JP2010263322A - 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】出力画像処理部には、読取画像系で処理された有色出力に用いる画像データと像域分離データ、他に透明出力用画像データが入力され、印刷出力用の画像データに処理される。その際、色変換処理部303で、像域が無彩のエッジ像域であれば、黒文字処理を施し、さらに入力された透明出力用画像を参照して、透明画像が載る領域と載らない領域においてそれぞれに適した処理条件で色変換を行うように画素単位で処理を選択する。透明画像の有無によって色変換の処理条件を選択することによって、透かし印刷された画面において、透明画像によって有色画像に生じる違和感を低減し自然な画像を得ることができる。
【選択図】図3
Description
デジタル複写機は、コピー機能のほかに、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を搭載して、マルチ・ファンクションを制御しており、複合機(MFP)と呼ばれるようになった。
MFPは、搭載される機能のバリエーションが増えるにつれて、オフィスの中での使われ方も多種・多様化してきている。例えば、PC(Personal computer)の横にペアで設置され、各職務者が手軽に複写機・ファクシミリ・プリンタ・スキャナの機能を使用する場合には小型のMFPが、また部署や課単位の複数名で共有される場合にはある程度の生産性やソート・パンチ・ステープル等の機能が使用できる中型のMFPが、また企業の中で複写関連業務を集中して行う部署、もしくは複写関連業務そのものを生業とする会社である場合には高生産性・高品位かつ多機能を有する大型のMFPが使用されている。
これは、例えばカラー複写機によりカラー画像を出力する場合、写真印画紙やコンピュータのディスプレイの色再現域に近い色再現性を得るために出力されるカラー画像に光沢を持たせるようにする技術開発であり、従来から様々な提案がなされている。電子写真記録方式を例にとると、通常、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)といった通常のカラートナーに加えて、無色の透明トナーを用いる方法がその一つである。透明トナーによるトナー像を形成すると、画像の光沢度が増すほかに、トナーの転写効率を改善することが可能であり、画質を向上させることができる。
特許文献1には、原画像を小領域ごとに分け、その領域ごとに原画像に使用される有色の色材量を予測し、その有色の色材の量に応じて、透明色材の量を算出して、算出した量による透明色材画像をカラー色材画像に重畳することで透明トナーによる光沢差、光沢ムラをなくして自然なカラー画像を形成することができる、としている。
本発明は、同一画面に有色出力と透明出力を行い、透明出力によって透かし画像を生成し得る画像処理装置における上記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、有色出力の画像に生じる違和感を低減し自然な画像が作成できるようにすることにある。
本発明は、同一画面への出力用画像を処理する工程として、原画像を有色出力に用いる画像に処理する有色出力用画像処理工程、透明出力に用いる画像を生成する透明出力用画像処理工程の各工程を有する画像処理方法であって、前記透明出力用画像処理工程は、有色出力用画像と画素単位で対応する画像を生成する工程を備え、前記有色出力用画像処理工程は、原画像に対し画素単位で共存する透明出力用画像の有無を判定する工程と、透明出力用画像の有無の判定結果に従って、適用する処理条件として有色出力のみの画素に適応する第1の処理条件又は透明出力が共存する画素に適応する違和感を低減化する第2の処理条件を画素単位で選択する工程を備えたことを特徴とする。
また、有色出力と透明出力の各版(カラー成分色、透明それぞれの現像材ごとに作成される)間において作像時に生じるずれによる上記違和感の低減効果への影響を抑制し、画質を保つことができる。
本実施形態に係る複合機は、複写、ドキュメントボックス(蓄積画像を再出力に利用する機能)、ファクシミリ、プリンタ及びスキャナの各機能を複合して有するとともに、複写、プリンタ等の機能によって画像形成(プリント)出力を行う際に、同一画面に、有色画像と透明画像が共存する画像(例えば、透かしを施した画像)を形成する機能を有する。なお、以下では同一画面に有色画像と透明画像が共存する画像を形成することを「透かし印刷」、またこの印刷で形成する透明画像を「透かし画像」という。
また、この実施形態に係る複合機は、透かし印刷において、同一の画素位置に透かし画像が共存する有色画像に生じる違和感を低減するための出力画像処理手段を備える。以下に示す実施形態では、この出力画像処理手段を異なる形態で実施する例を「実施形態1」〜「実施形態3」に分けて説明する。
この実施形態は、同一の画素位置に透かし画像が共存する有色画像に生じる違和感を低減するための処理の基本形態を示す。ここでは、原画像を有色出力に用いる画像に処理する際、共存する透明出力用画像が在るか否かの有無に従って、有る場合と無い場合それぞれに適した処理条件を画素単位で選択し、選択した条件による処理を行うように動作を制御する。
図1は、本実施形態の複合機の概略構成を示す図である。なお、同図は、複合機の画像データ処理システムの構成を中心に示すものである。
図1に示す画像データ処理システムは、原稿画像の読取手段或いは外部インターフェースを介して外部PC(Personal computer)等の外部機から所定形式のデータを受信する手段によって処理すべき画像が入力され、入力された画像を印刷出力に用いるデータとして処理する。なお、外部機から入力されるデータとしては、プリンタドライバにより作成された印刷データ、ファクシミリ受信データ等が含まれる。
このように、本実施形態の複合機は、複数の異なる経路で入力が行われ、かつ複数の異なる経路で出力を行うことができる。以下に説明する透かし印刷の出力用画像処理は、複合機の操作部或いは外部インターフェースを通して発行された透かし印刷の出力要求を受付ける手段を有している。出力要求に原画像と透かし画像が指示されれば、基本的に、入力経路に関わらず透かし印刷に用いる画像データの処理を行うことができる。また、透かし印刷の出力用画像処理を経て得られるデータは、複合機内の印刷に用いてもよいが、外部インターフェースを通して送信してもよい。
図1において、画像読取部101は、CCD光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータ(アナログ/デジタル変換器)とそれら駆動回路を具備し、セットされた原稿をスキャンすることで得る原稿画像のRGB(R:RED,G:GREEN,B:BLUE)成分の濃淡情報から、RGB各8ビットのデジタル画像データを生成し出力する。画像読取部101で読み取られた画像データは、読取画像処理部102へ送られる。
読取画像処理部102は、画像読取部101の機器特性に依存する読取画像データを正規化し、汎用の予め定めた特性の画像データへと処理する。
読取画像処理部102の内部構成を示す図2を参照して、読取画像処理部102で行う処理を同図中に矢印して示す処理プロセスに従って、より詳しく説明する。
また、像域分離と並行に読取画像データが入力されるスキャナγ処理部204では、画像読取部101のγ特性から出力データに求められる空間特性となるように画像データに対してγ変換を行う。具体的には、画像読取部101から出力されるカラー信号に対して、無彩色の特性を出力に求められる空間特性となるようなγ変換処理を行う。
その後、この出力データをフィルタ処理部202に送る。このフィルタ処理部202は、画像データの持つ空間周波数を変換する役割を担う。また、像域分離処理部201で判定された結果を用いて、その抽出部分ごとの特徴に合わせたフィルタ処理を施す。例えば、網点部のエリアでは、網点を平滑するような平滑処理を施し、またエッジ部で白背景であれば、そのエリアを文字部と推定して、MTF(Modulation Transfer Function)特性のよくなるようなエッジ強調処理を施す。
次に、解像度変換部207では、色変換された画像データの解像度を、必要に応じて要求される出力解像度に変換する。具体的な処理方法としては、3次元コンボリューション法を適用した処理により行うことができる。なお、入力解像度と出力解像度が同じであればここでの処理は行わない。
その後、画像データ圧縮部206では、画像データの圧縮を行う。また、同時に像域分離処理部201で得た分離データも分離データ圧縮部205にて圧縮される。画像データ圧縮部206での圧縮方式は、圧縮率がよいJPEG(Joint Photographic Expert Group)などの非可逆方式でよいが、分離データ圧縮部205における圧縮方式は、MMR(Modified Modified READ)など可逆圧縮である必要がある。これは、分離データはその画素ごとの情報であり、後段の処理で使う時に劣化すると正しい処理が施されないためである。
メモリ108に加えてHDD109を設ける理由は、次の点にある。即ち、読取装置が原稿を読み取っている間、画像データ等をメモリ108経由で出力用のデータとして、プロッタなど画像書込部106に同タイミングで送り続けることができるなら良いが、実際、出力側が準備中などの場合は、読取画像データが入力される一方で出力ができない状態となってしまい、メモリ108に格納しておくことが必要になる。メモリ108が十分にあればよいが、高価なメモリはコストアップにつながることから、メモリ108の容量はそれほど大きくできず、十分な容量が用意できない事情がある。このために、大容量のHDD109を設け、読取画像データの量が大きくなっても、一旦ここに格納することにより、正常な処理を保証することができる。また、一時的な保存であれば、メモリ108で記憶すればよいが、長期的に保存するには、HDD109で保存したほうがよい。例えば、複合機自身の電源をOFFにする場合などがあっても、メモリ108が不揮発メモリであれば別だが、一般的なRAMメモリでは電源OFFになれば記憶されているデータが消えてしまうためで、このような状況に対してHDDの方が有利である。
出力画像処理部104の内部構成を示す図3を参照して、出力画像処理部104で行う処理を同図中に矢印して示す処理プロセスに従って、より詳しく説明する。
なお、図3には、上記した読取画像データを原画像データとして有色画像を印刷するために用いる出力画像の処理部を示すが、このほかに、本実施形態の複合機は、透かし印刷に用いる透明(透かし)画像の出力に用いる出力画像処理部を持つ。この出力画像処理部は、透明画像生成部105の処理である。この透明(透かし)画像の出力に用いる画像データの生成については、後記で詳述する。
読取画像系のデータは、蓄積時に圧縮が掛けられているので、まず、分離・画像データ伸張部301にて、拡張バスを経由してきた圧縮データを伸張する。このとき、伸張された画像データと像域分離データが画素単位で対応付けされて、次処理部へと出力される。
分離・画像データ伸張部301で伸張された画像データと像域分離データは、フィルタ処理部302において画像書込部106(図1)のMTF特性に合うようにフィルタ処理を施す。前述した読取画像処理部102内におけるフィルタ処理部202(図2)では、メモリ108或いはHDD109などに蓄積するために予め定められた特性に補正されているが、ここのフィルタ処理部302では、蓄積時の画像特性から画像書込部106の画像特性を持つデータへと変換する。また、読取画像系の処理から引き継いできた像域分離データを用いて、像域ごとの特徴に合わせたフィルタ処理を施す。
さらに、この色変換処理部303には、透明出力用画像データも入力される。この透明出力用画像を参照して、透明出力用画像データの有無、即ち透明画像が載る領域と載らない領域においてそれぞれに適した処理条件による色変換を画素単位で行うように処理を切り替える。この方法をとることによって、透かし印刷された画面において、透明画像によって有色画像に生じる違和感を低減し自然な画像を得ることができる。
図4は、透明出力用画像の有無によって色補正処理を選択する色変換処理部303の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、有色出力用画像としての読取画像系の画像データに対して、色補正部(1)401では透明画像が載らない領域用の変換処理を行い、他方の色補正部(2)402では透明画像の載る領域用の変換処理を行う。その後、色補正部(1)401又は色補正部(2)402のいずれかで処理された画像データを選択して出力するために、セレクタ403にて透明出力用画像データの有無に応じて画素単位で切り替え制御を行うことで各画素に適合する色補正が施された有色出力用画像データを出力する。
さらに、透明出力用画像データは、透明データ入力制御部307(図3)によって、色変換処理部303に入力される原画像データ(この実施形態では読取画像系の処理を経た画像データ)に対して重畳される位置を合わせてデータを入力しセレクタ等の切替動作を制御する。このとき、透明出力用画像データは原画像データ(有色出力用画像データ)とサイズが同じとは限らない。そこで、原画像データに対して透明出力用画像データが重畳される領域以外においては、ダミーの信号として、透明出力用画像データの無い領域と同じデータ信号を出力する。また、原画像データに対して透明出力用画像データの有る位置が領域外に、はみ出てしまうこともある。この場合においては、領域外の部分は不要であるから、データの削除をして、色変換処理部303にデータを転送する。
γ処理を切り替える方法は、前述の色変換処理において図4を参照して説明したと同様の方法で処理を切り替えるか、或いは処理パラメータを切り替えることにより実施することができる。
また、γ処理部305で処理された後の有色出力用画像データをもとに、中間調処理部306では画像書込部106の特性に合うような階調処理、例えば、ディザ処理や誤差拡散処理を施す。さらに、画像書込部106の階調の深さ(ビット数)の変換もここで行う。例えば、4bitの出力であるならば、ここで、入力された8bitの信号に対してディザ処理を行いながら4bit化を行う。
以上のようにして、読取画像系の上記入力側及び出力側の画像処理プロセスを経て、有色画像出力に用いる画像データが得られる。
この透明出力用画像データは、透かし印刷、即ち、上記した原読取画像をもとに処理された有色出力用画像データと同一画面で重ねて出力するために用いるが、この実施形態では、上記で図4を参照して説明したように、透かし印刷の有色出力に起きる違和感を低減化するために色変換処理部303で行う色補正処理において、処理を選択するための切替制御にも用いる。
透明出力用画像データの生成処理は、先ず、操作部113などからの指令入力によって、透明(透かし)画像として形成したい画像を選択する。このとき処理対象とする画像は、ネットワークを通じて外部から持ってきた画像を選択することができるが、その他、原稿の形態で予め用意し、この原稿を画像読取部101で読み取ることにより得られる画像データであってもよい。また、透明画像として処理される画像データに対して、操作部113を通じて、用意される画像の一部を使用するためにその使用領域を指示できるようにすることも可能である。例えば、図5のように、読み取った原稿の画像を操作部113の表示画面113dに表示し、透明(透かし)画像に用いたい画像領域を破線枠で囲むことにより指定し、指定された領域の画像データを透明出力用のマーク等の画像データを処理対象とする。
ここで、透明出力用画像データが、スキャナなどの読取装置やデジタルカメラ等のデータのように自然画像であるときの生成方法について述べる。こうした自然画像をもとにする場合の透明出力用画像データの生成方法は、出力画像処理部104でモノクロ画像データを生成するときの方法と類似する。また、処理対象の画像データに像域分離処理の結果も付随していれば、像域分離データを利用する方法で作成してもよい。
図6は、透明画像生成部105の内部構成の1例をより詳細に示すブロック図である。
図6を参照して、透明画像生成部105で行う処理を同図中に矢印して示す処理プロセスに従って説明すると、まず、分離・画像データ伸張部601にて、圧縮が掛けられたデータを伸張し、伸張された画像データと像域分離データは、フィルタ処理部602において画像書込部106(図1)のMTF特性に合うようにフィルタ処理を施す。
その後、2値化処理部605で透明(透かし)画像の書込に用いる出力用データへの処理を行う。このデータ処理は、透明(透かし)画像のマークとしての特性上、透明材が紙面に載るか載らないかを示す1bitの出力用データへの処理、つまり2値化処理になる。このときの2値化処理は、単純2値化処理が好ましい。
こうして、出力画像処理部104で処理された有色出力用画像データと、透明画像生成部105で処理された透明出力用画像データは、再度、メモリ108に、必要に応じてHDD109に待避され、その後、CMYK及び透明の各トナーにより形成される画像それぞれの書込みに用いるデータとして画像書込部106に入力される。画像書込部106ではこれらの出力用画像データをレーザービームによる書込みに用い、以降、既存の電子写真プロセスに従って、転写紙に受け取った画像データをもとに有色及び透明トナーによる画像出力を行うことにより、透かし印刷を行う。
ソフトウェアで構成するデータ処理部は、CPUと、該CPUの制御下で動作するRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成するコンピュータを当該データ処理部として機能させるためのプログラムにより実現することができる。CPUは、処理の実行時にROMに記録(記憶)しておいた制御・処理プログラム等をワークメモリとしてのRAMに読込み、これらのプログラム等を駆動することによって、CPU(コンピュータ)をこの処理の実行手段として機能させることができる。なお、プログラムを記録する媒体としては、ROMに限らず、HDD、CD(Compact Disk)−ROM、MO(Magnet Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を用いることができる。また、プログラムを、インターネット等のネットワーク(図示せず)に接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしても良い。
この実施形態は、実施形態1を適用する際に起こり得る問題への解決手段を講じた実施形態を示す。ここにいう問題は、有色画像に対し透かし画像による違和感を低減化するための色変換等の処理を施し(実施形態1で説明)、得られる出力用画像データを用いて印刷を行う際に起きる。
得られる出力用画像データを用いて適正な印刷動作を行えば、違和感が低減された目的の出力画像を得ることができる。ただ、電子写真記録によってカラー画像を形成する方式においては、使用するトナー(CMYK及び透明を含む)ごとに作像動作を行うので、各トナーにより形成される画像間の位置ずれは不可避である。つまり、所謂タンデム方式では、イエロー(Y)、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各トナー画像を色ごとに複数の感光体に形成し、これらのトナー画像を中間転写ベルト(像坦持体)または紙媒体(記録媒体)に重ね合わせてカラー画像を形成するため、各色のトナー画像を正確に重ね合わせるのは困難で、トナー画像間の位置ずれの発生は不可避である。これは、透明トナーにおいても同じであり、有色トナーに対して、透明トナーが位置ずれを起こすことがあった。
位置ずれによる違和感の低減効果への影響を抑制する方法として、ここでは、透明画像が載る領域と載らない領域(上記実施形態1における対応)のほかに、所定の位置ずれ量を仮定することにより、透明画像が載る領域と載らない領域の中間に境界領域を定義し、3つの領域においてそれぞれに適した処理条件による色変換等の処理を画素単位で行うように処理を切り替える方法を採用する。
図7において、透明画像生成部105(図1)で生成され、透明データ入力制御部707を介して入力される透明画像データに対して、透明データ領域判定部708では、透明画像の載る領域と載らない領域並びにこれらの中間に定められる境界領域の3つの領域を判定する。上記実施形態1の場合には、透明画像の載る領域及び載らない領域の2領域であったから、そのまま透明画像データがシートに形成される領域と直結するため、この判定処理は不要であったが、この実施形態では透明データ領域判定部708の判定が必要になる。
図8は、透明画像が載る画素の領域と載らない画素の領域の中間に定義した境界領域を説明する概念図である。同図における図Aは、矩形で示す各画素のうち透明画像データが載る画素をグレー化し、載らない画素を白で表している。図Aに上記の領域判定の手順を用いると、同図B中の太線で囲った画素よりなる領域(2画素以上の幅をもった領域)が境界領域の判定結果として得られる。
この境界領域は、他の定義によって定めることができる。境界領域をさらに広めに設定する場合には、例えば、前述の、領域判定の手順に従って判定した境界領域に対して、さらに2×2のマトリクスで当該境界領域に属する画素があるか否かを判断し、画素がある場合、注目する画素を境界領域に置き換えるという方法を用いることで境界領域の拡張を図ることができる。
図8の図Cは、2×2のマトリクスを適用して境界領域を拡げた場合を例示する。図Cの例では、透明画像が載らない画素と透明画像が載る画素の境界から2画素以上離れた近傍画素の範囲に拡げ、通常の境界よりも広い領域を境界領域とすることが可能となる。
例えば、有色出力に用いる画像を処理する出力画像処理部104(図7)では、実施形態1で例示した処理のほかに、透明データ領域判定部708の出力信号をフィルタ処理部702で使い、境界領域を示す信号を参照して、その領域が境界領域であれば強制的に平滑化処理を施す。
また、画像データの特徴的な属性信号と合わせて処理を切り替えることも可能で、例えば、透明データ領域判定部708の出力信号が境界領域であっても、文字領域と判定されていれば、平滑化処理を施さないというような処理もできる。また、色補正処理部703は、透明データの載る領域と載らない領域および、境界領域によって変換されるパラメータを切り替えて出力結果が変わるように処理する。また、逆に、実施形態1で示したような形態で切り替えてもよい。このようにして判定された3つの領域に対して、領域に合った処理を施す。
出力画像処理部104(図7)の例では、透明データ領域判定部708からの出力信号をフィルタ処理部702で使い、境界領域を示す信号を参照して、境界領域の画素に対して強制的に平滑化処理を施し、また、色変換処理部703において、同様に境界領域を示す信号に従って境界領域の画素に対して色変換処理の変換パラメータを透明画像の載る領域と載らない領域の間で段階的に切り替える等の処理を行う。これらの処理によって、境界部で起こる局部的な画像の違和感も低減することができる。
上述のように、有色トナー及び透明トナーを印刷する際には、CMYK及び透明それぞれの版ごとに印刷のずれが発生する。例えば、各版の印刷に用いる感光体ドラムが並列に並んでいるタンデムエンジン(例えば、特開2007−108585号公報の図7、参照)を作像部として使用する場合、それぞれの版を1次転写ベルトに作像する際に、各版において形成される画像の相対位置にずれが発生する。有色画像に加わる透明画像のユニットにおいても同様にこの問題が発生し、その結果、例えば、透明トナーが載るはずの領域に実際には透明データが載らなかったり、また、その逆に透明データが載らないはずの領域に透明データが載ってしまったりする。このミスマッチのために、目的とする違和感の低減効果が得られない部分が生じてしまう。このとき、有色、透明版間の位置ずれによる違和感の低減効果に与える影響は、透明画像の載る領域と載らない領域が接する境界部に顕著に現れる。
出力画像処理部104(図7)は、上記のようにして定めた境界領域信号を参照しながら、この領域の画像データをフィルタ処理部702によって平滑化処理し、また、色変換処理部703における変換パラメータを透明画像の載る領域と載らない領域の間で段階的に切り替える等によって処理を行う。
このように、有色出力に用いる画像を処理する際に、透明画像が載る画素の領域と載らない画素の領域の中間に定めた境界領域の画素に対して平滑化処理を施すこと、また、境界領域の画素に対して段階的に変化する変換パラメータを用いた色変換処理等の処理を施すことによって、有色及び透明の各版間に予測される画像の位置ずれにより境界部という局部で生じる違和感の低減効果への影響を軽減することができる。
この実施形態は、上記実施形態2に示した有色出力に用いる画像の処理に起こり得る問題への解決手段を有した実施形態を示す。
上記実施形態2の有色出力用画像の処理は、透明画像が載る画素の領域と載らない画素の領域の中間に定めた境界領域の画素に対して平滑化処理、段階的に変化する変換パラメータを用いた色変換処理等の処理を施すことを特徴とする。
この画像処理を行う際に起こり得る第1の問題は、解像度変換により画像サイズが変更される場合、上記実施形態2で説明した処理プロセスでは、画質が低下する可能性がある、という問題である。即ち、境界部という局部で起こる違和感を低減する平滑化処理を解像度変換前の画像データから判定した境界領域に施すと、副作用(平滑化が不要な部分に処理が及ぶこと)が大きくなる可能性が高くなる、という問題である。つまり、解像度変換後の画像データで境界領域を判定し、得られる領域の画素に対して平滑化処理を行う方が、境界部で起こる局部的な画像の違和感のみを有効に低減できる、ということになる。
これは、文字や白地の属性を有する画像に対して平滑化処理を用いると、属性と矛盾する処理結果を導く場合があり、画質の低下をもたらすからである。
このため、この実施形態では、平滑化処理を同様に行える手段であるフィルタ処理と平滑化処理を解像度変換(変倍処理)の前後で分け、原有色画像に対し像域分離データに応じて平滑処理やエッジ強調処理を施すフィルタ処理を解像度変換前で行い、境界領域の画像に対する平滑化処理を解像度変換後に行うことによって、それぞれに適した段階で処理できる構成とした。
図9において、境界用平滑処理部909は、境界領域の画像に対する平滑化処理を行う手段で、解像度変換(変倍処理)後の画像にこの画像サイズに合わせて定めた境界領域(領域の判定については後述)を対象にして平滑化を施すように構成している。
有色出力用画像の処理のフローでは、まず、フィルタ処理部902や色変換処理903は、図3の例で示したような処理を施す。即ち、フィルタ処理部902では、像域分離データに応じて原有色画像データに平滑処理やエッジ強調処理を施す。なお、境界領域に対する平滑化処理は境界用平滑処理部909で行うので、この点では図7の処理と異なる。
なお、色変換処理部903に入力される透明出力用画像データは、ここで色変換処理される原有色画像データと同じ解像度でなければならない(画素単位で対応する)。透明出力用画像データは、出力画像処理部104(図9)の出力と同じ解像度のデータにして、透明データ入力制御907に入力されるので、原有色画像データヘの変倍処理を伴う(解像度変換処理部904で変換を受ける)場合には、原有色画像データと透明出力用画像データの解像度が違っている。そこで、透明出力用画像データは、透明データ入力制御907で一旦原有色画像データの入力解像度に合わせて解像度変換を行い、色変換処理部903に入力する原有色画像データと透明出力用画像データの解像度を一致させる。
解像度変換処理部904では、透明データ領域判定部908で判定された領域判定結果を用いて処理を施す。
この実施形態では、透明画像の載る領域と載らない領域が接する境界部に対応して定めた境界領域にのみ平滑化処理(実施形態2において、フィルタ処理部702で境界領域に対して施した平滑化処理と同様の処理)を施す。
なお、透明データ入力制御907では、上記のように、透明出力用画像データに対し、一旦原有色画像データの入力解像度に合わせて解像度変換を行っているので、境界用平滑化処理部909へ入力する境界領域を判定する透明データ領域判定部908では、出力解像度に再度戻すように解像度変換を施し、変倍処理後の原有色画像データの解像度に合わせる必要がある。
このようにすることで、境界領域の画像に対する平滑化処理を適正化することができ、画質を保つことができる。
このような問題を起こす対象画像データの1つは、文字画像である。文字画像の場合、画像データを平滑化してしまうと、シートに転写された画像自体がぼけてしまい、補正処理として行った処理による弊害が生じてしまう。
そこで、境界領域に対する平滑化処理を行う際、対象の画像データが有する属性信号を用いて処理を選択することにより処理を適正化する。例えば、対象の画像データが文字の属性信号を有するときには、境界領域であっても平滑化処理を施さない、という処理を選択する。
なお、上記のような処理の選択をしても実際には問題は起こらない。というのは、透明出力用画像データの有無によって色変換処理を変える目的は、透明トナーが載ったり載らなかったりすることによって生じる転写率の変化によって色味の違いが発生するからであるが、文字画像においては色味よりも尖鋭力に人問の目は反応しやすく、もともと透明トナーが載るか否かによって生じる色味の違いが起きても分かり難い。また、文字画像の出力用データは、普通2値画像データで表現されるために、使用する有色トナー量が画素単位では多い。このようなことから、転写率の変化で示される色味の変化は軽微となり、かつ、尖鋭力に対する人間の目の反応により、上記色味の違いは目に付き難くなり、問題は生じない。
そこで、境界用平滑化処理部909では、注目画素が白画素であるか否かを判断する。この判断は、単純にその画素が「C=M=Y=K=0(白)」であるか否かを判断し、この条件に合う画素であれば、属性信号が文字であるときと同様に、透明データ領域判定部908が示す領域が境界領域であっても平滑化処理を施さない、という処理を選択する。
このような処理を行うことにより、例えば、白地上に四角いパッチがある画像が処理対象である場合において、パッチの縁と境界領域が重なることによるパッチの縁に生じる滲みを防止することが可能となる。
そもそも、この境界領域における処理の目的は、透明画像の載る領域と載らない領域が接する境界部で発生する違和感の低減を目的としている。この違和感が生じる原因の1つは、色変換処理における処理の切り替えにあることが解明されている。従って、図7に示した構成、即ち平滑化処理(フィルタ処理)をした後に色変換処理を行う構成によると、色変換処理の切り替えが原因となって生じる違和感を低減できない。つまり、先の図7に示した構成では、平滑化処理の効果は低くなってしまう。
そこで、この原因で生じる違和感を低減させるためには、境界用の平滑化処理は、発生原因となる色変換処理の後で行う必要がある。
また、出力するシートにおける白地領域は、プリント出力に用いる画像空間に変換した後、その画像データから検出することによって、より適切な検出が可能であり、この点が有効な効果を得るための条件となる。もちろん、白地領域として、処理対象の原画像データから白地の判定基準にもとづいて白地を認識することが可能であるが、処理負担は小さくない。よって、プリント出力に用いる画像空間に変換した後の画像データをもとにする。この場合には、色空間の白地は、有色材であるトナーを載せない「C=M=Y=K=0」のデータとなるため、検出も容易となる。
Claims (10)
- 同一画面への出力用画像を処理する手段として、原画像を有色出力に用いる画像に処理する有色出力用画像処理手段、透明出力に用いる画像を生成する透明出力用画像処理手段の各手段を有する画像処理装置であって、
前記透明出力用画像処理手段は、有色出力用画像に画素単位で対応する透明出力用の画像を生成し、
前記有色出力用画像処理手段は、原画像の各画素に対し共存する透明出力用画像の有無を判定する手段と、透明出力用画像の有無の判定結果に従って、適用する処理条件として有色出力のみの画素に適応する第1の処理条件又は透明出力が共存する画素に適応する違和感を低減化する第2の処理条件を画素単位で選択する手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載された画像処理装置において、
前記有色出力用画像処理手段は、有色出力のみの画素と透明出力が共存する画素との間の境界領域の画素を定義に従い判定する手段と、判定された境界領域の画素に適応する第3の処理条件を優先的に選択する手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載された画像処理装置において、
前記境界領域は、有色出力のみの画素と透明出力が共存する画素の境界から2画素以上離れた近傍画素の範囲と定義することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2又は3に記載された画像処理装置において、
境界領域の画素に適応する第3の処理条件が平滑化であることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項4に記載された画像処理装置において、
処理対象の画素に付属する画像の特徴を示す属性が文字であることを条件に平滑化処理を行わないことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項4に記載された画像処理装置において、
処理対象の画素に付属する画像の特徴を示す属性が白地であることを条件に平滑化処理を行わないことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項4に記載された画像処理装置において、
境界領域の画素に適応する第3の処理条件が出力特性に応じた色変換処理を伴うときには、当該色変換処理後に平滑化処理を行うことを特徴とする画像処理装置。 - コンピュータを前記請求項1乃至7のいずれかに記載された画像処理装置における有色出力用画像処理手段、透明出力用画像処理手段の各手段として機能させるためのプログラム。
- 請求項8に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
- 同一画面への出力用画像を処理する工程として、原画像を有色出力に用いる画像に処理する有色出力用画像処理工程、透明出力に用いる画像を生成する透明出力用画像処理工程の各工程を有する画像処理方法であって、
前記透明出力用画像処理工程は、有色出力用画像と画素単位で対応する画像を生成する工程を備え、
前記有色出力用画像処理工程は、原画像に対し画素単位で共存する透明出力用画像の有無を判定する工程と、透明出力用画像の有無の判定結果に従って、適用する処理条件として有色出力のみの画素に適応する第1の処理条件又は透明出力が共存する画素に適応する違和感を低減化する第2の処理条件を画素単位で選択する工程を備えたことを特徴とする画像処理方法。
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