JP2010272427A - 非水電解質二次電池の正極用集電体、これを用いた電極、およびそれらの製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の正極用集電体、これを用いた電極、およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 非水電解質二次電池の高出力化、高信頼性化、高エネルギー密度化を可能とする非水電解質二次電池の正極用集電体、およびこれを用いた電極を提供することを課題とする。
【解決手段】 アルミニウム多孔質焼結体と、前記アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に微細炭素繊維を含む非水電解質二次電池の正極用集電体であって、前記アルミニウム多孔質焼結体が、三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、前記金属骨格にはAl−Ti化合物が分散していることを特徴とする、非水電解質二次電池の正極用集電体である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特に、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池に適したアルミニウム多孔質焼結体を用いた非水電解質二次電池の正極用集電体、これを用いた電極、およびそれらの製造方法に関するものである。
近年、非水電解質二次電池、中でもリチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池が、電気自動車、ハイブリッド型自動車等にも用いられるようになり、そのような用途拡大に伴って、電池における電極集電体に、高信頼性、高出力化、高エネルギー密度化への対応が要求されている。現在、これらの電池の正極集電体として一般的にアルミニウム箔が用いられているが、電極集電体として三次元網目構造の開気孔を有するアルミニウム多孔質体が知られるようになりつつある(特許文献1および2)。
このようなアルミニウム多孔質体の製造方法としては、例えば、溶融アルミニウムを増粘剤により増粘させた後に、発泡剤として水素化チタンを添加し、水素化チタンの熱分解反応で生じる水素ガスにより、溶融アルミニウムを発泡させつつ固化させる発泡溶融法が知られている(特許文献3)。しかしながら、同方法によって得られる発泡アルミニウムは、数mmの大きな閉気孔を有するものであった。
その他、第2の方法として、スポンジウレタンを中子にした鋳型にアルミニウムを圧入し、ウレタンが焼失して形成される空洞にアルミニウムを充填することにより、スポンジ骨格の発泡アルミニウムを得る方法がある。同方法によれば、40PPI以下の孔径、すなわち、1インチ当たり40セル以下の孔径(孔径:約600μm以上)の開気孔を有する発泡アルミニウムが得られる。
また、第3の方法として、AlSi合金粉末とTiH粉末との混合粉末をアルミニウム板材に挟んで加熱圧延することによって、TiH粉末の分解によりアルミニウムを発泡させる方法があるものの、同方法によって得られる発泡アルミニウムは、数mm単位の大きな孔径を有するものである(特許文献4)。
さらには、第4の方法として、アルミニウムとの共晶温度がアルミニウムの融点よりも低い金属をアルミニウムに混合し、共晶温度よりも高くアルミニウムの融点よりも低い温度に加熱焼成する方法があるものの(特許文献5)、同方法によって得られる発泡アルミニウムは、孔径を小さくすることができても気孔率が40%前後と小さい。このため、集電体としての発泡アルミニウムの気孔に浸透する正極活物質や負極活物質の量が少なく、所望の高出力化、高エネルギー密度化が図れない。
したがって、上述の方法の中では、高信頼性、高出力化、高エネルギー密度化の目的を達成し得る微小の開気孔を有する発泡アルミニウムを製造する方法として、第2の方法の採用が考えられる。
しかしながら、この第2の方法であっても、さらに開気孔の孔径を小さくするためには、目の細かいスポンジウレタンを用いざるを得ず、アルミニウムの流れが悪くなって圧入不能となったり、鋳造圧力が高くなりすぎたりすることから、40PPIよりも小孔径の発泡アルミニウムを製造することは困難である。
これに対して、多数の微小の開気孔が均等に配置された小孔径・整寸の開気孔を有する高気孔率の発泡金属を製造する方法として、金属粉および発泡剤を含有する発泡性スラリーを発泡させ、乾燥させた後に焼結させるスラリー発泡法がある(特許文献6)。同方法によれば、焼結可能な原料粉末が入手できれば、約10PPI〜約500PPI、すなわち、孔径2.5mm〜50μmの範囲の任意の孔径の整寸な開気孔を有する高気孔率の発泡金属を容易に製造することができる。なお、スラリー発泡法は、金属粉末を含むスラリーに発泡剤を含有させることによって発泡させる、あるいは気体の注入や攪拌によって発泡させて、乾燥させて、焼結させて発泡金属を得る方法を意味する。
しかし、従来、スラリー発泡法では、アルミニウム粉末表面の酸化被膜の存在により、アルミニウムの非加圧焼結ができなかったため、発泡アルミニウムを製造することは困難であった。また、仮に発泡アルミニウムを製造することができたとしても、純アルミニウムは柔らかいため、空孔内に活物質を充填した後、エネルギー密度を高めるための圧延をするときに、発泡アルミニウムが破断してしまうことが懸念される。
特許第3591055号公報 特開2009―43536号公報 特開平08−209265号公報 特表2003−520292号公報 特公昭61−48566号公報 特許第3535282号公報
本発明者らは、チタンを含む焼結助剤を用いることにより、非加圧焼結で、高強度のアルミニウム多孔質焼結体を製造することができることを見出した。本発明は、このアルミニウム多孔質焼結体を非水電解質二次電池用電極の集電体に適用し、かつアルミニウム多孔質焼結体の空孔内に微細炭素繊維(特に、カーボンナノファイバー)を含有させることにより、非水電解質二次電池の高出力化、高信頼性化、高エネルギー密度化を可能とする非水電解質二次電池の正極用集電体、およびこれを用いた電極を提供することを課題とする。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した非水電解質二次電池の正極用集電体、およびこれを用いた非水電解質二次電池用電極とそれらの製造方法に関する。
(1)アルミニウム多孔質焼結体と、前記アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に微細炭素繊維を含む非水電解質二次電池の正極用集電体であって、前記アルミニウム多孔質焼結体が、三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、前記金属骨格にはAl−Ti化合物が分散していることを特徴とする、非水電解質二次電池の正極用集電体。
(2)アルミニウム多孔質体が、アルミニウムとチタンの合計100質量部に対して、チタンを0.1〜20質量部含む、上記(1)記載の非水電解質二次電池の正極用集電体。
(3)アルミニウム多孔質焼結体の平均の結晶粒径が、10〜100μmである、上記(1)または(2)記載の非水電解質二次電池の正極用集電体。
(4)微細炭素繊維が、平均繊維径1nm〜1μmおよびアスペクト比5以上のカーボンナノファイバーである、上記(1)〜(3)のいずれか記載の非水電解質二次電池の正極用集電体。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の非水電解質二次電池の正極用集電体のアルミニウム多孔質焼結体の空孔内に、さらに活物質および結合剤を含む、非水電解質二次電池用電極。
(6)三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、かつ前記金属骨格にAl−Ti化合物が分散しているアルミニウム多孔質焼結体の空孔に、微細炭素繊維の分散液を充填し、乾燥することを特徴とする、非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法。
(7)アルミニウム多孔質体が、アルミニウムとチタンの合計100質量部に対して、チタンを0.1〜20質量部含む、上記(6)記載の非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法。
(8)空孔が直線長さ1cm当たりに20個以上形成されることにより、アルミニウム多孔質焼結体の全体気孔率が70〜99%である、上記(6)または(7)記載の非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法。
(9)上記(1)〜(4)のいずれか記載の非水電解質二次電池の正極用集電体のアルミニウム多孔質焼結体の空孔に、活物質および結合剤を含むスラリーを充填し、乾燥した後、圧延をすることを特徴とする、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
(10)上記(5)記載の非水電解質二次電池用電極を含む、非水電解質二次電池。
本発明(1)によれば、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に活物質を良好に保持でき、かつアルミニウム多孔質焼結体の空孔内の微細炭素繊維により、集電体と活物質間の導電性に優れた非水電解質二次電池の正極を容易に製造可能な、非水電解質二次電池の正極用集電体を提供することができる。さらに、Al−Ti化合物の分散によるアルミニウム多孔質焼結体は、高強度であるため、アルミニウム多孔質焼結体の空孔に、さらに活物質を含有させた後、圧延をすることにより、高出力密度で、高信頼性で、高エネルギー密度の非水電解質二次電池の正極を容易に作製できる集電体を提供することができる。
本発明(5)によれば、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に活物質を良好に保持し、かつアルミニウム多孔質焼結体の空孔内の微細炭素繊維により、集電体と活物質間の導電性が優れる非水電解質二次電池の正極を提供することができる。さらに、Al−Ti化合物の分散によるアルミニウム多孔質焼結体は、高強度であるため、アルミニウム多孔質焼結体の空孔に、さらに活物質を含有させた後、圧延をすることにより、高出力密度で、高信頼性で、高エネルギー密度の非水電解質二次電池の正極を提供することができる。
本発明(6)によれば、高出力密度で、高信頼性で、高エネルギー密度の非水電解質二次電池の正極を容易に製造することができる、非水電解質二次電池の正極用集電体を得られる。
本発明(9)によれば、高信頼性の非水電解質二次電池用電極を容易に得られ、さらに、高強度のAl−Ti化合物が分散しているアルミニウム多孔質焼結体を用いることにより圧延が可能となり、高出力密度で、高エネルギー密度の非水電解質二次電池用電極を容易に製造することが可能となる。
実施例のアルミニウム多孔質焼結体の走査電子顕微鏡写真である。 図1の一部拡大走査電子顕微鏡写真である。 図2の一部拡大走査電子顕微鏡写真である。 アルミニウム多孔質焼結体の二次電子像の一例である。 アルミニウム多孔質焼結体のEPMAのTiマッピングの一例である。 実施例、比較例で作製したコインセルの断面図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量基準の%である。
〔非水電解質二次電池の正極用集電体〕
本発明の非水電解質二次電池の正極用集電体は、アルミニウム多孔質焼結体と、前記アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に微細炭素繊維を含む非水電解質二次電池の正極用集電体であって、前記アルミニウム多孔質焼結体が、焼結金属の骨格(以下、金属骨格と呼ぶ)で構成された三次元網目構造であり、前記金属骨格間に空孔を有し、前記金属骨格にはAl−Ti化合物が分散していることを特徴とする。
図1に、実施例で作製した圧延をする前のアルミニウム多孔質焼結体の走査電子顕微鏡写真を、図2に、図1の一部拡大走査電子顕微鏡写真を、図3に、図2の一部拡大走査電子顕微鏡写真を示す。図1、図2および図3から明らかなように、アルミニウム多孔質焼結体は、三次元網目構造の金属骨格により、空孔を形成する。また、金属骨格自体も、高気孔率であるという特徴を有する。
アルミニウム多孔質焼結体の金属骨格は、所望のアルミニウム多孔質焼結体強度、空孔径および空孔率を得るために、金属骨格径(金属骨格を形成する各金属骨の最も細い部分の太さ)が5〜100μmであることが好ましい。また、この金属骨格は、孔径0.1〜3μmの骨格内空孔を有するものが好ましい。ここで、金属骨格径および骨格内空孔の空孔径は、骨格表面および骨格断面の走査電子顕微鏡写真により測定する。
また、骨格間空孔は、活物質、結合剤等を含ませやすくする観点、および電解質との良好な導電性確保の観点から、連通していることが好ましい。
骨格間空孔の空孔径は、所望量の活物質を充填させる観点から、20〜500μmであることが好ましい。なお、圧延後には、骨格間空孔の空孔径は、アルミニウム多孔質焼結体の長手方向が長い楕円形状となり、長手方向の空孔径は、30〜600μmであると好ましく、厚さ方向の空孔径は、10〜200μmであると好ましい。ここで、空孔径は、試料の表面および断面の走査電子顕微鏡写真により測定する。
アルミニウム多孔質焼結体の全体気孔率は、所望量の活物質を充填させる観点から、70〜99%であることが好ましく、80〜97%であると、より好ましい。なお、圧延後の空孔率は、10〜60%であると好ましく、15〜40%であると、より好ましい。ここで、気孔率は、アルミニウム多孔質焼結体の寸法、質量、および密度から算出する。
また、金属骨格は、平均の結晶粒径が、10〜100μmのアルミニウム結晶粒で形成されると好ましく、15〜60μmで形成されるとより好ましい。この結晶粒に起因する粒界段差によって形成される凹凸が存在することにより、アンカー効果が働いて、微細炭素繊維、活物質、導電助剤および結合剤との密着性が優れ、折り曲げても活物質の保持に優れた高信頼性の非水電解質二次電池用電極が得られるが、その凹凸の数量および寸法はアルミニウム結晶粒径の影響を受け、アルミニウム結晶粒径が小さすぎると、凹凸の寸法が小さくなって十分なアンカー効果が発現しなくなる。他方、金属骨格のアルミニウム結晶粒の結晶粒径が、100μmより大きいと、活物質の保持性が低下し、かつアルミニウム多孔質焼結体の強度が低下してしまう。ここで、結晶粒径は、光学顕微鏡写真または走査型電子顕微鏡写真から線インターセプト法で測定する。なお、アルミニウム結晶粒は、個数で70%以上の結晶粒径が15〜60μmの範囲内にあることが、さらに好ましい。
金属骨格のAl−Ti化合物は、アルミニウム多孔質焼結体を製造するときに使用される焼結助剤に含まれるチタンに由来する。チタンは、アルミニウム多孔質焼結体を非加圧焼結で製造することを可能にするだけではなく、Al−Ti化合物を形成することにより、アルミニウム多孔質焼結体を高強度、特に高引張り強度にする。
アルミニウム多孔質体が、アルミニウムとチタンの合計100質量部に対して、チタンを0.1〜20質量部含むことが好ましい。チタンが、0.1質量部未満では、良好なアルミニウム多孔質焼結体が得られず、20質量部を超えると、焼結時に、アルミニウム混合原料粉末中で、チタンを含む焼結助剤粉末同士が接点を持つようになり、アルミニウムとチタンの反応熱を制御できなくなるとともに所望の多孔質焼結体が得られないようになる。ここで、アルミニウムとチタンの定量分析は、ICP法で行う。
アルミニウム多孔質焼結体の厚さは、非水電解質二次電池のエネルギー密度向上の観点から、圧延前で0.05〜5mmであると好ましく、0.1〜3mmであると、より好ましい。アルミニウム多孔質焼結体の厚さは、圧延後では0.03〜3mmであると好ましく、0.8〜2.5mmであると、より好ましい。
アルミニウム多孔質焼結体の幅は、一般的には、非水電解質二次電池の形状から決定されるが、複数個分の幅でアルミニウム多孔質焼結体を作製した後、活物質を含有し、圧延した後、スリット等により1個分の幅とすることもできる。
アルミニウム多孔質焼結体は、通常、ロール状で作製されるので、アルミニウム多孔質焼結体の長さは、通常、多数個分の長さで作製され、活物質を含有し、圧延した後、カット等により1個分の長さとされる。
アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に含有される微細炭素繊維としては、例えば、カーボンナノファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられ、平均繊維径1nm〜1μmおよびアスペクト比5以上のカーボンナノファイバーであると好ましい。この微細炭素繊維は、骨格間空孔のみならず骨格内空孔の中にも入り込み、活物質充填後に、アルミニウム多孔質焼結体と活物質間に良好な導電パスを形成することができる。また、カーボンナノファイバーは、金属骨格の表面に網目状の導電膜を形成することもできる。
カーボンナノファイバーは、良好な導電性が得られるように、カーボンファイバーの圧密体の体積抵抗値1.0Ω・cm以下であり、X線回折測定によるグラファイト層の[002]面の積層間隔が0.35nm以下であるものが、好ましい。ここで、体積抵抗値は、試料粉末を円筒ドーナツ状のPP製絶縁ジグに入れ、開口部の両端を円筒の真鍮電極によって100kgf/cmで加圧し、真鍮電極間の抵抗値をデジタルマルチメーターによって測定し、この測定値から算出する。
アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に含有される微細炭素繊維は、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対して、0.3〜10質量部であると、アルミニウム多孔質焼結体と活物質間の導電性を向上させる観点から好ましい。
〔非水電解質二次電池用電極〕
アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に含有される活物質としては、非水電解質二次電池用正極活物質として使用されるものが挙げられ、リチウムイオンを吸蔵・放出することができるものであれば、特に限定されるものではない。従来、一般的に用いられているものであればよく、具体的には、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、バナジウム、鉄のいずれか一種以上と、リチウムとを含む複合酸化物もしくは塩からなるのが好ましい。これにより、正極活物質が電解質に溶け出さず、大容量の電池とすることができる。
上記正極活物質として、より具体的には、LiCoO等のLi・Co系複合酸化物、LiNiO等のLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn等のLi・Mn系複合酸化物、LiFeO等のLi・Fe系複合酸化物、LiFePO等の遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物等が挙げられる。この他にも、V、MnO、TiS、MoS、MoO等の遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOH等も用いることができる。この活物質は、平均粒子径が2〜20μmの粉末であると、非水電解質二次電池の高出力化の観点から好ましい。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法によって測定する。
アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に活物質、導電助剤とともに含有される結合剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、SBR、ポリイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対して、活物質を100〜800質量部含むと、非水電解質二次電池のエネルギー密度向上の観点から好ましく、250〜750質量部含むとより好ましい。ここで、活物質の定量分析は、ICP法で行う。
アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対して、結合剤を2〜80質量部含むと、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に活物質を適切に保持し、活物質の欠落を防止する観点から好ましく、6〜60質量部含むとより好ましい。
また、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内には、さらに導電助剤が含有されると、高出力化の観点から好ましい。導電助剤としては、上記カーボンナノファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックに加えて、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等を挙げることができるが、これらに限定されない。
アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対して、導電助剤を1〜100質量部含むと、非水電解質二次電池の高出力化、および活物質の欠落を防止する観点から好ましく、7〜70質量部含むとより好ましい。
なお、本発明においては、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に、活物質および結合剤、さらに場合により導電助剤が含まれているが、集電体であるアルミニウム多孔質焼結体とセパレーター間にも、活物質および結合剤、場合により導電助剤が含まれ得る。本発明においては、非水電解質二次電池内の活物質、結合剤および導電助剤の合計100質量部に対して、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に含まれる活物質、結合剤および導電助剤が60〜95質量部であると、非水電解質二次電池の高エネルギー密度の向上、高出力化の観点から好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用電極を使用するときの非水電解質としては、液状電解質(電解液)、固体電解質、高分子ゲル電解質のいずれであってもよい。非水電解質は、好ましい一例を以下に示すが、通常の二次電池で用いられるものであればよく、特に限定されない。
電解液としては、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種の電解質塩を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;
ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから少なくとも1種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたもの等が使用できる。
固体電解質としては、イオン伝導性を有する高分子から構成されるものであれば特に限定されない。例えば、無機系の固体電解質であれば、チオリシコンやLiSiO−LiBOやLiX−LiO−MmOn(X=I,Br,Cl;M=B,Si,P等、m,nは1〜5の数である)等のリチウムイオン導電性ガラス等が挙げられ、高分子系の固体電解質であれば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体等が挙げられる。ポリアルキレンオキシド系高分子は、上述した電解質塩をよく溶解し、また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。
高分子ゲル電解質としては、特に限定されないが、イオン伝導性を有する電解質用高分子に電解液を含んだもの、イオン伝導性を持たない電解質用高分子の骨格中に同様の電解液を保持させたもの等が挙げられる。
高分子ゲル電解質に含まれる電解液としては、上述したものと同様である。また、イオン伝導性を有する電解質用高分子としては、上述した固体電解質等が用いられる。
イオン伝導性を持たない電解質用高分子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)共重合体、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のゲル化ポリマーを形成するモノマーが使用できる。ただし、これらに限定されるわけではない。なお、PAN、PMMA等は、どちらかといえばイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する電解質用高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるイオン伝導性を持たない電解質用高分子として例示した。
高分子ゲル電解質中の電解質用高分子(ホストポリマー)と電解液との比率(質量比)は、使用目的等に応じて決定すればよいが、2:98〜90:10の範囲である。これにより、電極活物質層の外周部からの電解質の染み出しについても、絶縁層や絶縁処理部を設けることで効果的にシールすることができる。
本発明の非水電解質二次電池の正極用集電体は、高信頼性で、高エネルギー密度、高出力の非水電解質二次電池用電極に、非常に有効に利用される。
〔非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法〕
本発明の非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法は、三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、かつ前記金属骨格にAl−Ti化合物が分散しているアルミニウム多孔質焼結体の空孔に、微細炭素繊維の分散液を充填し、乾燥することを特徴とする。
アルミニウム多孔質焼結体は、以下により、製造することができる。
まず、アルミニウム粉末に、チタンおよび/または水素化チタンを混合して、アルミニウム混合原料粉末とするアルミニウム混合原料粉末を調製する(アルミニウム混合原料粉末調製工程)。このアルミニウム混合原料粉末に、水溶性樹脂結合剤と水と可塑剤とを混合して、粘性組成物を調製する(粘性組成物調製工程)。この粘性組成物に気泡を混合させた状態で乾燥させて、焼結前成形体とし(焼結前工程)、焼結前成形体を非酸化性雰囲気下、Tm−10(℃)≦加熱焼成温度(T)≦685(℃)で、加熱焼成する(焼結工程)。ここで、Tm(℃)は、アルミニウム混合原料粉末が溶解を開始する温度である。
このアルミニウム混合原料粉末調製工程では、アルミニウム粉末として平均粒子径2〜200μmのものを用いる。ここで、平均粒子径が小さくなると、粘性組成物が所望の形状に成形可能な程度に粘性を有し、かつ焼結前成形体がハンドリング強度を有するようにするために、アルミニウム粉末に対して水溶性樹脂バインダーを多量に加えなければならなくなる。しかしながら、水溶性樹脂バインダーを多量に加えると、焼結前成形体を加熱焼成する際に、アルミニウム中に残存する炭素量が増加し、焼結反応が阻害されてしまう。他方、アルミニウム粉末の粒子径が大きすぎると、アルミニウム多孔質焼結体の強度が低下してしまう。したがって、アルミニウム粉末としては、上述のように平均粒子径2〜200μmの範囲内、好ましくは4〜100μm、より好ましくは4〜60μm、さらに好ましくは7〜40μmの範囲内のものが用いられる。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法で測定される。
このアルミニウム粉末に、チタンを含む焼結助剤、具体的には、チタンおよび/または水素化チタンを混合する。これにより、アルミニウム粉末にチタンを混合して、焼結前成形体をTm−10(℃)≦加熱焼成温度T≦685(℃)で加熱焼成するときに、液滴の塊を生成させることのないアルミニウムの非加圧焼結が可能となる。また、水素化チタン(TiH)は、そのチタン含有量が47.88(チタンの分子量)/(47.88+1(水素の分子量)×2)で95質量%以上であり、470〜530℃にて脱水素化するため、上述の加熱焼成のときに熱分解してチタンとなる。よって、水素化チタンを混合した場合にも液滴の塊を生成させることのないアルミニウムの非加圧焼結が可能となる。なお、焼結助剤には、チタンや水素化チタン以外の焼結助剤粉末を用いてもよく、チタンを含む焼結助剤粉末を用いればよい。
チタンを含む焼結助剤は、アルミニウムとチタンの合計100質量部に対して、チタンを0.1〜20質量部含むことが好ましい。
ここで、チタンおよび/または水素化チタンの平均粒子径をr(μm)、チタンおよび/または水素化チタンの配合比をW(質量%)としたときに、1(μm)≦r≦30(μm)、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)とし、かつ0.1≦W/r≦2であると、好ましい。すなわち、平均粒子径:4μmの水素化チタン粉の場合には、0.1≦W/4≦2であることから、配合比:Wは0.4〜8質量%が好ましい。また、平均粒子径:20μmのチタン粉の場合には、0.1≦W/20≦2の条件からは、配合比:Wは2〜40質量%となるが、配合比:Wは、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)の条件を付加して、2〜20質量%が好ましい。
水素化チタンの平均粒子径は、0.1(μm)≦r≦30(μm)が好ましいが、より好ましくは4(μm)≦r≦20(μm)である。水素化チタンの平均粒径が、0.1μmより小さいと、自然発火する恐れがあり、30μmを超えると、焼結により生成されるAl−Ti化合物が被覆されたチタン粒子から、Al−Ti化合物相が剥離しやすくなり、焼結体に所望の強さが得られなくなるためである。
また、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)が好ましいのは、焼結助剤粉末の配合比Wが20質量%を超えると、アルミニウム混合原料粉末中で焼結助剤粉末同士が接点を持つようになり、アルミニウムとチタンの反応熱を制御できなくなるとともに、所望の多孔質焼結体が得られないようになるからである。
しかし、種々の条件で試験を行ったところ、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)の範囲内でも、焼結助剤粉末の粒子径によってはアルミニウムとチタンの反応熱が大きくなりすぎる場合があり、反応熱により溶解したアルミニウムの温度がさらに上昇して粘性が下がり、液滴を生じてしまう場合があった。
そこで、種々の条件で作製した試験片を電子顕微鏡で観察した結果から、発熱量をチタンの配合量および粒子径で制御できる範囲内においては、チタン粒子の露出表面側からほぼ一定の厚さの表層部だけが、アルミニウムと反応していることがわかった。これにより、液滴の発生を防止するためには1(μm)≦r≦30(μm)、かつ0.1≦W/r≦2であることが望ましいことを実験的に見出した。
次に、粘性組成物調製工程では、上記アルミニウム混合原料粉末に、水溶性樹脂バインダーとして、ポリビニルアルコール、メチルセルロースおよびエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも一種を、可塑剤として、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびフタル酸ジ−n−ブチルからなる群から選択される少なくとも一種を、それぞれ加えるとともに、蒸留水と、界面活性剤としてのアルキルベタインとを、それぞれ加える。
このように、水溶性バインダーとして、ポリビニルアルコール、メチルセルロースやエチルセルロースを用いると、その添加量が比較的少量で足りる。よって、水溶性樹脂結合剤の添加量は、アルミニウム混合原料粉末の質量100質量部に対して、0.5〜7質量部である。アルミニウム混合原料粉末の質量100質量部に対して、7質量部より多いと、加熱焼成する前の焼結前成形体に残留する炭素量の増加により焼結反応が阻害され、0.5質量部未満であると、焼結前成形体のハンドリング強度が確保されないためである。
また、アルキルベタインは、アルミニウム混合原料粉末の質量100質量部に対して、0.02〜3質量部が添加される。アルミニウム混合原料粉末の質量100質量部に対して、0.02質量部以上であると、後述の非水溶性炭化水素系有機溶剤の混合の際に気泡が効果的に生成され、3質量部以下であると、焼結前成形体に残存する炭素量の増加による焼結反応の阻害が防止される。
そして、これらを混練した後に、さらに炭素数5〜8非水溶性炭化水素系有機溶剤を混合することにより発泡させ、気泡の混合した粘性組成物を調整する。この炭素数5〜8非水溶性炭化水素系有機溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンからなる群から選択される少なくとも一種が使用可能である。
次の焼結前工程では、帯状のポリエチレンシートの剥離剤塗布面に、粘性組成物を厚さ0.05mm〜5mmの厚さになるように、ドクターブレード法、スラリー押出し法またはスクリーン印刷法等で塗布した後、周囲の温度および湿度を一定時間管理して、気泡を整寸化した後、大気乾燥機にて温度70℃で乾燥させる。
そして、乾燥後の粘性組成物を、ポリエチレンシートから剥がし、所望の形状に切り出し、焼結前成形体が得られる。
次の焼結工程では、上記焼結前成形体を、ジルコニア等の敷粉を敷いたアルミナセッターの上に載置して、露点が−20℃以下のアルゴン雰囲気中、520℃で1時間加熱保持する仮焼成を行う。これにより、焼結前成形体の水溶性樹脂結合剤成分、可塑剤成分、蒸留水およびアルキルベタインのバインダー溶液を揮発および/または分解させる脱バインダーが行われるとともに、焼結助剤粉末として水素化チタンを用いた場合には脱水素化がされる。
この後、仮焼成後の焼結前成形体を、Tm−10(℃)≦加熱焼成温度(T)≦685(℃)で加熱焼成することにより、アルミニウム多孔質焼結体が得られる。
ここで、焼結前成形体は、アルミニウムの融解温度であるTm(℃):660℃まで加熱されると、アルミニウムとチタンとの反応が開始するものと考えられるが、アルミニウムに不純物として微量に含まれるFeやSi等の共晶合金元素により融点が低下し、実際には、Tm−10(℃)での加熱により、アルミニウムとチタンとの反応が開始し、アルミニウム多孔質焼結体が形成される。具体的には、アルミニウムの融点が660℃であるのに対して、純アルミニウム粉として流通している純度98%〜99.7%程度のアトマイズ粉では650℃前後が溶解開始温度となる。他方、加熱焼成温度を685℃より高い温度で加熱保持すると、焼結体にアルミニウムの液滴状の塊が発生してしまう。
なお、焼結工程における加熱焼成は、アルミニウム粒子表面およびチタン粒子表面の酸化被膜の成長を抑制するため、非酸化性雰囲気下で行う必要がある。但し、加熱温度が400℃以下で30分間程度保持の条件であれば、空気中で加熱しても、アルミニウム粒子表面およびチタン粒子表面の酸化被膜はさほど成長しないので、例えば、焼結前成形体を、空気中で300℃〜400℃に10分間程度加熱保持して脱バインダーした後、アルゴン雰囲気中で所定の温度に加熱して焼成してもよい。
ここで、非酸化性雰囲気とは、不活性雰囲気または還元性雰囲気を含み、アルミニウム混合原料粉末を酸化させない雰囲気であることを意味する。また、上述の加熱焼成温度は、アルミニウム混合原料粉末の温度ではなく、すなわち、アルミニウム混合原料粉末の反応温度等を測定したものでなく、アルミニウム混合原料粉末の周囲の保持温度を意味するものである。
これにより得られたアルミニウム多孔質焼結体は、三次元網目構造の金属骨格を有し、金属骨格間に空孔を有しており、かつ金属焼結体に、ほぼ均一にAl−Ti化合物が分散している。図4に、アルミニウム多孔質焼結体の二次電子像、およびEPMAのTiマッピングの一例を示す。図4から、明らかなように、ほぼ均一にAl−Ti化合物が分散(200μm角の範囲内に5〜100個)している。
また、アルミニウム多孔質焼結体は、空孔が直線長さ1cm当たりに20個以上形成されることにより、アルミニウム多孔質焼結体の全体気孔率が70〜90%であると、非水電解質二次電池用電極のエネルギー密度向上、または高出力化の観点から好ましく、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー電池等の非水電解質二次電池用集電体、特に正極用の集電体として好適に用いられる。
また、アルミニウム多孔質焼結体は、上記粘性組成物調製工程でのスラリー発泡時の気泡に由来する空孔と、焼結体であることに由来する金属骨格自体に形成される気孔との2種類の形態の異なる孔を有する。ここで、本発明の顕著な効果である活物質の保持による高信頼性の実現は、アルミニウム多孔質焼結体の骨格間の空孔と、金属骨格自体に形成される骨格内の空孔の相乗効果によるものと考えられる。
アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に含有される微細炭素繊維は、液中で分散剤を使用せずに良好な分散状態を得るため、表面を酸化処理して親水化したものを用いることが好ましい。また、親水化処理により、上記微細炭素繊維が水溶液中で良好に分散し、分散剤を必要としないので、分散剤の分解によるガス発生がなく、出力特性に優れた正極を形成することができる。
一般に、炭素材料は疎水性を有し、水溶液中で分散し難いので、従来は分散剤を使用して炭素系導電材を分散させている。このため正極を形成する際に、必然的に分散剤が正極構造に取り込まれ、これが分解してガス発生の原因になっている。一方、表面を酸化処理して親水化した微細炭素繊維は分散剤を必要とせずに水溶液中で良好な分散状態を維持することができる。
微細炭素繊維の酸化処理は、例えば、微細炭素繊維に硫酸等の硫黄含有強酸を添加し、硝酸等の酸化剤を加え、このスラリーを加熱下で攪拌した後、濾過し、残留する酸を洗浄して除去すればよい。この酸化処理によってカルボニル基やカルボキシル基あるいはニトロ基等の極性官能基が形成されるので親水化すると考えられる。また、この処理により、微細炭素繊維の製造に繊維金属等の触媒が用いられている場合には、触媒を減少させることもできる。
微細炭素繊維の分散液の溶媒としては極性溶媒が好ましく、例えばN-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水等を用いることができる。
上記微細炭素繊維の分散液は、微細炭素繊維の酸性懸濁液に酸化剤を添加し、酸化処理して、微細炭素繊維の表面を親水化した後に、微細炭素繊維を濾過分離して回収し、この微細炭素繊維を溶媒、水から選ばれた一つ以上の溶媒と混合して製造することができる。
次に、アルミニウム多孔質焼結体の空孔に、微細炭素繊維の分散液を充填し、乾燥する。充填させる方法は、アルミニウム多孔質焼結体を微細炭素繊維の分散液にディッピングする方法、アルミニウム多孔質焼結体の上部から微細炭素繊維の分散液を注ぐ方法等が挙げられ、さらに、2本のロール間を通したり、へらでこすったりして表面に付着した余剰の微細炭素繊維の分散液を内部に押し込むことによって、より効果的にアルミニウム多孔質焼結体の空孔に微細炭素繊維を充填することができる。乾燥は、大気中で放置してもよく、乾燥機等を用いてもよい。乾燥後、アルミニウム多孔質焼結体と、微細炭素繊維との質量比を測定し、微細炭素繊維の質量比が低い場合には、再度、浸漬・乾燥を繰り返し、所望量とすることができる。他方、微細炭素繊維の質量比が高い場合には、分散液の粘性を低くして、浸漬・乾燥をやり直し、所望量とすることができる。
〔非水電解質二次電池用電極の製造方法〕
活物質および結合剤を含むスラリーは、例えば、以下のようにして得ることができる。まず結合剤を有機溶媒に溶解、または均一に分散させる。この混合液と活物質粉末を混合してスラリーとする。あるいは、活物質と結合剤を均一に混合した後、有機溶媒を加えて、スラリーとする。このとき、用いる装置は、プラネタリーミキサー、ボールミル、ヘンシェルミキサー等の当業者が通常使用するものでよい。ここで、有機溶媒は、次のアルミニウム多孔質焼結体を、スラリーに浸漬させる工程で、アルミニウム多孔質焼結体にスラリーが容易に浸漬できる粘度、例えば10〜60Pa・s、となるように加えることが好ましい。
なお、スラリーに導電助剤を添加させる場合、混合液への導電助剤添加する順序は、混合液に活物質粉末を混合する前、後、活物質粉末の添加と同時、のいずれでもよい。
上記結合剤を溶解または分散させる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル等が使用できるが、乾燥により選択的にこの有機溶媒を除去するため、THF、アセトン等の沸点100℃以下の揮発性の有機溶媒、あるいは結合剤の溶解能力が高いN−メチルピロリドンが好ましい。
次に、アルミニウム多孔質焼結体の空孔に、活物質のスラリーを充填し、乾燥する。充填させる方法は、アルミニウム多孔質焼結体を活物質のスラリーにディッピングする方法、アルミニウム多孔質焼結体の上部からスラリーを注ぐ方法等が挙げられ、さらに、2本のロール間を通したり、へらでこすったりして表面に付着した余剰の活物質のスラリーを内部に押し込むことによって、より効果的にアルミニウム多孔質焼結体の空孔に活物質を充填することができる。乾燥は、大気中で放置してもよく、乾燥機等を用いてもよい。乾燥後、アルミニウム多孔質焼結体と、活物質、導電助剤および結合剤との質量比を測定し、活物質、導電助剤および結合剤の質量比が低い場合には、再度、浸漬・乾燥を繰り返し、所望量とすることができる。他方、活物質、導電助剤および結合剤の質量比が高い場合には、スラリーの粘性を低くして、浸漬・乾燥をやり直し、所望量とすることができる。
次に、活物質および結合剤、さらに場合により導電助剤を含むアルミニウム多孔質焼結体を圧延し、非水電解質二次電池用電極を得る。本発明のアルミニウム多孔質焼結体は、金属骨格にAl−Ti化合物が分散しており、強度、特に引張り強度が高いので、アルミニウム多孔質焼結体を所望の厚さまで、圧延することができ、電極体の空隙率を減少させ、電極密度を高めることができる。ここで、電極厚さは、0.03〜3mmであると、好ましい。ここで、プレス等によってもアルミニウム多孔質焼結体の密度を高くすることができるが、生産性の観点から圧延が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、高信頼性で、高エネルギー密度、高出力の非水電解質二次電池に、非常に有効に利用される。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔アルミニウム多孔質焼結体の製造〕
上述の実施の形態にしたがって、アルミニウム多孔質焼結体を製造した。まず、平均粒子径:24μmのアルミニウム粉末(不純物として、Fe:0.15質量%、Si:0.05質量%およびNi:0.01質量%を含む)と、平均粒子径9.1μmの水素化チタン粉末を、アルミニウム粉末と水素化チタン粉末の質量比が、99:1となるように合計500gで混合し、アルミニウム混合原料粉末を調製した。
バインダー溶液は、バインダー溶液:100質量部に対して、メチルセルロース:0.1質量部、エチルセルロース:2.9質量部、グリセリン:3質量部、ポリエチレングリコール:3質量部、アルキルベタイン:0.5質量部、残部水の比率で、合計500gで調製した。
アルミニウム混合原料粉末:50質量部と、バインダー溶液:49質量部と、ヘキサン:1質量部を合計500gで混合して、粘性組成物を調製した。
次に、この粘性組成物を、ドクターブレード法にて剥離剤が塗布されたポリエチレンシート上に引き伸ばして塗布し、温度および湿度を一定時間保持するよう管理して、気泡を整寸化した後、大気乾燥機にて温度70℃で乾燥させた。このときの粘性組成物の塗布厚さは、0.35mmであり、上記温度は35℃、湿度は90分、および保持時間は20分であった。続く乾燥は、70℃で50分間行った。そして、乾燥後の粘性組成物を、ポリエチレンシートから剥がし、直径100mmの円形に切り出して、焼結前成形体を得た。
この焼結前成形体を、ジルコニア敷粉を敷いたアルミナセッターの上に載置して、アルゴン気流雰囲気中で仮焼成(脱バインダー)を行った後に、加熱焼成して、アルミニウム多孔質焼結体1を得た。脱バインダーは、520℃で30分間行った。加熱焼成は、アルゴン雰囲気中、663℃で30分間行い、アルミニウム多孔質焼結体1を得た。得られたアルミニウム多孔質焼結体1の厚さは、1.2mmであった。
得られたアルミニウム多孔質焼結体1の収縮率と気孔率とを算出した。収縮率は、アルミニウム多孔質焼結体1の加熱焼成前後の厚さの変化から算出し、気孔率は、寸法、質量および密度により算出した。また、実体顕微鏡写真から3次元空孔数、および走査型電子顕微鏡(SEM)写真から金属骨格の長さ100μm当たりの骨格内空孔の数を、それぞれ計測するとともに、同SEM写真にて液滴凝固の有無を確認し、さらには、電子線マイクロアナライザー(EPMA)による面分析によってアルミニウム多孔質焼結体1の骨格表面にAl−Ti化合物の有無を確認した。ここで、金属骨格長さ100μm当たりの骨格内空孔数は、写真中央に金属骨格が写るようにそれぞれ別視野を撮影した倍率300倍の走査電子顕微鏡写真を5枚用意し、それらの写真に対角線を引いて、交点から四隅に向かう対角線上の金属骨格部位に長さ100μm相当の線分を描き、その線分部分の金属骨格にある骨格内空孔の数を数え、平均することにより算出し、骨格間孔数は、それぞれ別視野を撮影した倍率10倍の実体顕微鏡写真を5枚用意し、同様に対角線を引いて、交点から四隅に向かう対角線上に長さ5mm相当の線分を各写真に4本描き、その線分が横切る金属骨格数を数え、平均して25.4/5を乗じることにより算出した。表1に、これらの結果を示す(ここで、骨格間空孔数の単位:「PPI」は、1インチ(25.4mm)当たりの孔数である。)。また、図1に、得られたアルミニウム多孔質焼結体1のSEM写真を、図2および図3に、その一部拡大写真を、それぞれ示す。図1〜3から明らかなように、アルミニウム多孔質焼結体1の金属骨格の表面には、アルミニウム多孔質焼結体の粒界段差によって形成される凹凸が存在し、このアルミニウム多孔質焼結体の結晶粒の平均の結晶粒径は、39μmであった。ここで、アルミニウム多孔質焼結体の結晶粒の平均の結晶粒径は、測定試料を樹脂埋めし、鏡面に研磨し、ケラー試薬(48%ふっ酸:0.5cm、濃塩酸:1.5cm、濃硝酸;2.5cm、蒸留水;95cm)に30秒間浸漬してエッチングし、光学顕微鏡で倍率100倍の写真を撮影し、線インターセプト法(ASTM、E−112、Lineal Intercept Procedure)により測定した。
次に、アルミニウム多孔質焼結体1を、圧下率20%にてロール圧延を行い、割れの有無を黙視にて確認をした(20%圧下試験)後に、20mm×50mmの矩形状に切り出して対向角部間の電気抵抗率を測定した。次いで、この矩形状のアルミニウム多孔質焼結体1を、直径5mmの円柱体の外周に巻きつけて、割れの有無を黙示にて確認した。表1に、これらの結果を示す。
平均粒子径:21μmの水素化チタン粉末を用い、アルミニウム粉末と水素化チタン粉末の質量比が、85:15となるようにした以外は、アルミニウム多孔質焼結体1と同様にして、アルミニウム多孔質焼結体2を作製し、各試験を行った。表1に、これらの結果を示す。なお、得られたアルミニウム多孔質焼結体2の厚さは、1.3mmであった。
表1からわかるように、得られたアルミニウム多孔質焼結体1、2は、有孔金属焼結体の骨格長さ100μm当たりの孔数2〜4であるとともに、金属骨格間にある3次元空孔を1インチ当たり52個、すなわち、1cm当たりに20個以上有している。そして、アルミニウム多孔質焼結体に液滴状の塊が生じることもなく、電気抵抗率も低く、巻き付け試験による割れもなかった。
次に、カーボンナノファイバー(CNF:平均繊維径20nm、アスペクト比:80)を、硝酸(濃度60%)と硫酸(濃度95%以上)の混合液に、CNF:硝酸:硫酸=1重量部:5重量部:15重量部の割合で混合し、120℃で20分間、加熱して表面酸化処理を行った。得られた溶液を濾過し、数回水洗を行って残留する酸を洗い流した。その後、濾過し、回収した含水カーボンナノファイバースラリーをメタノールの中へ入れ、500rpmで15分間攪拌しCNF分散液を得た。
(実施例1)
CNF分散液に、作製したアルミニウム多孔質焼結体1を10分間浸漬し、取り出して乾燥させ、正極用集電体を作製した。
このときのアルミニウム多孔質焼結体1の質量変化から、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対するCNFの含有量(質量部)を算出した。表2に、この結果を示す。
(従来例1)
従来例1の発泡アルミニウムとしては、従来技術の第2の方法であるスポンジウレタンを中子にした鋳型にアルミニウムを圧入する方法で製造した30PPIの発泡アルミニウムを用いた。
実施例1で作製したCNF分散液に、従来例1の発泡アルミニウムを10分間浸漬し、取り出して乾燥させ、厚さ0.5mmの従来例1の正極用集電体を作製した。
このときの発泡アルミニウムの質量変化から、発泡アルミニウム100質量部に対するCNFの含有量(質量部)を算出した。表2に、この結果を示す。なお、表2では、「アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対するCNFの含有量(質量部)」の欄に記載した。
(実施例2〜4)
表2に示す組合せにした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4のリチウムイオン電池の正極を作製した。
このときのアルミニウム多孔質焼結体の質量変化から、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対するCNFの含有量(質量部)を算出した。表2に、これらの結果を示す。
〔非水電解質二次電池用電極の製造〕
(実施例5)
活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末と、導電材としてCNFと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、質量比90:5:5で、合計200g混合して正極剤を調製し、この正極剤に溶剤としてN−メチル−2ピロリドン176gを混合して正極活物質スラリーを調製した。
次に、この正極活物質スラリーに、実施例1で作製した正極用集電体を10分間浸漬し、取り出して乾燥させた後に、圧延して厚さ0.5mmの実施例5のリチウムイオン電池の正極を作製した。ここで、正極活物質スラリーに、正極用集電体を浸漬し、乾燥した後、圧延前に、正極用集電体表面に付着した正極活物質スラリーを拭き取り、ほぼ全量の活物質、導電助剤および結合剤が、正極用集電体の空孔内に含まれるようにした。
(実施例6〜10、比較例2)
表3に示す条件にした以外は、実施例5と同様にして、二次電池用電極を作製した。
〔非水電解質二次電池用電極の性能試験〕
(活物質充填密度)
実施例5〜10、比較例1の各リチウムイオン電池の正極について、リチウムイオン電池の正極を作製するときのアルミニウム多孔質焼結体の質量変化から、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対する活物質の含有量(質量部)を算出した。ここで、活物質、導電助剤と結合剤の比は、正極活物質スラリー作製時のままであるとして、算出した。同様にして、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対する導電助剤の含有量(質量部)を算出した。表4に、これらの結果を示す。
(電極巻き付け試験)
次いで、直径1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmの円柱体をそれぞれ用意して、実施例1〜10および従来例1のリチウムイオン電池の正極を巻き付けて、活物質が剥離するか否かを目視観察し、剥離が認められなかった最小径を、表4に示した。
(エネルギー密度)
エネルギー密度を測定するために、非水電解質二次電池のコインセルを作製した。図6に、用いたコインセルの断面図を示す。
負極11として、箔状のリチウム金属をステンレスの電池蓋12にはめ込み圧着した。
次に、上記正極を15mmφで打ち抜いて得られた正極10を、ステンレスの外装缶13内に配置し、これにポリプロピレン微多孔膜(厚さ:20μm)のセパレーター14を載置した。これに、1M LiPF/EC+PC(1:1(体積比))の非水電解質を注液した後、上記電池蓋12を載せ、スチレンブタジエンゴムとピッチの混合物からなるシーラント15で隙間無く充填することにより封口して、コインセルを作製した。このコインセルの寸法は、直径20mm、高さ3.2mmである。
上記セルを、放電レート:0.2C、放電電圧:4.2〜2.8Vで放電を行った。この放電容量の結果から、正極のエネルギー密度を算出した。表5に、これらの結果を示す。ここで、正極活物質量を、活物質充填密度と電極面積から算出し、エネルギー密度の算出に用いた。
(出力特性)
上記セルを用いて、放電レート:2C、放電電圧:4.2〜2.8Vで放電を行った。また、このときに放電開始から0.5秒後の電圧降下を測定した。次に、(0.2Cでの放電容量)/(2Cでの放電容量)を計算し、出力特性を評価した。表5に、これらの結果示す。
表2からわかるように、実施例1〜4の集電体は、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対して、CNFを0.6〜1.5質量部含有することができた。これに対して、比較例1の従来の発泡アルミニウムは、CNFを0.2質量部しか含有することができなかった。
また、表4からわかるように、実施例5〜10の正極は、アルミニウム多孔質焼結体100質量部に対して、活物質を290〜620質量部、導電助剤を16〜3質量部と、高密度で含有させることができた。また、電極巻き付け試験の結果から、実施例5〜10の正極は、活物質が脱落しにくく、高信頼性であることもわかった。これに対して、比較例2は、発泡アルミニウム100質量部に対して、活物質を205質量部しか含有させることができず、電極巻き付け試験でも4mmφより小さい径では活物質が脱落した。
また、表5からわかるように、実施例5〜10の正極は、0.2C放電で778mWh/cm以上と高エネルギー密度であり、特に、正極スラリーに3回浸漬、乾燥をした実施例7の正極は、905mWh/cmと高エネルギー密度であった。また、実施例5〜10の正極は、2C放電でも、0.2C放電時の容量の0.83以上を保持し、かつ0.2C放電時の電圧降下が18〜20mVと低く、高出力であることがわかった。また、実施例5、8および9と比較例3を比べると、CNF分散液への浸漬、乾燥の回数は、1回でも効果を発揮することがわかった。これに対して、従来の発泡アルミニウムを使用した比較例2は、616Wh/cmとエネルギー密度が低く、2C放電では、0.2C放電時の容量の0.75しか保持できず、出力特性も良好でなかった。CNFを含まない比較例3は、2C放電時の電圧降下が14.9mV、(0.2Cでの放電容量)/(2Cでの放電容量)が0.80と、実施例5〜10より劣る結果であった。
以上のように、本発明の非水電解質二次電池用集電体、およびこれを用いた電極により、高出力密度、高信頼性、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を製造することができる。
1 アルミニウム多孔質焼結体
2 活物質、導電助剤および結合剤層
3 空孔
10 正極
11 負極
12 電池蓋
13 外装缶
14 セパレーター
15 シーラント

Claims (10)

  1. アルミニウム多孔質焼結体と、前記アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に微細炭素繊維を含む非水電解質二次電池の正極用集電体であって、前記アルミニウム多孔質焼結体が、三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、前記金属骨格にはAl−Ti化合物が分散していることを特徴とする、非水電解質二次電池の正極用集電体。
  2. アルミニウム多孔質体が、アルミニウムとチタンの合計100質量部に対して、チタンを0.1〜20質量部含む、請求項1記載の非水電解質二次電池の正極用集電体。
  3. アルミニウム多孔質焼結体の平均の結晶粒径が、10〜100μmである、請求項1または2記載の非水電解質二次電池の正極用集電体。
  4. 微細炭素繊維が、平均繊維径1nm〜1μmおよびアスペクト比5以上のカーボンナノファイバーである、請求項1〜3のいずれか1項記載の非水電解質二次電池の正極用集電体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の非水電解質二次電池の正極用集電体のアルミニウム多孔質焼結体の空孔内に、さらに活物質および結合剤を含む、非水電解質二次電池用電極。
  6. 三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、かつ前記金属骨格にAl−Ti化合物が分散しているアルミニウム多孔質焼結体の空孔に、微細炭素繊維の分散液を充填し、乾燥することを特徴とする、非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法。
  7. アルミニウム多孔質体が、アルミニウムとチタンの合計100質量部に対して、チタンを0.1〜20質量部含む、請求項6記載の非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法。
  8. 空孔が直線長さ1cm当たりに20個以上形成されることにより、アルミニウム多孔質焼結体の全体気孔率が70〜99%である、請求項6または7記載の非水電解質二次電池の正極用集電体の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項記載の非水電解質二次電池の正極用集電体のアルミニウム多孔質焼結体の空孔に、活物質および結合剤を含むスラリーを充填し、乾燥した後、圧延をすることを特徴とする、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  10. 請求項5記載の非水電解質二次電池用電極を含む、非水電解質二次電池。
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