす。これにより、比較器CMP2に与えられるオフセット制御信号OS2が示す値が1減るため、比較器CMP2の入力オフセットは2.9Δとなる。また、入力信号AINがREFA2−Δ〜REFA2の範囲の電圧値である場合には、リファレンス比較器RCMPはロウレベルを出力する。これにより、デジタル比較器DCMP2には、比較器CMP2の出力信号DA2としてロウレベルが入力され、期待値DB2としてロウレベルが入力されるため、デジタル比較器DCMP2はカウント制御信号ADJAとして不感値Xを出力する。そのため、カウンタCNTA2は、カウント値を保持する。
同様の動作は2番目のサイクルCY2から4番目のサイクルCY4においても行われる。そして、5番目のサイクルCY5では、比較器CMP2の入力オフセットは−0.1Δになる。つまり、比較器CMP2の出力反転レベルはREFA2−0.1Δとなる。しかし、入力信号AINの値によっては、比較器CMP2の出力信号DA2の値とリファレンス比較器RCMPが出力する期待値DB2との間にずれが生じる場合がある。これは、比較器CMP2の出力反転閾値レベルがリファレンス比較器RCMPと異なるためである。図7に示す例ではサイクルCY5において、出力信号DA2と期待値DB2との違いに基づきカウント制御信号ADJAがカウントアップをカウンタCNTAに指示する。そして、サイクルCY6では、比較器CMP2の入力オフセットは0.9Δとなる。
図7に示す例では、その後、比較器CMP2の入力オフセットが0.9Δと−0.1Δとの間で変動する。つまり、第2の例では、比較器CMP2の入力オフセットの絶対値の最大値は0.9Δとなる。言い換えると、第2の例では、比較器CMP2の入力オフセットをΔ以下に抑制できることがわかる。
続いて、第3の例として、比較器CMP2の初期の入力オフセットが3.1Δの場合のアナログデジタル変換器1の動作を示すタイミングチャートを図8に示す。図8に示すように、第3の例では、1番目のサイクルCY1で、比較器CMP2の入力オフセットが3.1Δである。このとき、比較器CMP2の出力反転レベルはREFA2+3.1Δとなるため比較器CMP2はロウレベルを出力する。一方、リファレンス比較器RCMPの出力反転閾値レベルは基準電圧VREFA2と同電圧の基準電圧VREFB2であるため、入力信号AINがREFA2〜REFA2+Δの範囲の電圧値である場合には、リファレンス比較器RCMPはハイレベルを出力する。これにより、デジタル比較器DCMP2には、比較器CMP2の出力信号DA2としてロウレベルが入力され、期待値DB2としてハイレベルが入力されるため、デジタル比較器DCMP2はカウント制御信号ADJAとしてカウントダウンを指示するDOWNを出力する。そして、カウント制御信号ADJAに基づきカウンタCNTA2は、カウント値を1減らす。これにより、比較器CMP2に与えられるオフセット制御信号OS2が示す値が1減るため、比較器CMP2の入力オフセットは2.1Δとなる。また、入力信号AINがREFA2−Δ〜REFA2の範囲の電圧値である場合には、リファレンス比較器RCMPはロウレベルを出力する。これにより、デジタル比較器DCMP2には、比較器CMP2の出力信号DA2としてロウレベルが入力され、期待値DB2としてロウレベルが入力されるため、デジタル比較器DCMP2はカウント制御信号ADJAとして不感値Xを出力する。そのため、カウンタCNTA2は、カウント値を保持する。
同様の動作は2番目のサイクルCY2から4番目のサイクルCY4においても行われる。そして、5番目のサイクルCY5では、比較器CMP2の入力オフセットは−0.9Δになる。つまり、比較器CMP2の出力反転レベルはREFA2−0.9Δとなる。しかし、入力信号AINの値によっては、比較器CMP2の出力信号DA2の値とリファレンス比較器RCMPが出力する期待値DB2との間にずれが生じる場合がある。これは、比較器CMP2の出力反転閾値レベルがリファレンス比較器RCMPと異なるためである。図8に示す例ではサイクルCY5において、出力信号DA2と期待値DB2との違いに基づきカウント制御信号ADJAがカウントアップをカウンタCNTAに指示する。そして、サイクルCY6では、比較器CMP2の入力オフセットは0.1Δとなる。
図8に示す例では、その後、比較器CMP2の入力オフセットが−0.9Δと0.1Δとの間で変動する。つまり、第3の例では、比較器CMP2の入力オフセットの絶対値の最大値は0.9Δとなる。言い換えると、第3の例では、比較器CMP2の入力オフセットをΔ以下に抑制できることがわかる。
また、図6〜図8に示す動作例においては、比較器CMP2に対するキャリブレーション動作のみを説明したが、いずれの動作例においても、リファレンス比較器RCMPが期待値としてハイレベルを出力している場合は、出力信号DB1としてハイレベルが出力され比較器CMP1に対するキャリブレーション動作が行われる。また、比較器CMP1、CMP2に対するキャリブレーション動作が行われる場合、出力信号DB3〜DBn+1は不感値Xとなるため、比較器CMP3〜CMPn+1に対するキャリブレーション動作は行われない。さらに、リファレンス比較器RCMPが期待値としてロウレベルを出力している場合は、出力信号DB2〜DBn+1としてロウレベルが出力され比較器CMP2〜CMPn+1に対するキャリブレーション動作が行われる。また、比較器CMP2〜CMPn+1に対するキャリブレーション動作が行われる場合、出力信号DB1は不感値Xとなるため、比較器CMP1に対するキャリブレーション動作は行われない。
ここで、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1におけるキャリブレーション処理によるオフセット低減効果の一例について説明する。図9に本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1の線形性の初期状態を示すグラフを示し、図10に本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1の線形性のキャリブレーション処理後の状態を示すグラフを示す。図9に示す初期状態では、ADC出力コードに関わらず大きなオフセットが生じている。これに対して図10に示すキャリブレーション処理後のオフセットの大きさは、図9に示すものよりも顕著に小さくなっている。図10に示す例では、ADC出力コードの全範囲にわたりオフセットの大きさは1LSBよりも小さくなっている。
上記説明より、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1では、入力信号AINに基づき比較器CMPにより出力信号DAを生成し、入力信号AINに基づき比較器CMPの出力信号の期待値を生成し、出力信号DAの値と期待値との差の極性に基づき比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する。つまり、本実施の形態において生成される出力信号DAの期待値は、入力信号AINに基づき生成されるものであり、アナログデジタル変換回路10は、変換処理と並行してキャリブレーション動作を行うことができる。これにより、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1は、回路の動作状況(例えば、電源電圧変動、基板温度の変動)に追従して高い変換精度を保つことができる。
また、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1では、アナログデジタル変換回路10が入力信号AINに応じた温度計コードを出力するものであり、キャリブレーション回路20は、当該温度計コードの期待値を含むリファレンス温度計コードを出力する。そして、このリファレンス温度計コードは、制御信号S1とリファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTとに基づき値が当然に決定される上位ビット又は下位ビットに対して当該期待値ROUTとなるものである。これにより、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1は、複数の比較器のキャリブレーション動作を同時に行うことができる。つまり、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1は、キャリブレーション処理によるオフセットの低減処理を高速に行うことができる。
また、本実施の形態にかかるアナログデジタル変換器1では、複数の比較器に対して1つのリファレンス比較器RCMPを設ける。また、アナログデジタル変換器1は、ステートマシン21を有し、ステートマシン21が出力する制御信号S1に基づき、リファレンス比較器RCMPに複数の比較器に対応した期待値を生成させる。つまり、アナログデジタル変換器1では、複数の比較器のそれぞれに対してリファレンス比較器RCMPを設ける必要がないため、キャリブレーション回路の回路規模を抑制することができる。
実施の形態2
実施の形態2にかかるアナログデジタル変換器2の詳細なブロック図を図11に示す。図11に示すように、アナログデジタル変換器2は、キャリブレーション回路20に代えてキャリブレーション回路20aを有する。キャリブレーション回路20aは、キャリブレーション回路20の第2の選択回路23に相当する第2の選択回路24を有する。第2の選択回路24は、複数のスイッチSWb1〜SWbn+1を有する。
スイッチSWb1〜SWbn+1は、一方の端子が共通に接続され、当該一方の端子にリファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTが入力される。また、スイッチSWb1〜SWbn+1は、他方の端子が対応するデジタル比較器DCMPに接続される。そしてスイッチSWb1〜SWbn+1は、ステートマシン21が出力する制御信号S1に応じていずれか1つがオンする。
つまり、実施の形態2における第2の選択回路24は、制御信号S1により指定されたキャリブレーション対象の比較器CMPに対応する期待値のみを出力する。この第2の選択回路24によっても、キャリブレーション対象の比較器CMPに対するキャリブレーション動作は実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1と同様に行われる。つまり、実施の形態2にかかるアナログデジタル変換器2では、第2の選択回路24の回路構成を温度計コード生成回路23よりも簡略化し回路規模を削減することができる。
実施の形態3
実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器3の詳細なブロック図を図12に示す。実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器3では、実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1にフォアグランドで実行されるキャリブレーション動作を行う機能を設けたものである。また、アナログデジタル変換器3では、フォアグランドで行われるキャリブレーション動作によりリファレンス比較器RCMPに対するキャリブレーション処理を行う。
図12に示すように、アナログデジタル変換器3は、アナログデジタル変換器1のキャリブレーション回路20に代えてキャリブレーション回路20bを有する。キャリブレーション回路20bは、キャリブレーション回路20に第1のスイッチ回路SW1、第3の選択回路(例えば、セレクタSEL1〜SELn+1)、リファレンス用カウンタRCNT、第2のスイッチ回路SW2及び信号源25を追加したものである。また、キャリブレーション回路20bには、外部よりモード制御信号S2が入力される。モード制御信号S2は、フォアグランド処理によるキャリブレーション動作を行う第1のモードと、バックグランド処理によるキャリブレーション動作を行う第2のモードとのいずれかのモードを指示する。
第1のスイッチ回路SW1は、比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPに入力信号AINと信号源25が出力するキャリブレーション入力信号とのいずれを与えるかをモード制御信号S2に基づき切り替える。より具体的には、モード制御信号S2が第1のモードを示している場合は、第1のスイッチ回路SW1は、キャリブレーション入力信号を比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPに与える。一方、モード制御信号S2が第2のモードを示している場合は、第1のスイッチ回路SW1は、入力信号AINを比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPに与える。
セレクタSEL1〜SELn+1は、モード制御信号S2に基づき比較器CMPの出力とデジタル比較器の出力信号(カウント制御信号ADJA)とのいずれか一方を選択してカウンタCNTAに出力する。セレクタSEL1〜SELn+1は、カウンタCNTA1〜CNTAn+1に対応して設けられるものである。セレクタSEL1〜SELn+1は、カウンタCNTA1〜CNTAn+1の前段に設けられる。セレクタSEL1〜SELn+1は、モード制御信号S2が第1のモードを示す場合、比較器CMPの出力信号DAを選択してカウンタCNTAに与える。一方、セレクタSEL1〜SELn+1は、モード制御信号S2が第2のモードを示す場合、デジタル比較器DCMPが出力するカウント制御信号ADJAを選択してカウンタCNTAに与える。
リファレンス用カウンタRCNTは、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTに応じてカウント値を増減させ、カウント値をリファレンス用オフセット制御信号としてリファレンス比較器RCMPに出力する。ここで、実施の形態3では、リファレンス比較器RCMPが入力オフセットを調節する機能を有する。この入力オフセット調整機能は、比較器CMPと同じものである。
第2のスイッチ回路SW2は、リファレンス比較器RCMPの出力ノード(図12に示す例では、リファレンス比較器RCMPの出力に設けられるフリップフロップ回路D−FFの出力ノード)とリファレンス用カウンタRCNTとの間に設けられる。そして、第2のスイッチ回路SW2は、モード制御信号S2に基づきリファレンス用カウンタRCNTにリファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTを与えるか否かを切り替える。より具体的には、モード制御信号S2が第1のモードを示す場合には、第2のスイッチ回路SW2はオンし、期待値ROUTをリファレンス用カウンタRCNTに与える。一方。モード制御信号S2が第2のモードを示す場合には、第2のスイッチ回路SW2はオフし、期待値ROUTがリファレンス用カウンタRCNTに入力されることを防ぐ。
信号源25は、制御信号S1に基づきキャリブレーション対象の比較器に入力される基準電圧に対応したキャリブレーション入力信号を生成する。より具体的には、信号源25は、制御信号S1により指定されるキャリブレーション対象の比較器に入力される基準電圧と同じ電圧を有するキャリブレーション入力信号を生成する。
続いて、実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器3の動作について説明する。図13にアナログデジタル変換器3の動作を示すフローチャートを示す。図13に示すように、アナログデジタル変換器3は、まず第1のモード(例えば、フォアグランドモード)でキャリブレーション動作を行い(Step1〜Step6)、その後第2のモード(例えば、バックグランドモード)でキャリブレーション動作と通常の変換動作とを並行して行う(Step7〜Step11)。そこで、フォアグランドモードとバックグランドモードの動作を詳細に説明する。
フォアグランドモードでは、モード制御信号S2の値をAとする(Step1)。そのため、第1のスイッチ回路SW1は端子A側を選択する(Step2)。また、セレクタSEL1〜SELn+1は、端子A側に入力される比較器CMPの出力信号DAを選択する(Step3)。さらに、第2のスイッチ回路SW2はモード制御信号S2の値に従ってオンする(Step4)。そして、信号源25は、ステートマシン21が出力する制御信号S1に従って比較器CMP1〜CMPn+1に対応するキャリブレーション入力信号を生成する。これにより、比較器CMP1〜CMPn+1は、順にオフセットが補正される(Step5)。また、キャリブレーション入力信号は、リファレンス比較器RCMPにも入力されるため、リファレンス比較器RCMPもオフセットが補正される(Step6)。
次に、バッグランドモードでは、モード制御信号S2の値をBとする(Step7)。そのため、第1のスイッチ回路SW1は端子B側を選択する(Step8)。また、セレクタSEL1〜SELn+1は、端子B側に入力されるデジタル比較器DCMPの出力信号ADJAを選択する(Step9)。さらに、第2のスイッチ回路SW2はモード制御信号S2の値に従ってオフする(Step10)。これにより、比較器CMPとリファレンス比較器RCMPには入力信号AINが入力され、リファレンス比較器RCMPは、制御信号S1によって指示されたキャリブレーション対象の比較器CMPに対応する期待値ROUTを生成する。また、比較器CMPは、入力信号AINの大きさに対応した温度計コードを生成する。つまり、バックグランドモードでは、実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1と同様にアナログデジタル変換器3は、キャリブレーション動作と入力信号AINの変換処理とを並列して行う(Step11)。
上記説明より、実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器3では、フォアグランドモードでの補正手段及びリファレンス比較器RCMPに対応するリファレンス用カウンタRCNTを備えることで、リファレンス比較器RCMPのオフセットの補正が可能となる。このように、リファレンス比較器RCMPのオフセットを補正することで、バックグランドモードにおけるアナログデジタル変換回路10の補正精度を向上させることができる。
また、実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器3では、フォアグランドモードにおいて、信号源25を用いたキャリブレーション動作を行う。信号源25は、キャリブレーション処理に最適なキャリブレーション入力信号を出力することができる。そのため、フォアグランドモードでは、バックグランドモードにおけるキャリブレーション動作よりも精度の高いオフセット補正が可能になる。そして、バックグランドモードによるキャリブレーション動作の前にフォアグランドモードでのキャリブレーション動作を行うことで、バックグランドモードでの動作を変換精度の高い状態で開始することができる。また、バックグランドモードにおけるキャリブレーション動作により、その後の動作状況の変動に追従した補正を行うことができる。つまり、アナログデジタル変換器3は、アナログデジタル変換器1よりも高い変換精度を実現し、かつ、その高い変換精度をその後も維持することが可能となる。
実施の形態4
実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器4の詳細なブロック図を図14に示す。実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器4では、実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1にフォアグランドで実行されるキャリブレーション動作を行う機能を設けたものである。
図14に示すように、アナログデジタル変換器4は、アナログデジタル変換器1のキャリブレーション回路20に代えてキャリブレーション回路20cを有する。キャリブレーション回路20cは、キャリブレーション回路20に第1のスイッチ回路SW1、信号源用カウンタCNT及び可変信号源26を追加したものである。また、キャリブレーション回路20cにおけるデジタル比較器DCMPは、カウント制御信号ADJAに加え、信号源用カウント制御信号ADJBを出力する。さらに、キャリブレーション回路20cには、外部よりモード制御信号S2が入力される。モード制御信号S2は、フォアグランド処理によるキャリブレーション動作を行う第1のモードと、バックグランド処理によるキャリブレーション動作を行う第2のモードとのいずれかのモードを指示する。
第1のスイッチ回路SW1は、比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPに入力信号AINと可変信号源26が出力するキャリブレーション入力信号とのいずれを与えるかをモード制御信号S2に基づき切り替える。より具体的には、モード制御信号S2が第1のモードを示している場合は、第1のスイッチ回路SW1は、キャリブレーション入力信号を比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPに与える。一方、モード制御信号S2が第2のモードを示している場合は、第1のスイッチ回路SW1は、入力信号AINを比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPに与える。
信号源用カウンタCNTは、デジタル比較器DCMPが出力する信号源用カウント制御信号に基づきカウント値を増減させ、カウント値を信号源制御信号として出力する。可変信号源26は、制御信号S1に基づきキャリブレーション対象の比較器に入力される基準電圧REFAと同電圧のキャリブレーション入力信号を生成する。そして、可変信号源26は、出力すべきキャリブレーション入力信号の電圧値を信号源制御信号に基づき増減させる。つまり、可変信号源26は、信号源制御信号に基づき制御信号S1に基づき生成するキャリブレーション入力信号に微調整を加える機能を有する。
ここで、キャリブレーション回路20cのデジタル比較器DCMPの動作について説明する。そこで、図15にキャリブレーション回路20cのデジタル比較器DCMPの真理値表を示す。図15に示すように、キャリブレーション回路20cのデジタル比較器DCMPは、比較器CMPの出力信号DAとリファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTに基づき生成される期待値DBとが異なる論理レベルとなるときは、他の実施の形態のデジタル比較器と同様にカウント制御信号ADJAをカウントアップUP又はカウントダウンDOWNの状態とする(図5に示す例と同じ動作)。一方、キャリブレーション回路20cのデジタル比較器DCMPは、比較器CMPの出力信号DAとリファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTに基づき生成される期待値DBとが第2の論理レベル(例えば、ロウレベル(L))となるときに信号源用カウント制御信号ADJBをカウントアップUPの状態とし、第1の論理レベル(例えば、ハイレベル(H))となるときに信号源用カウント制御信号ADJBをカウントダウンDOWNの状態とする。また、キャリブレーション回路20cのデジタル比較器DCMPは、比較器CMPの出力信号DAとリファレンス比較器RCMPが出力する期待値ROUTに基づき生成される期待値DBとが異なる論理レベルとなるときは信号源用カウント制御信号ADJBを不感値Xとする。
信号源用カウンタCNTは、信号源用カウント制御信号ADJBがカウントアップUPを示すときはカウント値を増加させ、信号源用カウント制御信号ADJBがカウントダウンDOWNを示すときはカウント値を減少させる。また、信号源用カウンタCNTは、信号源用カウント制御信号ADJBが不感値Xとなる場合その時点でのカウント値を維持する。そして、可変信号源26は、信号源用カウンタCNTが出力する信号源制御信号に基づきキャリブレーション入力信号の電圧値を所定のステップ幅Δで増減させる。
続いて、実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器4の動作について説明する。図16にアナログデジタル変換器4の動作を示すフローチャートを示す。図16に示すように、アナログデジタル変換器4は、まず第1のモード(例えば、フォアグランドモード)でキャリブレーション動作を行い(Step21〜Step23)、その後第2のモード(例えば、バックグランドモード)でキャリブレーション動作と通常の変換動作とを並行して行う(Step24〜Step26)。そこで、フォアグランドモードとバックグランドモードの動作を詳細に説明する。
フォアグランドモードでは、モード制御信号S2の値をAとする(Step21)。そのため、第1のスイッチ回路SW1は端子A側を選択する(Step22)。そして、可変信号源26は、ステートマシン21が出力する制御信号S1に従って比較器CMP1〜CMPn+1に対応するキャリブレーション入力信号を生成する。これにより、比較器CMP1〜CMPn+1は、順にオフセットが補正される(Step23)。
このStep23では、キャリブレーション開始時には、信号源用カウンタCNTが出力する信号源用制御信号は初期値であり、可変信号源26は、キャリブレーション入力信号としてキャリブレーション対象の比較器に入力される基準電圧REFAと同電圧となる。そして、キャリブレーション動作が進むにつれて、比較器CMPの出力DAは、リファレンス比較器RCMPが出力する期待値DBと同一値になる。これにより、信号源用カウンタCNTのカウント値は初期値とは異なる値になる。つまり、キャリブレーション動作が進むにつれて可変信号源26は、キャリブレーション入力信号の電圧値に所定のステップ幅Δに基づく微調整を加える。そして、微調整されたキャリブレーション入力信号に基づき比較器CMPは、さらに補正され、理想的な状態(例えば、オフセットが完全にキャンセルされた)に近づく。
次に、バッグランドモードでは、モード制御信号S2の値をBとする(Step24)。そのため、第1のスイッチ回路SW1は端子B側を選択する(Step25)。これにより、比較器CMPとリファレンス比較器RCMPには入力信号AINが入力され、リファレンス比較器RCMPは、制御信号S1によって指示されたキャリブレーション対象の比較器CMPに対応する期待値ROUTを生成する。また、比較器CMPは、入力信号AINの大きさに対応した温度計コードを生成する。つまり、バックグランドモードでは、実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1と同様にアナログデジタル変換器4は、キャリブレーション動作と入力信号AINの変換処理とを並列して行う(Step26)。
上記説明より、実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器4は、フォアグランドモードにおいてキャリブレーション動作に最適化されたキャリブレーション入力信号により比較器CMPの入力オフセットを高精度に補正することができる。このとき、アナログデジタル変換器4では、キャリブレーション入力信号をキャリブレーション動作の進度に応じて所定のステップ幅Δで変動させる。これにより、アナログデジタル変換器4は、比較器CMPの補正精度をさらに向上させることができる。
なお、実施の形態4にかかるアナログデジタル変換器4に、実施の形態3にかかるアナログデジタル変換器3において搭載されるリファレンス比較器RCMPに対する補正手段を設けても構わない。
実施の形態5
実施の形態5にかかるアナログデジタル変換器5の詳細なブロック図を図17に示す。実施の形態5にかかるアナログデジタル変換器5では、実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1にフォアグランドで実行されるキャリブレーション動作を行う機能を設けたものである。また、アナログデジタル変換器5では、フォアグランドで行われるキャリブレーション動作により比較器CMPおよびリファレンス比較器RCMPに対するキャリブレーション処理を行う。
図17に示すように、アナログデジタル変換器5は、アナログデジタル変換器1のアナログデジタル変換回路10に代えてアナログデジタル変換回路10aを有する。アナログデジタル変換回路10aは、アナログデジタル変換回路10に第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1を追加したものである。第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1は、比較器CMP1〜CMPn+1のそれぞれに対応して設けられる。また、キャリブレーション回路20dには、外部よりモード制御信号S2が入力される。このモード制御信号S2は、フォアグランド処理によるキャリブレーション動作を行う第1のモードと、バックグランド処理によるキャリブレーション動作を行う第2のモードとのいずれかのモードを指示する。
また、アナログデジタル変換器5は、アナログデジタル変換器1のキャリブレーション回路20に代えてキャリブレーション回路20dを有する。キャリブレーション回路20dは、キャリブレーション回路20に第4のスイッチ回路SW1R、第3の選択回路(例えば、セレクタSEL1〜SELn+1)、リファレンス用カウンタRCNT、第2のスイッチ回路SW2を追加したものである。また、キャリブレーション回路20dには、外部よりモード制御信号S2が入力される。
第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1は、モード制御信号S2に応じて入力信号AINと基準電圧REFAとのいずれかを対応する比較器CMPに入力信号として与える。第4のスイッチ回路SW1Rは、リファレンス比較器RCMPに入力信号AINとREFBとのいずれを与えるかをモード制御信号S2に基づき切り替える。
より具体的には、モード制御信号S2が第1のモードを示している場合は、第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1は、基準電圧REFAを比較器CMPに与える。また、第4のスイッチ回路SW1Rは、基準電圧REFBをリファレンス比較器RCMPに与える。一方、モード制御信号S2が第2のモードを示している場合は、第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1は、入力信号AINを比較器CMPに与える。また、第4のスイッチ回路SW1Rは、入力信号AINをリファレンス比較器RCMPに与える。
なお、セレクタSEL1〜SELn+1、リファレンス用カウンタRCNT、第2のスイッチ回路SW2の動作及び構成については、実施の形態3のセレクタSEL1〜SELn+1、リファレンス用カウンタRCNT、第2のスイッチ回路SW2と同様となるためここでは説明を省略する。
続いて、実施の形態5にかかるアナログデジタル変換器5の動作について説明する。図18にアナログデジタル変換器5の動作を示すフローチャートを示す。図18に示すように、アナログデジタル変換器6は、まず第1のモード(例えば、フォアグランドモード)でキャリブレーション動作を行い(Step31〜Step36)、その後第2のモード(例えば、バックグランドモード)でキャリブレーション動作と通常の変換動作とを並行して行う(Step37〜Step41)。そこで、フォアグランドモードとバックグランドモードの動作を詳細に説明する。
フォアグランドモードでは、モード制御信号S2の値をAとする(Step31)。そのため、第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1及び第4のスイッチ回路SW1Rは基準電圧REFA又は基準電圧REFBが入力される側の端子を選択する(Step32)。また、セレクタSEL1〜SELn+1は、端子A側に入力される比較器CMPの出力信号DAを選択する(Step33)。さらに、第2のスイッチ回路SW2はモード制御信号S2の値に従ってオンする(Step34)。これにより、比較器CMP1〜CMPn+1の2つの入力端子には共に基準電圧REFAが入力される。そして、比較器CMP1〜CMPn+1は、順にオフセットが補正される(Step35)。また、リファレンス比較器RCMPの2つの入力端子にも基準電圧REFBが共に入力されるため、リファレンス比較器RCMPもオフセットが補正される(Step36)。
次に、バッグランドモードでは、モード制御信号S2の値をBとする(Step37)。そのため、第3のスイッチ回路SW11〜SW1n+1及び第4のスイッチ回路SW1Rは入力信号AINが入力される側の端子を選択する(Step38)。また、セレクタSEL1〜SELn+1は、端子B側に入力されるデジタル比較器DCMPの出力信号ADJAを選択する(Step39)。さらに、第2のスイッチ回路SW2はモード制御信号S2の値に従ってオフする(Step40)。これにより、比較器CMPとリファレンス比較器RCMPには入力信号AINが入力され、リファレンス比較器RCMPは、制御信号S1によって指示されたキャリブレーション対象の比較器CMPに対応する期待値ROUTを生成する。また、比較器CMPは、入力信号AINの大きさに対応した温度計コードを生成する。つまり、バックグランドモードでは、実施の形態1にかかるアナログデジタル変換器1と同様にアナログデジタル変換器5は、キャリブレーション動作と入力信号AINの変換処理とを並列して行う(Step41)。
上記説明より、実施の形態5にかかるアナログデジタル変換器5は、フォアグランドモードにおけるキャリブレーション動作において比較器CMP及びリファレンス比較器RCMPの2つの入力端子に同一の電圧(例えば、基準電圧REFA又は基準電圧REFB)を入力する。これにより、アナログデジタル変換器5では、信号源によるキャリブレーション用入力信号の生成を行うことなく高精度なキャリブレーションを行うことができる。また、アナログデジタル変換器5では、バックグランドモードによるキャリブレーション動作によりその後の動作状態の変動に応じたキャリブレーション動作を行うことができる。
実施の形態6
実施の形態1から実施の形態5では、ステートマシン21がキャリブレーション対象の比較器を予め決められた順序で循環的に指定するものであった。これに対し、実施の形態6では、ステートマシン21がランダム値に基づきキャリブレーション対象の比較器を指定する方法について説明する。
実施の形態6にかかるアナログデジタル変換器に搭載されるステートマシンは、ランダムにハイレベル又はロウレベルに切り替わる1ビットの疑似乱数値を用いる。そして、ステートマシンは、制御信号S1の値を予め決められた範囲で循環的に変化させる。このとき、ステートマシンは、疑似乱数値がハイレベルであれば制御信号S1の値をインクリメントし、疑似乱数値がロウレベルであれば制御信号S1の値をデクリメントする。
ステートマシンが上記アルゴリズムにそって動作した場合の制御信号S1の値の変化例を図19に示す。図19に示す例は、制御信号S1の値が6ビットで示される値であって、0〜64の変動範囲を有する場合のものである。図19に示すように、制御信号S1の値は、値がオーバーフローした場合は0に設定され、アンダーフローした場合は64に設定される。また、制御信号S1の値は、入力信号AINの値とは無関係な値をとる。
このように、制御信号S1をランダムな値とすることで、入力信号AINの大きさと選択されるキャリブレーション対象の比較器との相関が排除される。これにより、アナログデジタル変換器は、入力信号AINの大きさに関わらず高精度な変換精度を実現することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態6において説明したランダム値の生成方法は一例であり、他の方法でランダム値を生成しても構わない。
1〜4 アナログデジタル変換器
10、10a アナログデジタル変換回路
20、20a〜20d キャリブレーション回路
21 ステートマシン
22 第1の選択回路
23 第2の選択回路(温度計コード生成回路)
24 第2の選択回路
25 信号源
26 可変信号源
30 エンコーダ
CMP1〜CMPn+1 比較器
RCMP リファレンス比較器
DCMP1〜DCMPn+1 デジタル比較器
CNTA1〜CNTAn+1 カウンタ
RCNT リファレンス用カウンタ
CNT 信号源用カウンタ
SEL1〜SELn+1 セレクタ
SW1、SW2、SW11〜SW1n+1、SW1R スイッチ回路
SWa1〜SWan+1、SWb1〜SWbn+1 スイッチ
RA1〜RAn+1、RB1〜RBn+1 抵抗

Claims (16)

  1. アナログ値を有する入力信号が一方の入力端子に入力され、当該入力信号に対する比較電圧が他方の入力端子に入力される比較器を備え、前記入力信号に対応したデジタル値を出力する変換回路と、
    前記比較器の出力信号の期待値を前記入力信号に基づき生成し、前記比較器が出力する出力信号と前記期待値とに基づきオフセット制御信号を生成するキャリブレーション回路と、を有し、
    前記変換回路は、前記オフセット制御信号に基づき前記比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定するアナログデジタル変換器。
  2. 前記変換回路は、
    前記比較電圧として複数の基準電圧を出力する基準電圧生成回路と、
    前記複数の基準電圧のうち対応する1つの基準電圧と入力信号の電圧とを比較してデジタル信号を出力する複数の比較器と、を有し、
    前記キャリブレーション回路は、
    前記複数の基準電圧から選択したキャリブレーション用基準電圧を出力する第1の選択回路と、
    前記キャリブレーション用基準電圧と前記入力信号の電圧とを比較して前記期待値を出力するリファレンス比較器と、
    少なくとも前記キャリブレーション用基準電圧に対応する基準電圧が供給される前記比較器に対して前記期待値を出力する第2の選択回路と、
    前記キャリブレーション用基準電圧に対応する基準電圧が供給される前記比較器の出力信号の値と、前記第2の選択回路から出力される前記期待値とを比較し、オフセット制御信号を出力するオフセット調整回路と、
    を有する請求項1に記載のアナログデジタル変換器。
  3. 前記オフセット調整回路は、
    前記キャリブレーション用基準電圧に対応する基準電圧が供給される前記比較器の出力信号の値と、前記第2の選択回路から出力される前記期待値とを比較してカウント制御信号を出力するデジタル比較器と、
    前記カウント制御信号に応じてカウント値を増減させ、前記カウント値を前記オフセット制御信号として出力するカウンタと、
    を有する請求項2に記載のアナログデジタル変換器。
  4. 前記第1の選択回路と、前記第2の選択回路と、にキャリブレーション処理対象の比較器を指示する制御信号を出力するシーケンス制御回路を有し、
    前記第1の選択回路は、前記制御信号に基づき前記複数の基準電圧から選択した基準電圧を前記キャリブレーション用基準電圧として出力する請求項2又は3に記載のアナログデジタル変換器。
  5. 前記複数の比較器は、前記入力信号の大きさに応じて下位ビット側から上位ビット側に第1の論理レベルの信号の数を増加させる温度計コードを出力するフラッシュ型アナログデジタル変換器であって、
    前記第2の選択回路は、前記制御信号及び前記リファレンス比較器が出力する前記期待値に基づき、前記キャリブレーション処理対象の比較器に対応する期待値を含むリファレンス用温度計コードを出力する請求項4に記載のアナログデジタル変換器。
  6. 前記リファレンス用温度計コードは、
    前記期待値が第1の論理レベルである場合、前記キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号よりも下位ビット側の信号の値が前記第1の論理レベルとなり、前記キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号よりも上位ビット側の信号の値が前記デジタル比較器に動作の停止を指示する不感値となり、
    前記期待値が第2の論理レベルである場合、前記キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号よりも上位ビット側の信号の値が前記第2の論理レベルとなり、前記キャリブレーション処理対象の比較器に対応する信号より下位ビット側の信号の値が前記不感値となる請求項5に記載のアナログデジタル変換器。
  7. 前記制御信号に基づき前記キャリブレーション対象の比較器に入力される前記基準電圧に対応したキャリブレーション入力信号を生成する信号源と、
    モード制御信号に基づき前記キャリブレーション入力信号と前記入力信号とのいずれか一方を前記比較器及び前記リファレンス比較器に入力する第1のスイッチ回路と、
    を有する請求項4乃至6のいずれか1項に記載のアナログデジタル変換器。
  8. 前記モード制御信号に基づき前記比較器の出力と前記デジタル比較器の出力信号とのいずれか一方を選択して前記カウンタに出力する第3の選択回路と、
    前記リファレンス比較器が出力する期待値に応じてカウント値を増減させ、前記カウント値をリファレンス用オフセット制御信号として出力するリファレンス用カウンタと、
    前記モード制御信号に基づき前記リファレンス用カウンタに前記リファレンス比較器が出力する前記期待値を与えるか否かを切り替える第2のスイッチ回路と、を有し、
    前記リファレンス比較器は、前記リファレンス用オフセット制御信号に基づき出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する請求項7に記載のアナログデジタル変換器。
  9. 前記モード制御信号が第1のモードを示す場合、
    前記第1のスイッチ回路は、前記キャリブレーション入力信号を前記複数の比較器及び前記リファレンス用比較器に与え、
    前記第3の選択回路は、前記比較器の出力を選択して前記カウンタに出力し、
    前記第2のスイッチ回路は、前記リファレンス比較器が出力する前記期待値を前記リファレンス用カウンタに与え、
    前記モード制御信号が第2のモードを示す場合、
    前記第1のスイッチ回路は、前記入力信号を前記複数の比較器及び前記リファレンス比較器に与え、
    前記第3の選択回路は、前記カウント制御信号を選択して前記カウンタに出力し、
    前記第2のスイッチ回路は、前記リファレンス用カウンタに入力される前記リファレンス比較器が出力する前記期待値を遮断する請求項8に記載のアナログデジタル変換器。
  10. 信号源用カウント制御信号に基づきカウント値を増減させ、前記カウント値を信号源制御信号として出力する信号源用カウンタを有し、
    前記デジタル比較器は、前記複数の比較器の出力と、前記第2の選択回路から出力される前記リファレンス比較器の出力とを比較して前記信号源用カウント制御信号を出力し、
    前記信号源は、前記信号源制御信号に基づきキャリブレーション入力信号の電圧値を増減させる請求項7に記載のアナログデジタル変換器。
  11. 前記複数の比較器のそれぞれに対応して設けられ、モード制御信号に基づき前記基準電圧と前記入力信号とのいずれか一方を選択して前記比較器に入力信号として与える複数の第3のスイッチ回路と、
    前記リファレンス比較器が出力する期待値に応じてカウント値を増減させ、前記カウント値をリファレンス用オフセット制御信号として出力するリファレンス用カウンタと、
    前記モード制御信号に基づき前記リファレンス用カウンタに前記リファレンス比較器が出力する前記期待値を与えるか否かを切り替える第2のスイッチ回路と、
    前記リファレンス比較器に対応して設けられ、前記モード制御信号に基づき前記キャリブレーション用基準電圧と前記入力信号とのいずれか一方を選択して前記比較器に入力信号として与える複数の第4のスイッチ回路と、
    前記モード制御信号に基づき前記比較器の出力と前記デジタル比較器の出力信号とのいずれか一方を選択して前記カウンタに出力する第3の選択回路と、
    有する請求項4乃至6のいずれか1項に記載のアナログデジタル変換器。
  12. 前記モード制御信号が第1のモードを示す場合、
    前記第3のスイッチ回路は、前記基準電圧を前記比較器に与え、
    前記第4のスイッチ回路は、前記キャリブレーション用基準電圧を前記リファレンス比較器に与え、
    前記第2のスイッチ回路は、前記リファレンス比較器が出力する前記期待値を前記リファレンス用カウンタに与え、
    前記第3の選択回路は、前記比較器の出力を前記カウンタに与え、
    前記モード制御信号が第2のモードを示す場合、
    前記第3のスイッチ回路は、前記入力信号を前記比較器に与え、
    前記第4のスイッチ回路は、前記入力信号を前記リファレンス比較器に与え、
    前記第2のスイッチ回路は、前記リファレンス用カウンタに入力される前記リファレンス比較器が出力する前記期待値を遮断し、
    前記第3の選択回路は、前記デジタル比較器の出力信号を前記カウンタに与える請求項11に記載のアナログデジタル変換器。
  13. 前記シーケンス制御回路は、ランダム値に基づき前記キャリブレーション対象の比較器を指示する前記制御信号を出力する請求項4乃至12のいずれか1項に記載のアナログデジタル変換器。
  14. 前記複数の比較器は、前記複数の基準電圧の間の電圧差により決定される分解能よりも小さなステップ電圧で出力反転閾値レベルを変化させる請求項1乃至13のいずれか1項に記載のアナログデジタル変換器。
  15. アナログ値を有する入力信号が一方の入力端子に入力され、当該入力信号に対する比較電圧が他方の入力端子に入力される比較器を備えるアナログデジタル変換器のオフセット補正方法であって、
    前記入力信号に基づき前記比較器により出力信号を生成し、
    前記入力信号に基づき前記比較器の出力信号の期待値を生成し、
    前記出力信号の値と前記期待値との差の極性に基づき前記比較器の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定するアナログデジタル変換器のオフセット補正方法。
  16. 前記比較電圧に対応するキャリブレーション入力信号を前記比較器に入力する第1のモードと、
    前記入力信号を前記比較器に入力する第2のモードと、を備え、
    前記第1のモードにおいて、前記期待値を生成するリファレンス比較器は、自己の出力信号に基づき自己の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定し、
    前記比較器は、自己の出力信号に基づき自己の出力反転閾値レベルに正又は負のオフセット量を設定する請求項15に記載のアナログデジタル変換器のオフセット補正方法。
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