JP2010264806A - 車両の左右駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の左右駆動力配分制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】左右駆動力配分制御用の摩擦係合要素を利用して旋回性能を損なうことなく油温を速やかに上昇させ、摩擦係合要素の引き摺りや攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制する。
【解決手段】直進走行状態であることを条件(S2の判断がYES)として、左右一対の油圧クラッチCLL、CLRをそれぞれ同じ係合トルクTcl、Tcrでスリップ係合させ、そのスリップ係合に伴って生じる摩擦熱で潤滑油の油温Toil を速やかに上昇させる。これにより、旋回性能に影響を与えることなく油温Toil を速やかに上昇させて、油圧クラッチCLL、CLRの引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制できる。特に、左右駆動力差が生じないように油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrが同じ大きさとされるため、油温Toil を速やかに上昇させるための油圧クラッチCLL、CLRの係合制御に拘らず車両の直進走行性能が良好に維持される。
【選択図】図3

Description

本発明は、一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両の左右駆動力配分制御装置に係り、特に、低油温時にそれ等の摩擦係合要素の引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等で燃費が悪化することを抑制する技術に関するものである。
左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素、および右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素を有し、その第1および第2の一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両の左右駆動力配分制御装置が知られている。特許文献1、2に記載の装置はその一例で、特許文献1では左右の駆動輪の駆動力配分を制御するようになっており、特許文献2では左右の従動輪の駆動力配分を相対的に制御するようになっている。
特開2008−281117号公報 特開平9−79209号公報
ところで、このように一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両において、その摩擦係合要素の摩擦材や動力伝達用の歯車の噛合部等を潤滑する潤滑油の温度が低いと、一般にその潤滑油の粘性が高くなるため、摩擦係合要素の引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等で燃費が悪化する。これに対し、未だ公知ではないが、低油温時には上記左右駆動力配分制御用の摩擦係合要素の係合力を増大させ、その摩擦係合要素をスリップ係合させて摩擦熱を発生させることにより、油温を速やかに上昇させることが考えられるが、このように左右駆動力配分制御用の摩擦係合要素の係合力を増大させると、左右輪の駆動力配分が変化して旋回性能等が損なわれる可能性がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、左右駆動力配分制御用の摩擦係合要素を利用して旋回性能等を損なうことなく油温を速やかに上昇させ、摩擦係合要素の引き摺りや攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素、および右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素を有し、その第1および第2の一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両の左右駆動力配分制御装置において、(a) 前記一対の摩擦係合要素の係合力をそれぞれ増大させ、その係合力の増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温を速やかに上昇させる油温上昇制御手段を備えており、且つ、(b) その油温上昇制御手段は、車両が直進走行状態であることを条件として油温上昇制御を行うことを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両の左右駆動力配分制御装置において、前記油温上昇制御手段は、左右駆動力差が発生しないように前記一対の摩擦係合要素の係合力を制御することを特徴とする。
第3発明は、左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素、および右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素を有し、その第1および第2の一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両の左右駆動力配分制御装置において、(a) 前記一対の摩擦係合要素の係合力をそれぞれ増大させ、その係合力の増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温を速やかに上昇させる油温上昇制御手段を備えており、且つ、(b) その油温上昇制御手段は、車両が旋回走行状態である時には、前記一対の摩擦係合要素のうち旋回走行状態に応じて設定される所定の目標左右駆動力差を発生させる一方の摩擦係合要素の係合力を、その目標駆動力差を発生させる場合よりも大きくするとともに、その一方の摩擦係合要素の係合力を大きくした分だけ変動する左右駆動力差が前記目標左右駆動力差に近付くように他方の摩擦係合要素の係合力を増大させることを特徴とする。
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの車両の左右駆動力配分制御装置において、前記油温上昇制御手段は、アクセル操作量が小さい場合は大きい場合に比較して前記係合力を大きくすることを特徴とする。
第1発明の車両の左右駆動力配分制御装置においては、車両が直進走行状態であることを条件として、油温上昇制御手段により一対の摩擦係合要素の係合力をそれぞれ増大させ、その係合力の増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温を速やかに上昇させるため、旋回性能に影響を与えることなく油温を速やかに上昇させて、摩擦係合要素の引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制することができる。
第2発明では、左右駆動力差が発生しないように一対の摩擦係合要素の係合力を制御するため、油温を速やかに上昇させるための一対の摩擦係合要素の係合制御に拘らず車両の直進走行性能が良好に維持される。
第3発明の車両の左右駆動力配分制御装置は、車両が旋回走行状態の時には何れか一方の摩擦係合要素だけで目標左右駆動力差を発生させるように制御するもので、油温上昇制御手段は、その一方の摩擦係合要素の係合力を上記目標左右駆動力差を発生させる場合よりも大きくなるように制御するとともに、その一方の摩擦係合要素の係合力を大きくした分だけ変動する左右駆動力差が目標左右駆動力差に近付くように他方の摩擦係合要素の係合力を制御する。したがって、左右駆動力差を目標左右駆動力差に維持しつつ、一対の摩擦係合要素の係合力をそれぞれ増大させて、その係合力の増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温を速やかに上昇させることができ、旋回性能に影響を与えることなく油温を速やかに上昇させて、摩擦係合要素の引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制することができる。
第4発明では、アクセル操作量が小さい場合は大きい場合に比較して摩擦係合要素の係合力が大きくされるため、アクセル操作量が大きい時には、摩擦係合要素の係合力増大に起因して発生する減速感を抑制しつつ、比較的小さめの係合力の増加で油温を上昇させる一方、アクセル操作量が小さい減速時等には、摩擦係合要素の係合で減速度が大きくなっても影響が小さいことから、その摩擦係合要素を大きな係合力で係合させて摩擦熱により油温を速やかに上昇させることができる。すなわち、摩擦係合要素の係合力に応じて駆動力が低下するため、運転者が加速を欲しているアクセル操作時には係合力を小さくして減速感を抑制する一方、アクセル操作量が小さい減速時等には、大きな係合力で摩擦熱を大きくして油温を速やかに上昇させるのである。
本発明が適用された車両の左右駆動力配分制御装置の概略構成を示す図である。 直進走行時および旋回走行ヨーコントロール制御時に左右の車輪に伝達されるトルクの一例を説明する図である。 図1の油温上昇制御手段によって実行される信号処理を具体的に説明するフローチャートである。 図3のフローチャートのステップS4が実行され、図2(a) 示す直進走行時に一対の油圧クラッチが係合制御された場合の各部のトルクを説明する図で、(a) は一対の油圧クラッチの係合トルクが400Nmの場合、(b) は一対の油圧クラッチの係合トルクが800Nmの場合である。 図3のフローチャートのステップS5が実行され、一対の油圧クラッチが最大クラッチトルクTmax =1000Nmで係合制御された場合の各部のトルクを説明する図である。 図1の油温上昇制御手段によって実行される信号処理の別の例を示す図で、図3の代りに用いられるフローチャートである。 図6のフローチャートに従って図2(b) に示す旋回走行ヨーコントロール制御時に油温上昇制御が行われた場合の各部のトルクを説明する図である。 本発明が好適に適用される他の左右駆動力配分機構の骨子図である。 本発明が好適に適用される更に別の左右駆動力配分機構の骨子図で、従動輪用のものである。
本発明は、エンジンや電動モータ等の駆動力源によって回転駆動される前後輪の一方の左右の駆動輪の駆動力配分制御を行う制御装置に好適に適用されるが、左右の従動輪の駆動力配分を相対的に制御する制御装置にも適用され得る。4輪駆動車両の前輪および後輪の何れか一方或いは両方の左右の駆動力配分制御を行う装置にも適用され得る。
本発明が適用される左右輪は、傘歯車式や遊星歯車式等の差動機構を介して、或いは単純に別々に回転可能に支持されることにより、相対回転が許容されるようになっており、一対の摩擦係合要素の係合制御(スリップ制御)によって左右駆動力配分制御が行われる。一対の摩擦係合要素、すなわち第1の摩擦係合要素および第2の摩擦係合要素としては、例えば湿式多板式或いは単板式の油圧クラッチが好適に用いられるが、電磁式等の摩擦係合要素を採用することもできる。駆動力制御用の一対の摩擦係合要素の他に、動力伝達を接続、遮断したりする別の摩擦係合要素が設けられても良い。
左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素は、例えば増速歯車機構等により左車輪の回転を増速させるトルクを付与するように構成されるが、減速歯車機構等により反対の右車輪の回転を減速させるトルクを付与するように構成することもできる。右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素についても同様に、例えば増速歯車機構等により右車輪の回転を増速させるトルクを付与するように構成されるが、減速歯車機構等により反対の左車輪の回転を減速させるトルクを付与するように構成することもできる。
左右の駆動力配分制御を行うために増速用或いは減速用の変速歯車機構を有して構成され、それ等の変速歯車機構に対応して一対の摩擦係合要素が設けられる。左右の車輪に対してそれぞれ増速用歯車機構或いは減速用歯車機構を設けることもできるが、左右の何れか一方の車輪に対して増速用歯車機構および減速用歯車機構を設けて左右駆動力配分制御を行うこともできる。左右の車輪に対してそれぞれ増速用歯車機構或いは減速用歯車機構を設ける場合、その増速比や減速比は左右同じであることが望ましく、その場合は例えば第2発明の一対の摩擦係合要素の係合力は互いに等しくて良いが、異なる増速比や減速比とすることも可能で、その場合はそれ等の増速比や減速比の相違を考慮して一対の摩擦係合要素の係合力を別々に設定すれば良い。
第1発明は直進走行時の油温上昇制御に関するもので、第3発明は旋回走行時の油温上昇制御に関するものであり、その両方の機能を備えていることが望ましいが、何れか一方を実施するだけでも良い。この油温上昇制御は、例えば潤滑油の温度が予め定められた所定値以下の場合に実行されるが、潤滑油の温度に影響する外気温によって油温上昇制御を実行するか否かを判断するようにしても良い。車両走行開始からの経過時間や走行距離など、潤滑油の温度に関係する他の物理量を用いて実行が必要か否かを判断することもできる。
第3発明は、車両が旋回走行状態の時には何れか一方の摩擦係合要素だけで目標左右駆動力差を発生させるように制御することを前提とするものであるが、第1発明の実施に際しては、旋回走行時に一対の摩擦係合要素の両方を異なる係合力で係合制御して目標左右駆動力差を発生させるものでも良く、その旋回走行時に油温上昇制御を行う場合、左右駆動力差を目標左右駆動力差に維持しつつ両方の係合力を上昇させるようにすれば良い。目標左右駆動力差は、適切な旋回性能が得られるようにヨーモーメントを制御するヨーコントロール制御等により、例えば車速Vや操舵角Φ、アクセル操作量θacc (運転者の出力要求量や要求駆動力に相当)等をパラメータとしてデータマップ等により予め設定される。
第1発明の油温上昇制御手段は、操舵角Φや左右輪の回転速度差が予め定められた所定値以下の直進走行状態の時に油温上昇制御を行うように構成されるが、ヨーコントロール制御等により前記目標左右駆動力差を発生させる左右駆動力配分制御の実行中でない場合には直進走行状態と見做して第1発明の油温上昇制御を実行するようにしても良い。逆に、操舵角Φや左右輪の回転速度差が予め定められた所定値以下の直進走行状態であっても、差動制限制御等により目標左右駆動力差を発生させるようにする左右駆動力配分制御が行われている場合には、第1発明の油温上昇制御が禁止或いは制限されるようにすることが望ましい。旋回性能は車速Vとも関係するため、直進走行状態か否かを判定する操舵角Φや左右輪の回転速度差の所定値は、車速Vをパラメータとして異なる値が設定されるようにしても良い。
第4発明では、アクセル操作量すなわち運転者の出力要求量や要求駆動力等に応じて摩擦係合要素の係合力が制御され、例えばアクセルペダルが踏込み操作されているか否かによって係合力を求めるための係合力演算手段(演算式やマップ等)が別々に定められるが、他の発明の実施に際しては、アクセル操作量の大きさとは無関係に一定の係合力演算手段によって係合力を求めるようにしても良い。係合力は、例えば入力トルクTinに基づいて設定される。
アクセル操作量が所定値以上の場合には、減速感を抑制しつつ潤滑油の油温を速やかに上昇させるため、例えば車輪から車軸を通って差動歯車機構等へ動力が伝達され、摩擦係合要素を経て再び車輪側へ動力が伝達される動力循環を生じない範囲で、その摩擦係合要素の係合力を設定することが望ましい。例えば図4の(a) は、入力トルクTinが総て摩擦係合要素を介して車輪側へ伝達されるように設定された場合で、Tin×if=968Nmに基づいて一対の摩擦係合要素である油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrがそれぞれ400Nmとなるように係合力(油圧)が設定され、動力循環が生じない範囲の最大値である。係合力をこれ以上大きくすると動力循環が生じるようになり(図4(b) 参照)、駆動トルクTL 、TR が更に減少して減速感が大きくなるとともに、入力トルクTinが同じでも各部の伝達トルクが大きくなるため、差動歯車機構などの負荷が大きくなって寿命の低下が懸念される。第3発明において、一方の摩擦係合要素の係合力の増大量も、動力循環が生じない範囲で設定することが望ましい。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両の左右駆動力配分制御装置10を説明する概略構成図で、左右駆動力配分機構12は、図示しないエンジン等の駆動力源からプロペラシャフト14へ伝達された入力トルクTinを、後輪用差動歯車装置16から左右の後輪車軸18L、18Rを経て左右の後輪20L、20Rへ伝達する。差動歯車装置16は、傘歯車式の差動歯車機構で、プロペラシャフト14の先端に設けられたドライブピニオン22からリングギヤ24を介して、入力トルクTinがそれ等のギヤ比ifに応じてトルク増幅されてデフケース26に伝達される。入力トルクTinが総て差動歯車装置16から直接後輪車軸18L、18Rを経て後輪20L、20Rへ伝達される場合、左右の後輪20L、20Rの駆動トルクTL 、TR の和(TL +TR )はTin×ifとなる。図2の(a) は、Tin×if=968Nmの場合に、直進走行で差動歯車装置16を介して左右の後輪20L、20Rに均等に駆動力が分配される場合で、歯車の噛合等によるロストルクを無視すると、TL =TR =Tin×if/2=484Nmとなる。
上記差動歯車装置16のデフケース26と左右の後輪車軸18L、18Rとの間には、それぞれ増速歯車機構30L、30Rが配設されている。この増速歯車機構30L、30Rは対称的に構成されており、それぞれデフケース26に一体的に連結された第1歯車34と、左右の車軸18L、18Rに一体的に設けられた第2歯車36と、車軸18L、18Rと平行なカウンタシャフト38に一体的に配設されて第1歯車34と噛み合わされた第3歯車40と、カウンタシャフト38に相対回転可能に配設されて第2歯車36に噛み合わされた第4歯車42とを備えている。両増速歯車機構30L、30Rのカウンタシャフト38と第4歯車42との間には、それぞれ湿式多板式の油圧クラッチCLL、CLRが配設されており、それ等の油圧クラッチCLL、CLRが係合(スリップ)させられることにより、デフケース26のトルクがそれ等の増速歯車機構30L、30Rを介して左右の車軸18L、18R、更には後輪20L、20Rへ伝達される。第1歯車34、第2歯車36、第3歯車40、第4歯車42の歯数をそれぞれZ1、Z2、Z3、Z4とすると、全体のギヤ比(Z3/Z1)×(Z2/Z4)は1.0より小さく、油圧クラッチCLL、CLRが係合制御されることによりそれぞれ後輪20L、20Rを増速回転させるトルクが発生する。油圧クラッチCLLは、左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素に相当し、油圧クラッチCLRは、右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素に相当する。
このような左右駆動力配分制御装置10によれば、左右の何れか一方の油圧クラッチCLLまたはCLRのみを所定の係合トルクTclまたはTcrで係合制御すれば、その係合制御された側の後輪20Lまたは20Rの駆動トルクTL またはTR が増大させられるとともに他方の駆動トルクTR またはTL が減少させられ、左右の駆動力配分を制御することができる。図2の(b) は、右後輪20Rの駆動トルクTR を大きくするために右側の油圧クラッチCLRが所定の係合トルクTcr(図では400Nm)で係合制御された場合で、Tin×if=2000Nmのうち484Nmが増速歯車機構30Rを経て右後輪20Rへ伝達され、残りの1516Nmが差動歯車装置16により左右の後輪20L、20Rに分配される。このように、油圧クラッチCLLおよびCLRの係合制御で左右駆動力配分制御を行うことが可能で、差動制限制御やヨーコントロール制御等を行うことができる。なお、図2の(b) は、左右の回転速度差に拘らず差動歯車装置16を介して左右の後輪20L、20Rにトルクが均等(1516/2=758)に分配される場合、すなわちデフ部バイアス比=1と仮定した場合である。図2の(a) は、左右の油圧クラッチCLL、CLRが何れも解放されており、直進走行時に差動歯車装置16のみを介して左右の後輪20L、20Rに駆動力が均等に分配される場合である。
上記油圧クラッチCLL、CLRは、駆動力配分制御用ECU50により油圧制御回路60が制御されることにより係合、解放されるとともに、係合トルクTcl、Tcrが制御されるようになっている。係合トルクTcl、Tcrは係合力すなわち油圧に対応し、油圧制御回路60は、油路を切り換えるための電磁切換弁や油圧を制御するための油圧制御弁等を備えている。駆動力配分制御用ECU50は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、油圧クラッチCLL、CLRの係合、解放制御やその係合力制御を実行し、前記差動制限制御やヨーコントロール制御を行う左右駆動力配分制御手段52を機能的に備えている。この駆動力配分制御用ECU50には、車速センサ62、アクセル操作量センサ64、操舵角センサ66、油温センサ68、車輪速センサ70等から車速V、アクセルペダルの操作量(アクセル操作量)θacc 、ステアリングホイールの操舵角Φ、油温Toil 、前後左右4輪の各車輪速Nwi等を表す信号が供給されるようになっている。油温Toil は、左右駆動力配分機構12の差動歯車装置16や増速歯車機構30L、30R、油圧クラッチCLL、CLRの摩擦材等を潤滑する潤滑油の温度である。
上記左右駆動力配分制御手段52によって実行される差動制限制御は、左右の後輪20L、20Rに所定の車輪速差が生じた場合に、その差動を制限するもので、低速車輪側の増速歯車機構30Lまたは30Rの油圧クラッチCLLまたはCLRを所定の係合力でスリップ係合させることにより、その低速車輪側の車輪速Nwiを増速させるとともに高速車輪側の車輪速Nwiを相対的に減速させる。ヨーコントロール制御は、旋回走行時に適切な旋回性能が得られるようにヨーモーメントを制御するもので、例えば車速Vや操舵角Φ、アクセル操作量θacc 等をパラメータとして予め定められたデータマップや演算式等により目標左右駆動力差を求めるとともに、その目標駆動力差が得られる駆動力増大側の増速歯車機構30Lまたは30Rの油圧クラッチCLLまたはCLRの係合トルクTclまたはTcrを算出し、その係合トルクTclまたはTcrでスリップ係合させることにより、駆動力増大側の車輪の駆動力を増大させるとともに反対側の車輪の駆動力を減少させる。
図2の(b) は、上記ヨーコントロール制御時のもので、目標左右駆動力差が439Nmの場合で、歯数Z2=56、Z4=51とすると、右側の油圧クラッチCLRの係合トルクTcr=439÷(56/51)=400となる。したがって、油圧クラッチCLRの係合トルクTcrが400Nmとなるように油圧を制御することにより、右後輪20Rの駆動トルクTR を左後輪20Lの駆動トルクTL よりも目標左右駆動力差439Nmだけ大きくすることができる。図2の(b) では、Tin×if=2000Nmであるが、歯数Z1=52、Z3=43とすると、上記油圧クラッチCLRの係合制御で400÷(43/52)=484Nmだけ右側の増速歯車機構30Rへトルクが取られるため、残りのトルクは2000−484=1516Nmとなり、これが差動歯車装置16を介して左右の後輪20L、20Rに均等に分配される。したがって、左後輪20Lの駆動トルクTL =1516/2=758Nmとなり、右後輪の駆動トルクTR =1516/2+439=1197Nmとなる。なお、左右の合計駆動トルクTL +TR =758+1197=1955Nmとなり、油圧クラッチCLRの係合制御で2000−1955=45Nmだけトルクが減少する。また、デフ部のバイアス比が1でない場合は、そのバイアス比を考慮してヨーコントロール制御、すなわち油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrを制御すれば良い。
ここで、潤滑油の油温Toil が低いと、その潤滑油の粘性が高くなるため、油圧クラッチCLL、CLRが引き摺りを生じたり、各部の歯車等により潤滑油が攪拌される際の攪拌抵抗が大きくなったりして燃費が悪化する。このため、前記駆動力配分制御用ECU50は、潤滑油の油温Toil が所定温度以下の低油温時に油圧クラッチCLL、CLRをスリップ係合させ、その摩擦熱により油温Toil を速やかに上昇させる油温上昇制御手段54を機能的に備えている。図3は、この油温上昇制御手段54によって実行される信号処理の内容を具体的に説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。
図3のステップS1では、潤滑油の油温Toil が予め定められた判定値より低いか否かを判断し、判定値以上であればそのまま終了するが、判定値より低い場合はステップS2以下を実行する。判定値は、潤滑油の粘性により油圧クラッチCLL、CLRが引き摺りを生じたり攪拌抵抗が大きくなったりして燃費が悪化するか否かを基準として、潤滑油の温度−粘性特性等に応じて予め一定値が設定される。ステップS2では、直進走行か否かを、例えば操舵角Φ或いは左右の車輪速差ΔNwiが予め定められた判定値以下か否か等によって判断し、直進走行時にはステップS3を実行する。これは、旋回走行時に左右の油圧クラッチCLLおよびCLRを同じ係合トルクTcl=Tcrでスリップ係合させると旋回性能が損なわれるため、旋回走行時には油圧クラッチCLL、CLRをスリップ係合させる油温上昇制御を実施しないようにするためである。直進走行時か否かは、両油圧クラッチCLLおよびCLRのスリップ係合で旋回性能が損なわれるか否かを基準として、操舵角Φや車輪速差ΔNwiに関して例えば予め一定の判定値が設定されるが、旋回性能は車速Vとも関係するため、車速Vをパラメータとして異なる判定値が設定されるようにしても良い。
ステップS3では、アクセルペダルが踏込み操作されているアクセルONか否かを、例えばアクセル操作量θacc の大きさや、そのアクセル操作量θacc が略0の場合にONとなるアイドルスイッチ等により判断し、アクセルONの場合にはステップS4を実行して油温上昇制御を行う一方、アクセルOFFの場合はステップS5を実行して油温上昇制御を行う。ステップS4の油温上昇制御は、図4の(b) に示すように、左右の後輪20L、20Rから車軸18L、18Rを通って差動歯車装置16へ動力が伝達され、増速歯車機構30L、30Rを経て再び後輪20L、20Rへ動力が伝達される動力循環を生じることがないように、両油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTclおよびTcrを設定し、その係合トルクTcl、Tcrによって発生する摩擦熱により油温Toil を速やかに上昇させる。図4の(b) のように動力循環が発生すると、駆動トルクTL 、TR が著しく低下し、減速感が大きくなって運転者に違和感を生じさせるとともに、差動歯車装置16等に過大な伝達トルク(負荷)が作用して寿命が低下する可能性がある。本実施例では、このような動力循環を生じない範囲内の最大の係合トルクTclおよびTcrで油圧クラッチCLL、CLRを係合させるように、入力トルクTinに応じて次式(1) に従って係合トルクTcl、Tcrを算出し、その係合トルクTcl、Tcrで油圧クラッチCLL、CLRをスリップ係合させる。これにより、動力循環に伴う大きな減速感や負荷を回避しつつ、できるだけ大きな係合トルクTcl、Tcrによる油圧クラッチCLL、CLRのスリップ係合で発生する大きな摩擦熱により、油温Toil をできるだけ速やかに上昇させることができる。
Tcl=Tcr=(Tin×if/2)×(Z3/Z1) ・・・(1)
図4の(a) は、前記図2の(a) において上記油温上昇制御が実施された場合で、Tin×if=968Nm、Z1=52、Z3=43で、両油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrは、上記(1) 式に従って400Nmとなる。また、両後輪20L、20Rの駆動トルクTL 、TR は何れも400×(Z2/Z4)=400×(56/51)=439Nmで、左右同じであり、直進走行性能が損なわれることはない。この場合のロストルクは、968−2×439=90Nmである。これに対し、図4の(b) は比較のために係合トルクTcl、Tcrを2倍の800Nmとした場合で、左右の後輪20L、20Rからそれぞれ484Nmのトルクが差動歯車装置16側へ流れる動力循環が生じるとともに、ロストルクは968−2×394=180Nmで、動力循環が生じない図4の(a) に比較して2倍になる。但し、この図4の(b) のように動力循環を生じる場合も、本発明の一実施態様である。
一方、アクセルOFFの場合に実行するステップS5では、両油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrを何れも最大クラッチトルクTmax とし、その最大クラッチトルクTmax で油圧クラッチCLL、CLRをスリップ係合させることにより、そのスリップ係合で発生する大きな摩擦熱により、油温Toil を速やかに上昇させる。すなわち、アクセルOFFの場合には、運転者は惰性走行乃至は動力源ブレーキによる減速を意図しているため、油圧クラッチCLL、CLRの大きな係合トルクTcl、Tcrによって生じるロストルクすなわち制動トルクにより比較的大きな減速感が発生しても、走行性能が損なわれて運転者に違和感を生じさせる可能性は低いのである。なお、最大クラッチトルクTmax よりも小さい予め定められた所定の係合トルクTcl、Tcrで油圧クラッチCLL、CLRを係合させるようにしても良いし、車速Vやブレーキ操作の有無等の運転状態をパラメータとして係合トルクTcl、Tcrが設定されるようにしても良い。
図5は、上記ステップS5で両油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrが最大クラッチトルクTmax =1000Nmとされた場合で、入力トルクTin=0として各部のトルクを示した図である。この場合は、1209Nmの動力循環が生じるとともに、左右の後輪20L、20Rの駆動トルクTL 、TR は何れも−111Nmとなり、左右合わせて222Nmの制動トルクが発生する。しかし、アクセルOFFであるため、運転者に大きな違和感を生じさせる可能性は低いとともに、左右同じであるため直進走行性能が損なわれることはない。
このように、本実施例の左右駆動力配分制御装置10においては、車両が直進走行状態であることを条件(ステップS2の判断がYES)として、油温上昇制御手段54により左右一対の油圧クラッチCLL、CLRをそれぞれ同じ係合トルクTcl、Tcrでスリップ係合させ、そのスリップ係合に伴って生じる摩擦熱で潤滑油の油温Toil を速やかに上昇させるため、旋回性能に影響を与えることなく油温Toil を速やかに上昇させて、油圧クラッチCLL、CLRの引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制することができる。特に、左右駆動力差が生じないように一対の油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrが同じ大きさとされるため、油温Toil を速やかに上昇させるための油圧クラッチCLL、CLRの係合制御に拘らず車両の直進走行性能が良好に維持される。
また、本実施例では、アクセル操作量θacc が小さい場合すなわちアクセルOFF時には、アクセルON時に比較して油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrが大きくされるため(実施例ではTmax)、アクセルON時には、油圧クラッチCLL、CLRの係合制御に起因して発生する減速感を抑制しつつ、比較的小さめの係合トルクTcl、Tcrにより油温Toil を上昇させる一方、アクセルOFFの減速時等には、油圧クラッチCLL、CLRの係合制御に起因して減速度が大きくなっても影響が小さいことから、その油圧クラッチCLL、CLRを大きな係合トルクすなわち最大クラッチトルクTmax で係合させて、大きな摩擦熱により油温Toil を速やかに上昇させることができる。すなわち、油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrに応じて駆動力が低下するため、運転者が加速を欲しているアクセルON時には係合トルクTcl、Tcrを比較的小さくして減速感を抑制する一方、アクセルOFF時には、大きな係合トルクTcl、Tcrで係合させて大きな摩擦熱により油温Toil を速やかに上昇させるのである。
また、本実施例では、アクセルペダルが踏込み操作されたアクセルON時には、動力循環を生じない範囲内の最大の係合トルクTcl、Tcrを前記(1) 式に従って算出し、その係合トルクTcl、Tcrで両油圧クラッチCLL、CLRをスリップ係合させるため、動力循環に伴う大きな減速感や負荷を回避しつつ、大きな係合トルクTcl、Tcrによるスリップ係合で発生する大きな摩擦熱により、油温Toil をできるだけ速やかに上昇させることができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。
図6は、前記油温上昇制御手段54によって実行される別の信号処理を説明する図で、前記図3に対応するフローチャートであり、前記ステップS2の判断がNO(否定)の場合、すなわち直進走行状態でない旋回走行時にも、ステップS6で油温上昇制御を実施する点が相違する。このステップS6では、旋回走行時に前記ヨーコントロール制御によって目標左右駆動力差が発生するように、左右の油圧クラッチCLL、CLRの何れか一方が係合制御されて左右駆動力配分制御が行われている場合に、その係合側の油圧クラッチCLLまたはCLRの係合トルクTclまたはTcrを最大クラッチトルクTmax とする。また、一方の油圧クラッチCLLまたはCLRの係合トルクTclまたはTcrを最大クラッチトルクTmax としたことにより変動する左右駆動力差が前記目標左右駆動力差となるように、他方の油圧クラッチCLRまたはCLLをその目標左右駆動力差に応じた所定の係合トルクTcrまたはTclで係合させる。
図7は、前記図2の(b) の旋回走行ヨーコントロール制御時に上記ステップS6の油温上昇制御が実施された場合で、ヨーコントロール制御で係合させられる右側の油圧クラッチCLRの係合トルクTcrを最大クラッチトルクTmax =1000Nmとした。これにより、その油圧クラッチCLRを介して右後輪20Rに伝達されるトルクは1000×(Z2/Z4)=1000×(56/51)=1098Nmとなり、目標左右駆動力差439Nmを維持するためには、左側の油圧クラッチCLLを介して左後輪20Lに伝達されるトルクを1098−439=659Nmとすれば良い。すなわち、その左側の油圧クラッチCLLの係合トルクTcl=659÷(Z2/Z4)=659÷(56/51)=600Nmとする。これにより、Tin×if=2000Nmのうち1209Nmは右側の油圧クラッチCLRを介して右後輪20Rへ伝達され、726Nmは左側の油圧クラッチCLLを介して左後輪20Lへ伝達され、残りのトルク2000−1209−726=65Nmが差動歯車装置16を介して32.5Nmずつ均等に左右の後輪20L、20Rに分配される。
本実施例では、ヨーコントロール制御によって目標左右駆動力差が発生するように油圧クラッチCLL、CLRの何れか一方が係合制御される旋回走行時にも、その係合側の油圧クラッチCLLまたはCLRの係合トルクTclまたはTcrを最大クラッチトルクTmax とするとともに、上記目標左右駆動力差が維持されるように他方の油圧クラッチCLRまたはCLLも所定の係合トルクTcrまたはTclで係合させるため、左右駆動力差を目標左右駆動力差に維持しつつ、一対の油圧クラッチCLL、CLRの係合トルクTcl、Tcrがそれぞれ増大させられ、その係合トルクTcl、Tcrの増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温Toil を速やかに上昇させることができる。これにより、旋回性能に影響を与えることなく油温Toil を速やかに上昇させて、油圧クラッチCLL、CLRの引き摺りや潤滑油の攪拌抵抗等による燃費の悪化を抑制することができる。
図8の左右駆動力配分機構80は、前記左側の増速歯車機構30Lを取り除くとともに右側の増速歯車機構30Rに第5歯車82および第6歯車84を設け、前記第1歯車34および第3歯車40と共に減速歯車機構86が構成されるようにした場合で、その第6歯車84とカウンタシャフト38との間に、両者の間の動力伝達を接続、遮断する油圧クラッチCLSが設けられている。すなわち、第5歯車82、第6歯車84の歯数をそれぞれZ5、Z6とすると、減速歯車機構86のギヤ比(Z3/Z1)×(Z5/Z6)は1.0より大きく、油圧クラッチCLSが係合制御されることにより、右後輪20Rを減速回転させるとともに、差動歯車装置16を介して相対的に左後輪20Lを増速回転させるトルクが発生する。この油圧クラッチCLSは、左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素として機能する。本実施例においても、一対の油圧クラッチCLR、CLSを適当に係合制御することにより、前記実施例1、2と同様に左右駆動力配分制御や油温上昇制御を行うことが可能で、同様の作用効果が得られる。
図9の左右駆動力配分機構90は、左右の後輪20L、20Rが従動輪で車軸18L、18Rが相対回転可能に保持されている場合に、それ等の後輪20L、20Rの相対回転を規制して駆動力配分を制御するものである。この左右駆動力配分機構90は、例えば上記実施例3と同様に第1歯車34、第2歯車36、第3歯車40、第4歯車42、第5歯車82、第6歯車84、および一対の油圧クラッチCLR、CLSを有して構成され、第1歯車34は左後輪車軸18Lに相対回転不能に配設され、第2歯車36および第5歯車82は右後輪車軸18Rに相対回転不能に配設される。そして、第1歯車34、第2歯車36、第3歯車40、および第4歯車42により、左後輪20Lに対して相対的に右後輪20Rを増速回転させる変速歯車機構92が構成され、油圧クラッチCLRが係合制御されることにより右後輪20Rを増速回転させるとともに相対的に左後輪20Lを減速回転させるトルクが発生する。また、第1歯車34、第2歯車36、第5歯車82、および第6歯車84により、右後輪20Rに対して相対的に左後輪20Lを増速回転させる変速歯車機構94が構成され、油圧クラッチCLSが係合制御されることにより左後輪20Lを増速回転させるとともに相対的に右後輪20Rを減速回転させるトルクが発生する。本実施例においても、一対の油圧クラッチCLR、CLSを適当に係合制御することにより、前記実施例1、2と同様に左右駆動力配分制御や油温上昇制御を行うことが可能で、同様の作用効果が得られる。
10:左右駆動力配分制御装置 12、80、90:左右駆動力配分機構 20L、20R:後輪(車輪) 30L、30R:増速歯車機構 50:駆動力配分制御用ECU 54:油温上昇制御手段 64:アクセル操作量センサ 66:操舵角センサ 68:油温センサ 86:減速歯車機構 92、94:変速歯車機構 CLL、CLS:油圧クラッチ(第1の摩擦係合要素) CLR:油圧クラッチ(第2の摩擦係合要素) θacc :アクセル操作量 Φ:操舵角 Toil :潤滑油の油温

Claims (4)

  1. 左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素、および右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素を有し、該第1および第2の一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両の左右駆動力配分制御装置において、
    前記一対の摩擦係合要素の係合力をそれぞれ増大させ、該係合力の増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温を速やかに上昇させる油温上昇制御手段を備えており、且つ、
    該油温上昇制御手段は、車両が直進走行状態であることを条件として油温上昇制御を行う
    ことを特徴とする車両の左右駆動力配分制御装置。
  2. 前記油温上昇制御手段は、左右駆動力差が発生しないように前記一対の摩擦係合要素の係合力を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の左右駆動力配分制御装置。
  3. 左車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に右車輪の駆動力を減少させる第1の摩擦係合要素、および右車輪の駆動力を増加させるとともに相対的に左車輪の駆動力を減少させる第2の摩擦係合要素を有し、該第1および第2の一対の摩擦係合要素の係合力を制御して左右駆動力配分制御を行う車両の左右駆動力配分制御装置において、
    前記一対の摩擦係合要素の係合力をそれぞれ増大させ、該係合力の増大に伴う摩擦熱の増大により潤滑油の油温を速やかに上昇させる油温上昇制御手段を備えており、且つ、
    該油温上昇制御手段は、車両が旋回走行状態である時には、前記一対の摩擦係合要素のうち旋回走行状態に応じて設定される所定の目標左右駆動力差を発生させる一方の摩擦係合要素の係合力を、該目標駆動力差を発生させる場合よりも大きくするとともに、該一方の摩擦係合要素の係合力を大きくした分だけ変動する左右駆動力差が前記目標左右駆動力差に近付くように他方の摩擦係合要素の係合力を増大させる
    ことを特徴とする車両の左右駆動力配分制御装置。
  4. 前記油温上昇制御手段は、アクセル操作量が小さい場合は大きい場合に比較して前記係合力を大きくする
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の左右駆動力配分制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016030477A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 株式会社ジェイテクト 四輪駆動車及び四輪駆動車の制御方法

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