JP2010272266A - リチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 シール信頼性の高いリチウムイオン電池を、簡便に、かつ低コストで製造することができるリチウムイオン電池用電極部材を提供する。また、シール信頼性の高いリチウムイオン電池、およびその簡便かつ低コストな製造方法を提供する。
【解決手段】 リチウムイオン電池用電極部材31は、異なる金属が接合されたクラッド材からなり、一方には正極34が形成され他方には負極35が形成される一対の電極形成部330を厚さ方向両面に有する集電体33と、集電体33の厚さ方向両面の少なくとも一方において、電極形成部330の周囲に環状に配置され、集電体33と架橋接着されている接着性ゴム部材36と、を備える。正極34および負極35が形成された電極部材31と電解質32とを交互に積層し、隣接する電極部材31同士を接着性ゴム部材36を介して圧着させて、リチウムイオン電池1を構成する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、リチウムイオン電池を構成する電極部材に関し、詳しくは、集電体の厚さ方向一面に正極が、他面に負極が形成されるバイポーラ型の電極部材に関する。また、当該電極部材を用いたリチウムイオン電池およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出量を低減するための取り組みが、様々な業界でなされている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が進められている。これら電気自動車の実用化には、車両を駆動するモータの動力源として二次電池の開発が欠かせない。二次電池としては、高エネルギー密度であるリチウムイオン電池が注目されている。
リチウムイオン電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極との間に介装された電解質層と、から構成される。例えば、集電体の厚さ方向一面に正極が、他面に負極が形成されたバイポーラ電極を、電解質層を介して積層させたリチウムイオン電池は、小型化しやすく高い電圧が得られる等の利点を有する(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004−158343号公報 特開2007−213990号公報 特開2007−250372号公報
バイポーラ電極の集電体には、正極側では使用電位範囲で化学的に安定であり、負極側ではリチウムと反応しないことが要求される。このような観点から、正極側にはアルミニウム、負極側には銅というように、正極側と負極側とで異なる材料を用いることが多い。例えば、アルミニウム箔と銅箔とを接着剤等により貼り合わせて集電体を作製する場合には、部品点数が多くなると共に、貼り合わせの工程が必要になる。これにより、バイポーラ電極の製造が煩雑になり、コスト高になるという問題があった。加えて、異なる材料を貼り合わせた場合、両者の境界面における電気抵抗が大きくなるため、通電効率が低下するという問題もあった。
また、正極、負極、および電解質層からなる電池要素を外部から遮断するために、集電体間の電池要素の周囲には、樹脂製のシール部材が配置されている。シール部材と集電体とは、バイポーラ電極と電解質層とを積層した後、シール部材を加熱および加圧して集電体に熱融着させることにより、接着される。しかしながら、この方法によると、加熱により電解質が劣化するおそれがある。また、電解質が液体の電解液の場合には、電解液を注入した後の加熱により、電解液が膨張し、液漏れを生じるおそれがある。さらに、シール部材と集電体との接着に、接着剤を使用した場合には、加熱により接着剤の成分が染み出して、電解質を汚染するおそれもある。
また、リチウムイオン電池を製造する際には、バイポーラ電極と電解質層とシール部材とを、各々別個に積層している。このため、各々の構成部材の位置決めが難しく、積層作業に多くの時間を要する。この点、上記特許文献2によると、シール部材をセパレータの周縁部に形成しておき、当該セパレータをバイポーラ電極と積層させて、リチウムイオン電池を製造している。しかしながら、この方法は、固体ポリマー電解質を使用した場合等、セパレータが不要となる態様には適用することができない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、シール信頼性の高いリチウムイオン電池を、簡便に、かつ低コストで製造することができるリチウムイオン電池用電極部材を提供することを課題とする。また、当該リチウムイオン電池用電極部材を用いることにより、シール信頼性の高いリチウムイオン電池、およびその簡便かつ低コストな製造方法を提供することを課題とする。
以下の括弧内の番号は、請求項の番号に対応している。
(1)上記課題を解決するため、本発明のリチウムイオン電池用電極部材は、異なる金属が接合されたクラッド材からなり、一方には正極が形成され他方には負極が形成される一対の電極形成部を厚さ方向両面に有する集電体と、該集電体の該厚さ方向両面の少なくとも一方において、該電極形成部の周囲に環状に配置され、該集電体と架橋接着されている接着性ゴム部材と、を備えることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用電極部材(以下、適宜「電極部材」と略称する)によると、集電体にクラッド材を使用する。クラッド材は、異なる金属が金属組織的に接合した材料である。クラッド材の境界面では、接合された金属が拡散結合している。このため、接合された金属の接触面積が大きく、境界面における電気抵抗が小さい。よって、本発明の電極部材において、集電体の通電効率は高い。また、クラッド材を使用することにより、異なる金属を貼り合わせる工程が不要となる。よって、その分だけ、電極部材の製造コストを低減することができる。
本発明の電極部材は、集電体の厚さ方向両面の少なくとも一方に、接着性ゴム部材を備える。接着性ゴム部材は、正極および負極が形成されている当該電極部材を、電解質層を介して積層してリチウムイオン電池を構成した場合に、電池要素を外部から遮断するためのシール部材として機能する。本発明の電極部材によると、接着性ゴム部材の接着力と弾性力とを利用したシール構造を構築できる。これにより、振動や衝撃等が作用した場合でも、シール性が低下しにくい、つまり、シール信頼性の高いリチウムイオン電池を構成することができる。
接着性ゴム部材は、接着成分を含み、単独で集電体等に対する接着性を有する。このため、集電体等との接着に別途接着剤を使用する必要はない。したがって、本発明の電極部材によると、リチウムイオン電池の製造過程あるいは使用時に、接着剤が染み出して電解質を汚染するおそれはない。
また、接着性ゴム部材は、集電体に架橋接着されている。すなわち、接着性ゴム部材は電極部材に固定されている。このため、本発明の電極部材と電解質やセパレータ(電解質層)とを積層して、簡便かつ短時間にリチウムイオン電池を製造することができる。また、後述するように、接着性ゴム部材は、本発明の電極部材を電解質層を介して積層した後、加圧することにより、隣接する部材と圧着される。すなわち、本発明の電極部材を用いると、リチウムイオン電池の製造工程において、加熱する必要がない。したがって、シール部材を熱融着させるために加熱工程を必要とする従来の製造方法と比較して、製造コストを低減することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記クラッド材は、アルミニウムと銅とが接合されてなる構成とする方がよい。
本構成によると、集電体として、アルミニウムと銅とが接合されたクラッド材を使用する。集電体の正極側には、使用電位範囲で溶出することのない、化学的に安定な金属を用いればよい。この点、アルミニウムが好適である。また、アルミニウムは、軽量かつ安価であるという利点を有する。一方、集電体の負極側には、リチウムと反応しない金属を用いればよい。この点、銅が好適である。したがって、当該クラッド材を、アルミニウムを正極側に、銅を負極側にして使用すればよい。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記接着性ゴム部材は、以下の(A)〜(C)を含むゴム組成物の架橋物からなる構成とする方がよい。
(A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上のゴム成分。
(B)有機過酸化物。
(C)シランカップリング剤と、アルミネート系カップリング剤と、レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物と、のうちの少なくとも一つを含む接着成分。
上記(A)に列挙されたゴムは、気体透過性が小さい。このため、シール性が高い。また、電解液に対する耐腐食性等にも優れる。また、架橋剤として、上記(B)の有機過酸化物を使用すると、不純物、汚れ等により硬化不良をおこしにくい。このため、接着性ゴム部材を架橋させる際に、作業環境の影響を受けにくい。
上記(C)の接着成分のうち、シランカップリング剤、アルミネート系カップリング剤を使用した場合には、シランカップリング剤またはアルミネート系カップリング剤を介して、ゴム成分(接着性ゴム部材)と相手部材(集電体)との間に強固な化学結合が形成されて、両者が接着される。また、レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物を使用した場合には、メラミン系化合物がメチレン供与体となり、レゾルシノール系化合物がメチレン授与体となる。架橋時に、メチレン基の供与により、レゾルシノール系化合物と、ゴム成分(接着性ゴム部材)および相手部材(集電体)と、の間に化学結合が形成されて、両者が接着される。このように、本構成によると、接着性ゴム部材と集電体との接着力は高く、リチウムイオン電池を長期間使用しても、接着力は低下しにくい。したがって、本構成によると、リチウムイオン電池の信頼性を向上させることができる。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、一対の前記電極形成部のうち、一方には正極活物質を含む前記正極が形成されており、他方には負極活物質を含む前記負極が形成されている構成とする方がよい。
本発明の電極部材は、集電体に正極、負極が形成されている態様と、形成されていない態様と、の両方を含む。本構成によると、集電体に正極、負極が形成されているため、そのままリチウムイオン電池の製造に供することができる。
(5)また、本発明のリチウムイオン電池の製造方法は、異なる金属が接合されたクラッド材からなる集電体と、該集電体の厚さ方向一面に形成された正極と、該集電体の厚さ方向他面に形成された負極と、該集電体の厚さ方向両面の少なくとも一方において、該正極および該負極の少なくとも一方の周囲に環状に配置され、該集電体と架橋接着されている接着性ゴム部材と、を備える電極部材を準備する電極部材準備工程と、複数の該電極部材と、セパレータおよびポリマー電解質の少なくとも一方と、を、任意の該電極部材の該正極と別の該電極部材の該負極とが該セパレータおよび該ポリマー電解質の少なくとも一方を介して対向するように積層させて、積層体を作製する積層工程と、該積層体を積層方向に加圧して、隣接する該電極部材を該接着性ゴム部材を介して圧着させる圧着工程と、を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法によると、電極部材準備工程において、上記(4)の構成の電極部材を準備する。集電体にクラッド材を使用するため、異なる金属を貼り合わせる工程が不要となる。よって、その分だけ、製造コストを低減することができる。ここで、クラッド材は、アルミニウムと銅とが接合されたものが望ましい。
また、集電体には、正極および負極に加えて、接着性ゴム部材が配置されている。これにより、続く積層工程において、電極部材と、セパレータおよびポリマー電解質の少なくとも一方と、の積層を容易に行うことができる。本発明のリチウムイオン電池の製造方法においても、接着性ゴム部材として、上記(3)に挙げたゴム組成物の架橋物が好適である。
また、圧着工程において、積層体を積層方向に加圧することにより、接着性ゴム部材は、隣接する電極部材の集電体または接着性ゴム部材と圧着される。接着性ゴム部材を圧着させる際に、加熱する必要はない。したがって、シール部材を熱融着させるために加熱工程を必要とする従来の製造方法と比較して、製造コストを低減することができる。また、ポリマー電解質を含む積層体を常温で封止できるので、加熱によるポリマー電解質の劣化の心配はない。このように、本発明のリチウムイオン電池の製造方法によると、簡便に、かつ低コストで、リチウムイオン電池を製造することができる。
また、積層された電極部材において、集電体間の距離は、接着性ゴム部材の厚さにより決定される。本発明のリチウムイオン電池の製造方法によると、積層工程の後、積層体が加熱されることはない。よって、接着性ゴム部材が加熱により流動するおそれはない。したがって、接着性ゴム部材の厚さにより集電体間の距離を調整して、発電効率等を制御することも可能である。
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記電極部材準備工程は、前記集電体の厚さ方向一面に正極活物質を含む正極材料を塗布して乾燥させ、該集電体の厚さ方向他面に負極活物質を含む負極材料を塗布して乾燥させる電極材料塗工工程と、前記接着性ゴム部材の未架橋物を、塗工された該正極材料および該負極材料の少なくとも一方の周囲に環状に配置して、該未架橋物を加熱および加圧して架橋させると共に、該正極材料および該負極材料を圧縮して前記正極および前記負極を形成するプレス工程と、を有する構成とする方がよい。
通常、正極は、正極活物質を含むペースト状の正極材料を、集電体の表面に塗布し、乾燥させた後、プレスにより活物質密度を高めることにより形成される。同様に、負極も、負極活物質を含むペースト状の負極材料を、集電体の表面に塗布し、乾燥した後、プレスにより活物質密度を高めることにより形成される。本構成によると、プレス工程において、接着性ゴム部材の架橋接着と共に、正極活物質および負極活物質の圧縮を行う。したがって、上記本発明の電極部材を効率よく準備することができる。これにより、リチウムイオン電池の製造コストを低減することができる。
(7)好ましくは、上記(5)または(6)の構成において、前記積層工程において、複数の前記電極部材と前記セパレータとを積層し、前記圧着工程の後、該電極部材間の前記接着性ゴム部材の環内側に電解液を注入する電解液注入工程を有する構成とする方がよい。
本構成は、電解質が液状の電解液の場合に適用される。本構成によると、積層工程において、電極部材とセパレータとが積層される。この時、電解質は、まだ電極部材間に介装されていない。したがって、圧着工程において、隣接する電極部材を接着性ゴム部材を介して圧着させた後、電解液注入工程において、電極部材間の接着性ゴム部材の環内側に電解液を注入する。
(8)また、本発明のリチウムイオン電池は、異なる金属が接合されたクラッド材からなる集電体と、該集電体の厚さ方向一面に形成された正極と、該集電体の厚さ方向他面に形成された負極と、該集電体の厚さ方向両面の少なくとも一方において、該正極および該負極の少なくとも一方の周囲に環状に配置され、該集電体と架橋接着されている接着性ゴム部材と、を備える複数の電極部材と、該電極部材間に介装されている電解質と、を備え、隣接する該電極部材は該接着性ゴム部材を介して圧着されており、該接着性ゴム部材の環内側には、隣接する該集電体間の該正極、該負極、および該電解質が封入された封入室が区画されていることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池によると、電極部材の集電体にクラッド材を使用する。上記(1)で述べたように、クラッド材の金属境界面における電気抵抗は小さい。よって、本発明のリチウムイオン電池では、通電時のエネルギーロスが少ない。また、クラッド材を使用することにより、異なる金属を貼り合わせる工程が不要となる。よって、その分だけ、電極部材、ひいてはリチウムイオン電池の製造コストを低減することができる。ここで、クラッド材は、アルミニウムと銅とが接合されたものが望ましい。
本発明のリチウムイオン電池は、積層される集電体の厚さ方向両面の少なくとも一方に、環状に配置された接着性ゴム部材を備える。接着性ゴム部材の環内側には、隣接する集電体間の正極、負極、および電解質が封入された封入室が区画されている。封入室は、接着性ゴム部材の接着力および弾性力によりシールされている。このため、振動や衝撃等が作用した場合でも、シール性が低下しにくい。つまり、本発明のリチウムイオン電池のシール信頼性は高い。
ここで、接着性ゴム部材は、接着成分を含み、単独で集電体等に対する接着性を有する。このため、集電体等との接着に別途接着剤を使用する必要はない。したがって、本発明のリチウムイオン電池によると、製造過程あるいは使用時に、接着剤が染み出して電解質を汚染するおそれはない。本発明のリチウムイオン電池においても、接着性ゴム部材として、上記(3)に挙げたゴム組成物の架橋物が好適である。
また、接着性ゴム部材は、電極部材の集電体に架橋接着されている。すなわち、接着性ゴム部材は電極部材に固定されている。このため、本発明のリチウムイオン電池は、電極部材と電解質やセパレータ(電解質層)とを積層して、簡便かつ短時間に製造され得る。また、電極部材の積層方向において、接着性ゴム部材の一面は集電体と架橋接着されており、他面は隣接する部材と圧着されている。すなわち、本発明のリチウムイオン電池によると、電極部材と電解質層とを積層させた後に、加熱する必要はない。したがって、シール部材を熱融着させる従来のリチウムイオン電池と比較して、より低コストで製造することができる。また、隣接する電極部材において、集電体間の距離は、接着性ゴム部材の厚さにより決定される。したがって、本発明のリチウムイオン電池によると、接着性ゴム部材の厚さにより集電体間の距離を調整して、発電効率等を制御することが可能である。
(9)好ましくは、上記(8)の構成において、前記電解質は、液状の電解液であり、任意の前記電極部材の前記接着性ゴム部材は、前記封入室を囲んで環状に延在するゴム部材本体と、該ゴム部材本体の頂部に配置されC字状に延在し隣接する別の該電極部材に圧着するリブと、該リブのC字開口端に配置され外部から該封入室に該電解液を注入する注入口と、該注入口に配置され該封入室から該外部に該電解液が漏出するのを抑制する逆止弁構造と、を有し、該逆止弁構造は、該封入室における該電解液の液圧により、隣接する別の該電極部材に圧接し、該注入口を閉じるリップ部を有する構成とする方がよい。
電解質が液状の電解液の場合には、電極部材とセパレータとを積層し、圧着させた後、接着性ゴム部材で区画された封入室に、電解液を注入する必要がある。本構成によると、接着性ゴム部材の一部に電解液を注入するための注入口が配置されている。注入口は、リップ部を備えた逆止弁構造を有する。すなわち、リップ部は、注入口から電解液が注入された後、電解液の液圧とリップ部自身の弾性とにより、隣接する別の電極部材に圧接して、注入口を塞ぐ。これにより、電解液の外部への漏出が抑制される。
本発明によると、シール信頼性の高いリチウムイオン電池を、簡便に、かつ低コストで製造することができる電極部材を提供することができる。また、当該電極部材を使用することにより、シール信頼性の高いリチウムイオン電池を、簡便に、かつ低コストで製造することができる。
第一実施形態のリチウムイオン電池の斜視図である。 図1のII−II断面図である。 同リチウムイオン電池を構成する電池ユニットの断面図である。 同電池ユニットの斜視分解図である。 第二実施形態のリチウムイオン電池を構成する電池ユニットの断面図である。 同電池ユニットを構成する電極部材の上面図である。 図6における円A内拡大図である。 図7のVIII−VIII断面図である。 第二実施形態のリチウムイオン電池の一部断面図である。 電解液注入時における注入口付近の断面図である。 第三実施形態の電極部材の断面図である。 第四実施形態の電極部材の断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
[リチウムイオン電池の構成]
まず、本実施形態のリチウムイオン電池用電極部材を備えるリチウムイオン電池の構成について説明する。図1に、本実施形態のリチウムイオン電池の斜視図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。図3に、同リチウムイオン電池を構成する電池ユニットの断面図を示す。図4に、同電池ユニットの斜視分解図を示す。説明の便宜上、図1において、電池ケースを一部破断した状態で示す。図2において、電池ケースを省略して示す。図2〜図4において、各構成部材の厚さを強調して示す。
図1〜図4に示すように、リチウムイオン電池1は、電池ケース2と電池積層体3とを備えている。電池ケース2は、ステンレス鋼の表面をポリプロピレンフィルムで被覆した絶縁材からなり、直方体状を呈している。電池積層体3は、積層された六つの電池ユニット30と、上端集電体40と、からなる。電池ユニット30は、各々、電極部材31と、固体ポリマー電解質32と、から構成されている。電池ユニット30については後で詳しく説明する。
上端集電体40は、最上層の電池ユニット30の上面に積層して配置されている。上端集電体40は、矩形薄板状を呈している。上端集電体40は、後述する電池ユニット30の集電体33と同様、アルミニウム(Al)と銅(Cu)とが厚さ方向上下二層に接合されたクラッド材からなる。上端集電体40の下面(Cu面)には、負極400が形成されている。負極400は、最上層の電池ユニット30を構成する固体ポリマー電解質32と接触している。上端集電体40のCu層側の長手方向一端には、負極端子41が突設されている。
最下層の電池ユニット30を構成する集電体33は、下端集電体としての役割を果たす。当該集電体33の下面には負極は形成されていない。また、当該集電体33のAl層側の長手方向一端には、正極端子42が突設されている。電池積層体3は、負極端子41および正極端子42が外部に突出した状態で、電池ケース2に収容されている。
上述したように、電池ユニット30は、電極部材31と、固体ポリマー電解質32と、から構成されている。電極部材31は、集電体33と、正極34と、負極35と、接着性ゴム部材36と、からなる。但し、上述した通り、最下層の電池ユニット30を構成する電極部材31には、負極35は形成されていない。
集電体33は、上述した通り、AlとCuとが厚さ方向上下二層に接合されたクラッド材からなる。集電体33は、矩形薄板状を呈している。図4に示すように、集電体33の上面(Al面)には、正極34が形成される電極形成部330が配置されている。同様に、集電体33の下面(Cu面)には、負極35が形成される電極形成部(図略)が配置されている。
正極34は、集電体33の上面の電極形成部330に配置されている。正極34は、正極活物質を含む正極材料から形成されている。負極35は、集電体33下面の電極形成部(図略)に配置されている。負極35は、負極活物質を含む負極材料から形成されている。
接着性ゴム部材36は、矩形枠状を呈している。接着性ゴム部材36は、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、有機過酸化物およびシランカップリング剤を含むゴム組成物の架橋物である。接着性ゴム部材36は、集電体33の上面に、電極形成部330の周囲に環状に配置されている。接着性ゴム部材36は、集電体33に架橋接着されている。接着性ゴム部材36の枠内側には、隣接する集電体33間の正極34、負極35、および固体ポリマー電解質32が封入された封入室37が区画されている。
接着性ゴム部材36は、ゴム部材本体360とリブ361とを有する。ゴム部材本体360は、封入室37を囲んで環状に延在している。また、リブ361は、ゴム部材本体360の頂部に二つ配置され、環状に延在している。二つのリブ361は、封入室37を、内外二重に囲んでいる。リブ361は、電池積層体3を作製する際、積層方向に加圧されることにより押圧されて変形する。これにより、接着性ゴム部材36と、隣接する集電体33、上端集電体40とが圧着されている。
固体ポリマー電解質32は、ポリエチレンオキシド(PEO)にリチウム塩を溶解したものであり、矩形薄板状を呈している。固体ポリマー電解質32は、正極34の上面に配置されている。すなわち、固体ポリマー電解質32は、隣接する電極部材31間において、任意の電極部材31の正極34と、別の電極部材31の負極35と、の間に介装されている。また、最上層の電池ユニット30においては、電極部材31の正極34と、上端集電体40の負極400と、の間に介装されている。
[リチウムイオン電池の製造方法]
次に、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法について説明する。本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法は、電極部材準備工程と、積層工程と、圧着工程と、を有している。
第一に、電極部材準備工程について説明する。本工程においては、集電体33と、正極34と、負極35と、接着性ゴム部材36と、を備える電極部材を準備する。まず、集電体33の上面の電極形成部330の周囲を囲むように、EPDMをゴム成分とするゴム組成物を配置して、当該ゴム組成物を加熱しながらプレス成形する。これにより、集電体33の上面に、矩形枠状の接着性ゴム部材36が架橋接着される(前出図4参照)。
次に、集電体33の上面の電極形成部330(接着性ゴム部材36の枠内)に、正極34を形成する(同図4参照)。すなわち、正極活物質を含む正極材料を電極形成部330に塗布し、乾燥させた後、プレスにより活物質密度を高めて正極34とする。また同様に、集電体33の下面の電極形成部に、負極35を形成する。すなわち、負極活物質を含む負極材料を電極形成部に塗布し、乾燥させた後、プレスにより活物質密度を高めて負極35とする。
第二に、積層工程について説明する。本工程においては、先の電極部材準備工程にて作製した電極部材31と、固体ポリマー電解質32と、を積層させて、積層体を作製する。まず、前出図2〜図4に示すように、電極部材31に形成された正極34の上面に、固体ポリマー電解質32を載置して、電極部材31と固体ポリマー電解質32とを交互に積層する。次に、最上層の電池ユニット30の上面に、上端集電体40を、負極400を下側にして配置して、積層体とする。
第三に、圧着工程について説明する。本工程においては、先の積層工程にて作製した積層体を積層方向に加圧する。加圧は、接着性ゴム部材36が配置されている部位に対して行う。こうすることで、接着性ゴム部材36のリブ361が押圧されて変形し、隣接する集電体33、および上端集電体40と圧着する。これにより、電池積層体3を得る。
それから、作製した電池積層体3に負極端子41および正極端子42を接続し、前出図1に示すように、電池積層体3を電池ケース2に収容する。
[作用効果]
次に、本実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池、およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態の電極部材31において、集電体33は、AlとCuとが接合されたクラッド材からなる。Al/Cu境界面における電気抵抗が小さいため、集電体33の通電効率は高い。よって、本実施形態のリチウムイオン電池1において、通電時のエネルギーロスは少ない。また、クラッド材を使用することにより、Al箔とCu箔とを貼り合わせる必要がない。よって、その分だけ、電極部材31、ひいてはリチウムイオン電池1の製造コストを低減することができる。
本実施形態のリチウムイオン電池1は、接着性ゴム部材36の接着力および弾性力を利用したシール構造を有する。このため、振動や衝撃等が作用した場合でも、シール性が低下しにくい。また、接着性ゴム部材36は、EPDMをゴム成分とする。EPDMは、気体透過性が小さい。したがって、本実施形態のリチウムイオン電池1のシール信頼性は高い。また、接着性ゴム部材36は、接着成分のシランカップリング剤を含む。このため、別途接着剤を使用しなくても、集電体33と接着可能である。したがって、本実施形態の電極部材31によると、リチウムイオン電池1の製造過程あるいは使用時に、接着剤が染み出して、固体ポリマー電解質32を汚染するおそれはない。また、接着性ゴム部材36は、集電体33の上面、すなわちAl面に架橋接着されている。接着性ゴム部材36とAl面との接着力は、Cu面との接着力と比較して大きい。したがって、本実施形態によると、接着性ゴム部材36と集電体33との接着信頼性がより向上する。
本実施形態の電極部材31において、接着性ゴム部材36は、集電体33に架橋接着されている。このため、本実施形態の製造方法によると、電極部材31と固体ポリマー電解質32とを積層させて、簡便かつ短時間にリチウムイオン電池1を製造することができる。また、電極部材31を用いると、リチウムイオン電池1の製造工程において、加熱する必要がない。したがって、シール部材を熱融着させるために加熱工程を必要とする従来の製造方法と比較して、製造コストを低減することができる。また、固体ポリマー電解質32を含む積層体を常温で封止できるので、加熱による固体ポリマー電解質32の劣化の心配はない。このように、本実施形態の製造方法によると、簡便に、かつ低コストで、リチウムイオン電池1を製造することができる。
また、本実施形態の電極部材31を積層させた場合、集電体33間の距離は、接着性ゴム部材36の厚さにより決定される。本実施形態の製造方法によると、積層工程の後、積層体が加熱されることはない。よって、接着性ゴム部材36が加熱により流動するおそれはない。したがって、接着性ゴム部材36の厚さにより集電体33間の距離を調整して、発電効率等を制御することも可能である。
<第二実施形態>
本実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法と、第一実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法と、の相違点は、電解質が、固体ポリマー電解質ではなく電解液である点である。これに伴い、電極部材間に、電解液に加えてセパレータを介装した点である。また、接着性ゴム部材が、注入口および逆止弁構造を有する点である。したがって、ここでは相違点を中心に説明する。
まず、本実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、およびリチウムイオン電池の構成について説明する。図5に、本実施形態のリチウムイオン電池を構成する電池ユニットの断面図を示す。図6に、同電池ユニットを構成する電極部材の上面図を示す。なお、図5、図6中、図2〜図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
図5、図6に示すように、電池ユニット30は、電極部材31と、セパレータ50と、電解液52と、から構成されている。
セパレータ50は、ポリオレフィン系の微多孔膜からなり、矩形薄板状を呈している。セパレータ50は、電極部材31の正極34の上面に配置されている。すなわち、セパレータ50は、隣接する電極部材31間において、任意の電極部材31の正極34と、別の電極部材31の負極35と、の間に介装されている。また、最上層の電池ユニット30においては、電極部材31の正極34と、上端集電体40の負極400と、の間に介装されている(前出図2参照)。
電解液52は、非プロトン性の有機溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液である。電解液52は、セパレータ50、およびセパレータ50を挟持する正極34、負極35に含浸されている。
電極部材31は、集電体33と、正極34と、負極35と、接着性ゴム部材51と、からなる。集電体33、正極34、および負極35については、第一実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
接着性ゴム部材51は、矩形枠状を呈している。接着性ゴム部材51は、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、有機過酸化物およびアルミネート系カップリング剤を含むゴム組成物の架橋物である。接着性ゴム部材51は、集電体33の上面に、正極34の周囲に環状に配置されている。接着性ゴム部材51は、集電体33に架橋接着されている。接着性ゴム部材51の枠内側には、隣接する集電体33間の正極34、負極35、セパレータ50、および電解液52が封入された封入室37が区画されている。
図7に、図6における円A内拡大図を示す。また、図8に、図7のVIII−VIII断面図を示す。図9に、本実施形態のリチウムイオン電池の一部断面図を示す。なお、図9において、正極および負極に含浸している電解液については、説明の便宜上省略して示す。また、図9において、左右両縁部付近を強調して示す。
図6〜図9に示すように、接着性ゴム部材51は、ゴム部材本体510と、リブ511と、注入口512と、逆止弁構造513と、を有する。ゴム部材本体510は、封入室37を囲んで環状に延在している。また、リブ511は、ゴム部材本体510の頂部に二つ配置され、C字状に延在している。二つのリブ511は、封入室37を、内外二重に囲んでいる。リブ511は、電池積層体3を作製する際、積層方向に加圧されることにより押圧されて変形する(前出図2参照)。これにより、接着性ゴム部材51と、隣接する集電体33、上端集電体40とが圧着されている。
図6に示すように、注入口512は、リブ511のC字開口端(円Aで囲まれた部位)に配置されている。図7、図8に拡大して示すように、注入口512には、逆止弁構造513が配置されている。逆止弁構造513は、リップ部514を有している。リップ部514は、ゴム部材本体510から環内側に延在している。リップ部514は、ゴム部材本体510を支点にして、電極部材31の積層方向(上下方向)に弾性変形可能である。リップ部514と集電体33との隙間には、電解液52が封入されている。図9中、白抜き矢印で示すように、封入室37に封入されている電解液52の液圧により、リップ部514は、隣接する別の電極部材31の集電体33、および上端集電体40に圧接している。これにより、封入室37から外部に電解液52が漏出するのが抑制されている。
次に、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法について説明する。本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法は、電極部材準備工程と、積層工程と、圧着工程と、電解液注入工程と、を有する。電極部材準備工程および圧着工程については、第一実施形態と同じである。したがって、ここでは積層工程および電解液注入工程についてのみ説明する。
積層工程においては、先の電極部材準備工程にて作製した電極部材31と、セパレータ50と、を積層させて、積層体を作製する。まず、前出図5に示すように、電極部材31に形成された正極34の上面に、セパレータ50を載置して、電極部材31とセパレータ50とを交互に積層する。次に、最上層の電池ユニット30の上面に、上端集電体40を、負極400を下側にして配置して、積層体とする(前出図2参照)。
電解液注入工程においては、電極部材31間の接着性ゴム部材51の環内側、すなわち封入室37に、電解液52を注入する。図10に、電解液注入時における注入口付近の断面図を示す。
図10に示すように、まず、電解液52を充填した注射針53を、集電体33とリップ部514との間に圧入する。この際、リップ部514は、図10中白抜き矢印で示すように、下方に弾性変形する。続いて、リップ部514の変形により開口した注入口512から、電解液52を封入室37へ注入する(図10中ハッチング矢印で示す)。注入が完了したら、注射針53を抜き取る。すると、リップ部514は、電解液52の液圧とリップ部514自身の復元力により、上方に弾性変形して、隣接する集電体33に圧接する。これにより、注入口512が塞がれて、電解液52の外部への漏出が抑制される。
次に、本実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法は、構成が共通する部分については、第一実施形態のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法と、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のリチウムイオン電池によると、接着性ゴム部材51の一部に電解液52を注入するための注入口512が配置されている。これにより、電解質が液状の電解液52であっても、電極部材31とセパレータ50とを積層し、圧着させた後に、封入室37へ電解液52を容易に注入することができる。注入口512は、リップ部514を備えた逆止弁構造513を有する。すなわち、リップ部514は、注入口512から電解液52が注入された後、電解液52の液圧とリップ部514自身の弾性とにより、隣接する別の電極部材31に圧接して、注入口512を塞ぐ。これにより、電解液52の外部への漏出を抑制することができる。
<その他>
以上、本発明のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池、およびその製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
すなわち、リチウムイオン電池の形状、大きさ等は、上記実施形態に限定されるものではない。また、上記実施形態のリチウムイオン電池を複数接続して、組電池を構成してもよい。また、リチウムイオン電池を構成する電極部材の積層数や、正極端子および負極端子の形状、配置等についても、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、電池ケースに、ステンレス鋼の表面をポリプロピレンフィルムで被覆した絶縁材を使用した。電池ケースには、この材料以外にも、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等から選ばれる一種以上の金属や合金をポリマーで被覆した種々の絶縁材を使用することができる。また、上記実施形態では、上端集電体をAl/Cuのクラッド材とした。しかし、上端集電体は、負極のみが形成されるため、例えば銅箔等であってもよい。また、上記実施形態では、最下端の電極部材を、下端集電体として機能させた。しかし、下端集電体として、電極部材とは別の部材を配置してもよい。
上記実施形態では、集電体として、Al/Cuのクラッド材を使用した。しかし、クラッド材の材質は、厚さ方向一面が正極集電体として、他面が負極集電体として使用できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ステンレス鋼と銅とが接合されてなるクラッド材を使用してもよい。
正極および負極の構成は、特に限定されるものではなく、通常のリチウムイオン電池に従えばよい。以下にその一例を示す。
正極は、正極活物質に導電材および結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶剤を加えてペースト状にした正極材料を、集電体の表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物質密度を高めることにより形成することができる。なお、導電材および結着剤に加えて、さらにイオン導電体を混合して正極材料としてもよい。正極活物質には、LiCoO、LiNiO、LiMn等のリチウム遷移金属複合酸化物を用いればよい。導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等を用いればよい。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもので、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いればよい。正極活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いればよい。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵・脱離できる炭素材料を採用することが望ましい。炭素材料として、天然あるいは人造の黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体等が挙げられる。この場合、負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極材料を、集電体の表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物質密度を高めることにより、負極を形成することができる。正極同様、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いればよい。なお、結着剤に加えて、さらにイオン導電体を混合して負極材料としてもよい。
上記実施形態では、集電体の上面に接着性ゴム部材を架橋接着した後に、正極および負極を形成した。しかし、正極および負極を形成した後で、接着性ゴム部材を架橋接着してもよい。この場合、以下の製造方法を採用することが望ましい。すなわち、本発明のリチウムイオン電池の製造方法において、電極部材準備工程は、集電体の厚さ方向一面に正極活物質を含む正極材料を塗布して乾燥させ、該集電体の厚さ方向他面に負極活物質を含む負極材料を塗布して乾燥させる電極材料塗工工程と、接着性ゴム部材の未架橋物を、塗工された正極材料および負極材料の少なくとも一方の周囲に環状に配置して、該未架橋物を加熱および加圧して架橋させると共に、該正極材料および該負極材料を圧縮して正極および負極を形成するプレス工程と、を有する構成とするとよい。
本製造方法によると、プレス工程において、接着性ゴム部材の架橋接着と共に、正極活物質および負極活物質の圧縮を行うことができる。したがって、電極部材を効率よく準備することができる。これにより、リチウムイオン電池の製造コストを低減することができる。
上記第一実施形態では、電解質として、固体ポリマー電解質を使用した。固体ポリマー電解質を採用すると、有機溶媒を使用しないため、安全性が向上する。また、セパレータが不要になるため、電解質層の薄膜化が可能となり、エネルギー密度の向上が期待できる。固体ポリマー電解質のベースポリマーとしては、ポリエチレンオキシド(PEO)の他、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。ベースポリマーに溶解(あるいはドープ)させるリチウム塩としては、LiClO、LiPF、Li(CFSON、Li(CSON等が挙げられる。
また、固体ポリマー電解質に代えて、ゲルポリマー電解質を使用してもよい。ゲルポリマー電解質は、固体ポリマー電解質の上記ベースポリマーに、電解液を含浸させたものである。この場合、必要に応じて、セパレータを使用してもよい。電解液は、非プロトン性の有機溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液である。有機溶媒としては、エチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートの他、環状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ホスファゼン化合物、およびリン酸化合物等から選ばれる一種または二種以上からなる混合溶媒を用いることができる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiAsF、Li(CFSON、Li(CSON等が挙げられる。
上記電解液のみを電解質とする場合には、上記第二実形態のように、正負電極間にセパレータを介装すればよい。セパレータは、正極と負極とを隔離しつつ電解液を保持してイオンを通過できるものであればよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜が好適である。
上記実施形態では、接着性ゴム部材を、ゴム部材本体と二つのリブとを有するよう構成した。リブの数は限定されるものではなく、一つでも三つ以上でもよい。また、上記実施形態では、電極部材において、接着性ゴム部材を、集電体の上面(厚さ方向一面)のみに形成した。しかし、接着性ゴム部材を、集電体の上下両面(厚さ方向両面)に形成してもよい。以下、接着性ゴム部材の配置形態例について説明する。図11に、第三実施形態の電極部材の断面図を示す。図12に、第四実施形態の電極部材の断面図を示す。図11、図12中、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。
図11に示すように、第三実施形態の接着性ゴム部材36は、正極側ゴム部材362と負極側ゴム部材363とを有する。正極側ゴム部材362は、正極34の周囲に環状に配置されている。正極側ゴム部材362は、集電体33の上面に架橋接着されている。負極側ゴム部材363は、負極35の周囲に環状に配置されている。負極側ゴム部材363は、集電体33の下面に架橋接着されている。電池積層体3を作製する際、正極側ゴム部材362は、隣接する集電体33の負極側ゴム部材363と圧着される。同様に、負極側ゴム部材363は、隣接する集電体33の正極側ゴム部材362と圧着される。
また、図12に示すように、第四実施形態の接着性ゴム部材36は、正極側ゴム部材364と負極側ゴム部材365とを有する。正極側ゴム部材364は、集電体33の上面に架橋接着されている。正極側ゴム部材364は、ゴム部材本体364aとリブ364bとを有する。ゴム部材本体364aは、正極34の周囲に環状に配置されている。リブ364bは、ゴム部材本体364aの頂部に一つ配置され、環状に延在している。負極側ゴム部材365は、集電体33の下面に架橋接着されている。負極側ゴム部材365の下面には、正極側ゴム部材364のリブ364bと嵌合する型対称の凹部365bが形成されている。
接着性ゴム部材を集電体に架橋接着させる際、加熱による接着性ゴム部材の伸長、収縮により生じる応力で、集電体に反りやしわ等が発生するおそれがある。この点、上記第三、第四実施形態のように、接着性ゴム部材36を、集電体33の厚さ方向両面に形成した場合には、集電体33の両面に応力が作用するため、集電体33の反りやしわ等を抑制することができる。また、第四実施形態のように、集電体33の厚さ方向両面における接着性ゴム部材36が、一対の雄雌型の形状の場合、電極部材31を積層する際に、位置決めがしやすくなると共に、位置決めの精度を向上させることができる。このような観点から、上記第三実施形態において、集電体33の上面に形成された正極側ゴム部材362の上面には、負極側ゴム部材363と嵌合する型対称の凹部を形成してもよい。以下、接着性ゴム部材の成分等について、詳細に説明する。
[接着性ゴム部材]
本発明のリチウムイオン電池用電極部材、リチウムイオン電池およびその製造方法において、接着性ゴム部材として好適な材料は、以下の(A)〜(C)を含むゴム組成物の架橋物である。
(A)エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)から選ばれる一種以上のゴム成分。
(B)有機過酸化物。
(C)シランカップリング剤と、アルミネート系カップリング剤と、レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物と、のうちの少なくとも一つを含む接着成分。
ゴム成分(A)のうち、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、(B)の有機過酸化物は、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル等の中から選択するとよい。なかでも、架橋時に集電体表面を汚染しにくいという理由から、パーオキシケタールが好適である。パーオキシケタールとしては、例えば、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
架橋反応を充分に進行させるため、有機過酸化物の配合量は、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して0.5重量部以上とすることが望ましい。また、有機過酸化物を加えて調製したゴム組成物の保管安定性を考慮すると、有機過酸化物の配合量は、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して5重量部以下とすることが望ましい。
(C)の接着成分としては、(i)シランカップリング剤、(ii)アルミネート系カップリング剤、(iii)レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物、のうちのいずれか一つから選択すればよい。また、(i)〜(iii)の二つ以上から選択して、それらを組み合わせてもよい。二つ以上を組み合わせて使用すると、接着力がより向上する。
シランカップリング剤としては、官能基としてエポキシ基、アミノ基、ビニル基等を有する化合物群の中から、接着性等を考慮して適宜選択すればよい。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、エポキシ基を有する化合物群から選ばれる一種以上を用いると、接着力が向上すると共に、使用時において接着力が低下しにくい。具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が好適である。
一方、アルミネート系カップリング剤を構成する原子の結合エネルギーは大きい。このため、アルミネート系カップリング剤は、シランカップリング剤と比較して、加水分解されにくいと考えられる。したがって、より長期間に亘り、シール性および接着性を維持することが可能である。
アルミネート系カップリング剤としては、加水分解可能なアルコキシ基と、ゴム成分と親和性がある部分と、を有するアルミニウム有機化合物の中から、接着性等を考慮して適宜選択すればよい。例えば、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレキシエチルアセトアセテート等が挙げられる。これらの一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートが好適である。
所望の接着力を得るため、シランカップリング剤、アルミネート系カップリング剤の配合量は、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して、0.5重量部以上とすることが望ましい。2重量部以上とするとより好適である。また、過剰な配合はゴムの物性低下を招き、加工性も低下するおそれがある。このため、シランカップリング剤、アルミネート系カップリング剤の配合量は、10重量部以下とすることが望ましい。6重量部以下とするとより好適である。
レゾルシノール系化合物としては、例えば、レゾルシン、変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)樹脂等が挙げられる。これらの一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、低揮発性、低吸湿性、ゴムとの相溶性が優れるという点で、変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が好適である。変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、次の一般式(1)〜(3)で表されるものが挙げられる。特に、一般式(1)で表されるものが好適である。
Figure 2010272266
Figure 2010272266
Figure 2010272266
所望の接着力を得るため、レゾルシノール系化合物の配合量は、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して、0.1重量部以上とすることが望ましい。0.5重量部以上とするとより好適である。また、過剰な配合はゴムの物性低下を招くため、レゾルシノール系化合物の配合量は10重量部以下とすることが望ましい。5重量部以下とするとより好適である。
メラミン系化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。これらの一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。これらは、架橋の際の加熱下で分解し、ホルムアルデヒドを系に供給する。なかでも、低揮発性、低吸湿性、ゴムとの相溶性が優れるという点で、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物が好適である。ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物としては、例えば、以下の一般式(4)で表されるものが好適である。特に、一般式(4)中、n=1の化合物が43〜44重量%、n=2の化合物が27〜30重量%、n=3の化合物が26〜30重量%の混合物が好適である。
Figure 2010272266
上記レゾルシノール系化合物とメラミン系化合物との配合比は、重量比で、1:0.5〜1:2の範囲が望ましい。1:0.77〜1:1.5の範囲がより好適である。レゾルシノール系化合物に対するメラミン系化合物の配合比が0.5未満の場合、ゴムの引張り強さ、伸び等が若干低下する傾向がみられる。反対に、メラミン系化合物の配合比が2を超えると、接着力が飽和する。このため、それ以上の配合は、コストアップにつながる。
また、上記有機過酸化物(B)の種類に応じて、適宜、架橋助剤を使用してもよい。架橋助剤としては、例えば、マレイミド化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)等が挙げられる。なかでも、架橋速度がより速くなるという理由から、マレイミド化合物を用いることが望ましい。この場合、架橋反応を充分に進行させるため、架橋助剤の配合量は、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して0.1重量部以上とすることが望ましい。一方、架橋助剤の配合量が多く架橋速度が速くなり過ぎると、接着力の低下を招くため、架橋助剤の配合量は、3重量部以下とすることが望ましい。
また、上記(A)〜(C)を含むゴム組成物は、通常ゴム用の添加剤として用いられる各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、補強剤として、カーボンブラックが広く用いられている。しかし、カーボンブラックを多量に配合すると、架橋の際、有機過酸化物(B)から生じるラジカルと反応し、架橋反応が阻害されるおそれがある。よって、カーボンブラックを配合する場合には、その配合量を、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して10重量部以下とすることが望ましい。5重量部以下、さらには1重量部以下とするとより好適である。
カーボンブラックに代えて、あるいはカーボンブラックと共に使用する補強剤としては、例えば、ホワイトカーボンが好適である。ホワイトカーボンは、非晶質シリカとして知られており、具体的には乾式法シリカ、湿式法シリカ、合成ケイ酸塩系シリカ等がある。ホワイトカーボンの配合量は、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して30重量部以上とすることが望ましい。なお、混練のしやすさ、成形加工性等を考慮して、ホワイトカーボンの配合量は80重量部以下とすることが望ましい。
また、他の添加剤としては、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、粘着付与剤、加工助剤等が挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。軟化剤の配合量は、製造される接着性ゴム部材の強度を考慮して、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して10重量部程度までとするとよい。また、可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)等の有機酸誘導体、リン酸トリクレジル等のリン酸誘導体が挙げられる。可塑剤の配合量は、軟化剤と同様、製造される接着性ゴム部材の強度を考慮すると、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して10重量部程度までとするとよい。また、老化防止剤としては、フェノール系、イミダゾール系、ワックス等が挙げられ、上記ゴム成分(A)の100重量部に対して0.5〜10重量部程度配合するとよい。
ゴム組成物は、上記(A)〜(C)および必要に応じて各種添加剤等を混合して調製すればよい。例えば、有機過酸化物(B)および接着成分(C)以外の各材料を予備混合した後、80〜140℃で数分間混練する。混練物を冷却した後、有機過酸化物(B)および接着成分(C)を追加して、オープンロール等のロール類を用い、ロール温度40〜60℃で5〜30分間混練して調製することができる。なお、接着成分(C)は、予備混合の段階で配合しても構わない。調製されたゴム組成物を、集電体の所定位置に配置して架橋する。架橋温度や架橋時間等の条件は、ゴム成分(A)および有機過酸化物(B)の種類に応じて、適宜決定すればよい。
1:リチウムイオン電池 2:電池ケース 3:電池積層体
30:電池ユニット 31:電極部材 32:固体ポリマー電解質 33:集電体
34:正極 35:負極 36:接着性ゴム部材 37:封入室
330:電極形成部 360:ゴム部材本体 361:リブ 362:正極側ゴム部材
363:負極側ゴム部材 364:正極側ゴム部材 364a:ゴム部材本体
364b:リブ 365:負極側ゴム部材 365b:凹部
40:上端集電体 41:負極端子 42:正極端子 400:負極
50:セパレータ 51:接着性ゴム部材 52:電解液 53:注射針
510:ゴム部材本体 511:リブ 512:注入口 513:逆止弁構造
514:リップ部

Claims (9)

  1. 異なる金属が接合されたクラッド材からなり、一方には正極が形成され他方には負極が形成される一対の電極形成部を厚さ方向両面に有する集電体と、
    該集電体の該厚さ方向両面の少なくとも一方において、該電極形成部の周囲に環状に配置され、該集電体と架橋接着されている接着性ゴム部材と、
    を備えることを特徴とするリチウムイオン電池用電極部材。
  2. 前記クラッド材は、アルミニウムと銅とが接合されてなる請求項1に記載のリチウムイオン電池用電極部材。
  3. 前記接着性ゴム部材は、以下の(A)〜(C)を含むゴム組成物の架橋物からなる請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン電池用電極部材。
    (A)エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上のゴム成分。
    (B)有機過酸化物。
    (C)シランカップリング剤と、アルミネート系カップリング剤と、レゾルシノール系化合物およびメラミン系化合物と、のうちの少なくとも一つを含む接着成分。
  4. 一対の前記電極形成部のうち、一方には正極活物質を含む前記正極が形成されており、他方には負極活物質を含む前記負極が形成されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用電極部材。
  5. 異なる金属が接合されたクラッド材からなる集電体と、該集電体の厚さ方向一面に形成された正極と、該集電体の厚さ方向他面に形成された負極と、該集電体の厚さ方向両面の少なくとも一方において、該正極および該負極の少なくとも一方の周囲に環状に配置され、該集電体と架橋接着されている接着性ゴム部材と、を備える電極部材を準備する電極部材準備工程と、
    複数の該電極部材と、セパレータおよびポリマー電解質の少なくとも一方と、を、任意の該電極部材の該正極と別の該電極部材の該負極とが該セパレータおよび該ポリマー電解質の少なくとも一方を介して対向するように積層させて、積層体を作製する積層工程と、
    該積層体を積層方向に加圧して、隣接する該電極部材を該接着性ゴム部材を介して圧着させる圧着工程と、
    を有することを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
  6. 前記電極部材準備工程は、
    前記集電体の厚さ方向一面に正極活物質を含む正極材料を塗布して乾燥させ、該集電体の厚さ方向他面に負極活物質を含む負極材料を塗布して乾燥させる電極材料塗工工程と、
    前記接着性ゴム部材の未架橋物を、塗工された該正極材料および該負極材料の少なくとも一方の周囲に環状に配置して、該未架橋物を加熱および加圧して架橋させると共に、該正極材料および該負極材料を圧縮して前記正極および前記負極を形成するプレス工程と、
    を有する請求項5に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
  7. 前記積層工程において、複数の前記電極部材と前記セパレータとを積層し、
    前記圧着工程の後、該電極部材間の前記接着性ゴム部材の環内側に電解液を注入する電解液注入工程を有する請求項5または請求項6に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
  8. 異なる金属が接合されたクラッド材からなる集電体と、該集電体の厚さ方向一面に形成された正極と、該集電体の厚さ方向他面に形成された負極と、該集電体の厚さ方向両面の少なくとも一方において、該正極および該負極の少なくとも一方の周囲に環状に配置され、該集電体と架橋接着されている接着性ゴム部材と、を備える複数の電極部材と、
    該電極部材間に介装されている電解質と、を備え、
    隣接する該電極部材は該接着性ゴム部材を介して圧着されており、該接着性ゴム部材の環内側には、隣接する該集電体間の該正極、該負極、および該電解質が封入された封入室が区画されていることを特徴とするリチウムイオン電池。
  9. 前記電解質は、液状の電解液であり、
    任意の前記電極部材の前記接着性ゴム部材は、前記封入室を囲んで環状に延在するゴム部材本体と、該ゴム部材本体の頂部に配置されC字状に延在し隣接する別の該電極部材に圧着するリブと、該リブのC字開口端に配置され外部から該封入室に該電解液を注入する注入口と、該注入口に配置され該封入室から該外部に該電解液が漏出するのを抑制する逆止弁構造と、を有し、
    該逆止弁構造は、該封入室における該電解液の液圧により、隣接する別の該電極部材に圧接し、該注入口を閉じるリップ部を有する請求項8に記載のリチウムイオン電池。
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