JP2010262968A - 電気化学キャパシタとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオンの反応性の高さから、プレドープ時において負極の炭素材料の表面官能基とリチウムイオンと駆動用電解液とが反応することによって炭素材料のそれぞれの粒子表面に形成される皮膜の生成を抑制した電気化学キャパシタを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明における電気化学キャパシタは銅箔から成る集電体3aと、この集電体3aの表面へ形成された層間を有した多層状の結晶構造を含む炭素材料3cを主とした炭素電極層3bからなる負極3を有しており、前記炭素材料3cは表面官能基としてフッ素原子を有することを特徴としている。これにより、炭素材料3cの表面官能基が反応することによって炭素材料3cのそれぞれの粒子表面に形成される皮膜の生成を抑制することができ、内部抵抗の増加を抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器のバックアップ電源やハイブリッド車、燃料電池車などの回生ブレーキや蓄電装置として用いられる、電気化学キャパシタおよびその製造方法に関する発明である。
近年、ハイブリッドカーなどの電気を動力として利用した自動車が普及するようになり、その電力供給源として現在までそのエネルギー密度の高さから二次電池が用いられてきた。
しかし、二次電池だけでは充放電を行う際に電極付近での化学反応を必要とするため充放電に時間を要し、車体の加速など急速に膨大なパワーを必要とする自動車での利用においてさらに充放電の応答性に優れた新たな電力供給源が必要となっていた。
そこで新たな電力供給源として現在は、負極の内部にリチウムイオンを吸蔵させる(ドープさせる)ことにより二次電池と同等のエネルギー密度を持たせた電気化学キャパシタが注目されている。この電気化学キャパシタは電解液が含浸された正極および負極を用い、充放電の際には正極の表面において含浸された電解液中の電解質のイオンが吸着および脱離を繰り返して充放電が行われるため、正極では化学反応を必要としないため二次電池より充放電の応答性が優れているという特性を有したものであった。
図8は従来の電気化学キャパシタの正面断面図である。
この電気化学キャパシタについて従来では、プレドープにおける電解液中のリチウムイオンの移動距離を短縮させるために、図8のように負極缶150の内部に収容された箔状の正極集電体121の両面へ正極122を設けた正極部120と箔状の負極集電体131の両面に負極132を設けた負極部130とを、対向する正極部120と負極部130との間にセパレータ140を介在させた状態でスパイラル状に巻回した電極体100の両方の端部のうち一方に絶縁性を有し平板状であるスペーサ300が接合された構成であった。
さらに、そのスペーサ300の電極体100と接合された面の裏面にリチウム金属310が配設されていた。
そして、正極部120および負極部130は夫々、金属から成る導電リード123、133の一端と接続していた。
この負極部130と接続した導電リード133の他端は負極缶150の内底面と接続し、正極部120と接続した導電リード123の他端は封口部160の固定導電板161と接続し、固定導電板161と接続した正極端子板162へ電極が引き出されて外部回路へ接続していた。
この構成により、リチウム金属310から供給されたリチウムイオンはスペーサに設けられた開口部301から電極体100内部へ入っていき負極132内部へとプレドープされた。このとき、リチウムイオンはプレドープされるためにリチウム金属310から要する移動距離は、電極体100を構成する帯状の負極部130の幅の長さ分のみとなり、移動距離を短縮することができた。
なお、この出願に関する先行技術情報として、例えば、特許文献1が知られている。
特開2008−41489号公報
図9は従来の負極132の表面部分の一部を拡大して示した部分拡大図である。
電気化学キャパシタのプレドープは、厳密に述べると負極132を主に構成する炭素材料133の粒子の内部へ吸蔵されることによって達成される。
しかしながら、従来の電気化学キャパシタでは、負極132へプレドープを行う際、リチウムの特性であるその反応性の高さからプレドープの条件によっては、上記粒子の内部へ吸蔵される前に、炭素材料133が有する表面官能基とリチウムイオン、あるいは上記表面官能基とリチウムイオンならびにリチウムイオンの周囲に付着した電解液中の溶媒170とが反応して生成された化合物が、炭素材料133の粒子の表面に皮膜160として形成されることがあった。
この皮膜160によって、後々その粒子へ吸蔵されるリチウムイオンは皮膜160の狭い細孔161を通って炭素材料133へ辿り着かなければならなくなり、プレドープを阻害して電気化学キャパシタの生産性を低減させ、さらに組み立て後、電気化学キャパシタとして充放電を行う際の上記粒子へのリチウムの吸蔵および脱離を阻害し、負極部130の内部抵抗増加を引き起こす恐れがあった。
従って、本発明ではこの炭素材料の粒子に形成される皮膜160の量が低減された電気化学キャパシタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するために本発明では、金属箔から成る集電体と、この集電体の表面に形成されている炭素材料を主として成る電極部から成る負極を有した電気化学キャパシタであり、この負極の炭素材料において、炭素材料を構成する炭素原子のうちフッ素原子と結合した炭素原子を有することを特徴としている。
上記構成により本発明の電気化学キャパシタは化学的に安定したフッ素を炭素材料の表面官能基として置換することによって、リチウムイオンや電解液の溶媒との反応を抑えることができ、炭素材料の表面に形成される皮膜の生成を抑制することができる。
このように、上記処理を施した炭素材料を負極の電極部として用いることにより、電気化学キャパシタとして内部抵抗を低くすることができる。
本発明の実施の形態1における電気化学キャパシタを示した部分切り欠き斜視図 (a)本発明の実施の形態1における負極を作製する際に用いるプラズマ処理用チャンバーを示した断面図、(b)同プラズマ発生用チャンバーを示した断面図 (a)本発明の実施1の形態におけるプラズマ処理される前の炭素材料の化学構造式の一部を示したイメージ図、(b)同プラズマ処理した後の炭素材料の化学構造式の一部を示したイメージ図 (a)本発明の実施の形態1におけるF1sXPSスペクトル測定によるプラズマ処理後の負極に含まれるフッ素原子の化学的状態を示したスペクトル特性図、(b)C1sXPSスペクトル測定による同プラズマ処理後の負極に含まれるフッ素原子の化学的状態を示したスペクトル特性図、(c)本発明の実施の形態1におけるF1sXPSスペクトル測定によるプラズマ処理前の負極に含まれるフッ素原子の化学的状態を示したスペクトル特性図、(d)本発明の実施の形態1におけるC1sXPSスペクトル測定によるプラズマ処理前の負極に含まれるフッ素原子の化学的状態を示したスペクトル特性図 (a)本発明の実施の形態1におけるプラズマ処理中の炭素電極層を部分的に抜粋して示した概略断面図、(b)同プラズマ処理後の炭素電極層を部分的に抜粋して示した概略断面図 本発明の実施の形態2における電気化学キャパシタの負極に用いたリチウム蒸着機を示した正面断面図 本発明による電気化学キャパシタの内部抵抗改善の効果を示した内部抵抗測定図 従来の電気化学キャパシタを示した正面断面図 従来の電気化学キャパシタの負極表面の一部を抜粋して示した正面断面図
以下に図面などを用いながら実施の形態1および請求項1〜4に記載の発明について説明を行っていくが、下記の内容に限定されない。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における電気化学キャパシタを示した部分切り欠き斜視図である。
図1において、素子1は金属から成る集電体2aの表面に活性炭を主とした電極部として活性炭などから成る分極性電極層2bを形成した正極2と、電極部として層間を有した多層状の結晶構造を含む炭素材料3cを主とした炭素電極層3bを銅から成る集電体3aの表面に形成した負極3とを一対の電極とし、対向した正極2および負極3の間にセパレータ4を介在させた状態で、巻回、又は積層されたものであり、正極2および負極3の表面には引出端子としてリード部5a、5bがそれぞれ接続された状態で、この素子1と駆動用電解液(図示なし)とが外装体である有底状の外装ケース6に収容されており、外装ケース6の開口端部をリード部5a、5bが表出するように封口部材7によって封止されている。
正極2は厚み約30μmの高純度アルミニウム箔の正極集電体2aの表面に活性炭と結着剤と導電助剤とで構成された分極性電極層2bを塗布したものである。分極性電極層2bは、平均粒径5μmのフェノール樹脂系活性炭に結着剤として例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)を水に溶かした混合溶液、導電助剤として例えばアセチレンブラックを、それぞれ10:2:1の分量で混合したものを塗布し、乾燥したものである。また、乾燥後、必要に応じて、プレス加工を施し、正極集電体2aに塗布した分極性電極層2bの厚みを調整する。
因みに、図1には分極性電極層2bとして示されているため、それを構成する活性炭、結着剤および導電助剤はいずれも図に示されていない。
負極3は厚み15μmの銅箔またはニッケル箔の集電体3aの表裏面に電極部として炭素材料3cと結着剤と導電助剤により構成された炭素電極層3bを形成したものである。炭素電極層3bは、炭素材料3cとして例えば黒鉛質材料を用い、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)あるいはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)などとCMCとを重量比4:1で用い、導電助剤には正極2と同様にアセチレンブラックを用いたものである。これらの材料を混合する場合、炭素材料と導電助材と結着剤との混合比を約8:1:1の割合で用いる。そして、このペースト状の混合物をコンマコータなどの方法で負極3の集電体3a表面へ塗工する。また、乾燥後、必要に応じて、プレス加工を施し、集電体3aに塗布した炭素電極層3bの厚みを調整する。
また、本実施の形態において、負極3へプレドープするためのリチウムを負極3表面へ貼り付け、正極2、負極3およびセパレータ4を積層あるいは巻回後、プレドープを行う構成とした。
負極3表面へリチウムを貼り付ける手段として、まず、本実施の形態では基材(図示なし)に一度リチウムを蒸着し、基材上へリチウム膜を形成する。その後、リチウム膜を蒸着した基材を後述するプラズマ処理された負極3表面へ、蒸着したリチウム膜が負極3表面と接する様に貼り付け、圧延ローラーを用いて固着し、基材のみを負極3から剥離する。以上の方法より本実施の形態では負極3表面へプレドープ時に用いるリチウム膜を形成する構成とした。
因みに、図1には炭素電極層3bとして示されているため、それを構成する炭素材料3c、結着剤および導電助剤はいずれも図に示されていない。
また、同様にリチウム膜もリチウムイオンとして炭素電極層3b内部に吸蔵されているため、図示されていない。
本実施の形態ではこの負極3の炭素電極層3bに対してプラズマ処理を行う。
そして、プラズマ処理された負極3の炭素電極層3bへリチウムをプレドープさせる。
セパレータ4は例えば厚み約35μm、密度0.45g/cmであるセルロース系の紙を使用する。セパレータ4を前記正極2および前記負極3と共に巻回して素子1を形成する際に、対向する正極2と負極3の間に介在するように配設して素子1を作製する。
正極2および負極3が外部回路と接続するため、正極のリード線5aおよび負極のリード線5bはそれぞれ集電体2a、3aに形成された分極性電極層2bの未形成部分あるいは炭素電極層3bの未形成部分、つまり集電体2a、3aが露出した部分と接続し、外部回路と接続する。
従って、リード線5a、5bの部材は正極集電体2aおよび負極集電体3aとの接続抵抗をできる限り低減するために、例えば正極リード線5aはアルミニウム、負極リード線5bは銅やニッケルまたはニッケルめっきを施した銅を用いる。但し、外部回路への接続手段は上記のリード線に限定されない。
外装ケース6は有底筒状であり、リード線5a、5bと接続した素子1と、素子1に含浸した駆動用電解液(図示なし)とを収容している。外装ケース6の基材は加工性等の点から例えばアルミニウムまたはステンレスを用いる。因みに駆動用電解液には、例えば電解質カチオンとしてLi、電解質アニオンとしてBF あるいはPF を、溶媒については高誘電率(高粘度)と低誘電率(低粘度)の溶媒を組み合わせ、2種類以上の溶媒を混合すればよく、本実施の形態では、高誘電率のエチレンカーボネート(EC)と低粘度のジエチルカーボネート(DEC)を重量比1:1に混合した混合溶媒を用いた。なお駆動用電解液の組成は上記内容に限定されない。
また、外装ケース6の形状は本実施の形態のように有底円筒状に限定されず、例えば角筒状、ラミネートのような袋状のものを用いて素子1および駆動用電解液を収容してもよい。
封口部材7は外装ケース6の開口端内部において、外装ケース6内周面と密着するように配設されている。そして封口部材7は、封口部材7と接している外装ケース6の開口端内周面の一部に対して、外装ケース6の外周面から外装ケース6内部に向かって絞り加工を施した。この絞り加工によって封口部材7を配設箇所に固定した。
さらに、封口部材7より外部へ突出した外装ケース6の開口端部に外装ケース6内側に向かう曲げ加工を施し、封口部材7の封止強度の強化を図った。
また、本実施の形態においては素子1と接続したリード線5が封口部材7を貫通して外部回路と接続するために、封口部材7の一部に貫通孔を設けた。なお、封口部材7には例えばブチルゴムが用いられるが、これに限定されない。
このようにして、本実施の形態における電気化学キャパシタが得られる。
なお、炭素材料3cの材料については、本実施の形態において高耐圧であり、且つ充放電サイクルにおけるエネルギー損失が小さいという特性を有した黒鉛質炭素を使用したが、他にも、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、難黒鉛化炭素などが材料の候補として考えられる。それぞれの材料を物性において比較すると特化している性能が異なるため、使用目的に応じて適宜選択を行うものである。例えば、易黒鉛化炭素なら、低抵抗や充放電サイクル寿命の面で優れており、低温焼成炭素なら、高容量や低抵抗の面で優れており、難黒鉛化炭素なら、高容量やサイクル損失が小さい面で優れている。
ここで素子1を構成する負極3に施すプレドープ工程について説明する。
この工程にて負極3へリチウムイオンを予め吸蔵させるプレドープ作業を行うが、吸蔵とはこの場合、負極3近傍のリチウムイオンが炭素電極層3bを構成する炭素材料3cの、炭素から成る多層状の結晶構造の層間へリチウムイオンとして入り込み、層間化合物をつくる現象であり、その現象が起こる際にリチウムイオンの電気化学反応により負極3の電極電位が下がり、正極2との電位差から高い耐電圧を得ることができる。そして、耐電圧の2乗に比例する電気化学キャパシタのエネルギー密度を高めることが可能となる。
因みに、負極へのプレドープを行う発明はリチウムイオン二次電池の分野においても開示されているが、リチウムイオン二次電池でのプレドープの目的は充放電サイクルにおける負極の不可逆容量を低減して、充放電容量を向上させることにある。
それに対して、本発明における電気化学キャパシタのプレドープの目的は負極3の電位降下による耐電圧の向上にある。この目的によりそれぞれのプレドープの際のリチウムイオン吸蔵量も異なり、リチウムイオン二次電池のリチウムイオン吸蔵量は負極3の不可逆容量分のみでいいため、電気化学キャパシタのリチウムイオン吸蔵量より明らかに少ない。
上記転写方法により負極3の表面へリチウム膜を配設して、炭素材料3c内部へプレドープを行っていく他に、プレドープ方法として例えば、リチウムイオンをカチオンとした駆動用電解液に素子1を含浸し、素子1の正極2および負極3へ印加することによって駆動用電解液中のリチウムイオンを炭素材料3c内部へ吸蔵する方法がある。
さらに、金属リチウムのようなリチウム源を駆動用電解液中に用意した状態で、素子1を駆動用電解液に含浸し、素子1へ印加することによりプレドープを行う構成でも良い。この方法により、ただリチウムイオンをカチオンとした駆動用電解液に素子1を含浸し、素子1を印加してプレドープを行う方法と比較して、駆動用電解液中に用意したリチウム源がプレドープの進行につれて駆動用電解液中の不足したリチウムイオンをリチウム源自らがイオン化してリチウムイオンを補充することができ、プレドープ中にリチウムイオンが不足した駆動用電解液を新しいものと交換する手間を低減することができる。
このように、本実施の形態におけるプレドープの方法は上記方法だけに限定されない。
これらの方法を用いた場合においても本実施の形態における表面官能基をフッ素で置換した炭素電極層3bを用いることにより、従来より短時間でプレドープを終えることが可能となる。
また、負極3へプレドープを行うタイミングは負極3作製時でも良いし、素子1作製後であってもよく、本実施の形態におけるタイミングに限定されない。
続いて、本実施の形態の負極3のプラズマ処理に用いるプラズマ処理装置の説明を行う。
図2(a)は本実施の形態における電気化学キャパシタの負極3の炭素電極層3bへ行うプラズマ処理に用いるプラズマ処理装置のプラズマ処理用チャンバー10の断面図であり、(b)は同プラズマ処理装置のプラズマ発生用チャンバー20の断面図である。
プラズマ処理用装置はプラズマ処理用チャンバー10とプラズマ発生用チャンバー20とから構成されている。
図2(a)において、プラズマ処理用チャンバー10は巻回された箔状の負極3を巻き出す巻き出し部11と、プラズマ発生用チャンバー20で発生されるプラズマをプラズマ処理用チャンバー10内へ取り込むためのプラズマ導入孔12と、プラズマ処理された負極3を回収する巻き取り部13から構成されている。そして、図2(b)においてプラズマ発生用チャンバー20は例えば希ガスであるアルゴンと四フッ化炭素から成る混合ガス(図示なし)をプラズマ発生用チャンバー20内へ注入するためのガス導入孔21と、高周波電源22に接続されているプラズマ電極23a 、23bと、プラズマ電極23a、23b間で発生するプラズマをプラズマ処理用チャンバー10へ供給するためのプラズマ導出孔24とから構成されている。また、プラズマ処理用チャンバー10およびプラズマ発生用チャンバー20は接続孔14により機械的に接続されている。
図2(b)において、ガス導入孔21から上記アルゴン及び四フッ化炭素から成る混合ガスを、互いに対向しているプラズマ電極23a、23b間に注入することによってプラズマを発生させる。このプラズマをプラズマ導出孔24からプラズマ導入孔12を介してプラズマ発生用チャンバー20からプラズマ処理用チャンバー10へ供給する。
図2(a)において、プラズマは、プラズマ導入孔12からプラズマ処理用チャンバーに導入される。このプラズマ処理用チャンバー10内には負極3が単独で巻回された状態で用意されている。この負極3を巻き出し部11から送り出し、プラズマ処理された後、巻き取り部13にて処理済みの負極3として巻き取られる。
プラズマ処理を行う際、箔状の負極3の表裏面を同時にプラズマ処理することにより、負極3の表裏面を別々に処理する場合と比較して生産性を向上させることができる。なお、図2(a)の負極3が適宜の長さに切断され、素子1を作製するときに用いられる。
本実施の形態では、プラズマ処理装置はプラズマ処理用チャンバー10とプラズマ発生
用チャンバー20とから構成されている。その他に、負極3を挟んで一対のプラズマ発
生用電極を配置して、プラズマ発生とプラズマ処理とを同一のチャンバーで行ってもよい。
このようにすれば効率的にプラズマ処理を行うことができる。
図3(a)は本実施の形態におけるプラズマ処理を行う前の炭素電極層3bにおける炭素材料3cの表面官能基の状態を化学構造式で示した図である。図3(b)は同プラズマ処理を行った後の炭素電極層3bを主に構成している炭素材料3cの表面官能基の状態を化学構造式で示した図である。
本実施の形態では負極3の炭素電極層3bに対してプラズマ処理を行うことによって、化学式として(CF)や(CF)で表されるフッ化された炭素材料を生成している。
言い換えれば、炭素材料3cの化学構造式において、フッ素と結合した炭素を生成している。
これにより、リチウムを負極3へプレドープさせる際に炭素電極層3bを主に構成している炭素材料3cのそれぞれの粒子表面へ形成される皮膜の量を低減させ、負極3の内部抵抗を低減させている。
これは、本実施の形態において負極3へ照射されるプラズマはアルゴンおよび四フッ化炭素の混合ガスから発生したプラズマであり、上記炭素材料3cを化学構造式で示した際の最外部分に位置する炭素と結合した官能基である表面官能基がフッ素原子に置換されることによるものである。
図3(a)および(b)によって炭素材料3cの表面官能基がプラズマ処理を経て置換されるイメージが描かれている。
因みに、図3(a)および(b)で示されている「C」は炭素であり、「A」は表面官能基を示し、そして、「F」はフッ素を示す。
フッ素原子に表面官能基が置換されることによって、従来、プレドープされる反応性の高いリチウムと炭素材料3cの表面官能基と電解液の溶媒とが反応して生じていた従来の皮膜の形成に対して、本発明における電気化学キャパシタは従来の表面官能基と比較してフッ素が炭素材料3c表面に存在することによって皮膜形成のための反応を抑えることができたと考えられる。
以上によって、本発明の効果であるプレドープ時の負極3の内部抵抗増加の抑制を達成している。
さらに、本発明によって低減された内部抵抗は、電気化学キャパシタとして組み立て後に充放電を行っていく場合にも充放電応答性を高める効果を果たす。
また、本発明は図3のようにフッ素原子単体が置換される場合だけでなく、化学構造式上、フッ素原子を最外に有する官能基に置換させても同様の効果を得ると考えられる。
因みに図3(a)では、炭素材料3cの表面官能基を「A」と表示しているが、具体的には酸性表面官能基としてカルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物、ラクトン、塩基性表面官能基としてクロメン、中性表面官能基としてカルボニル基、キノン型カルボニル基などが挙げられる。
図4(a)は本実施の形態におけるプラズマ処理後の負極3の状態をF1sXPSスペクトル測定によって表したものであり、図4(b)は同プラズマ処理後の負極3の状態をC1sXPSスペクトル測定によって表したものであり、図4(c)は同プラズマ処理前の負極3の状態をF1sXPSスペクトル測定によって表したものであり、図4(d)は同プラズマ処理前の負極3の状態をC1sXPSスペクトル測定によって表したものである。
ここで、XPS(X線光電子分光法)スペクトル測定とは、X線を試料に照射し、試料から反射されたX線の状態から試料の化学的状態を特定していく測定方法である。具体的にはまず、X線を試料に照射する。それによってX線を照射された試料の原子からは光電子とよばれる電子が放出され、この光電子の運動エネルギーを測定することによって、上記運動エネルギーと照射したX線のエネルギーから光電子が原子内で保持されるために必要な結合エネルギーが算出でき、この結合エネルギーから試料の表面部分に含まれる特定の原子の化学的状態を知ることができる。
因みにこの結合エネルギーから特定の原子の化学状態を知ることができるのは、このエネルギーが各原子によって固有のものであるためである。
そして、測定結果は図4(a)〜(d)のように、スペクトルとして表示される。
縦軸に測定により算出された電子計数を用い、そして横軸のパラメータとして結合エネルギー値を用い、横軸の一定の数値範囲にスペクトルのピークがあることによって、その結合エネルギー値の範囲に結合エネルギーを有する特定の原子の化学状態を確認することができる。
本実施の形態では中でもナロースキャン測定と呼ばれる測定方法で行った。この方法は測定条件、言い換えれば測定するエネルギー数値範囲を絞って測定を行い、特定する原子の種類を限定し、特定したい原子と他の原子との結合状態を調べることができる測定方法である。
また、F1sXPSスペクトル測定の「F1s」はフッ素原子について化学状態を特定するために測定を行ったということを示している。
従って、「C1s」は炭素原子について化学状態を特定するための測定を行ったということを示している。
図4(a)と(c)とを比較した場合、どちらのスペクトルにもエネルギー量686〜690eVの範囲にピークを有している。そして、負極のプラズマ処理後を示している図4(a)では新たに、結合エネルギー量683eV〜686eVの範囲において、ピークを有することがわかる。
この新たなピークが、プラズマ処理によって負極3の炭素材料3cの表面官能基がフッ素原子に置換されたことを表している。これは、フッ素原子と炭素との結合を示した結合エネルギーがこのエネルギー範囲にあることに由来している。
以上より、本実施の形態において炭素材料3cの粒子が有する表面官能基がフッ素原子によって置換されている負極3は、F1sXPSスペクトル測定においてエネルギー量683eV〜686eVの範囲にピークを有していることが示される。
なお、図4(a)のように、負極から炭素材料3cの表面官能基がフッ素原子に置換されたことを示すピークは、測定結果のスペクトルの複数のピークの中で最も大きなピークであるとは限らない。また、XPSから得られる各電子計数の値は測定条件によって変化する。
そこで、発明の実施の有無の判定についてはC1sXPSにおける280eV〜290eVの範囲のピークの電子計数の値に対して、F1sXPS測定における683eV〜686eVの範囲のピークの電子計数の値の比率F1s/C1sをプラズマ処理後と処理前で比較する。
(表1)は本発明におけるプラズマ処理後と処理前のF1s/C1sを比較したものである。
Figure 2010262968
(表1)のようにプラズマ処理を施すことにより、F1s/C1sは上昇している。
プラズマ処理前の負極3を従来技術とすると(表1)からプラズマ処理後のF1s/C1sは0.016以上の値をとることがわかる。
上記判定方法により、本発明の実施の有無について判定していく。
因みに、駆動用電解液中にもフッ素が含まれることが多いが、電解液中に含まれるフッ素と区別するために測定を行う際は、たとえば予め負極3を減圧下で乾燥することにより電解液成分を除去することが可能である。
このように乾燥してから負極3に対してXPSスペクトル測定を行うことにより、炭素材料に含まれるフッ素と電解液に含まれるフッ素との識別が可能となる。
測定用試料中に電解液が存在しないことは、例えばF−NMR測定などで確認することができる。F−NMR測定とはXPSと同様に特定の原子の化学状態を調べることができる測定方法である。試料の表面近傍の状態を測定するXPSに対してNMRは試料の内部、外部ともに調べることができるが、測定精度はXPSの方が高い。
因みに、本実施の形態においてプラズマ処理時に供給する混合ガスについて四フッ化炭素ではなく水素を用いても本発明の効果を奏することが可能である。ただし、水素が多い雰囲気下でプラズマ処理を行うと爆発の恐れがあるため、水素とアルゴンとの混合比は1:9より水素の比率が少ないことが好ましい。また、水素や上記フッ素に限らず、化学的に安定的な元素であれば本実施の形態のプラズマ処理に用いることができる。
図5(a)は本実施の形態におけるプラズマ処理中の炭素電極層3bの断面図抜粋であり、図5(b)は同プラズマ処理後の炭素電極層3bの断面図抜粋である。
上記皮膜生成の抑制に加えて、負極3にプラズマ処理を行うことによって、プラズマ処理時の炭素電極層3bとプラズマとの衝突により、図5(a)のように主に炭素材料3cの粒子の集合体である炭素電極層3bへ図5(b)のような炭素材料3cの粒子間において隙間25を形成する。
この隙間25によって、高率充放電特性や低温特性が向上する効果も得られる。
このような隙間25による上記効果は、少なくとも不活性ガス中でプラズマ処理を実施することで、プラズマが炭素材料3cを穿つことにより得られる。
これは、負極3近傍におけるイオンの移動が、プラズマ処理により炭素電極層3b内に隙間25が形成されて充放電時のイオンの移動経路が広がり移動しやすくなったという物理的な効果と、炭素材料3cの表面がフッ素化されたことによる有機系である駆動用電解液の濡れ性が向上することによる化学的効果によるものである。
負極3の炭素材料3cの表面における有機系の駆動用電解液の濡れ性向上は、駆動用電解液の成分の接触角評価でも確認できるが、撥水性の評価でも確認できる。
水の接触角測定を行った場合、プラズマ処理後の負極3の表面の水の接触角が55°より値が大きくなれば負極3の炭素材料3cの表面の濡れ性が向上したと評価することができる。加えて、60°以上が好ましく、より好ましくは100°以上である。これは従来の負極の炭素材料の表面に対する水の接触角は20〜55°であり、内部抵抗の低減は接触角が55°より大きいときにも若干効果は見られるが、60°以上のときにより低抵抗化の効果が見られ、さらに100°以上で効果が高まる。
ところが、接触角が130°以上になると、逆に負極3の内部抵抗が大きくなることがある。
これは、プラズマ処理の際に供給される四フッ化炭素とアルゴンとの混合ガスにおいて、四フッ化炭素の比率が大きくなり過ぎた場合、四フッ化炭素から負極3表面にPTFE膜(図示なし)が形成されたことによるためである。
それは、炭素材料の接触角はプラズマ処理時の雰囲気における四フッ化炭素の混合比率に起因してくるからである。
通常はプラズマ処理時に供給される上記混合ガスの四フッ化炭素の混合比率を上げることによって接触角は上昇していくものである。しかし、上記PTFE膜などの形成防止を考慮すると、供給するアルゴンと四フッ化炭素との混合比を1:4に抑えることが好ましい。言い換えれば、四フッ化炭素の混合比をプラズマ処理時の全体の雰囲気に対して80%[cc/min]未満にすることが好ましい。
さらに、本実施の形態におけるプラズマ処理によって、炭素材料3cだけでなく銅から成る集電体3a表面もフッ素化する。
従来は電気科学キャパシタ内の残留した水分が集電体3a表面の銅に水酸基または吸着水が結合する形で存在しており、この水酸基が駆動用電解液中のアニオンを分解し、分解されたアニオンが電気化学キャパシタの初充電時(プレドープを含む)に炭素材料3cの粒子表面に形成される皮膜に入り込むことにより、上記皮膜による生じる内部抵抗を増加させることがあった。
ところが、本実施の形態のように集電体3aを構成している銅がフッ化することにより、従来、水酸基と結合していた集電体3aの表面にフッ素が結合するため、アニオンの分解を抑えて、上記皮膜における内部抵抗の増加を抑えることが可能となる。
このことは集電体3aの表面の水の接触角が、20°から118°へ上昇していることからも確認できる。水の接触角は20°より値が大きければ良く、好ましくは60°以上であり、より好ましくは100°以上である。この角度の値が大きいほど撥水性が高まっていることを示す。
従って、吸着水分が極力少なくなることにより、皮膜形成時への水の供給が抑制されるため、負極表面皮膜の抵抗を低減でき、電気化学キャパシタセルの内部抵抗を低減させることが可能となる。
ここで、集電体3aの表面における接触角が130°より値が大きくなると、集電体3aは撥水性表面であることに変わりは無いので、炭素材料3cの表面皮膜形成への直接の悪影響は無いと考えられるが、炭素材料3cに形成される上記PTFE膜と同様に銅箔表面に厚いPTFE膜などが形成された場合、特にPTFE膜が50nm以上の膜厚になると、PTFE膜にはがれが生じやすくなり、はがれたPTFE膜が正負極およびセパレータへ付着し、それが原因で、セルの容量劣化、抵抗劣化を引き起こす可能性があるため、130°以下が好ましい。それに伴い、プラズマ処理時に供給されるアルゴンと四フッ化炭素との混合ガスの混合比率は1:4に抑えることが好ましい。
本実施の形態ではフッ素原子を含むガスおよび不活性ガスを混合した雰囲気の中で負極3にプラズマ処理を行った。これと別の手段として、窒素原子を含むガスおよび不活性ガスを混合した雰囲気の中でプラズマ処理を行い、負極上に窒化物を生成することが考えられる。しかし、この方法の場合、充放電に用いられるリチウムイオンは上記窒化物と反応し、窒化リチウムを生成してしまう。この窒化リチウムは負極からの析出電位が通常のリチウムイオンより高いため、充電する際に負極の電位が高くなってしまう。そのため、正極と負極との電位窓が狭まり、電気化学キャパシタとして蓄電量が下がってしまう恐れがある。
これに対して、本発明は、上記プラズマ処理のような負極3の電位が高まるという恐れは少なく、負極3とリチウムイオンと電解液との反応の抑制を実現したものである。
(実施の形態2)
以下に実施の形態2ならびに請求項5について説明を行う。
本実施の形態と実施の形態1との違いは、負極3表面へプラズマ処理した後に行う負極3表面へのリチウムの形成方法だけであるため、本実施の形態における電気化学キャパシタ用負極は実施の形態1と同様の番号を付与し、新たに説明する部材については新たに番号を付与することとする。
ここで、図6は本実施の形態における負極3へ用いた直接蒸着機の正面断面図である。
図6において巻き出し部26から巻き出された負極3は冷却機能をもったキャン27に巻き取られる。その際、キャン27下部にある蒸着口28からキャン27側に放出される気化したリチウムがキャン27表面に巻き取られている負極3表面に吹きつけられて薄いリチウムの膜を形成する。ここで、負極3へ吹き付けられる気化したリチウムは、純度の高い(含有量99.999%以上)リチウムが雰囲気圧0.01Pa、480度で熱せられて気化したものである。
従って、蒸着後の負極3を冷やすために、キャン27自体が冷えて負極3の冷却を行う。
そして、リチウム蒸着は箔状の負極3の両面に行えるように、本実施の形態における直接蒸着機にはキャン27および蒸着口28は2箇所設けられている。
そして、両面に直接蒸着によりリチウムが形成された負極3は巻き取り部29に巻き取られて回収される。
因みに直接蒸着機内は、リチウムの反応性の高さからアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うか真空引きしながら行う。
上記方法により負極3表面へ形成されたリチウムは、熱せられるなどの過程を経ているため、リチウム内のそれぞれのリチウム原子は多くのエネルギーを有している。従って、負極3に形成されるリチウムの一部のリチウム原子は負極3の表面に止まらずに負極3の炭素電極層3b内部へと潜入していく。これにより、リチウムが負極3へ形成された段階で、リチウムは炭素電極層3b内により広く浸透させることができ、形成されたリチウムに対して接触している炭素材料3cの粒子表面積が向上するため、プレドープ時により短時間でプレドープを行うことが可能である。
しかし逆に、上記直接蒸着で得られるリチウムは蒸着を行うことにより高温であるため、一般のリチウムより反応性が高くなる。
そして、電気化学キャパシタを組み立てる際に、負極3を含む素子1へ駆動用電解液を含浸すると、他の方法で負極3へ形成されたリチウムなどと比較して、炭素材料3cとリチウムと駆動用電解液の溶媒とが反応し、炭素材料3c表面へより多くの皮膜が形成される。これにより、直接蒸着によって得られるリチウムの上記メリットを阻害する一面も有している。
そこで、本実施の形態における負極3は実施の形態1のようにプラズマ処理を経て、炭素電極層3bの少なくとも表層部分に位置する炭素材料3cの表面官能基がフッ素原子により置換されているため、皮膜生成を抑制して、直接蒸着によって得られるメリットを活かすことができる。
なお、本実施の形態では、負極3の両面に直接蒸着によりリチウムを形成したが、両面に限定されることはなく片面のみに行ってもよい。
(性能評価試験)
以下に本発明に関する性能評価試験の結果を示す。
図7はプラズマ処理を行うことによってどのように負極の内部抵抗が改善されるかを示した、内部抵抗測定図である。内部抵抗は一定値の電流を流す中でどれだけ電気化学キャパシタの電位が単位時間当たり低下するかで測定することができる。本評価試験では0.4mAの電流を流し続けた。
つまり、図7に示されている曲線の傾きが大きいほど内部抵抗が大きいと言える。
また、内部抵抗を測定する際、どの時刻からどの時刻までの測定結果を内部抵抗として算出するかを適宜、定義しなければならないが、一般的には0.5sから2.0sまでの時間における電圧降下分を内部抵抗の測定結果の対象とする。
本評価試験において実施例として、実施の形態2のようにプラズマ処理後の負極3表面へリチウムを直接蒸着により形成して負極へリチウムイオンをプレドープした電気化学キャパシタを用いた。
また、比較例として実施の形態2のように負極の表面へリチウムを直接蒸着により形成するが、予め負極へプラズマ処理を行わなかった電気化学キャパシタを用いた。
上記条件以外は材料および寸法が同一である電気化学キャパシタを実施例、比較例ともに用いた。
図7のように負極へプラズマ処理を行った実施例と比較してプラズマ処理を行っていない比較例は急激な電位降下を生じ、さらにその後も実施例より急な傾きで電位降下を生じている。
また、比較例において、上記の急激な電位降下を起こした部分は内部抵抗値を算出する上で対象となる範囲であるため、上記のことから比較例は非常に高い内部抵抗を有することがわかる。
逆に実施例は比較例のような急激な電位降下もなく、なだらかな電位降下を示していることからも、負極へプラズマ処理を行うことによって、電気化学キャパシタとして内部抵抗を抑制できることがわかる。
以上のように、本発明における電気化学キャパシタは、負極作製時に炭素電極層を主に構成している炭素材料の表面官能基をフッ素原子によって置換したことを特徴としている。
置換された上記フッ素原子によって、駆動用電解液およびリチウムイオンに対して化学的に安定した炭素材料を得ることができるため、電解液プレドープ時に上記炭素材料のそれぞれの粒子表面に形成される種々の皮膜の生成を抑え、負極、あるいは電気化学キャパシタの内部抵抗増加を抑えることが可能となるものである。
本発明における電気化学キャパシタは、炭素電極層を主に構成する炭素材料の表面官能基をプラズマ処理によってフッ素原子に置換した負極を備えている。
それによって、プレドープ時の炭素材料の粒子の表面に形成されるリチウム化合物やリチウムと駆動用電解液中の溶媒との化合物などから成る皮膜の生成を抑制することができ、プレドープ時および充放電時の炭素材料へのリチウムイオンの出入りを効率的を行うことができる。従って、従来より充放電の応答性が高まったため、瞬時により多くのパワーを必要とする車載用蓄電装置として利用することが期待される。
1 素子
2 正極
2a、3a 集電体
2b 分極性電極層
3 負極
3b 炭素電極層
3c 炭素材料
4 セパレータ
5a、5b リード線
6 外装ケース
7 封口部材
10 プラズマ処理用チャンバー
11、26 巻き出し部
12 プラズマ導入孔
13、29 巻き取り部
14 接続孔
20 プラズマ発生用チャンバー
21 ガス導入孔
22 高周波電源
23a、23b プラズマ電極
24 プラズマ導出孔
25 隙間
27 キャン
28 蒸着口

Claims (5)

  1. 金属箔から成る集電体の表面に炭素材料を主とした電極部が形成された正極および負極が一対の電極として対向し、前記正極および前記負極との間にセパレータが介在するように巻回または積層された素子と、
    前記負極の炭素材料に吸蔵されたリチウムイオンと、
    前記素子とリチウム塩を含む駆動用電解液とを収容した外装体からなり、
    前記負極の炭素材料は、この炭素材料を構成する炭素原子のうちフッ素原子と結合した炭素原子を有することを特徴とした電気化学キャパシタ。
  2. 前記負極の集電体の表面に、この集電体を構成する金属とフッ素とから成る化合物を有することを特徴とした請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
  3. 金属箔から成る集電体の表面に炭素材料を主とする電極部を形成して正極、負極を作製する工程と、
    前記正極と前記負極を対向させ、前記正極と前記負極との間にセパレータを介在させた状態で巻回または積層して素子を作製する工程と、
    前記負極の炭素材料にリチウムイオンを吸蔵するプレドープ工程と、
    前記素子と駆動用電解液とを有底状の外装ケースへ収容する工程からなり、
    前記負極を作製する工程において、前記負極の集電体の表面へ前記電極部を形成して、この電極部にフッ素を含むガスの雰囲気中でプラズマ処理を行うことを特徴とした電気化学キャパシタの製造方法。
  4. 前記負極を作製する工程に用いるガスが、アルゴンおよび四フッ化炭素から成る混合ガスであることを特徴とした請求項3に記載の電気化学キャパシタの製造方法。
  5. 前記プレドープ工程は前記負極の表面へ蒸着により形成された膜状のリチウムからリチウムイオンを吸蔵することを特徴とした請求項3に記載の電気化学キャパシタの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014156892A1 (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Jsr株式会社 電極活物質、電極及び蓄電デバイス
JP2015088482A (ja) * 2013-09-26 2015-05-07 株式会社半導体エネルギー研究所 蓄電装置
RU205784U1 (ru) * 2021-04-29 2021-08-11 Акционерное общество "Энергия" (АО "Энергия") Электрохимический конденсатор

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