JP2010269796A - ガス発生器 - Google Patents
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Abstract
【課題】漸進的に助手席用エアバッグを膨張展開させることを可能にするとともに、小型化、軽量化されたエアバッグとりわけ助手席用エアバッグの為のガス発生器を提供する。
【解決手段】長尺円筒状のハウジング1の内部が、ガス発生剤12が収容されたガス発生室3と、フィルター材7が装着されたフィルター室4とに区画されている。ハウジング1の一方の軸端部に装着された点火手段13に連接した伝火手段30には、伝火剤15が装填されている。ガス発生室3には、ガス発生剤12の発生ガスが流入する複数のガス通過孔21を有する内筒材5で中空空間6が画成されている。内筒材5は伝火手段30側の端部に底部5aが設けられた有底筒形状を有している。中空空間6に滞留させた発生ガスが、オリフィス20を介してフィルター室4に放出される。
【選択図】図3
【解決手段】長尺円筒状のハウジング1の内部が、ガス発生剤12が収容されたガス発生室3と、フィルター材7が装着されたフィルター室4とに区画されている。ハウジング1の一方の軸端部に装着された点火手段13に連接した伝火手段30には、伝火剤15が装填されている。ガス発生室3には、ガス発生剤12の発生ガスが流入する複数のガス通過孔21を有する内筒材5で中空空間6が画成されている。内筒材5は伝火手段30側の端部に底部5aが設けられた有底筒形状を有している。中空空間6に滞留させた発生ガスが、オリフィス20を介してフィルター室4に放出される。
【選択図】図3
Description
本発明は、エアバッグ用のガス発生器に関し、更に詳しくは、助手席用のエアバッグを膨張展開させるために好適なガス発生器に関する。
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するため、瞬時にエアバッグを展開させるためのガス発生器は、インストルメントパネル内等に装着されたエアバッグモジュールに組み込まれている。このガス発生器は、衝突の際に衝突センサからの衝突検出信号により瞬時に多量の高温ガスを発生させるものである。
助手席用のエアバッグを膨張させるためのガス発生器は、運転席用のエアバッグを膨張させるためのガス発生器よりも大量のガスが発生することが要求される。また、このガス発生器を含むエアバッグ装置の収容スペースによりその形状が制限される。
近年、特に、安全性の向上とともに、エアバッグ装置を収容するインストルンメントパネルの意匠の自由度を上げるために、ガス発生器の性能向上に加えて、ガス発生器の小型化、軽量化が望まれるようになっている。
ガス発生器の小型化、軽量化を果たすものとして、従来より側突用のエアバッグ装置に用いられてきたガス発生器がある。この種のガス発生器は、ガス発生室とフィルター室とが区画され、これらが同軸に直列に形成されたものが多く使用されている。
また、助手席側のエアバッグとしては、乗員の安全上、エアバッグは漸進的に膨張するものが好ましい。ところが、これら従来から側突用のエアバッグ装置に用いられてきたガス発生器を、助手席用のガス発生器として使用すると、ガス発生室内のガス発生剤が一気に燃焼してしまい、エアバッグが一気に膨張展開してしまう。そのため、助手席用エアバッグに求められるようなエアバッグの漸進的な膨張が期待できない。
そこで、エアバッグを漸進的に膨張させるようにガス発生剤の組成を調整して、発生するガス量を調整したり、ガス発生室とフィルター室との連結部分のオリフィスの形状を調整したり、ガス発生剤を発火させる点火器を複数設け、ガス発生剤を時間差をもって発火させる等、種々の方法が提案されている。
しかしながら、これら従来の方法では、エアバッグとりわけ助手席用エアバッグへのガス放出量を調整し、エアバッグを漸進的に膨張展開するには十分ではなかった。
本発明は、漸進的に助手席用エアバッグを膨張展開させることを可能にするとともに、小型化、軽量化されたエアバッグとりわけ助手席用エアバッグの為のガス発生器を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載のガス発生器は、両端が閉鎖される長尺円筒状のハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一方の軸端部に装着される点火手段と、前記点火手段に連接し、伝火剤が装填され、複数の伝火孔を有する伝火手段と、を備え、前記ハウジングの内部が、ガス発生剤が収容されたガス発生室と、フィルター材が装着されたフィルター室と、に区画されたガス発生器であって、前記ガス発生室は、前記ガス発生剤の発生ガスが流入する複数のガス通過孔を有する内筒材で中空空間が画成され、前記内筒材は前記伝火手段側の端部に底部が設けられた有底筒形状を有していると共に、前記底部が前記伝火手段から前記ハウジングの軸方向に離隔しており、前記内筒材の径方向外側及び前記底部と前記伝火手段との間にガス発生剤が装填され、前記中空空間は、ガス発生剤の燃焼を制御するオリフィスを介して前記フィルター室に連通しており、前記発生ガスを前記中空空間に滞留させた後、前記フィルター室の軸端から前記オリフィスを通過して前記フィルター室に放出することを特徴とする。ガス発生室に複数のガス通過孔を有する中空空間が画成され、その中空空間の周囲にガス発生剤が装填されている。そして、複数の伝火孔を有する伝火手段からの火炎によって順次燃焼が開始される。このため、ガス発生剤は一気に燃焼することがないため、助手席用エアバッグに求められるようにエアバッグを漸進的に膨張展開することが可能となる。また、ガス発生室で発生したガスは、ガス発生室の全体に拡がって、複数のガス通過孔を通過して、中空空間に流入し、中空空間内に滞留後、フィルター室の軸端全体からフィルター室に流入する。また、発生ガスは、フィルター室内の全体にわたって流れ、ここでスラグ捕集と冷却を経て、清浄なガスとしてガス通過室内に流出される。これで、フィルター室の全体を有効に利用して発生ガスのスラグ捕集と冷却をも十分に行うことができる。
前記中空空間は、前記長尺円筒状のハウジングと同一軸心上に形成され、前記ガス発生室の軸方向の長さの50%以上の長さであることが好ましい。この構成によると、中空空間がハウジングと軸心を同一にする内筒によって形成されているため、中空空間の外周部分にガス発生剤が均等に装填されることになる。また、中空空間が複数のガス通過孔を有するとともに、ガス発生室の軸方向の長さの50%以上、好ましくは60%以上の長さであるため、ガス発生室内に装填されているガス発生剤から発生するガスは、ガス発生室内で滞留することなく、容易に且つ確実に中空空間内に流入するようになる。
前記複数の伝火孔が、前記ハウジングの軸方向に、前記底部と対向していることが好ましい。
前記底部と前記伝火手段との間に装填されたガス発生剤が、前記ハウジングの内周面にまで達するように前記ガス発生室内に収容されていることが好ましい。
ガス発生剤がペレット状であって、前記ガス発生室内にランダムに収容されていることが好ましい。
本発明のガス発生器では、ハウジングをガス発生室とフィルター室とに区画して、さらにガス発生室内にハウジングと軸心を同一にした中空空間を形成し、この中空空間内に、ガス発生剤からのガスが随時流入し、放出されるため、ガス発生器を小型化することができるとともに、エアバッグを漸進的に膨張展開することが可能となる。
1 ハウジング
2 外筒材
3 ガス発生室
4 フィルター室
5 内筒材
6 中空空間
7 フィルター材
13 点火手段
20 オリフィス
21 ガス通過孔
30 伝火手段
2 外筒材
3 ガス発生室
4 フィルター室
5 内筒材
6 中空空間
7 フィルター材
13 点火手段
20 オリフィス
21 ガス通過孔
30 伝火手段
本発明の参考例及び実施形態におけるガス発生器について、図1〜図3を参照して説明する。本発明の参考例及び実施形態におけるガス発生器は、主として助手席用のエアバッグを膨張展開させるもので、1つの点火手段13にてガス発生剤12を燃焼させるものである。
図1に示す参考例としてのガス発生器P1は、ハウジング1と、ハウジング1の一方の軸端部に装着される点火手段13と、この点火手段13に連接する伝火手段30と、ハウジング1をガス発生室3と、フィルター室4とに区画する仕切板19と、ガス発生室3内に中空空間6を画成する内筒5と、この中空空間6の外周に装填されているガス発生剤12とを備えてなる。
ハウジング1は、両端が開口する外筒材2と、外筒材2の一端側を閉鎖する蓋板10と、蓋部材14とで構成されている。このハウジング1は、蓋板10と、蓋部材14とを外筒材2内の各開口側に嵌挿して、内部に密封空間を形成する構造である。そして、ハウジング1は、蓋板10と蓋部材14とを各軸端部として、両端を閉鎖した長尺円筒状にされている。そして、このハウジング1の内部の密封空間は、仕切板19によってガス発生室3とフィルター室4の2室に区画されている。
仕切板19は、段付部を有し、ハウジング1の軸心上にオリフィス20が形成されている。このオリフィス20は、ガス発生室3とフィルター室4を連通可能にしている。仕切板19は、外筒材2の所定位置に、外筒材2を外周側よりかしめて固定された後に溶接している。オリフィス20は、仕切板19に貼着されるバーストプレート20aにより閉鎖されている。バーストプレート20aは、アルミ等の金属箔により形成され、ガス発生室3内の防湿と内圧調整の役割を果たす。
外筒材2のフィルター室4側には、フィルター室4内とエアバッグとを連通する複数のガス放出孔11が形成されている。各ガス放出孔11は、外筒材2の軸方向及び周方向に所定間隔ごとに形成されている。
蓋部材14には、段付き空所S1が形成されている。段付き空所S1は、内径部にネジが形成されてなり、伝火手段30の大径部25に形成されたネジと螺合する。
フィルター材7は、例えば、メリヤス編み金網やクリンプ織り金属線材の集合体によって中空円筒状に成形されている。このフィルター材7は、ハウジング1内の仕切板19で区画されたフィルター室4に挿入され、蓋板10と該仕切板19との間にわたって位置している。そして、フィルター材7は、外筒材2との間で環状のガス通過空間8を形成している。
ガス発生室3は、アルミニウム等の金属製の内筒材5によって画成された中空空間6と、ガス発生剤12が装填された環状空間S2とで構成されている。中空空間6は、内筒材5の一端側が仕切板19に設けられた段付部に嵌合し、他端側が蓋部材14に設けられた伝火手段30の大径部25に嵌合されて形成されている。また、内筒材5は、内筒材5内部の中空空間6と外筒材2との間の空間とを連通する複数のガス通過孔21が形成されている。各ガス通過孔21は、内筒材5の軸方向及び周方向に所定間隔ごとに形成されている。そして、この中空空間6は、ガス発生室3と同一軸上に形成され、ガス発生室3の軸方向の長さの50%以上、本参考例においては、約90%の長さで形成されている。このため、環状空間S2で発生したガスが、効率よく中空空間6内に流入するようになる。
中空空間6内に延在する伝火手段30は、図1に示すように、圧力燃焼室26と、中空空間6内をハウジング1の軸心と同心として軸方向に延びるノズル17とで構成されている。
図1に示すように、ノズル17は、ハウジング1の軸心と同心にして中空空間6内を軸方向へ延在されている。ノズル17の圧力燃焼室26側は、破裂プレート27に当接しており、該プレート27の破裂によって圧力燃焼室26内に連通可能にされている。また、ノズル17の内径は、圧力燃焼室26の内径より小さい寸法とされ、伝火ノズル4の延在長さLは、中空空間6内の任意の長さ寸法にされている。好ましくは、中空空間6内の1/3以上の長さに設定することが好ましい。これによってガス発生剤12を漸進的に燃焼させることが可能となる。さらに、ノズル17には、複数の伝火孔18が形成されている。各伝火孔18は、ノズル17の軸方向及び周方向にわたって配置され、該ノズル17内を中空空間6内に連通している。また、各伝火孔18は、圧力燃焼室26の近傍で孔間ピッチを小さくし、該圧力燃焼室26から離れるにつれて孔間ピッチが大きくなるように形成されている。これら各伝火孔18は、ノズル17の外周に貼着される破裂プレート28により閉鎖されている。破裂プレート28は、アルミニウム等の金属箔により形成され、ノズル17内を中空空間6内から密封している。
図1に示すように、ガス発生室3の環状空間S2に装填されるガス発生剤12は、燃焼により高温ガスを発生させるもので、ハウジング1のガス発生室3内の軸方向にわたって装填されている。
伝火手段30に連接している点火手段13は、図1に示すように、例えば、通電により発火する点火器(以下「点火器13」という。)のみで構成され、圧力燃焼室26の内側から蓋部材14に装着されている。この点火器13は、圧力燃焼室26内に突出されており、衝突センサからの衝突検出信号に基づいて通電発火されて、火炎を圧力燃焼室26内に噴出する。
圧力燃焼室26内には、第1伝火剤15が、点火器13の先端側を覆う状態で圧力燃焼室26内に装填されている。この第1伝火剤15は、点火器13の発火による火炎で着火燃焼され、着火燃焼により発熱し、高温ガスを発生させる組成を含有するものである。第1の伝火剤15としては、燃焼による発熱量が3500J/g以上、燃焼により発生するガスのモル数が0.5mol/100g以上となるように、5−アミノテトラゾール、ボロン微粉末、三酸化モリブデン、硝酸カリウムを所定量ずつ配合したものを使用することが好ましい。
また、図1に示すように、第2伝火剤16は、ノズル17内の軸方向にわたって装填されている。この第2伝火剤16は、第1伝火剤15の燃焼熱によって着火燃焼され、着火燃焼により発熱する組成を有するものである。第2伝火剤16としては、第1伝火剤15と同様に、発熱量が3500J/g以上、燃焼により発生するガスのモル数が0.5mol/100g以上となるように、5−アミノテトラゾール、ボロン微粉末、三酸化モリブデン、硝酸カリウムを所定量ずつ配合したものを使用することが好ましい。
なお、この第1伝火剤15と第2伝火剤16は、同一組成のものを使用することも可能である。また、その組成を適宜調整することもできる。例えば、第1伝火剤15を、着火燃焼により発熱する組成を含有するものとし、第2伝火剤16を、着火燃焼により発熱し、高温ガスを発生させる組成を有するものとしてもよい。また、第1及び第2伝火剤15,16の両方を、着火燃焼により発熱し、高温ガスを発生させる組成を有するものも採用することができる。
次に、ガス発生器P1の作動について、図1により説明する。
衝突センサが自動車の衝突を検出すると、図1に示すように、ガス発生器P1の点火器13を通電発火させる。点火器13の発火による火炎は、圧力燃焼室26内に噴出され、第1伝火剤15を着火燃焼させる。この第1伝火剤15の燃焼によって、圧力燃焼室26内には、火炎等の熱及び高温ガスが発生し、これらの熱エネルギーにて第1伝火剤15をノズル17側へ瞬時に燃焼させる。第1伝火剤15の燃焼が進んで、圧力燃焼室26内が所定圧力になると、破裂プレート27が破裂して、圧力燃焼室26内をノズル17内に連通させる。
圧力燃焼室26内に発生した熱、及び高温ガスは、ノズル17内に伝播、流入して、ノズル17の開口側にある第2伝火剤16を着火燃焼させる。このとき、ノズル17の内径を圧力燃焼室26より小さい寸法としているので、圧力燃焼室26内で発生した熱、及び高温ガスは、ノズル17の開口側に絞られる状態で集中され、瞬時に第2伝火剤16を着火燃焼させる。
この第2伝火剤16の着火燃焼によって、ノズル17内には火炎等の熱が発生し、この熱で第2伝火剤16をノズル17の軸方向へ瞬時に燃焼させる。そして、第2伝火剤16の燃焼によって、破裂プレート28が破裂し、ノズル17の各伝火孔18を中空空間6内に開口させる。これら各伝火孔18は、第2伝火剤16の軸方向への燃焼によって順次開口され、ノズル17内で発生した火炎等の熱を順次、中間空間6内に噴出させる。また、この火炎等の熱は、図1に示す如く、ノズル17の周方向にわたって中間空間6内に噴出される。そして、中間空間6内に噴出された火炎等の熱は、内筒材5に形成されたガス通過孔21から環状空間S2に噴出する。内筒材5のガス通過孔21から順次噴出される火炎等の熱によって、環状空間S2に装填されているガス発生剤12が順次着火燃焼される。ここで、中空空間6が、ガス発生室3の略全長(ガス発生室3の軸方向の長さの90%以上)にわたって形成されているため、環状空間S2内に装填されているガス発生剤12が効率良く燃焼する。そして、ガス発生剤12の着火燃焼によって、発生した多量の高温ガスは、再度内筒材5に形成されたガス通過孔21を通過して中空空間6内に放出される。ここで、中空空間6が、ガス発生室3の略全長にわたって形成されているため、環状空間S2で発生した高温ガスが効率良く中空空間6内に流入する。中空空間6内に流入したガスによって、ガス発生室3内の圧力が所定圧力に達すると、仕切板19に設けられたバーストプレート20aが破裂する。そして、ガスは、オリフィス20を通過してフィルター室4内に流入する。
また、圧力燃焼室26からノズル17内に流入した高温ガスは、圧力燃焼室26近傍の各伝火孔18から中間空間6内に逃がされる。これは、伝火孔18を、圧力燃焼室26近傍に対して孔間ピッチを小さくして多数形成することにより、高温ガスをノズル17内にこもらせることなく、素早く中間空間6内に流出させる構造としたからである。これにより、圧力燃焼室26内で発生する高温ガスの圧力等によってノズル17が破損等を起こすことを防止できる。
フィルター室4内に流入した高温ガスは、フィルター室4のフィルター材7の中空部を経て、フィルター材7内に軸方向全域から流入し、ここでスラグ捕集と冷却を経て、ガス通過空間8内に流出される。そして、清浄化されたガスは、各ガス放出孔11を通してエアバッグ内に放出される。エアバッグは、各ガス放出孔11から放出される清浄なガスにより急速に膨張展開される。
このように、ガス発生器P1によれば、点火器13の発火による火炎を、第1及び第2伝火剤15,16によってハウジング1内の軸方向へ伝播し、ノズル17の各伝火孔18から火炎等の熱を中間空間6内に噴出させ、中間空間6の外周に装填されているガス発生剤12を順次燃焼させる。そして、ガス発生剤12の燃焼により発生したガスを、オリフィス20を通過させてフィルター室4に放出するようにしたため、オリフィス20によって放出されるガスの圧力を制御することが可能になる。また、中空空間6を形成し、その外周に形成される環状空間S2にガス発生剤12を装填するようにしたため、所定量のガス発生剤12を装填する場合であっても、ハウジング1の径を小さくすることができ、ガス発生器の小型化、軽量化が可能となる。さらに、ガス発生剤12が順次燃焼していくため、発生するガス発生量が漸進的に多くなり、エアバッグを漸進的に膨張展開することができる。また、フィルター材7には、軸中心に沿って中空部が設けられているため、ガス発生室3にて発生したガスをフィルター材7の軸方向全域にわたって導入するととができる。
次に、図2に示すガス発生器P2について説明する。なお、図2において、図1と同一符号は同一部材を示す。
図2のガス発生器P2は、伝火手段30が、中空空間6を形成する内筒材5と同一径の筒状形状をしたものである。図2に示すように、本参考例に係るガス発生器は、内筒材5の内部が仕切部22によって中空空間6と伝火剤室6aとに画成されている。伝火剤室6aには、伝火剤15が装填されている。伝火剤室6aを構成している内筒材5の外周には、複数の伝火孔18が形成されている。各伝火孔18は、内筒材5の軸方向及び周方向にわたって配置され、環状空間S2に連通している。これら各伝火孔18は、内筒材5の外周に貼着される破裂プレート28により閉鎖されている。破裂プレート28は、アルミニウム等の金属箔により形成され、伝火剤室6a内部をガス発生室3から密封している。したがって、点火器13が点火し、伝火剤15が発火した場合、各伝火孔18近傍のガス発生剤12からフィルター室4側のガス発生剤12へ順次燃焼していくことになる。このため、ガス発生剤12から発生するガス量が漸進的に増加する。ここで、仕切部22によって、区画される中空空間6の長さL1 は、ガス発生室3の軸方向の長さL2 の50%以上、好ましくは60%以上であることが好ましい。これによって、伝火手段30に装填された伝火剤15によって発生する火炎等によって、ガス発生剤12が確実に燃焼する。加えて、環状空間S2で発生した高温ガスが効率良くこの中空空間6内に流入する。また、内筒材5は、蓋部材14側の一端にホルダー29が嵌合され、ホルダー29が、蓋部材14に形成された段付空所S1に螺合されて固定されている。
このように、ガス発生器P2は、中空空間6を画成する内筒材5内を仕切部22によって区画することによって、同一の内筒材5で、中空空間6と伝火剤15を装填できる伝火手段30を形成することができる。このため、燃焼特性を低めることなくガス発生器を小型化することができる。また、中空空間6の長さL1を調整することで、ガス発生量を漸進的に増加させることが可能となる。
また、本発明に係るガス発生器は、例えば、図3に示す構造とすることもできる。図3において、図1及び図2と同一部材は同一符号を示す。図3のガス発生器P3は、図2に示すガス発生器P2と異なり、内筒材5と伝火手段30とが別部材で形成されたものである。このガス発生器P3のガス発生室3は、有底の内筒材5によって画成された中空空間6と、この内筒材5の外周に形成された環状空間S2と、内筒材5の底部5aと伝火手段30との間の空間S3とで構成されている。この内筒材5の開口端は、仕切板19に設けられた段付部に嵌合している。ガス発生剤12は、環状空間S2と空間S3に装填されている。そして、内筒材5によって画成された中空空間6の長さL1 は、ガス発生室3の軸方向の長さL2 の50%以上、好ましくは60%以上であることが好ましい。これによって前述のガス発生器P1、P2と同様に、ガス発生剤12の燃焼による高温ガスが効率良く中空空間6内に流入する。
このガス発生器P3では、伝火手段30の火炎が、伝火手段30近傍に位置するガス発生剤12に伝播し、フィルター室4側に位置するガス発生剤12が順次燃焼していく。発生したガスは、順次中空空間6に流入して、フィルター室4を通過して放出される。
そして、ガス発生器P1〜P3では、アジ化金属化合物を含有するガス発生剤の他に、含窒素有機化合物を含有するガス発生剤を採用できる。上述の如く、各ガス発生器P1〜P3では、アジ化金属化合物系ガス発生剤より着火性能の劣る含窒素有機化合物系ガス発生剤を採用しても、安定して着火燃焼させれる。なお、含窒素有機化合物を含有するガス発生剤としては、テトラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、アミド系化合物、グアニジン系化合物等の含窒素有機化合物を燃焼成分とするものを用いることができる。また、ガス発生剤は、ペレット状のものに限定されるものではなく、ディスク状や、顆粒状、中空円柱状のものであってもよい。
なお、本発明の参考例及び実施形態におけるガス発生器P1〜P3では、図1〜図3に示すものに限定されず、例えば、次のような形態をとることができる。
(1)フィルター室4の左右両側にガス発生室3を形成し、複数の点火手段13を設けた構成も採用できる。この場合、ガス発生室3の構成は、前述のガス発生器P1〜P3のガス発生器のガス発生室3のいずれの構成であってもよい。また、この場合、フィルター室4は1室として、フィルター材7は左右両側のガス発生室3の共用としてもよい。また、フィルター室4を仕切板等によって区画し、各々のガス発生室3専用としてもよい。
(2)ガス発生剤12の燃焼をガス放出孔11で調整するようにしてもよい。また、ガス放出孔11には、ガス発生器の内圧を調整及び/又は防湿のために金属や樹脂等からなるシールテープやプレートを設けることもできる。
(1)フィルター室4の左右両側にガス発生室3を形成し、複数の点火手段13を設けた構成も採用できる。この場合、ガス発生室3の構成は、前述のガス発生器P1〜P3のガス発生器のガス発生室3のいずれの構成であってもよい。また、この場合、フィルター室4は1室として、フィルター材7は左右両側のガス発生室3の共用としてもよい。また、フィルター室4を仕切板等によって区画し、各々のガス発生室3専用としてもよい。
(2)ガス発生剤12の燃焼をガス放出孔11で調整するようにしてもよい。また、ガス放出孔11には、ガス発生器の内圧を調整及び/又は防湿のために金属や樹脂等からなるシールテープやプレートを設けることもできる。
Claims (5)
- 両端が閉鎖される長尺円筒状のハウジングと、
前記ハウジングの少なくとも一方の軸端部に装着される点火手段と、
前記点火手段に連接し、伝火剤が装填され、複数の伝火孔を有する伝火手段と、を備え、
前記ハウジングの内部が、ガス発生剤が収容されたガス発生室と、フィルター材が装着されたフィルター室と、に区画されたガス発生器であって、
前記ガス発生室は、前記ガス発生剤の発生ガスが流入する複数のガス通過孔を有する内筒材で中空空間が画成され、
前記内筒材は前記伝火手段側の端部に底部が設けられた有底筒形状を有していると共に、前記底部が前記伝火手段から前記ハウジングの軸方向に離隔しており、
前記内筒材の径方向外側及び前記底部と前記伝火手段との間にガス発生剤が装填され、
前記中空空間は、ガス発生剤の燃焼を制御するオリフィスを介して前記フィルター室に連通しており、
前記発生ガスを前記中空空間に滞留させた後、前記フィルター室の軸端から前記オリフィスを通過して前記フィルター室に放出することを特徴とするガス発生器。 - 前記中空空間は、前記長尺円筒状のハウジングと同一軸心上に形成され、前記ガス発生室の軸方向の長さの50%以上の長さである請求項1に記載のガス発生器。
- 前記複数の伝火孔が、前記ハウジングの軸方向に、前記底部と対向している請求項1に記載のガス発生器。
- 前記底部と前記伝火手段との間に装填されたガス発生剤が、前記ハウジングの内周面にまで達するように前記ガス発生室内に収容されている請求項1に記載のガス発生器。
- ガス発生剤がペレット状であって、前記ガス発生室内にランダムに収容されている請求項1に記載のガス発生器。
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