スクイブコネクタとして設けられた特許文献2に開示のコネクタにおいては、特許文献1に開示のコネクタのような掛け止め要素が設けられていないことから、部品点数の削減
を図ることができる。そして、特許文献2に開示のコネクタでは、相手側コネクタに嵌合した状態において、ラッチ部を操作することで、相手側コネクタの嵌合穴から取り外すことができる。しかしながら、特許文献2にコネクタにおいては、コネクタが相手側コネクタに嵌合する方向と反対方向に向かって片持ち状に延びるラッチ部が設けられるため、嵌合穴に短絡用部品が配置される相手側コネクタの形状が、上記のような形状のラッチ部が設けられたコネクタであっても嵌合可能な特定の形状のものである必要がある。
スクイブコネクタが嵌合する相手側コネクタの形状としては、例えば、ドイツ自動車工業会(VDA)の規格が一般に用いられている。このVDAの規格としては、複数の端子部品の両側方が開放された状態に形成された短絡用部品が嵌合穴に配置されたVDA1と呼ばれる規格や、複数の端子部品の周囲を囲む状態に形成された短絡用部品が嵌合穴に配置されたVDA2と呼ばれる規格等がある。しかしながら、特許文献2に開示のコネクタの場合は、上述のような形状のラッチ部が設けられているため、嵌合可能な相手側コネクタの種類が、複数の端子部品の両側方が開放された形状の短絡用部品が設けられたVDA1の規格に対応したものに限られてしまうことになる。このため、相手側コネクタの規格がVDA2に対応するものである場合、特許文献2に開示された技術的思想のコネクタでは、相手側コネクタに嵌合してロックするロック機構部分を実現できず、対応するコネクタを実現することができないという問題がある。従って、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができるとともに、取り外しの際には相手側コネクタの嵌合穴から容易に取り外すことが可能である構造が実現されることが望まれる。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、部品点数を削減でき、且つ、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができるとともに、取り外しの際には相手側コネクタの嵌合穴から容易に取り外すことが可能である構造を実現できる、コネクタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1発明に係るコネクタは、複数の端子部品を支持するとともに当該端子部品を短絡可能な短絡用部品が配置される相手側コネクタに対して接続されるコネクタに関する。そして、第1発明に係るコネクタは、複数の前記端子部品に電気的に接続される複数の接続端子を支持するとともに、前記相手側コネクタにおいて開口形成されて前記短絡用部品が配置されている嵌合穴に対して、一部が嵌合するように挿入される本体ハウジングと、前記本体ハウジングにおいて開口形成されて前記接続端子が挿入される端子用開口部を覆うように、当該本体ハウジングに取り付けられるカバーハウジングと、前記本体ハウジング及び前記カバーハウジングのうちの一方に設けられ、前記本体ハウジングが前記嵌合穴に対して嵌合する方向である嵌合方向に向かって片持ち状に延びるとともに弾性変形により先端側が撓み可能に形成され、先端側の外側に形成された凸部において前記嵌合穴の内壁に形成されている凹部と係合するロックアーム部と、を備えていることを特徴とする。
この発明によると、本体ハウジングとカバーハウジングとが組み合わされ、それらの一方にロックアーム部が設けられることでコネクタが構成される。このため、特許文献1に開示されたような掛け止め要素がコネクタに設けられておらず、部品点数の削減を図ることができる。そして、嵌合穴の内壁の凹部と係合する凸部が先端の外側に形成されて相手側コネクタに嵌合してロックするロック機構部分であるロックアーム部が、本体ハウジング及びカバーハウジングのうちの一方において、嵌合方向に向かって片持ち状に延びるように設けられている。このため、前述したようなVDA1と呼ばれる規格やVDA2と呼ばれる規格のいずれに対応した相手側コネクタであっても、短絡用部品との干渉によって進入を阻まれることなく本体ハウジングとともに嵌合穴に挿入されるロックアーム部を実
現することが可能となる。これにより、VDA1及びVDA2のいずれの相手側コネクタであっても、対応するロックアーム部を設けたコネクタを形成することができ、嵌合可能なコネクタを構成することができる。また、コネクタが相手側コネクタに嵌合すると、撓み可能に形成されたロックアーム部が弾性変形した後に弾性回復してその凸部が嵌合穴の内壁の凹部と係合することで、コネクタの相手側コネクタへのロック(固定)が行われることになる。このように、本発明のコネクタでは、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができる。また、相手側コネクタに嵌合したコネクタを取り外す際には、作業者は、弾性変形により先端側が撓み可能に形成されて片持ち状に延びるロックアーム部を内側に撓ませる力を発生させることで、凸部と凹部との係合を解除し、相手側コネクタの嵌合穴からコネクタを容易に取り外すことができる。また、ロックアーム部は、嵌合方向に延びる片持ち状に形成されて先端側の凸部で嵌合穴の凹部に係合する構成であるため、特許文献2に開示のような嵌合穴の外側に向かって広がる形状のラッチ部が設けられたコネクタに比して、コンパクトで省スペース化を図る構造を実現することができる。
従って、本発明によると、部品点数を削減でき、且つ、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができるとともに、取り外しの際には相手側コネクタの嵌合穴から容易に取り外すことが可能である構造を実現できる、コネクタを提供することができる。
第2発明に係るコネクタは、第1発明のコネクタにおいて、前記ロックアーム部は、前記本体ハウジングにおける前記嵌合穴に挿入される部分である嵌合部分の両側において前記嵌合方向に向かってそれぞれ片持ち状に延びるように一対設けられていることを特徴とする。
この発明によると、ロックアーム部が本体ハウジングの嵌合部分の両側に一対設けられているため、嵌合部分の両側でそれぞれ凸部を凹部に係合させることができる。これにより、コネクタを相手側コネクタに対して強固にロックさせて嵌合させることができる。また、コネクタを取り外す際には、一対のロックアーム部をそれらの両側から内側に向かって挟み込む方向に付勢する力を生じさせることで、一対のロックアーム部を内側に撓ませ、凸部と凹部との係合を容易に解除させることができる。
第3発明に係るコネクタは、第2発明のコネクタにおいて、前記ロックアーム部は前記本体ハウジングに設けられ、前記カバーハウジングに設けられるとともに前記嵌合方向と直交する方向において一対の前記ロックアーム部の外側にそれぞれ配置される部分を有するように形成されて弾性変形することで前記ロックアーム部と当接可能に形成されているカバー側レバー部を更に備えていることを特徴とする。
この発明によると、カバーハウジングには、本体ハウジングに設けられた一対のロックアーム部の外側に配置された部分を有するカバー側レバー部が設けられている。そして、カバー側レバー部は弾性変形して一対のロックアーム部に当接可能に形成されているため、作業者は、このカバー側レバー部を操作することで、一対のロックアーム部を付勢して内側に撓ませ、凸部と凹部との係合を解除させることができる。このため、ロックアーム部を直接に操作せずにその外側に設けたカバー側レバー部を介して操作することができ、ロックアーム部から離れた位置からロックアーム部を容易に操作することができる。これにより、相手側コネクタからのコネクタの取り外し作業を更に容易にすることができる。また、ロックアーム部の外側にカバー側レバー部が配置されているため、ロックアーム部を外部から保護する機能をカバー側レバー部に兼ねさせることができる。このため、取り外し作業の容易化とロック機構部分であるロックアーム部の保護とをカバー側レバー部に両立させてよりコンパクトな構成を実現することができる。
第4発明に係るコネクタは、第3発明のコネクタにおいて、前記カバー側レバー部は、前記嵌合方向に沿って付勢されるように押圧操作されることで、前記ロックアーム部を内側に向かって撓ませて、前記凸部と前記凹部との係合を解除可能であることを特徴とする。
この発明によると、コネクタを取り外す際には、作業者は、カバー側レバー部を嵌合方向に押圧操作し、ロックアーム部を内側に撓ませて凸部と凹部との係合を解除する。このため、作業者は、一対のロックアーム部を内側に撓ませる方向と平行な力を発生させる必要が無く、嵌合方向に沿って押圧する力を加えることで、容易に凸部と凹部との係合を解除して、コネクタを相手側コネクタから取り外すことができる。
第5発明に係るコネクタは、第3発明又は第4発明のコネクタにおいて、前記カバー側レバー部は、前記嵌合部分の周囲に沿って配置されるように延びるアーム状に形成されるとともに、前記カバーハウジングの両側の部分に対して両端部がそれぞれ一体化して結合するように形成されていることを特徴とする。
この発明によると、カバー側レバー部が、両端部がカバーハウジングの両側に一体結合するとともに嵌合部分の周囲で延びるアーム状に形成されるため、一対のロックアーム部を外側から付勢する操作力を発生させるカバー側レバー部を本体ハウジングに近接して配置できる。このため、カバー側レバー部が設けられたコネクタをよりコンパクトな構造で実現することができる。そして、カバー側レバー部は、アーム状に長く延びる形状に形成されているため、弾性変形して撓み易い形状を実現することができる。このため、カバー側レバー部の操作がより容易となり、一対のロックアーム部を内側に撓ませて凸部と凹部との係合を解除するための操作力を更に低減できる。これにより、コンパクトな構造で取り外し操作性の向上を図ることができる。
第6発明に係るコネクタは、第5発明のコネクタにおいて、前記カバー側レバー部は、前記カバーハウジングに対して、両端部のみにおいて結合していることを特徴とする。
この発明によると、嵌合部分の周囲で延びるアーム状のカバー側レバー部が、両端部のみにおいてカバーハウジングに結合するため、カバー側レバー部の中途部分に力を加えることで、カバー側レバー部を更に容易に弾性変形させることができる。このため、カバー側レバー部の操作が更に容易となり、一対のロックアーム部を内側に撓ませて凸部と凹部との係合を解除するための操作力を大幅に低減できる。これにより、コンパクトな構造で取り外し操作性の更なる向上を図ることができる。
第7発明に係るコネクタは、第6発明のコネクタにおいて、前記カバー側レバー部は、前記カバーハウジングに対してそれぞれ結合する両端部にそれぞれ連続するように形成されるとともに、一対の前記ロックアーム部の外側にそれぞれ配置されて当該ロックアーム部にそれぞれ当接可能な一対の当接部と、一対の前記当接部を架橋するように設けられて前記嵌合方向に沿って付勢されるように押圧操作される押圧操作部と、を有していることを特徴とする。
この発明によると、作業者は、押圧操作部を嵌合方向に押圧操作することでカバー側レバー部を撓ませ、一対の当接部を一対のロックアーム部にそれぞれ当接させてこれらのロックアーム部を内側に撓ませることができる。そして、凸部と凹部との係合を解除し、コネクタを相手側コネクタから容易に取り外すことができる。従って、コンパクトに配置されたカバー側レバー部を嵌合方向に沿って押圧する力を加えることで容易に凸部と凹部との形状を解除してコネクタを取り外す構造を簡素な構成で実現することができる。
第8発明に係るコネクタは、第7発明のコネクタにおいて、一対の前記当接部は、前記押圧操作部が前記嵌合方向に沿って付勢されることで、一対の前記ロックアーム部のそれぞれの外壁部分と当接して当該ロックアーム部を内側に向かって撓ませることを特徴とする。
この発明によると、カバー側レバー部の押圧操作部が嵌合方向に押圧操作されることで、一対の当接部が嵌合方向に沿って変位してロックアーム部の外壁部分と当接し、このロックアーム部を内側に撓ませる。このため、カバー側レバー部の押圧操作の際にロックアーム部の外壁部分に当接可能に一対の当接部を配置することで、コンパクトで且つ簡素な構成で、押圧操作部と一対の当接部が連動してロックアーム部を内側に撓ませるカバー側レバー部の構成を実現することができる。
第9発明に係るコネクタは、第8発明のコネクタにおいて、一対の前記ロックアーム部のそれぞれの外壁部分には、外側に向かって突出するとともに前記嵌合方向に対して斜めに形成されたテーパ状面が設けられた突起部が形成され、一対の前記当接部は、一対の前記ロックアーム部に対して、前記突起部における前記テーパ状面で当接することを特徴とする。
この発明によると、テーパ状面が設けられた突起部をロックアーム部の外壁部分に形成することで、更に簡素な構成で、押圧操作部と一対の当接部が連動してロックアーム部を内側に撓ませるカバー側レバー部の構成を実現することができる。
第10発明に係るコネクタは、第8発明又は第9発明のコネクタにおいて、一対の前記当接部は、前記カバーハウジングに結合する根元側において、前記本体ハウジングに結合する前記ロックアーム部の根元側に対して、それぞれ当接することを特徴とする。
この発明によると、カバー側レバー部からの付勢力はロックアーム部の根元側に作用するため、ロックアーム部の先端側をより大きく変位させることができ、凸部と凹部との係合の解除をより確実に行わせることができる構成を実現できる。そして、カバー側レバー部は、カバーハウジングへ結合する根元側に配置された当接部においてロックアーム部に力を作用させるため、根元側の当接部から離れた押圧操作部において小さな操作力を加えるだけで、ロックアーム部に対して大きな力を作用させることができる。従って、押圧操作部に小さな操作力を加えるだけでロックアーム部の先端側を大きく変位させることができ、小さな操作力で確実に凸部と凹部との係合を解除させることができる。
第11発明に係るコネクタは、第2発明のコネクタにおいて、前記ロックアーム部は前記カバーハウジングに設けられ、前記本体ハウジングに設けられるとともに前記嵌合方向と直交する方向において一対の前記ロックアーム部の外側にそれぞれ配置される部分を有するように形成されて弾性変形することで前記ロックアーム部と当接可能に形成されている本体側レバー部を更に備えていることを特徴とする。
この発明によると、本体ハウジングには、カバーハウジングに設けられた一対のロックアーム部の外側に配置された部分を有する本体側レバー部が設けられている。そして、本体側レバー部は弾性変形して一対のロックアーム部に当接可能に形成されているため、作業者は、この本体側レバー部を操作することで、一対のロックアーム部を付勢して内側に撓ませ、凸部と凹部との係合を解除させることができる。このため、ロックアーム部を直接に操作せずにその外側に設けた本体側レバー部を介して操作することができ、ロックアーム部から離れた位置からロックアーム部を容易に操作することができる。これにより、相手側コネクタからのコネクタの取り外し作業を更に容易にすることができる。また、ロ
ックアーム部の外側に本体側レバー部が配置されているため、ロックアーム部を外部から保護する機能を本体側レバー部に兼ねさせることができる。このため、取り外し作業の容易化とロック機構部分であるロックアーム部の保護とを本体側レバー部に両立させてよりコンパクトな構成を実現することができる。
第12発明に係るコネクタは、第2発明のコネクタにおいて、前記ロックアーム部は前記本体ハウジング及び前記カバーハウジングのうちの一方において前記嵌合方向に向かって片持ち状に延びるように形成され、前記本体ハウジング及び前記カバーハウジングの他方に設けられるとともに前記嵌合方向と直交する方向において一対の前記ロックアーム部の外側にそれぞれ配置される部分を有するように形成されて弾性変形することで前記ロックアーム部と当接可能に形成されている外側レバー部を更に備え、前記外側レバー部は、前記嵌合方向と反対方向に沿って付勢されるように引っ張り操作されることで、前記ロックアーム部を内側に向かって撓ませて、前記凸部と前記凹部との係合を解除可能であることを特徴とする。
この発明によると、本体ハウジング及びカバーハウジングにおいて、一方には、一対のロックアーム部が設けられ、他方には、一対のロックアーム部の外側に配置された部分を有する外側レバー部が設けられている。そして、外側レバー部は弾性変形して一対のロックアーム部に当接可能に形成されているため、作業者は、この外側レバー部を操作することで、一対のロックアーム部を付勢して内側に撓ませ、凸部と凹部との係合を解除させることができる。このため、ロックアーム部を直接に操作せずにその外側に設けた外側レバー部を介して操作することができ、ロックアーム部から離れた位置からロックアーム部を容易に操作することができる。これにより、相手側コネクタからのコネクタの取り外し作業を更に容易にすることができる。また、コネクタを取り外す際には、作業者は、外側レバー部を嵌合方向と反対方向に引っ張り操作し、ロックアーム部を内側に撓ませて凸部と凹部との係合を解除する。このため、作業者は、一対のロックアーム部を内側に撓ませる方向と平行な力を発生させる必要が無く、嵌合方向と反対方向に沿って引っ張る力を加えることで、容易に凸部と凹部との係合を解除して、コネクタを相手側コネクタから取り外すことができる。また、ロックアーム部の外側に外側レバー部が配置されているため、ロックアーム部を外部から保護する機能を外側レバー部に兼ねさせることができる。このため、取り外し作業の容易化とロック機構部分であるロックアーム部の保護とを外側レバー部に両立させてよりコンパクトな構成を実現することができる。
本発明によると、部品点数を削減でき、且つ、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができるとともに、取り外しの際には相手側コネクタの嵌合穴から容易に取り外すことが可能である構造を実現できる、コネクタを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、自動車用エアバッグシステムにおいてそのエアバッグ組立体におけるガス発生器に通電して着火するスクイブ用のコネクタとして適用される場合に適しており、この場合の実施形態について説明するが、より広範な適用が可能であり、多くの異なる環境及び各種の目的に適用することができるものである。
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1を示す斜視図であり、図2は、コネクタ1の分解斜視図である。また、図3は、コネクタ1とこのコネクタ1が接続される相手側コネクタ100とを示す斜視図であり、図4は、コネクタ1が相手側コネクタ100に接続された状態を示す斜視図である。また、図5は、図4のA−A線矢視断面図である。
図1乃至図4に示すように、コネクタ1は、ソケットの形態の相手側コネクタ100に対して接続されるプラグの形態として構成されている。コネクタ1内に支持される複数(本実施形態では2つ)の接続端子13に一端側が接続されるケーブル10は、その他端側が図示しないエアバッグ制御システムに接続されている。そして、相手側コネクタ100は、図示しないエアバッグ着火装置(スクイブ)の一部として備えられている。コネクタ1が相手側コネクタ100に嵌合されることで(図4参照)、コネクタ1と相手側コネクタ100とが、機械的且つ電気的に接続される。即ち、コネクタ1と相手側コネクタ100とが係合するとともに、複数の接続端子13と、相手側コネクタ100に支持される複数の端子部品101(図5参照)とが接触した状態となる。スクイブは、コネクタ1が相手側コネクタ100に接続された状態で、エアバッグ制御システムからの指令に基づいて十分な電気エネルギがケーブル10を介して付与されることで燃焼する。この燃焼により、ガス発生材料が着火されて、エアバッグが展開することになる。
尚、図3乃至図5に示す相手側コネクタ100は、ドイツ自動車工業会(VDA)の規格におけるVDA2と呼ばれる規格に対応して構成されている。この相手側コネクタ100においては、コネクタ1の一部が嵌合するように挿入される嵌合穴103が開口形成されている。そして、相手側コネクタ100は、複数(本実施形態では2つ)の端子部品101を支持するとともにこれらの端子部品101を短絡可能な短絡用部品102が嵌合穴103内に配置されて構成されている。
図5に示すように、端子部品101は、ピン状に形成された雄型の端子として構成されている。短絡用部品102は、非導電性の樹脂材料で形成された本体部分102aにおいて、複数の端子部品101が突出した状態で配置される端子用孔102bが形成されている。そして、この本体部分102aは、複数の端子部品101の周囲を囲む筒状の状態に形成され、嵌合穴103内に嵌め込まれた状態で配置されている。また、短絡用部品10
2には、コネクタ1が相手側コネクタ100に接続されていない状態において複数の端子部品101に当接することでこれらを短絡させる金属製の短絡片102cが設けられている。この短絡片102cは、先端側で各端子部品101に当接可能な一対の脚部を備えるよう形成されている。尚、コネクタ1が相手側コネクタ100に接続されると、短絡片102cが複数の端子部品101から離間するように上記の各脚部が撓んで弾性変形し、短絡状態が解除されることになる。この短絡用部品102は、エアバッグ組立体の製造中において、漏洩する電荷や誤接続によりエアバッグ組立体が作動してしまうことがないようにするための安全手段として設けられている。
図2によく示すように、コネクタ1は、本体ハウジング11、カバーハウジング12、複数の接続端子13、フェライト部材14、本体ハウジング11に設けられるロックアーム部15、カバーハウジング12に設けられるカバー側レバー部16(以下、単に「レバー部16」ともいう)などを備えて構成されている。
図2に示すように、接続端子13は、ケーブル10に圧着される圧着部分13aと、圧着部分13aに対して略直角に曲折して延びるように形成されて端子部品101に対して嵌り合う雌型の接続部分13bとが設けられて構成されている。各接続部分13bが各端子部品101と嵌り合うことで、複数の接続端子13と複数の端子部品101とが電気的に接続されることになる。また、フェライト部材14は、電磁波ノイズの除去手段として設けられ、コネクタ1内に配置されている。車両に構築されたエアバッグシステムにおいて、ケーブルや車内の各種電子機器、ラジオや携帯電話など、外部からの種々の電磁波によってノイズ電流がスクイブに流れて誤爆が発生してしまうことがフェライト部材14によるノイズ除去機能によって防止される。このフェライト部材14には、ケーブル10の端部がそれぞれ挿通される一対の貫通孔が形成されている。
図6は本体ハウジング11の斜視図であり、図7は本体ハウジング11の平面図(図7(a))及び側面図(図7(b))であり、図8は本体ハウジング11の正面図(図8(a))及び底面図(図8(b))である。図6乃至図8に示す本体ハウジング11は、非導電性の樹脂材料で形成されており、ケーブル保持部分21、嵌合部分22等が設けられている。そして、本体ハウジング11は、複数の接続端子13を支持するとともに、相手側コネクタ100に開口形成されて短絡用部品102が配置されている嵌合穴103に対して、その一部である嵌合部分22が嵌合するように挿入されるよう構成されている(図5参照)。
本体ハウジング11のケーブル保持部分21は、フェライト部材14の貫通孔に挿通されるとともに接続端子13が圧着されたケーブル10の端部を保持する部分として設けられている。このケーブル保持部分21には、接続端子13が挿入される端子用開口部23とフェライト部材14が収容されるフェライト収容部24とが開口形成されている。そして、ケーブル保持部分21には、その外壁部分の3箇所の位置において、カバーハウジング12と係合する係合突起25が設けられている。また、嵌合部分22は、ケーブル保持部分21の端部から略直角に突出するように設けられて相手側コネクタ100の嵌合穴103に挿入される部分として形成され、筒状の外壁部分を備えて構成されている。そして、この嵌合部分22の内部には、複数の接続端子13の接続部分13bがそれぞれ挿入されて嵌め込まれる複数(2つ)の端子支持孔26が開口形成されている。
図9はカバーハウジング12の斜視図であり、図10はカバーハウジング12の平面図(図10(a))及び側面図(図10(b))であり、図11はカバーハウジング12の正面図(図11(a))及び底面図(図11(b))である。図9乃至図11に示すカバーハウジング12は、非導電性の樹脂材料で形成されており、蓋部分27、側壁28、端部壁29等が設けられている。そして、カバーハウジング12は、蓋部分27において本
体ハウジング11の端子用開口部23及びフェライト収容部24を覆うように、本体ハウジング11に対して取り付けられるよう構成されている。
カバーハウジング12の蓋部分27は、端子用開口部23を覆う部分とフェライト収容部24を覆う部分とが平坦な上面に沿って一体となるように形成されている。この蓋部分27の両側方の縁部には、曲面状に形成されて突出するように設けられた複数のリブ30が形成されている。コネクタ1は、このコネクタ1が相手側コネクタ100に嵌合して接続された状態において、作業者(図示せず)がカバーハウジング12の両側に設けられたリブ30に指を掛けて引っ張ってみて抜けないことを確かめることで、適正に嵌合しているかどうかを確認することができるように構成されている。側壁28は、蓋部分27の両側方から蓋部分27に対して略直角に延びる一対の壁部として設けられている。端部壁29は、蓋部分27の端部から蓋部分27に対して略直角に延びる壁部として設けられている。そして、側壁28及び端部壁29の内側において凹み形成された部分が本体ハウジング11の各係合突起25に係合することで、カバーハウジング12が本体ハウジング11に対して取り付けられることになる。
図5乃至図8に示すロックアーム部15は、本体ハウジング11に設けられ、嵌合部分22の両側に一対配置されている。一対のロックアーム部15は、本体ハウジング11の嵌合部分22が嵌合穴103に対して嵌合する方向である嵌合方向に向かってそれぞれ片持ち状に延びるよう本体ハウジング11に対して支持され、弾性変形により先端側が撓み可能に形成されている。
また、ロックアーム部15の先端側の端部の外側には凸部31が設けられている。この凸部31は、ロックアーム部15の先端側の端部の縁部分に沿って形成されている。そして、コネクタ1が相手側コネクタ100に嵌合した状態では、ロックアーム部15が、凸部31において、嵌合穴103の内壁に周方向に沿って溝状に形成されている凹部103aと係合するように構成されている。尚、凸部31において凹部103aと係合する係合面31aは、嵌合方向に対して斜めのテーパ状の面としては形成されておらず、嵌合方向に対して略垂直な平面として形成されている(図5参照)。これにより、凸部31においてロックアーム部15が嵌合穴103に対して強固に係合し、コネクタ1が相手側コネクタ100に対して強固にロックされる(固定される)ことになる。
また、各ロックアーム部15のそれぞれの外壁部分には、外側に向かって突出するとともに嵌合方向に対して斜めに形成されたテーパ状面32aが設けられた突起部32が形成されている。後述するように、コネクタ1が相手側コネクタ100から取り外される際には、この突起部32のテーパ状面32aにおいて、ロックアーム部15がレバー部16により当接されることになる。
図5、図9乃至図11に示すレバー部16は、カバーハウジング12に設けられ、本体ハウジング11の嵌合部分22の周囲に沿って配置されるように延びるとともに、弾性変形により撓み可能なアーム状に形成されている。そして、レバー部16は、カバーハウジング12の両側の部分に対して両端部がそれぞれ一体化して結合するように形成され、カバーハウジング12に対してその両端部のみにおいて結合している。
レバー部16は、一対の当接部33と押圧操作部34とを備えて構成されている。一対の当接部33は、レバー部16において、カバーハウジング12に対してそれぞれ結合する両端部にそれぞれ連続するように形成されている。そして、一対の当接部33は、一対のロックアーム部15の外側にそれぞれ配置されて各ロックアーム部15にそれぞれ当接可能に設けられている。このように、レバー部16は、嵌合方向と直交する方向において一対のロックアーム部15の外側にそれぞれ配置される部分である一対の当接部33を有
するように形成され、弾性変形することでロックアーム部15と当接可能に形成されている。
また、レバー部16の押圧操作部34は、一対の当接部33を架橋するように設けられて嵌合方向に沿って付勢されるように押圧操作される部分として設けられている。そして、レバー部16は、押圧操作部34が嵌合方向に沿って付勢されるように押圧操作されることで、一対の当接部33が一対のロックアーム部15のそれぞれの外壁部分と当接して各ロックアーム部15を内側に向かって撓ませるように構成されている。尚、一対の当接部33は、一対のロックアーム部15に対して、突起部32におけるテーパ状面32aで当接するように設けられている。また、一対の当接部33が、レバー部16がカバーハウジング12に結合する根元側において、本体ハウジング11に結合するロックアーム部15の根元側に対してそれぞれ当接するように、一対の当接部33及び一対の突起部32が配置されている。レバー部16は、このように押圧操作部34が嵌合方向に押圧操作されることで、各ロックアーム部15を内側に撓ませて、凸部31と凹部103aとの係合を解除可能に構成されている。
次に、コネクタ1の組み立て手順について説明する。図12は、コネクタ1の組み立て手順を説明する斜視図である。まず、図12(a)に示すように、一対のケーブル10がフェライト部材14に挿通され、更に、各ケーブル10の端部に接続端子13が圧着される。そして、図12(b)に示すように、接続端子13が端子用開口部23から本体ハウジング11に挿入されるとともに、フェライト部材14がフェライト収容部24に嵌め込まれることで、接続端子13及びフェライト部材14が装着されたケーブル10の端部が本体ハウジング11に配置される。その後、カバーハウジング12における側壁28及び端部壁29の内側がケーブル保持部分21に設けられた係合突起25に係合するように、カバーハウジング12の本体ハウジング11への取り付けが行われる。これにより、図12(c)に示すように、コネクタ1の組み立てが完了することになる。尚、本体ハウジング11にカバーハウジング12を取り付けた状態では、接続端子13及びフェライト部材14は、それらの位置がずれないように、本体ハウジング11とカバーハウジング12との間で挟まれて支持されることになる。
次に、コネクタ1の作動について説明する。上述のように組み立てが完了したコネクタ1は、図4及び図5に示すように、相手側コネクタ100へ嵌合して接続されることになる。コネクタ1の接続作業を行う際には、作業者は、コネクタ1の両側を指で把持して嵌合部分22を相手側コネクタ100の嵌合穴103に挿入させる。このとき、ロックアーム部15の先端側の凸部31が嵌合穴103の縁部分と干渉することで、ロックアーム部15が一旦内側に撓み、その後ロックアーム部15が弾性回復することで凸部31が嵌合穴103の凹部103aと係合することになる。凸部31と凹部103aとが係合することで、コネクタ1が相手側コネクタ100に対して抜けないように強固にロックされて(固定されて)接続されることになる。
尚、上記のようにコネクタ1の相手側コネクタ100への接続が完了した状態では、各接続端子13と各端子部品101とが、接触して電気的に接続された状態となっている。そして、この接続状態においては、嵌合部分22によって短絡片102cが端子部品101から離間するように引き離され、複数の端子部品101の短絡が解除された状態となっている。また、この接続状態においては、作業者は、リブ30に指を掛けて引っ張ることで、コネクタ1が相手側コネクタ100に対して適切に嵌合して接続しているかどうかを確認することができる。
図13は、コネクタ1を相手側コネクタ100から取り外す際のコネクタ1の作動を説明するための斜視図である。図14は、図13のB−B線矢視断面図である。上記のよう
にコネクタ1を相手側コネクタ100に接続した後にコネクタ1を取り外す際には、図13に示すように、レバー部16の押圧操作部34が、図中矢印Cで示す嵌合方向に沿って押圧操作される。これにより、レバー部16が撓み、図13及び図14に示すように、押圧操作部34とともに一対の当接部33が変位することになる。そして、一対の当接部33がそれぞれ各ロックアーム部15の突起部32に当接し、ロックアーム部15の先端側を内側に撓ませることになる。これにより、ロックアーム部15の凸部31と嵌合穴103の凹部103aとの係合が解除されるように、凸部31が凹部103aから外れることになる。このように凸部31が凹部103aから外れた状態で、作業者がコネクタ1を嵌合方向と反対方向に向かって引き抜くことで、コネクタ1が相手側コネクタ100の嵌合穴103から引き抜かれ、コネクタ1が相手側コネクタ100から取り外されることになる。
尚、コネクタ1は、上述したVDA2の規格に対応した相手側コネクタ100に限らず、他の規格に対応した相手側コネクタに嵌合させるコネクタ1として形成するであっても、嵌合してロックするロック機構部分であるロックアーム部15を実現することができ、更に、取り外しの際にはその相手側コネクタの嵌合穴から容易に取り外すことができる。
図15は、コネクタ1について、ドイツ自動車工業会(VDA)の規格におけるVDA1と呼ばれる規格に対応して構成された相手側コネクタ104とともに示す斜視図である。尚、図15に示すコネクタ1は、嵌合部分の形状をVDA1の規格の相手側コネクタ104に対応させるように、嵌合部分22のかわりに外周の形状を変更した嵌合部分22aを有するコネクタ1として構成されている。この図15に示すコネクタ1では、嵌合部分22aの外周の形状以外については、図1に示すコネクタ1と同様に構成されている。また、相手側コネクタ104においては、コネクタ1の一部が嵌合するように挿入される嵌合穴107が開口形成されている。そして、相手側コネクタ104は、複数(本実施形態では2つ)の端子部品105を支持するとともにこれらの端子部品105を短絡可能な短絡用部品106が嵌合穴107内に配置されて構成されている。
端子部品105は、相手側コネクタ100の端子部品101と同様にピン状に形成された雄型の端子として構成されている。短絡用部品106には、非導電性の樹脂材料で形成された本体部分106aと金属製の短絡片106bとが設けられている。本体部分106aは、その内側で突出した状態で配置される複数の端子部品105の両側方を開放した状態に形成され、嵌合穴107内に嵌め込まれた状態で配置されている。短絡片106bは、相手側コネクタ100の短絡片102cと同様に、コネクタ1が相手側コネクタ104に接続されていない状態において複数の端子部品105に当接することでこれらを短絡させる。そして、相手側コネクタ104の嵌合穴107の内壁には、その周方向に沿って溝状に形成された凹部107aが設けられている。この凹部107aは、相手側コネクタ100の凹部103aと同様に、ロックアーム部15の凸部31と係合するように構成されている。
図16は、図15に示すコネクタ1が相手側コネクタ104に接続された状態を示す斜視図である。コネクタ1は、その嵌合部分22aが嵌合穴107に挿入されて嵌合することで、相手側コネクタ104に接続される。そして、相手側コネクタ104に嵌合して接続された状態では、コネクタ1は、ロックアーム部15の凸部31が嵌合穴107の凹部107aに係合し、相手側コネクタ104に対してロックされている。また、コネクタ1の接続端子13が相手側コネクタ104の端子部品105と電気的に接続されている。
図17は、コネクタ1を相手側コネクタ104から取り外す際のコネクタ1の作動を説明するための斜視図である。相手側コネクタ104からコネクタ1を取り外す際には、図17に示すように、レバー部16の押圧操作部34が、図中矢印Dで示す嵌合方向に沿っ
て押圧操作される。これにより、レバー部16が撓み、押圧操作部34とともに一対の当接部33が変位することになる。そして、一対の当接部33がそれぞれ各ロックアーム部15の突起部32に当接し、ロックアーム部15の先端側を内側に撓ませることになる。これにより、ロックアーム部15の凸部31と嵌合穴107の凹部107aとの係合が解除されるように、凸部31が凹部107aから外れることになる。このように凸部31が凹部107aから外れた状態で、作業者がコネクタ1を嵌合方向と反対方向に向かって引き抜くことで、コネクタ1が相手側コネクタ104の嵌合穴107から引き抜かれ、コネクタ1が相手側コネクタ104から取り外されることになる。
以上説明したコネクタ1によると、本体ハウジング11とカバーハウジング12とが組み合わされ、本体ハウジング11にロックアーム部15が設けられることでコネクタが構成される。このため、特許文献1に開示されたような掛け止め要素がコネクタ1に設けられておらず、部品点数の削減を図ることができる。そして、嵌合穴(103、107)の内壁の凹部(102a、107a)と係合する凸部31が先端の外側に形成されて相手側コネクタ(100、104)に嵌合してロックするロック機構部分であるロックアーム部15が、本体ハウジング11において、嵌合方向に向かって片持ち状に延びるように設けられている。このため、VDA1と呼ばれる規格やVDA2と呼ばれる規格のいずれに対応した相手側コネクタ(100、104)であっても、短絡用部品(102、106)との干渉によって進入を阻まれることなく本体ハウジング11とともに嵌合穴(103、107)に挿入されるロックアーム部15を実現することが可能となる。これにより、VDA1及びVDA2のいずれの相手側コネクタ(100、104)であっても、対応するロックアーム部15を設けたコネクタ1を形成することができ、嵌合可能なコネクタ1を構成することができる。また、コネクタ1が相手側コネクタ(100、104)に嵌合すると、撓み可能に形成されたロックアーム部15が弾性変形した後に弾性回復してその凸部31が嵌合穴(103、107)の内壁の凹部(103a、107a)と係合することで、コネクタ1の相手側コネクタ(100、104)へのロックが行われることになる。このように、本実施形態のコネクタ1では、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができる。また、相手側コネクタ(100、104)に嵌合したコネクタ1を取り外す際には、作業者は、弾性変形により先端側が撓み可能に形成されて片持ち状に延びるロックアーム部15を内側に撓ませる力を発生させることで、凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除し、相手側コネクタ(100、104)の嵌合穴(103、107)からコネクタ1を容易に取り外すことができる。また、ロックアーム部15は、嵌合方向に延びる片持ち状に形成されて先端側の凸部31で嵌合穴(103、107)の凹部(103a、107a)に係合する構成であるため、特許文献2に開示のような嵌合穴の外側に向かって広がる形状のラッチ部が設けられたコネクタに比して、コンパクトで省スペース化を図る構造を実現することができる。
従って、本実施形態によると、部品点数を削減でき、且つ、特定の規格の相手側コネクタでなくても嵌合してロックするロック機構部分を実現することができるとともに、取り外しの際には相手側コネクタの嵌合穴から容易に取り外すことが可能である構造を実現できる、コネクタ1を提供することができる。
また、コネクタ1によると、ロックアーム部15が本体ハウジング11の嵌合部分(22、22a)の両側に一対設けられているため、嵌合部分(22、22a)の両側でそれぞれ凸部31を凹部(103a、107a)に係合させることができる。これにより、コネクタ1を相手側コネクタ(100、104)に対して強固にロックさせて嵌合させることができる。また、コネクタ1を取り外す際には、一対のロックアーム部15をそれらの両側から内側に向かって挟み込む方向に付勢する力を生じさせることで、一対のロックアーム部15を内側に撓ませ、凸部31と凹部(103a、107a)との係合を容易に解除させることができる。
また、コネクタ1によると、カバーハウジング12には、本体ハウジング11に設けられた一対のロックアーム部15の外側に配置された部分である当接部33を有するカバー側レバー部16が設けられている。そして、カバー側レバー部16は弾性変形して一対のロックアーム部15に当接可能に形成されているため、作業者は、このカバー側レバー部16を操作することで、一対のロックアーム部15を付勢して内側に撓ませ、凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除させることができる。このため、ロックアーム部15を直接に操作せずにその外側に設けたカバー側レバー部16を介して操作することができ、ロックアーム部15から離れた位置からロックアーム部15を容易に操作することができる。これにより、相手側コネクタ(100、104)からのコネクタ1の取り外し作業を更に容易にすることができる。また、ロックアーム部15の外側にカバー側レバー部16が配置されているため、ロックアーム部15を外部から保護する機能をカバー側レバー部16に兼ねさせることができる。このため、取り外し作業の容易化とロック機構部分であるロックアーム部15の保護とをカバー側レバー部16に両立させてよりコンパクトな構成を実現することができる。
また、コネクタ1によると、コネクタ1を取り外す際には、作業者は、カバー側レバー部16を嵌合方向に押圧操作し、ロックアーム部15を内側に撓ませて凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除する。このため、作業者は、一対のロックアーム部15を内側に撓ませる方向と平行な力を発生させる必要が無く、嵌合方向に沿って押圧する力を加えることで、容易に凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除して、コネクタ1を相手側コネクタ(100、104)から取り外すことができる。
また、コネクタ1によると、カバー側レバー部16が、両端部がカバーハウジング12の両側に一体結合するとともに嵌合部分(22、22a)の周囲で延びるアーム状に形成されるため、一対のロックアーム部15を外側から付勢する操作力を発生させるカバー側レバー部16を本体ハウジング11に近接して配置できる。このため、カバー側レバー部16が設けられたコネクタ1をよりコンパクトな構造で実現することができる。そして、カバー側レバー部16は、アーム状に長く延びる形状に形成されているため、弾性変形して撓み易い形状を実現することができる。このため、カバー側レバー部16の操作がより容易となり、一対のロックアーム部15を内側に撓ませて凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除するための操作力を更に低減できる。これにより、コンパクトな構造で取り外し操作性の向上を図ることができる。
また、コネクタ1によると、嵌合部分(22、22a)の周囲で延びるアーム状のカバー側レバー部16が、両端部のみにおいてカバーハウジング12に結合するため、カバー側レバー部16の中途部分に力を加えることで、カバー側レバー部16を更に容易に弾性変形させることができる。このため、カバー側レバー部16の操作が更に容易となり、一対のロックアーム部15を内側に撓ませて凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除するための操作力を大幅に低減できる。これにより、コンパクトな構造で取り外し操作性の更なる向上を図ることができる。
また、コネクタ1によると、作業者は、押圧操作部34を嵌合方向に押圧操作することでカバー側レバー部16を撓ませ、一対の当接部33を一対のロックアーム部15にそれぞれ当接させてこれらのロックアーム部15を内側に撓ませることができる。そして、凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除し、コネクタ1を相手側コネクタ(100、104)から容易に取り外すことができる。従って、コンパクトに配置されたカバー側レバー部16を嵌合方向に沿って押圧する力を加えることで容易に凸部31と凹部(103a、107a)との形状を解除してコネクタ1を取り外す構造を簡素な構成で実現することができる。
また、コネクタ1によると、カバー側レバー部16の押圧操作部34が嵌合方向に押圧操作されることで、一対の当接部33が嵌合方向に沿って変位してロックアーム部15の外壁部分と当接し、このロックアーム部15を内側に撓ませる。このため、カバー側レバー部16の押圧操作の際にロックアーム部15の外壁部分に当接可能に一対の当接部33を配置することで、コンパクトで且つ簡素な構成で、押圧操作部34と一対の当接部33が連動してロックアーム部15を内側に撓ませるカバー側レバー部16の構成を実現することができる。
また、コネクタ1によると、テーパ状面32aが設けられた突起部32をロックアーム部15の外壁部分に形成することで、更に簡素な構成で、押圧操作部34と一対の当接部33が連動してロックアーム部15を内側に撓ませるカバー側レバー部16の構成を実現することができる。
また、コネクタ1によると、カバー側レバー部16からの付勢力はロックアーム部15の根元側に作用するため、ロックアーム部15の先端側をより大きく変位させることができ、凸部31と凹部(103a、107a)との係合の解除をより確実に行わせることができる構成を実現できる。そして、カバー側レバー部16は、カバーハウジング12へ結合する根元側に配置された当接部33においてロックアーム部15に力を作用させるため、根元側の当接部33から離れた押圧操作部34において小さな操作力を加えるだけで、ロックアーム部15に対して大きな力を作用させることができる。従って、押圧操作部34に小さな操作力を加えるだけでロックアーム部15の先端側を大きく変位させることができ、小さな操作力で確実に凸部31と凹部(103a、107a)との係合を解除させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)本実施形態では、スクイブコネクタに関して適用される場合を例にとって説明したが、この例に限らず本発明を適用することができる。即ち、複数の端子部品を支持するとともにこれらの端子部品を短絡可能な短絡用部品が配置される相手側コネクタに対して接続されるコネクタ関して、本発明を広く適用することができる。尚、本実施形態では、端子部品及び接続端子が2つ(2極)の場合を例にとって説明したが、端子部品及び接続端子が3つ以上(3極以上)であっても本発明を適用することができる。
(2)本実施形態では、ロックアーム部が本体ハウジングに設けられるコネクタを例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、ロックアーム部がカバーハウジングに設けられるコネクタを実施してもよい。この場合、ロックアーム部については、カバーハウジングが本体ハウジングに取り付けられた状態にて、本体ハウジングの嵌合部分の両側において嵌合方向に向かって片持ち状に延びるように一対設けてもよい。この一対のロックアーム部には、相手側コネクタの嵌合穴の内壁の凹部と係合する凸部がそれぞれ設けられることになる。そして、本体ハウジングにおいては、嵌合方向と直交する方向において一対のロックアーム部の外側にそれぞれ配置される部分を有するように形成されて弾性変形することでロックアーム部と当接可能に形成されている本体側レバー部を設けてもよい。
この変形例によると、作業者は、弾性変形して一対のロックアーム部に当接可能に形成された本体側レバー部を操作することで、一対のロックアーム部を付勢して内側に撓ませ、ロックアーム部の凸部と嵌合穴の凹部との係合を解除させることができる。このため、ロックアーム部を直接に操作せずにその外側に設けた本体側レバー部を介して操作するこ
とができ、ロックアーム部から離れた位置からロックアーム部を容易に操作することができる。これにより、相手側コネクタからのコネクタの取り外し作業を更に容易にすることができる。また、ロックアーム部の外側に本体側レバー部が配置されているため、ロックアーム部を外部から保護する機能を本体側レバー部に兼ねさせることができる。このため、取り外し作業の容易化とロック機構部分であるロックアーム部の保護とを本体側レバー部に両立させてよりコンパクトな構成を実現することができる。尚、カバーハウジングを本体ハウジングに取り付ける際には、ロックアーム部を本体側レバー部の内側を通過させて取り付けることになる。
(3)本実施形態では、カバーハウジングに設けられたレバー部を押圧操作するコネクタを例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、カバーハウジング又は本体ハウジングに設けられたレバー部を引っ張り操作するコネクタを実施してもよい。この場合、ロックアーム部については、本体ハウジング及びカバーハウジングのうちの一方において嵌合方向に向かって片持ち状に延びるように一対設けてもよい。この一対のロックアーム部には、相手側コネクタの嵌合穴の内壁の凹部と係合する凸部がそれぞれ設けられることになる。更に、本体ハウジング及びカバーハウジングの他方には、嵌合方向と直交する方向において一対のロックアーム部の外側にそれぞれ配置される部分を有するように形成されて弾性変形することでロックアーム部と当接可能に形成されている外側レバー部を設けることができる。そして、外側レバー部は、嵌合方向と反対方向に沿って付勢されるように引っ張り操作されることで、ロックアーム部を内側に向かって撓ませて、ロックアーム部の凸部と嵌合穴の凹部との係合を解除可能に構成することができる。
この変形例によると、作業者は、弾性変形して一対のロックアーム部に当接可能に形成された外側レバー部を操作することで、一対のロックアーム部を付勢して内側に撓ませ、凸部と凹部との係合を解除させることができる。このため、ロックアーム部を直接に操作せずにその外側に設けた外側レバー部を介して操作することができ、ロックアーム部から離れた位置からロックアーム部を容易に操作することができる。これにより、相手側コネクタからのコネクタの取り外し作業を容易にすることができる。また、コネクタを取り外す際には、作業者は、外側レバー部を嵌合方向と反対方向に引っ張り操作し、ロックアーム部を内側に撓ませて凸部と凹部との係合を解除する。このため、作業者は、一対のロックアーム部を内側に撓ませる方向と平行な力を発生させる必要が無く、嵌合方向と反対方向に沿って引っ張る力を加えることで、容易に凸部と凹部との係合を解除して、コネクタを相手側コネクタから取り外すことができる。また、ロックアーム部の外側に外側レバー部が配置されているため、ロックアーム部を外部から保護する機能を外側レバー部に兼ねさせることができる。このため、取り外し作業の容易化とロック機構部分であるロックアーム部の保護とを外側レバー部に両立させてよりコンパクトな構成を実現することができる。