JP2010268916A - 前眼部観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】角膜内皮の状態を詳細に観察できる前眼部観察装置を提供する。
【解決手段】前眼部観察装置100は、フルフィールドタイプのOCTを利用して、被検眼の前眼部の3次元画像を形成する。画像領域特定部242は、この3次元画像を解析して、前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する。異常判定部246は、この角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析し、角膜内皮の異常として、角膜内皮の境界面や角膜内の層や角膜内皮細胞の異常を判定する。記憶部244は異常の判定結果を記憶し、異常判定部246は、被検眼についての新たな異常の判定結果と記憶部244に記憶された過去の判定結果とを比較して角膜内皮の経時変化情報を求める。記憶部244は疾患情報245を予め記憶し、異常判定部246は、疾患情報245に基づいて異常の判定結果に対応する疾患名を特定する。
【選択図】図2

Description

この発明は、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography)を用いて被検眼の前眼部の画像を形成する前眼部観察装置に関する。
近年、光を用いて被測定物体の表面や内部の画像を形成する光画像計測技術が注目を集めている。光画像計測技術は、従来からのX線CTのような人体への侵襲性を持たないことから、特に医療分野において応用の展開が期待されている。なかでも、眼科分野における応用は、歯科や皮膚科と並んで進展が著しい。
光画像計測技術の代表的な手法として、光コヒーレンストモグラフィ(光干渉断層画像化法:OCT)と呼ばれる手法がある。この手法によれば、干渉計を用いているために、高分解能で高感度の計測が可能となる。また、広帯域の微弱な光を照明光として用いることから、被検体に対する安全性が高いという利点もある。
OCTを利用した装置(OCT装置)としては、たとえば特許文献1に記載されたものがある。このOCT装置は、角膜を経由した光(信号光)と参照物体を経由した光(参照光)とを重畳させて干渉光を生成し、この干渉光の検出結果に基づいて角膜の画像を形成する。これにより得られる画像は、信号光の進行方向に対して略直交する断面の画像である。このような手法は、フルフィールド(full−field)タイプ或いはエンフェイス(en−face)タイプなどと呼ばれる。
フルフィールドタイプのOCT装置は、高倍率かつ高分解能の画像を取得できるという特徴がある。これを前眼部観察に適用すると、たとえば角膜の微細構造(細胞等)を観察することが可能である。なお、角膜は、表面側から順に、角膜上皮、ボーマン層(ボーマン膜)、角膜実質層、デスメ膜及び角膜内皮からなる5層構造を有する。
角膜の微細構造を観察可能な他の装置としては、スリットランプ(細隙灯顕微鏡)やスペキュラーマイクロスコープが知られている。
スリットランプは、たとえば特許文献2に示すように、スリット光を角膜に照射して角膜の一部を光切片として切り取ることにより、角膜断面の画像を取得する装置であり、角膜各部の観察や病変の観察のほか、角膜内皮細胞の観察にも用いられる。
スペキュラーマイクロスコープは、たとえば特許文献3に示すように、スリットランプから派生した装置であり、スリットランプよりも高倍率でスリット光の正反射像を観察するための光学系を備え、角膜内皮の観察に適している。臨床現場では、スペキュラーマイクロスコープは、角膜内皮細胞の密度、大きさ、大きさのばらつきなどの測定に用いられている。
ここで、角膜(特に角膜内皮及びその近傍部位)について説明する。角膜は、角膜内皮細胞のポンプ機能、すなわち角膜内の水分を前房に排出する機能などにより水分量を調整することで透明性を維持している。
しかし、角膜内皮細胞は生体内では再生されず、傷病などで損失した細胞は周辺の細胞が変形、拡大することで補完されるため、角膜内皮細胞の数は加齢によって徐々に減少することが知られている。水疱性角膜症などでは、通常2500〜3000個/mm程度の細胞密度が減少してポンプ機能が弱化し、角膜浮腫を生じて混濁してしまう。細胞密度が1000個/mm未満となると浮腫が生じやすくなり、500個/mm未満となると混濁が生じやすくなることが知られている。角膜に混濁が生じると、角膜移植しか対処法がないのが現状である。また、角膜内皮細胞は元来六角形状であるが、細胞の損失に伴う変形、拡大により六角形状の細胞の数も減っていくことが知られている。
更に、コンタクトレンズの装用により角膜内皮細胞の減少が加速する場合があることも知られている。このように、角膜の診療においては、角膜内皮細胞の経時的な観察が非常に重要である。
また、角膜内皮の疾患については、その前後の部位の状態の観察も重要である。たとえば、角膜内皮の前面に位置するデスメ膜は、電子顕微鏡での所見では、前後方向(深度方向)に電子密度の高い線状のABZ(Anterior Banded Zone)と、均質な電子密度を持つPNBZ(Posterior Non−Banded Zone)とに分けられる。ABZの厚さは生涯を通じてほぼ一定(3μm程度)である。また、角膜内皮によって産生されるPNBZによってデスメ膜の厚さが変化することが知られており(60歳で6μm程度に増加)、デスメ膜の状態を観察することで、疾患が先天性か後天性か判断することができる。
また、角膜内皮の後面においては、角膜内皮細胞に対する移植片の拒絶反応や、角膜内皮炎などで見られる特異的な沈着物の付着が観察されることがある。沈着物については、その種類が特定できれば患者への負担が軽い非侵襲(又は低侵襲)な生体検査を採用できる。一般に、疾患の原因特定は、治療において極めて重要である。
また、滴状角膜では、デスメ膜と角膜内皮細胞との間に、PCL(Posterior Collagenous Layer)と呼ばれるコラーゲン様の物質が局所的に蓄積し、角膜後面に疣状の突起として観察される。
特開2009−22502号公報 特開2008−259544号公報 特開平7−79923号公報
上記のように、多くの疾患で疣状、線状、地図状等の形状の隆起物が観察されることが知られているが、スペキュラーマイクロスコープでは、スリット光の正反射像を観察することから、デスメ膜の皺襞や滴状角膜のような3次元的な構造異常が存在する場合には正反射光(照明光と異なる方向に反射される光)を検出できないことがある。そうすると、検出されなかった部分が黒く抜けた(つまり情報が無い)画像が得られてしまう。そのため、現状では、検出可能な部分の画像に描写された細胞の状態と、黒く抜けた部分の大きさや分布とを観察できるだけである。スリットランプについても、照明光と異なる方向に反射された光を検出するので、同様の問題が生じる。
また、スペキュラーマイクロスコープやスリットランプでは、照明光と異なる方向に反射された光を検出する構成なので、深度方向の異なる位置(異なる深度位置)に存在する部位が、深度方向に直交する方向(水平方向)にずれて観察されるという問題もある。また、反射光の光量は反射面前後の屈折率の差に比例するので、反射光の光量が小さくなって画像が不明瞭になることがある。
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、前眼部、特に角膜内皮及びその近傍部位の状態の詳細な観察を可能にする前眼部観察装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光ビームを信号光と参照光とに分割し、被検眼の前眼部を経由した前記信号光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、前記参照光の光路長及び/又は前記信号光の光路長を変更する変更手段と、前記変更手段により前記光路長を変更しつつ前記光学系により検出された前記干渉光に基づいて前記前眼部の3次元画像を形成する形成手段と、前記形成された3次元画像を解析して、前記前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する特定手段と、前記特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して、前記角膜内皮の異常を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする前眼部観察装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前眼部観察装置であって、前記特定手段は、前記3次元画像の所定の断面における断層像を解析して、前記角膜内皮領域の特定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の前眼部観察装置であって、前記特定手段は、前記3次元画像に基づいて、前記前眼部に対する前記信号光の入射方向に平行な断面における断層像を形成する断層像形成手段を含み、該形成された断層像を構成する画素の画素値を解析して前記角膜内皮領域の特定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の前眼部観察装置であって、前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記角膜内皮の境界面に対応する前記断層像中の境界領域を特定する境界領域特定手段を含み、該特定された境界領域の形状に基づいて前記異常の判定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の前眼部観察装置であって、前記判定手段は、前記境界領域を構成する画素の配列を解析して、前記境界面における凹凸を検出する凹凸検出手段を含み、前記検出された凹凸に基づいて前記異常の判定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の前眼部観察装置であって、前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記前眼部の所定の層に対応する前記断層像中の層領域を特定する層領域特定手段を含み、該特定された層領域の厚さを求め、前記厚さに基づいて前記異常の判定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載の前眼部観察装置であって、前記角膜内皮の異常が存在すると判定されたときに、前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記前眼部のデスメ膜のPNBZ層に対応する前記断層像中の画像領域を特定し、該特定された画像領域の厚さを求め、前記求められた厚さに基づいて当該異常が先天性か後天性かを判定する、ことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の前眼部観察装置であって、前記特定手段は、前記3次元画像に基づいて、前記前眼部に対する前記信号光の入射方向に直交する断面における断層像を形成する断層像形成手段を含み、該形成された断層像を構成する画素の画素値を解析して前記角膜内皮領域の特定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の前眼部観察装置であって、前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記角膜内皮を構成する角膜内皮細胞に対応する前記角膜内皮領域中の複数の細胞領域を特定する細胞領域特定手段と、該特定された複数の細胞領域に基づいて前記角膜内皮細胞の状態の評価情報を求める評価手段とを含み、前記求められた評価情報に基づいて前記異常の判定を行う、ことを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の前眼部観察装置であって、前記評価手段は、前記評価情報として、細胞密度、最大細胞面積、最小細胞面積、平均細胞面積、面積標準偏差、細胞面積の変動係数、六角形状の細胞領域の出現率、及び、細胞面積のヒストグラムのうちの少なくとも一つを求める、ことを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の前眼部観察装置であって、前記判定手段は、前記角膜内皮の異常の判定結果を記憶する記憶手段を含み、当該被検眼についての新たな異常の判定結果と前記記憶された過去の判定結果とを比較し、当該比較結果に基づいて前記角膜内皮の経時変化情報を求める、ことを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の前眼部観察装置であって、前記判定手段は、疾患名と角膜内皮の異常とを対応付ける疾患情報を予め記憶する記憶手段を含み、前記疾患情報に基づいて前記角膜内皮の異常の判定結果に対応する疾患名を特定する、ことを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、光ビームを信号光と参照光とに分割し、被検眼の前眼部を経由した前記信号光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、前記参照光の光路長及び/又は前記信号光の光路長を変更する変更手段と、前記変更手段により前記光路長を変更しつつ前記光学系により検出された前記干渉光に基づいて前記前眼部の3次元画像を形成する形成手段と、前記形成された3次元画像の複数の断面のそれぞれにおける断層像を解析して、前記前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する特定手段と、前記複数の断層像のそれぞれについて、前記特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して前記角膜内皮の異常を判定する判定手段と、前記複数の断層像のうち前記異常と判定された断層像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする前眼部観察装置である。
この発明に係る前眼部観察装置は、参照光や信号光の光路長を変更しつつ計測を行って前眼部の3次元画像を形成するもので、フルフィールドタイプのOCTを利用したものである。更に、この発明に係る前眼部観察装置は、形成された3次元画像を解析して角膜内皮領域を特定し、この角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して角膜内皮の異常を判定する。
この発明によれば、フルフィールドタイプのOCTを利用しているので、スペキュラーマイクロスコープ等のような正反射光に関する問題がなく、したがって画像の一部が黒く抜けてしまうという不都合がない。また、この発明によれば、スペキュラーマイクロスコープ等と異なり、照明光の照射方向と逆方向に進む反射光を検出する構成なので、異なる深度位置に存在する部位が水平方向にずれて観察されるという不都合がない。更に、この発明によれば、前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して角膜内皮の異常判定を行うようになっているので、角膜内皮の異常を自動で判定でき、前眼部観察の確度や効率の向上を図ることが可能である。したがって、この発明によれば、被検眼の前眼部、特に角膜内皮及びその近傍部位の状態の詳細な観察が可能である。
また、この発明に係る前眼部観察装置は、フルフィールドタイプのOCTを利用して形成された前眼部の3次元画像の複数の断面のそれぞれにおける断層像を解析して角膜内皮領域を特定し、各断層像について、角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して角膜内皮の異常を判定し、更に、複数の断層像のうち異常と判定された断層像を表示するように構成されている。
この発明によれば、正反射光に関する問題によって画像の一部が黒く抜けてしまうという不都合がなく、異なる深度位置に存在する部位が水平方向にずれて観察されるという不都合がない。更に、複数の断層像について角膜内皮の異常判定を行い、異常と判定された断層像を表示するように構成されているので、検者は、異常が存在すると判定された部位を重点的に観察でき、それにより、前眼部観察の確度や効率の向上を図ることが可能である。したがって、この発明によれば、被検眼の前眼部、特に角膜内皮及びその近傍部位の状態の詳細な観察が可能である。
この発明に係る前眼部観察装置の実施の形態の全体構成の一例を表す概略図である。 この発明に係る前眼部観察装置の実施の形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。 この発明に係る前眼部観察装置の実施の形態の制御系の構成の一例を表す概略図である。 この発明に係る前眼部観察装置の実施の形態を説明するための概略図である。
この発明に係る前眼部観察装置の実施形態の一例を説明する。この前眼部観察装置は、被検眼の前眼部を細胞レベルの分解能で観察するために使用される。特に、この前眼部観察装置は、角膜内皮及びその近傍部位(デスメ膜、前房など)の観察に用いられる。この近傍部位としては、角膜内皮を診療するために必要な範囲を適宜に設定可能である。
なお、前眼部とは角膜から水晶体前面までの間の部位を表す。ただし、前眼部観察装置は、後述のように参照鏡を移動させることで、水晶体前面よりも後方の部位(後眼部)の画像を取得することも可能である。
[構成]
この実施形態に係る前眼部観察装置の構成の一例を図1に示す。前眼部観察装置100は、特許文献1に記載の装置と同様のフルフィールドタイプのOCT装置である。
フルフィールドタイプのOCT装置は、所定のビーム径を有する信号光を角膜に照射し、角膜を経由した信号光と参照光とを干渉させて得られる干渉光を2次元光センサアレイで検出することにより、信号光のビーム径に応じた角膜の領域の2次元画像を取得する装置である。
フルフィールド型のOCT装置は、OCT装置以外の前眼部観察装置(スリットランプ、スペキュラーマイクロスコープなど)や、他タイプのOCT装置(タイムドメイン型、フーリエドメイン型、スウェプトソース型など)と比較して高い分解能を有する。
被検眼Eは、計測に適した状態で配設される。たとえば、被検眼Eが生体眼である場合、境界での屈折率の変化を小さくするためのゼリーや液体などを被検眼Eに適用することができる。また、同様の作用を有するアタッチメントを生体眼に装着して計測を行うようにしてもよい。他方、被検眼Eが摘出眼である場合には、境界における屈折率の変化を小さくするために被検眼Eを液浸状態で配設することができる。
前眼部観察装置100は光源ユニット1を備えている。光源ユニット1は、無偏光の広帯域光Mを出力する。なお、図示は省略するが、光源ユニット1は、ハロゲンランプとともに、ハロゲンランプから出力された光を導光する光ファイババンドルや、出力光の照射野を一様に照明するためのケーラー照明光学系などを含んで構成される。光源ユニット1から出力される無偏光の広帯域光Mは、所定のビーム径を有している。
なお、光源はハロゲンランプには限定されず、無偏光の広帯域光を出力する任意の光源であってよい。たとえば、キセノンランプ等の任意の熱光源(黒体輻射に基づく光源)を適用できる。また、光源は、ランダム偏光の広帯域光を出力するレーザ光源であってもよい。ここで、無偏光とは、直線偏光の光と円偏光の光と楕円偏光の光とを含む偏光状態を意味する。また、ランダム偏光とは、互いに直交する2つの直線偏光成分を有し、各直線偏光成分のパワーが時間的にランダムに変化する偏光状態を意味する(たとえば特開平7−92656号公報参照)。以下、無偏光の場合についてのみ詳しく説明するが、ランダム偏光の場合も同様の構成で同様の作用効果を得ることができる。
さて、光源ユニット1から出力された広帯域光Mは、様々な帯域の光を含んでいる。フィルタ2は、無偏光の広帯域光Mの所定帯域のみを透過させるフィルタである。透過させる帯域は、分解能や計測深度等によって決定され、たとえば中心波長760nm程度で100nm程度の波長幅の帯域に設定される。この場合、被検眼Eの深度方向(図1に示すz方向)及びそれに直交する方向(水平方向)について、それぞれ2μm程度の分解能の画像を取得できる。なお、フィルタ2を透過した光を同じく広帯域光Mと呼ぶことにする。また、この明細書において、−z方向を前方向と、+z方向を後方向とそれぞれ称することがある。
フィルタ2を透過した無偏光の広帯域光Mは、ハーフミラー等のビームスプリッタ3によって二分割される。すなわち、ビームスプリッタ3による反射光は信号光Sを形成し、ビームスプリッタ3を透過した光は参照光Rを形成する。
信号光Sは、無偏光状態を保ったまま対物レンズ11により被検眼Eに合焦される。信号光Sは、所定のビーム径で角膜Ecに照射される。このとき、被検眼Eに対する信号光LSの入射方向は、+z方向(深度方向)である。被検眼Eに照射された信号光LSは、被検眼Eの表面や内部にて反射、散乱される。この反射光や散乱光は、対物レンズ11を経由してビームスプリッタ3に戻ってくる。
一方、ビームスプリッタ3により生成された無偏光の参照光Rは、波長板(λ/4板)4と偏光板5を通過し、反射ミラー6にて反射される。更に、参照光Rは、ガラス板7を通過し、対物レンズ8によって参照鏡9の反射面に合焦される。参照鏡9により反射された参照光Rは、同じ光路を逆向きに経由してビームスプリッタ3に戻ってくる。
このとき、当初は無偏光であった参照光Rは、波長板4と偏光板5を二回経由することにより円偏光に変換される。ガラス板7は、信号光Sの光路及び参照光Rの光路(干渉計の両アーム)にて発生する分散の影響を最小にする分散補正光学素子である。
参照鏡9は、参照鏡移動機構10によって参照光Rの進行方向、すなわち参照鏡9の反射面に直交する方向(図1の両側矢印方向)に移動可能とされている。参照鏡移動機構10は、たとえばピエゾ素子やパルスモータ等の駆動手段を含んで構成される。
このように参照鏡9を移動させることにより参照光Rの光路長(参照光路長)が変更される。参照光路長は、ビームスプリッタ3と参照鏡9との間の往復距離である。参照光路長を変更することにより、角膜Ecの様々な深度位置の画像を選択的に取得することができる。すなわち、干渉光Lは、信号光Sの光路長(信号光路長)が参照光路長と等しくなる角膜Ecの深度位置の部位の形態情報を含み、この干渉光Lを検出して当該深度位置における画像が形成される。参照鏡移動機構10は、この発明の「変更手段」の一例である。
なお、この実施形態では、参照光路長を変更するようになっているが、信号光路長を変更するように構成することもできる。その場合、装置光学系と被検眼Eとの間隔を変更可能な機構を設ける。この機構の例としては、装置光学系をz方向に移動させるステージや、被検眼Eをz方向に移動させるステージなどがある。また、参照光路長と信号光路長の双方を変更可能な構成を適用することも可能である。
被検眼Eを経由した信号光Sと、参照鏡9を経由した参照光Rは、ビームスプリッタ3により重畳されて干渉光Lを生成する。干渉光LはS偏光成分とP偏光成分とを含んでいる。光源ユニット1、ビームスプリッタ3、対物レンズ8、参照鏡9、対物レンズ11等
を含む干渉計と、CCD16、17とは、この発明の「光学系」の一例を構成している。
ビームスプリッタ3によって生成された干渉光Lは、開口絞り12を経由し、結像レンズ(群)13によって集束光となる。集束光となった干渉光LのS偏光成分L1は、偏光ビームスプリッタ14により反射されてCCD(イメージセンサ)16により検出される。一方、干渉光LのP偏光成分L2は、偏光ビームスプリッタ14を透過し、反射ミラー15により反射されてCCD(イメージセンサ)17により検出される。
各CCD16、17は、2次元の受光面を有している。S偏光成分L1とP偏光成分L2は、それぞれ、所定のビーム径を持ってCCD16、17の受光面に照射される。
S偏光成分L1を検出したCCD16は、検出信号をコンピュータ20に送る。同様に、P偏光成分L2を検出したCCD17は、検出信号をコンピュータ20に送る。
なお、干渉光Lの元になる参照光Rは円偏光であり信号光Sは無偏光であるから、S偏光成分L1とP偏光成分L2は90度(π/2)の位相差を有している。したがって、CCD16から出力される検出信号Cと、CCD17から出力される検出信号Cは、90度の位相差を有しており、次式のように表すことができる。
Figure 2010268916
ここで、(x、y)は、水平方向に設定された任意の2次元座標系における座標を表す。I(x、y)は信号光Sの強度を表し、I(x、y)は参照光Rの強度を表している。また、Δφ(x、y)は初期位相差を表している。また、各検出信号C、Cは、背景光成分(非干渉成分、直流成分)I(x、y)+I(x、y)を含む。更に、検出信号Cはcos成分からなる干渉成分(交流成分)を含み、検出信号Cはsin成分からなる干渉成分(交流成分)を含んでいる。
なお、式(1)、(2)から分かるように、各検出信号C、Cは、空間(z方向に直交するx方向、y方向)のみを変数とするものであり、時間を変数として含んでいない。すなわち、本実施形態に係る干渉信号は、空間的変化のみを含むものである。
〔制御系の構成〕
前眼部観察装置100の制御系の構成を説明する。図2は、前眼部観察装置100の制御系の構成の一例を表している。
コンピュータ20は、制御部21、表示部22、操作部23及び信号処理部24を備えている。
(制御部)
制御部21は、前眼部観察装置100の各部を制御する。たとえば、制御部21は、光源ユニット1の点灯/消灯の制御、参照鏡移動機構10の制御、CCD16、17の露光時間の制御、表示部22による表示処理の制御などを行う。
制御部21は、CPU等のマイクロプロセッサ、及び、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置を含んで構成される。ROMやハードディスクドライブには、装置制御用のコンピュータプログラム(図示せず)が予め記憶されている。制御部21による上記の制御は、このコンピュータプログラムにしたがってマイクロプロセッサが動作することで実行される。
また、制御部21は、外部装置との間でデータ通信を行うための通信機器を備えていてもよい。通信機器としては、LANカードやモデムなどがある。それにより、制御部21は、外部のデータベースから各種の情報を取得したり、データベースに情報を登録させたりすることができる。また、検査装置等の眼科装置から情報を取得したり、眼科装置に情報を送信したりすることができる。
(表示部)
表示部22は、制御部21により制御されて各種の情報を表示する。表示部22は、LCDやCRTディスプレイ等の任意の表示デバイスを含んで構成される。
(操作部)
操作部23は、オペレータが前眼部観察装置100を操作したり、各種の情報を入力したりするために用いられる。操作部23は、マウス、キーボード、ジョイスティック、トラックボール、専用のコントロールパネル等の任意の操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。
(信号処理部)
信号処理部24は各種の信号処理や画像処理を実行する。信号処理部24は、CPU等のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。ROMやハードディスクドライブには、後述の各種処理をマイクロプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムが予め記憶されている。信号処理部24には、画像形成部241、画像領域特定部242、記憶部244及び異常判定部246が設けられている。
(画像形成部)
画像形成部241は、CCD16、17から出力された検出信号C、Cに基づいて、被検眼Eの前眼部の様々な深度位置における水平方向の画像を形成する。更に、画像形成部241は、これら水平方向の画像に基づいて前眼部の3次元画像を形成する。画像形成部241は、この発明の「形成手段」の一例である。
ここで、前眼部の画像を形成する処理の具体例を説明する。オペレータが操作部23を用いて所定の計測開始操作を行うと、制御部21は、光源ユニット1を点灯させる。この動作例では、光源ユニット1を点灯させた状態にして、広帯域光Mの連続光を出力する。
次に、制御部21は、参照鏡移動機構10を制御して参照光Rの光路長を第1の光路長に設定する。制御部21は、各CCD16、17の露光時間を制御する。CCD16、17は、それぞれ、干渉光検出信号C、Cを出力する。
続いて、制御部21は、参照鏡移動機構10を制御して参照光Rの光路長を第2の光路長に切り替える。制御部21は、各CCD16、17の露光時間を制御して新たな検出信号C′、C′を出力させる。
ここで、第1の光路長と第2の光路長は、検出信号Cと検出信号C′とが位相差180度(π)を有し、かつ、検出信号Cと検出信号C′とが位相差180度(π)を有するような距離間隔となるように予め設定されている。なお、検出信号C、Cは位相差90度を有しているので、上記の一対の計測によって位相差90度ごとの4つの検出信号C、C、C′、C′が得られることになる。
画像形成部241は、検出信号C、C′(位相差180度)を加算し、その和を2で除算することにより、背景光成分I(x、y)+I(x、y)を演算する。この演算処理は、検出信号C、C′(位相差180度)を用いて行ってもよい。
更に、画像形成部241は、背景光成分I(x、y)+I(x、y)を各検出信号C、Cから除算して干渉成分(cos成分、sin成分)を求める。そして、画像形成部241は、各検出信号C、Cの干渉成分の二乗和を演算することによりxy方向(水平方向)の断面における画像を形成する。なお、この処理は、検出信号C′、C′(位相差180度)を用いて行ってもよい。
制御部21は、参照光Rの光路長を順次に変更しながら上記の一対の計測を反復実施させることにより、前眼部の様々な深度位置におけるxy断面の画像(水平断層像)を順次に形成する。この実施形態では、特に、デスメ膜と角膜内皮の水平断層像を取得する。
なお、この処理において、制御部21は、CCD16、17を所定のフレームレートでかつ同じタイミングで検出信号を出力するように制御するとともに、このフレームレートと、各CCD16、17の露光タイミングと、参照光Rの光路長の変更タイミングとを同期させる。
このとき、各CCD16、17の露光時間を、フレーム間隔(フレームレートの逆数)よりも短く設定することが望ましい。たとえば、CCD16、17のフレームレートは30f/sに設定され、露光時間は30〜50μs程度に設定される。
また、中心波長760nm程度で波長幅100nm程度の広帯域光Mを用いることにより、数μm程度の分解能の画像を取得することができる。たとえば、広帯域光Mの波長をガウス型と仮定し、被検眼Eの屈折率をn=1.33としたときの分解能の理論値は約1.8μmとなる。
このようにして取得された前眼部の水平断層像は、たとえば記憶部244に記憶される。また、制御部21は、たとえば操作部23を用いた操作に応じて、水平断層像を表示部22に表示させる。
深度位置の異なる複数の水平断層像が得られた場合、画像形成部241は、隣接する水平断層像の間の画素を補完する公知の補完処理を実行することにより3次元画像(ボリュームデータなどと呼ばれる)を形成する。ボリュームデータは、3次元的な画素であるボクセルにより定義される画像データである。この3次元画像は、角膜内皮及びその近傍部位(デスメ膜、前房など)を含む角膜内の領域について取得される。
また、画像形成部241は、深度方向に沿った断面に位置するボクセルをボリュームデータから選択し、これらのボクセルに基づいて、深度方向に沿った断層像(垂直断層像)を形成する。
また、ボリュームデータの代わりに、複数の水平断層像を一つの3次元座標系に配置して得られる3次元画像(スタックデータなどと呼ばれる)を形成することも可能である。そして、このスタックデータに基づいて垂直断層像を形成することができる。
なお、3次元画像における深度方向の断面位置を自動的に指定することもできるし、オペレータが手作業で断面位置を指定することもできる。前者の場合の例としては、所定間隔で断面位置を設定することができる。また、過去に指定された断面位置を自動的に設定することもできる。また、所定の断面位置(たとえば角膜頂点を通過する断面など)を自動的に設定するようにしてもよい。一方、後者の場合の例としては、たとえばボリュームデータをレンダリングして得られる擬似的な3次元画像を表示部22に表示させ、この擬似的な3次元画像上に操作部23を用いて断面位置を設定するように構成できる。
なお、最初に形成される水平断層像に直交する断面を有する垂直断層像を形成する代わりに、水平断層像に対して任意の角度で交差する断層像を形成することも可能である。たとえば、角膜Ecの径方向に沿った断層像を形成することも可能である。また、ボリュームデータにおける補完されたボクセルに基づいて、最初に形成された隣接する水平断層像の間の深度位置における水平断層像を形成することも可能である。
すなわち、ボリュームデータやスタックデータ等の3次元画像に対して断面位置が指定されると、この2次元断面上の画素(ボクセル、ピクセル)を選択し、選択された画素を2次元断面に沿って配列することによって断層像が形成される。このような処理により、前眼部の任意の断面に対応する断層像を形成することが可能となる。なお、以上に説明したような3次元画像から断層像を形成する処理は、画像領域特定部242の断層像形成部243によって実行される。
(画像領域特定部)
画像領域特定部242は、画像形成部241により形成された3次元画像を解析して、被検眼Eの前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する。なお、特定される角膜内皮領域は、前眼部の角膜内皮の少なくとも一部を含んでいればよい。なお、3次元画像における角膜内皮領域の近傍には、デスメ膜や前房に相当する画像領域(近傍領域)がそんざいする。
画像領域特定部242は、たとえば、異常判定処理が実施される部位に応じて事前に設定された画像領域(角膜内皮領域及び近傍領域を含む)を特定するようにしてもよい。具体例として、異常判定処理の対象となる前眼部の部位が予め指定されると(自動又は手動)、画像領域特定部242は、指定された部位に対応する範囲の画像領域を特定する。画像領域特定部242は、この発明の「特定手段」の一例である。
画像領域特定部242は、3次元画像(ボリュームデータやスタックデータ)自体を解析して目的の画像領域を特定することもできるし、3次元画像に基づく断層像(垂直断層像や水平断層像)を解析して目的の画像領域を特定することもできる。また、3次元画像の基になる水平断層像を解析して目的の画像領域を特定することも可能である。
なお、3次元画像を解析して3次元の画像領域を特定する場合には、この3次元画像領域の断面を指定して目的の画像領域を求めることができる。また、垂直断層像や水平断層像だけでなく、任意方向の断面における断層像を解析して目的の画像領域を特定することも可能である。
以下、画像領域特定部242の処理の具体例を説明する。前述のように、目的となる画像領域は、角膜内皮に対応する角膜内皮領域を含む。よって、解析対象の画像中における角膜内皮領域を特定する必要がある。
この処理の例として、前眼部の特徴部位との間の位置関係に基づいて角膜内皮領域を特定する方法がある。この特徴部位としては、角膜表面、角膜裏面、水晶体前面、虹彩などがある。この処理例を適用する場合、特徴部位と角膜内皮との間の標準的な位置関係(距離、方向)を記録した情報を予め記憶部244に記憶しておくとともに、画像中における特徴部位を特定し、この特徴部位と上記情報と計測倍率(対物レンズ等のレンズの屈折力による)とに基づいて当該画像中における角膜内皮領域を特定することが可能である。
また、解析対象の画像を構成する画素を解析することにより細胞等の微細構造を把握し、この微細構造に基づいて角膜内皮領域を特定することも可能である。
この処理の例を説明する。ところで、角膜内皮細胞は、角膜の最深部に位置する単層の細胞である。角膜内皮細胞は、敷石状に均一に配列している。角膜内皮細胞の形状は、一般に5〜7角形、多くが六角形である。角膜内皮細胞は、通常、20μm程度の直径を有し、300〜350μm程度の面積を有する。
画像領域特定部242は、まず、断層像(水平断層像)を構成する画素の画素値に基づいて、この断層像に描写された細胞の画像領域(細胞領域)を抽出する。一般に、フルフィールドタイプのOCTを適用して取得された画像においては、細胞の境界領域が高い輝度を有し、細胞の内部領域が低い輝度を有する。これは、細胞の境界領域での散乱が内部領域での散乱よりも大きいことに起因する。画像領域特定部242は、このような特性に基づいて閾値処理を行うことで細胞の境界領域に相当する画像領域を特定し、それにより細胞領域を抽出する。
なお、細胞領域を抽出する処理は、上記の例に限定されるものではなく、画像中の所定の画像領域を抽出するための任意の公知技術を適用することが可能である。たとえば二値化処理やフィルタ処理などを用いることができる。
画素値は、モノクロ画像の場合には輝度値であり、カラー画像の場合にはRGB値である。OCT装置で取得される画像は一般にモノクロ画像である。なお、輝度値の分布に基づいて擬似的なカラー画像を形成する場合もある。
続いて、画像領域特定部242は、上記の処理で抽出された細胞領域を解析して、細胞領域の形態(サイズや形状)を表す細胞情報を生成する。細胞のサイズは、画像の計測倍率を参照して算出される。計測倍率は画像取得時に設定される。倍率が既知であると、画像中の距離の尺度(単位距離)や画素間隔を取得できる。細胞領域の径や周は、単位距離や画素間隔に基づいて容易に算出できる。また、細胞領域の面積は、たとえば単位面積に含まれる画素数をカウントして単位面積画素数を取得しておくとともに、細胞領域内の画素数をカウントし、この画素数を単位面積画素数で除算することにより算出できる。また、通常の積分演算を行って面積を求めることも可能である。
また、細胞領域の形状は、上記処理において特定された細胞の境界領域に相当する画像領域を構成する画素の配列に基づいて特定することが可能である。また、細胞の形状(水平方向の断面形状など)は、たとえば、細胞の境界領域に相当する画像領域を細線化してワイヤモデルを作成し、このワイヤモデルに基づいて求めることができる。なお、このようなワイヤモデルは、一般に、複数の細胞の境界領域を含んでいる。単一の細胞の境界領域は、内部にワイヤモデルの一部を含まないループ状の画像領域を探索することで特定可能である。
また、形状の決定は、たとえば、ループ状の画像領域上の各位置における微分係数を演算して行うこともできるし、パターンマッチング処理などを用いて行うこともできる。
水平断層像に描写された細胞が角膜内皮細胞であるか否かを判断する場合、たとえば、特定された各細胞領域の形状が略六角形であるか判断し(たとえば六角形状のテンプレート画像との画像相関処理による)、略六角形の細胞領域が所定比率以上存在する場合に、当該断層像は角膜内皮の画像であると判断する。このような処理により角膜内皮領域を含む画像領域を特定することが可能である。
また、特定された細胞領域のサイズの統計値(平均値等)を求め、この平均値が所定範囲(上記サイズを基に予め設定される)内であるか判断するようにしても、目的の画像領域を特定することが可能である。また、特定された複数の細胞領域が角膜内皮の特徴的な配列(敷石状の略均一な配列)であるかをパターンマッチング等によって判断するようにしても、目的の画像領域を特定することが可能である。
画像領域特定部242は、深度位置の異なる複数の水平断層像のそれぞれに対して上記の処理を実行し、各水平断層像が角膜内皮の画像であるか否か判断する。角膜内皮の画像と判定された水平断層像の群が角膜内皮領域に相当する。また、角膜内皮領域の前方(−z方向)に存在する水平断層像は、角膜内皮の前側近傍(デスメ膜等)に相当する近傍領域である。また、角膜内皮領域の後方に存在する水平断層像は、角膜内皮の後側近傍(前房等)に相当する近傍領域である。
このように水平断層像に基づいて角膜内皮領域や近傍領域が特定されると、角膜内皮領域の深さの範囲(z座標値)が得られる。このz座標値に基づいて、垂直断層像や3次元画像における角膜内皮領域を特定することが可能である。
上記の例では、水平断層像の場合について特に詳しく説明したが、垂直断層像や3次元画像を解析して角膜内皮領域などを特定することが可能である。たとえば3次元画像における細胞領域の3次元的な態様(体積、形状、配列等)を画素値に基づいて解析することにより角膜内皮領域を特定することが可能である。
垂直断層像についても、細胞領域の2次元的な態様(断面積、形状、配列等)を画素値に基づいて解析することにより角膜内皮領域を特定することが可能である。また、垂直断層像を構成する画素の画素値を解析し、画素値が急激に変化する隣接する画素を求めることにより層と層との境界領域を特定する。それにより、角膜内皮領域とデスメ膜に相当する画像領域との境界領域や、角膜内皮領域と前房に相当する画像領域との境界領域などが特定される。なお、どの層が角膜内皮領域であるかは、前述の細胞情報に基づいて判別することができる。また、角膜内皮領域に特有の画素値の範囲を予め記憶しておき、この範囲に含まれる画素値を有する画素群を特定することで角膜内皮領域を特定することも可能である。
(記憶部)
記憶部244は各種の情報を記憶する。記憶部244は、この発明の「記憶手段」の一例である。記憶部244に記憶される情報としては、画像形成部241により形成された画像、画像領域特定部242により特定された画像領域(その座標値や画像自体)、断層像形成部243により形成された断層像、被検者情報(カルテ情報等)などがある。
また、記憶部244には疾患情報245が予め記憶される。疾患情報245は、疾患名と角膜内皮の異常とを対応付ける情報である。疾患情報245の例を図3に示す。疾患情報245は、前眼部の様々な部位の所見(形態の異常)と疾患名とを対応付けている。
なお、図3の疾患情報245においては所見の傾向(たとえば「薄い」、「不整」など)が示されている欄があるが、実際の疾患情報においては、これらの欄には部分閾値や許容範囲等の数値情報が記録される。このような数値情報は、たとえば、臨床的に取得された多数の所見の統計値(平均値、標準偏差等)に基づいて予め設定される。
また、細胞変性等の病変や、コラーゲン様物質等の特定物質の存在に関する所見については、画像における病変や特定物質の描写態様(画素値、サイズ、個数、密度等)が記録される。
疾患情報245に記録される所見としては、たとえば真鍋禮三他監修「角膜クリニック 第二版」(医学書院、2003年)のほか、各種文献を参照することが可能である。また、新たな研究結果や論文等を参照して疾患情報245を適宜に更新することが可能である。
疾患情報245には、所見の対象部位として次のような欄が設けられている:角膜内皮細胞を表す「内皮細胞」;角膜内皮の前面(デスメ膜との境界面)を表す「内皮前面」;角膜内皮の後面(前房との境界面)を表す「内皮後面」;角膜内皮の厚さを表す「内皮厚」;「デスメ膜」;デスメ膜の厚さを表す「デスメ膜厚」;角膜Ecの厚さを表す「角膜厚」。更に、所見として、各疾患が一般的に両眼に生じるか一方の眼に発生するかを表す「両眼性/片眼性」の欄が設けられている。
なお、所見に設けられる欄は上記のものには限定されない。たとえば、前眼部の他の部位(隅角等)や、遺伝情報(親等が罹患している疾患名)、被検者情報(性別、年齢、病歴、投薬履歴、コンタクトレンズの装用の有無等)など、特定対象となる疾患名などに応じて適宜に欄を設定することが可能である。
また、疾患名としては次の欄が設けられている:「滴状角膜」;Fuchs角膜内皮ジストロフィを表す「Fuchs」;先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィを表す「CHED」;後部多形性ジストロフィを表す「PPCD」;Posterior Corneal Vesicleを表す「PCV」;虹彩角膜内皮症候群を表す「IEC」;「分娩時外傷」;「先天性緑内障」。なお、疾患名に設けられる欄は上記のものには限定されず、前眼部(特に角膜内皮)に関連する任意の疾患名を設けることが可能である。
ここで、角膜内皮やデスメ膜について簡単に説明するとともに、上記の各疾患について簡単に説明する。なお、各疾患名に対応付けられる所見は、以下の説明や臨床結果などに基づくものである。
角膜内皮細胞の細胞密度は、出生時には5000〜6000個/mm、生後2年で約3000個/mmである。20歳代では、細胞密度約3000個/mm、変動係数(coefficient of variation;CV値)0.25前後、六角形状の細胞の出現比率(六角細胞率)65〜70%である。70歳代では、細胞密度約2500個/mm、CV値0.30前後、六角細胞率60%前後である。また、これらの値は、コンタクトレンズの長期装用者においては、同年代の健常者に比べて有意な差が認められる。また、CV値や六角細胞率は角膜内皮の機能と相関があると考えられている。また、細胞密度500個/mm以下になると機能不全によって角膜混濁が起こると考えられている。現在では、混濁に対する治療方法は角膜移植しかない。
デスメ膜については次のようなことが知られている。まず、ABZの厚さは約3μmであり、生涯を通じて変化しない。一方、PNBZは加齢と共に厚さが増加し(たとえば60歳でおよそ6μm)、これは胎生期以後の内皮が産生したと考えられている。ABZとPNBZの異常を判定することで、角膜内皮の異常が先天的なものか後天的なものか推定できる。この推定処理は、たとえば、層の凹凸や断裂等の形態異常(不整)がどちらの層まで及んでいるか判断することにより実施できる。
臨床所見について説明する。垂直断層像で観察すると、角膜内皮は角膜上皮よりも曲率がやや急な滑らかな面として観察される。また、角膜内皮の面が不整な場合、或いは、precipitate(後面沈着物)やiris pigment(虹彩色素)の付着を認めた場合には、角膜内皮に障害を及ぼす何らかの原因があると考えられる。このとき、PCVなども重要な所見である。
面の不整は、たとえば、当該面のベースカーブからの変位量から判断できる。ベースカーブについて図4を参照して説明する。角膜内皮の面(前面又は後面)は、本来、垂直断層像において滑らかな弧を描くように描写される。一方、図4に示す面Uは、凹凸や皺襞等の不整部分Vを有する。ベースカーブBCは、面Uの本来の形状(滑らかな弧状)、つまり不整部分Vが存在しなかった場合の形状を推定したものである。
ベースカーブBCは、たとえば次のようにして設定される:前述のように断層像を構成する画素の画素値を解析することで、角膜内皮領域とその近傍領域との境界領域(面U)を抽出する;この面Uの各点における微分係数(1次微分や2次微分等)を算出する;算出された微分係数に基づいて面Uにおける特徴点(頂点や変曲点等)を求める;これら特徴点の個数や位置に基づいて不整部分Vを特定する;特定された不整部分Vを除く滑らかな弧状部分を延長して弧状領域を求める。この弧状領域がベースカーブBCとなる。
ベースカーブBCの求め方は上記のものには限定されず、たとえば、面Uの本来の断面形状を模したテンプレート画像と、断層像から抽出された面Uの画像とのパターンマッチングや差分処理によってベースカーブBCを求めることも可能である。沈着物が存在する場合などによる不整についても同様にしてベースカーブBCを求めることができる。
また、3次元画像に描写された面Uの2次元的な画像(曲面画像)の不整やベースカーブBCを求める場合についても、同様の処理、すなわち、2次元的なテンプレート画像を用いたり、2次元的な微分係数を用いたりすることが可能である。また、角膜内皮の面以外の面についても、同様の処理によって不正やベースカーブを求めることが可能である。
また、角膜内皮に異常が存在するときにはデスメ膜にも異常が伴うことが多いため、角膜内皮の診断においては、角膜内皮自体だけでなくデスメ膜の状態も併せて参照することが重要である。特に、デスメ膜の皺襞や、retrocorneal membrane(後面の膜状物質)や、guttata(斑紋)などの有無は重要である。これらの異常は、デスメ膜や角膜内皮の前後面のベースカーブからの変位量で検出できる。
角膜内皮の診断においては、片眼性の異常か両眼性の異常かも重要な情報である。一般に、両眼性の異常の場合には原発性が強く疑われ、二次的な疾患の場合には片眼性の異常であることがほとんどである。
また、角膜実質の病変や前房の炎症などの有無も重要な情報である。角膜実質の浮腫や前房の炎症を伴わない場合、原発性の軽症例、特に、滴状角膜、Fuchs角膜内皮ジストロフィ、後部多形性ジストロフィ、Posterior Corneal Vesicleなどの疑いがある。
滴状角膜は、原発性で両眼性の疾患であり、デスメ膜と角膜内皮との間(角膜内皮前面)におけるコラーゲン様物質の局所的な蓄積や、角膜内皮後面における疣状の突起などの所見が見られる。また、角膜内皮細胞はしばしば不整形を呈し、大小不同(大きさのばらつき)が認められる。一方、角膜厚や角膜内皮細胞数(細胞密度)は正常であることが多い。
Fuchs角膜内皮ジストロフィは、原発性、両眼性、常染色体優性遺伝性の疾患であり、中年女性に多くみられる。角膜内皮細胞に4〜5μm程度の結合組織が産出し、デスメ膜は厚さを増す(8〜10μm程度)。所見としては、次のようなものが見られる:前房内への疣状の突出;重層の疣状物;重層化した結合組織内の疣状物;疣状物が認められない重層の結合組織。疣状突起は角膜内皮細胞を圧迫して薄くなり不整となる。これは、デスメ膜や角膜内皮の前後面の不整や、デスメ膜や角膜内皮の厚さによって把握できる。また、角膜内皮細胞の大小不同が顕著となり、本来の六角形状が失われることから、変動係数や六角細胞率などによって異常を判定することも可能である。
先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィは原発性の疾患であり、その所見では、デスメ膜後部と角膜内皮細胞に数珠球様の白色線がみられる。また、角膜内皮においては、細胞が欠損している部分と、菲薄化して色素顆粒を含んで角膜上皮細胞のようにみられる部分とが見られる。このような異常は、たとえば、デスメ膜や角膜内皮の前後面のベースカーブからの変位量や厚さを計測することにより把握できる。なお、前眼部観察装置100によれば、スペキュラーマイクロスコープと異なり、欠損と突出の区別が可能である。
後部多形性ジストロフィは、原発性かつ両眼性の疾患であり、2〜20個程度の水疱様の小さい円形病変が集合し、その周りを灰白色の円ハローが取り囲むような所見が見られる。なお、水疱が明らかでなく地図状病変と密な灰白色の混濁が生じる場合や、波打った広い帯状の病変とデスメ膜の肥厚がみられる症例もある。このような異常は、デスメ膜や角膜内皮の前後面のベースカーブからの変位量や厚さを計測することで把握できる。
Posterior Corneal Vesicleは、原発性かつ片眼性の疾患であり、通常は無症状で眼科健診により偶然発見されることが多い。所見としては、デスメ膜及び角膜内皮の後面に小水疱や帯状の病変が認められる。帯状病変は大部分が水平に走行する。このような異常は、デスメ膜や角膜内皮の前後面のベースカーブからの変位量や厚さを計測することで把握できる。
虹彩角膜内皮症候群は、原発性かつ片眼性であり、角膜内皮、前房隅角、虹彩に異常を認める疾患である。所見としては、角膜内皮細胞の変性、数の減少、角膜内皮の欠損が認められ、デスメ膜の後面に角膜内皮細胞から産出されたコラーゲン様物質の厚い層状の組織(PCL)が認められる。このような異常は、デスメ膜や角膜内皮の前後面のベースカーブからの変位量や厚さを計測することで把握できる。
分娩時外傷は、二次性の疾患であり、分娩時の角膜への圧迫によってデスメ膜と角膜内皮の破裂が生じたものである。所見としては、直線的に走行する帯状のデスメ膜の破裂が認められる。なお、このような所見は先天性緑内障と類似であるが、先天性緑内障ではデスメ膜の破裂が両眼性で直線的ないことから判別可能である。
疾患情報245は、上記のような各種疾患の所見に基づいて設定される。その際、前述のように、ベースカーブからの変位量や、厚さなどの閾値や許容範囲が決定されて疾患情報245に記録される。また、上記のような所見に基づく病変の態様(画像における描写態様)が決定されて疾患情報245に記録される。
(異常判定部)
異常判定部246は、画像領域特定部242により特定された画像領域を解析して、角膜内皮の異常を判定する。この処理は、異常の有無を判定するものであってもよいし、異常の程度を判定するものであってもよい。異常判定部246は、記憶部244とともに、この発明の「判定手段」の一例を構成する。
異常判定部246には、境界領域特定部247、ベースカーブ特定部248、境界形状解析部249、層領域特定部250、層領域解析部251、細胞領域特定部252、細胞状態解析部253、経時変化解析部254及び疾患特定部255を含んで構成される。
(境界領域特定部、ベースカーブ特定部、境界形状解析部)
複数の断層像(特に垂直断層像)について角膜内皮領域が画像領域特定部242によりそれぞれ特定されたときに、境界領域特定部247、ベースカーブ特定部248及び境界形状解析部249は、各垂直断層像に基づいて角膜内皮の異常を判定する。以下、この判定処理について説明する。
境界領域特定部247は、角膜Ecの角膜内皮の境界面に対応する各垂直断層像中の境界領域を特定する。境界領域特定部247は、この発明の「境界領域特定手段」の一例である。
境界領域を特定するために、境界領域特定部247は、画像領域特定部242により特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を構成する画素の画素値を解析する。この解析処理では、たとえば、画像領域特定部242による前述の解析結果を利用することにより、各垂直断層像における、角膜内皮の前面(デスメ膜との境界面)に対応する画像領域(内皮前面境界領域)や、後面(前房との境界面)に対応する画像領域(内皮後面境界領域)が特定される。
このとき、内皮前面境界領域と内皮後面境界領域の双方を特定してもよいし、一方のみを特定してもよい。特定される境界領域は、たとえば異常の検出対象に応じて事前に設定される。また、常に双方又は一方を特定するようにしてもよい。
ベースカーブ特定部248と境界形状解析部249は、境界領域特定部247により特定された境界領域の形状に基づいて、当該境界領域の異常を判定する。この異常判定処理の例を説明する。
境界領域として図4に示すような面Uが特定された場合、ベースカーブ特定部248は、面Uに基づいてベースカーブBCを求める。ベースカーブBCを求める処理については前述した。境界形状解析部249は、ベースカーブBCに対する面Uの凹凸(不整部分V)を検出する。ベースカーブ特定部248と境界形状解析部249は、この発明の「凹凸検出手段」の一例を構成する。
更に、境界形状解析部249は、ベースカーブBCに対する不整部分Vの変位量を求める。この変位量は、たとえば、ベースカーブBCと不整部分Vとの最大離間距離、不整部分Vの幅、ベースカーブBCと不整部分Vとに囲まれる画像領域の面積など、ベースカーブBCに対する不整部分Vの変位を特徴づける物理量である。
境界形状解析部249は、この変位量が所定の許容範囲内であるか判断する。そして、境界形状解析部249は、変位量が許容範囲内であれば当該境界領域は異常無しと判定し、許容範囲外であれば異常有りと判定する。
また、境界形状解析部249は、変位量の絶対値や、所定の許容範囲や閾値に対する変位量のズレなどに基づいて、当該境界領域における異常の程度を判定することも可能である。
(層領域特定部、層領域解析部)
複数の断層像(特に垂直断層像)のそれぞれについて角膜内皮領域が画像領域特定部242により特定されたときに、層領域特定部250と層領域解析部251は、被検眼Eの前眼部の所定の層に対応する各垂直断層像中の層領域の厚さに基づいて、当該所定の層の異常、更には角膜内皮の異常を判定する。ここで、層領域の異常は、角膜内皮の異常に関連するものとされている。
この異常判定を行うために、層領域特定部250は、前眼部の所定の層に対応する各垂直断層像中の層領域を特定する。層領域特定部250は、この発明の「層領域特定手段」の一例である。
垂直断層像中の層領域を特定するために、層領域特定部250は、画像領域特定部242により特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を構成する画素の画素値の解析を行う。この解析処理では、たとえば、画像領域特定部242による前述の解析結果を利用することにより、各垂直断層像における、角膜内皮領域、デスメ膜(全層、ABZ層、PNBZ層)に対応する層領域、角膜(全層)などの層領域が特定される。層領域は、たとえば、その前面と後面とを特定することによって特定される。
このとき、一つの層に対応する層領域を特定してもよいし、二つ以上の層のそれぞれに対応する層領域を特定してもよい。特定される層領域は、たとえば異常の検出対象に応じて事前に設定される。また、所定の層領域を常に特定するようにしてもよい。
層領域解析部251は、特定された層領域の厚さを求める。層領域の厚さは、たとえば、事前に求められたOCT画像の計測倍率に基づく隣接画素の間隔と、層領域の前面と後面との間の画素数とに基づいて算出できる。また、層領域の前側境界の深度位置と後側境界の深度位置との差を算出することで厚さを求めることも可能である。また、前側境界上の画素を含む水平断層像を取得したときの参照鏡9の位置と、後側境界上の画素を含む水平断層像を取得したときの参照鏡9の位置との差を算出することで層領域の厚さを求めることもできる。
更に、層領域解析部251は、求められた層領域の厚さが所定の許容範囲内であるか判断する。そして、層領域解析部251は、厚さが許容範囲内であれば当該所定の層(ひいては角膜内皮)は異常無しと判定し、許容範囲外であれば異常有りと判定する。
また、層領域解析部251は、厚さの絶対値や、所定の許容範囲や閾値に対する厚さのズレなどに基づいて、当該所定の層における異常の程度を判定することも可能である。
(細胞領域特定部、細胞状態解析部)
複数の断層像(特に水平断層像)のそれぞれについて角膜内皮領域が画像領域特定部242により特定されたときに、細胞領域特定部252と細胞状態解析部253は、角膜内皮(細胞)の異常を判定する。
そのために、細胞領域特定部252は、画像領域特定部242により特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を構成する画素の画素値を解析して、被検眼Eの角膜内皮を構成する角膜内皮細胞に対応する当該角膜内皮領域中の複数の細胞領域を特定する。この処理は、画像領域特定部242による前述の細胞領域の抽出処理と同様にして実行できる。なお、画像領域特定部242によって既に細胞領域が抽出されている場合、細胞領域特定部252は、この抽出処理の結果を利用することが可能である。細胞領域特定部252は、この発明の「細胞領域特定手段」の一例である。
細胞状態解析部253は、細胞領域特定部252により特定された複数の細胞領域に基づいて角膜内皮細胞の状態を解析し、それにより角膜内皮の異常を判定する。以下、この異常判定処理の例を説明する。
細胞状態解析部253は、まず、細胞領域特定部252により特定された複数の細胞領域に基づいて角膜内皮細胞の状態の評価情報を求める。この処理では、たとえば、スペキュラーマイクロスコープと同様の評価情報、すなわち、細胞密度、最大細胞面積、最小細胞面積、平均細胞面積、面積標準偏差、細胞面積の変動係数、六角形状の細胞領域の出現率、細胞面積のヒストグラムなどが求められる。
細胞密度は、所定面積(1mm)に含まれる細胞領域の個数を表すもので、たとえば、特定された複数の細胞領域と、水平断層像中における所定面積の画像領域(倍率を基に設定できる)とに基づいて算出できる。
最大細胞面積は、特定された複数の細胞領域の面積のうちの最大値を表すもので、たとえば、各細胞領域の面積を算出して大小比較を行うことで求められる。
最小細胞面積は、特定された複数の細胞領域の面積のうちの最小値を表すもので、たとえば最大細胞面積と同様にして求めることができる。
平均細胞面積は、特定された複数の細胞領域の面積の平均値であり、通常の統計演算により算出できる。
面積標準偏差は、特定された複数の細胞領域の面積の標準偏差であり、通常の糖液演算により算出できる。
細胞面積の変動係数は、平均細胞面積に対する相対誤差を表す統計量(前述のCV値)であり、面積標準偏差を平均細胞面積で除算することで得られる。
六角形状の細胞領域の出現率は、前述の六角細胞率であり、たとえば、特定された各細胞領域が六角形状であるか判断し、六角形状と判断された細胞領域の個数を総数で除算することで算出できる。
細胞面積のヒストグラムは、細胞面積毎の頻度を表す情報であり、通常の統計演算により求めることができる。
なお、実際の検査においては、疾患の種類などに応じて、上記の評価情報のうちの少なくとも一つが求められる。また、上記以外の種類の評価情報を求めることも可能である。このような細胞状態解析部253は、この発明の「評価手段」の一例を構成する。
更に、細胞状態解析部253は、演算された評価情報に基づいて角膜内皮の異常の判定を行う。そのために、たとえば、各評価情報についての許容範囲を予め設定しておき(記憶部244に記憶される)、細胞状態解析部253は、複数の細胞領域に基づいて求められた各評価情報が当該許容範囲に含まれるか否か判断し、含まれると判断された場合に異常無しと判定し、含まれないと判断された場合に異常有りと判定する。また、許容範囲に対する評価情報のズレなどに基づいて、異常の程度を判定することも可能である。
(経時変化解析部)
異常判定部246により得られた判定結果は、たとえば患者IDや左右眼情報や検査日時情報に関連付けられて記憶部244に記憶される。ここで、左右眼情報とは、被検眼が左眼であるか右眼であるか識別する情報である。
なお、被検眼Eが左眼であるか右眼であるか(左右眼情報)は、たとえば、オペレータが手入力してもよいし、装置光学系がステージ上を移動する場合などには光学系の左右方向の位置に基づいて自動判定してもよい。また、患者IDについては、たとえば、オペレータが手入力してもよいし、当該被検者の電子カルテを参照して自動取得してもよい。また、検査日時情報については、たとえば、オペレータが手入力してもよいし、コンピュータ20の計時機能を参照して自動取得してもよい。
被検眼Eについて角膜内皮の異常の判定がなされると、経時変化解析部254は、この被検眼Eの過去の判定結果を記憶部244から検索する。この検索処理において経時変化解析部254は、たとえば、患者IDを照合して当該被検者に関する判定結果を選択し、選択された判定結果のうちから左右眼情報により当該被検眼Eの判定結果を選択する。
更に、経時変化解析部254は、選択された当該被検眼Eの判定結果のうちから、検査日時情報に基づいて前回の検査で得られた判定結果を選択する。この処理は、たとえば、当該被検眼Eの過去の判定結果に関連付けられた検査日時情報のうちから最新の日時を特定し、この最新の日時を表す検査日時情報に関連付けられた判定結果を選択するものである。
なお、選択される判定結果は、前回の検査のものに限定されるものではなく、過去の任意の判定結果であればよい。また、二つ以上の判定結果を選択することも可能である。
経時変化解析部254は、今回の検査で得られた新たな異常の判定結果と、記憶部244から検索された過去の判定結果とを比較し、その結果に基づいて被検眼Eの角膜内皮の経時変化情報を求める。経時変化情報とは、角膜内皮の状態(たとえば異常の有無や程度)の経時変化を表す情報である。経時変化情報を求める処理は、たとえば次のようにして実行される。
過去の判定結果が一つ検索された場合、経時変化解析部254は、たとえば、過去の判定結果に対する新たな判定結果の変化を求めて経時変化情報とする。
また、過去の判定結果が二つ以上検索された場合、経時変化解析部254は、たとえば、過去の複数の判定結果及び新たな判定結果の経時変化を表すグラフを作成して経時変化情報とする。また、経時変化の解析対象となる各OCT画像中の任意領域を、異常部位等の位置情報に基づいて指定し、この指定領域における各種パラメータの経時変化量を算出することも可能である。このとき、予め設定された所定の単位サイズの領域を各OCT画像毎に順次に指定することで、OCT画像の計測領域全体について経時変化量を求めるようにしてもよい。更に、算出された経時変化量が所定閾値以上である場合に注意を促す情報(メッセージ等)を表示することで、異常の早期発見に繋がる可能性もある。
なお、前述のように、検出された異常部位に対して、その位置を表す情報(位置情報)を付与できる。この位置情報を参照することで、上記のような同一部位の比較が可能となり、異常の程度の変化や場所の移動などを検出できる。また、このような同一部位の比較を行うことにより、新規に出現した異常を検出したり、過去に存在した異常の消失を検出したりでき、より詳細な異常検出が可能となる。
(疾患特定部)
前述のように、記憶部244には疾患情報245が予め記憶されている(図3を参照)。疾患特定部255は、疾患情報245に基づいて、角膜内皮の異常の判定結果に対応する疾患名を特定する。特定される疾患名は、あくまでも、被検眼Eが罹患している疑いのある疾患の候補である。
疾患特定部255が実行する処理の例を説明する。疾患情報245は、疾患名と角膜内皮の異常とを対応付ける情報である。異常判定部246は、上記のように、角膜内皮の各種の異常の有無や程度を判定する。たとえば、異常判定部246は、角膜内皮細胞の異常、角膜内皮の前面や後面の異常、角膜内皮の厚さ(内皮厚)の異常、デスメ膜の異常、デスメ膜の厚さ(デスメ膜厚)の異常、角膜の厚さ(角膜厚)の異常などを判定する。また、被検者の両眼をそれぞれ検査することにより、異常が両眼性か片眼性か判定することも可能である。
疾患特定部255は、異常判定部246による異常の判定結果を、疾患情報245の各疾患名に対応する所見と照合して、被検眼Eの角膜内皮が罹患しているおそれがある疾患名を特定する。
このとき、全ての所見に対する判定結果が該当する場合に当該疾患名を特定するようにしてもよいし、一部の所見に対する判定結果が該当する場合に当該疾患名を特定するようにしてもよい。
たとえば、滴状角膜に対応する所見には、両眼性、角膜内皮細胞の不整等、角膜内皮前面のコラーゲン様物質、角膜内皮後面の疣状突起、及び、正常な角膜厚がある。このとき、これら全てに該当する判定結果が得られた場合に、罹患のおそれがある疾患名として「滴状角膜」を特定するように構成できる。また、これら所見のうちの一部のみに該当する判定結果が得られた場合に、罹患のおそれがある疾患名として「滴状角膜」を特定するように構成することも可能である。
また、ある疾患名に対応する複数の所見のうちの幾つの所見に該当する判定結果が得られたかによって、罹患の可能性を判定することが可能である。たとえば、滴状角膜に対応する所見のうちの1つ又は2つに該当する判定結果が得られた場合には「罹患の可能性が低い」と判定し、3つに該当する判定結果が得られた場合には「罹患の可能性が中程度」と判定し、4つ又は5つに該当する判定結果が得られた場合には「罹患の可能性が高い」と判定することができる。また、複数の所見のそれぞれに重み付けし、その重みの合計値によって罹患の可能性を判定することが可能である。
制御部21は、異常判定部246による判定結果を表示部22に表示させる。このとき、異常と判定された項目やその内容を個別に表示するようにしてもよい。また、被検眼Eの前眼部の画像(断層像、3次元画像等)を表示させることも可能である。特に、異常の判定結果とともに、その異常判定に用いられた画像を表示させることができる。また、異常の経時変化情報や、特定された疾患名などを表示させることも可能である。なお、最終的な診断を下すのは医師であり、表示される情報は診断支援という意味合いを持つ。
[作用・効果]
以上のように構成された前眼部観察装置100の作用及び効果を説明する。
前眼部観察装置100は、フルフィールドタイプのOCTを利用して、被検眼Eの前眼部の3次元画像を形成する。更に、前眼部観察装置100は、形成された3次元画像を解析して、前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定し、特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して角膜内皮の異常を判定する。
前眼部観察装置100により判定される異常の種類としては、角膜内皮の境界面の異常、角膜の層の異常、角膜内皮細胞の異常などがある。また、前眼部観察装置100によれば、角膜内皮の異常の経時変化情報を求めることもできるし、異常の判定結果に基づいて被検眼Eが罹患しているおそれのある疾患名を特定することもできる。
このような前眼部観察装置100によれば、フルフィールドタイプのOCTを利用しているので、スペキュラーマイクロスコープ等のような正反射光に関する問題がなく、したがって画像の一部が黒く抜けてしまうという不都合がない。
また、前眼部観察装置100によれば、スペキュラーマイクロスコープ等と異なり、照明光の照射方向と逆方向に進む反射光を検出する構成なので、異なる深度位置に存在する部位が水平方向にずれて観察されるという不都合がない。
更に、前眼部観察装置100によれば、角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域に基づいて角膜内皮の異常判定を行うことが可能である。したがって、角膜内皮の異常の有無や程度を自動で判定でき、前眼部観察の確度の向上や効率の向上などを図ることが可能である。
このような前眼部観察装置100によれば、被検眼Eの前眼部、特に角膜内皮及びその近傍部位(デスメ膜、前房等)の状態の詳細な観察が可能である。
[変形例]
以上で説明した内容は、この発明に係る前眼部観察装置の一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を施すことが可能である。
前述のように、デスメ膜のPNBZ層は、角膜内皮の異常(疾患)が先天性であるか後天性であるかの判定に利用可能である。この判定処理の例を説明する。
各異常(疾患名)について、先天性と後天性とを区別するための厚さの閾値情報を事前に作成して記憶部244に記憶させる。この閾値情報は、たとえば、多数の臨床データに基づいて作成することが可能である。
角膜内皮の異常が存在すると判定されたときに、異常判定部246は、画像領域特定部242により特定された角膜内皮領域を含む画像領域を構成する画素の画素値を解析して、PNBZ層に対応する各断層像中の画像領域を特定する。更に、異常判定部246は、このPNBZ層に対応する画像領域の厚さを求め、この厚さに基づいて当該異常が先天性か後天性かを判定する。この判定処理は、求められた厚さと閾値情報とを比較することにより実行される。
この変形例によれば、発見された異常が先天性か後天性かを自動で推定できるので、前眼部観察の確度の向上や効率の向上などを図ることができ、角膜内皮及びその近傍部位の状態の詳細な観察が可能となる。なお、取得された先天性か後天性かの判定結果を、上記の実施形態における各種処理(たとえば疾患名を特定する処理)に利用することが可能である。
この発明に係る前眼部観察装置は、3次元画像の複数の断面における断層像のそれぞれについて角膜内皮の異常を判定し、異常と判定された断層像を表示させる構成であってもよい。
この変形例では、上記実施形態と同様の光学系、変更手段及び形成手段によって前眼部の3次元画像を形成する。
この変形例の特定手段は、上記実施形態の画像領域特定部242と同様にして、この3次元画像の複数の断面における断層像(水平断層像や垂直断層像)を形成する。更に、この特定手段は、画像領域特定部242と同様の解析処理を各断層像に施して、角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する。
この発明の判定手段は、これら各断層像について、特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して角膜内皮の異常を判定する。この処理は、上記実施形態の異常判定部246と同様にして実行される。
それにより、上記複数の断層像は、異常と判定された断層像のグループと、異常と判定されなかった断層像のグループとに分けられる。このグループ分けは、異常の有無を基準として実行してもよいし、異常の程度を基準として実行してもよい。すなわち、前者においては、異常が有ると判定された断層像のグループと、異常が無いと判定された断層像のグループとに分けられ、後者においては、所定の程度を超える異常を有すると判定された断層像のグループと、所定の程度以下の異常を有すると判定された断層像(異常無しと判定されたものも含む)のグループとに分けられることになる。
異常と判定された断層像のグループは表示手段に表示される。この表示手段は、上記の実施形態における表示部22と同様である。当該グループに属する断層像は、制御部21と同様のマイクロプロセッサによって表示手段に表示される。
このとき、異常と判定された全ての断層像を一度に表示させてもよいし、その一部(一つ以上)の断層像を表示させてもよい。前者の場合、全ての断層像のそれぞれのサムネイルを作成して表示させるようにしてもよい。後者の場合、スライドショー形式で順次に断層像を切り替え表示させてもよいし、オペレータの指示(操作部23を用いる)に応じて断層像を切り替え表示させてもよい。
この変形例によれば、上記の実施形態と同様に、正反射光に関する問題によって画像の一部が黒く抜けてしまうという不都合がなく、異なる深度位置に存在する部位が水平方向にずれて観察されるという不都合がない。
更に、この変形例によれば、複数の断層像について角膜内皮の異常判定を行い、異常と判定された断層像を表示するように構成されているので、検者は、異常が存在すると判定された部位を重点的に観察できる。それにより、前眼部観察の確度や効率の向上を図ることが可能である。このように、この変形例によれば、被検眼の前眼部、特に角膜内皮及びその近傍部位の状態の詳細な観察が可能である。
上記の実施形態では、角膜内皮の境界面の異常、角膜の層の異常、及び角膜内皮細胞の異常を判定可能な構成を説明したが、これらのうちの少なくとも一つの異常を判定可能に構成することも可能である。
また、上記の実施形態では、角膜内皮の異常の経時変化情報を求めたり、被検眼が罹患しているおそれのある疾患名を特定したりすることが可能であるが、これらの処理の一方のみを実行可能に構成することもできるし、これらの処理の双方を実行しない構成を採用することもできる。
また、角膜後面に沈着物が蓄積する異常について、従来の技術では画像観察によって沈着物の種類を特定できなかったため、所定の処置具を眼球に挿入して前房から沈着物を採取し、それを培養して光学顕微鏡等で観察していた。このような手法は、患者に与える負担も大きく、種類特定までに長い時間を要していた。
この発明に係る前眼部観察装置によれば、このような問題を解決することが可能である。そのために、沈着物の種類毎に、沈着物の微細構造(OCT画像における形状やサイズや配列等の特徴)や、沈着物の蓄積態様を予めデータ化し、沈着物情報として記憶しておく。この沈着物情報は、沈着物の種類と、沈着物の微細構造や蓄積態様とを対応付ける情報である。
そして、実際の検査において、被検眼の前眼部の3次元画像を取得し、この3次元画像において角膜後面(角膜内皮後面)に相当する画像領域を特定し、この画像領域に沈着物に相当する画像領域(沈着物領域)が存在するか判定する。この判定処理は、たとえば、上記実施形態で説明したベースカーブを用いた手法で実行される。
沈着物領域が存在する場合、この沈着物領域に含まれる画素の画素値を解析して沈着物の微細構造や蓄積態様を求め、この微細構造等と沈着物情報とに基づいて沈着物の種類を特定する。
このような処理を実行することにより、画像観察によって沈着物の種類を特定できるので、患者に与える負担を大幅に低減できるとともに、沈着物の種類特定を短時間で行うことが可能となる。
3次元画像の複数の断面における断層像のうち、異常と判定された断層像を表示するように前眼部観察装置を構成することが可能である。この変形例に係る前眼部観察装置は、たとえば、上記の実施形態と同様にして前眼部の3次元画像を形成する。
次に、この変形例に係る前眼部観察装置は、この前眼部の3次元画像の複数の断面における断層像を解析して角膜内皮領域を特定する。この処理は、たとえば、上記実施形態の画像領域特定部242と同様にして実行される。
続いて、この変形例に係る前眼部観察装置は、3次元画像の各断層像について、特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して角膜内皮の異常を判定する。この処理は、たとえば、上記実施形態の異常判定部246と同様にして実行される。
更に、この変形例に係る前眼部観察装置は、上記複数の断層像のうち、異常と判定された断層像を表示する。これら断層像は、たとえば、制御部21によって表示部22に表示される。
このような変形例によれば、フルフィールドタイプのOCTを利用しているので正反射光に関する問題がなく、画像の一部が黒く抜けてしまうという不都合がない。また、この変形例によれば、照明光の照射方向と逆方向に進む反射光を検出する構成なので、異なる深度位置に存在する部位が水平方向にずれて観察されるという不都合がない。更に、この変形例によれば、複数の断層像について角膜内皮の異常判定を行い、異常と判定された断層像を表示するように構成されているので、検者(医師等)は、異常が存在すると判定された部位を重点的に観察でき、それにより、前眼部観察の確度の向上や効率の向上などを図ることが可能である。したがって、この変形例によれば、被検眼の前眼部、特に角膜内皮及びその近傍部位の状態の詳細な観察が可能である。
上記の実施形態では、参照光Rの偏光特性を変換するようになっているが、信号光Sの偏光特性を変換するようにしてもよい。その場合、信号光Sの光路上に波長板、偏光板、ガラス板を設ける。
上記の実施形態では、波長板と偏光板を用いて偏光特性の変換を行っているが、偏光特性を変換可能な任意の光学素子を用いることが可能である。また、上述の構成では、参照光Rを円偏光に変換しているが、参照光R又は信号光Sを任意の偏光特性(直線偏光、楕円偏光)に変換するように構成することも可能である。
上記の実施形態では、ガラス板を用いて干渉計の両アームにて発生する分散を補正しているが、分散の補正が可能な任意の形態の光学素子等の分散補正光学素子を適用することも可能である。
上記の実施形態では、CCD16、17を用いて干渉光Lを検出しているが、たとえばCMOS等の任意の2次元光センサアレイをCCDの代わりに適用できる。
上記の実施形態では、広帯域光の連続光を用いるとともに、CCD16、17の露光時間を短時間にすることで、被検眼Eの動きなどに対処しているが、このような構成に限定されるものではない。
たとえば、広帯域光(連続光)の光路上に光チョッパを配設し、この光チョッパによって広帯域光を周期的に遮断してパルス状の広帯域光を生成し、各パルスをCCD16、17で検出するようにしてもよい。
なお、光チョッパによる広帯域光の遮断周期は1ms程度であり、露光時間(30〜50μs程度)と比べて長い。したがって、被検眼Eの動きが速い場合などには露光時間を制御することが望ましい。
また、たとえばキセノンランプ等の光源を用いてフラッシュ光からなる広帯域光を出力し、各フラッシュ光をCCD16、17で検出するように構成してもよい。
また、上記の実施形態では、位相差90度の2つの検出信号C、C(C′、C′)一度の計測で取得するようになっているが、たとえば波長板4としてλ/2板を用いて位相差180度の2つの検出信号を取得するようにしてもよい。この場合、参照光Rの第1の光路長と第2の光路長は、第1の検出処理により得られる検出信号と第2の検出処理において得られる検出信号とが位相差90度を有するような距離間隔となるようにあらかじめ設定される。それにより、位相差90度ごとの4つの検出信号を取得することができる。
以上の実施形態等においては、マイケルソン型の干渉計を備えた光画像計測装置について説明したが、例えばマッハツェンダー型などその他の干渉計を採用することも当然に可能である。
また、干渉計の一部に光ファイバ(バンドル)を設けて導光部材として用いることにより、装置設計上の自由度を高めたり、装置のコンパクト化を図ったり、あるいは、被測定物体の配置の自由度を高めたりすることができる。
この発明に係る前眼部観察装置は、以上に説明した実施形態や変形例の構成を任意に組み合わせたものであってもよい。これらの構成の組み合わせにより、各構成に特有の作用・効果を組み合わせた作用・効果を少なくとも有する前眼部観察装置が形成される。
100 前眼部観察装置
1 光源ユニット
2 フィルタ
3 ビームスプリッタ
4 波長板
5 偏光板
6、15 反射ミラー
7 ガラス板
8、11 対物レンズ
9 参照鏡
10 参照鏡移動機構
12 開口絞り
13 結像レンズ
14 偏光ビームスプリッタ
16、17 CCD
20 コンピュータ
21 制御部
22 表示部
23 操作部
24 信号処理部
241 画像形成部
242 画像領域特定部
243 断層像形成部
244 記憶部
245 疾患情報
246 異常判定部
247 境界領域特定部
248 ベースカーブ特定部
249 境界形状解析部
250 層領域特定部
251 層領域解析部
252 細胞領域特定部
253 細胞状態解析部
254 経時変化解析部
255 疾患特定部

Claims (13)

  1. 光ビームを信号光と参照光とに分割し、被検眼の前眼部を経由した前記信号光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、
    前記参照光の光路長及び/又は前記信号光の光路長を変更する変更手段と、
    前記変更手段により前記光路長を変更しつつ前記光学系により検出された前記干渉光に基づいて前記前眼部の3次元画像を形成する形成手段と、
    前記形成された3次元画像を解析して、前記前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する特定手段と、
    前記特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して、前記角膜内皮の異常を判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする前眼部観察装置。
  2. 前記特定手段は、前記3次元画像の所定の断面における断層像を解析して、前記角膜内皮領域の特定を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の前眼部観察装置。
  3. 前記特定手段は、前記3次元画像に基づいて、前記前眼部に対する前記信号光の入射方向に平行な断面における断層像を形成する断層像形成手段を含み、該形成された断層像を構成する画素の画素値を解析して前記角膜内皮領域の特定を行う、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の前眼部観察装置。
  4. 前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記角膜内皮の境界面に対応する前記断層像中の境界領域を特定する境界領域特定手段を含み、該特定された境界領域の形状に基づいて前記異常の判定を行う、
    ことを特徴とする請求項3に記載の前眼部観察装置。
  5. 前記判定手段は、前記境界領域を構成する画素の配列を解析して、前記境界面における凹凸を検出する凹凸検出手段を含み、前記検出された凹凸に基づいて前記異常の判定を行う、
    ことを特徴とする請求項4に記載の前眼部観察装置。
  6. 前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記前眼部の所定の層に対応する前記断層像中の層領域を特定する層領域特定手段を含み、該特定された層領域の厚さを求め、前記厚さに基づいて前記異常の判定を行う、
    ことを特徴とする請求項3に記載の前眼部観察装置。
  7. 前記角膜内皮の異常が存在すると判定されたときに、前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記前眼部のデスメ膜のPNBZ層に対応する前記断層像中の画像領域を特定し、該特定された画像領域の厚さを求め、前記求められた厚さに基づいて当該異常が先天性か後天性かを判定する、
    ことを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載の前眼部観察装置。
  8. 前記特定手段は、前記3次元画像に基づいて、前記前眼部に対する前記信号光の入射方向に直交する断面における断層像を形成する断層像形成手段を含み、該形成された断層像を構成する画素の画素値を解析して前記角膜内皮領域の特定を行う、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の前眼部観察装置。
  9. 前記判定手段は、前記画像領域を構成する画素の画素値に基づいて、前記角膜内皮を構成する角膜内皮細胞に対応する前記角膜内皮領域中の複数の細胞領域を特定する細胞領域特定手段と、該特定された複数の細胞領域に基づいて前記角膜内皮細胞の状態の評価情報を求める評価手段とを含み、前記求められた評価情報に基づいて前記異常の判定を行う、
    ことを特徴とする請求項8に記載の前眼部観察装置。
  10. 前記評価手段は、前記評価情報として、細胞密度、最大細胞面積、最小細胞面積、平均細胞面積、面積標準偏差、細胞面積の変動係数、六角形状の細胞領域の出現率、及び、細胞面積のヒストグラムのうちの少なくとも一つを求める、
    ことを特徴とする請求項9に記載の前眼部観察装置。
  11. 前記判定手段は、前記角膜内皮の異常の判定結果を記憶する記憶手段を含み、当該被検眼についての新たな異常の判定結果と前記記憶された過去の判定結果とを比較し、当該比較結果に基づいて前記角膜内皮の経時変化情報を求める、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の前眼部観察装置。
  12. 前記判定手段は、疾患名と角膜内皮の異常とを対応付ける疾患情報を予め記憶する記憶手段を含み、前記疾患情報に基づいて前記角膜内皮の異常の判定結果に対応する疾患名を特定する、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の前眼部観察装置。
  13. 光ビームを信号光と参照光とに分割し、被検眼の前眼部を経由した前記信号光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、
    前記参照光の光路長及び/又は前記信号光の光路長を変更する変更手段と、
    前記変更手段により前記光路長を変更しつつ前記光学系により検出された前記干渉光に基づいて前記前眼部の3次元画像を形成する形成手段と、
    前記形成された3次元画像の複数の断面における断層像を解析して、前記前眼部の角膜内皮に対応する角膜内皮領域を特定する特定手段と、
    前記複数の断層像のそれぞれについて、前記特定された角膜内皮領域及びその近傍領域を含む画像領域を解析して、前記角膜内皮の異常を判定する判定手段と、
    前記複数の断層像のうち前記異常と判定された断層像を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とする前眼部観察装置。
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