JP2010270008A - ピリジンエタノール誘導体の製造方法 - Google Patents

ピリジンエタノール誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高収率・高選択性なピリジンエタノール誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】特定のピリジン誘導体と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド1モルに対して3級アミン等の塩基0.01〜1モルの存在下に反応させて下記一般式(3)で表されるピリジンエタノール誘導体の製造方法。
Figure 2010270008

【選択図】なし

Description

本発明はピリジンエタノール誘導体の製造方法に関する。
ピリジンエタノール化合物は、医薬、農薬などの合成中間体として有用な化合物であり、また、種々の用途に適用可能なビニルピリジン系ポリマーへと変換できるビニルピリジンの原料としても有用な化合物である。
従来、ピリジンエタノール誘導体の製造方法として、一般にピリジン塩基類とホルムアルデヒドとからメチロール化反応によりピリジンエタノール類を得る方法(特許文献1及び特許文献2)が挙げられる。
特開昭53−144577号公報 特公昭63−15269号公報
これらの方法では目的のピリジンエタノール類とホルムアルデヒドとの逐次反応が進行し副生成物ができる、また目的のピリジンエタノール類は150℃以上でアルコール部での脱水反応が起こりビニル基になる。これらの副反応のため収率、選択性を両立させるものには至っておらず、工業的に満足し得る方法とは言い難い。
本発明の目的は、上記従来法における問題点を解決し得る方法、すなわち生産性を高めて、高収率・高選択性でピリジンエタノール類を製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは上記事情に鑑み勢力的に研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、一般式(1)で表されるピリジン誘導体(B)と一般式(2)で表されるアルデヒド(C)を反応して一般式(3)で表されるピリジンエタノール誘導体(D)を製造するピリジンエタノール誘導体の製造方法であって、該反応を塩基(A)の存在下に行うことを特徴とするピリジンエタノール誘導体(D)の製造方法である。
Figure 2010270008
(式中Rは一般式(4)で表され、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基である。nは1〜5の整数であり、nが2〜5の場合Rは同じでも異なっていてもよい。)
Figure 2010270008
(式中Rはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アミド結合を有する基、エステル結合を有する基、エーテル結合を有する基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基である。)
Figure 2010270008
(式中Rは一般式(4)における基と同じ基を表す。)
Figure 2010270008
(Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アミド結合を有する基、エステル結合を有する基、エーテル結合を有する基、又はこれらの基を有していてもよい炭素数1〜9の1価炭化水素基である。)
本発明によれば工業的にピリジンエタノール誘導体(D)を高収率、及び高選択性で製造することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明では、一般式(1)で表されるピリジン誘導体(B)と一般式(2)で表されるアルデヒド(C)を反応して一般式(3)で表されるピリジンエタノール誘導体(D)を製造する方法において、該反応を塩基(A)の存在下に行うことで、ピリジン誘導体(B)の求核性を上げ逐次副反応との速度差を広げることにより、ピリジンエタノール誘導体(D)の選択性を向上させることに成功した。
一般式(1)で示される化合物において、Rは、水酸基、ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、及びエーテル結合を有する基(以下、これらを官能基Yと記す。) からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、炭化水素基としては、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が含まれる。Rの具体例を以下に挙げる。
炭化水素基が直鎖脂肪族炭化水素基の場合:メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基及びn−デシル基、並びに官能基Yを有する基としてはヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基及び2−ヒドロキシエチル基、ニトロメチル基、ニトロエチル基、シアノメチル基、シアノエチル基、メトキシメチル基、及びメトキシエチル基、フルオロアルキル基等が挙げられる。
炭化水素基が分岐脂肪族炭化水素基の場合:iso−プロピル基、2−メチルプロピル基、2−ブチル基、2−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、3−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、3−ヘプチル基、2−エチルブチル基、3−メチルペンチル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基及び2−エチルオクチル基、並びに官能基Yを有する基としては2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−アミノ−iso−プロピル基、2−ニトロ−iso−プロピル基、1−ニトロ−2−メチルプロピル基、2−シアノ−iso−プロピル基、1−シアノ−2−メチルプロピル基、2−メトキシ−iso−プロピル基及び1−メトキシ−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
炭化水素基が環式炭化水素基の場合:シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基及び4−メチルシクロヘキシル基、並びに官能基Yを有する基としては1−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基、1−メトキシシクロヘキシル基、2−メトキシシクロヘキシル基、3−メトキシシクロヘキシル基及び4−メトキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
炭化水素基が芳香族炭化水素基の場合:フェニル基、トルイル基及びベンジル基等が挙げられる。
これらRのうち直鎖又は分岐脂肪族炭化水素基、エーテル結合を有する基を有する脂肪族炭化水素基、及びフルオロアルキル基が好ましい。さらに好ましくはメチル基、エチル基、メトキシエチル基、トリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、及びペンタフルオロエチル基である。極めて好ましくは、メチル基である。
ピリジン誘導体(B)の具体例としては2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、2−メチル−3−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,3,5−トリメチルピリジン等が挙げられる。これらのうちで好ましくは
2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジンが好ましく、さらに好ましくは2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジンである。
アルデヒド(C)の具体例としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、t-ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、o-ブロモベンズアルデヒド、p-ブロモベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、p-クロロベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、2,5‐ジヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、3−アミノプロピオンアルデヒド、o-ニトロベンズアルデヒド、m-ニトロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、シアノホルムアルデヒド、メチルホルメート、エチルホルメート等が挙げられる。これらのうちで好ましいのはホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが好ましく、さらに好ましいのはホルムアルデヒドである。またホルムアルデヒドは常温常圧でガス状態のため取扱が困難であるため、ホルマリン溶液又は固体のパラホルムアルデヒドを使用することが一般的である。
本発明において、塩基(A)とはアルカリ金属塩とルイス塩基のことである。そのなかで、その塩基性度が、PKbで9以下である塩基性化合物が好ましい。アルカリ金属塩としては、例えば炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩が挙げられる。有機塩基としては、アルカリ金属のアルコキシド、アミン等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を混合して使用できる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、具体的には炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。アルカリ金属の炭酸水素塩としては、具体的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。アルカリ金属のリン酸塩としては、具体的にはリン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸セシウム等が挙げられる。アルカリ金属のフッ化物としては、具体的にはフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられる。
アルカリ金属のアルコキシドとしては、具体的にはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等が挙げられる。アミンとしては第三級アミン等が挙げられ、第三級アミンとしては、具体的にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルエチルアミン等が挙げられる。
これらの塩基(A)の中でルイス塩基が好ましく、特に好ましいものは、第3級アミンである。
かかる塩基(A)の使用量としては、アルデヒド1モルに対して、好ましくは0.01〜1モル、より好ましくは0.05〜0.5モルである。また、塩基はそのまま用いてもよいし、水、アルコール等の溶剤に溶解して用いてもよい
ピリジン誘導体(B)とアルデヒド(C)の反応の反応温度は、通常60℃〜180℃、脱水反応によるビニル化を抑制する観点から、好ましくは100〜140℃である。
反応終了後、ピリジンエタノール誘導体(D)を主成分とする反応液を、一般的に知られている抽出、濃縮、蒸留等の所望の分離精製手段により、目的のピリジンエタノール誘導体(D)を得ることができる。
ピリジンエタノール誘導体(D)の例としては2−ピリジンエタノール、3−ピリジンエタノール、4−ピリジンエタノール、2−ピリジンプロパノール、3−ピリジンプロパノール、4−ピリジンプロパノール、1−(ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール、1−(ピリジン−2−イル)ヘキサン−2−オール、1−(ピリジン−3−イル)プロパン−2−オール、1−フェニル−2−(ピリジン−3−イル)エタノール、2−(ピリジン−4−イル)エタノール、1−(ピリジン−4−イル)プロパン−2−オール、1−(ピリジン−4イル)ペンタン−2−オール、3−(ピリジン−2−イル)プロパン−1−オール、3−(ピリジン−3−イル)プロパン−1−オール、3−(ピリジン−4−イル)プロパン−1−オール、2,2'−(ピリジン−2,4−ジニル)ジエタノール、2,2'−(ピリジン−3,4−ジニル)ジエタノール、2,2',2''−(ピリジン−2,4,6−トリル)トリエタ
ノールなどがあげられる。
ピリジンエタノール誘導体(D)の化学構造は、通常の有機化学的手法で特定することができ、例えば、1H−NMR(例えば機器:AVANCE300(日本ブルカー株式会社製)、溶媒:重水、周波数:300MHz)、及び13C−NMR(例えば機器:AL−300(日本電子製)、溶媒:重水、周波数:300MHz)等によって特定することができる。また、純度は1H−NMRで測定できる。
実施例
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2−メチルピリジン930g(10mol)に対して195gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド39g(1.3mol)とトリエチルアミン30.4g(0.3mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.23モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物158gを1H−NMRで分析すると2−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の2−ピリジンエタノールは150g(1.2mol)、選択率95%、収率94%であった。また、回収した未反応2−メチルピリジンの回収率は99%であった。
実施例2
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2−メチルピリジン930g(10mol)に対して330gのイオン交換水を加え、さらにアセトアルデヒド66g(1.5mol)とトリエチルアミン71g(0.7mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。アセトアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.47モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でアセトアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物197gを1H−NMRで分析すると1−(ピリジン−2−イル)プロパン−2−オールであることを確認した。濃縮物中の1−(ピリジン−2−イル)プロパン−2−オールは185g(1.4mol)、選択率94%、収率90%であった。また、回収した未反応2−メチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例3
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2−メチルピリジン930g(10mol)に対して645gのイオン交換水を加え、さらにn−ブチルアルデヒド129g(1.5mol)とジエチルメチルアミン44g(0.5mol、pKb=3.6)を入れ、140℃で2時間反応させた。n−ブチルアルデヒド1モルに対してジエチルメチルアミン0.33モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でn−ブチルアルデヒドとジエチルメチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物237gを1H−NMRで分析すると2−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の2−ピリジンエタノールは220g(1.2mol)、選択率93%、収率82%であった。また、回収した未反応2−メチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例4
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに3−メチルピリジン930g(10mol)に対して195gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド39g(1.3mol)とトリエチルアミン51g(0.5mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.38モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の3−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物155gを1H−NMRで分析すると3−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の3−ピリジンエタノールは146g(1.2mol)、選択率94%、収率91%であった。また、回収した未反応3−メチルピリジンの回収率は99%であった。
実施例5
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに3−メチルピリジン930g(10mol)に対して330gのイオン交換水を加え、さらにアセトアルデヒド66g(1.5mol)とトリエチルアミン51g(0.5mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.33モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でアセトアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の3−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物197gを1H−NMRで分析すると1−(ピリジン−3−イル)プロパン−2−オールであることを確認した。濃縮物中の1−(ピリジン−3−イル)プロパン−2−オールは187g(1.4mol)、選択率95%、収率91%であった。また、回収した未反応3−メチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例6
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに3−メチルピリジン930g(10mol)に対して955gのイオン交換水を加え、さらにベンズアルデヒド191g(1.8mol)とジメチルエチルアミン66g(0.9mol、pKb=3.9)を入れ、140℃で2時間反応させた。べンズアルデヒド1モルに対してジメチルエチルアミン0.5モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でベンズアルデヒドとジメチルエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の3−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物333gを1H−NMRで分析すると3−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の1−フェニル−2−(ピリジン−3−イル)エタノールは310g(1.6mol)、選択率93%、収率86%であった。また、回収した未反応3−メチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例7
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに4−メチルピリジン930g(10mol)に対して195gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド39g(1.3mol)とトリエチルアミン30g(0.3mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.23モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の4−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物155gを1H−NMRで分析すると4−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の4−ピリジンエタノールは152g(1.2mol)、選択率98%、収率95%であった。また、回収した未反応4−メチルピリジンの回収率は99%であった。
実施例8
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに4−メチルピリジン930g(10mol)に対して265gのイオン交換水を加え、さらにアセトアルデヒド53g(1.2mol)とトリエチルアミン6g(0.06mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。アセトアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.05モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でアセトアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の4−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物157gを1H−NMRで分析すると1−(ピリジン−4−イル)プロパン−2−オールであることを確認した。濃縮物中の1−(ピリジン−4−イル)プロパン−2−オールは151g(1.1mol)、選択率96%、収率92%であった。また、回収した未反応4−メチルピリジンの回収率は99%であった。
実施例9
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに4−メチルピリジン930g(10mol)に対して720gのイオン交換水を加え、さらにn−プロピルアルデヒド144g(2.0mol)とトリエチルアミン81g(0.8mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。n−プロピルアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.4モルであった。その反応溶液を70℃、20kPa以下でn−プロピルアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の4−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物285gを1H−NMRで分析すると1−(ピリジン−4イル)ペンタン−2−オールであることを確認した。濃縮物中の1−(ピリジン−4イル)ペンタン−2−オールは271g(1.6mol)、選択率95%、収率82%であった。また、回収した未反応4−メチルピリジンの回収率は99%であった。
実施例10
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2−エチルピリジン1070g(10mol)に対して300gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド60g(2.0mol)とトリエチルアミン81g(0.8mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.4モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2−エチルピリジンを回収した。得られた濃縮物247gを1H−NMRで分析すると3−(ピリジン−2−イル)プロパン−1−オールであることを確認した。濃縮物中の3−(ピリジン−2−イル)プロパン−1−オールは235g(1.7mol)、選択率95%、収率86%であった。また、回収した未反応2−エチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例11
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに3−エチルピリジン1070g(10mol)に対して225gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド45g(1.5mol)とトリエチルアミン69g(0.4mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.27モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の3−エチルピリジンを回収した。得られた濃縮物192gを1H−NMRで分析すると3−(ピリジン−3−イル)プロパン−1−オールであることを確認した。濃縮物中の3−(ピリジン−3−イル)プロパン−1−オールは180g(1.3mol)、選択率94%、収率87%であった。また、回収した未反応3−エチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例12
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに4−エチルピリジン1070g(10mol)に対して195gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド39g(1.3mol)とトリエチルアミン30g(0.3mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させたパラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.23モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の4−エチルピリジンを回収した。得られた濃縮物157gを1H−NMRで分析すると3−(ピリジン−4−イル)プロパン−1−オールであることを確認した。濃縮物中の3−(ピリジン−4−イル)プロパン−1−オールは151g(1.1mol)、選択率96%、収率85%であった。また、回収した未反応4−エチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例13
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2、4−ジメチルピリジン1070g(10mol)に対して330gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド66g(2.2mol)とトリエチルアミン51g(0.5mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.23モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2、4−ジメチルピリジンを回収した。得られた濃縮物330gを1H−NMRで分析すると2,2'−(ピリジン−2,4−ジニル)ジエタノールであることを確認した。濃縮物中の2,2'−(ピリジン−2,4−ジニル)ジエタノールは310g(1.9mol)、選択率94%、収率84%であった。また、回収した未反応2、4−ジメチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例14
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに3、4−ジメチルピリジン1070g(10mol)に対して345gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド69g(2.3mol)とトリエチルアミン51g(0.5mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.4モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の3、4−ジメチルピリジンを回収した。得られた濃縮物327gを1H−NMRで分析すると2,2'−(ピリジン−3,4−ジニル)ジエタノールであることを確認した。濃縮物中の2,2'−(ピリジン−3,4−ジニル)ジエタノールは304g(1.8mol)、選択率93%、収率79%であった。また、回収した未反応3、4−ジメチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例15
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2、4、6−トリメチルピリジン1190g(10mol)に対して525gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド105g(3.5mol)とトリエチルアミン81g(0.8mol、pKb=3.3)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してトリエチルアミン0.23モルであった。その反応溶液を60℃、200Torr以下でパラホルムアルデヒドとトリエチルアミンを取り除き、ついで120℃、20Torr以下で水と未反応の2、4、6−トリメチルピリジンを回収した。得られた濃縮物576gを1H−NMRで分析すると2,2',2''−(ピリジン−2,4,6−トリル)トリエタノールであることを確認した。濃縮物中の2,2',2''−(ピリジン−2,4,6−トリル)トリエタノールジエタノールは530g(2.5mol)、選択率92%、収率72%であった。また、回収した未反応2、4、6−トリメチルピリジンの回収率は98%であった。
実施例16
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2−メチルピリジン930g(10mol)に対して195gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド39g(1.3mol)とフッ化ナトリウム21g(0.5mol、pKb=6.0)を入れ、140℃で2時間反応させた。パラホルムアルデヒド1モルに対してフッ化ナトリウム0.38モルであった。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルムアルデヒドを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2−メチルピリジンを回収した。さらに濾過によりフッ化ナトリウムを取り除いた。得られた濃縮物142gを1H−NMRで分析すると2−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の2−ピリジンエタノールは128g(1.0mol)、選択率90%、収率80%であった。また、回収した未反応2−メチルピリジンの回収率は99%であった。
比較例1
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに2−メチルピリジン930g(10mol)に対して、ホルムアルデヒド180g(6.0mol)を含むホルマリン水溶液270gを入れ、加圧下180℃で20分反応させた。その反応溶液を60℃、25kPa以下でホルアルデヒドを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の2−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物380gを1H−NMRで分析すると2−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の2−ピリジンエタノールは259g(2.1mol)、選択率68%、収率35%であった。また、回収した未反応2−メチルピリジンの回収率は97%であった。
比較例2
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに3−メチルピリジン930g(10mol)に対して225gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド45g(1.5mol)を入れ、加圧下140℃で2時間反応させた。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルアルデヒドを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の3−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物194gを1H−NMRで分析すると3−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の3−ピリジンエタノールは135g(1.1mol)、選択率70%、収率56%であった。また、回収した未反応3−メチルピリジンの回収率は97%であった。
比較例3
ステンレス製の容量3Lのオートクレーブに4−メチルピリジン930g(10mol)に対して71gのイオン交換水を加え、さらにパラホルムアルデヒド144g(4.8mol)を入れ、加圧下160℃で20分間反応させた。その反応溶液を60℃、25kPa以下でパラホルアルデヒドを取り除き、ついで120℃、2kPa以下で水と未反応の4−メチルピリジンを回収した。得られた濃縮物265gを1H−NMRで分析すると4−ピリジンエタノールであることを確認した。濃縮物中の4−ピリジンエタノールは209g(1.7mol)、選択率79%、収率35%であった。また、回収した未反応4−メチルピリジンの回収率は97%であった。
本発明の製造例において、1H−NMRの測定は、下記の方法で行った。
1H−NMRの測定条件 機器:AVANCE300(日本ブルカー株式会社製)、溶媒:重水、周波数:300MHz。
本発明の反応液1〜15及び比較反応液1〜3を使用して1H−NMRを測定した。各成分の物質量(mol)は1H−NMRから算出している。選択率(%)と収率(%)の結果を表1に示した。
選択率(%)=[ピリジンエタノール誘導体(D)のmol /(ピリジンエタノール誘導体(D)のmol+アルデヒド遂次反応物mol+ビニル化物mol)]*100
収率(%)=[生成したピリジンエタノール誘導体(D)mol/仕込んだアルデヒド(C)mol]*100
回収率(%)=[回収したピリジン誘導体(B)重量/(仕込んだピリジン誘導体(B)重量−反応したピリジン誘導体(B)重量)]*100
アルデヒド遂次反応物とはピリジンエタノール誘導体(D)にアルデヒド(C)が遂次反応したものである。例えば4−メチルピリジンにパラホルムアルデヒドを反応させたとき、主成分4−ピリジンエタノールができる。それから主成分にアルデヒドが遂次反応した2−(ピリジン−4−イル)プロパン−1,3−ジオールが副生される。さらにそのジオールにアルデヒドが遂次反応した2−(ヒドロキシメチル)−2−(ピリジン−4−イル)プロパン−1,3−ジオールが副生される。
ビニル化物とはピリジンエタノール誘導体(D)のヒドロキシル基が脱水反応したものである。例えば4−ピリジンエタノールのビニル化物は4−ビニルピリジンである。
Figure 2010270008
上記実施例、比較例から明らかな通り、本発明製造方法によれば、ピリジンエタノール誘導体(D)の選択率、及び収率が大幅に向上する。
本発明の製造方法で製造されるピリジンエタノール誘導体は、医薬、農薬などの合成中間体として有用な化合物であり、また、種々の用途に適用可能なビニルピリジン系ポリマーへと変換できるビニルピリジンの原料としても有用な化合物である。

Claims (7)

  1. 一般式(1)で表されるピリジン誘導体(B)と一般式(2)で表されるアルデヒド(C)を反応して一般式(3)で表されるピリジンエタノール誘導体(D)を製造するピリジンエタノール誘導体の製造方法であって、該反応を塩基(A)の存在下に行うことを特徴とするピリジンエタノール誘導体(D)の製造方法。
    Figure 2010270008
    (式中Rは一般式(4)で表され、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基である。nは1〜5の整数であり、nが2〜5の場合Rは同じでも異なっていてもよい。)
    Figure 2010270008
    (式中Rはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アミド結合を有する基、エステル結合を有する基、エーテル結合を有する基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基である。)
    Figure 2010270008
    (式中Rは一般式(4)における基と同じ基を表す。)
    Figure 2010270008
    (Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アミド結合を有する基、エステル結合を有する基、エーテル結合を有する基、又はこれらの基を有していてもよい炭素数1〜9の1価炭化水素基である。)
  2. 塩基(A)のpKbが9以下である請求項1に記載の製造方法。
  3. 塩基(A)がルイス塩基である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 塩基(A)が3級アミンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. アルデヒド(C)1モルに対して、塩基(A)を0.01〜1モル存在下に反応を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. ピリジン誘導体(B)が、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、及び4−メチルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. アルデヒド(C)がホルムアルデヒドである請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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