JP2010267961A - 液浸リソグラフィ装置およびデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液浸液が基板に及ぼす力を予測し、かつポジショナによって及ぼされる外乱力などの打ち消す力を制御するための改良配置を提供する。
【解決手段】液浸リソグラフィ装置は、基板と投影システムとの間の空間内の液浸液の圧力を測定するように構成された圧力センサを有する。制御システムは、圧力センサによって生成された圧力信号に応答し、液浸液によって基板テーブルに及ぼされる力を補償するように基板テーブルに力を及ぼすポジショナを制御する。
【選択図】図6
【解決手段】液浸リソグラフィ装置は、基板と投影システムとの間の空間内の液浸液の圧力を測定するように構成された圧力センサを有する。制御システムは、圧力センサによって生成された圧力信号に応答し、液浸液によって基板テーブルに及ぼされる力を補償するように基板テーブルに力を及ぼすポジショナを制御する。
【選択図】図6
Description
[0001] 本発明は、液浸リソグラフィ装置およびデバイス製造方法に関する。
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
[0003] 投影システムの最終エレメントと基板との間の空間を満たすために、比較的高屈折率を有する液体、例えば水の中にリソグラフィ投影装置内の基板を浸漬させることが提案されてきた。一実施形態において、液体は蒸留水であるが、別の液体も使用できる。本発明の一実施形態について、液体に関連して説明する。しかし、別の流体、特に湿潤流体、非圧縮流体、および/または空気より高い屈折率、望ましくは水より高い屈折率を有する流体が適切な場合もある。気体を除く流体が特に望ましい。上記の要点は、露光放射は液体中でより短い波長を有するという理由で、より小さいフィーチャの結像を可能にすることである。(この液体の効果は、システムの有効開口数(NA)を増加させ、かつ焦点深度を深めるものと見なすこともできる。)固体粒子(例えば石英)が中に懸濁している水、またはナノ粒子懸濁液(例えば、最大寸法が10nmの粒子)などの、その他の液浸液も提案されている。懸濁された粒子は、粒子が懸濁された液体の屈折率と同等または同一の反射率を有してもよいし、有さなくてもよい。適切であり得る他の液体には、芳香族炭化水素、フッ化炭化水素、および/または水溶液が含まれる。
[0004] 基板、または基板および基板テーブルを液体浴に浸漬させること(例えば、米国特許第4、509、852号を参照)は、スキャン露光中に加速されなければならない大量の液体が存在することを意味する。このことは、追加のまたはより強力なモータを必要とし、液体中の乱流は、望ましくない予測不能な結果をもたらし得る。
[0005] 提案されている配置の1つは、液体供給システムが、液体閉じ込めシステムを使用して投影システムの最終エレメントと基板との間の基板の局所領域のみに液体を供給することである(基板は一般的に、投影システムの最終エレメントよりも大きい表面積を有する)。上記のために提案されている1つの方法は、PCT国際公開公報第99/49504号に開示されている。図2および図3に示すように、液体は、望ましくは最終エレメントに対する基板の移動方向に沿って、少なくとも1つのインレットによって基板上に供給され、投影システムの下を通過した後に、少なくとも1つのアウトレットによって除去される。すなわち、基板がエレメントの下方で−X方向にスキャンされると、液体は、エレメントの+X側で供給され、−X側で取り除かれる。
[0006] 図2は、液体がインレットを介して供給され、低圧力源に接続されているアウトレットによって、エレメントの他方の側で取り除かれるという配置を概略的に示す。基板Wの上方の矢印は液体流の方向を示し、基板Wの下方の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。図2では、液体が最終エレメントに対する基板の移動方向に沿って供給される様子が示されているが、必ずしもこのようである必要はない。さまざまな配向および数のインレットおよびアウトレットが最終エレメントの周りに配置されることが可能である。図3にその一例が示されており、両側にアウトレットを有するインレット4組が、最終エレメントの周りに一定のパターンで設けられている。液体供給/液体回収装置の矢印は液体流の方向を示す。
[0007] 提案されている別の配置は、液体供給システムにシール部材を設けることである。このシール部材は、投影システムの最終エレメントと基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在し得る。そのような配置が図4に示されている。図4の断面図において、矢印は、シール部材の開口を出入りする液体流の方向を示す。シール部材は、XY面で投影システムに対して実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)では多少の相対的移動があり得る。シールは、シール部材と基板表面との間に形成される。望ましくは、シールはガスシールなどの非接触シールである。ガスシールを有するそのようなシステムは、欧州特許出願公開第1、420、298号に開示され、また図5に図示される。
[0008] 欧州特許出願公開第1、420、300号では、ツインまたはデュアルステージ液浸リソグラフィ装置の考えが開示されている。そのような装置には、基板を支持するための2つのステージが設けられている。液浸液を用いずに、第1位置にあるステージを用いてレベリング測定が実行され、液浸液が存在する第2位置にあるステージを用いて露光が実行される。あるいは、装置は1つのステージのみを有する。
[0009] PCT国際公開公報第2005/064405号は、液浸液が閉じ込められないオールウェット配置を開示している。そのようなシステムでは、基板の上面全体が液体で覆われる。基板の上面全体が同じ露光条件にさらされることになるので、これは有益である。このことには、温度制御および基板処理に対する利点がある。PCT国際公開公報第2005/064405号では、液体供給システムは、投影システムの最終エレメントと基板との間のギャップに対して液体を供給する。その液体は基板の残りの上に漏れ出ることが可能である。基板テーブルの縁にあるバリアは、液体が流出するのを防ぐので、液体は、制御された方法で基板テーブルの上面から除去され得る。そのようなシステムは温度制御および基板処理を改善するものの、液浸液の蒸発は依然として起こり得る。その問題を軽減する1つの方法が、米国特許出願公開第2006−119809号に記載されており、基板Wをすべての位置で覆い、かつ液浸液がその部材と基板上面および/または基板を保持する基板テーブルとの間に広がるように配置される部材が設けられている。
[0010] 液浸リソグラフィ装置において、投影システムの最終エレメントと基板との間の空間に供給される液浸液は、基板または基板テーブルなどの対向面(facing surface)に力を及ぼす。液浸液が及ぼす力は、変動したり、基板および/または基板テーブルの位置を乱したりすることがある。この変動する力を受けて基板が望ましい位置から離れる場合、これは、焦点および/またはオーバーレイエラーさらには印刷イメージのぼけにつながり得る。液浸液が基板に及ぼす力は、基板テーブルのポジショナ、特にポジショナのショートストロークモジュールによって打ち消すことができる。しかし、ポジショナが及ぼす反作用力(counter-acting forces)の制御は困難である。
[0011] 例えば、液浸液が基板に及ぼす力を予測し、かつポジショナによって及ぼされる外乱力(disturbance forces)などの打ち消す力を制御するための改良配置を提供することが望ましい。
[0012] 本発明の一態様に従い、投影システムと基板との間の空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にイメージを投影するように配置された投影システムを有する液浸リソグラフィ装置が提供され、当該装置は、前記空間内の前記液浸液の圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサ、前記投影システムに対して前記基板テーブルを位置決めするように構成されたポジショナ、および前記圧力信号に応答し、かつ前記ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御するように構成された制御システムを含む。
[0013] 本発明の一態様に従い、リソグラフィ装置を使用して、基板に隣接する空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にパターン付与されたビームを投影することを含むデバイス製造方法が提供され、当該方法は、前記空間内の前記液浸液の圧力を測定すること、および前記圧力に応答して、ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御することを含む。
[0014] 本発明の一態様に従い、投影システムと基板との間の空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にイメージを投影するように配置された投影システムを含む液浸リソグラフィ装置が提供され、当該装置は、二相流の気体とともに前記空間から液浸液を抽出するように構成された抽出導管、および前記抽出導管のインレット内またはインレット付近に配置され、かつ前記空間内の前記液浸液の圧力を示す信号を生成するように構成された圧力センサを含む。
[0015] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
[0025] 図1は、本発明の一実施形態におけるリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、紫外線またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めるように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めるように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
[0026] 照明システムとILしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
[0027] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを支持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスMAを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを、例えば、投影システムPSに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
[0028] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
[0029] パターニングデバイスMAは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームをさまざまな方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
[0030] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。図1において、液体供給システムIHは、投影システムPSと基板Wとの間の液体を閉じ込めるように設けられる。
[0031] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
[0032] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
[0033] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SOとリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源SOは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOは、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
[0034] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータILの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。放射源SOと同様に、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとみなされてもよいし、みなされなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできるし、リソグラフィ装置とは別の構成要素とすることもできる。後者の場合には、リソグラフィ装置は、イルミネータILをリソグラフィ装置上に取り付けるように構成することができる。オプションとして、イルミネータILは着脱可能であり、(例えば、リソグラフィ装置の製造者や別の製造業者によって)別個に設けてもよい。
[0035] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めることもできる。
[0036] 通常、サポート構造MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分Cとターゲット部分Cとの間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
[0037] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
[0038] 1.ステップモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームBに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
[0039] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームBに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分Cの幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分Cの高さ(スキャン方向)が決まる。
[0040] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
[0041] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
[0042] 投影システムの最終エレメントと基板との間に液体を供給するための配置は、少なくとも2つの一般的なカテゴリーに分類することができる。これらは、浴型配置および局所液浸システムである。浴型配置において、基板の略全体および任意で基板の一部は液体の浴に浸漬される。いわゆる局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ供給される液体供給システムを使用する。後者のカテゴリーにおいて、液体によって満たされる空間は平面において基板の上面より小さく、基板が当該領域の下で動く一方、液体が満たされる領域は投影システムに対して実質的に静止している。
[0043] 本発明の実施形態が適用される更なる配置は、液体が閉じ込められないオールウェット解決策である。この配置において、基板上面の略全体および基板テーブルの全体または一部は液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は基板上の液体の膜、例えば薄膜であり得る。図2〜図5のいずれの液体供給装置もそのようなシステム内で使用され得るが、封止フィーチャは存在せず、作動されず、通常より効率的でなく、もしくは液体を局所領域のみに封じるのに効果的でない。
[0044] 4つの異なる局所液体供給システムを図2〜図5に示す。図2〜図4に示す液体供給システムは上述した通りである。提案されている別の配置は、液体供給システムが、投影システムの最終エレメントと基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる液体閉じ込め構造を備えるものである。そのような配置が図5に示されている。
[0045] 液体閉じ込め構造は、XY平面において投影システムに対して実質的に静止しているがZ方向(光軸の方向)には多少の相対移動があり得る。シールは液体閉じ込め構造と基板表面との間に形成される。一実施形態においては、液体閉じ込め構造と基板表面との間にはシールが形成されており、ガスシールなどの非接触シールとすることもできる。そのようなシステムは、米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されている。
[0046] 図5は、投影システムPSの最終エレメントと基板テーブルWTまたは基板Wとの間の空間11の境界の少なくとも一部に沿って延びる、バリア部材または液体閉じ込め構造を形成する本体12を有する(流体ハンドリング構造の一例としての)局所液体供給システムを概略的に示す。(なお、以下本明細書における基板Wの表面についての言及は、明示的に別段の定めをした場合を除き、さらにまたはあるいは基板テーブルWTの表面を示す。)液体閉じ込め構造は、XY平面において投影システムPSに対して実質的に静止しているがZ方向(光軸の方向)には多少の相対移動があり得る。一実施形態においては、シールは本体12と基板Wの表面との間に形成され、流体(例えば、気体)シールや毛細管シールなどの非接触シールとすることができる。
[0047] 流体ハンドリング装置は、投影システムPSの最終エレメントと基板Wとの間の空間11内に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板Wに対するガスシール16などの非接触シールは、液体が基板Wの表面と投影システムPSの最終エレメントとの間の空間11内に閉じ込められるように、投影システムPSのイメージフィールドの周りに形成することができる。空間11は、投影システムPSの最終エレメントの下および当該エレメントを取り囲んで位置決めされた本体12によって少なくとも部分的に形成される。液体は、液体インレット13によって、投影システムPSの下方かつ本体12の内部の空間11に運ばれる。液体は、液体アウトレット13によって除去することができる。本体12は、投影システムPSの最終エレメントの少し上方に延在し得る。液面は、液体のバッファが設けられるように最終エレメントより高くなる。一実施形態において、本体12は、上端で投影システムPSまたは投影システムPSの最終エレメントの形状に厳密に一致する、例えば円形でもよい内周部を有する。底部において、この内周部は、イメージフィールドの形状、例えば長方形に厳密に一致するが、必ずしもこのようにする必要はない。
[0048] 液体は、使用中に本体12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められ得る。ガスシール16は、空気または合成空気などの気体で形成されるが、一実施形態では、N2または別の不活性気体である。ガスシール16内の気体は、圧力下でインレット15を介して本体12と基板Wとの間のギャップに供給される。気体はアウトレット14を介して抽出される。気体インレット15への過剰圧力、アウトレット14への真空レベル、およびギャップのジオメトリは、液体を閉じ込める内側への高速の気体流が存在するように定められる。本体12と基板Wとの間の液体に対する気体の力は、空間11内に液体を封じ込める。そのインレット/アウトレットは空間11を取り囲む環状溝とすることができ、各環状溝は連続または非連続であり得る。気体流は、液体を空間11に封じ込めるのに効果的である。そのようなシステムは、米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されている。
[0049] 図5の例は、液体が常に基板Wの上面の局所領域にのみ供給される、いわゆる局所領域配置である。他の配置、例えば米国特許出願公開第2006−0038968号に開示されるような単相抽出器(二相モードで機能しようとしなかろうと)を利用する流体ハンドリングシステムも可能である。
[0050] 一実施形態において、単相抽出器は、単一液相液体抽出を可能とするように液体を気体から分離するために使用される多孔質材料に覆われるインレットを含み得る。多孔質材料の下流のチャンバはやや低い圧力(slight under pressure)に維持され、液体で満たされる。チャンバ内の低圧は、周囲気体がチャンバに引き込まれるのを多孔質材料の穴に形成されるメニスカスが防ぐ程度になっている。しかし、多孔質表面が液体に接触する場合に、流れを制限するメニスカスは存在せず、液体はチャンバ内に自由に流れ込むことができる。多孔質材料は多数の小径穴を有し、例えば、5〜50μmの直径を有する。一実施形態において、多孔質材料は少なくともわずかに親液性(例えば、親水性)であり、すなわち、液浸液、例えば水に対して90°未満の静止接触角を有する。
[0051] 別の可能な配置は、気体抵抗原理(gas drag principle)に基づいて機能する配置である。いわゆる気体抵抗原理は、例えば、米国特許出願第2008−0212046号および2008年5月8日出願の米国特許出願第61/071、621号に記載されている。そのシステムにおいて、抽出開口は、望ましくは角を有する形状に配置される。角は、ステップスキャン方向に位置合わせすることができる。これにより、2つのアウトレットがスキャン方向に対して垂直に位置合わせされる場合と比較して、ステップまたはスキャン方向に所定の速度で流体ハンドリング構造の表面内の2つの開口間のメニスカスにかかる力が低減される。一実施形態において、開口は多孔質部材によって覆われ得る。
[0052]本発明の一実施形態は、オールウェット液浸装置において使用される流体ハンドリング構造に適用され得る。オールウェット実施形態において、例えば、投影システムの最終エレメントと基板との間に液体を閉じ込める閉じ込め構造から液体を漏れさせることによって、流体が基板テーブルの上面全体を覆うことができる。オールウェット実施形態に対しての流体ハンドリング構造の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年9月2日に出願された米国特許出願第61/136、380号に記載されている。
[0053] 液浸リソグラフィ装置、特に、液浸液が投影システムと基板との間の空間に局所化される液浸リソグラフィ装置においては、液浸液によって基板および/または基板テーブル上に力が及ぼされ得る。なお、本明細書における基板に対する圧力変動の振動などによる加力についての言及は、明示的に別段の定めをした場合を除き、さらにまたはあるいは基板テーブルへの加力についての言及を含む。これらの力は変動し得る。液浸液が基板に及ぼす力の変動は、液体供給システム、例えば、液体閉じ込め構造12の動きによって引き起こされ得る。そのような液体供給システムの動きは液浸液の圧力変動を引き起こすことがあり、その結果、基板に及ぼされる力が変動することになる。液体供給システムの動きを測定する加速計を提供することが提案されている。液浸供給システムの加速度の測定は、基板テーブルポジショナPWを介して補償力が加えられるように、基板に及ぼされる力の予測のために使用されてよい。しかし、本発明者は、液体供給システムの加速度と基板テーブルに作用する力の相関関係は弱いと判断した。従って、液体供給システムの加速度に基づくポジショナPWが及ぼす力のフィードフォワードコントロールは、基板の位置誤差の大幅な減少をもたらさない。
[0054] 本発明の一実施形態では、圧力センサは投影システムPSの最終エレメントFLと対向面、例えば、基板Wまたは基板テーブルWTとの間の空間内の液浸液の圧力を直接的または間接的に測定するために設けられる。この測定の結果は、液浸液が及ぼすあらゆる変動力を打ち消すために、ポジショナPWが基板に及ぼす力の制御に使用される。このように、基板テーブルの位置を一定に維持することができ、デフォーカス、オーバーレイおよびイメージボケなどの結像誤差が低減される。
[0055] 図6は、バリア部材12を含む液体供給システムの一部を示す。上述の通り、バリア部材12は、主として、最終エレメントFLと基板Wとの間に空間に液浸液11を閉じ込める機能を果たす。しかし、バリア部材12の下面12aと基板Wとの間に、液浸液11が流出し得るギャップが存在する。このギャップを通る液浸液11の流出を防止または制限するために、メニスカス固定装置(meniscus pinning device)などのシールが設けられる。この実施形態では、シールは、バリア部材12の周りに間隔を置き、かつ下面12aに通じる複数の抽出導管121の形態をとる。抽出導管121は気体抵抗原理に従って作動するように構成される。抽出導管121は、マニホルド122および追加抽出導管123を介して(図示しない)低圧部に接続される。マニホルド122は、バリア部材12内の環状または略環状のチャンバの形態をとり得る。低圧により、周囲からの気体、例えば空気は抽出導管121に引き込まれ、メニスカス11aからの液浸液がともに搬送されて抽出導管内に二相流を形成する。一実施形態において、バリア部材12は、大気圧への漏れ口(leak)の形態をとり得る圧力制御装置124、および基板W上に残され得るあらゆる液体を処理するガスナイフ装置125も備える。
[0056] ポジショナPWに対する制御信号を生成するために使用する圧力センサは、いくつかの異なる場所に設けられ得る。例えば、圧力センサ201aは、1つの抽出導管121のインレットまたはその付近に設けられてよい。複数の抽出導管121のインレットまたはその付近にそれぞれ設けられる複数の圧力センサ201aが使用されてもよい。圧力センサ201aの数は、1つの圧力センサが各抽出導管121に設けられるように、抽出導管121の数と同じであってよい。あるいは圧力センサ201aの数は、抽出導管121の数より少なくてよい。この場合、圧力センサ201aは、望ましくは抽出導管121の代表サンプルに設けられる。例えば、圧力センサ201aの数が抽出導管121の数のN分の1である場合、圧力センサはN番目の抽出導管ごとに設けられ得る。ここで、Nは整数であり、例えば2〜10の範囲内である。
[0057] 抽出導管121に設けられる圧力センサ201aに加えて、またはこの圧力センサ201aの代替物として、1つ以上の圧力センサがバリア部材12の下面12a上に設けられ得る。例えば、圧力センサ201bは、抽出導管121が形成するメニスカス固定装置の内側に、例えば、投影システムPSの光軸に対して半径方向内向きに、液浸液11が占める空間内に、または液浸液11が占める空間に向けて設けられる。一実施形態において、圧力センサ201cは、メニスカス固定装置の外側に、例えば、投影システムPSの光軸に対して半径方向外向きに、液浸液11が占める空間の外側に、または液浸液11が占める空間からメニスカス固定装置よりさらに離れて設けられる。圧力センサ201bおよび201cなどの圧力センサがバリア部材12の下面に設けられる場合、そのような複数のセンサはバリア部材12の周りに間隔を置いて設けられ得る。バリア部材12の下面12aに設けられる圧力センサの数は、抽出導管121の数より少ない、同じ、または多い数でよい。下面12aに設けられる圧力センサの数は、液浸液11の圧力を正確にサンプリングするのに十分であることが望ましい。
[0058] また、オプションとして、またはさらに、圧力センサ201dがマニホルド122内の圧力を測定するために設けられ得る。マニホルド122の断面積および体積は、抽出導管121の断面積および体積より実質的に大きいため、マニホルド122内の圧力は実質的に一定である。従って、1つの圧力センサ201dはマニホルド122内の圧力を正確に測定するのに十分であり得る。しかし、例えば冗長バックアップとして、または誤差を低減するための平均化を可能とするために、マニホルド122の周りに間隔を置いて少数の圧力センサ201dを設けることが可能である。さらに、圧力センサ201eは、液体および/または気体をマニホルド122から抽出する抽出導管123内の圧力を測定するために設けられ得る。
[0059] 圧力センサ201a〜201eのいずれか1つとして使用する適切な圧力センサは、1 Willow Tree Road、Leonia、New Jersey 07605に所在のKulite Semiconductor Products Inc.から入手可能なXCL−100小型IS圧力変換器(miniature IS pressure transducer)である。しかし、液体および/または気体の圧力を測定可能なセンサまたはセンサの組合せは、本発明に従って使用され得る。
[0060] すべての圧力センサ201a〜201eは、バリア部材12と基板Wとの間のギャップ内の液浸液11および/または気体の圧力を示す信号を生成する。基板を所望の位置に維持するために、この圧力は、ポジショナPW、特にポジショナPWのショートストロークモジュールが及ぼす力に打ち消されるべき基板に対する下向きの力を引き起こす。従って、圧力センサまたは複数の圧力センサの出力信号psは、図7に示す制御システム200に提供される。制御システム200は、圧力センサ201a〜201eによって生成される圧力信号psを受信し、ポジショナPWに供給される制御信号csを生成するコントローラ202を含む。制御信号csに応答して、ポジショナPWは基板テーブルWTに力fdを及ぼし、これにより液浸液11が及ぼす力flを打ち消す。コントローラ202は、メモリ装置204に記憶され得る所定の伝達関数に基づいて圧力信号psから制御信号csを計算する。制御信号csを計算する際に、コントローラ202は、他の外乱力またはセットポイントジェネレータ203によって与えられるような基板テーブルWTの所望の移動を考慮し得る。液浸液が及ぼす圧力の変動は、アクチュエータを介して反作用力を加えることに加えて、またはこの代替案として、メニスカス固定装置を介する気体および液体の抽出率および/または液浸液の供給率を変更することによって補償されてもよい。
[0061] 1つの圧力センサ、または出力が合計もしくは平均される複数の圧力センサを用いる簡単な配置において、伝達関数は、(合計または平均)圧力信号に較正値を乗じる簡単な乗算であり得る。この較正値は経験的にまたは理論的に導出され得る。力は圧力と面積の積に等しいため、較正値は、液浸液11が基板Wに及ぼす圧力がかかる面積と同等であると見なされ得る。しかし、本発明者らは、一実施形態において、液浸液11の圧力はバリア部材12の内部の空間のほとんどにわたって略一定であると判断した。液浸液11の圧力変動は、メニスカス固定装置の近傍の領域に概ね集中する。従って、較正値は、基板W上の液浸液の実面積より実質的に小さくなり得る。
[0062] 複数の圧力センサが使用される実施形態において、各圧力センサの出力に当該圧力センサの較正値を乗じ、結果として得られる複数の制御信号が結合されて1つの制御信号がポジショナPWに供給され得る。また、圧力センサ201a〜201eによって測定されるような圧力に対して基板テーブルへの正味の力が直線的に関連しない場合、より複雑な伝達関数を使用することが可能である。
[0063] 液浸液の圧力は、基板Wの表面に対して垂直、すなわち図1に示すようなZ方向に力を及ぼすが、その力は一般的に基板Wおよび基板テーブルWTの質量中心を通らない。それ故に、圧力は、X軸およびY軸を中心として基板Wおよび基板テーブルWTを回転させるように作用することにもなる。従って、圧力flに直接に対抗するように補償力fdの加力点が調整可能でない限り、ポジショナPWは回転力Rx、RyならびにZ方向の移行力(transitional forces)も作用させることが望ましい。液浸液11内の圧力が実質上空間的に均一である場合、回転力Rx、Ryは、圧力flの加力位置を決定する、投影システムPSに対する基板テーブルWTの位置に基づいて計算され得る。しかし、複数の圧力センサが設けられる場合、回転力Rx、Ryを計算するために、液浸液11内の圧力の空間分布を考慮することも可能である。
[0064] 図8は、本発明の一実施形態とともに実行される測定の結果を示す。グラフは、抽出導管121内の圧力センサ(201a)の測定値と周波数の関数としての基板Wに及ぼされる力との間のコヒーレンス度を示す。図に示すように、コヒーレンスは、約150Hzの周波数に対して平均90%以上である。これによって、この周波数範囲での基板の位置決めエラーの大幅な減少が可能になり、これは正確な結像に極めて重要である。
[0065] 本発明の別の実施形態が図9および図10に示されている。図9は、基板テーブルWTの概略図であり、図10は、ウェーハWの縁の近傍の基板テーブルWTの断面図である。図に示すように、ウェーハWは、ウェーハテーブルWTの窪み内のウェーハホルダWHによって支持される。また、基板テーブルWTの上面に存在するのはセンサSSおよびセンサTSならびに洗浄ステーションCSである。ギャップGは、基板Wの縁とウェーハテーブルWTの窪みの側壁との間に存在する。同様のギャップがセンサSSおよびセンサTSの周りに存在してもよい。基板テーブルWTが移動して基板Wの縁に近いターゲット部分が露光されると、液浸液11によって覆われる領域は図9に示すようにギャップGにわたって広がる。このことが起きると、液浸液11はギャップGの中に消える。こうした液体を除去するために、複数のギャップ抽出導管31がギャップGの周りに間隔を置いて設けられる。図では8つの抽出導管31が設けられているが、他の実施形態においてそれ以上または以下の抽出導管31が使用されてもよい。例えば、3、6または10個の抽出アウトレットが存在してよい。
[0066] 液浸液11が常に環状ギャップGの一部のみに存在することになるので、液浸液11の圧力は、基板W面内の基板テーブルWTまたは基板Wに力を及ぼし得る。圧力センサ201fは、基板テーブルWTまたは基板Wに及ぼされる力を示す液浸液11の圧力を測定するために、各抽出導管31内に設けられる。圧力センサ201fが供給する圧力信号がコントローラ202によって考慮されて、ポジショナPWが及ぼす反作用力が計算される。反作用力fdは、あらゆる方向の移行力、回転力、または移行力と回転力の合計であり得る。
[0067] 本発明の一実施形態では、1つ以上の圧力センサは、装置の観点から二相流を受取る、あらゆる他の開口または導管内に設けられ得る。例えば、圧力センサは、基板テーブルWT内に画定され、かつ基板の下および任意で基板ホルダの下に位置決めされる流体抽出開口50、シャッター部材CLD60の縁にある基板テーブルWTの表面に画定される流体抽出開口55、または空間11から液体を除去するように配置された流体抽出開口、例えば、液浸液を除去する際のアウトレット13、に設けられ得る。流体抽出開口50は、基板の下に漏れる液体を除去するように構成される。液体は二相流に向けて除去される。シャッター部材は、基板交換中に空間11内に液体を保持するために使用される。シャッター部材は、クロージングディスクCLD、着脱可能なブリッジング装置60、または第2基板テーブルもしくは測定テーブルなどの別のテーブルであり得る。液浸空間11の下の面は、基板テーブルの表面からシャッター部材CLD60の表面に変わるので、液体が流れ得る2つの面の間にギャップが存在し得る。流体抽出開口または複数のそのような開口は、ギャップの中に流出した液体を除去し、その液体は二相流内に抽出され得る。アウトレット13は、投影システムPSと液体閉じ込め構造13との間の液浸空間の上側メニスカスの付近に位置し得る。従って、液体は二相流体流内に抽出され得る。
[0068] 本発明の一実施形態は、投影システムと基板との間の空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にイメージを投影するように配置された投影システムを有する液浸リソグラフィ装置を含み、当該装置は、
前記空間内の前記液浸液の圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサ、
前記投影システムに対して前記基板テーブルを位置決めするように構成されたポジショナ、および
前記圧力信号に応答し、かつ前記ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御するように構成された制御システムを含む。
前記空間内の前記液浸液の圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサ、
前記投影システムに対して前記基板テーブルを位置決めするように構成されたポジショナ、および
前記圧力信号に応答し、かつ前記ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御するように構成された制御システムを含む。
[0069] 一実施形態において、前記圧力センサは、開口面の開口を介して前記空間から流出する液浸流体流と関連付けられる。
[0070] 本発明の一実施形態は、前記開口を介して前記空間から液浸液を抽出するように構成された抽出導管も含む。
[0071] 一実施形態において、前記センサは、前記抽出導管内または前記抽出導管付近に配置される。
[0072] 一実施形態において、前記抽出導管および関連している開口は、各々が開口を有する複数の抽出導管のうちの1つであり、前記複数の抽出導管は、前記空間から液浸液を抽出するように構成される。
[0073] 一実施形態において、前記複数の抽出導管の前記開口は、前記開口面に固定装置を画定し、前記固定装置は、使用中に前記開口面の液体に接触する一部と前記開口面の気体に接触する一部を隔てる。
[0074] 一実施形態において、前記センサは、前記開口面に設けられる。
[0075] 一実施形態において、前記圧力センサは、使用中に前記開口面の液体に接触する前記一部に配置される。
[0076] 一実施形態において、前記圧力センサは、使用中に前記開口面の気体に接触する前記一部に配置される。
[0077] 本発明の一実施形態は、前記抽出導管と流体連通するマニホルドも含む。
[0078] 一実施形態において、前記圧力センサは、前記マニホルド内の圧力を測定するように配置される。
[0079] 本発明の一実施形態は、前記マニホルドから流体を抽出するように構成された追加抽出導管も含み、前記圧力センサは、前記追加抽出導管内の圧力を測定するように配置される。
[0080] 一実施形態において、前記圧力センサは、複数の相隔たる圧力センサエレメントを含む。
[0081] 一実施形態において、前記開口面は、基板、基板テーブル、または両方に面する。
[0082] 本発明の一実施形態は、バリア部材をさらに含み、前記開口面は前記バリア部材の表面であり、前記バリア部材は、前記液浸液を前記空間に少なくとも部分的に閉じ込めるように構成される。
[0083] 一実施形態において、前記バリア部材は、前記空間を取り囲む。
[0084] 一実施形態において、前記流体流は、液体を含む二相流体流である。
[0085] 一実施形態において、前記制御システムは、前記圧力信号を、前記液浸液によって前記基板テーブルに及ぼされる力に関連付ける較正関数を記憶するように構成された記憶装置を含む。
[0086] 一実施形態において、前記較正関数は、ゲイン値を含む。
[0087] 本発明の一実施形態は、リソグラフィ装置を使用して、基板に隣接する空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にパターン付与されたビームを投影することを含むデバイス製造方法であって、当該方法は、
前記空間内の前記液浸液の圧力を測定すること、および
前記圧力に応答して、ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御することを含む。
前記空間内の前記液浸液の圧力を測定すること、および
前記圧力に応答して、ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御することを含む。
[0088] 本発明の一実施形態は、投影システムと基板との間の空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にイメージを投影するように配置された投影システムを含む液浸リソグラフィ装置であって、当該装置は、
二相流の気体とともに前記空間から液浸液を抽出するように構成された抽出導管、および
前記抽出導管のインレット内またはインレット付近に配置され、かつ前記空間内の前記液浸液の圧力を示す信号を生成するように構成された圧力センサを含む。
二相流の気体とともに前記空間から液浸液を抽出するように構成された抽出導管、および
前記抽出導管のインレット内またはインレット付近に配置され、かつ前記空間内の前記液浸液の圧力を示す信号を生成するように構成された圧力センサを含む。
[0089] 一実施形態において、二相流の気体とともに前記空間から液浸液を抽出するように構成された複数の抽出導管、および前記抽出導管の各々の前記インレット内または前記インレット付近に各々が配置され、かつ前記空間内の前記液浸液の圧力を示す信号を生成するように各々が構成された複数の圧力センサを含む。
[0090] 一実施形態において、前記圧力センサの数は、前記抽出導管の数以下である。
[0091] 一実施形態において、前記複数の抽出導管は、前記空間内の前記液浸液のメニスカスを固定するように構成されたメニスカス固定装置を形成する。
[0092] 理解されるように、上述の特徴のいずれも、他のいかなる特徴とともに使用することが可能であり、本出願に含まれ明示されるそれらの組合せに限定されない。
[0093] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
[0094] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)あらゆる種類の電磁放射を包含している。「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折および反射型光コンポーネントを含むさまざまな種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
[0095] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明の実施形態は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。さらに、機械読取可能命令は、2つ以上のコンピュータプログラムに具現化されてもよい。この2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ以上の異なるメモリおよび/またはデータ記憶媒体に記憶してもよい。
[0096] リソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内に位置する1つ以上のコンピュータプロセッサによって1つ以上のコンピュータプログラムが読み取られる場合、本明細書記載のコントローラは、各々または組み合わせて動作可能である。コントローラは、各々または組み合わせて信号を受信、処理および送信するためのあらゆる適切な構成を、有し得る。1つ以上のプロセッサは、コントローラのうちの少なくとも1つと通信するように構成される。例えば、各コントローラは、上述の方法を目的とする機械読取可能命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含んでよい。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体、および/またはそのような媒体を受信するハードウェアを含んでよい。従って、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読取可能命令に従って動作することができる。
[0097] 本発明の1つ以上の実施形態は、液浸液が浴の形態でまたは基板の局所表面領域上のみに供給されるか、または閉じ込められないかにかかわらず、あらゆる液浸リソグラフィ装置、特に上述の種類の液浸リソグラフィ装置(但し、これに限らない)に適用することができる。非閉じ込め配置においては、液浸液は基板および/または基板テーブルの表面上を流れ得るため、基板テーブルおよび/または基板の覆われていない表面の略全体が濡れることになる。このような非閉じ込め液浸システムでは、液体供給システムは液浸液を閉じ込めることはできず、または液浸液閉じ込めの一部(a proportion of immersion liquid confinement)を提供するが、実質的に完全な液浸液の閉じ込めは提供できない。
[0098] 液浸装置内で、液浸流体は流体ハンドリングシステム、デバイス、構造または装置によって取り扱われる。一実施形態では、流体ハンドリングシステムは液浸流体を供給することができ、従って流体供給システムとすることができる。一実施形態では、流体ハンドリングシステムは少なくとも部分的に液浸流体を閉じ込めることができ、従って流体閉じ込めシステムとすることができる。一実施形態では、流体ハンドリングシステムは液浸流体に対するバリアを設けることができ、従って流体閉じ込め構造などのバリア部材とすることができる。一実施形態では、流体ハンドリングシステムは、例えば液浸流体の流れおよび/または位置の制御に役立てるために、気体流を生成または使用することができる。気体流は、液浸流体を閉じ込めるシールを形成することができ、従って流体ハンドリング構造をシール部材と呼ぶことができ、そのようなシール部材は流体閉じ込め構造とすることができる。一実施形態では、液浸液は液浸流体として使用される。その場合、流体ハンドリングシステムは液体ハンドリングシステムとすることができる。前述した説明に関して、本パラグラフで流体に関して定義された特徴への言及は、液体に関して定義された特徴を含むと理解することができる。
[0099] 本明細書において考えられた液体供給システムは、広く解釈されなければならない。特定の実施形態において、液体供給システムは、投影システムと基板および/または基板テーブルとの間の空間に液体を供給する1つの機構または複数の構造の組合せであり得る。この液体供給システムは、1つ以上の構造、または1つ以上の液体開口、1つ以上の気体開口、もしくは二相流のための1つ以上の開口を含む1つ以上の流体開口の組合せを含むことができる。開口の各々は、液浸空間へのインレット(もしくは流体ハンドリング構造からのアウトレット)または液浸空間からのアウトレット(もしくは流体ハンドリング構造へのインレット)とすることができる。一実施形態において、空間の表面は基板および/または基板テーブルの一部としてよいか、または、空間の表面は基板および/または基板テーブルの表面を完全に覆っていてよいか、または、空間は基板および/または基板テーブルを包含していてよい。液体供給システムは、液体の位置、量、質、形状、流量、または他の特徴を制御するための1つ以上の要素を、任意でさらに含むことができる。
[00100] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。従って、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
Claims (24)
- 投影システムと基板との間の空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にイメージを投影する投影システム、
前記空間内の前記液浸液の圧力を示す圧力信号を生成する圧力センサ、
前記投影システムに対して前記基板テーブルを位置決めするポジショナ、および
前記圧力信号に応答し、かつ前記ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御する制御システム
を含む、液浸リソグラフィ装置。 - 前記圧力センサは、開口面の開口を介して前記空間から流出する液浸流体と関連付けられる、請求項1に記載の装置。
- 前記開口を介して前記空間から液浸液を抽出する抽出導管をさらに含む、請求項2に記載の装置。
- 前記センサは、前記抽出導管内または前記抽出導管付近に配置される、請求項3に記載の装置。
- 前記抽出導管および関連している開口は、各々が開口を有する複数の抽出導管のうちの1つであり、前記複数の抽出導管は、前記空間から液浸液を抽出する、請求項3に記載の装置。
- 前記複数の抽出導管の前記開口は、前記開口面に固定装置を画定し、前記固定装置は、使用中に液体に接触する前記開口面の一部と気体に接触する前記開口面の一部を隔てる、請求項5に記載の装置。
- 前記センサは、前記開口面に設けられる、請求項6に記載の装置。
- 前記圧力センサは、使用中に前記開口面の液体に接触する前記一部に配置される、請求項7に記載の装置。
- 前記圧力センサは、使用中に前記開口面の気体に接触する前記一部に配置される、請求項7に記載の装置。
- 前記抽出導管と流体連通するマニホルドをさらに含む、請求項6に記載の装置。
- 前記圧力センサは、前記マニホルド内の圧力を測定する、請求項10に記載の装置。
- 前記マニホルドから流体を抽出するように構成された追加抽出導管をさらに含み、前記圧力センサは、前記追加抽出導管内の圧力を測定する、請求項10に記載の装置。
- 前記圧力センサは、複数の相隔たる圧力センサエレメントを含む、請求項5に記載の装置。
- 前記開口面は、基板、基板テーブル、または両方に面する、請求項2に記載の装置。
- バリア部材をさらに含み、前記開口面は前記バリア部材の表面であり、前記バリア部材は、前記液浸液を前記空間に少なくとも部分的に閉じ込める、請求項14に記載の装置。
- 前記バリア部材は、前記空間を取り囲む、請求項15に記載の装置。
- 前記流体流は、液体を含む二相流体である、請求項2に記載の装置。
- 前記制御システムは、前記圧力信号を、前記液浸液によって前記基板テーブルに及ぼされる力に関連付ける較正関数を記憶する記憶装置を含む、請求項1に記載の装置。
- 前記較正関数は、ゲイン値を含む、請求項18に記載の装置。
- リソグラフィ装置を使用して、基板に隣接する空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にパターン付与されたビームを投影すること、
前記空間内の前記液浸液の圧力を測定すること、および
前記圧力に応答して、ポジショナによって前記基板テーブルに加えられる力を制御すること
を含む、デバイス製造方法。 - 投影システムと基板との間の空間内に供給された液浸液を介して、基板テーブルによって保持された前記基板上にイメージを投影するように配置された投影システム、
二相流の気体とともに前記空間から液浸液を抽出する抽出導管、および
前記抽出導管のインレット内またはインレット付近に配置され、かつ前記空間内の前記液浸液の圧力を示す信号を生成する圧力センサ
を含む、液浸リソグラフィ装置。 - 二相流の気体とともに前記空間から液浸液を抽出する複数の抽出導管、および前記抽出導管の各々の前記インレット内または前記インレット付近に各々が配置され、かつ前記空間内の前記液浸液の圧力を示す信号を生成する複数の圧力センサを含む、請求項21に記載の装置。
- 前記圧力センサの数は、前記抽出導管の数以下である、請求項22に記載の装置。
- 前記複数の抽出導管は、前記空間内の前記液浸液のメニスカスを固定するメニスカス固定装置を形成する、請求項22または23に記載の装置。
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