JP2010265588A - 防爆シート - Google Patents
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Abstract
【課題】防音性および耐久性に優れるとともに、取り扱いが容易な防爆シートを提供する。
【解決手段】防爆シート1は、高強力繊維にて形成される第1シート11、および、被破壊物の破壊音に対して第1シート11よりも高い防音性を有する第2シート12を有し、第1シート11と第2シート12とが高強力繊維の糸にて縫合される。これにより、防爆シート1を被破壊物上に被せる作業時間を短くすることができ、また、一定の防音性を確保するために比較的重くなる第2シート12に対して、高強力繊維にて形成されるために軽量な第1シート11が組み合わされることにより、防爆シート1が過度に重くなることも抑制され、防音性および耐久性に優れた防爆シート1の取り扱いを容易にすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】防爆シート1は、高強力繊維にて形成される第1シート11、および、被破壊物の破壊音に対して第1シート11よりも高い防音性を有する第2シート12を有し、第1シート11と第2シート12とが高強力繊維の糸にて縫合される。これにより、防爆シート1を被破壊物上に被せる作業時間を短くすることができ、また、一定の防音性を確保するために比較的重くなる第2シート12に対して、高強力繊維にて形成されるために軽量な第1シート11が組み合わされることにより、防爆シート1が過度に重くなることも抑制され、防音性および耐久性に優れた防爆シート1の取り扱いを容易にすることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、被破壊物の破壊時における破片の飛散を防止する防爆シートに関する。
近年、コンクリート構造物や岩石等の被破壊物を破壊する方法として、いわゆる放電衝撃力を利用した方法が用いられている。例えば、特許文献1では、金属細線を介して接続された一対の電極および水等の破壊用物質が収容された破壊容器を、被破壊物に形成された装着孔に挿入し、金属細線にコンデンサから電気エネルギーを短時間にて放電供給することにより破壊用物質を急激に気化させ、気化の際の膨張により被破壊物を破壊する方法が開示されている。
また、被破壊物を破壊する際には、破片の飛散を防止する防爆シートが用いられており、例えば、特許文献2では、高強度繊維からなる織物状シートを爆破物の周囲に設置することにより、爆破により破片や粉塵が飛散するのを防止する手法が開示されている。
ところで、被破壊物を破壊する際には、破片等の飛散を防止する以外に、破壊時の破壊音の広がりを抑制することが求められており、防爆シートを用いる場合にはその破損に対する耐久性も求められる。特許文献2のシートでは、高強度繊維にて形成されることにより、ある程度の耐久性が確保されるが、十分な防音性の確保は困難である。被破壊物の周囲の領域を防音板や防音シートにて囲むことにより防音性を確保することも考えられるが、防音板や防音シートを設置する煩雑な作業が必要となる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、防音性および耐久性に優れるとともに、取り扱いが容易な防爆シートを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、被破壊物の少なくとも一部を覆うことにより、前記被破壊物の破壊時における破片の飛散を防止する防爆シートであって、高強力繊維にて形成される第1シートと、前記被破壊物の破壊音に対して前記第1シートよりも高い防音性を有する第2シートとを有し、前記第1シートと前記第2シートとが、高強力繊維の糸にて縫合されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防爆シートであって、前記第1シートが高強力ポリアリレート繊維にて形成されている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の防爆シートであって、前記第1シートおよび前記糸が、同じ繊維にて形成されている。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の防爆シートであって、前記糸による複数の縫合線が格子状に、かつ、全面に形成されている。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の防爆シートであって、前記被破壊物の表面に複数の削孔が配列形成され、前記被破壊物を破壊する複数の破壊部が前記複数の削孔内にそれぞれ設けられ、前記第1シートが前記被破壊物の前記少なくとも一部を覆う状態において、前記複数の縫合線にて形成される各格子要素に対向する前記被破壊物の表面上の領域に0または1つの削孔のみが設けられる。
本発明によれば、防音性および耐久性に優れた防爆シートの取り扱いを容易にすることができる。
請求項2の発明では、防爆シートの強度を向上することができ、請求項4の発明では、第1シートと第2シートとを強固に縫合することができ、請求項5の発明では、防爆シートの破損を防止することができる。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る防爆シート1の平面図であり、図2は防爆シート1の断面図である。図1および図2に示すように、防爆シート1は、高強力ポリアリレート繊維にて形成される第1シート11(図2中にて太線にて示す。)、および、鉛およびポリエステル基布を含む層を2つのポリ塩化ビニル層にて挟んだ構造となる第2シート12を備え、第2シート12は第1シート11よりも高い防音性を有している。第1シート11および第2シート12は同じ大きさの矩形とされ、第1シート11と第2シート12とは、第1シート11と同じ高強力繊維の糸にて縫合されている。
図1に示す防爆シート1では、矩形の第2シート12(または第1シート11)の一辺に対して、例えば45度だけ傾斜した方向(以下、「第1縫合方向」という。)に平行な複数の縫合線(すなわち、上記糸による縫い目を示す線)13が第1縫合方向に垂直な方向(以下、「第2縫合方向」という。)に、例えば、300ミリメートル(mm)の一定のピッチにて形成されるとともに、第2縫合方向に平行な複数の縫合線13が第1縫合方向に同じピッチにて形成される。このように、防爆シート1では、複数の縫合線13が全面に、かつ、格子状に高強力繊維の糸により形成される。
また、防爆シート1の外縁部には、外形に沿って複数のはとめ(すなわち、筒状のリベット)14が設けられる。これにより、後述する防爆シート1の被破壊物9への固定以外に、複数の防爆シート1を紐等で結束して使用したり、防爆シート1を所定の支持部材に吊して使用することが容易に可能となる。
本実施の形態では、後述する複数の放電衝撃破壊装置のカートリッジ22が、図2に示すように、被破壊物9内の表面近傍に取り付けられる。詳細には、被破壊物9の表面には削孔である複数の凹部91が一の方向に配列形成されており、破壊部であるカートリッジ22は各凹部91内に設けられる。防爆シート1は第1シート11を被破壊物9側に配置し、第2シート12を外側(すなわち、第1シート11から見て被破壊物9とは反対側)に配置した状態で、これらのカートリッジ22を覆うようにして被破壊物9上に設けられる。
このとき、複数の凹部91(または、カートリッジ22)の配列ピッチは、第1または第2縫合方向における縫合線13のピッチよりも大きくされており、防爆シート1が被破壊物9の一部を覆う状態において、複数の縫合線13にて形成される各格子要素(すなわち、縫合線13にて周囲が囲まれる最小面積の領域であり、図1では1つの格子要素131に平行斜線を付している。)に対向する被破壊物9の表面上の領域には、0または1つの凹部91のみが設けられている。なお、必要に応じて、被破壊物9の破壊対象の部位の周囲にアンカーが打ち込まれ、当該アンカーとはとめ14とを紐等で接続することにより、防爆シート1が被破壊物9に固定される。
図3は、1つの放電衝撃破壊装置2の構成を示す図である。図3に示すように、放電衝撃破壊装置2は、コンクリート構造物や岩石等の被破壊物9に装着されるカートリッジ22、配線23を介してカートリッジ22に接続されるコンデンサ24、および、配線25を介してコンデンサ24に接続される直流電源26を備え、配線23および配線25にはそれぞれ放電スイッチ231および充電スイッチ251が設けられる。図3では、図の理解を容易にするためにカートリッジ22を断面にて描いている。
カートリッジ22は、プラスチック等により形成された略円筒状の破壊容器221、破壊容器221内に充填された破壊用物質222(例えば、水等の液体やゲル状物質)、破壊容器221内に収容された一対の電極223、および、一対の電極223の先端部に接続された金属細線224を備える。一対の電極223は、金属細線224を介して互いに接続されるとともに配線23を介してコンデンサ24に接続される。
放電衝撃破壊装置2により被破壊物9の破壊が行われる際には、放電衝撃破壊装置2の放電スイッチ231がOFFとされた状態で充電スイッチ251がONとされることにより、コンデンサ24に電気エネルギーが蓄積される。その後、充電スイッチ251がOFFとされ、放電スイッチ231がONとされることにより、コンデンサ24に蓄積された電気エネルギーがカートリッジ22の一対の電極223に供給されて金属細線224が溶融気化する。これにより、カートリッジ22の破壊容器221内において破壊用物質222を瞬間的に蒸発気化させ、破壊用物質222の気化の際の膨張により生じる衝撃力(すなわち、放電衝撃力)により図2の被破壊物9が破壊される。
このとき、第2シート12とカートリッジ22との間に位置する第1シート11により、被破壊物9の破片や粉塵の飛散が防止される。また、第1シート11を形成する繊維は極めて高い繊維強度(本実施の形態では、22.9cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)の引張強度)を有しているため、第1シート11はほとんど損傷しない。なお、上記繊維にて形成される第1シート11として目付量が470g/m2(グラム/平方メートル)であるものを用いた場合には、放電衝撃破壊装置2による50回以上の被破壊物の破壊に繰り返し使用しても、第1シート11の破損がほとんど生じないことが確認されており、第1シート11として目付量が190g/m2であるものを用いた場合においても10回程度の使用が可能であることが確認されている。
また、被破壊物9の破壊の際には、被破壊物9に対して第1シート11の外側に位置するとともに、被破壊物9の破壊音に対して第1シート11よりも高い防音性を有する第2シート12により、外部への破壊音の広がりが抑制されることとなる。本実施の形態における第2シート12では、被破壊物9の破壊音のピーク周波数(およそ50Hz(ヘルツ))に対する音響透過損失が5dB(デシベル)以上となり、第1シート11の音響透過損失よりも大きくなっている。
ここで、ポリエステルやナイロンにて形成されるシートを多層に重ねて1つの防爆シートとして用いることも考えられるが、この場合、1度の使用にて被破壊物側に設けられるシート(または、全てのシート)が破損してしまうとともに、シートを多層に重ねる作業にもある程度の時間を要する。また、防音性を確保するために、被破壊物の周囲の領域を防音板や防音シートにて囲む場合には、防音板や防音シートを設置する煩雑な作業が必要となる。さらに、上記防爆シート1における第1シート11と第2シート12とを縫い合わせることなく使用する場合には、被破壊物9に第1シート11および第2シート12を順に被せる必要があり、作業時間が長くなるとともに、第1シート11と第2シート12とがずれていた場合に、被破壊物9の破壊時に第2シート12が損傷する可能性がある。
これに対し、図1の防爆シート1では、高強力繊維にて形成される第1シート11と、被破壊物9の破壊音に対して第1シート11よりも高い防音性を有する第2シート12とが、高強力繊維の糸にて縫合される。これにより、防爆シート1を被破壊物9上に被せる作業時間を短くすることができ、また、一定の防音性を確保するために比較的重くなる第2シート12に対して、高強力繊維にて形成されるために軽量な第1シート11が組み合わされることにより、防爆シート1が過度に重くなることを抑制して、1人または少人数の作業者により防爆シート1の持ち運びを行うこともでき、防音性および耐久性(破壊時における衝撃力や爆風に対する耐久性であり、耐熱性も含む。)に優れた防爆シート1の取り扱いを容易にすることができる。
また、防爆シート1では、高強力繊維の糸による複数の縫合線13が格子状に、かつ、全面に形成されていることにより、第1シート11と第2シート12とを強固に縫合して防爆シート1の強度および耐久性をさらに向上することができる。さらに、防爆シート1が被破壊物9の一部を覆う状態において、複数の縫合線13にて形成される各格子要素131に対向する被破壊物9の表面上の領域には、0または1つの凹部91のみが設けられていることにより、防爆シート1の破損を防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
図1の防爆シート1では、第1シート11が、高強力ポリアリレート繊維にて形成されていることにより、防爆シート1の強度を向上することができるが、第1シート11は繊維強度が22.9cN/dtex以上の高強力繊維にて形成されるのであるならば、例えば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)等の他の高強力繊維にて形成することも可能である。この場合に、目付量は、好ましくは400g/m2以上、かつ、470g/m2以下とされる。また、第1シート11と第2シート12とを縫合する糸が、第1シート11とは異なる高強力繊維にて形成されていてもよい。
また、防爆シート1の取り扱いを容易にするという観点では、第1シート11と第2シート12とは一体的に縫い合わされておればよく、この場合に、第1シート11および第2シート12の外縁に沿って縫合線を形成することも可能である。
上記実施の形態では、被破壊物9の破壊対象の部位のみが防爆シート1にて覆われるが、小型の被破壊物の全体を破壊する場合や、複数の防爆シート1を連結して用いる場合等には、被破壊物の全体が防爆シート1にて覆われてもよい。このように、防爆シート1にて被破壊物の破壊対象の部位を含む少なくとも一部を覆うことにより、被破壊物の破壊時における破片の飛散が防止される。
取り扱いが容易な上記防爆シート1は、様々な破壊手法による様々な被破壊物の破壊時における破片の飛散の防止に用いることが可能であるが、高い防音性が要求される市街地等では、他の破壊手法に比べて破壊時の騒音(破壊音)が低い放電衝撃破壊装置2と共に防爆シート1を用いることにより、被破壊物9の破壊時における騒音を極めて低く抑えることができる。
1 防爆シート
9 被破壊物
11 第1シート
12 第2シート
13 縫合線
22 カートリッジ
91 凹部
131 格子要素
9 被破壊物
11 第1シート
12 第2シート
13 縫合線
22 カートリッジ
91 凹部
131 格子要素
Claims (5)
- 被破壊物の少なくとも一部を覆うことにより、前記被破壊物の破壊時における破片の飛散を防止する防爆シートであって、
高強力繊維にて形成される第1シートと、
前記被破壊物の破壊音に対して前記第1シートよりも高い防音性を有する第2シートと、
を有し、
前記第1シートと前記第2シートとが、高強力繊維の糸にて縫合されていることを特徴とする防爆シート。 - 請求項1に記載の防爆シートであって、
前記第1シートが高強力ポリアリレート繊維にて形成されていることを特徴とする防爆シート。 - 請求項1または2に記載の防爆シートであって、
前記第1シートおよび前記糸が、同じ繊維にて形成されていることを特徴とする防爆シート。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の防爆シートであって、
前記糸による複数の縫合線が格子状に、かつ、全面に形成されていることを特徴とする防爆シート。 - 請求項4に記載の防爆シートであって、
前記被破壊物の表面に複数の削孔が配列形成され、前記被破壊物を破壊する複数の破壊部が前記複数の削孔内にそれぞれ設けられ、
前記第1シートが前記被破壊物の前記少なくとも一部を覆う状態において、前記複数の縫合線にて形成される各格子要素に対向する前記被破壊物の表面上の領域に0または1つの削孔のみが設けられることを特徴とする防爆シート。
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---|---|---|---|
JP2009115300A JP2010265588A (ja) | 2009-05-12 | 2009-05-12 | 防爆シート |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105569365A (zh) * | 2015-12-18 | 2016-05-11 | 上海建工七建集团有限公司 | 架空防护方法 |
CN114199093A (zh) * | 2021-11-12 | 2022-03-18 | 三门峡市天康成套设备有限责任公司 | 一种高分子柔性材料复合隔音防爆罐及其制备方法 |
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-
2009
- 2009-05-12 JP JP2009115300A patent/JP2010265588A/ja active Pending
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