JP2010165011A - 画像検査装置、画像検査方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 検査対象の印刷装置によって検査用画像データを元に紙出力された画像を画像検査装置のスキャナで読取り、得た検査原稿画像データ83の検査画像領域決定手段261で決定した画像領域から抽出した検査エッジをあるべき版ずれのないエッジ画像データと比較する。その際、検査エッジの色成分データがあるべきエッジデータと一致しない部分を版ずれとして検出し、検出した版ずれ量が所定の範囲内にあるか否かを合否判定手段で判定し、各色版の1つでも範囲を外れた場合、不合格信号を発生する。
【選択図】 図7
Description
この種の印刷装置は、印刷に用いる画像データが同じでも印刷装置の機器特性によって紙出力した画像の品質に変化が生じる。例えば、カラー画像の印刷では、C,M,Y(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー)3色或いはこれにBr(ブラック)を加えた4色成分を重ねる方法が一般的で、色成分ごとに独立に版を作成する方法が採用されている。この方法では、色成分ごとの作像ユニットの特性にばらつきが生じることは不可避であり、その一つは、版ずれといわれる版の間で起きる印刷位置のずれである。版ずれは、カラー画像の品質の低下に大きく影響する要因の一つである。
特許文献1には、基画像データのエッジ成分画像と、基画像データを用いて印刷した後の紙(版ズレ検出対象)を読み取った画像について全ての周波数成分を正規化したエッジ成分画像の各データとからズレ量ベクトルを抽出して、版ずれの検出を行う方法が示されている。
特許文献2には、転写ベルト上に色別に位置ずれ補正用のパターンを形成して、このパターンの位置をセンサで検出することによりずれ量を算出し、ずれの補正を行う方法が示されている。
特許文献4には、印刷面上に刷版の位置ずれ検出に用いる見当マークを印刷し、検出調整することが示されている。
しかしながら、特許文献2,4は、ずれ検出のために、補正用のパターン、見当マーク等のデータを用意することや、通常の印刷のほかにテストパターンの作成を特別に行わなければならない。
この問題点は、ずれ検査に特別なパターンを作成する必要がない特許文献1,3に記載された方法によって解決可能である。ただ、特許文献1は、網点画像に対してピークがでないようにするために、全ての周波数成分を正規化したエッジ成分画像データを抽出するという処理を行っており、処理が複雑になり、処理の負担が大きい。さらに、この処理方法のもたらす性質として局在する位置ずれ検出に向かない、という性質を有する。また、特許文献3のパターンマッチング法は、検査対象によっては、安定した検査精度を得るための基準画像を決めることが困難となるし、パターンマッチングの処理は、負担が小さくない。
本発明は、画像検査方法であり、基準とする検査用画像データを元に検査対象の印刷装置によって検査原稿画像を作成する工程と、検査用画像データを記憶手段に記憶する工程と、前記記憶手段の検査用画像データから基準エッジを抽出する基準エッジ抽出工程と、前記基準エッジ抽出工程で抽出した基準エッジ中の特定のエッジを囲む画像領域を検査画像領域として決定する検査画像領域決定工程と、検査原稿画像を作成する前記工程で作成された検査原稿画像を前記原稿読取手段により読取る工程と、読取った検査原稿画像データにおける前記検査画像領域決定工程によって決定された検査画像領域から特徴量を抽出する特徴量抽出工程と、前記特徴量抽出工程で抽出した特徴量に基づき検査原稿画像の合否を判定する合否判定工程と、を有したことを特徴とする。
本発明は、基準とする検査用画像データを記憶手段に記憶する工程、前記記憶手段の検査用画像データから基準エッジを抽出する基準エッジ抽出工程、前記基準エッジ抽出工程で抽出した基準エッジ中の特定のエッジを囲む画像領域を検査画像領域として決定する検査画像領域決定工程、前記検査用画像データを元に検査対象の印刷装置によって作成された検査原稿画像を原稿読取手段により読取らせ、出力される検査原稿画像データにおける前記検査画像領域決定工程によって決定された検査画像領域から特徴量を抽出する特徴量抽出工程、前記特徴量抽出工程で抽出した特徴量に基づき検査原稿画像の合否を判定する合否判定工程の各工程をコンピュータに行わせるためのプログラムである。
検査対象の印刷装置としてのMFPは、複写、ファクシミリ、プリンタ及びスキャナ機能等のほか、蓄積画像を再出力に利用するドキュメントボックス機能を複合して有する。
本実施形態のMFPは、カラー印刷の出力ができる装置である。
また、このMFPにおいて、上記複合機能を利用して処理される画像は、紙原稿がソースであれば、スキャナで原稿面の画像を読取ることによりデータ入力が行われ、PC(Personal computer)、ファクシミリ(以下「FAX」という)装置、外部記憶装置等の外部機が持つデータであれば、通信・接続I/F(インターフェース)を介して印刷データや画像ファイルの形でデータ入力が行われる。いずれの場合にも、入力されたデータは、複合機能を用いて行われるプロッタ出力、外部機へのデータ送信等の各種の出力に適用できる汎用の画像データに処理される。
この画像データ値のずれは、1つは、色成分ごとに独立に版を作成する方法を採用して行うカラー印刷において、版ずれといわれる版の間で起きる画像のずれであり、もう一つは、モノクロ印刷においても起きる画像のずれで、紙出力として本来あるべき画像(印刷紙)面上の位置に対するずれである。
本実施形態における検査方法の特徴点は、次の点にある。第1に、検査用画像データから基準エッジを抽出することであり、第2に、抽出した基準エッジ中の特定のエッジを囲む画像領域を検査画像領域として決定することであり、第3に、検査原稿画像データから検査画像領域として決定した領域のエッジを抽出し、抽出したエッジ画像データから求める版ずれデータ或いは抽出したエッジ画像データと検査用画像データの対応する基準エッジの間の画像データのずれを求め、これを合否判定の対象とすることである。
「MFPの概要」
図1に示す検査対象のMFP100は、原稿画像をスキャナ1で読取るか或いはNIC(Network Interface Controller)12を介してPC(Personal computer)16等の外部機から画像に変換可能なデータ入力を受け、入力された画像をプロッタ9で画像出力に用いるデータとして処理する。なお、外部機から入力されるデータとしては、PC16のプリンタドライバにより作成された印刷データ、ファクシミリ(不図示)からの受信データ、外部記憶メディアに記憶された画像ファイル等が含まれる。
また、MFPのデータ処理系では、入力画像を大容量のHDD(Hard Disk Drive)5等の記憶手段に蓄積し、蓄積データを印刷出力や外部機へのデータ出力(送信)に再利用できるようにしている。
スキャナ補正部2は、スキャナ1からのデジタル画像データに対し予め定めた特性に統一する処理を施して出力する(後述する図2の説明、参照)。スキャナで原稿を読取り、入力される画像データは、スキャナの機器特性に依存しているので、この処理によって機器に依存する信号成分を抑制或いは除き、画像データを正規化する処理を行い、各種の出力に利用可能な汎用データに変換した後、後述するHDD5に蓄積する。
HDD5へ蓄積する際に、圧縮処理部3で必要に応じてデータ圧縮を行うことによって効率的にデータを扱うことも可能である。
プロッタ9で画像出力に用いるデータ処理は、伸張処理部7で圧縮データを復元した後、プリンタ補正部8で処理する。このとき、NIC12等で受信したデータについても、コントローラ6経由で汎用画像データに処理した後、蓄積画像データと同様の出力データ処理を行う。プリンタ補正部8は、対象の画像データに対し、画像の調整やユーザからの指示に従う処理を施す。なお、プリンタ補正部8については、図3を参照して後記で詳述する。
HDD(Hard Disk Drive)5は、デジタル画像データ及びデジタル画像データに付帯する書誌情報等の画像の管理情報を蓄積するための大容量の記憶装置である。この実施形態では、この大容量の記憶装置としては、HDD以外のデバイスも選択可能であり、近年容量が大きくなってきたフラッシュメモリを用いたシリコンディスクなども適用可能である。その場合、消費電力の面やアクセス速度の向上が期待できる。
ROMに格納するプログラムの中に、後述する、MFP100に対する印刷要求に応じて行うプロッタ9の画像出力及び画像検査装置200で検査に利用するデータ(後述する基準エッジ、検査画像領域等)を該検査装置からの要求に応じて出力する動作を実行するためのプログラムを記録(記憶)しておくことで、CPUがこの動作の制御手段として機能する。
“複写動作”
複写機能を利用してプロッタ9からの画像出力を行う場合、スキャナ1は、原稿50から画像データを読み取り、読取った画像データ(アナログ信号)をデジタルデータ(600dpi)に変換して出力する。スキャナ1からのデジタル画像データは、スキャナ補正部2で複写を含め各種の出力に利用可能な汎用データへと変換・補正が施される。
図2は、スキャナ補正部2の内部構成の1例を示す図である。
同図に示すように、スキャナ補正部2は、スキャナ1から入力した画像データimg(反射率リニア)に対し像域分離部21で黒文字エッジ領域、色エッジ文字領域、その他(写真領域)の3つの画素領域に画像を構成する画素を分離する。この像域を分離する処理は、例えば、特開2003−259115号公報に示される方法(図9、参照)を採用することで、画像データに像域分離信号として、黒エッジ文字領域、色エッジ文字領域、写真領域のいずれかの信号を画素毎に付与する。
フィルタ処理部23では、像域分離部21で得た像域分離信号によりフィルタ処理を切り換えて原稿画像の特性を保つ。即ち、黒エッジ文字、色エッジ文字の各文字領域では判読性を重視して鮮鋭化処理を行う。また、写真領域では、画像データ内の急峻な濃度変化をエッジ量として、エッジ量に応じて平滑化処理や鮮鋭化処理を行う。急峻なエッジを鮮鋭化するのは、絵の中の文字を判読しやすくするためである。
色補正処理部24は、黒エッジ文字領域以外では、R,G,Bデータを一次濃度マスキング法等でC,M,Yデータに変換する。画像データの色再現を向上させるために、C,M,Y(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー)データの共通部分をUCR(加色除去)処理してBk(Bk:ブラック)データを生成し、C,M,Y,Bkデータを出力する。ここで、黒エッジ文字領域は、スキャナ1のRGB読み取り位置ずれで原稿の黒文字が色付くこと、或いはプロッタ9におけるYMCBkのプリント時に重ね位置ずれがあると判読性がよくないので、黒文字領域のみ輝度に相当する信号でBk単色データにて出力する。
文字γ部25では、文字部のコントラストを良くするために、色文字と黒文字にたいしてγを立たせている。
圧縮後の画像データは、汎用バスを通って、コントローラ6に送られる。コントローラ6は、図示しない半導体メモリを持ち、送られてくるデータを蓄積する。
この実施形態では、後述する画像検査装置200で行う画像検査に用いる基準エッジ、検査画像領域等のデータを当該装置にコントローラ6の動作により供給する。画像検査に用いるこれらのデータは、検査用画像データから抽出、生成され、この検査用画像データとしてスキャナ入力画像を用いる場合、コントローラ6は、半導体メモリに蓄積されたスキャナ入力画像の指定された画像を検査用画像として、後記で図7,8或いは図12,13を参照して説明するように、その検査用画像のデータから基準エッジ(座標値)を抽出し(後記で詳述)、抽出した基準エッジを基に決められる検査画像領域データ(後記で詳述)を画像検査装置200側のコントローラ26に送信する。なお、MFP100は、検査用画像データを送信するだけで、画像検査装置200側で基準エッジ、検査画像領域等のデータ処理を行う方法をとってもよい。また、基準エッジ、検査画像領域等のデータ処理に用いる検査用画像データとして標準的なRGBデータを適用する場合には、色補正処理部24では、別途この色変換を行い、当該領域の抽出処理に用いるようにする。
本実施形態では、半導体メモリ(不図示)に蓄積されたスキャナ入力画像は、再利用できるようにHDD5に蓄積する。なお、ここでは、この入力画像データに対し圧縮を施すとしたが、汎用バスの帯域が十分に広く、蓄積するHDD5の容量が大きければ、非圧縮の状態でデータを扱っても良い。
図3は、プリンタ補正部22の内部構成の1例を示す図である。
同図に示すように、プリンタ補正部22は、伸張処理部7を経た画像データに対して、プロッタ9の周波数特性に応じてγ補正を行うプリンタγ部81と、ディザ処理・誤差拡散処理などの量子化を行い、階調補正を行う中間調処理部82と、画像データ内の急峻な濃度変化をエッジ量として検出するエッジ量検出部84を有する。
プリンタγ部81は、プロッタ9の周波数特性に応じて、プロッタ出力を標準化するために設定されたγ特性に従ってγ変換を行う。
中間調処理部82は、プロッタの階調特性やエッジ量に応じて、誤差拡散やディザ処理を用いて各色8bitから2bitへと画像データの変換を行う。この量子化処理をする際に、エッジ量検出部84の検出量に基づき、黒文字抽出の処理を行って、抽出した黒文字信号で黒文字のコントラストを強調することも可能である。この処理を加えることにより、文字の判読性が向上する。
プロッタ9は、レーザービーム書き込みプロセスを用いた転写紙印字ユニットで、プリンタ補正部8から受取った2bitの画像データを書き込みに用いて、感光体に潜像を描画し、トナーによる作像/転写処理後、転写紙にコピー画像を形成し、複写動作を終える。
ネットワークを介してPC16からプリンタ機能を利用してプロッタ9からの画像出力を行う場合、コントローラ6は、NIC12を介して受信したデータから、画像及びプリントを指示するコマンドを解析し、解析結果に従って、印刷できる状態にビットマップ展開した画像データを生成する。
図4は、コントローラ6におけるネットワークに対する画像データの入出力処理に関連する構成を示す図である。
同図に示すように、コントローラ6は、CPU61、圧縮伸張処理部62、ページメモリ63、出力フォーマット変換部65、入力フォーマット変換部66、データI/F部68を有する。
ページメモリ63に展開したYMCBk画像をプロッタ9からの画像出力に用いる場合に、ページメモリ63に展開したYMCBk画像をHDD5へ蓄積し、HDD5から蓄積したデータを読出し、プロッタ出力に用いる。この出力プロセスによる場合、画像データは、HDD5に蓄積する前に圧縮伸張処理部62で圧縮が掛けられ、HDD5に出力される。ただ、ページメモリ63に展開したYMCBk画像を直接プロッタ9からの画像出力に用いる場合には、画像データは、ページメモリ63から汎用バスに画像データimgとして出力し、後述のプロッタ出力用の画像処理を経てプリント出力に用いられる。
また、後述する画像検査装置200によって行う画像検査に用いる検査用画像データとして、ネットワーク経由で入力された画像を用いる場合、コントローラ6は、上記スキャナ入力画像におけると同様に、当該検査用画像データから基準エッジ(座標値)を抽出し(後記で詳述)、抽出した基準エッジ、検査画像領域データ(後記で詳述)等のデータを画像検査装置200側のコントローラ26に送信する。
画像検査装置200は、検査対象の印刷装置(ここでは、MFP100)で基準画像データを元に紙出力(プロッタ出力)された画像を検査原稿とし、これを画像データに変換し、この検査原稿画像データに生じる版ずれデータ或いは検査原稿画像データを基準画像データと比較し(実際には、後述するようにエッジ画像データ或いはエッジの画像位置データを比較する)得られる画像ずれを表すデータ値に基づいて合否を判定するプロセスを基本として、先に述べた第1〜3の特徴点を要素とする。
よって、この実施形態の画像検査装置200は、図1の概略構成に示すように、紙出力から画像を読取るスキャナ21と、スキャナの読取データを汎用画像データに処理するスキャナ補正部22と、処理された汎用画像データを蓄積する際に用いる圧縮処理部23と、画像検査装置200全体を制御するとともに、原稿画像の入力処理(スキャナ21及びスキャナ補正部22の処理)を経て生成された検査原稿画像データに生じる版ずれデータ或いは検査原稿画像データを基準画像データと比較し得られる画像ずれを表すデータ値に基づいて合否を判定する手段としても機能するコントローラ26と、画像検査において処理の対象となる画像データ、判定の基準となるデータ等を蓄積するHDD25を有する。
ただ、検査用画像データとして定めた画像データは、検査原稿の紙出力、基準エッジの抽出及び検査画像領域の決定(後記で詳述)に用いる。このため、ここでは、検査用画像データとして定めたデータをMFP100におけるHDD5に保管する。
画像検査装置200のコントローラ26は、MFP100から提供される検査画像領域データ等を受取る通信手段を有する。ここでは、コントローラ26は、MFP100のコントローラ6との間に設けた通信手段でこのデータの授受を行っている。なお、この実施形態では、MFP100側で検査画像領域を決定する例を示すが、画像検査装置200側で検査画像領域を決定する構成を採用してもよく、この構成をとる場合には、検査用画像データを保持するMFP100が、画像検査装置200にこの検査用画像データを送信する必要がある。
上記ROMに格納するプログラムの中に、後述する画像検査装置200に対する画像検査処理の要求に応じて行う検査及び基準それぞれの画像データの生成及び画像検査機能による処理(図8或いは図13の処理フロー、参照)を実行するためのプログラムを記録(記憶)しておくことで、CPUがこれら処理の制御手段として機能する。なお、プログラムを記録する媒体としては、ROMに限らず、HDD、CD(Compact Disk)−ROM、MO(Magnet Optical Disk)等のディスク型を含む各種記憶媒体を用いることができる。
この実施形態において検査する基準画像に対する検査原稿画像の画像ずれは、2種類あり、1つは、カラー画像を形成する際に作成する複数色の版の間で生じる版ずれであり、もう一つは、モノクロ印刷においても生じる、紙出力として本来あるべき画像(印刷紙)面上の位置に対するずれである。これらの検査方法には、異なる点があるので、以下の説明ではそれぞれ〈実施形態1〉と〈実施形態2〉とに分けて説明する。
この実施形態では、カラー画像を形成する際に作成する複数色の版の間で生じる版ずれを検査する。
“原稿画像の入力処理”
MFP100で検査用画像データを元に紙出力が行われた後、スキャナ21は、この紙出力画像70を原稿として画像を読取り、読取ったアナログRGB画像信号をデジタル画像データに変換してスキャナ補正部22に出力する。
スキャナ補正部22は、図5に内部構成の1例をブロック図で示すように、スキャナ21から入力した画像データimg(反射率リニア)に対し、スキャナγ部22gで、画像データを反射率リニアから濃度リニアのデータに変換する。フィルタ処理部22fでは、スキャナのMTF(Modulation Transfer Function)の個体差をそろえるために鮮鋭化処理を行い、スキャナ個々のばらつきをそろえ、原稿画像の特性を保つ。また、色補正処理部22cは、前段から受取ったRGBデータを標準的なRGBデータに変換をする。標準的なデータに変換することにより、画像の検査を容易にする。
コントローラ26は、図示しない半導体メモリを持ち、送られたデータを蓄積する。
本実施形態では、半導体メモリに蓄積されたスキャナ入力画像は、基準原稿画像データと検査用画像データとして画像検査処理に利用できるようにHDD25に蓄積する。なお、ここでは、この入力画像データに対し圧縮を施すとしたが、汎用バスの帯域が十分に広く、蓄積するHDD25の容量が大きければ、非圧縮の状態でデータを扱っても良い。
図6は、コントローラ26における外部機(MFP100)に対する検査用のデータ等のデータ入出力に関連する構成を示す図である。
同図に示すように、コントローラ26は、CPU26p、圧縮伸張処理部26d、ページメモリ26mを有する。
コントローラ26は、検査対象の外部機や検査結果を利用する外部機とデータをやり取りする。この実施形態では、検査対象の外部機や検査結果を利用する外部機は、MFP100を想定しており、コントローラ26は、MFP100に対して検査用のデータの受信及び画像検査結果を示すデータの送信を行う。
この実施形態の画像検査機能について詳細に説明する。
図7は、この実施形態の画像検査機能の構成を示す図である。
同図において、入力画像の1つとして示す基準画像データ81は、印刷(紙出力)の元になる画像データで、上記したように、この画像データを用いて検査原稿が印刷される。
基準画像データ81は、デジタル画像で、画素ごとに画像面上の位置及び色の各データが特定され、この実施形態では操作者が検査用として任意に定めた画像を用いることができる。なお、用意される基準画像データ81は、印刷の元になるデータであるため、非常に画像サイズが大きい場合があり、この場合には、表示用の画像データのように、縮小した画像データに処理するなど、元のデータにデジタル的な画像処理を施したものでもよい。
他の入力画像は、検査原稿画像データ83である。検査原稿画像データ83は、検査対象の印刷装置(本実施形態ではMFP100)で基準画像データ81を用いて紙出力(印刷)し、この出力を検査原稿として、この原稿を画像検査装置200のスキャナ21で読取り、スキャナ補正部22で処理された画像データで、本実施形態では標準的なRGBデータとして処理された画像データである。
検査画像領域決定手段261は、基準画像データ81を用いて検査画像領域を決める手段である。本実施形態では、基準画像のエッジに着目して、基準画像において所定の条件に適うエッジを特定し(後記で詳述)、このエッジ画素の位置によって定まる検査用画像上の領域(座標で表される)を検査画像領域として決定する。なお、検査画像領域を決定する際の基準画像のエッジの抽出方法については、後記で詳述するが、エッジの抽出によって、抽出エッジ画像の画像色と位置(座標)が求められる。また、検査画像領域決定手段261は、ここまでの説明では、MFP100側で検査画像領域を決定するとしたので、この手段は、MFP100が有する。ただ、画像検査装置200側の処理として実施してもよい。
合否判定手段267は、検査画像領域から抽出されたエッジ画像に生じる版ずれデータが所定の範囲内であるか否かにより合否を判定する手段である。
なお、検査画像領域決定手段261、検査エッジ画像抽出手段263及び合否判定手段267については、後記処理フローの実施例中でさらに説明する。
本実施形態の画像検査機能(図7、参照)が実行する処理を手順に従い説明する。
図8は、コントローラ26が有する本実施形態の画像検査機能による処理のフローを示す図である。
図8の処理フローによると、検査画像領域を決定するための手順として、先ず、基準画像における処理の対象とする領域を認識する(ステップS101)。この処理は、検査画像領域決定手段261の処理で、検査画像領域を決定するために基準画像から基準エッジを抽出する処理を後段で行うので、この処理を行う前に、抽出が可能な処理領域を認識し、認識結果に従い当該領域を定める処理である。
上記基準エッジに適するエッジは、文字エッジから選択するので、ここでは、処理領域として、先ずHDD5に保存された基準画像データ81において文字領域を認識し、処理領域を決める。
文字領域の検出方法の1つは、プリンタ機能による画像出力を要求しNIC12を介して入力された印刷データから検出する方法で、PDL(Page Description Language:ページ記述言語)のオブジェクトデータの文字属性をそのまま利用して文字領域と認識し、この領域を検出する(例えば、特開2001−53970号公報、特開2002−237958号公報、参照)。また、例えば、スキャナ入力画像のようなビットマップ画像データからこの処理を行う場合は、画素のランを統合して生成した連結成分の外接矩形抽出し、これを文字領域として検出する方法(例えば、特開2002−288589号公報、参照)や黒文字エッジ領域、色文字エッジ領域、その他の3つの領域に分離する像域分離方法(例えば、特開2003−259115号公報、参照)によって文字領域を検出することができる。
図9に示す像域分離処理部320は、文字エッジ検出、絵柄検出及び有彩/無彩検出を行って、文字エッジ領域或いは絵柄領域を表す文字分離信号C/P信号(2bit)、及び有彩領域/無彩領域を表す色領域信号B/C信号(1bit)を発生する。像域分離処理部320の機能構成は、大別すると、フィルタ321、エッジ抽出322、白領域抽出323、網点抽出324、色判定325および総合判定326の各手段を有する。
フィルタ321は、主に文字のエッジ抽出のために、スキャナが発生するG画像データを強調して補正する。
白領域抽出323は、白地に書き込まれた領域を確実に白領域と判定して、濃い黒文字周辺を白領域として、濃度の薄いところを非白領域とする。
網点抽出324は、印刷原稿の網点部を網点と判定する。
色判定325は、画像データ中の色(有彩)画素や黒(無彩)画素を検出する。
エッジ抽出322の結果がエッジありで、網点抽出324の結果が網点なしで、白領域抽出323の結果が白領域ありのときは、文字エッジ領域と判定する。そうでないときには非文字エッジ(絵柄または文字のなか)と判定する。
上記のように、図9に示す像域分離処理部は、スキャナからのRGB画像データを像域分離することにより、画像データに像域分離信号(文字エッジ領域、色領域)を画素毎に付与する。
よって、像域分離信号から黒文字エッジ領域(文字エッジ領域であり色領域でない)、色文字エッジ領域(文字エッジ領域であり色領域である)、その他(写真領域)の3つの領域に分離する。ここでいう文字エッジ領域は、白地上の文字エッジを検出するものである。
基準エッジに適する条件は、濃い濃度から白に急激に変化する所で、文字エッジを含む領域がこの条件に該当し、上記の像域分離の例に示す文字エッジの領域分離信号をもとに適性を判断できる。
ただ、この版ずれ検査では、文字エッジでも、黒文字のエッジは抽出しない。黒文字エッジを抽出しないのは、黒文字エッジは黒単色で印刷されているため、版ずれの評価に適さないからある(後述する図10の黒画像の説明、参照)。逆にいうと、黒エッジでも文字ではない色領域の場合には、版ずれの検査に用いることができる。
上記の像域分離処理の例に示すように分離信号を検出する場合には、色文字エッジ領域分離信号(文字エッジ領域であり色領域である)が検出される画像が適しているので、この信号をもとに適性を判断できる。つまり、抽出されたエッジのうち2色成分以上の重なりを持つエッジを抽出する。
ここで、網点ありの条件がCMY2色成分以上で、3色成分全てが網点ありか網点なしのどちらかであれば、エッジとする。言い換えれば、網点ありでも網点なしでもない状態である時は、中間濃度となるのでエッジとして抽出しない。つまり、中間濃度は印刷のための中間調処理がかかるために、位置の特定が困難な場合があるので、検査対象として抽出しない
実際に抽出する色は、Y+M(R)、M+C(B)、Y+C(G)、Y+M+C(Bk)の色成分を持つ4色である。ただし、BKは、実際は4色印刷なので、Y+M+Cでは、墨入れ処理でY+M+C+Bkの4色成分となる。
ここで、抽出されるのは黒文字以外のエッジで、色文字のエッジ、高濃度部の絵(文字以外)のエッジである。
本来ならば、BKの4色成分重ねの色があれば、位置ずれ量がわかる。しかし、他の組み合わせを見ることにより、4色成分重ねの色のない画像でもY+M(R)、M+C(B)、Y+C(G)を使って版ずれを検査し、版ずれ量を計測すること可能となる。
また、Y+M(R)、M+C(B)、Y+C(G)、Y+M+C(Bk)の版ずれ量の許容範囲を色毎に設定することが可能である。色文字Y+M(R)、M+C(B)、Y+C(G)の間のずれを見た場合、Yは比較的ずれても判りにくいので、Y+M(R)、Y+C(G)は、M+C(B)より許容量を緩くするなど、位置ずれ量を個別に設定できる。
絵のエッジは単に見るだけなので位置ずれはあまり気にならないが、色文字のエッジは、文字部にあり、文字は読むので位置ずれがあると気になりやすいので、絵のエッジより色文字のエッジの位置ずれの基準を厳しくすることにより、この不具合を低減できる。
この処理は、検査画像領域決定手段261が行う処理で、抽出した文字エッジの中から特定のエッジを指定し、指定した文字エッジを囲む領域を検査画像領域として決定する。ここでは、検査画像領域を座標で表す。
特定の文字エッジを指定する方法は、図示しない操作パネルのディスプレイに基準画像の画像面上で抽出した文字エッジを表示し、必要な箇所の文字エッジを操作者が選択してもよいが、自動で抽出する方法を採用してもよい。
自動で抽出する方法としては、選択対象の文字エッジにおけるエッジ画素の一次元方向のラン(連続画素)が所定画素数以上のランであれば、ランの中央部分を特定する文字エッジの位置として検出する。具体的には、選択対象の抽出されたエッジはすでに、白地上の文字の境界のデータなので、縦方向、横方向それぞれにエッジ画素がどれだけ連続しているかを数えることで、ランが認識できる。このような条件のランが複数認識できるが、その中から必要な位置や長さを有するランを、このステップで決定する検査画像領域に使用する特定の文字エッジとして抽出する。なお、ここで抽出するランは、印刷で用いるいわゆるトンボの役目をはたし、ランの連続数は、検査対象とする印刷装置と画像検査装置の精度により異なる。
例えば、抽出された文字エッジ画像の1例を表した図11に示すように、「特許庁」という文字は、「丁」の上部分のエッジ811は、水平のランが連続しているので、ここを水平方向のずれ検査に用いる基準エッジ画像とし、この領域を検査画像領域と決めるために当該エッジの画素位置(座標)を抽出する。また、「丁」の中央部分のエッジ813は、垂直のランが連続しているので、ここを垂直方向のずれ検査に用いる基準エッジ画像とし、この領域を検査画像領域と決めるために当該エッジの画素位置(座標)を抽出する。また、上記の例示以外にも、表の罫線などの文字エッジを検査に用いることができることは言うまでもない。
このように、水平方向と垂直方向の成分を対象とするので、水平方向と垂直方向の位置ずれが独立に検査可能となる。さらに、文字エッジのランという連続性を持つ画像データを抽出し、検査に用いるので画像部の中間調処理の影響を受けなくなる。
この処理は、検査エッジ画像抽出手段263が行う処理で、検査画像領域の検査原稿画像からエッジ画像を抽出することにより、検査画像領域を決定する際に基準画像データ81から抽出されたエッジ画像に対応する検査原稿におけるエッジ画像の画像色と位置(座標)を求める。
ここで、検査画像領域に基づいて検査原稿画像データ83から抽出処理の対象とする画像領域を取得するが、取得する領域のサイズは、上記した基準画像におけるエッジ画像のランの長さと同様に、印刷装置と検査装置の精度により異なる。また、この場合にも、印刷紙面上のずれは、印刷装置によって違い、読み取り位置がずれてしまうことを考慮し、位置がずれても検査領域が問題なく抽出できるようにM×Nのサイズで取得する。
このエッジ画像の抽出方法は、ステップS103で検査画像領域を決定する際に基準画像データ81に対して行ったエッジの抽出と同様の方法を用いることにより実施することができる。即ち、決定された検査領域の検査原稿画像データを、図9に示した像域分離部によって処理し、色文字エッジ領域分離信号が検出される画像を抽出する。
この処理は、合否判定手段267が行う処理で、ステップS104で検査原稿画像データ83から抽出したエッジ画像データと版ずれがないときに求めることができるエッジ画像データ(基準画像データ81の該当するエッジの画像データ)とを比較し、得られる比較結果から版ずれを表すデータ値を求め、求めたデータ値が所定の範囲内にあるか否かを判定する処理である。
図10は、検査原稿画像から抽出される色文字エッジの色成分の構成を示すもので、色成分の重なり具合が異なる状態を説明する概念図である。同図に示す例は、4色(Y、M、C、Bk)を重ねて構成する色(黒)文字エッジの各色成分が(a)〜(c)3つの異なる重なり具合で描画された状態を示している。
図10中の(a)は、4色位置ずれ(版ずれ)なしに重なった状態を示している。この描画状態がスキャナ21で読取られると、RGBの読み取り濃度は、エッジ部においてはスキャナ読取特性で、黒から白に変化するのではなく、黒、灰、白のように変化する。ただし、版ずれがない場合、RGBの各読み値は、ほぼ等しくなる。また、このエッジ読取によって得られる画像サイズは、基準画像データ81から抽出した基準エッジ画像のサイズと等しい。
同様に、M版のみがずれると、エッジにおける黒から白に変化する色が、マゼンタか緑色になる。
同様に、C版のみがずれると、エッジにおける黒から白に変化する色が、シアンか赤色になる。
また、Y+M(R)、M+C(B)、Y+C(G)版もずれると、エッジにおける黒から白に変化する色が、Y+M(R)の時はマゼンタか黄色になり、M+C(B)の時は、シアンかマゼンタ色になり、Y+C(G)の時は、シアンか黄色になる。
このように、版ずれが生じることにより、読取ったエッジ画像が、本来と異なる色(濃度)になることを利用して、版ずれが起きたことを検出し、そのときのずれ量は、読取った画像のサイズを基準画像データ81から抽出した基準エッジ画像と比べ、長くなった分により検出できる。
即ち、検査原稿画像データ83を原稿から読取り、抽出されたエッジ画像のRGBデータのみからずれ量を得る方法である。
この方法は、先ず、抽出されたエッジ画像のRGB画像データをカラー画像の作成に用いるインク(色成分)特性のCMY系に色変換する。
次いで、CMY系へ色変換した後のエッジ画像について、各画素を構成する各色成分の組み合わせを調べ、色成分間のずれを最小にする組み合わせへ画像を移動するための補正量をずれ量とみなし、この量を検出する。
また、版ずれの合否判定は、次の方法を採用することができる。即ち、図10を参照して説明したように、エッジの色のつき方により色のずれている方向がわかるので、ずれを補正する方向に、許容範囲として予め定めた許容量だけずれを補正して、この補正を行った後、ずれの方向が補正前の逆になれば、当該ずれ量は許容範囲であることが分かり、他方、補正を行った後、ずれの方向が補正前と変わっていなければ、位置ずれ量は許容値を超えていることが分かる。
この判定の処理方法は、例えば、版ずれは、検査画像領域ごとに抽出したエッジ画像単位でずれ量を検出し、また、合否の判定は、抽出した全てのエッジ画像について、検出したずれ量が所定の範囲内ならば正常であり合格とし、他方、どこか1つでも範囲外であれば異常であり、不合格とする。
また、基準画像データは、検査用に特別な画像(例えば、いわゆる“トンボ”と呼ばれるテスト画像パターン)を用いる必要がないので、検査対象の印刷装置に特別なデータを用意し、特別な動作を行わせなることがない。このため、印刷動作が継続でき、出力のパフォーマンスを向上することができる。
上記の画像検査は、検査原稿画像データ83の特定のエッジ位置の画像に生じた版ずれが許容範囲を超え、不合格となったことを検査結果として示す。検査結果が不合格となる原因が解明され、補正が可能であれば、正常な出力ができるように印刷装置の動作を制御することができる。例えば、検査結果として得た版ずれ量を補正用のデータとして検査対象である印刷装置(MFP100)のコントローラ6に送り、このデータを受取るコントローラ6は、例えば、画像の書込み動作のタイミング等を調整することにより、版ずれの補正を行うことができる。
さらに、検査結果が示す版ずれ量が印刷品質を劣化させる異常出力となり、使用するには不適当であると判断される場合には、異常出力は、正常に出力された印刷紙とは別にしておくことが望ましい。特に偶発的な要因による異常に対して有効な手段となる。
そこで、異常と判断された印刷紙と正常な印刷紙を振り分ける制御を行うための制御信号として検査結果を印刷装置(MFP100)のコントローラ6に送信できるようにする。なお、印刷装置において異常な印刷物を振り分ける制御は、既存の技術であり(例えば、特許第4068210号公報、参照)、上記異常データの送信をこの振り分け制御動作に適用することにより、本実施形態の画像検査結果を利用した制御を実施することができる。
この実施形態では、画像出力用データ(本実施形態では、検査用画像データ)を元に紙出力する際に作成する画像が紙出力として本来あるべき印刷紙面上の位置に対して生じる画像ずれ(以下、「位置ずれ」という)
を検査する。
“原稿画像の入力処理”
MFP100で検査用画像データを元に紙出力が行われた後、スキャナ21は、この紙出力画像70を原稿として画像を読取り、読取ったアナログRGB画像信号をデジタル画像データに変換してスキャナ補正部22に出力する。
スキャナ補正部22は、スキャナ固有の特性を補正し、標準的なRGBデータに変換をする。この後、スキャナ入力画像は、基準原稿画像データとして画像検査処理に利用できるようにHDD25に蓄積する。なお、スキャナ入力画像の処理は、上記〈実施形態1〉と変わらないので、上記の記載を参照することとし、ここでは、詳細な説明を省略する。
この実施形態の画像検査機能について詳細に説明する。
図12は、この実施形態の画像検査機能の構成を示す図である。
同図において、入力画像の1つとして示す基準画像データ81は、印刷(紙出力)の元になる画像データで、上記したように、この画像データを用いて検査原稿が印刷される。
基準画像データ81は、デジタル画像で、画素ごとに画像面上の位置及び色の各データが特定され、この実施形態では操作者が検査用として任意に定めた画像を用いることができる。なお、用意される基準画像データ81は、印刷の元になるデータであるため、非常に画像サイズが大きい場合があり、この場合には、表示用の画像データのように、縮小した画像データに処理するなど、元のデータにデジタル的な画像処理を施したものでもよい。
他の入力画像は、検査原稿画像データ83である。検査原稿画像データ83は、検査対象の印刷装置(本実施形態ではMFP100)で基準画像データ81を用いて紙出力(印刷)し、この出力を検査原稿として、この原稿を画像検査装置200のスキャナ21で読取り、スキャナ補正部22で処理された画像データで、本実施形態では標準的なRGBデータとして処理された画像データである。
基準エッジ抽出・検査画像領域決定手段262は、基準画像データ81から基準エッジを抽出し、抽出した基準エッジに基づいて検査画像領域を決める手段である。本実施形態では、基準画像のエッジに着目して、基準画像において所定の条件に適うエッジを特定し(後記で詳述)、このエッジ画素の位置によって定まる検査画像領域(座標で表される)を決定する。なお、検査画像領域を決定する際に用いる基準エッジの抽出方法については、後記で詳述するが、エッジの抽出によって、抽出エッジ画像の画像色と位置(座標)が求められる。また、この抽出エッジ画像がこの実施形態で求める検査画像の位置ずれの基準となる。また、基準エッジ抽出・検査画像領域決定手段262は、ここまでの説明では、MFP100側で検査画像領域を決定するとしたので、この手段は、MFP100が有する。ただ、画像検査装置200側の処理として実施してもよい。
合否判定手段267は、検査画像領域を決定する際に基準画像データ81から抽出された基準エッジ画像と検査原稿の対応する検査エッジ画像の画像位置を比較し、生じる位置ずれが所定の範囲内であるか否かにより合否を判定する手段である。
なお、基準エッジ抽出・検査画像領域決定手段262、検査エッジ画像抽出手段264及び合否判定手段268については、後記処理フローの実施例中でさらに説明する。
本実施形態の画像検査機能(図12、参照)が実行する処理を手順に従い説明する。
図13は、コントローラ26が有する本実施形態の画像検査機能による処理のフローを示す図である。
図13の処理フローによると、検査画像領域を決定するための手順として、先ず、基準画像における処理の対象とする領域を認識する(ステップS201)。この処理は、基準エッジ抽出・検査画像領域決定手段262の処理で、検査画像領域を決定するために基準画像から基準エッジを抽出する処理を後段で行うので、この処理を行う前に、抽出が可能な処理領域を認識し、認識結果に従い当該領域を定める処理である。
上記基準エッジに適するエッジは、文字エッジから選択するので、ここでは、処理領域として、先ずHDD5に保存された基準画像データ81において文字領域を認識し、処理領域を決める。
文字領域の検出方法の1つは、プリンタ機能による画像出力を要求しNIC12を介して入力された印刷データから検出する方法で、PDL(Page Description Language:ページ記述言語)のオブジェクトデータの文字属性をそのまま利用して文字領域と認識し、この領域を検出する(例えば、特開2001−53970号公報、特開2002−237958号公報、参照)。具体的には、PDLデータを解読し、ビットマップに展開後、文字属性の領域のオブジェクトデータを所定の閾値で2値化し、文字を抽出する。文字属性のオブジェクトデータのデータ文字なので、所定の閾値で二値化しても文字の抽出が容易に行える。
なお、スキャナからの出力画像データに対して用いることができ、本実施形態に適用できる像域分離方法による処理部については、上記〈実施形態1〉において図9を示し説明したとおりであるから、詳細は上記を参照する。
基準エッジに適する条件は、濃い濃度から白に急激に変化する所で、文字エッジを含む領域がこの条件に該当し、上記の像域分離の例(図9)に示す文字エッジの領域分離信号をもとにこの条件への適性を判断できる。このとき、図9の像域分離部は、文字エッジの領域分離信号を生成する過程で、画像から網点を検出して文字エッジの判定を行うので、網点を文字エッジとして抽出し難くなって、適切な基準エッジが抽出され、延いては、検査精度を高めることができる。
なお、この実施形態では、インクの色成分(Y,M,C、Bk)ごとに位置ずれを検査するので、基準エッジとして抽出する文字エッジ画像を画像のインクの色成分(Y,M,C、Bk)に分解する。
実際に抽出する文字エッジ画像の色は、Y(Y)、M(M)、C(C)、Y+M(R)、M+C(B)、Y+C(G)、Y+M+C(Bk)の7色である。ただし、BKは、文字部なので実際は単色印刷なのでY+M+Cの3色ではなく、Bkの単色となる。
この処理は、基準エッジ抽出・検査画像領域決定手段262が行う処理で、前のステップで抽出した基準(文字)エッジの中から特定の基準エッジを指定し、指定した基準エッジの領域を検査画像領域として決定する。ここでは、検査画像領域を座標で表す。
特定の基準エッジを指定する方法は、図示しない操作パネルのディスプレイに基準画像の画像面上で抽出した基準(文字)エッジを表示し、必要な箇所の文字エッジを操作者が選択してもよいが、自動で抽出する方法を採用してもよい。
自動で抽出する方法としては、選択対象の基準(文字)エッジにおけるエッジ画素の一次元方向のラン(連続画素)が所定画素数以上のランであれば、ランの中央部分を特定する文字エッジの位置として検出する。
また、印刷装置としてのMFP100で印刷(紙出力)された画像は、印刷時に紙面上で生じる位置ずれや、印刷後に画像検査装置200で読取る際に生じる読取り位置のずれがあり、ずれが大きくなるとエッジの抽出ができず、検査が不能になる場合があるので、この場合でも問題なく抽出ができる長さのランをもつ文字エッジを選ぶ。
例えば、抽出された文字エッジ画像の1例を表した図11に示すように、「特許庁」という文字は、「丁」の上部分のエッジ811は、水平のランが連続しているので、ここを水平方向のずれ検査に用いる基準エッジ画像とし、この領域を検査画像領域と決めるために当該エッジの画素位置(座標)を抽出する。また、「丁」の中央部分のエッジ813は、垂直のランが連続しているので、ここを垂直方向のずれ検査に用いる基準エッジ画像とし、この領域を検査画像領域と決めるために当該エッジの画素位置(座標)を抽出する。また、上記の例示以外にも、表の罫線などの文字エッジを検査に用いることができることは言うまでもない。
このように、水平方向と垂直方向の成分を対象とするので、水平方向と垂直方向の位置ずれが独立に検査可能となる。さらに、文字エッジのランという連続性を持つ画像データを抽出し、検査に用いるので画像部の中間調処理の影響を受けなくなる。
図14は、1枚の画面81の縦・横をそれぞれXY座標のY軸・X軸にとっている。同図中の小文字記号a,b,c,dは、水平(X軸)方向のエッジ画像の文字ラン817であり、大文字記号A,B,C,Dは、垂直(Y軸)方向のエッジ画像の文字ラン815である。それぞれの文字ランの中心位置の座標を基準とする。
水平方向の文字ラン817の座標は、Y座標を使用する。水平方向の文字ランは、Xの位置精度の影響を受け難くしている。
同様に、垂直方向の文字ラン815の座標は、X座標を使用する。垂直方向の文字ランは、Yの位置精度の影響を受け難くしている。
ここでは、4隅に設けた水平方向と垂直方向の文字ランは、aとb、dとe、AとD、BとEの組になっている。これは、検査画像が傾いていないかどうかを検査するための情報として、この組合せで文字ラン同士の中心を結ぶ線分の傾きを検査データとして用いるためである。
また、上述した4隅における各文字ランの座標と組合せた文字ランの傾きのずれをY,M,C,BKの4版(色)それぞれで検査する。
この処理は、検査エッジ画像抽出手段264が行う処理で、検査画像領域の検査原稿画像から検査エッジ画像を抽出することにより、検査画像領域を決定する際に基準画像データ81から抽出された基準エッジ画像に対応する検査原稿における検査エッジ画像の画像色と位置(座標)を求める。
ここで、検査画像領域に基づいて検査原稿画像データ83から抽出処理の対象とする画像領域を取得するが、取得する領域のサイズは、上記した基準画像における基準エッジ画像のランの長さと同様に、印刷装置と検査装置の精度により異なる。また、この場合にも、印刷紙面上のずれは、印刷装置によって違い、読み取り位置がずれてしまうことを考慮し、位置がずれても検査領域が問題なく抽出できるようにM×Nのサイズで取得し、検査エッジ画像を抽出する。
この検査エッジ画像の抽出方法は、ステップS203で検査画像領域を決定する際に基準画像データ81に対して行った基準エッジの抽出と同様の方法を用いることにより実施することができる。即ち、ステップS203で決定された検査領域に基づいて検査原稿画像データから取得した画像データを、図9に示した像域分離部によって処理し、文字エッジの領域分離信号が検出される画像を抽出する。
この処理は、合否判定手段267が行う処理で、ステップS104で検査原稿画像データ83から抽出した検査エッジ画像データとステップS103で検査画像領域を決定する際に基準画像データ81から抽出した基準エッジ画像データとを比較し、得られる比較結果から位置ずれを表すデータ値を検出し、検出したデータ値が所定の範囲内にあるか否かを判定する処理である。
検査原稿画像データ83を原稿から読取り、抽出された検査エッジの画像データはRGBデータであるから、これをカラー画像の作成に用いるインク(色成分)特性のCMY系に色変換し、Y,M,C、Bkの色版ごとに文字エッジを検出する。
検査エッジ画像の基準エッジ画像に対する位置ずれは座標値の変化として求める。上記で文字エッジの抽出方法を説明するために参照した図14を例にとると、基準エッジの位置は、小文字記号a,b,c,dの水平方向の文字ラン817を表す座標であり、この座標が、対応する検査エッジ画像の文字ランの座標と一致するか否かを検査する。つまり、基準エッジの文字ラン817の座標位置に検査エッジの文字ランがあれば、検査画像とエッジ画像が一致しているので位置ずれなしとなる。
このように基準エッジ画像と検査エッジ画像の位置ずれ量が座標値の変化量で得られる。
合否の判定方法は、検査画像領域ごとに抽出したエッジ画像単位で位置ずれ量が得られるので、抽出した全てのエッジ画像について、検出したずれ量が所定の範囲内ならば正常であり合格とし、他方、どこか1つでも範囲外であれば異常であり、不合格とする。従って、図14に例示した抽出方法をとる場合、4隅の画像の4色版の全てが所定範囲内の位置ずれ量であれば、正常であり合格とする。
上記で文字エッジの抽出方法を説明するために参照した図14を例にとると、同図に示した4隅に設けた水平方向と垂直方向の文字ランにおける、aとb、dとe、AとD、BとEの組で検査を行う。
小文字記号a,b,c,dの水平方向の文字ラン817の組みは、基準エッジの文字ランと検査エッジの文字ランの差分をY軸方向のみ求める。このことにより検査エッジに対して、Y軸方向がどれだけずれていたかがわかる。それぞれの線分の長さが基準エッジ画像と同じであるので、Y軸方向のずれ量により、どれだけ傾いているかが判る。
同様に、大文字記号A,B,C,Dの垂直方向の文字ラン815の組みは、X軸方向がどれだけずれていたかわかるので、X軸方向のずれ量によりどれだけ傾いているかが判る。
この傾き結果が所定の範囲内にあるか否かが合否の判定結果となる。4つの組で求めた傾き量全てが所定の範囲であれば、正常であり合格とする。
また、基準画像データは、検査用に特別な画像(例えば、いわゆる“トンボ”と呼ばれるテスト画像パターン)を用いる必要がないので、検査対象の印刷装置に特別なデータを用意し、特別な動作を行わせなることがない。このため、印刷動作が継続でき、出力のパフォーマンスを向上することができる。
本実施形態の画像検査は、検査原稿画像データ83の特定のエッジ位置の画像に生じた位置ずれが許容範囲を超え、不合格となったことを検査結果として示す。検査結果が不合格となる原因が解明され、補正が可能であれば、正常な出力ができるように印刷装置の動作を制御することができる。例えば、検査結果として得た位置ずれ量を補正用のデータとして検査対象である印刷装置(MFP100)のコントローラ6に送り、このデータを受取るコントローラ6は、プロッタ9において色版ごとに画像を書込む画像形成部等の動作を制御することで補正ができる。なお、位置ずれ補正の制御動作は、印刷装置全般において従来から行われており、上記異常データの送信をこの制御動作に適用することにより、本実施形態の画像検査結果を利用した制御を実施することができる。
そこで、異常と判断された印刷紙と正常な印刷紙を振り分ける制御を行うための制御信号として検査結果を印刷装置(MFP100)のコントローラ6に送信できるようにする。なお、印刷装置において異常な印刷物を振り分ける制御は、既存の技術であり(例えば、特許第4068210号公報、参照)、上記異常データの送信をこの振り分け制御動作に適用することにより、本実施形態の画像検査結果を利用した制御を実施することができる。
Claims (15)
- 基準とする検査用画像データを元に検査対象の印刷装置によって作成された検査原稿画像を原稿読取手段によって読取り、読取った画像データ値を基準値と比較し、比較結果から合否を判定する合否判定手段を有する画像検査装置であって、
原稿を読取り、原稿画像データを出力する原稿読取手段と、
前記検査用画像データの記憶手段と、
前記記憶手段の検査用画像データから基準エッジを抽出する基準エッジ抽出手段と、
抽出した基準エッジ中の特定のエッジを囲む画像領域を検査画像領域として決定する検査画像領域決定手段と、
前記検査用画像データを元に検査対象の印刷装置によって作成された検査原稿画像を前記原稿読取手段により読取り、出力される画像データにおける前記検査画像領域決定手段によって決定された検査画像領域から特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量に基づき検査原稿画像の合否を判定する合否判定手段と、
を有したことを特徴とする画像検査装置。 - 請求項1に記載された画像検査装置において、
前記特徴量抽出手段は、検査画像領域からエッジを抽出し、
前記合否判定手段は、特徴量抽出手段で抽出したエッジ画像データと前記検査用画像データの対応する基準エッジ画像データ値との間のずれが予め定めた値の範囲内であるか否かにより合否を判定することを特徴とする画像検査装置。 - 請求項1に記載された画像検査装置において、
前記基準エッジ抽出手段は、黒以外の高濃度の画像が生成するエッジを抽出し、
前記特徴量抽出手段は、検査画像領域からエッジを抽出し、
前記合否判定手段は、前記特徴量抽出手段で抽出されたエッジ画像データ値の色間のずれが予め定めた値の範囲内であるか否かにより合否を判定することを特徴とする画像検査装置。 - 請求項3に記載された画像検査装置において、
前記検査原稿画像のエッジは、2色以上の色成分データを有することを特徴とする画像検査装置。 - 請求項3又は4に記載された画像検査装置において、
前記検査原稿画像のエッジは、色文字であることを特徴とする画像検査装置。 - 請求項3又は4に記載された画像検査装置において、
前記検査原稿画像のエッジは、黒を含む4色の色成分データを有することを特徴とする画像検査装置。 - 請求項2に記載された画像検査装置において、
前記合否判定手段は、前記前記検査用画像データから抽出した基準エッジ中の前記特定のエッジの画像位置と前記特徴量抽出手段で抽出した前記特定のエッジに対応するエッジの画像位置とを比較し、位置ずれが所定の範囲内であるか否かにより合否を判定することを特徴とする画像検査装置。 - 請求項7に記載された画像検査装置において、
前記特定のエッジは、ページ記述言語データの文字属性内の文字エッジであることを特徴とする画像検査装置。 - 請求項7又は8に記載された画像検査装置において、
前記基準エッジ抽出手段は、基準エッジを抽出する際に白地判定を行うことを特徴とする画像検査装置。 - 請求項7又は8に記載された画像検査装置において、
前記基準エッジ抽出手段は、基準エッジを抽出する際に網点判定を行うことを特徴とする画像検査装置。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載された画像検査装置において、
前記検査画像領域決定手段は、水平方向及び垂直方向のエッジを前記特定のエッジとして検査画像領域を決定することを特徴とする画像検査装置。 - 請求項1乃至11のいずれかに記載された画像検査装置において、
前記合否判定手段の判定結果に従い、前記検査原稿を作成した検査対象の印刷装置に対し、合否データを送信するデータ送信手段をさらに有したことを特徴とする画像検査装置。 - 基準とする検査用画像データを元に検査対象の印刷装置によって検査原稿画像を作成する工程と、
検査用画像データを記憶手段に記憶する工程と、
前記記憶手段の検査用画像データから基準エッジを抽出する基準エッジ抽出工程と、
前記基準エッジ抽出工程で抽出した基準エッジ中の特定のエッジを囲む画像領域を検査画像領域として決定する検査画像領域決定工程と、
検査原稿画像を作成する前記工程で作成された検査原稿画像を前記原稿読取手段により読取る工程と、
読取った検査原稿画像データにおける前記検査画像領域決定工程によって決定された検査画像領域から特徴量を抽出する特徴量抽出工程と、
前記特徴量抽出工程で抽出した特徴量に基づき検査原稿画像の合否を判定する合否判定工程と、
を有したことを特徴とする画像検査方法。 - 基準とする検査用画像データを記憶手段に記憶する工程、
前記記憶手段の検査用画像データから基準エッジを抽出する基準エッジ抽出工程、
前記基準エッジ抽出工程で抽出した基準エッジ中の特定のエッジを囲む画像領域を検査画像領域として決定する検査画像領域決定工程、
前記検査用画像データを元に検査対象の印刷装置によって作成された検査原稿画像を原稿読取手段により読取らせ、出力される検査原稿画像データにおける前記検査画像領域決定工程によって決定された検査画像領域から特徴量を抽出する特徴量抽出工程、
前記特徴量抽出工程で抽出した特徴量に基づき検査原稿画像の合否を判定する合否判定工程、
の各工程をコンピュータに行わせるためのプログラム。 - 請求項14に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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