JP2010259057A - デジタルコンテンツの配布方法 - Google Patents

Abstract

【課題】フィンガープリンティングを短時間で実行するメディアストリームのためのデジタルコンテンツの配布方法を提供する。
【解決手段】デジタルコンテンツに透かしを入れるステップを含み、マルチソースシステム１００を用いてデジタルコンテンツ１２１を配布し、さらに、オリジンの点１２０からビューア１３０へ情報を移動する各ステージ１１１で、デジタルコンテンツを部分的にフィンガープリントする。
【選択図】図１

Description

本発明は、デジタルコンテンツの配布に関する。

例えば、映画などのメディアストリームのためのデジタルコンテンツの配布は、いくつかの問題を受ける。１つの問題は、簡単にデジタルコンテンツの正確なコピーを作成できるため、それをする権限を有しているかいないかにかかわらず、いかなる受取人もそのコンテンツを再配付可能となることである。権限なく配布される惧れがなく、デジタルコンテンツ、特にメディアストリームのためのデジタルコンテンツを配布可能となることは有利であろう。これは、デジタルコンテンツを、例えば、コンピュータネットワーク、あるいは、（例えば、要求に応じて、あるいは今後の要求を予測して、あるいは他の何かに応じて）エンドビューアへ配布するための他の技術など、通信リンクを用いて配布することが所望されるとき、特に有利であろう。

１つの既知の解決策は、デジタルコンテンツに、コンテンツの権限のない配布者を識別可能となる「フィンガープリント」を付けることで、結果として、できるならば潜在的な権限のない配布者を思いとどまらせようとするものである。しかしながら、デジタルコンテンツのフィンガープリンティングは、いくつかの問題を受ける。

第１に、フィンガープリンティングは、かなりの計算およびメモリリソースを必要とする。フィンガープリントがオリジンの単一の点に埋め込まれる場合、オリジンのその点は、映画の数およびそれらの映画を要求するエンドビューアの数に等しいサイズおよびパワーで拡大されなければならなくなるだろう。

第２に、フィンガープリンティングは、実行にかなりの時間を要する。初リリース映画では時としてそうであるが、選択されたリリース時刻にエンドビューアへの配布が開始される場合、リアルタイムに処理可能な数を超えて当該メディアストリームへの要求が集中するため、このリリース時刻ごろには、配布はかなり遅れることになろう。

送信を要するデータが比較的多量であるので、層状の、あるいはキャッシュされたシステム内でメディアストリームのデジタルコンテンツを配布するのが、すなわち、そのデジタルコンテンツを、オリジンの点から、（１）通信にかかる費用についても、および（２）メッセージの送受信のための待ち時間についても、および他のファクターについても、エンドビューアのより近くにある装置へ、外部に向かって移動するのが有利となろう。しかしながら、従来のフィンガープリンティングは、エンドビューアが知られる前にデジタルコンテンツが実質的に配布されてしまうシステムと、実質的に相容れないものである。

以下を含む、メディアストリームのためのデジタルコンテンツなどの、情報を配布する方法、（１）例えば、透かし位置を選択し、そこへフィンガープリンティング情報を埋め込む関連出願である、２００３年１月３１日に出願された、「情報の埋め込みに代替ブロックを用いる、デジタルコンテンツの透かし入れおよびフィンガープリンティング（Ｗａｔｅｒｍａｒｋｉｎｇ ａｎｄ Ｆｉｎｇｅｒｐｒｉｎｔｉｎｇ Ｄｉｇｉｔａｌ Ｃｏｎｔｅｎｔ Ｕｓｉｎｇ Ａｌｔｅｒｎａｔｉｖｅ Ｂｌｏｃｋｓ ｔｏ Ｅｍｂｅｄ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ）」、（ワトソン（Ｗａｔｓｏｎ）他）、米国特許出願第１０／３５６，３２２号で説明されている技術を使うなどして、デジタルコンテンツに透かしを入れること、（２）デジタルコンテンツを、層状の、あるいはキャッシュされたストラクチャーを有するもののような、マルチソースシステムを用いて配布すること、および（３）オリジンの点からビューアへ情報を移動する各ステージにおいて、デジタルコンテンツを部分的にフィンガープリントし、それにより、各中間装置で維持される部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツを生成すること。

この方法の態様は、こうした各中間装置において、デジタルコンテンツを暗号化された形式で維持することを含んでいる。デジタルコンテンツを任意の受信装置へ送るために、（１）送付装置は、送付装置および特定のコンテンツの双方に特有のキーにより、このデジタルコンテンツを復号化し、（２）送付装置は、情報を埋め込む透かし位置の部分を選択し、それらの位置に、受取人を識別可能となる程度のフィンガープリンティング情報を埋め込み、そして（３）送付装置は、受信装置と特定コンテンツの双方に特有の、さらに、好ましくは、当該デジタルコンテンツを送信する特定取引に特有の新しいキーで、フィンガープリントされたデジタルコンテンツを暗号化する。本明細書では、この「復号化→部分的フィンガープリンティング→再暗号化」の処理を、デジタルコンテンツの受取人への「適応」と呼ぶことがある。

好適な実施例では、キャッシュ装置のネットワークが、エンドビューアへ配布するデジタルコンテンツを維持している。ネットワーク内のオリジンから同一あるいは同様の距離のキャッシュ間の転送を含んで、デジタルコンテンツが、いついかなる送り主からいかなる受取人へ転送されようとも、適応が実行される。結果として、ビューアは、複数の受取人のために部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツを受けることが可能であるが、フィンガープリンティングの好適な方法は、いずれにせよ個々の受取人を検出することを提供する。

好適な実施例では、受取人の認知されたセキュリティ、およびフィンガープリンティング情報の埋め込みに利用可能なリソースの双方に応じて、実際に埋め込まれるべき、フィンガープリンティング情報を伴う透かし位置の数が選択される。第１例では、デジタルコンテンツをＬ１（第１レベル）キャッシュのコレクションの各々の１つへ送るとき、オリジンの点はおよそ１０^２のこうした位置を選択し、さらに、デジタルコンテンツをおよそ１０^３のＬ２キャッシュの各々の１つへ送るとき、Ｌ１キャッシュはおよそ１０^４のこうした位置を選択し、さらに、デジタルコンテンツをおよそ１０^５のＬ３キャッシュの各々の１つへ送るとき、Ｌ２キャッシュはおよそ１０^６のこうした位置を選択し、さらに、デジタルコンテンツをおよそ１０^６のエンドビューアの各々の１つへ送るとき、Ｌ３キャッシュはおよそ１０^８のこうした位置を選択可能であろう。

デジタルコンテンツの並行配布およびフィンガープリンティングを含む、デジタルコンテンツの配布システムのブロック図である。 デジタルコンテンツの並行配布およびフィンガープリンティングに対するキー管理を含む、デジタルコンテンツの配布および適合システムのブロック図である。 デジタルコンテンツの並行配布およびフィンガープリンティングを含む、デジタルコンテンツの配布方法の処理フロー図である。

以下の説明では、本発明の好適な実施例は、好適な処理ステップおよびデータストラクチャーに関して説明される。本技術分野の技術者ならば、この出願の熟読の後に、本発明の実施例は、１つ以上の汎用プロセッサ、あるいは専用プロセッサ、あるいは、特定の処理ステップならびに本明細書で説明されるデータストラクチャーに適当な他の回路を用いて実行可能であり、さらに、特定の処理ステップの実行およびデータストラクチャーは、過度の実験あるいはさらなる発明を必要としないことを認めるであろう。

語彙
次の用語は、以下で説明するように、本発明の態様に関連し、あるいは関係している。これらの用語の一般的な意味の記述は、制限を意図するものではなく、説明を意図しているに過ぎない。

「メディアストリーム」というフレーズは、一連のフレームもしくはフィールドを含む映画、あるいは一連の音声を含むオーディオなど、連続した提示を意図する情報を説明する。本明細書に使用されているように、「メディアストリーム」というフレーズは、（パケットを用いて連続送信し、コンテンツ全体が到着する前に再生を始める、音声と画像の）「ストリーミングメディア」の標準的な意味より広い意味を有している。むしろ、本明細書で説明するように、「メディアストリーム」は、連続して届けらなければならないといういかなる特定の要件も存在しない。また、本明細書で説明するように、メディアストリームは、写真あるいはイラストなどのような静止したメディアと同様に、例えば、アニメーションあるいは音声などのような、提示のための他の情報を指す場合もあるし、情報のデータベースおよび他のコレクションを指す場合もある。

「デジタルコンテンツ」というフレーズは、エンドビューアへの提示のために、メディアストリームあるいは他の情報を表示することを意図した、デジタルフォーマットのデータを説明する。「デジタルコンテンツ」は、例えば、メッセージヘッダー情報などのパッケージング情報とは区別される。２つのフレーズ「デジタルコンテンツ」および「メディアストリーム」については、前者は後者の選択された符号化を説明しており、後者はその任意の符号化も表示することの結果を説明している。

「情報をメディアストリームに埋め込む」というフレーズは、そのメディアストリームを表示し、さらに、後に検出可能な形式で埋め込まれた情報を含む、そのメディアストリームのための１組のデジタルコンテンツを生成することを説明する。

「透かし」という用語は、情報をそのデジタルコンテンツに埋め込むことができる、デジタルコンテンツのためのスキーマを説明する。本明細書で説明するように、アタッカーは、本発明により提供される透かしを容易には取り外すことができない。しかしながら、本明細書で説明するような透かしの概念は、十分に一般的であるため、アタックに対して抵抗力を持たない透かしも含み得る。本明細書で説明するように、本発明により提供される透かしは、そのメディアストリーム内部に、情報が埋め込まれる１組の位置、および情報を埋め込むことで、これらの各位置にほどこされる可能な改変の双方を含んでいる。しかしながら、本明細書で説明するような透かしの概念は、十分に一般的であるため、情報を埋め込む他の技術を用いた透かしも含み得る。

「フィンガープリント」という用語は、少なくとも１人の指定されたデジタルコンテンツの受取人を識別し得る程度の、情報の特定の組を説明する。本明細書で説明するように、共謀した複数のアタッカーは、本発明により提供されるフィンガープリントを容易には取り除くことができず、あるいは、彼らのうちの少なくとも１人がデジタルコンテンツの権限のない配布者として検出されるのを防ぎ得ない。しかしながら、本明細書で説明するようなフィンガープリントの概念は、十分に一般的であるため、取り除きに対してそれほど抵抗力を持たず、もしくは、デジタルコンテンツの権限のない配布者を検出するような能力を提供しないフィンガープリントも含み得る。本明細書で説明するように、本発明により提供されるフィンガープリントは、メディアストリーム内部に、透かしにより識別される位置にほどこされる特定の組の改変を含んでいる。しかしながら、本明細書で説明するようなフィンガープリントの概念は、十分に一般的であるため、情報を埋め込み、その埋め込まれた情報を検出し、さらにデジタルコンテンツの権限のない配布者を検出する、他の技術を用いるフィンガープリントを含み得る。

「適応」という用語は、送り主がデジタルコンテンツを受取人へ届ける処理を説明する。本明細書で説明するように、送り主は、そのデジタルコンテンツのコピーを解読し、さらにそのデジタルコンテンツにより表されるメディアストリームに情報を埋め込み（したがって、そのデジタルコンテンツを部分的にフィンガープリントする）、そして、その部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツを再暗号化する。送り主は、この適応されたデジタルコンテンツを受取人に送る。

「エンドビューア」というフレーズは、メディアストリーム用のデジタルコンテンツのデコードを受け、さらにメディアストリームの提示を受けると考えられる、メディアストリームの受取人を説明する。

「エンドビューアの施設」という用語は、エンドビューアに対して、メディアストリームの提示が行われると考えられる施設を説明する。

「デコード」という用語は、符号化されたフォーマットのメディアストリームのデジタルコンテンツに応答して、メディアストリームの提示の形式でのデータを生成することを説明する。本明細書で説明するように符号化されたフォーマットは、ＭＰＥＧ−２などの業界基準の符号化されたフォーマットを含んでいてもよい。しかしながら、本明細書で説明するようなデコードの概念は、十分に一般的であるため、メディアストリームのための他の符号化フォーマットも含み得る。

「提示」という用語は、例えば、映画を見るためのオーディオおよびビジュアル情報などのような、メディアストリームを見るための形式で情報を生成することを説明する。本明細書で説明するように、映画の提示は、映画のフレームあるいはフィールドのビジュアルディスプレイのみならず、その映画に関連付けられたサウンドトラックのオーディオ提示も含み得る。しかしながら、本明細書で説明するような提示の概念は、十分に一般的であるため、オーディオ、ビジュアル、あるいはその他を含む、エンドビューアが受け取る情報の生成のための、他の様々な形式を含み得る。

「オリジナルの映画」および「代替映画」というフレーズは、１つは、本発明の態様を用いるシステムへ導入されるそのメディアストリームのオリジナルバージョンであり、そして、他の１つは、オリジナルの映画に応じて生成された、同一メディアストリームの代替バージョンであるといった、同一メディアストリームの代替バージョンを説明する。同様に、「オリジナルブロック」および「代替ブロック」というフレーズは、オリジナルの映画あるいは代替映画内の、同一の個々のブロックあるいはマクロブロックの各代替バージョンを説明する。本明細書で説明するように、オリジナルの映画と代替映画との間の違いは、代替映画が、ほとんどあらゆる点において、オリジナルの映画の代わりとなり得るので、履歴的である。同様に、任意の１つのオリジナルブロックと、その関連する代替ブロックとの間の違いも、代替ブロックが、ほとんどあらゆる点においてオリジナルブロックの代わりとなり得るので、履歴的である。

これらの用語および概念の拡張を含む本発明の他の、およびさらなるアプリケーションは、この出願を熟読した後には、当業者にとれば明白であろう。これらの他の、およびさらなるアプリケーションは本発明の範囲および趣旨の一部であり、またこれらは、当業者にとれば、さらなる発明あるいは過度な実験を伴うことなく、明白であろう。

システムの要素
図１は、デジタルコンテンツの並行配布およびフィンガープリンティングを含む、デジタルコンテンツの配布システムのブロック図を示している。

システム１００は、少なくとも１つの注入オリジン１２０を含み、多数のエンドビューア施設１３０を含むビデオ配布ネットワーク１１０を含んでいる。

１．注入オリジンからエンドビューア施設への配布
注入オリジン１２０は、ビデオ配布ネットワーク１１０外部のソースから、メディアストリーム用のデジタルコンテンツ１２１を受けとる。好適な実施例では、これらのソースは、例えば、映画プロダクションスタジオ、テレビスタジオ、ラジオまたはテレビのネットワークシンジケータなどのような、コンテンツプロデューサーあるいはコンテンツアグリゲータを含んでいてもよい。必要であれば、注入オリジン１２０は、デジタルコンテンツ１２１をフォーマットし、それに透かしを入れ、さらに、注入オリジン１２０での記憶のためにそれを暗号化する。好適な実施例では、注入オリジン１２０は、例えば、デジタルコンテンツを透かしを入れる関連出願（２００３年１月３１日に出願された、「情報の埋め込みに代替ブロックを用いる、デジタルコンテンツの透かし入れおよびフィンガープリンティング（Ｗａｔｅｒｍａｒｋｉｎｇ ａｎｄ Ｆｉｎｇｅｒｐｒｉｎｔｉｎｇ Ｄｉｇｉｔａｌ Ｃｏｎｔｅｎｔ Ｕｓｉｎｇ Ａｌｔｅｒｎａｔｉｖｅ Ｂｌｏｃｋｓ ｔｏ Ｅｍｂｅｄ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ）」、（ワトソン（Ｗａｔｓｏｎ）他）、米国特許出願第１０／３５６，３２２号）で説明されるような、透かし入れ方法を使用する。

ビデオ配布ネットワーク１１０は、各々が、個々に、あるいは連携して、１つ以上のエンドビューアに提示するために、注入オリジン１２０からエンドビューア施設１３０への、デジタルコンテンツ１２１を受け取り、格納し、および配布するために作用可能な、キャッシュ装置１１１のネットワークを含んでいる。好適な実施例では、エンドビューアからの要求は、ビデオ配布ネットワーク１１０に、エンドビューア施設１３０へデジタルコンテンツ１２１を配布するように促し、したがって、配布用の「プル」モデルが使用される。しかしながら、代替的実施例では、注入オリジン１２０あるいは他の装置は、ビデオ配布ネットワーク１１０に、デジタルコンテンツ１２１をエンドビューア施設１３０へ配布するよう促すことも可能であり、したがって、代替的に、「プッシュ」モデルあるいは配布用の他のモデルを用いることも可能である。

好適な実施例では、キャッシュ装置１１１は、１次キャッシュ１１２、中間キャッシュ１１３、およびリーフキャッシュ１１４を含む、層状配布システム内に配列される。１次キャッシュ１１２は、デジタルコンテンツ１２１を注入オリジン１２０から直接受け取る。中間キャッシュ１１３は、デジタルコンテンツ１２１を、１次キャッシュ１１２、あるいは、ネットワークトポロジー的に注入オリジン１２０により近い、他の中間キャッシュ１１３から受け取る。リーフキャッシュ１１４は、デジタルコンテンツ１２１を、中間キャッシュ１１３から、あるいは、可能であれば１次キャッシュ１１２から受け取り、デジタルコンテンツ１２１をエンドビューア施設１３０へ直接配布する。

好適な実施例では、ビデオ配布ネットワーク１１０は、インターネット、あるいは、その機密保護サブセットのような冗長通信ネットワークを含んでいる。しかしながら、本発明のコンテキストでは、任意の特定の通信技を使用するビデオ配布ネットワーク１１のための、いかなる特定の要件も存在していない。代替的実施例では、デジタルコンテンツ１２１のコピーを、注入オリジン１２０からビデオ配布ネットワーク１１０を通して最終的にエンドビューア施設１３０へ配送可能ないかなる通信技術も適当であろう。

好適な実施例では、ビデオ配布ネットワーク１１０を用いるデジタルコンテンツ１２１の配布は、デジタルコンテンツ１２１のコピーが、複数のキャッシュ装置１１１に記録され、および維持され、さらに、注入オリジン１２０からエンドビューア施設１３０への１つより多い経路を用いて配送し得ることを提供する。

第１例については、デジタルコンテンツ１２１のコピーは、注入オリジン１２０から２つの異なる中間キャッシュ１１３（ＡおよびＢ）へ、さらに、これらの中間キャッシュ１１３（ＡおよびＢ）から複数のエンドビューア施設１３０へ配送可能である。これらの中間キャッシュ１１３（Ａ）のうちの１つが、後にそのデジタルコンテンツ１２１のコピーを破棄する場合には、さらにエンドビューア施設１３０へ配送するために、他の中間キャッシュ１１３（Ｂ）から他のコピーを受け取ることができる。

第２例については、デジタルコンテンツ１２１の異なる部分が、注入オリジン１２０から異なる中間キャッシュ１１３（ＡおよびＢ）へ配送され、次いで、これらの中間キャッシュ１１３（ＡおよびＢ）から同一エンドビューア施設１３０へ配送されることができる。これは、例えば、ビデオ配布ネットワーク１１０内部の通信リンクエラー、あるいは代わりにユーザの動作などにより、デジタルコンテンツ１２１を注入オリジン１２０からエンドビューア施設１３０へ送る作業が中断された場合に発生し、後に再開され、完了される。

２．各受取人へのビデオ配布ネットワークを用いた配布
ビデオ配布ネットワーク１１０内の任意の送り主が、任意の受取人に対して、いつデジタルコンテンツ１２１を配送しても、送り主は、その受取人に対してデジタルコンテンツ１２１の適応を実行する。好適な実施例では、そのコンテンツの新しい受取人、あるいは既にそのコンテンツを受け取ったと思われる受取人のいずれかへ送られる、全ての時を含み、デジタルコンテンツが送られるごとに、適応が実行される。代替的実施例では、適応は、これらの回数のサブセットで実行され得る。

適応は、キャッシュ装置１１１とエンドビューア施設１３０の双方を含む、あらゆる受取人に対して実行されるのが好ましい。これは、たとえ、それらの注入オリジン１２０からの距離が、同一あるいは同様であっても、キャッシュ装置１１１間の転送も含むことになろう。しかしながら、本発明のコンテキストでは、代替的実施例において、ビデオ配布ネットワーク１１０の何らかの部分が、デジタルコンテンツ１２１を復号化、あるいはフィンガープリントし、あるいは再暗号化することなく、伝送することができるよう、適応が全ての可能な受取人に対して実行されるための、いかなる特定の要件も存在していない。

より一般的に、ビデオ配布ネットワーク１１０の複数の点において、システム１００は、（ａ）復号化は、それが少しでも実行される場合は、最初に実行され、（ｂ）暗号化は、それが少しでも実行されるなら、最後に実行され、さらに、（ｃ）フィンガープリンティングは、少なくとも一回は実行されるという、予想される全ての場合を含んで、デジタルコンテンツ１２１を復号化し、フィンガープリントし、および再暗号化する機能の１つ以上を実行することができる。 しかしながら、こうした組み合わせの全てが、必ずしも役立つというわけではないかもしれない。以下の説明では、フィンガープリンティングが一回より多く実行される場合も、フィンガープリンティングが丁度一回だけ実行される場合と同等であると考えられている。例えば、代替的実施例では、いかなる形の制限も意図せずに、ビデオ配布ネットワーク１１０内の若干の点において、以下にあげることが実行されることになろう。

・デジタルコンテンツ１２１が、フィンガープリントおよび新しいキーの双方を備えて、ビデオ配布ネットワーク１１０内の第１点から第２点へ適応されるという効果を伴う、復号化、フィンガープリンティング、および再暗号化；
・デジタルコンテンツ１２１が、新しいキーを伴っているがフィンガープリントは伴わずに、ビデオ配布ネットワーク１１０内の第１点から第２点へ適応されるという効果を伴う、復号化および再暗号化（フィンガープリンティングなし）；
・デジタルコンテンツ１２１が、暗号化キーを伴い、暗号化されていない形式から移入され、およびビデオ配布ネットワーク１１０内へ導入されるという効果を伴う、フィンガープリンティングおよび新しい暗号化；あるいは、代替的に、デジタルコンテンツ１２１が、その上に層にされた新しい暗号化キーを有するという効果を伴う；
・デジタルコンテンツ１２１が、暗号化キーを伴っているがフィンガープリントは伴わずに、暗号化されていない形式からビデオ配布ネットワーク１１０内へ移入され、および導入されるという効果を伴う、新しい暗号化（フィンガープリンティングなし）；あるいは、代替的に、デジタルコンテンツ１２１がその上に層にされた新しい暗号化をキー有するという効果を伴う；
・デジタルコンテンツ１２１が、エンドビューアなどへ提示可能となっているが、その提示可能なコピーが、こうした各提示に対してフィンガープリントされるという効果を伴う、復号化およびフィンガープリンティング；
・デジタルコンテンツ１２１が、エンドビューアなどへ提示可能となっているが、フィンガープリンティングを伴わないという効果を伴う、復号化（フィンガープリンティングなし）；
・デジタルコンテンツ１２１が、変化することなく、ビデオ配布ネットワーク１１０内の第１点から第２点へ送られるという効果を伴う、ノーアクション。

したがって、上述したように、結果として、個々のエンドビューア施設１３０が、複数の受取人に対して部分的に、フィンガープリントされたデジタルコンテンツ１２１を受け取ることは可能である。しかしながら、いずれにせよ、好適な実施例では、個々の受取人を検出するために、フィンガープリンティング方法（例えば、フィンガープリントされたデジタルコンテンツの複数の受取人の間の共謀を検出する技術を用いるなど）が提供される。

個々のエンドビューア施設１３０が、暗号化され、およびフィンガープリントされたデジタルコンテンツ１２１を受け取ると、その施設は、そのデジタルコンテンツ１２１をローカルビデオライブラリ１３１内へ記録する。ローカルビデオライブラリ１３１は、デジタルコンテンツ１２１を、後に１つ以上の再生要素１３２へ配布するために、暗号化され、およびフィンガープリントされた形式で維持する。エンドビューアによる要求に応答して、ローカルビデオライブラリ１３１は、デジタルコンテンツ１２１を、デジタルコンテンツ１２１が、実質的に同時に復号化され、さらに、視聴のためにエンドビューアへ提示される、１つ以上の再生要素１３２へ配布する。

配布および適応
図２は、デジタルコンテンツの並行配布およびフィンガープリンティングのためのキー管理を含む、デジタルコンテンツの配布および適応のためのシステムのブロック図を示している。

本明細書に説明されているように、注入オリジン１２０は、映画などのメディアストリーム用デジタルコンテンツ１２１を受け取り、それに透かしを入れ、デジタルコンテンツ１２１の透かし入りバージョン、図ではＭとラベル付けられている、を生成する。

デジタルコンテンツ１２１を受け取ると、注入オリジン１２０は、キー交換プロトコルを用いてキーサーバ２０１にコンタクトする。好適な実施例では、キー交換プロトコルは、機密保護通信のためのＳＳＬ技術、あるいは同様の技術を使用する。

キーサーバ２０１は、デジタルコンテンツ１２１Ｍに特有のコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを生成する。好適な実施例では、キーサーバ２０１は、ＡＥＳ‐１２８暗号化技術あるいは同様の技術で用いる、コンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを生成する。注入オリジン１２０は、デジタルコンテンツ１２１を暗号化するために、暗号化されたデジタルコンテンツ１２１の透かし入りバージョンＥ_Ｍ（Ｍ）を生成する、コンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを用いる。

エンドビューアからの要求、あるいはキャッシュもしくはエンドビューアへの配布のいかなる要求にも応答して、例えば、まだ来ていない要求を予測し、注入オリジン１２０は、そのデジタルコンテンツ１２１の、暗号化され、かつ透かしを入れられたバージョンＥ_Ｍ（Ｍ）を、ビデオ配布ネットワーク１１０内の受取人へ配送するよう適応させる。

１．キー交換およびデジタルコンテンツの適応
デジタルコンテンツ１２１が受取人へ配送するよう適応される度に、デジタルコンテンツ１２１の送付装置２０３とキーサーバ２０１との間でキー交換が起こる。このキー交換では、送付装置２０３は、キーサーバ２０１から、以前のコンテンツ暗号化キー２０２（ここでは事実上コンテンツ復号化キーＤ_Ｍ）および新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを要求する。キーサーバ２０１は、デジタルコンテンツ１２１および送付装置２０３の双方に特有の、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを生成する。また、好ましくは、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍは、コンテンツを送る特定の取引にも特有である。そのコンテンツが、同一の送付装置により、別の機会に、他の、あるいは同一の、ノードあるいはエンドビューアに送られる場合であっても、コンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍは異なるものであるのが好ましい。

キーサーバ２０１は、送付装置２０３の機密保護部分２０５に限定される、機密保護キーＫ_Ｖを用いて暗号化された適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）内に新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍをパッケージする。好適な実施例では、キーサーバ２０１は、ＡＥＳ‐１２８暗号化技術あるいは同様の技術で用いるために、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを生成する。機密保護キーＫ_Ｖは、ＡＥＳ‐２５６暗号化技術あるいは同様の技術で用いるよう適合されているのが好ましい。

好適な実施例では、送付装置２０３の機密保護部分２０５は、その機密保護部分２０５に限定され、送付装置２０３の残余部分では一般に利用できない機密保護キーＫ_Ｖを有するハードウェア要素含んでいる。

キーサーバ２０１は、送付装置２０３への配送のためのデジタルコンテンツ１２１の暗号化に用いられた復号化キーＤ_Ｍ（すなわち、古いコンテンツ暗号化キー２０２）、および、受信装置への配送のためのデジタルコンテンツ１２１の暗号化に用いられる暗号化キーＥ_Ｍ（すなわち、新しいコンテンツ暗号化キー２０２）を含む、適応証明メッセージ２０４を生成する。好適な実施例では、このメッセージはまた、フィンガープリンティング、メッセージタイプ値、および加えられたセキュリティに対するＳＨＡ‐１メッセージダイジェストで使用されるデータを含んでいる。代替的実施例では、例えば、メッセージのコンテンツに対応して計算され、メッセージのコンテンツを検索するために容易にはリバースされない他の値など、ＳＨＡ‐１以外の他のメッセージダイジェストが使用されることもある。さらに、代替的実施例では、例えば、日付スタンプ、あるいは時間スタンプ、シリアル番号、あるいはアタッカーにとって容易には利用可能とならない他の情報など、他のさらなる追加データがメッセージに含まれていてもよい。

適応証明は、送付装置２０３の機密保護部分２０５に限定される機密保護キーＫ_Ｖを用いて暗号化されるのが好ましく、結果として、適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）がもたらされる。結果として、送付装置２０３の機密保護部分２０５だけが、復号化キーＤ_Ｍあるいは暗号化キーＥ_Ｍのいずれかを取得可能となるべきであり、一般に、送付装置２０３の残余部分は、これらのキーのいずれかに対するアクセスを有するべきではない。

より明確には、適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）は、少なくとも以下を含んでいる：
・メッセージ２０４が、事実上、適応証明メッセージ２０４であることを示す、４バイトのメッセージ‐タイプ値。１つの実施例では、メッセージ‐タイプ値は、メッセージが以下を含むことを示す、６つの可能な値のうちの１つを有していることになろう。（１）注入点１２０からのコンテンツのための、オリジナルコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍ、（２）注入点１２０以外の送付装置２０３からのコンテンツのための、適応コンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍ、（３）再生証明２０６の復号化のための、コンテンツ復号化キー２０２Ｋ_Ｐ，（４）コンテンツＭの適応のための、コンテンツ復号化キー２０２Ｋ_Ｖ、（５）適応証明メッセージ２０４，あるいは、（６）再生証明メッセージ２０６。メッセージタイプは、暗号化されたメッセージが、アタッカーにより１つのコンテキストに記録され、異なるコンテキストで再生されるのを防ぐのを助ける。

・１６バイトの古いコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍ。
・１６バイトの新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍ。
・フィンガープリンティング情報の順列に対する、暗号的な機密保護インディケータを含む、１６バイトの順列キー。
・１組のフィンガープリンティングデータに対する、暗号的な機密保護インディケータを含む、１６バイトのフィンガープリンティングキー。
・（現在までの）適応証明メッセージ２０４の、２０バイトのＳＨＡ‐１メッセージダイジェスト。
・適応証明メッセージ２０４の長さを、９６バイトにする、ゼロビットの８バイトパッド。
送付装置２０３の機密保護部分２０５は、キーサーバ２０１からの、機密保護キーＫ_Ｖを用いて暗号化されていて、復号化キーＤ_Ｍおよび暗号化キーＥ_Ｍの双方を含んでいる適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）に応答する。機密保護部分２０５は、デジタルコンテンツ１２１の暗号化された透かし入りバージョンＤ_Ｍ（Ｍ）を、復号化キーＤ_Ｍを用いて復号化し、その結果、デジタルコンテンツ１２１の暗号化されていないコピーＭを生成する。機密保護部分２０５は、このデジタルコンテンツ１２１の暗号化されていないコピーＭを部分的にフィンガープリントし、その結果、デジタルコンテンツ１２１の暗号化されていない部分的にフィンガープリントされたコピーＭ+を生成する。

機密保護部分２０５は、このデジタルコンテンツ１２１の部分的にフィンガープリントされたコピーＭ＋を、暗号化キーを用いて再暗号化し、その結果、デジタルコンテンツ１２１の再暗号化され部分的にフィンガープリントされたコピーＥ_Ｍ（Ｍ＋）を生成する。このデジタルコンテンツ１２１の再暗号化され部分的にフィンガープリントされたコピーＥ_Ｍ（Ｍ＋）は、本明細書では、デジタルコンテンツ１２１の適応されたコピーＭ＊と呼ばれる場合もある。

送付装置２０３は、この適応されたコピーＭ＊を、再適応用の他の送付装置へ送ることができる。これは、図２では、トップ送付装置２０３の周りをループしている矢印によって示されている。各反復では、新しい復号化キーＤ_Ｍ、新しい暗号化キーＥ_Ｍ、および新しい機密保護キーＫ_Ｖを用いるのが好ましい。さらに、各レベルで、フィンガープリンティング情報が追加されるのが好ましい。セキュリティ事情に応じて、コンテンツ内には、異なるレベルで、異なる量のフィンガープリンティング情報が埋め込み可能である。

例えば、図１に示されたビデオ配布ネットワークでは、異なる各レベルでのキャッシュの形式にある送付装置は、コンテンツがエンドビューア施設１３０に到達する以前に、当該デジタルコンテンツを他のキャッシュへ送る。デジタルコンテンツをＬ１（第１レベル）キャッシュのコレクションの各々の１つへ送るとき、注入点１２０はおよそ１０^２のフィンガープリント位置を選択し、さらに、デジタルコンテンツをおよそ１０^３のＬ２キャッシュの各々の１つへ送るとき、Ｌ１キャッシュはおよそ１０^４のこうした位置を選択し、さらに、デジタルコンテンツをおよそ１０^５のＬ３キャッシュの各々の１つへ送るとき、Ｌ２キャッシュはおよそ１０^６のこうした位置を選択し、さらに、デジタルコンテンツをおよそ１０^６のエンドビューアの各々の１つへ送るとき、Ｌ３キャッシュはおよそ１０^８のこうした位置を選択することになろう。コンテンツの配布時には、レベルを増減させることが可能であり、また、各レベルで選択される位置も増減可能である。

結果的に、デジタルコンテンツは送付装置へ送られ、その送付装置がコンテンツを順番にエンドビューア施設１３０へ送る。こうした送付装置は、下部送付装置２０３として、図２に示されている。

２．エンドビューア施設での配送および再生
好適な実施例では、エンドビューア施設１３０に対して生成される、デジタルコンテンツ１２１の適応されたコピーＭ＊は、もはや部分的にフィンガープリントされているのではなく、完全にフィンガープリントされている。しかしながら、本発明のコンテキストにおいては、エンドビューア施設１３０に対して生成される、デジタルコンテンツ１２１の適応されたコピーＭ＊が、完全にフィンガープリントされていなければならないという、特定の要件は存在しない。代替的実施例では、デジタルコンテンツ１２１内に情報が埋め込まれるかもしれない透かしの入った位置のいくつかは、フィンガープリントされないまま残っていてもよい。

第１例では、エンドビューア施設１３０は、デジタルコンテンツ１２１のコピーを小売顧客へ賃借し、あるいは販売するために経営している企業体などの委託ローカル配布業者を含んでいてもよい。この第１例では、エンドビューア施設１３０はまた、デジタルコンテンツ１２１のコピーを小売顧客へ賃借し、あるいは販売するとき、デジタルコンテンツ１２１のコピーをさらに適応させるために提供されることになろう。

第２例では、エンドビューア施設１３０は、機密保護部分２０５を含むこともあろう。この第２例では、エンドビューア施設１３０はまた、機密保護部分２０５内に埋め込まれた、あるいは安全にダウンロードされた、ビジネスルールに応じて、デジタルコンテンツ１２１をさらに適応させるために提供されることになろう。この第２例では、こうしたビジネスルールの１つは、デジタルコンテンツ１２１に対して （以下に説明するような） 再生証明が発行されるたびに、デジタルコンテンツをさらに適応させるよう提供されることになろう。

デジタルコンテンツ１２１がエンドビューア施設１３０へ配送されるたびに、ローカルビデオライブラリ１３１とキーサーバ２０１との間で、再生証明の交換が行われる。この再生証明交換では、ローカルビデオライブラリ１３１は、キーサーバ２０１からの再生証明２０６を要求する。キーサーバ２０１は、デジタルコンテンツ１２１により表わされるメディアストリームの再生に適用可能なビジネスルールを見直し、メディアストリームの再生が許諾されるか否かを決定する。許諾される場合は、キーサーバ２０１は、そのメディアストリームに対する再生証明２０６を生成する。

再生証明２０６Ｋ_Ｐ（Ｄ_Ｍ）は、デジタルコンテンツ１２１の適応されたコピーＭ＊を生成するために、デジタルコンテンツ１２１の部分的にフィンガープリントされたコピーＭ＋を再暗号化するとき、リーフキャッシュ１１４により暗号化キーＥ_Ｍとして使用された復号化キーＤ_Ｍを含んでいる。好適な実施例では、再生証明２０６Ｋ_Ｐ（Ｄ_Ｍ）はまた、メッセージタイプ値およびＳＨＡ‐１メッセージダイジェストを含んでいる。代替的実施例では、例えば、メッセージのコンテンツに対応して計算され、メッセージのコンテンツを検索するために容易にはリバースされない他の値など、ＳＨＡ‐１以外の他のメッセージダイジェストが使用されることもあろう。さらに、代替的実施例では、例えば、日付スタンプ、あるいは時間スタンプ、シリアル番号、あるいはアタッカーに容易には利用可能とならない他の情報など、他のさらなる追加データがメッセージに含まれていてもよい。再生証明２０６Ｋ_Ｐ（Ｄ_Ｍ）は、それ自体が、再生証明２０６が発行される再生要素１３２に特定な機密保護再生キーＫ_Ｐを用いて暗号化されている。好適な実施例では、機密保護再生キーＫ_Ｐは、ＡＥＳ‐２５６暗号化技術あるいは同様の技術で用いるよう適合されている。

より明確には、再生証明メッセージ２０６Ｋ_Ｐ（Ｄ_Ｍ）は、少なくとも以下を含んでいる：
・メッセージ２０４が、事実上、再生証明メッセージ２０６であることを示す、４バイトのメッセージ‐タイプ値。
・１６バイトの古いコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍ。
・コンテンツが、低解像度（６４０×４８０、７０４×４８０、もしくはＮＴＳＣ）、中解像度（１２８０×７２０）、あるいは高解像度（１９２０×１０８０）であるかを示し、さらにコンテンツが、アナログ（コピー保護なし）、アナログ（「マクロビジョン（Ｍａｃｒｏｖｉｓｉｏｎ）」コピー保護あり）、ＤＶＩ（コピー保護なし）、あるいはＤＶ１（「ＨＤＣＰ」コピー保護あり）の出力モードであるかを示す、１６バイトの出力フォーマットのワード。
・（現在までの）再生証明メッセージ２０６の、２０バイトのＳＨＡ‐１メッセージダイジェスト。
・再生証明メッセージ２０６の長さを、６４バイトにする、ゼロビットの８バイトパッド。
個々のエンドビューア施設１３０のローカルビデオライブラリ１３１が、再生証明２０６Ｋ_Ｐ（Ｄ_Ｍ）と、デジタルコンテンツ１２１の再暗号化され、フィンガープリントされたコピーＤ_Ｍ（Ｍ＋）と等しい、デジタルコンテンツ１２１の適応されたコピーＭ＊との両方を取得したときは、これらのデータを、デジタルコンテンツ１２１の適応されたコピーＭ＊を復号およびデコード可能な機密保護再生キーＫ_Ｐを有する再生要素１３２へ配送し、デジタルコンテンツ１２１の暗号化されておらずフィンガプリンティントされたコピーＭ＋を、エンドビューアへ提示可能である。

操作方法
図３は、デジタルコンテンツの並行配布およびフィンガープリンティングを含む、デジタルコンテンツの配布方法の処理フロー図を示している。

図３では、各ステップを実行する好適な位置は、付随する破線ボックスに沿って、「注入オリジン」、「送付装置」、および「エンドビューア施設」というラベルにより示されている。この分割は好適であるが、本発明は、示されている以外の位置でステップが実行される実施例を包含する。

さらに、順次説明されるが、方法３００のフローポイントおよび方法ステップは、結合した、あるいは平行な、別々の要素により、非同期あるいは同期的に、パイプライン化された方法、あるいは他の方法で実行可能である。本発明のコンテキストでは、この方法は、そのように明確に述べられている箇所を除いて、この記述が列挙している、フローポイント、あるいは方法ステップと同一順序で実行されなければならないという、特定の要件は存在しない。

１． デジタルコンテンツの受け取り
フローポイント３１０では、注入オリジン１２０は、メディアストリーム用デジタルコンテンツ１２１を受け取る準備ができている。

ステップ３１１では、注入オリジン１２０は、デジタルコンテンツ１２１をフォーマットする。

ステップ３１２では、注入オリジン１２０は、関連出願、２００３年１月３１日に出願された、「情報の埋め込みに代替ブロックを用いる、デジタルコンテンツの透かし入れおよびフィンガープリンティング（Ｗａｔｅｒｍａｒｋｉｎｇ ａｎｄ Ｆｉｎｇｅｒｐｒｉｎｔｉｎｇ Ｄｉｇｉｔａｌ Ｃｏｎｔｅｎｔ Ｕｓｉｎｇ Ａｌｔｅｒｎａｔｉｖｅ Ｂｌｏｃｋｓ ｔｏ Ｅｍｂｅｄ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ）」、（ワトソン（Ｗａｔｓｏｎ）他）、米国特許出願第１０／３５６，３２２号、で説明されるように、デジタルコンテンツ１２１に透かしを入れる。

ステップ３１３では、注入オリジン１２０は、格納するためにデジタルコンテンツ１２１を暗号化する。ステップを実行するために、注入オリジン１２０は、キーサーバ２０１とキー交換を実行する。このキー交換は、以下のサブ‐ステップを含んでいる：
・（Ａ）注入オリジン１２０が、キーサーバ２０１からの、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを要求する。ＳＳＬメッセージ交換は、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍに対する要求、および新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを提供する応答を管理する。
・（Ｂ）キーサーバ２０１は、特定のデジタルコンテンツ１２１に特有の、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを生成する。好適な実施例では、キーサーバ２０１は、ＡＥＳ‐１２８暗号化技術あるいは同様の技術で用いる、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを生成する。
・（Ｃ）キーサーバ２０１は、注入オリジン１２０へ、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを送る。
・（Ｄ）注入オリジン１２０は、デジタルコンテンツ１２１の暗号化に、デジタルコンテンツ１２１の、暗号化された透かし入りバージョンＤ_Ｍ（Ｍ）を生成する、コンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを用いる。

２．デジタルコンテンツの適応および送付
フローポイント３２０では、ビデオ配布ネットワーク１１０内の送付装置２０３は、デジタルコンテンツ１２１を受信装置２０３へ適応させ、送る準備ができている。

ステップ３２１では、送付装置２０３は、キーサーバ２０１とキー交換を実行する。このキー交換は、以下のサブ‐ステップを含んでいる：
・（Ａ）送付装置２０３が、キーサーバ２０１からの、新しいコンテンツ暗号化キー２０２を要求する。
・（Ｂ）キーサーバ２０１は、デジタルコンテンツ１２１と送付装置２０３の双方に対して特有で、また好ましくは、デジタルコンテンツを送る特定の取引に対しても特有の新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを生成する。
・（Ｃ）キーサーバ２０１は、送付装置２０３の機密保護部分２０５に限定される、機密保護キーＫ_Ｖを用いて暗号化された適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）内に新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍをパッケージする。
・（Ｄ）キーサーバ２０１は、適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）を送付装置２０３へ送る。
・（Ｅ）送付装置２０３は、適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）を送付装置２０３の機密保護部分２０５に配送する。

ステップ３２２では、送付装置２０３は、受信装置への配送のために、デジタルコンテンツ１２１を適応させる。この適応は、以下のサブ‐ステップを含んでいる：
・（Ａ）送付装置２０３の機密保護部分２０５は、その機密保護キーＫ_Ｖを検索し、適応証明メッセージ２０４Ｋ_Ｖ（Ｄ_Ｍ；Ｅ_Ｍ）を復号化する。
・（Ｂ）機密保護部分２０５は、デジタルコンテンツ１２１Ｍを復号化するために古いコンテンツ暗号化キー２０２Ｄ_Ｍを使用する。
・（Ｃ）機密保護部分２０５は、デジタルコンテンツ１２１Ｍを部分的にフィンガープリントし、結果として、部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ１２１Ｍ＋を生成する。
・（Ｄ）機密保護部分２０５は、新しいコンテンツ暗号化キー２０２Ｅ_Ｍを用いて、部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ１２１Ｍ＋を再暗号化し、結果として、適応されたデジタルコンテンツ１２１Ｍ＊を生成する。

ステップ３２３では、送付装置２０３は、適応されたデジタルコンテンツ１２１Ｍ＊を受信装置２０３へ送る。

デジタルコンテンツは、１台の送付装置から、他の送付装置へ、例えば、ビデオ配布ネットワーク内の１つのキャッシュから、他のキャッシュへ送ることができる。したがって、図３のステップ３２３とステップ３２０の間の矢印で示されるように、フローは再適応のために、ステップ３２３からステップ３２０へ戻ることが可能である。各送付装置では、フィンガープリント情報を埋め込むために、異なるキーおよび位置を用いるのが好ましい。ステップ３２３からステップ３３０への矢印で示されるように、デジタルコンテンツは、提示のために、いずれかの点でエンドビューア施設へ送られるのが好ましい。

３．デジタルコンテンツのデコードおよび提示
フローポイント３３０では、個々のエンドビューア施設１３０は、デジタルコンテンツ１２１が、そのデジタルコンテンツ１２１により表示されるメディアストリームを、１つ以上のエンドビューアに提示するよう要求している。このステップは、エンドビューアによる需要を予測して、あるいは、何らかの他の理由で、エンドビューア施設のエンドビューアによる、コンテンツの要求に応じて、実行可能である。

ステップ３３１では、デジタルコンテンツ１２１の要求は、ビデオ配布ネットワーク１１０内の、少なくとも１つのキャッシュ装置１１１（好ましくはリーフキャッシュ１１４）により受け取られる。

ステップ３３２では、ローカルビデオライブラリ１３１は、キーサーバ２０１と再生証明の交換を実行する。再生証明の交換は、以下のサブ‐ステップを含んでいる：
・ローカルビデオライブラリ１３１が、キーサーバ２０１からの再生証明２０６を要求する。
・キーサーバ２０１は、デジタルコンテンツ１２１により表示されるメディアストリームの再生に適用可能なビジネスルールを見直し、メディアストリームの再生が許諾されるか否かを決定する。許諾される場合は、方法３００は、サブ‐ステップ（Ｃ）を続行する。
・キーサーバ２０１は、メディアストリームを表わすデジタルコンテンツ１２１に対する再生証明２０６を生成する。
・キーサーバ２０１は、再生証明２０６をローカルビデオライブラリ１３１に送る。

ステップ３３３では、個々のエンドビューア施設１３０のローカルビデオライブラリ１３１は、デジタルコンテンツ１２１を、その暗号化され、およびフィンガープリントされた形式で１つ以上の再生要素１３２へ送る。

ステップ３３４では、ローカルビデオライブラリ１３１は、再生証明２０６をこれらの再生要素１３２へ送る。

ステップ３３５では、（再生証明２０６を使用可能な場合）再生要素１３２は、デジタルコンテンツ１２１を復合化し、およびデコードし、同時に、そのデジタルコンテンツ１２１により表示されるストリームメディアを提示する。

本発明の普遍性
本発明は、メディアストリームの配布以外のアプリケーションに役立ち、十分な普遍性を有している。例えば、本発明は、ソフトウェア、バーチャルリアリティシミュレーションなどの、リアル‐タイムに生成されるデータストリーム、デジタル化されたアナログコンテンツ、および他のコンテンツに適用可能である。加えて、本発明は、コンテンツの配布に限定されないのみならず、むしろ他の設定にも適用可能なものである。例えば、本発明は、概して、データセットのセキュリティ、あるいはこれらのデータセットの受取人の識別が望まれているアプリケーションに役立つ。

さらに、本発明は、本明細書では、同一キーが暗号化と復号化に使用される、対称暗号化を用いて説明されている。しかしながら、過度の実験や、さらなる発明を要さず、本発明は、非対称暗号化（例えば、公開鍵暗号化など）を用いて実行可能である。したがって、コンテンツの暗号化および復号化の双方として、この開示（特許請求の範囲を含む）で説明されるいかなる単一のキーも、非対称のキーの対（例えば、公開鍵／秘密鍵の対など）のそれぞれのキーを包含しているものとして読まれるべきである。

本明細書には、好適な実施例が開示されているが、本発明の概念、範囲、および趣旨内に留まりながらも、多くの変形形態が可能である。これらの変形形態は、この出願を熟読すれば、当業者に明白となろう。

この出願を熟読した後は、当業者はこれらの代替的実施例が説明のためのものであり、決して限定するものではないと認めるであろう。

Claims (17)

1. ネットワーク（１１０）におけるノード（１１１）において、フィンガープリンティング情報を埋め込み可能な複数の特定された位置を含む透かし入りのデジタルコンテンツ（１２１）を受信するステップであって、前記特定された位置は、前記透かしによって特定され、前記デジタルコンテンツ（１２１）に対応する、ステップと、
   前記ノード（１１１）において、前記フィンガープリンティング情報を埋め込むための前記複数の位置の一部を選択するステップと、
   前記ノード（１１１）において、フィンガープリンティング情報を前記選択された位置に埋め込むことによって、前記デジタルコンテンツ（１２１）に部分的にフィンガープリンティングして、部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ（１２１）を生成する、ステップと、
   を含み、
   前記フィンガープリンティング情報は、前記デジタルコンテンツ（１２１）の少なくとも一つの指定された受信者を特定するために十分な情報である、方法。
2. 前記デジタルコンテンツ（１２１）は、メディアストリームの提示を含んでいる、請求項１に記載の方法。
3. 前記部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ（１２１）は、前記部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ（１２１）の少なくとも一つの指定された受信者を特定するために十分な情報を含む、請求項１又は２に記載の方法。
4. 前記ネットワーク（１１０）における前記ノード（１１１）において、エンドビューワ（１３０）により近いか、又は同程度の距離の、前記ネットワーク（１１０）における他のノード（１１１）に送信するために、前記部分的にフィンガープリントされたコンテンツ（１２１）を維持するステップをさらに含む、請求項１から３のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記透かし入りデジタルコンテンツ（１２１）は、暗号化されている、請求項１から４のいずれか一項に記載の方法。
6. フィンガープリンティング情報を埋め込む前記ステップは、
   前記透かし入りデジタルコンテンツ（１２１）を復号化するステップと、
   前記フィンガープリンティング情報を前記選択された位置に埋め込むステップと、
   前記部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ（１２１）を暗号化するステップと、
   を含む、請求項５に記載の方法。
7. 前記復号化ステップは、前記透かし入りデジタルコンテンツ（１２１）を第１キーで復号化するステップを含み、前記暗号化ステップは、前記部分的にフィンガープリントされたデジタルコンテンツ（１２１）を第２キーで暗号化するステップを含む、請求項６に記載の方法。
8. 前記第１キーおよび前記第２キーは、キーサーバ（２０１）により供給される、請求項７に記載の方法。
9. 前記デジタルコンテンツ（１２１）の種々の部分は、前記ネットワーク（１１０）における前記ノード（１１１）から別の他のノード（１１１）に配信され、前記他のノード（１１１）からエンドビューワ（１３０）に配信される、請求項１から８のいずれか一項に記載の方法。
10. 前記ネットワーク（１１０）における複数の前記ノード（１１１）は、層状ストラクチャーに配置されている、請求項９に記載の方法。
11. 前記ネットワーク（１１０）における前記ノード（１１１）において付加される多量のフィンガープリンティング情報は、層状ストラクチャーにおける前記ノード（１１１）の位置に依存する、請求項１０に記載の方法。
12. 一組のオリジン（１２０）の点が最上層を占有し、
    一組の中間ノード（１１１）が一連のより低層にまとめられ、
    エンドビューワ（１３０）は、最下層を占有する、
    請求項１０又は１１に記載の方法。
13. 前記ネットワーク（１１０）における前記ノード（１１１）は、エンドビューワ（１３０）からの前記デジタルコンテンツ（１２１）を前記エンドビューワ（１３０）に配布するようにとの要求に応答して、又は、その時点で未着の前記要求を予想して、ネットワーク（１１０）における受信者へ配信するための暗号化された透かし入りバージョンの前記デジタルコンテンツ（１２１）に適応している、請求項１０から１２のいずれか一項に記載の方法。
14. 前記デジタルコンテンツ（１２１）をエンドビューワ（１３０）に配布するステップと、
    前記デジタルコンテンツ（１２１）をローカルビデオライブラリ（１３１）に記録するステップと、
    前記ローカルビデオライブラリ（１３１）がキーサーバ（２０１）から再生証明（２０６）を要求するステップと、
    前記キーサーバ（２０１）が前記デジタルコンテンツ（１２１）の再生に利用可能なビジネスレートを参照し、前記デジタルコンテンツ（１２１）の再生が許可できるか決定するステップと、
    前記デジタルコンテンツの再生の許可が決定された場合、前記キーサーバ（２０１）が前記デジタルコンテンツ（１２１）について再生証明（２０６）を生成するステップと、
    を含み、
    前記透かし入りデジタルコンテンツ（１２１）のエンドビューワ（１３０）への再生は、前記再生証明（２０６）に対応する、請求項１から１３のいずれか一項に記載の方法。
15. 前記再生証明（２０６）は、再生証明キーで暗号化されている、請求項１４に記載の方法。
16. ネットワーク（１１０）におけるノード（１１１）であって、請求項１から１５のいずれか一項に記載の方法の実行を前記ノードに指示するロード済みのコード手段を有するノード。
17. 請求項１から１５のいずれか一項に記載の方法の各ステップを、コンピュータ装置を用いて実行可能なコンピュータプログラム。

Images