JP2010261740A - 有機化合物の評価方法、電子写真感光体、及び、画像形成方法 - Google Patents

有機化合物の評価方法、電子写真感光体、及び、画像形成方法 Download PDF

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豊子 芝田
友子 ▲崎▼村
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Masanori Yumita
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Abstract

【課題】電子写真方式の画像形成装置に搭載される電荷発生物質用の有機化合物の純度を評価する評価方法を提供する。
【解決手段】昇温開始より任意温度までの熱重量分析による質量減少率と昇温開始より熱重量分析終了温度までの質量減少率の差が75%以上98%以下となる有機化合物が電荷発生物質に使用可能と判定する有機化合物の評価方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成方法に電荷発生物質として使用可能な純度を有する有機化合物を見出すための有機化合物の評価方法と、当該評価方法により見出された有機化合物を電荷発生物質に用いた電子写真感光体及び画像形成方法に関する。
複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成技術では、デジタル技術の進展に伴い、近年、画像書き込み密度が1200dpi、あるいは、2400dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの微細な画像形成も可能にしている。この様な微細ドット画像を電子写真感光体(以下、簡単に感光体ともいう)上に形成する際、露光光源として半導体レーザを用いることがきわめて有効な方法である。すなわち、露光光源の波長が短くなるほど、ドット径を小さな露光光を形成し易くなるので、デジタル画像を忠実に反映するドット径の小さな潜像を感光体上に形成することができる。
近年では、発光ダイオード技術の発展に伴い、短波長の半導体レーザ光も開発され、ブルーレーザ光に代表される発振波長350〜500nmのレーザ光を露光光に使用できる様になってきた。具体的には、短波長半導体レーザを露光光源に用いた画像形成装置の登場により、デジタル画像対応の微細ドット潜像を感光体上に形成し、小径トナーにより精細で解像度の高いトナー画像を形成することができる様になっている(たとえば、特許文献1参照)。また、発振波長が350〜500nmの短波長レーザ光に適した電子写真感光体の開発も進められ、たとえば、特定の多環キノン化合物やペリレン化合物を電荷発生物質に用いて、短波長レーザ光に対して良好な感度特性を示す有機感光体が作製される様になった(たとえば、特許文献2参照)。
この様な技術動向により、最近ではオンデマンドプリント市場と呼ばれる数百から数千枚レベルのプリント作製を行う比較的小規模な印刷市場に、版起こしの手間をかけずにプリント作製が行える電子写真方式のプリンタが投入される様になってきた。このオンデマンドプリント市場では迅速なプリント作製が求められ、たとえばモノクロ機で1分間に100枚以上、カラー機で1分間に65枚といった高速機と呼ばれる機種のプリンタが投入されている。
そして、高速のプリント作製を安定かつ効率よく行える様にするため、短波長露光に対する感光体の光電変換効率を向上させる等の技術が検討される様になった。たとえば、電荷発生層における短波長光吸光度や、反射層での短波長光の全反射率あるいは正反射率を特定する等の技術が検討されていた(たとえば、特許文献3参照)。
さらに、短波長露光光に対し高い感度特性を発現する電荷発生物質の設計が検討され、電荷発生物質を構成する有機化合物の純度が感度特性の向上に大きく寄与するものであることが確認され、電荷発生物質の純度を向上させる技術が検討される様になった。具体的には、本発明者等による特願2007−177146号等にも記載の様に、多段昇華精製法や分別昇華精製法等の昇華法による精製法を採り入れて電荷発生物質を作製する方法が挙げられる。また、前述の昇華法により得られたピランスロン化合物を高温加熱して不純物成分を昇華させて純度をより高くすることにより、短波長露光を繰り返しても安定した高速プリントが行える電荷発生物質を得られる様にした(たとえば、特許文献4参照)。
前記特許文献4に開示された技術によれば、加熱によりピランスロン化合物よりも若干低めの昇華温度を有する不純物を除去した電荷発生物質が用いられ、450nmの単色光による露光を3000回繰り返しても電位変動を起こさない結果が得られた。この様に、特許文献4の技術により、高速の短波長レーザ露光に対し良好な感度特性と繰り返し特性が得られることが確認されたが、オンデマンドプリント市場で安定したプリント作製が行えるものかは記載内容から把握することは難しいものであった。オンデマンドプリント市場では、前述した様に、1回の注文で数千枚レベルの発注を受けることも十分想定され、この様なニーズに耐え得るには少なくとも1万枚レベルの連続プリントでも安定した感度特性と繰り返し特性が必要と考えられた。そして、この様なプリント作製に耐え得る電荷発生物質は不純物の含有量が少ないより純度の高いものが必要になると考えられた。
前記特許文献4には、開示された電荷発生物質が1万枚レベルの連続プリントを行うことについての記載や示唆が見られず、1万枚を超える大量の連続プリントに対応可能なものなのかどうか判断することが難しいものであった。また、特許文献4に開示された技術は、ピランスロン化合物の昇華温度近くに昇華温度を有する不純物を除去して電荷発生物質の純度を向上させているが、電荷発生物質中にはこの条件から外れる温度特性の不純物も含有されていることが十分考えられた。
特開2000−250239号公報 特開2000−47408号公報 特開2006−313332号公報 特開2008−150490号公報
本発明は、上記課題を鑑み、電子写真方式の画像形成装置に搭載される電荷発生物質用の有機化合物の純度を評価する評価方法を提供することを目的とするものである。すなわち、電荷発生物質中の不純物の含有量を容易に定量できる様にして、純度の高い電荷発生物質を容易に見出す電荷発生物質用の有機化合物の評価方法を提供することを目的とするものである。そして、純度の高い良好な電荷発生物質を安定して供給することで、たとえば、1万枚を超える大量の連続プリントも想定されるオンデマンドプリント市場で高速のプリント作製が安定して行える電子写真感光体を提供することを目的とするものである。
本発明者は、検討を重ねた末に上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『電子写真方式の画像形成に使用される有機感光体に電荷発生物質として使用される有機化合物の純度を評価する有機化合物の評価方法であって、
前記有機化合物を熱重量分析したときに、
昇温開始より任意の温度に到達するまでの間における前記有機化合物の質量減少率と、
昇温開始より熱重量分析終了温度に到達するまでの間における前記有機化合物の質量減少率との差が、
75%以上98%以下となるものを、電荷発生物質として使用可能な有機化合物と判定することを特徴とする有機化合物の評価方法。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記評価方法により評価を行う有機化合物が、下記一般式(1)で表されるピランスロン化合物であって、
前記任意の温度が450℃であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物の評価方法。
Figure 2010261740
(一般式(1)中、nは1〜6の整数を表す。)』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体であって、
前記感光層には、少なくとも、請求項1または2に記載の有機化合物の評価方法により電荷発生物質として使用可能と判定された有機化合物が含有されていることを特徴とする電子写真感光体。』というものである。
請求項4に記載の発明は、
『発振波長が350nm以上500nm以下で、書込みの主査方向の露光径が10μm以上50μmの露光手段を用いて、請求項3に記載の電子写真感光体上に露光を行うことを特徴とする画像形成方法。』というものである。
請求項5に記載の発明は、
『前記露光手段として、縦横それぞれ3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを用いて、前記電子写真感光体上に露光を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。』というものである。
本発明では、電荷発生物質に使用される有機化合物がもつ昇華性を利用することにより、電荷発生物質中に含有される不純物成分を熱分解により定量できる様にした。そして、熱分解により得られた炭化物の量に基づいて有機化合物の純度を評価することにより、当該有機化合物が電荷発生物質として使用可能な純度を有するものであるか否かを判断できる様にしたのである。
すなわち、本発明によれば、電荷発生物質中の不純物の含有量を定量できる様になり、電荷発生物質に適した純度を有する有機化合物を見出す評価方法を実現することが可能になった。そして、この評価方法により純度の高い電荷発生物質が安定して供給され、たとえば、1万枚を超える大量の連続プリントも想定されるオンデマンドプリント市場で高速のプリント作製が安定して行える電子写真感光体を提供できる様になる。
熱重量分析装置の加熱により得られる有機化合物の質量変化を示すグラフである。 熱重量分析装置の加熱により得られる有機化合物の質量変化を示すグラフの他の一例である。 二成分現像方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。 二成分現像方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。 非磁性一成分現像方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。 非磁性一成分現像方式の画像形成装置に搭載する現像装置の断面図である。
本発明は、電子写真方式の画像形成方法に電荷発生物質として使用されるピランスロン化合物等の有機化合物の純度を規定する評価方法と当該評価方法により規定された有機化合物を電荷発生物質に用いた電子写真感光体及び画像形成方法に関する。
本発明者は、ピランスロン化合物に代表される電荷発生物質用の有機化合物が有する昇華性に着目し、当該有機化合物の昇華温度以上の高温環境下に放置することにより、昇華しなかった残存物量から電荷発生物質の純度を規定できると考えたのである。すなわち、たとえば、ピランスロン化合物をその昇華温度よりも高い450℃以上の高温環境においたとき、純度の高いピランスロン化合物であれば昇華成分が多く、高温環境放置後は残存物がほとんどないものと考えた。一方、不純物を多く含有するピランスロン化合物であれば、昇華成分が少なく、高温環境放置後は熱分解により形成された炭化物が多く残存していると考えたのである。
ピランスロン化合物の熱重量分析の結果に基づいてピランスロン化合物の高感度化を図ろうとした技術としては、前述した特許文献4に開示された技術がある。しかしながら、この技術は、ピランスロン化合物の昇華点近くで揮発する不純物成分の存在にのみ着目したもので、ピランスロン化合物そのものの昇華性を活用して非昇華性の不純物を定量できる様にするという技術思想を示唆していないといえる。特許文献4の段落0034には「公知のピランスロン化合物は、昇華点近くで揮発する不純物成分を多量に含有していると思われる」と記載され、昇華性の不純物の存在には着目しているが、非昇華性の不純物が存在することについて記載や示唆がみられない。一方、本発明は、非昇華性の不純物の存在に着目し、非昇華性の不純物が高温加熱後に炭化物として残存するものであり、不純物の含有量を定量することにより電荷発生物質の純度が特定できると考えたものである。この様に、特許文献4は、ピランスロン化合物に混在する非昇華性不純物を高温加熱により定量できる様にすることで有機化合物の純度を特定するという本発明の技術思想を示唆するものではないものといえる。
以下、本発明について詳細に説明する。
最初に、有機化合物が電荷発生物質として使用可能か否かを判断するための有機化合物の純度を評価する熱重量分析について説明する。本発明は、電荷発生物質用の有機化合物が電荷発生物質として使用可能な純度を有するか否かを判断するため、当該有機化合物を熱重量分析し、熱重量分析終了時に得られる残存物量から当該有機化合物の純度を評価する様にしたものである。
すなわち、本発明では、有機化合物を熱重量分析したとき、昇温開始より任意の温度に到達するまでの間における当該有機化合物の質量減少率と、昇温開始より熱重量分析終了温度に到達するまでの間における当該有機化合物の質量減少率との差が、75%以上98%以下となるものを電荷発生物質として使用可能な有機化合物と判定している。
本発明では、有機化合物の熱重量分析を行う際、先ず、昇温開始より任意の温度に到達するまでの間における当該有機化合物の質量減少率を求めておく。この段階では、たとえば、当該有機化合物の昇華温度よりも低い温度で昇華する不純物や結合水等が含有されている場合、これらの不純物等が加熱により有機化合物より除去されることになる。ここで、本発明でいう「任意の温度」とは、特に限定される温度ではないが、たとえば、当該有機化合物の昇華開始温度よりも若干低めの温度に設定する等、評価を行う有機化合物に含有される蒸発性の不純物が完全に除去されている温度のことを意味するものである。
次に、昇温開始より熱重量分析終了温度に到達するまでの間における当該有機化合物の質量減少率を求める。この段階では、加熱温度は当該有機化合物の昇華温度よりも高いものになるので、有機化合物そのものは昇華してなくなり、非昇華性の不純物が炭化物として残留することになる。すなわち、純度の高い有機化合物ほどこの段階で昇華してなくなる量が多いので質量減少率が高い値になる。
そして、前述した2つの質量減少率の差を算出し、その差が75%以上98%以下となるものを、本発明では電荷発生物質として使用可能な有機化合物と判定する。なお、質量減少率の差が75%未満となる有機化合物は不純物を多く含有するので、電荷発生物質として使用不可能なものと判定する。
質量減少率が75%未満になる不純物の含有量の多いケースは、たとえば、次の様なものが挙げられる。すなわち、
(1)当該有機化合物の昇華温度よりも低い温度で昇華する不純物や結合水等の含有量が多く、昇温開始より任意の温度に到達するまでの間の質量減少率が大きいケース
(2)非昇華性の不純物の含有量が多く、前述の任意温度より熱重量分析終了温度に到達するまでの間の質量減少率が小さいケース
(3)上記(1)と(2)のケースがいっしょに発生しているケース。
また、本発明では前述した質量減少率の差が75%以上98%以下となる有機化合物を電荷発生物質として使用可能なものと評価しているが、98%よりも大きなものが本発明の効果を発現しないものと判断するものではない。本発明の技術思想の視点では、質量減少率の差が98%よりも大きい有機化合物は純度が非常に高いものなので、電荷発生物質として十分に使用できるものと判定できるものである。しかしながら、公知の精製技術により作製される電荷発生物質用の有機化合物で質量減少率の差が98%よりも高い値になるものが本発明を検討している段階で見出すことができなかった。そのため、本発明では質量減少率の差の上限を98%に留めたのである。仮に、技術の発展により質量減少率の差が98%よりも大きな高純度の有機化合物が得られた場合、本発明に係る評価方法により、当該有機化合物が電荷発生物質として使用できるものと判断することは本発明の技術思想に基づくものである。
本発明に係る有機化合物の評価方法で用いられる熱重量分析についてさらに説明する。
本発明に係る有機化合物の評価方法で算出される各質量減少率は、以下の式より定義される。ここで、昇温開始温度Tsより任意の温度Ttに到達するまでの間における有機化合物の質量減少率をD1、昇温開始温度Tsより熱重量分析終了温度Teに到達するまでの間における有機化合物の質量減少率をD2、前記2つの質量減少率の差をΔDとすると、ΔDは以下の様に表される。すなわち、
ΔD(%)=|D2(%)−D1(%)|
また、昇温開始温度Tsにおける有機化合物の質量をMs、任意の温度Ttにおける有機化合物の質量をMt、熱重量分析終了温度Teにおける残存物の質量をMeとすると、2つの質量減少率D1とD2は以下の様に表される。すなわち、
D1(%)=〔(Mt−Ms)/Ms〕×100
D2(%)=〔(Me−Ms)/Ms〕×100
以上の式から質量減少率の差ΔDは以下の様に表すこともできる。すなわち、
ΔD(%)=〔|(Me−Mt)|/Ms〕×100
本発明に係る有機化合物の評価方法で用いられる熱重量分析は、公知の熱重量分析装置を用いて行うことが可能である。市販の熱重量分析装置としては、たとえば、「示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)」等が挙げられる。
前記熱重量分析装置により熱重量分析を行う場合、先ず、試料として秤量した有機化合物5mgを流速200ml/分の窒素気流雰囲気下にセットし、昇温速度10℃/分の条件の下で昇温を開始する。
図1は、熱重量分析装置により得られる加熱に伴う有機化合物の質量減少率の変化を模式的に示したグラフである。図1のグラフでは、縦軸に有機化合物の質量変化率(%)を、横軸に加熱温度(℃)を示しているが、本発明に係る有機化合物の評価方法で使用可能な熱重量分析のグラフの様式はこれに限定されるものではない。たとえば、図2に示すグラフを用いては、有機化合物の質量変化率(単位;%)のグラフD、単位時間あたりの有機化合物の質量変化量(単位;たとえばmg/分)のグラフM、加熱温度のグラフTの3つのグラフが示されている。図2では、縦軸に3つの変化量、すなわち、質量変化率D、質量変化量M、加熱温度Tを示し、横軸に実験時間Hを示している。図2に示すグラフを用いることにより、有機化合物の質量変化や加熱温度の履歴を高精度に把握することができる。
なお、図1のグラフは上記質量減少率の定義で用いられた記号を用いることにより、上記質量減少率の定義を図解したものにした。
本発明に係る有機化合物の評価方法では、昇華性の有機化合物を加熱して昇華させた後に残存する炭化物の量を測定することにより当該有機化合物の純度を評価し、その結果から、当該有機化合物の電荷発生物質としての使用可能性を判定するものである。具体的には、昇温開始より任意の温度に到達するまでの間における質量減少率と昇温開始より熱重量分析終了温度に到達するまでの間における質量減少率の差が75%以上98%以下となるものを電荷発生物質として使用可能な有機化合物と判定するものである。
有機化合物の純度は、合成した有機化合物に公知の精製方法を施すことにより向上させることが可能である。昇華性の有機化合物の純度を向上させるには、たとえば、先ず、公知の合成方法により当該有機化合物を合成し、次に、昇華精製法により当該有機化合物を処理する方法が挙げられ、精製処理を複数回にわたり繰り返し行うことが好ましい。すなわち、昇華精製条件をコントロールすることにより、当該有機化合物の電荷発生性能をコントロールしているともいえる。以下、有機化合物の精製方法について説明する。
本発明に係る有機化合物の評価方法により、質量減少率の差が75%以上98%以下となる純度の有機化合物は、合成した有機化合物を公知の精製方法で処理することにより得ることが可能である。有機化合物の精製方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、多段昇華精製法や分別昇華精製法といった昇華法による精製法や高沸点溶媒中での加熱処理精製方法等が挙げられる。これらの精製方法について具体的に説明する。
(1)多段昇華精製法
多段昇華精製法は、2段階以上の昇華工程を経て有機化合物の精製を行うものである。第1段階では、有機化合物の昇華温度より若干高めの温度に設定して、処理を行う有機化合物全体の約1〜10質量%分を昇華させて第1基体上に凝縮させる。次に、第2段階目以降では有機化合物の昇華温度よりも10〜100℃高い温度に設定して、有機化合物の昇華処理を行い、第2基体上に昇華した有機化合物を凝縮させる。この様に、昇華段階を多く設定することにより、揮発性不純物や分解不純物をほとんど含有しない高純度の有機化合物を形成することが可能である。なお、多段昇華精製法では、たとえば、3段階以上の昇華工程を実施することも可能である。この様に、多段昇華精製法では、昇華段階のコントロール、すなわち、昇華精製処理回数をコントロールすることにより、当該有機化合物の電荷発生性能を設計することができるものといえる。
以下に、3段階の昇華精製処理を行って、代表的な昇華性の有機化合物の1つであるピランスロン化合物の精製処理を行う多段昇華精製法の具体例を説明する。
精製例1(多段昇華精製法の具体例)
第1段階として、後述する合成例で作製したピランスロン化合物15質量部をるつぼに投入し、昇華装置のチャンバを約1×10−2Paに減圧する。この減圧状態の下で、るつぼの温度を420℃に上昇させ、420℃になったらこの温度で10分間維持する。その後、加熱を停止して冷却を開始し、るつぼの温度が200℃以下になったとき、チャンバ内の圧力を大気圧に戻す。この様にして第1段階の昇華精製を行う。
次に、第2段階として、昇華装置のチャンバを1×10−2Paに減圧し、この減圧状態の下で、るつぼの温度を450℃に上昇させた後、2時間加熱処理を行う。その後、加熱を停止して冷却を開始し、るつぼの温度が200℃以下になったら、チャンバ内の圧力を大気圧に戻す。この様にして第2段階の昇華精製を行う。
さらに、第3段階として、昇華装置のチャンバを1×10−2Paに減圧し、この減圧状態の下で、るつぼの温度を480℃に上昇させた後、2時間加熱処理を行う。その後、加熱を停止して冷却を開始し、るつぼの温度が200℃以下になったら、チャンバ内の圧力を大気圧に戻す。この様にして第3段階の昇華精製を行う。
(2)分別昇華精製法
分別昇華精製法は、たとえば、温度勾配を有するガラスチューブに有機化合物を投入し、ガラスチューブへの加熱位置を段階的に変えることにより、有機化合物への加熱温度を段階的に変えながら昇華精製を行うものである。この様に、加熱温度を段階的に変えて昇華精製を行う精製法を分別昇華精製法といい、トレイン昇華法と呼ばれる精製方法等も分別昇華精製法の範疇に含まれるものである。
分別昇華精製法の具体的な手順は以下のとおりである。
先ず、有機化合物を第1位置で当該有機化合物の昇華温度よりも10〜100℃高い温度T1に設定して処理を行う。温度T1での加熱を行う様にガラスチューブの位置を設定し、加熱処理を行って有機化合物とそれに含まれる揮発性不純物を蒸発させる。
次いで、T1よりも10〜20℃低く当該有機化合物が凝集可能な温度である温度T2になる様、ガラスチューブの位置を設定して加熱処理を行う。この様にして、前回の操作で昇華させた有機化合物の蒸気を凝縮させる。続いて、有機化合物を凝集処理させた温度T2よりも10〜20℃低い温度T3になる様にガラスチューブの位置を設定して加熱処理を行うことにより揮発性不純物の蒸気を凝縮させる。この様な手順により、揮発性不純物や分解不純物をほとんど含有しない高純度の有機化合物を形成することが可能である。この様に、分別昇華精製法では、加熱温度のコントロールにより当該有機化合物の電荷発生性能が発現される様になるもので、加熱処理温度の範囲をより細かくコントロールする等の操作により、当該有機化合物の電荷発生性能をより高度に設計することができる。
以下に、代表的な昇華性の有機化合物の1つであるピランスロン化合物の精製処理を分別昇華精製法で行う具体例を説明する。
精製例2(分別昇華精製法の具体例)
後述する合成例等により作製したピランスロン化合物5質量部をパイレックス(登録商標)製のガラスチューブに投入する。このガラスチューブを、チューブの長さに沿って約480℃〜約20℃の温度勾配(長さが1mで、約480℃〜約20℃の温度勾配をつけることが可能)を付与する構造の炉の中に配置する。ガラスチューブ内を約1×10−2Paに減圧して、この状態で精製すべきピランスロン化合物を有するガラスチューブが置かれた位置を約480℃に加熱する。生成した蒸気をガラスチューブの低温側に移動させて凝縮を行う。約300〜420℃の間の領域で凝縮させたピランスロン化合物を収集する。この様な手順により、分別昇華精製法を施して高い純度を有するピランスロン化合物を形成することができる。
(3)高沸点溶媒中での加熱処理精製法
高沸点溶媒中での加熱処理精製法は、未精製の有機化合物を沸点150℃以上の高沸点溶媒中で加熱処理することにより、結晶形成を促進させるとともに、当該有機化合物に含まれている不純物を高沸点溶媒に溶解させて除去するものである。この精製法に使用可能な高沸点溶媒としては、たとえば、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラン等が挙げられる。そして、高沸点溶媒下での加熱処理時間を長くするほど、揮発性不純物や分解不純物をほとんど含有しない高純度の有機化合物を形成することが可能である。この様に、高沸点溶媒中での加熱処理昇華精製法では、昇華段階のコントロール、すなわち、昇華精製処理に使用する溶媒の種類や加熱温度のコントロールにより、当該有機化合物の電荷発生性能をより高度に設計することができるものといえる。
以下に、代表的な昇華性の有機化合物の1つであるピランスロン化合物の精製処理を加熱処理精製法で行う具体例を説明する。
精製例3(加熱処理精製法の具体例)
後述する合成例1等により作製したピランスロン化合物5質量部をるつぼに投入し、昇華装置のチャンバを約1×10−2Paに減圧した後、るつぼの温度を450℃に上げて2時間加熱して、ピランスロン化合物を昇華させる。上記加熱処理実施後、るつぼの冷却を開始し、るつぼの温度が室温になったところで、チャンバ内を大気圧にする。このとき、チャンバ内に設けられたコレクタ基体に加熱により昇華したピランスロン化合物が凝集している。
昇華を経て形成したピランスロン化合物1.0質量部をニトロベンゼン100質量部に懸濁させ、200℃にて1時間加熱処理した後、ろ過を行い、アセトン、次いで、メタノールで洗浄処理を行った後、乾燥処理をして精製処理したピランスロン化合物が得られる。この様な手順により、加熱処理精製法を施して高い純度を有するピランスロン化合物を形成することができる。
本発明に係る有機化合物の評価方法で評価可能な有機化合物は、昇華性を有するものであれば特に限定されるものではなく、昇華性を有する有機化合物として知られている芳香族環を有する公知の有機化合物の純度を測定する上で好ましい。この様な芳香族環を有する有機化合物の中でも、有力な電荷発生物質の1つとして使用される下記一般式(1)に示すピランスロン化合物の純度の測定に特に好ましく使用することができる。
以下、昇華性を有する有機化合物の代表例の1つとしてピランスロン化合物について説明する。
本発明に係る有機化合物の評価方法により純度の測定を好ましく行うことができるピランスロン化合物は、下記一般式(1)に示す構造を有するものであり、一般式(1)に示す様に、1個から6個の臭素原子を結合してなるものである。
Figure 2010261740
以下、一般式(1)で表されるピランスロン化合物の具体例を下記に示すが、本発明に使用可能なピランスロン化合物は以下に示すもののみに限定されるものではない。
Figure 2010261740
Figure 2010261740
なお、一般式(1)で表されるピランスロン化合物の分子構造中の臭素原子の数は、後述するピランスロン化合物の合成例の記載にもある様に、臭素の添加量を変化させることにより制御が可能である。また、合成したピランスロン化合物分子に結合している臭素原子の数は、公知の質量分析法(Mass Spectrometry;マススペクトル法)により確認することができる。
前記一般式(1)で表されるピランスロン化合物の合成方法は、特に限定されるものではなく、公知の合成方法により一般式(1)で表されるピランスロン化合物を作製することが可能である。そして、公知の合成方法により作製したピランスロン化合物を前述した公知の精製方法で処理することにより純度を向上させることができる。
以下にピランスロン化合物の代表的な合成方法の1つを説明するが、本発明で好ましく使用されるピランスロン化合物の合成方法はこれに限定されるものではない。
先ず、8,16−ピランスレンジオン5.0質量部とヨウ素0.25質量部をクロロ硫酸50質量部に溶解させておき、これに、臭素5.9質量部を滴下する。滴下終了後、反応系を70℃に昇温させた後、5時間の加熱撹拌を行って反応処理を行う。5時間の反応処理を終えたら、反応系を室温まで冷却し、500質量部の氷に反応系を投入する。さらに、ろ過処理を行った後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、乾燥処理することにより臭素原子を4個結合してなる構造のピランスロン化合物が得られる。なお、ピランスロン化合物構造に結合する臭素原子は公知の質量分析法により確認することができる。
また、ピランスロン化合物に結合する臭素原子の数は、上記合成例で、反応時に添加する臭素の量を変化させることにより制御することができる。たとえば、上記反応工程で臭素の添加量を1.5質量部に変更した他は同様の手順で反応させたところ、臭素原子が1つ結合してなる構造のピランスロン化合物が得られた。また、臭素の添加量を9.0質量部に変更して他は同様の手順で反応させたところ、臭素原子が6つ結合してなる構造のピランスロン化合物が得られた。
また、臭素の添加量を4.5質量部に変更して他は同様に反応させたところ、臭素原子が3つ結合してなる構造のピランスロン化合物が得られた。さらに、上記反応工程で臭素の添加量を7.5質量部に変更した他は同様に反応させると、臭素原子が5個結合してなる構造のピランスロン化合物が得られた。この様に、上記合成例で、反応時に添加する臭素の量を変化させることにより、ピランスロン化合物に結合させる臭素原子の数を制御することができる。
次に、本発明に係る電子写真感光体の構造について説明する。本発明に係る電子写真感光体は、たとえば、導電性基体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層等の層を順次積層させた積層構造を有するものが代表的なものの1つである。また、この様な明確な積層構造を有さず導電性基体上に電荷発生物質と電荷輸送物質を含有した感光層よりなるものや、導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層、第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層を順次積層した複数の電荷輸送層を有するものもある。第2電荷輸送層は、表面保護層内に電荷輸送物質を含有させた構成とするケースが多く、表面保護層内に電荷輸送物質を含有させて表面保護層内で電荷を蓄積させることなく表面保護層表面に電荷を移動できる様にすることで所定の静電潜像形成を行う。
本発明に係る電子写真感光体は、「有機感光体」とも呼ばれ、電子写真感光体の機能として必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能を有機化合物が付与する構成のものである。有機感光体には、たとえば、電荷発生機能を有する公知の有機化合物あるいは電荷輸送機能を有する公知の有機化合物の少なくとも一方を含有させた電子写真感光体も含まれる。また、電荷発生機能と電荷輸送機能を有する公知の高分子錯体で構成した電子写真感光体等も含まれる。
以下、本発明に係る電子写真感光体の代表的な形態である積層型の有機感光体を構成する導電性支持体、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層について順次具体的に説明する。
(1)導電性支持体
本発明に係る電子写真感光体に使用可能な導電性支持体としては、たとえば、シート状または円筒状の支持体が用いられ、画像形成装置の設計の観点から、円筒状の形態を有する導電性支持体が好ましい。円筒状の導電性支持体は、自身が回転することによりエンドレスに画像形成が行えるもので、円筒度が5〜40μmが好ましく、7〜30μmがより好ましい。ここで、円筒度とはJIS規格(B0621−1984)により規定されるものである。すなわち、円筒基体を2つの同軸の幾何学的円筒で挟んだとき、同軸2円筒の間隔が最小となる位置を半径の差で表したもので該半径の差をμmで表す。
円筒度は、円筒状基体の両端10mmの2点、中心部、両端と中心部の間を3等分した点の4点の、合計7点における真円度を測定することにより求められる。円筒度を測定する測定装置としては、たとえば、「非接触万能ロール径測定機((株)ミツトヨ製)」等が挙げられる。
導電性支持体を構成する材質としては、たとえば、アルミニウムやニッケル等の金属製のドラムの他、アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等を蒸着したプラスチック製のドラム、あるいは導電性物質を塗布した紙製のドラムやプラスチック製のドラムがある。導電性支持体は、その比抵抗が常温で10Ωcm以下のものが好ましい。
また、導電性支持体には、その表面に封孔処理が施されてアルマイト膜を形成したものを使用することも可能である。アルマイト処理は、たとえば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で通常行われるものであるが、硫酸中で陽極酸化処理を行ったものが最も好ましい。硫酸中で陽極酸化処理を行ってアルマイト膜を形成する場合、たとえば、硫酸濃度100〜200g/リットル、アルミニウムイオン濃度1〜10g/リットル、液温を20℃前後、印加電圧を約20Vで行うことにより良好にアルマイト膜を形成することができる。また、陽極酸化処理により形成されるアルマイト被膜の平均膜厚は、通常20μm以下が好ましく、特に10μm以下が好ましい。
本発明に係る電子写真感光体に使用可能な導電性支持体の表面粗さ(十点平均表面粗さRz)は0.5〜3.0μmであることが好ましく、十点平均表面粗さRzは以下の様に定義され、また、以下の手順で測定されるものである。
すなわち、導電性支持体の表面粗さは、JISB0601−1982に記載の定義(基準長さ、評価長さも含めて)に準ずるもので、具体的には、導電性支持体の表面粗さを測定した際、基準長の距離間で上位5つの山頂の平均高さと下位5つの谷底の平均低さとの差をいうものである。
導電性支持体の表面粗さの測定は、市販の表面粗さ計で測定することができ、市販の表面粗さ計としては、たとえば、小坂研究所社製の「Surfcorder SE−30H」等がある。
上記小坂研究所社製の「Surfcorder SE−30H」による導電性支持体の表面粗さ測定は以下の条件で行うことができる。すなわち、
測定距離:基準長さの5倍
測定箇所の数:両端及び中心の3点(両端はそれぞれ、端部から5cmの位置)
縦及び横の測定倍率:縦倍率 5000倍、横倍率 20倍
導電性支持体の十点平均表面粗さRzが0.5〜3.0μmの範囲内にあると、良好な接着性が得られ、また、レーザ光源を用いて露光を行った時、画像でモアレの発生も防止できるので、支持体加工によるスジが画像に現れたり黒ポチの問題が発生しない。また、導電性支持体の十点平均表面粗さRzは、前述した表面保護層に含有される粒子の分散粒径の3〜50倍が好ましい。
なお、導電性支持体の表面粗さRzの好ましい調整方法としては、たとえば、表面切削加工時の調整が挙げられる。
(2)下引き層
下引き層は、前述した導電性支持体と後述する電荷発生層の間にバリヤ機能を付与する目的で設けられるもので、中間層とも呼ばれるものである。すなわち、下引き層の設置により、導電性支持体と電荷発生層との接着性が改良されるとともに、導電性支持体からの電荷注入が防止される。
下引き層を構成する材質としては、たとえば、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及び、これら樹脂を構成する繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き層を構成する樹脂の中でも、ポリアミド樹脂は、画像形成の繰り返しに伴って発生する残留電位の上昇を抑える効果を有するので好ましい。また、これら樹脂を用いた下引き層の厚さは0.01〜5.0μmが好ましい。
また、下引き層中にシランカップリング剤やチタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いることができ、硬化性金属樹脂を用いた場合の下引き層の厚さは0.1〜3μmが好ましい。
良好な潜像形成を行う上で、下引き層では、露光光の全反射がある程度求められ、たとえば、全反射率を20%〜80%程度にしておくことが好ましい。全反射率を上記範囲にするための手段としては、たとえば、下引き層中に無機粒子を含有させる方法がある。好ましい公知の無機粒子としては、たとえば、数平均1次粒径が5nm〜100nmの酸化チタン(TiO)や酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、種類や平均1次粒径の異なる無機粒子を2種類以上添加する方法も好ましい。
(3)電荷発生層
電荷発生層は、CGLとも呼ばれ、前述した下引き層上に配置されるものである。電荷発生層には本発明に係る評価方法により使用可能と判断された有機化合物を電荷発生物質(以下、CGMともいう)が含有される。そして、前記電荷発生物質とともにCGMを分散し製膜するバインダ樹脂を含有する。電荷発生物質としては、前述したピランスロン化合物の他に、フタロシアニン化合物やアゾ化合物、ペリレン化合物、アズレニウム化合物等の公知の電荷発生機能を有する有機化合物を使用することができる。
また、電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダ樹脂を用いる場合、バインダ樹脂としては公知の樹脂を使用することができ、具体的には、ホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂をバインダ樹脂として用いた電子写真感光体では、繰り返し使用に伴う残留電位増加を抑えることができる。
また、電荷発生層を構成するバインダ樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダ樹脂100質量部に対し電荷発生物質を20〜600質量部とすることが好ましい。さらに、電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
(4)電荷輸送層
電荷輸送層は、CTLとも呼ばれ、前述した電荷発生層上に配置されて光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体表面に輸送する機能を有する層である。電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送物質(以下、CTMともいう)とバインダ樹脂より構成されるもので、上記構成物の他に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を含有することも可能である。なお、電荷輸送機能は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、公知の方法で光導伝性を検知することにより確認することができる。また、電荷輸送層は複数の電荷輸送層から構成することも可能である。
本発明に係る電子写真感光体に使用される電荷輸送物質(CTM)は、特に限定されるものではなく、電荷輸送物質として使用することが可能な公知の有機化合物を使用することが可能である。その中でも、発振波長が350〜500nmの領域のレーザ光の吸収が小さく、かつ、高い電荷輸送能を有する有機化合物が好ましい。この様な性能を有する有機化合物としては、たとえば、以下に示す一般式(2)で表されるものがある。
Figure 2010261740
なお、式中のAr〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していてもよりアリール基を表し、ArとArはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。また、ArとAr及びArとArは結合して環を形成するものであってもよい。さらに、RとRは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RとRは結合して環を形成してもよい。
上記一般式(2)で表される化合物の中でも、ArとArがそれぞれ置換基を有してもよいフェニル基となる下記一般式(3)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2010261740
上記一般式(3)では、RとRは、それぞれ独立して、アルキル基またはアリール基を表し、RとRが一体となって環構造を形成するものでもよい。RとRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表すものである。なお、Ar〜Arは上記一般式(2)で表される化合物と同じである。なお、式中のm、nは1〜4の整数を表すものである。
前記一般式(3)で表される化合物の具体例を以下に示す。なお、一般式(3)で表される化合物は以下に示すもののみに限定されるものではない。
Figure 2010261740
Figure 2010261740
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一般式(3)で表される化合物は公知の合成方法により作製することが可能である。
本発明に係る電子写真感光体に使用可能な電荷輸送物質(CTM)には、前述の一般式(2)あるいは(3)で表される化合物の他に、公知の正孔輸送性(P型)の電荷輸送物質(CTM)を用いることも可能である。具体的には、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物等がある。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダ樹脂中に溶解して層を形成するものである。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダ樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わないもので、たとえば、以下のものがある。すなわち、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等がある。また、これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体を電荷輸送層に用いることができる。上記樹脂の中でも、吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
バインダ樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダ樹脂100質量部に対し20〜500質量部が好ましい。また、電荷輸送層の厚さは通常10μm以上30μm以下程度が好ましく、10〜25μmがより好ましい。電荷輸送層の厚さが上記範囲のとき、一般に電荷輸送層内で短波長レーザが吸収あるいは散乱する様なことがなく、良好な鮮鋭性を有する潜像形成が安定して行えて高解像の画像形成に好都合である。また、残留電位がみだりに増大しないので、画像形成を繰り返し行っても潜像形成を安定して行うことができる。
したがって、電荷輸送層の厚さを上記範囲とすることにより、感光体上に露光光のドット径を忠実に反映させた潜像を形成し易いので好ましい。
以上の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成する際に使用可能な溶媒または分散媒としては、以下に挙げる公知の溶媒を使用することができる。すなわち、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等がある。これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒としても使用可能である。
(5)表面保護層
表面保護層は、OCLとも呼ばれ、前述した電荷輸送層上に配置されるものである。表面保護層は、積層構造を有する電子写真感光体の構成層のうち、空気界面と接触するとともに電荷輸送層等の感光層を保護するために設けられた層である。表面保護層の厚さは、0.5〜15μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
表面保護層は、クリーニング部材の影響を受けることのないある程度の耐久性を有することが好ましく、たとえば、無機粒子を含有させる等の公知の方法で表面強度をある程度向上させることができる。この様に、表面保護層を強化させて感光体の耐久性が向上することにより、プリント作製枚数が増大してクリーニング部材によるトナー除去の機会が増えても、当初の画像形成性能を維持することができる。
表面保護層形成用の塗布液を作製する時の溶媒は、後述する下引き層、電荷発生層、電荷輸送層の形成に使用される溶媒または分散媒と同様のものを用いることができる。具体的には、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等がある。これらの溶媒は、単独あるいは2種類以上の混合溶媒として用いることができる。
次に、本発明に係る電子写真感光体の作製方法について説明する。本発明に係る電子写真感光体は、公知の方法により、導電性支持体上に、下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液、表面保護層形成用塗布液を順次塗布することにより作製することができる。
各層形成用の塗布液を塗布する方法は、公知の塗布方法が利用できる。具体的には、浸漬法、スプレイ塗布法、量規制型塗布装置(塗布量をコントロールして各塗布層の厚さを制御しながら塗布を行う塗布装置)を使用することができる。各塗布層の厚さを正確に制御する方法としては、量規制型塗布装置による塗布方法が好ましい。
量規制型塗布装置には、円形スライドホッパ型塗布ヘッドや押し出し型塗布ヘッドを用いた塗布装置がある。これらの中でも、後述する円形スライドホッパ型塗布ヘッドを有する塗布装置(以後、円形スライドホッパ型塗布装置またはスライド型塗布装置ともいう)が好ましい。この様な円形形状の塗布ヘッドを有する塗布装置は、円筒形状の導電性支持体のほとんど全体(上端の一部を除く程度)を塗布液に浸漬して塗布する浸漬塗布法に比べて塗布装置内で分散液を滞留させずにワンウエイで層を形成することができる。
つまり、表面保護層におかれては含有される粒子は塗布液中で凝集シェアを繰り返し受けることがなく、また、表面保護層形成用塗布液では溶媒に比べて粒子の比重が高く沈降し易い状態にありながら塗布液中での粒子の沈降を防止が可能である。その結果、粒子が均一分散した表面保護層の形成に最適である。また、感光体製造時に塗布液を大量に作製して製造作業後に塗布液を保管する必要がなくなるので、保存塗布液中の成分が経時により凝集や沈降を起こすことによる塗布液の性能低下の問題を解消する。さらに、一回の塗布で複数の層を形成することができるので、たとえば、表面保護層を形成する際、円筒状の導電性支持体上に既に形成した下層を溶解してから塗布を行う様な手間がなくなる。
また、塗布膜厚は塗布装置から吐出される塗布液流量で正確に制御することができるので、膜厚のバラツキが少なく、表面保護層を形成するにあたっては光学的に均一な層を形成することができる。
次に、本発明に係る電子写真感光体を使用してトナー画像を形成する画像形成方法について説明する。本発明に係る電子写真感光体を用いて行われる画像形成方法は、キャリアとトナーより構成される2成分現像剤による画像形成方法、あるいは、トナーのみから構成される1成分現像剤による画像形成方法である。
2成分現像剤による画像形成方法では、たとえば、後述するタンデム方式の画像形成装置に本発明に係る電子写真感光体を搭載することにより、感光体ライフが長くしかも高速でのフルカラープリント作成を実現することができる。
2成分現像剤による画像形成方法で、現像剤に使用される磁性粒子であるキャリアは、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
また、キャリアを使用せずに画像形成を行う1成分現像剤には、画像形成時にトナーを帯電部材や現像ローラ面に摺擦、押圧して帯電を行う非磁性1成分現像方式による画像形成がその代表的な方法の1つとして挙げられる。非磁性1成分現像方式による画像形成は、現像装置の構造を簡略化できるので、画像形成装置全体をコンパクト化できるメリットがある。したがって、非磁性1成分現像方式を採ることにより、コンパクトなカラープリンタでフルカラーのプリント作成が実現され、スペースの制限された作業環境でも色再現性に優れたフルカラープリントの作成が可能である。
次に、本発明に係る画像形成方法が実施可能な画像形成装置について説明する。先ず、本発明に係る画像形成方法は、少なくとも以下の工程を有するものである。すなわち、
(1)たとえば、波長が350nm以上500nm以下の短波長光等の露光光を用いて本発明に係る電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程
(2)本発明に係る電子写真感光体上に現像剤を供給して、電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程
(3)本発明に係る電子写真感光体上に形成されたトナー画像を用紙等の転写体上に転写する転写工程
(4)転写体上に転写されたトナー像を定着する定着工程。
なお、上記4つの工程以外の他の工程を有するものであってもよい。たとえば、トナー画像を転写した後、静電潜像担持体表面に残留するトナーを除去するクリーニング工程を有するものが好ましい。また、転写工程では、静電潜像担持体より記録媒体上へのトナー画像の転写を中間転写体を介して行うものでもよい。
また、上記現像工程では直流バイアスに交流バイアスを重畳した現像バイアスを印加して静電潜像を現像することも可能である。
本発明に係る電子写真感光体は、発振波長が350nm以上500nm以下で、書込みの主査方向の露光径が10μm以上50μmの露光手段を用いて露光を行うことが可能である。この様に、本発明に係る電子写真感光体は、一般に短波長露光と呼ばれる発振波長が350nm〜500nmの露光光を照射することにより潜像形成を行うことが好ましく、露光用光源としては公知の半導体レーザや発光ダイオードが用いられる。これらの露光光源より、書込み主査方向の露光ドット径が10〜50μm、好ましくは、10〜25μmの露光光が感光体上に照射されてデジタル露光を行うことができる。この様な露光手段により感光体上に画像書き込み密度が500〜2400dpi(dpi:1インチあたりのドット数、1インチ=2.54cm)のドット潜像が形成され、高解像度の画像形成が行える様になっている。ちなみに、画像書き込み密度が600dpiのときの露光ドット径は42.3μmであり、画像書き込み密度が1200dpiのときの露光ドット径は21.7μm、画像書き込み密度が2400dpiのときの露光ドット径は10.5μmである。
ここで、露光ドット径とは、露光光の大きさ(長さ、幅)のことで、具体的には、露光光の強度がピーク強度の1/e以上となる領域の主走査方向に沿った長さのことをいうものである。なお、露光ドット径は感光層の厚みよりも小さいと潜像の解像度が高められるが、あまり露光ドット径が小さくなるとトナー現像量の再現性が不安定になるおそれがある。
本発明では、画像書き込み密度が1000dpi以上となる露光を行ったときでも、電子写真感光体上に21.7μm以下の露光ドット光に対応したドット潜像を形成することができる。そして、後述する実施例にも示す様に、写真画像に代表される精細で解像度の高いトナー画像を安定して形成することが可能である。
図3は、二成分系現像剤によるフルカラー画像形成が可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
図3において、15Y、15M、15C、15Bkは感光体、20Y、20M、20C、20Bkは現像装置(現像手段)、41Y、41M、41C、41Bkは1次転写手段としての1次転写ロール、43は2次転写手段としての2次転写ロール、50Y、50M、50C、50Bkはクリーニング装置、4は中間転写体ユニット、70は熱ロール式定着装置、40は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と呼ばれるもので、複数組の画像形成部20Y、20M、20C、20Bkと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット4と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置70を有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとしてイエロー色の画像を形成する画像形成部Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体15Y、感光体15Yの周囲に配置された帯電手段16Y、露光手段18Y、現像手段20Y、1次転写手段としての1次転写ロール41Y、クリーニング手段50Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとしてマゼンタ色の画像を形成する画像形成部Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体15M、感光体15Mの周囲に配置された帯電手段16M、露光手段18M、現像手段20M、1次転写手段としての1次転写ロール41M、クリーニング手段50Mを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとしてシアン色の画像を形成する画像形成部Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体15C、感光体15Cの周囲に配置された帯電手段16C、露光手段18C、現像手段20C、1次転写手段としての1次転写ロール41C、クリーニング手段50Cを有する。
さらに、他の異なる色のトナー像の1つとして黒色の画像を形成する画像形成部Bkは、第1の感光体としてのドラム状の感光体15Bk、該感光体15Bkの周囲に配置された帯電手段16Bk、露光手段18Bk、現像手段20Bk、1次転写手段としての1次転写ロール41Bk、クリーニング手段50Bkを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット4は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体40を有する。
画像形成部Y、M、C、Bkより形成された各色の画像は、1次転写ロール41Y、41M、41C、41Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体40上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット60内に収容された転写材として用紙等の記録部材Sは、給紙搬送手段61により給紙され、複数の中間ロール62A、62B、62C、62D、レジストロール63を経て、2次転写手段としての2次転写ロール43A、43Bに搬送され、記録部材S上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Sは、熱ロール式定着装置70により定着処理され、排紙ロール75に挟持されて機外の排紙トレイ76上に載置される。
一方、2次転写ロール43A、43Bにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Sを曲率分離した無端ベルト状中間転写体40は、クリーニング手段48により残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール41Bkは常時、感光体15Bkに圧接している。他の1次転写ロール41Y、41M、41Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体15Y、15M、15Cに圧接する。
2次転写ロール43A、43Bは、ここを記録部材Sが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体40に圧接する。
この様に感光体15Y、15M、15C、15Bk上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体40上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、定着装置70で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Sに転写させた後の感光体15Y、15M、15C、15Bkは、クリーニング装置50で転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
また、図4は本発明に係る画像形成方法が実施可能なモノクロ方式の画像形成装置の一例を示すものであり、図3の画像形成装置と同様、二成分系現像剤を用いてデジタル方式により画像形成を行うものである。
次に、現像装置で行われる直流バイアスと交流バイアスを重畳させて得られる現像バイアスについて説明する。電子写真方式の画像形成装置では、感光体15上に形成された静電潜像を現像装置20により現像する際、直流バイアスに交流バイアスを重畳した現像バイアスを印加した下で静電潜像の現像を行うことができる。ここでは、直流バイアスに交流バイアスを重畳した現像バイアスを印加して静電潜像を現像する方法を説明する。
図6の現像装置20は、感光体15に対向して回転する現像剤担持体21より感光体15に現像剤を供給して感光体15上に形成された静電潜像を現像するものであって、この様な現像を経て感光体15上にトナー画像が形成される。現像剤担持体21はマグネットロールの周囲にステンレス溶射表面加工を施したアルミ製のスリーブを被せた構成となっている。現像剤担持体21には、任意の電圧値を有する直流バイアス(Vdc)に、任意の周波数(Fac)と波高値(Vacp−p)を有する交流バイアスを重畳して形成される現像バイアスが印加され、現像バイアスが印加された下で現像が行われる。
直流バイアスと交流バイアスを重畳した現像バイアスで感光体15上の静電潜像を現像する際、図2〜4の画像形成装置では、図示しないマイコン等の制御装置により、以下の様にして現像を行う様制御される。すなわち、感光体15上の静電潜像を現像する際、直流バイアスVdcに、波高値Vacp−p、周波数Facの交流バイアスを重畳した現像バイアスを形成する様に制御が行われ、形成された現像バイアスにより現像が行われる。現像バイアスは、たとえば、Vdcが−300〜−700kV、Vacp−pが0.8〜1.2kV、Facが3〜7kHzであることが好ましい。直流バイアスと交流バイアスを重畳して形成される現像バイアスの具体的な条件としては、たとえば、Vdc=−500V、Vacp−p=1.0kV、Fac=5kHzとするものが挙げられる。
次に、図5は本発明に係る電子写真感光体が搭載可能な非磁性一成分現像方式の画像形成装置の一例である。図5に示す画像形成装置は、図6に示す現像装置20を搭載することが可能なフルカラー画像形成装置である。なお、図6に示す現像装置20が搭載可能な画像形成装置は、図5に示すものに限定されるものではない。たとえば、後述する現像装置20を直列に配置させた構造のタンデム型と呼ばれる画像形成装置にも適用できる。
図5の画像形成装置は、回転駆動される感光体ドラム15の周囲に、感光体ドラム15表面を所定電位に均一帯電させる針電極帯電タイプの帯電装置16、感光体ドラム15上の残留トナーを除去するクリーナ17が設けられている。
レーザ走査光学系18は、帯電装置16により均一帯電された感光体ドラム15上を走査露光し、感光体ドラム15上に静電潜像を形成する。レーザ走査光学系18は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、fθ光学素子を内蔵し、その制御部にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送される。そして、上記各色の印字データに基づいて、レーザビームが順次出力され、感光体ドラム15上を走査露光して、各色毎の静電潜像を形成する。
現像装置20を収納した現像装置ユニット30は、静電潜像が形成された感光体ドラム15に各色トナーを供給して現像を行う。現像装置ユニット30には、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各非磁性一成分トナーをそれぞれ収納した4つの現像装置20Y、20M、20C、20Bkが装着され、支軸33を中心に回転して、各現像装置20が感光体ドラム15と対向する位置に導かれる。
現像装置ユニット30は、レーザ走査光学系18により感光体ドラム15上に各色の静電潜像が形成される毎に、支軸33を中心に回転し、対応する色のトナーを収容した現像装置20を感光体ドラム15に対向する位置に導く。そして、各現像装置20Y、20M、20C、20Bkより感光体ドラム15上に、帯電された各色トナーを順次供給して現像を行う。
図5に示す画像形成装置は、現像装置ユニット30より感光体ドラム15の回転方向下流側に無端状の中間転写ベルト40が設けられ、感光体ドラム15と同期して回転駆動する。中間転写ベルト40は、1次転写ローラ41により押圧された部位で感光体ドラム15と接触し、感光体ドラム15上に形成されたトナー画像を転写する。また、中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42と対向して、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、支持ローラ42と2次転写ローラ43との対向する部位で、中間転写ベルト40上のトナー画像が記録紙等の記録材S上に押圧転写される。
なお、現像装置ユニット30と中間転写ベルト40との間には、中間転写ベルト40上の残留トナーを除去するクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、記録材Sを収容する給紙トレイ61と、給紙トレイ61に収容した記録材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62、給紙した記録材Sを2次転写部位に送るタイミングローラ63より構成される。
トナー画像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に搬送され、定着装置70で転写されたトナー画像が記録材S上に定着される。定着後、記録材Sは垂直搬送路80を搬送され、装置本体100の上面に排出される。
次に、本発明に係る画像形成方法に使用可能な現像装置の一例として、図6に示す非磁性一成分現像方式の現像装置を説明する。現像装置20は「トナーカートリッジ」とも呼ばれ、トナーを収納したトナー収納部に加えて現像ローラ等の構成部材が一体に配置されたユニットの形態を有し、装置をそのまま画像形成装置に装填することでトナー補給が行える様に設計されている。
現像装置20は、現像ローラ21、現像ローラ21の左側に設けられたバッファ室22、バッファ室22に隣接するホッパ23を有する。ホッパ23は前述したトナー収納部に該当するものである。現像ローラ21は、図示しないモータにより図中反時計回り方向に回転駆動され、図示しない画像形成装置に組み込まれた状態にある像担持体と接触または近接する。
バッファ室22には、トナー層規制部材であるブレード24が現像ローラ10に圧接させた状態で配置されている。ここで、ブレード24はトナーの層厚を規制するとともに、現像ローラ上に担持されたトナーを荷電する帯電付与部材として機能するものである。また、現像ローラ10には供給ローラ26が押圧されている。供給ローラ26は、図示しないモータにより現像ローラ10と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動することにより、現像ローラ10表面にトナー供給を行う。供給ローラ26は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層を有する。
トナー層規制部材であるブレード24は、現像ローラ10上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。また、現像ローラ10の回転方向に対してブレード24の下流側に、現像ローラ10上でのトナーの帯電量や付着量の規制を補助する補助ブレード25をさらに設けることも可能である。
帯電付与部材としても機能するブレード24は、現像ローラ上でトナーの均一な薄層を形成するとともにトナーの摩擦帯電を行う。ブレード24は、ある程度の弾性を有する部材で作製され、現像ローラに当接することにより現像ローラ上にトナーの薄層を形成する。トナー層規制部材であるブレード24は、ステンレスやリン青銅をそのまま使用する他に、これらの表面にウレタン樹脂やエポキシ樹脂をコーティングしたものや、シリカやチタン酸化合物等の無機化合物をゾルゲル法等によりコーティングしたものが使用できる。また、シリコンゴムやウレタンゴム等のJIS Aに規定される硬度が40°〜90°の弾性材料も使用できる。
現像ローラ上に形成されたトナーの薄層は、トナー粒子が最大で10個分、好ましくは5個分以下の厚さを有するものである。具体的には、静電潜像担持体11の周速を100mm/sec、現像ローラ10の周速を200mm/sec、トナー規制部材24の現像ローラ10への押圧力を10〜100N/mとしたとき、トナー粒子約1.5個分の厚みの層を形成することができる。
また、ブレード24の現像ローラへの当接力は、100mN/cm〜5N/cmが好ましく、200mN/cm〜4N/cmが特に好ましい。当接力をこの範囲内にすることにより、搬送ムラを起こさずにトナー搬送が行えるので、白スジ等の画像不良の発生が回避される。また、当接力を上記範囲とすることにより、トナーを変形、破砕させずに現像ローラ上でトナー層を形成し摩擦帯電を行うことができる。
この様に、現像装置20では、現像ローラ10とトナー層規制部材であるブレード24とがそれぞれ当接する様に配置され、トナー層規制部材により現像ローラ上にトナーの薄層が形成される。そして、現像ローラ上に薄層化され、かつ、摩擦帯電したトナーは像担持体上に供給されることにより、像担持体上に形成された静電潜像を可視画像化できる。
現像装置20を構成するホッパ23には、一成分現像剤であるトナーTが収納されている。また、ホッパ23にはトナーTを撹拌する回転体27が設けられている。回転体27には、フィルム状の搬送羽根が取り付けられており、回転体27の矢印方向への回転によりトナーTを搬送する。搬送羽根により搬送されたトナーTは、ホッパ23とバッファ室22を隔てる隔壁に設けられた通路28を介してバッファ室22に供給される。なお、搬送羽根の形状は、回転体27の回転に伴い羽根の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓むとともに、通路28の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻る様になっている。この様に羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻る様にすることでトナーTを通路28に供給する。
また、通路28には通路28を閉鎖する弁281が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路28右側面上側に固定され、トナーTがホッパ23から通路28に供給されると、トナーTからの押圧力により右側に押されて通路28を開ける様になっている。その結果、バッファ室22内にトナーTが供給される。
また、弁281の他端には規制部材282が取り付けられている。規制部材282と供給ローラ26は、弁281が通路28を閉鎖した状態でもわずかな隙間を形成する様に配置される。規制部材282は、バッファ室22の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ10から供給ローラ26に回収されたトナーTがバッファ室22の底部に多量に落下しない様に調整される。
現像装置20では、画像形成時に現像ローラ10が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ26の回転によりバッファ室22のトナーが現像ローラ10上に供給される。現像ローラ10上に供給されたトナーTは、ブレード24、補助ブレード25により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ10の回転に伴ってバッファ室22に戻り、供給ローラ26により現像ローラ10から掻き取られ回収される。
また、現像装置20に設けられる現像バイアス電源装置29は、現像バイアス電圧Vbの設定値(たとえば500V程度)を出力する直流電圧電源と交番電界(たとえばVppが2.0kV、周波数2kHz)を形成する交流電源装置より構成される。なお、「Vpp」とは、交番電圧波形の振幅の山と谷の差であるピーク・トゥー・ピーク電圧を示す。
画像形成時、静電潜像担持体11が、帯電装置(図示せず)によりたとえば800V程度の電位に一様に帯電され、その後、所定部分がレーザ等の光学ヘッドにより露光されると、たとえば100V程度の電位に減衰されて静電潜像が形成される。
現像領域では、現像バイアス電源装置29から印加される現像バイアス電圧Vbと交番電圧により形成される電界の作用により、現像ローラ10上で薄層形成していたトナーが現像ローラ10周面から飛翔してパウダクラウド化する。そして、静電潜像が形成されている静電潜像担持体上にトナーが供給されて静電潜像は現像されトナー像が形成される。
本発明に係る画像形成方法に使用可能な記録材(転写紙)は、画像支持体あるいは画像形成支持体等とも呼ばれるトナー画像を保持することが可能な支持体である。具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙などの塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種支持体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、下記文中に記載の「部」は「質量部」を表すものである。
1.「ピランスロン化合物」の作製
(1)臭素原子数が1〜6の「ピランスロン化合物1〜6」の合成
前述したピランスロン化合物の合成方法の手順に基づいて反応を行うことにより、臭素原子を4個結合してなる構造のものを含有するピランスロン化合物を作製した。すなわち、8,16−ピランスレンジオン5.0質量部とヨウ素0.25質量部をクロロ硫酸50質量部に溶解させておき、これに臭素5.9質量部を滴下する。
滴下終了後、反応系を70℃に昇温させた後、5時間の加熱撹拌を行って反応処理を行う。5時間の反応処理を終了後、反応系を室温まで冷却した後、さらに500質量部の氷に反応系を投入する。氷を反応系に投入後、ろ過処理を行い、さらに、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した後、乾燥処理を施した。以上の手順により臭素原子を4個結合してなる構造の「ピランスロン化合物4」を合成した。
また、前述の反応工程で臭素の添加量を1.5質量部に変更した他は同様の手順で処理を行うことにより、臭素原子が1個結合した構造の「ピランスロン化合物1」を合成した。同様に、前述の反応工程で臭素の添加量を、2.9質量部、4.5質量部、7.5質量部、9.0質量部に変更した他は同様の手順で処理を行って、臭素原子が2個、3個、5個及び6個結合した構造の「ピランスロン化合物2、3、5、6」をそれぞれ合成した。
(2)「ピランスロン化合物4」の精製処理
前述の多段昇華精製法により、上記臭素原子を4個結合した構造の「ピランスロン化合物4」を精製処理した。具体的には、前述した「精製例1」に記載の3段階の昇華精製処理に加えて第4段階の昇華精製処理を行ったもので、第1段階〜第3段階の昇華精製処理は「精製例1」に記載の手順で行い、第4段階の昇華精製は以下の手順で行った。
すなわち、第4段階として、昇華装置のチャンバを1×10−2Paに減圧し、この減圧状態の下で、るつぼの温度を510℃に上昇させた後、1時間加熱処理を行う。その後、加熱を停止して冷却を開始し、るつぼの温度が200℃以下になったら、チャンバ内の圧力を大気圧に戻す。この様にして第4段階の昇華精製を行う。
ここで、第1段階の精製処理のみ行ったものを「ピランスロン化合物41」、第2段階の精製処理まで行ったものを「ピランスロン化合物42」、第3段階の精製処理まで行ったものを「ピランスロン化合物43」、第4段階の精製処理まで行ったものを「ピランスロン化合物44」とした。この様に、「ピランスロン化合物41〜44」の作製では、多段昇華回数のコントロールにより「ピランスロン化合物」の電荷発生性能をコントロールすることを意識したのである。
(3)「ピランスロン化合物1、3、6」の精製処理
前述の分別昇華精製法により、前記臭素原子を1個結合した構造の「ピランスロン化合物1」と臭素原子を3個結合した構造の「ピランスロン化合物3」、臭素原子を6個結合した構造の「ピランスロン化合物6」を精製処理した。具体的には、前述した「精製例2」に記載の手順にしたがって行ったもので、ガラスチューブ内を約1×10−2Paに減圧した後、「ピランスロン化合物1と3」はガラスチューブを480℃に加熱する位置に置いて処理を行った。なお、「ピランスロン化合物6」はガラスチューブを500℃に加熱する位置に置いて処理を行った。以上の手順で精製処理を行ったものを「ピランスロン化合物11、31、61」とした。
(4)「ピランスロン化合物2、5」の精製処理
前述の高沸点溶媒中での加熱処理精製法により、前記臭素原子を2個結合した構造の「ピランスロン化合物2」と臭素原子を5個結合した構造の「ピランスロン化合物5」を精製処理した。具体的には、前述した「精製例3」に記載の手順にしたがって行ったもので、以上の手順で精製処理したものを「ピランスロン化合物21、51」とした。
また、前記「ピランスロン化合物2、5」に、多段昇華精製法である「精製例1」で第2段階までの昇華精製処理を施した。この方法で精製処理したものを「ピランスロン化合物22、52」とした。
以上の手順により、評価用のピランスロン化合物を作製した。
(5)臭素原子数の異なるピランスロン化合物混合物の調製
また、臭素原子数の異なるピランスロン化合物を調製するため、上述したピランスロン化合物のうち、臭素原子数が3と4のピランスロン化合物をそれぞれ等量用意して臭素原子数の異なるピランスロン化合物よりなる混合物を用意した。このうち、精製処理を行わないものを「ピランスロン化合物34」とし、前記「ピランスロン化合物2、5」の精製処理と同様、前述の高沸点溶媒中での加熱処理精製を施したものを「ピランスロン化合物341」とした。さらに、前述の多段昇華精製法である「精製例1」で第2段階までの昇華精製処理を施したものを「ピランスロン化合物342」とした。
2.「ピランスロン化合物」の熱重量分析評価
前述した「示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)」を用いて上記各「ピランスロン化合物」の熱重量分析を行って、昇温開始温度より任意の温度までの質量減少率D1、昇温開始温度より熱重量分析終了温度までの質量減少率D2、両質量減少率の差ΔDを算出した。
前記熱重量分析は、昇温開始温度を50℃、熱重量分析途中の任意の温度を450℃、熱重量分析終了温度を550℃にそれぞれ設定し、以下の手順で測定した。すなわち、
(1)試料5mgを秤量し、流速200ml/分の窒素気流雰囲気下に設定されている前記測定装置内の所定個所にセットする。
(2)試料をセットした個所(以下、測定系内という)を加温して50℃にする。
(3)測定系内の温度が50℃になったら昇温開始する。昇温速度は昇温開始温度50℃から350℃までは50℃/分、350℃から熱重量分析終了温度550℃までは10℃/分で行う。
(4)測定系内の温度が550℃になったら昇温を停止して測定系内の温度が30℃になるまで冷却する。冷却速度はたとえば1000℃/分にする。
なお、50℃より450℃までの間の質量減少率D1、50℃より550℃までの間の質量減少率D2、及び、2つの質量減少率の差ΔD(=|D1−D2|)は、前記測定装置に内蔵される制御装置による演算処理で自動算出される。
上記手順により算出された各「ピランスロン化合物」のD1(50℃より450℃までの間の質量減少率)、D2(50℃より550℃までの間の質量減少率)、ΔD(=|D1−D2|)を表1に示す。
Figure 2010261740
表1に示す様に、前記「ピランスロン化合物」のうち、前述した昇華精製法のいずれかで処理したものは、ΔDが75%〜98%の範囲内の値になった。一方、昇華精製法による処理を行わなかったものは、いずれも75%よりも小さな値になった。この様に、昇華精製処理を行ったピランスロン化合物は、質量減少率の差ΔDが本発明で規定する範囲内にあることが確認され、昇華精製処理回数の多い等の精製処理の細かいものほど質量減少率の差ΔDが大きくなることが確認された。
3.「感光体1〜20」の作製
以下の手順により、円筒状支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成した積層構造の「感光体1〜20」を作製した。
先ず、円筒形状のアルミニウム支持体表面を切削加工して、十点表面粗さが1.5μmの導電性支持体を用意した。
〈下引き層の形成〉
上記導電性支持体上に、下記成分よりなる下引き層形成用塗布液を浸漬塗布法で塗布し、120℃の温度で30分間乾燥処理することで、乾燥膜厚が1.0μmの下引き層を形成した。なお、下記下引き層塗布液は、下記手順で調液を行った後、調液時に用いた混合溶媒と同じ混合溶媒で2倍に希釈し、一昼夜静置した後、ろ過を行って作製したものである。ろ過は、フィルタに公称濾過精度が5μmの「リジメッシュフィルタ(日本ポール社製)」を用い、50kPaの圧力の下で行ったものである。
バインダ樹脂(下記構造のポリアミド樹脂) 1.0質量部
Figure 2010261740
ルチル形酸化チタン(1次粒径35nm、;メチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンとの共重合体(モル比1:1)を用い、酸化チタン全質量の5質量%の量で表面処理したもの) 3.5質量部
エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン混合液(質量比;45/20/30) 10.0質量部
上記成分を混合後、サンドミル分散機を用いて10時間、バッチ式の分散処理を行って分散液を作製した後、上述した手順で中間層塗布液を作製した。
〈電荷発生層の作製〉
電荷発生物質(ピランスロン化合物) 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1(積水化学社製)」
12質量部
2−ブタノン/シクロヘキサノン混合液(体積比;4/1) 300質量部
上記化合物を用いて電荷発生層形成用塗布液を調製した。電荷発生物質は前述した各「ピランスロン化合物」を用い、上記組成物を混合後、サンドミル分散機を用いて分散処理することにより各「ピランスロン化合物」を電荷発生物質として含有してなる電荷発生層形成用塗布液を調製した。なお、各電荷発生層形成用塗布液に使用したピランスロン化合物は後述する表2に示すとおりである。
この様な手順で調製した塗布液を浸漬塗布法により、乾燥時の膜厚が0.5μmとなる様に、前記下引き層上に塗布して電荷発生層を形成した。
また、本発明者は、前述した各「ピランスロン化合物」を電荷発生物質に用いた上記組成の「電荷発生層形成用塗布液」における電荷発生物質の分散安定性を評価するため、当該塗布液を常温室湿環境下に1ヶ月間放置して析出物の発生状況を評価した。
〈電荷輸送層の作製〉
電荷輸送物質(下記構造式のCTM−1) 225質量部
ポリカーボネート「Z300(三菱ガス化学社製)」 300質量部
酸化防止剤「Irganox1010(日本チバガイギー社製)」 6質量部
テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 2000質量部
シリコンオイル「KF−54(信越化学社製)」 1質量部
上記化合物を用いて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。すなわち、上記化合物を混合後、サンドミル分散機を用いて分散処理を行うことにより電荷輸送層形成用塗布液を調製した。上記電荷輸送層形成用塗布液に使用した電荷輸送物質(CTM−1)は、以下に示す構造を有するものである。
Figure 2010261740
以上の手順で調製した電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により、乾燥時の膜厚が20μmとなる様に前記電荷発生層上に塗布して電荷輸送層を形成した。
以上の手順により、後述する表2に示す「感光体1〜20」を作製した。なお、上記「感光体1〜20」は、前記円筒形状のアルミニウム支持体を用いたものの他に、後述する「EPA−8100」による感度評価等用にアルミニウムを蒸着させたポリエチレンテレフタレートフィルム上に前述の層を形成したシート状の感光体も用意した。
なお、上記「感光体1〜20」を作製する際の各電荷発生層形成用塗布液は、後述する「評価その1(電荷発生層形成用塗布液の安定性評価)」で1ヶ月間放置したものもので、1ヶ月間の放置により電荷発生物質が沈降し、そのままでは塗布が行えなくなったものについては再度分散処理を施してから塗布を行い、電荷発生層を形成した。
4.「トナーK(黒色現像剤)」の作製
(1)「樹脂粒子分散液1」の作製
撹拌装置を取り付けたフラスコに下記化合物を投入、溶解させて混合液を作製し、さらに80℃に加温した。
ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル 72質量部
スチレン 115質量部
n−ブチルアクリレート 42質量部
メタクリル酸 11質量部
一方、撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)7.08質量部をイオン交換水2760質量部に溶解させた界面活性剤溶液を投入し、窒素気流下で撹拌速度230rpmで撹拌しながら80℃に昇温させた。次いで、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック(株)製)」により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に前記混合液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)が分散された乳化液を調製した。
この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱・撹拌して重合反応を行った。得られた反応溶液に、重合開始剤(KPS)7.73質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた溶液を添加し、15分後に温度を80℃とした後、下記化合物よりなる混合液を100分間かけて滴下した。
スチレン 384質量部
n−ブチルアクリレート 140質量部
メタクリル酸 36質量部
n−オクチルメルカプタン 12質量部
この系を80℃で60分間にわたり加熱、撹拌させた後、40℃まで冷却することにより、ワックスを含有する樹脂粒子分散液(以下、「ラテックス(1)」という。)を作製した。
(2)「着色剤粒子分散液K」の作製
n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」20質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、「着色剤粒子分散液K」を調製した。「着色剤分散液K」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)で測定したところ、重量平均粒子径で120nmであった。
(3)「着色粒子K」の作製
温度センサ、冷却管、撹拌装置(撹拌翼を2枚有し、交差角が20°)、形状モニタリング装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂粒子分散液(1)」 1250質量部(固形分換算)
イオン交換水 2000質量部
「着色剤粒子分散液K」 全量
を投入し、内温を25℃に調整後、これら粒子分散液混合溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.0に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物52.6質量部をイオン交換水72質量部に溶解した水溶液を、撹拌下25℃にて10分間かけて添加して、前記粒子の凝集を開始させた。その後、直ちに昇温を開始し、この系を5分間かけて95℃まで昇温(昇温速度14℃/分)させて凝集と融着を同時に行える様にした。
この状態で「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム115質量部をイオン交換水700質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、液温度90℃にて8時間にわたり加熱撹拌(撹拌回転数120rpm)を行って融着を継続させて熟成処理した後、この系を10℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを3.0に調整し、撹拌を停止した。
生成した粒子をろ過し、イオン交換水で繰り返し洗浄して遠心分離装置によって液中分級処理し、その後、フラッシュジェットドライヤを用いて乾燥処理して含水率1.0質量%の「着色粒子K」を生成した。
(4)「トナーK」の作製
上記「着色粒子K」に、数平均一次粒子径が12nm、疎水化度が65の疎水性シリカを0.8質量部、数平均一次粒子径が30nm、疎水化度が55の疎水性チタニアを0.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナーK」を作製した。なお、作製した「トナーK」は、体積基準メディアン径(D50)が6.5μmのものであった。
さらに、上記「トナーK」に、シリコーン樹脂を被覆してなる体積基準メディアン径(D50)が45μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の黒色現像剤を調製した。
5.評価実験
下記「評価その1〜その3」により、前記「感光体1〜20」の性能を評価した。ここで、電荷発生物質として使用された有機化合物が、前述した熱重量分析で質量変化率の差が本発明で規定する範囲内のものを用いて評価したものを「実施例1〜19」、本発明で規定する範囲から外れるものを用いて評価したものを「比較例1〜10」とした。
(1)評価その1(電荷発生層形成用塗布液の安定性評価)
前述した手順で作製した電荷発生層形成用塗布液、すなわち、前記手順で作製した各「ピランスロン化合物」を含有してなる前記電荷発生層形成用塗布液を常温常湿環境下(温度20℃、相対湿度55%RH)で1ヶ月間放置して分散物の沈降(液沈降)の有無を目視で観察するとともに製膜性の評価を行った。電荷発生物質の沈降がみられず、かつ、1ヶ月間放置した塗布液でそのまま塗布が行えたものを合格、電荷発生物質が沈降して分散処理を再度行わないと塗布が行えなくなったものを不合格とした。
(2)評価その2(感度特性と繰返し特性の評価)
前記「感光体1〜20」の感度特性と繰返し特性を、市販の静電気帯電試験装置「EPA−8100((株)川口電機製作所製)」を用いて以下の手順で評価した。
〈感度特性〉
感光体の表面電位を−700Vになるようにコロナ帯電器で帯電し、次いで、モノクロメータで分離した350nmの単色光で露光し、表面電位が−350Vまで減衰するのに必要な光量を測定し、感度(E1/2)を求めた。
同様に、450nm、500nmの単色光における感度も測定した。
〈繰返し特性〉
次に、初期暗部電位(Vd)及び初期明部電位(Vl)をそれぞれ−700V、−200V付近に設定し、450nmの単色光を用いて帯電、露光を1万回繰り返し、Vd、Vlの変動量(ΔVd、ΔVl)を測定した。
(3)評価その3(短波長露光により形成される画像の画質評価)
基本的に図2の構成を有する市販のデジタルモノクロプリンタ「Di351(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」の改造機に、前記「感光体1〜20」と前述した「黒色現像剤」を搭載し、かつ、露光光波長を表3に示す値に設定して短波長レーザ光による露光を行ってプリント作成を行うことにより、形成画像の画質と感光体の耐久性を評価した。各プリント作成条件の下でA4版上質紙(64g/m)を用いて15000枚にわたる間欠プリント作成を行って評価した。
ここで、間欠プリント作成とは、作成中のプリントが排紙トレイ上に搬送されたら次のプリント作成を行う様に設定したものである。前記プリント作成は、常温常湿環境(20℃、55%RH)下で行い、約40枚目付近及び約15000枚目付近で出力したプリント物を用いて画像評価と耐久性評価を行った。なお、上記短波長レーザ光の露光手段として、縦方向及び横方向それぞれに3本のレーザビーム発光点を有してなる面発光レーザアレイを用いた。また、現像バイアスは直流バイアスと交流バイアスを重畳して形成したもので、現像バイアスの条件は、Vdc=−500V、Vacp−p=1.0kV、Fac=5kHzとした。また、評価用プリントを作成する際には下記に示す様に主査方向の露光径を設定してプリント作成を行った。
画像評価は、ドット画像再現性、細線再現性を評価した。なお、完結プリントで出力した画像は、細線画像(8本/mm、6本/mm、4本/mm)、ハーフトーン画像(画素濃度0.80)、白地画像、ベタ画像(画素濃度1.30)がそれぞれ1/4等分にあるA4サイズの画像(画素率に換算して7%)のものである。
〈ドット再現性〉
プリント作成中、40枚目付近及び15000枚目付近になったとき、レーザ光の露光径を変化させてプリント作成を行い、作成プリント上のハーフトーン画像を構成するドットの独立性を倍率10倍のルーペで観察して評価を行った。具体的には、書込み主査方向の露光径を10μm、21μm、50μmに変更してプリント作成を行い、38枚目と14998枚目を10μm、39枚目と14999枚目を21μm、40枚目と15000枚目を50μmに設定した。なお、露光径10μmは約2500dpiのドット数(画像書き込み密度)、21μmは約1200dpiのドット数(画像書き込み密度)、50μmは約500dpiのドット数(画像書き込み密度)に該当するものである。観察結果を下記ランクと照合させて評価を行い、ランクA〜Cを合格とした。
ランクA:10μm(2500dpi相当)、21μm(1200dpi相当)、50μm(500dpi相当)ともに、ハーフトーン画像を構成する各ドットが独立して形成されていることが確認され、非常に良好な高画質特性が得られた
ランクB:50μm(500dpi相当)と21μm(1200dpi相当)のハーフトーン画像では明瞭なドット独立性が確認できたが、10μm(2500dpi相当)のハーフトーン画像は各ドットの独立性が不十分な個所(ドット端部の交錯)がわずかにみられたが問題なしと判断した
ランクC:50μm(500dpi相当)のハーフトーン画像ではドット独立性が明瞭に確認されたが、21μm(1200dpi相当)と10μm(2500dpi相当)のハーフトーン画像上に各ドットの独立性が不十分な個所(ドット端部の交錯)が若干みられたが実用上問題なしと判断した
ランクD:50μm(500dpi相当)のハーフトーン画像も各ドットの独立性が不十分になっていた。
〈細線再現性〉
細線再現性は、39枚目と14999枚目のプリント物上に作成された細線画像で評価した。倍率10倍のルーペを用いて細線部を拡大し、1mm中に確認される細線数を目視で評価した。具体的には、前述した様に細線画像は、8本/mm、6本/mm、4本/mmの3種類の細線画像よりなり、各細線画像を構成する細線上にかすれや膨らみの発生があるものを不良品として判断した。6本/mm以上を合格とした。
上記評価実験の結果を表2と表3に示す。「評価その1、その2」の結果は表2に、「評価その3」の結果を表3に示す。
Figure 2010261740
Figure 2010261740
表2と表3に示す様に、前述した質量変化率の差が本発明で規定する範囲内にある有機化合物を含有する感光体を用いた「実施例1〜19」は、いずれも良好な感度特性を示し、1万5千枚の間欠プリント後も安定したドット画像再現性と細線再現性が得られた。一方、質量変化率の差が本発明で規定する範囲から外れる有機化合物を含有する感光体を用いた「比較例1〜10」は感度特性及びプリント画質とも良好な結果は得られなかった。
この様に、本発明に係る有機化合物の評価方法により、電荷発生物質として使用可能な有機化合物の判定が行えるものであることが、上記実施例の結果からも確認することができた。また、昇華精製処理回数を多くした等の精製処理を細かく行ったものほど良好な画像形成性能、すなわち、高い電荷発生性能を発現できる様になることが確認され、昇華処理のコントロールにより当該有機化合物の電荷発生性能の制御が可能になることが確認できた。
15(15Y、15M、15C、15Bk) 電子写真感光体
20(20Y、20M、20C、20Bk) 現像装置
21 現像ローラ
24 ブレード(トナー層規制部材、帯電付与部材)
4 中間転写体ユニット
40 中間転写ベルト
41Y、41M、41C、41Bk 1次転写ロール
43A、43B 2次転写ロール
50(50Y、50M、50C、50Bk) クリーナ(クリーニング装置)
60 給紙装置
70 定着装置
D 有機化合物の質量減少率
D1 昇温開始温度より任意の温度に到達するまでの間における質量減少率
D2 昇温開始温度より熱重量分析終了温度に到達するまでの間における質量減少率
ΔD 質量減少率D1とD2の差
M 有機化合物の質量
Ms 昇温開始温度における有機化合物の質量
Mt 任意の温度における有機化合物の質量
Me 熱重量分析終了温度における残存物の質量
T 加熱温度
Ts 昇温開始温度
Tt 任意の温度
Te 熱重量分析終了温度

Claims (5)

  1. 電子写真方式の画像形成に使用される有機感光体に電荷発生物質として使用される有機化合物の純度を評価する有機化合物の評価方法であって、
    前記有機化合物を熱重量分析したときに、
    昇温開始より任意の温度に到達するまでの間における前記有機化合物の質量減少率と、
    昇温開始より熱重量分析終了温度に到達するまでの間における前記有機化合物の質量減少率との差が、
    75%以上98%以下となるものを、電荷発生物質として使用可能な有機化合物と判定することを特徴とする有機化合物の評価方法。
  2. 前記評価方法により評価を行う有機化合物が、下記一般式(1)で表されるピランスロン化合物であって、
    前記任意の温度が450℃であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物の評価方法。
    Figure 2010261740
    (一般式(1)中、nは1〜6の整数を表す。)
  3. 導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体であって、
    前記感光層には、少なくとも、請求項1または2に記載の有機化合物の評価方法により電荷発生物質として使用可能と判定された有機化合物が含有されていることを特徴とする電子写真感光体。
  4. 発振波長が350nm以上500nm以下で、書込みの主査方向の露光径が10μm以上50μmの露光手段を用いて、請求項3に記載の電子写真感光体上に露光を行うことを特徴とする画像形成方法。
  5. 前記露光手段として、縦横それぞれ3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを用いて、前記電子写真感光体上に露光を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
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