JP2010261236A - 地盤改良工法 - Google Patents

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
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Abstract

【課題】既設構造物の支持基礎に対して所要拠点に独立して薬液注入し、構造物の支持基盤下の土壌中要所に固結構造体を形成して地盤の局部的圧密度を高め、地耐力を向上させて合理的に構造物を安定支持させる。
【解決手段】構造物の基盤1の下側基礎土壌中に、所要位置にて薬液注入ロッド3を挿入設置し、その薬液注入ロッド3によって前記基盤1による荷重を載荷重としてかけつつ瞬結性薬液材を断続的に圧入操作し、先に注入されて固化されつつある固結体20aのホモゲル部を後続圧入される薬液材により割裂させ、前記固結体20aの周辺土壌中に薬液材を浸入させて、さらに割裂および/または浸透を繰返し、前記基盤1の下側に薬液材と土粒とによる固結構造体20を独立して形成し、この固結構造体20によって基礎土壌を圧密して地耐力を強化させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、構造物の支持基盤下土壌に所要の配分で独立して薬液注入材を注入し、前記土壌の要所における圧密度を高め、支持基盤に対する地耐力を強化して地盤が安定できるようにする地盤改良工法に関するものである。
構造物を支持する基礎の土壌を強化する手段としては、土壌中に薬液を注入して圧密度を高め軟弱地盤を強化するほか、土壌の液状化による地盤の不等沈下などを予防するのに薬液注入工法が採用されている。この薬液注入工法は、公知の薬液材を公知構造の薬液注入ロッドでもって土壌中に圧入して注入薬液材と土壌中の砂粒との結合によって広い範囲で土壌の圧密度を高め、地盤を改良するものであり、このような薬液注入による地盤改良に関しては、たとえば特許文献1で知られている。
また、不等沈下した地盤上で傾いた構造物を復元するのに薬液注入工法を応用した工法として、例えば特許文献2によって知られる工法(復元工法)がある。この復元工法では、構造物の基礎下部の土壌中に薬液注入ロッドを所要間隔で複数箇所に挿入配設し、その薬液注入ロッドによる薬液注入箇所で瞬結性の薬液材を注入する操作を、ある薬液注入箇所から次の薬液注入箇所へと所要のインターバルで順次切換えてこの注入操作を繰返し行い、各注入箇所において先に注入された薬液材のホモゲル部を割裂させ、さらに前記ホモゲル部の周辺の土壌中に薬液材を圧入させて拡大される固結構造体を形成することにより反力を増大させ、地耐力を高めて基盤上にある構造物を押し上げ、傾斜した構造物を正常に復元させるようにすることにある。また、前記要領で実施する薬液注入工法において、注入する薬液注入材に複数種のゲル化タイムの異なる薬液材を用い、前記要領で薬液注入箇所を巡るごとにこれらゲル化タイムの異なる薬液材を交互に切換えて注入操作を行う工法が、特許文献3によって知られている。
しかしながら、前記特許文献1によって知られる薬液注入工法では、構造物の建設前に施工する基礎地盤の改良工法であり、構造物の基礎となる土壌中に薬液材を分散浸透させて凝結させるものであるから、地質によるが土壌を圧密させて強化するには多量の薬液材を注入する必要がある。そして、この改良工法は、一般的に構造物の建築前に施工するものであり、建設後における建造物の支持地盤の強化安定手段としては作業の自在性が損なわれるという問題がある。したがって、十分な強化機能が発揮され難く、コストアップになって経済性が損なわれるなどの問題があった。
また、前記特許文献2,3によって知られる構造物の復元工法における薬液の注入手段では、地盤上の構造物に対する持上げ力を確保することに注力されているので多点注入になり、建造物を基礎もろともに持上げる操作になるので、どうしても薬液材の注入量も多くなり、一般的な地盤の強化改良を行うのに不適切である場合が多いという問題がある。
特許第3418069号公報 特許第3126896号公報 特許第3653305号公報
本発明により解決しようとする問題点は、既設構造物の支持基礎に対して所要拠点に独立して薬液注入し、構造物の負荷を利用して支持基盤下の土壌中要所に順次前記負荷と平衡するように固結構造体を形成して地盤の局部的圧密度を高めることにより地耐力を向上させ、合理的に構造物を安定支持させ得る地盤改良工法を目的とすることにある。
前記目的を達成するために、本発明の地盤改良工法は、
構造物の基盤下基礎土壌中に、所要位置にて薬液注入ロッドを挿入設置し、その薬液注入ロッドによって前記基盤による荷重を載荷重としてかけつつ瞬結性薬液材を断続的に圧入操作し、先に注入されて固化されつつある固結体のホモゲル部を後続圧入される薬液材により割裂させ、前記固結体の周辺土壌中に薬液材を浸入させて、さらに割裂および/または浸透を繰返し、前記基盤下に薬液材と土粒とによる固結構造体を独立して形成し、この固結構造体によって基礎土壌を圧密して地耐力を強化させることを特徴とするものである。
前記発明における前記薬液注入ロッドの設置位置は、地盤における構造物の基盤形成投影面に対して、前記構造物による荷重作用中心を通る線上で載荷重が大きく付勢される方向に偏った位置で造成される前記固結構造体が相互に干渉しない間隔をおいて設けるようにし、複数箇所に薬液注入位置を変えて順次薬液材の注入を行うようにするのがよい。したがって、構造物の基盤が「べた基礎」である場合には、その投影面積に応じて複数区分に配分し、その区分された区画ごとに配置して前記載荷重が薬液注入部に作用するようにし、薬液注入ロッドに対して所要のインターバルで薬液材を供給して注入するのが好ましい。
また、前記薬液注入ロッドの設置位置が、前記構造物の基盤が帯状の基礎(布基礎)である場合には、基盤下中心線上位置に吐出口を向けて前記薬液注入ロッドを所要の間隔で複数箇所に設置し、その配置される各薬液注入ロッドに対して所要のインターバルで薬液材を供給して注入するのが好ましい。さらに、前記構造物の基盤が独立している場合は、必要とするその独立基盤ごとに、その基盤下中心部に吐出口を向けて薬液注入ロッドを設置し、その配置される薬液注入ロッドに対して所要のインターバルで薬液材を供給して注入するのが好ましい。
さらにまた、前記薬液注入操作に加えて基盤から地中深く掘削して、金属棒にてなるアンカーを所要の間隔で基盤面積に応じた配分にて複数本打ち込み、これらアンカーにて薬液注入箇所への載荷重を付勢するのが好ましい。こうすると、固結構造体による土壌の圧密効果を一層高めることができる。
本発明の地盤改良工法によれば、構築された構造物の基盤に対応して前記構造物の負荷による偏荷重と平衡させつつ土壌中に瞬結性の薬液材を断続的に注入することにより、基盤下の所要位置で薬液材と土粒との結合による固結構造体を造成し、前記偏荷重に対応する支持力を得て、この操作を前記基盤に対応した複数箇所で順次行うことにより基礎地盤全体の平衡した土壌の圧密・強化を図り、構造物に対応した地耐力で安定した地盤を形成することができる。
しかも、構造物の基盤に対応して基礎下土壌中の要所にのみ薬液注入して固結構造体を造成して地耐力を高める工法であるから、過度に薬液材を使用せず経済効果をも高めることができるのである。
図1は本発明による地盤改良工法の一実施形態を模式的に表わす図 図2は薬液注入操作時における一形態を一部を拡大して模式的に表わす図 図3は方形の構造物の基盤に対し複数区分して薬液材注入位置を設定するの一実施形態を表わす平面図で、(a)は配分した注入区画を表わし、(b)〜(g)は各注入区分での態様を表わす図 図4は本発明による地盤改良工法の他の実施形態を模式的に表わす立面図(a)と平面図(b) 図5は基盤にアンカーを付加して薬液材注入を行う態様を表わす模式図
次に、本発明の地盤改良工法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本発明の地盤改良工法は、基本的にすでに構築された構造物の基盤1の下側における地盤2(土壌)を強化するものであり、その基本的操作として地盤2に作用する構造物の荷重作用中心から離れた(偏心した)複数位置に薬液材注入位置を分担設定して注入時における載荷重を高めた状態で、一義的に瞬結性の薬液材の注入を行って土壌中に固結構造体を造成し、この操作を複数箇所で順次行って支持力を得ると同時に地盤の圧密度を高めることにある。
この実施形態では、図3(a)に例示するように、構造物の基盤1の投影面形状に対応した配分で複数に区分して分担区画を決め(この実施形態では6分割に区分している)、各区画の中央位置に薬液材注入位置を設定し、選択された順序で一区画ごとに薬液材を断続して注入操作を行い、以後この操作を順次他の区画に移動して施工するものである。図1に示されるのは、構造物の基盤下の所要箇所に薬液材を注入する実施形態を表わしている。
この際、前記構造物の基盤1がいわゆる「べた基礎」の場合は、その平面形状等によるが前記図3(a)で示されるように方形であるとすれば、その四隅部と所要長辺における中間部の少なくとも1箇所に薬液材注入位置を設定する。もちろん、周辺で取り囲まれる内側にも必要に応じて薬液材注入位置が配置される。これら薬液材注入位置は、注入される薬液材によって造成される固結構造体20が独立して形成されるように配分することが好ましい。なお、前記内側の注入位置については、構造物の基盤1の投影面形状に応じて選択される。
使用される薬液注入ロッド3としては、公知の二重管構造のロッドが使用される。そして、この各薬液注入ロッド3には薬液供給ユニット10の給液タンク11,12から高圧ポンプ13,13′によって開閉弁14,14′を介してA液とB液とが供給されるように供給管15,16(たとえばホース)が配管される。なお、前記高圧ポンプ13,13′から複数箇所に薬液注入ロッド3を設ける場合、その各薬液注入ロッド3への配管中には切換弁(図示省略)を設け、その切換弁・開閉弁を制御手段(図示せず)にて操作して自動的に薬液の供給を切換るようにすることができる。
一方、前記薬液注入ロッド3により注入する薬液材は、瞬結性の薬液材が使用され、たとえばA液としては硫酸(75%),珪酸ソーダ(5号)と水とが、ほぼ6:34:60の割合のものを200リットル、B液としてはカルシウムアルミノシリケートと消石灰とセメントと重炭酸ナトリウムおよび水とが、10:10:75:3:残量の割合のもの200リットルとし、そのA液とB液とが1:1の割合で混合注入されてゲル化タイム約1〜3secのグラウトが用いられる。なお、この薬剤の成分については、上記成分に特定されるものではなく、ゲル化タイムを変えるとともに結合強度を維持できるに適した成分のものを採用することができる。
このような薬液材は、薬液供給ユニット10のA液,B液各1台の高圧ポンプ13,13′によって高圧力で10〜20リットル/min程度の吐出量にて各薬液注入ロッド3に順次もしくは選択的に供給する。注入圧力については、土壌が砂質層の場合で比較的注入速度が速い状態では低圧力で注入することができる。また、粘土質の土壌では注入時の抵抗が高まるので注入圧力を高める必要がある。
前記薬液材注入に際しては、所要の圧力で薬液注入を行うと、薬液注入ロッド3の吐出口3aでA液とB液とが混合されて土壌中に圧入される。注入混合された薬液材(A液とB液)は、薬液注入ロッド3の吐出口3aから噴出してゲル化タイムの範囲内で液状に保たれて自由に流動浸透し、土粒との結合で、まず初期段階での固結体20aが形成される。こうして形成される固結体20aの外周部では、先に注入されて土壌中で土砂(土粒)を巻き込んで凝結するが、その固結体20aが強度発現途中であるために容易に脈状割裂し、この割裂部分21から噴出する後続薬液材の一部が土壌中に浸透する。この浸透した薬液材は、当該部分で土粒と混合して凝固し、先に形成された固結体20aの周囲に新たな固結層20bが形成され、固結体20aが増大される(図2の拡大図示部参照)。薬液注入ロッド3からは、所要のインターバルで断続的に薬液材を注入するので、初期の固結体20a内部から周囲に拡張された固結層20b内に圧入され、さらに前述のように新たに形成される固結層の周辺を脈状割裂し、さらにまた周囲の土壌中に拡散される。
こうして注入される薬液材注入位置では、まず、構造物の荷重作用中心位置から離れた分担区画の設定位置、例えば図3(b)に位置A(以下、「第1注入位置」という。)で示す箇所で、その構造物の基盤1を貫通して図1に例示するように薬液注入ロッド3を挿入し、基盤1の下側土壌中に向けて吐出口3aが開口するように設置される。この薬液注入ロッド3には前述の薬液材を供給して土壌中に圧入すると、その薬液注入ロッド3の吐出口3aを中心とした周囲に薬液材が分散浸入し、この薬液材と土粒との結合(凝結)により固結構造体20が造成される。この際、薬液材注入位置の所要範囲に載荷重が大きく作用するようにして、薬液材の注入が行われるようにする。すなわち、地盤2の上層を覆っている構造物の基盤1を載荷盤とみなし、その一端部(薬液材注入位置(第1注入位置)と反対端)を支持点として前記荷重作用中心Pまでの距離Lと前記一端部から前記荷重作用中心Pを通る線上で薬液注入位置(第1注入位置)までの距離L′の比(L:L′)で、分担する荷重を拡大して前記第1注入位置の所要範囲に載荷重が大きく作用するようにする。この結果、造成される固結構造体20の周辺土壌に対する圧密度がより高められる。
この注入操作を行う過程では、図3(b)で模式的に示されるように、基盤1下において前記薬液注入による固結構造体20の形成に伴いフリーの状態にある前記基盤1の支点Q(端部)側で負荷反力が生じ、その基盤1の端部Qに対応する部分の土壌が連動して圧密される。また、この圧密される部分と前記固結構造体20の造成部との間の基盤下部分では、載荷重が前記薬液注入位置(第1注入位置P)を中心とする放射状に中間部分へ次第に減少する態様で分布伝播して付勢される(この態様をハッチングの密度で表わしている)。なお、この薬液材の注入時には、基盤1のレベルを計測しつつ行われ、平衡状態を保ちながら実施される。
前記割裂・浸透作用は、その挙動が施工される地盤の地質によって異なり、たとえば地盤が砂質層である場合、固結体20aのホモゲル部を割裂した薬液材は割裂した固結体20aの周辺土壌中に浸透して砂粒を巻き込んで凝結し、その挙動が間歇的に繰返し行われることにより、その固結体20aが拡大造成される。また、地盤の地質が粘土質層である場合は、薬液材の注入抵抗が高まるので、先に形成された固結体20aのホモゲル部を割裂して周辺の土壌中へ浸入しようとする薬液材が土壌に注入圧を付勢して均衡する状態まで押し広げ、固結体20aを拡大造成するとともに、周囲の土壌を圧縮し、結果的に土壌を圧密する。なお、地質によっては、前記薬液材の挙動について割裂および/または浸透が並行して繰り返され、固結体20aの拡大造成を行うことができる。
このようにして一箇所での薬液注入操作が終了すれば、次に図3(c)で示されるように、前記第1注入位置Pとは平面対称位置の薬液注入位置(第2注入位置P)に薬液注入ロッド3を設置して前記要領で薬液材の注入を行う。この薬液材の注入によって、土壌には前述のように、基盤1の端部を支点Qとして載荷重が作用し、当該位置に固結構造体20が造成されるとともに、周辺土壌の圧密がなされる。
その後においては、図3(d)で示されるように、前記第2注入位置Pと対角位置(第3注入位置P)に薬液注入ロッド3を設置して前記同様に薬液材を注入する。この状態での薬液注入操作では、先に造成された固結構造体20上に載荷盤となる基盤1の支点Q′が位置することになるので、その支点Q′が安定支持されて第3注入位置Pには前記要領で作用する載荷重が有効に機能し、薬液注入による固結構造体20の造成効果を高め得る。次に対称位置となる第4注入位置P(図3(e)参照。)にては、前記第3注入位置Pと同様にして薬液注入操作が行われ、固結構造体20の造成が行われる。
こうして基盤1の四方隅部の下側地盤に固結構造体20が造成された後には、図3(f),(g)で示されるように、前記第1注入位置Pと第3注入位置P、および第2注入位置Pと第4注入位置Pとの各中間位置(第5注入位置Pと第6注入位置P)とにおいて薬液注入操作を行う。この第5および第6注入位置P,Pでは、いずれも構造物の荷重作用中心位置Pと前記第5または第6注入位置P,Pを通る線上で基盤1の対向する側辺部を支点Q″として載荷重が作用することになる。この状態では、すでに第1注入位置Pから第4注入位置Pまでにおいて固結構造体20の造成が行われ、それぞれ固結構造体20の周辺部土壌が圧密強化されているから、各固結構造体20間に生じている前記強化部分より低圧密状態にある土壌に対して薬液注入操作が前述のように行われると、対応する土壌が平衡するまでの範囲で固結構造体20を造成し、周辺部土壌を圧密する。
こうして基盤1の下側土壌中に固結構造体20が造成されると、これらの固結構造体20により、周囲の土壌がその固結構造体20と一体結合され、あるいは土壌が周囲に押し退けられて周辺部での土壌が圧密され、併せて固結構造体20が支持構造体となり、両者の機能によって地盤の地耐力が増強されることになる。したがって、構造物の基盤1の大きさに対応する所要箇所に前記薬液材注入箇所を配分することにより、それぞれの薬液注入ロッド3での薬液材注入操作を望ましいインターバルをとって順次注入作業を実施すると、目的構造物の基礎地盤を強化安定させることができる。
次に、本発明の地盤改良工法を構造物の基礎が帯状の基礎構造、いわゆる布基礎にも適用することができる。この場合には、図4(a)(b)に示すように、その構造物の大きさに対応して基礎部となる支持基盤1Aに沿って造成される固結構造体20が相互に干渉しないよう、所要の間隔をおいて支持基盤1A下の中心線上位置に吐出口3aが向かうようにして土壌に薬液注入ロッド3を複数配設する。
所要間隔で複数配設する薬液注入ロッド3とその各薬液注入ロッド3による基礎土壌中への薬液注入要領は、前述の薬液注入形態と同様に行う。こうして薬液材が注入される各薬液材注入箇所では、薬液材が基盤投影面から食み出さないように注入圧力を加減して注入するのが好ましい。こうすると、前述のようにして固結構造体20が構造物の帯状の支持基盤1A下側土壌中に造成され、当該基礎下における土壌の圧密と固結構造体20による支持力とにより地耐力が強化される。
また、構造物の基礎が独立基礎構造である場合に適用するには、図示省略するが、その基礎部下側中心部に対してそれぞれ薬液注入ロッドを挿入配置する。各薬液注入ロッドに対しては、前記実施形態と同様に薬液材の供給ユニットから配管し、前記要領で薬液材を供給して前記基礎部下の土壌中に固結構造体をそれぞれ造成し、当該位置の土壌の圧密と造成された固結構造体による支持力とによって地耐力の強化を図ることができる。
なお、前記実施形態において、注入する薬液材として瞬結性薬液材を使用する場合について説明したが、瞬結性薬液材と緩結性薬液材とを現場の状況に応じて切換えて使用することも可能である。前記緩結性薬液材としては、たとえばA液としては珪酸ソーダ(5号)と水とを30:70の割合のものを200リットル、B液としてはカルシウムアルミノシリケートと消石灰とセメントと重炭酸ナトリウムと水とが10:10:75:3:残量の割合のものを200リットルとして、1:1の割合で混合注入されるゲル化タイムが30〜60secのグラウトが用いられる。もちろん、この薬液材の成分は、上記に限定されるものではなく、ゲル化タイムを変えるとともに結合強度を維持できるに適した成分のものを採用することができる。
また、図5に示されるように、例えば基盤1における薬液注入位置の近傍で、この基盤1から地中深く安定した地層2a(好ましくは岩盤、砂礫層などに達するようにして)まで掘削し、金属棒にてなるアンカー25を所要間隔で複数本打ち込んで、その先端部を薬液で地中に固定する。なお、このアンカー25は必要に応じて途中で公知手段により接続して使用される。また、このアンカー25は上端部を地上部に突き出させて基盤1上で盤木24などを介してジャッキ23により緊張状態に保持させて維持させる。こうすることにより基盤1に負荷をかけ薬液材の注入時における載荷重をより強力に付勢させることができる。
このようなアンカーを用いる基盤への載荷重付加手段を採用すれば、前述の実施形態による薬液材注入による地盤改良をより一層効果的に実施することができる。
本発明の地盤改良工法は、構造物として一般の建物のほかに、造成地における盛土のL字型擁壁や造成用水路の基盤安定化あるいはボックスカルバートの安定化など土木工事における構造物の基盤を支持する地盤の安定手段として適用することができる。
1 構造物の基盤
1A 帯状の支持基盤
2 地盤
3 薬液注入ロッド
3a 吐出口
10 薬液供給ユニット
13,13′ 高圧ポンプ
20 固結構造体
20a 固結体
20b 固結層
21 割裂部分
25 アンカー
P 構造物の荷重作用中心
〜P 薬液注入位置

Claims (6)

  1. 構造物の基盤下基礎土壌中に、所要位置にて薬液注入ロッドを挿入設置し、その薬液注入ロッドによって前記基盤による荷重を載荷重としてかけつつ瞬結性薬液材を断続的に圧入操作し、先に注入されて固化されつつある固結体のホモゲル部を後続圧入される薬液材により割裂させ、前記固結体の周辺土壌中に薬液材を浸入させて、さらに割裂および/または浸透を繰返し、前記基盤下に薬液材と土粒とによる固結構造体を独立して形成し、この固結構造体によって基礎土壌を圧密して地耐力を強化させることを特徴とする地盤改良工法。
  2. 前記薬液注入ロッドの設置位置は、地盤における構造物の基盤形成投影面に対して、前記構造物による荷重作用中心を通る線上で載荷重が大きく付勢される方向に偏った位置で造成される前記固結構造体が相互に干渉しない間隔をおいて設けるようにし、複数箇所にて薬液注入位置を変えて順次薬液材の注入を行うようにする請求項1に記載の地盤改良工法。
  3. 前記薬液注入ロッドの設置位置が、構造物の基盤が「べた基礎」である場合には、その基盤投影面積に応じて複数区分に配分し、その区分された区画ごとに配置して前記載荷重が薬液注入部に作用するようにし、薬液注入ロッドに対して所要のインターバルで薬液材を供給して注入する請求項1または2に記載の地盤改良工法。
  4. 前記薬液注入ロッドの設置位置が、前記構造物の基盤が帯状の基礎である場合には、基盤下中心線上位置に吐出口を向けて前記薬液注入ロッドを所要の間隔で複数箇所に設置し、その配置される各薬液注入ロッドに対して所要のインターバルで薬液材を供給して注入する請求項2に記載の地盤改良工法。
  5. 前記薬液注入ロッドの設置位置は、前記構造物の基盤が独立している場合、必要とするその独立基盤ごとに、その基盤下中心部に吐出口を向けて薬液注入ロッドを設置し、その配置される薬液注入ロッドに対して所要のインターバルで薬液材を供給して注入する請求項2に記載の地盤改良工法。
  6. 前記薬液注入操作に加えて基盤から地中深く掘削して、金属棒にてなるアンカーを所要の間隔で基盤面積に応じた配分にて複数本打ち込み、これらアンカーにて薬液注入箇所への載荷重を付勢する請求項1〜3のうちいずれかに記載の地盤改良工法。
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