JP2010257628A - 双極型電池用集電体 - Google Patents

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Abstract

【課題】双極型電池の容量低下を抑制する手段を提供する
【解決手段】樹脂基材に金属体が取り込まれ、前記金属体の一部が前記樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出している、双極型電池用集電体である。
【選択図】図2

Description

本発明は、双極型電池用集電体に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用電池の開発が鋭意行われている。自動車用途の電池としては、双極型電池に注目が集まっている。双極型電池は、集電体を介して縦方向(電極の積層方向)に電流が流れるため、電子の伝導パスを短くでき、高出力になる。これにより、電池電圧の高い電池が構成できる。
双極型電池は、正極活物質層および負極活物質層が各面に形成される集電体を構成部材として含む。この集電体の軽量化を目的として、特許文献1では、カーボンフィラーを混合した導電性を有する樹脂を含む集電体が提案されている。
特開2006−190649号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような集電体において、カーボンフィラー自体がリチウムイオンを取り込むため、充放電に利用できるリチウム量が減少し、電池容量が低下する可能性がある。
そこで本発明は、双極型電池の容量低下を抑制する手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を積み重ねた。その結果、樹脂基材に金属体が取り込まれており、さらに前記金属体の一部が前記樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出している集電体を用いることによって、上記目的が達成されることを見出した。
樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出した金属体によって、集電体の面直方向の電子伝導性を確保しつつ、充放電におけるリチウムの集電体へのインターカレーションを防止することができる。よって、双極型電池の容量低下を抑制することができる。
双極型リチウムイオン二次電池の構造を示す断面概略図である。 第1実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 第2実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 第3実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 双極型リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。 組電池の外観図である。 組電池を搭載した車両の概念図である。 実施例で得られた導電性フィルムの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。 実施例で得られた導電性フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。 実施例で得られた導電性フィルム中の体積抵抗率およびステンレス粒子数の測定箇所を示す概略図である。
まず、好ましい実施形態である双極型リチウムイオン二次電池について説明するが、以下の実施形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
双極型電池の構造・形態で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など特に制限されず、従来公知のいずれの構造にも適用されうる。
同様に双極型電池の電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しては、これらを単独で使用することもできるし、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させて使用することもできる。
また、電池の電極材料または電極間を移動する金属イオンで見た場合にも、特に制限されず、公知のいずれの電極材料等にも適用されうる。例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カリウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素電池などが挙げられ、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。これは、リチウムイオン二次電池では、セル(単電池層)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成でき、車両の駆動電源用や補助電源用として優れているためである。
図1は、双極型リチウムイオン二次電池10の全体構造を模式的に表した断面概略図である。図1に示す双極型リチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
図1に示すように、双極型リチウムイオン二次電池10の発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。なお、電解質層17は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極23および電解質層17が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型リチウムイオン二次電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する目的で、単電池層19の外周部にはシール部(絶縁層)31が配置されている。なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。ただし、正極側の最外層集電体11aの両面に正極活物質層13が形成されてもよい。同様に、負極側の最外層集電体11bの両面に負極活物質層15が形成されてもよい。
さらに、図1に示す双極型二次電池10では、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板25が配置され、これが延長されて電池外装材であるラミネートフィルム29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板27が配置され、同様にこれが延長されて電池の外装であるラミネートフィルム29から導出している。
図1に示す双極型リチウムイオン二次電池10においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁部31が設けられる。この絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かような絶縁部31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型リチウムイオン二次電池10が提供されうる。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型二次電池10では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン二次電池10でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装材であるラミネートフィルム29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27をラミネートフィルム29の外部に取り出した構造とするのがよい。以下、本形態の双極型二次電池の主な構成要素について説明する。
図2は、双極型リチウムイオン電池10の集電体11(第1実施形態)を模式的に表した断面概略図である。図2に示すように、第1実施形態の集電体11は、樹脂基材2aの正極側表面(図2の上側表面)に、金属体2bの一部が露出している。この露出した金属体2bによって、集電体の面直方向の電子導電性を確保しつつ、充放電におけるリチウムの集電体へのインターカレーションを防止することができる。かような構造により、双極型電池の容量低下を抑制することができる。
従来の双極型二次電池では、集電体としてステンレスやインコネル(登録商標)などの合金材料を使用していたが、合金材料の比重が大きいため、電池の軽量化が困難であった。この解決手段として、カーボンフィラーを混合した導電性樹脂フィルムを集電体として用いる双極型電池が提案されており、この構造は、電池の軽量化に大きく貢献する。しかし、導電性樹脂フィルム中のカーボンにリチウムイオンがインターカレーションするため、不可逆容量の発生や、膨張・収縮による樹脂−カーボン界面の剥離、およびそれに伴うカーボンの脱落や電解液の透過などが発生する可能性がある。この問題を解決するため、インターカレーションの発生しない金属や酸化物などの非カーボン材料のフィラーを混合することも可能である。しかしながら、これらのフィラーの粒径がフィルム厚に対して小さい場合、導電パスはパーコレーションによって形成されるため、樹脂フィルムへの混合量が多くなり、比重がカーボンに比べて大きいことから、軽量化の効果が少なくなる。
本実施形態のような、樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出した金属体を備える集電体によって、軽量化の効果が得られると共に、リチウムのカーボン材料へのインターカレーションを防止する効果が得られる。
以下、本実施形態の集電体について、詳細に説明する。
(集電体)
集電体は樹脂基材および金属体を含む。以下、樹脂基材および金属体について説明する。
<樹脂基材>
樹脂基材は、必須に樹脂を含み、集電体の役割を果たす。樹脂基材の具体的な形態として、1)樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態、2)樹脂を構成する高分子材料が導電性のない高分子である形態が挙げられる。
導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、がより好ましい。
導電性のない高分子の例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
前記樹脂基材は導電性フィラーを含んでいても良い。用いられる導電性フィラー(導電材)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
具体的には、アルミニウム材、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維などのカーボン材、銀材、金材、銅材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくはカーボン材である。またこれらの導電性フィラー(導電材)は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電材)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
また、導電性フィラー(導電材)の形状(形態)は、粒子形態で用いればよいが、粒子形態に限られず、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている粒子形態以外の形態であってもよい。
カーボン粒子としては、カーボンブラックやグラファイトなどが挙げられる。カーボンブラックやグラファイトなどのカーボン粒子は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン粒子は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン粒子は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン粒子を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
導電性フィラーの種類、粒径、形状等のより好ましい形態については、後述の実施形態の説明において、さらに詳細に述べる。
樹脂基材における、導電性フィラーの比率は、特に限定されないが、好ましくは、高分子材料および導電性フィラーの合計に対して、1〜30質量%の導電性フィラーが存在する。十分な量の導電性フィラーを存在させることにより、樹脂層における導電性を十分に確保できる。
上記樹脂基材には、樹脂および導電性フィラーの他、他の添加剤を含んでいてもよい。
<金属体>
金属体は、材質としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、アルミ、チタン、銅など金属、ステンレス、インコネル(登録商標)、チタン系合金などの合金材料が例示できる。
双極型電池の場合、集電体には正極電位および負極電位が、それぞれの電極が接した面にかかるため、金属体は両電位に耐えられる材料であることがより好ましい。このような両電位に耐えうる材料としては、安定した不動態膜を形成するものが好ましい。すなわち、鉄、ニッケル、クロム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む合金材料が好ましい。この好ましい合金材料の例としては、例えば、ステンレスなどの鉄およびクロムを含む合金材料、インコネル(登録商標)などのニッケルおよびクロムを含む合金材料、またはチタン系合金などが挙げられる。
前記金属体の形状の例としては、例えば、球状、楕円球状、円柱状などが挙げられる。これらの形状の中でも、篩によりある一定のサイズに分級することにより、金属体が樹脂基材の表面により有効に露出し体積抵抗率を低減させることができることから、球状であることがより好ましい。
金属体が球状である場合、その粒径は、20〜200μmであることが好ましく、30〜110μmであることがより好ましい。また、これらが分級されていることが、面直抵抗をより低下させるので好ましい。分級された金属体の粒径は、平均値の±10%であることが面直抵抗を低下させるため好ましい。なお、本明細書において、金属体の粒径は、粒度分布計 SALD−7100(株式会社島津製作所製)により測定した値を採用するものとする。
集電体中の金属体の面内密度は大きいほど、単位面積当たりの導電パス数を確保することが可能となり、電極面内の電流分布を均一にすることが可能となる。しかしながら、金属体が多すぎると集電体の質量が大きくなってしまう。このような導電パスと集電体の質量とのバランスの観点から、前記金属体は、集電体中に5〜30質量%含まれることが好ましく、7〜20質量%含まれることがより好ましい。
樹脂基材および金属体を含む集電体の製造方法は、例えば、樹脂基材および金属体を混合してフィルム状に成形した後、得られたフィルムを研磨して、金属体の一部をフィルムの表面に露出させる方法が挙げられる。
樹脂基材と金属体とを混合しフィルム状に成形する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。すなわち、金属体と樹脂とを予め混練したのち、Tダイやコートハンガーダイを用い押出機でフィルム化する方法や、圧延機を用いて金属体が混練された樹脂を圧延してフィルム化する方法などである。
得られたフィルムから金属体の一部を露出させる方法としては、例えば、ベルトサンダーやバフを用いて、フィルムの表裏面の少なくとも一方の表面を研磨する方法が例示できる。また、その他の方法としては、ドライエッチング、プラズマエッチング、またはスパッタエッチングなどが挙げられる。
集電体の厚さは、特に限定されるものではないが、電池の出力密度を高める上では、薄いほど好ましい。双極型電池においては、正極および負極の間に存在する樹脂集電体は、積層方向に水平な方向の電気抵抗が高くてもよいため、集電体の厚さを薄くすることが可能である。具体的には、集電体の厚さは、0.1〜150μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
以上説明した第1実施形態は、以下の効果を有する。
第1実施形態の集電体は、樹脂基材2aの正極側表面(図2の上側表面)に、金属体2bの一部が露出している構造を有する。この露出した金属体によって、樹脂集電体の面直方向の電子導電性を確保しつつ、充放電におけるリチウムの集電体へのインターカレーションを防止することができる。かような構造により、双極型電池の容量低下を抑制することができる。
金属体を混合した樹脂をフィルム状に成形した後、金属体の表面にスキン層が形成されている場合は、それを露出させるための研磨やエッチングなどの工程が必要となる。本実施形態のように、樹脂基材の一方の表面だけに露出させる場合は、工程が、金属体を樹脂基材の表裏両面に露出させる場合の半分となり簡略化される。さらに、研磨などで樹脂基材に発生した傷などによる電解液の遮断性の低下などを抑制することが可能となる。
本実施形態のように、金属体は樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出していればよい。露出する表面は、本実施形態のように正極側表面のみでもよいし、負極側表面のみでもよいし、正極側表面および負極側表面の双方であってもよい。かような形態であれば、樹脂基材のみからなる集電体よりも、面直方向の抵抗を低減することが可能となる。
図3は、樹脂基材3aに含まれる金属体3bが球状である集電体の実施形態(第2実施形態)を模式的に表した断面概略図である。金属体3bが球状であれば、金属体3bの露出部の断面積は、金属体3bの樹脂基材3a内部の断面積よりも小さくなる。これにより、金属体が円柱状である場合に比べて、樹脂基材内部での金属体と樹脂との接触面積が広くなるため、金属体と樹脂との接着強度を高くすることが可能となり、接着強度が低下したとしても樹脂基材表面付近の樹脂の突起により脱落しにくい構造となる。かような構造により、金属体を露出させるための研磨工程などで、金属体の脱落を抑制することが可能となる。
図4は、樹脂基材4aに球状の金属体4bおよび導電性粒子4cが含まれている集電体の実施形態(第3実施形態)を模式的に表した断面概略図である。金属体4bよりも粒径の小さいカーボン材料や金属粒子などの導電性粒子(導電性フィラー)4cを樹脂基材4aに混合することにより、樹脂基材4aに導電性を付与することが可能となる。これにより、第1実施形態のように樹脂基材の一方の表面にだけ金属体が露出した構造である場合や、金属体の粒径分布があることにより研磨などの工程を経ても金属体が露出していない部位がある場合であっても、樹脂基材全面から導電性を得ることが可能となる。ここで、混合する小粒径の導電性粒子(導電性フィラー)4cは、インターカレーション抑制の効果を確保するために、カーボン材料以外の材料であることがより好ましい。しかしながら、カーボン材料を用いても、インターカレーションが発生しにくい正極側表面を金属体が露出していない構造にすることで、樹脂基材内のカーボン材料による不可逆容量を低減させることも可能である。金属面が露出していない表面は、平滑性を確保することが容易であるため、活物質層との密着性や活物質層の均一性を向上させることが可能となる。
加えて、金属体よりも線径の小さい炭素繊維や金属繊維などの導電繊維を樹脂基材に混合することによっても、樹脂基材に導電性を付与することが可能となる。かような導電樹脂を混合することにより、樹脂基材の正極側および負極側の両方の表面から金属体が露出していなくても、また、全ての金属体の一部分が露出していなくても、樹脂基材の表裏面の全面から導通を得ることが可能となる。
上記で説明した双極型リチウムイオン電池は、樹脂集電体の構成に特徴を有する。以下、その他の主要な構成部材について説明する。
(活物質層)
[正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)]
活物質層13または15は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が、負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
各活物質層13、15に含まれるそれぞれの活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmである。
正極活物質層13および負極活物質層15は、バインダを含む。
活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。
活物質層中に含まれるバインダ量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層および負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。各活物質層の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
(電解質層)
電解質層13を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
(最外層集電体)
最外層集電体の材質としては、例えば、金属や導電性高分子が採用されうる。電気の取り出しやすさの観点からは、好適には金属材料が用いられる。具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウム、銅が好ましい。
(タブおよびリード)
電池外部に電流を取り出す目的で、タブを用いてもよい。タブは最外層集電体や集電板に電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブを構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(電池外装材)
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素(電池要素)を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
(絶縁部)
絶縁部31は、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する。また、絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。
絶縁部31を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が、絶縁部31の構成材料として好ましく用いられる。
なお、上記の双極型電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
<双極型電池の外観構成>
図5は、双極型電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図5に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)57は、正極タブ58および負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)57は、先に説明した図1に示す双極型のリチウムイオン二次電池10の発電要素(電池要素)21に相当するものであり、正極(正極活物質層)13、電解質層17および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではなく、巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素(電池要素)がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図5に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではなく、正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図11に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記リチウムイオン電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
<組電池>
組電池は、上記双極型電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
図6は、組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。
図6に示すように、本実施形態の組電池300は、双極型電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することもできる。図6Aは、組電池の平面図、図6Bは正面図、図6Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の双極型電池を接続して組電池250を作製するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
<車両>
本実施形態の車両は、上記双極型電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。長期信頼性および出力特性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、双極型電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。双極型電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図7は、組電池を搭載した車両の概念図である。
図7に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。
以下、本発明を、実施例を通して説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例)
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(帝人化成株式会社製) 10質量部に対して、90〜106μmに分級した球状のステンレス粉10質量部を2軸押出機で混練し、ペレタイザーにてペレット化した。得られた混練ペレット20質量部に対して、前記PET樹脂80質量部を添加し、一軸押出機を用いてTダイのリップを140μmに設定して押出し、フィルム化した。得られたフィルムの厚みは、120〜130μmであり、体積抵抗率は1015Ωcmであった。このフィルムを、ベルトサンダーを用いて表裏両面を研磨し、厚み105μm、体積抵抗率10Ωcmの導電性フィルムを得た。得られた導電性フィルムは、ジメチル炭酸やジエチル炭酸などの電解質溶媒に耐性があると共に、電極活物質を塗布するために用いるN−メチルピロリドン(NMP)にも耐性があることがわかった。図8は、得られた導電性フィルム(集電体)の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真であり、図9は、得られた導電性フィルム(集電体)の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。図8および図9から分かるように、導電性フィルムの表面に金属体が露出している。
<体積抵抗率およびステンレス粒子の分布の測定>
体積抵抗率は、電圧電流発生器(TR6143、アドバンテスト社製)を用い2端子法で測定した。導電性フィルムに、体積抵抗の測定端子が接する表裏両面に銀ペーストを塗布し、測定部を平坦化して測定した。
ステンレス粒子の分布は、体積抵抗率測定部の測定端子と同一の面積(15Φ)内に存在するステンレス粒子数を、顕微鏡を用いて測定した。図10は、導電性フィルム中の体積抵抗率およびステンレス粒子数の測定箇所を示す概略図である。
測定結果を下記表1に示す。
<電気化学評価>
実施例で得られた導電性フィルムをPtメッシュに融着させたものを作用極とし、対極と参照極とを金属Liとして3極式ビーカーセルに設置し、導電性フィルムに定電位を与えたときの電流量を測定した。正極電位として4.2Vの電位を与えて、室温にて16時間保持したところ、通電された電気量としては2.5C/cmとなった。同様の測定を、ポリエチレンに対してカーボンブラックを30質量%混合した樹脂フィルムで測定を行ったところ、14.3C/cmとなり、分解電流が抑制されていることが確認された。これは、金属体混合フィルムの場合、金属体が導電パスとなるために樹脂への酸化分解が抑制されているのに対し、カーボンブラック混合フィルムでは、カーボン粒子との界面が多く、パーコレーションパスとなっているカーボン粒子間に樹脂が介在していることから、樹脂が酸化電位を受け、分解が発生しやすいことで説明される。また、5mVの負極電位を与えた場合の通電量は、金属体混合フィルムでは90.3C/cmであったのに対し、カーボンブラック混合フィルムでは183.0C/cmであった。これは、金属体混合フィルムではリチウムのカーボンへのインターカレーションが発生しないことから、通電量が抑制されていると説明できる。なお、本評価の結果を、下記表2に示す。
<セル評価>
実施例で得られた導電性フィルム上に活物質層を形成し、セルを作成した。正極は、正極活物質として、LiMn(平均粒子径:10μm)90質量%、導電助剤としてアセチレンブラック 6質量%、およびバインダとしてPVdF 4質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して、正極スラリーを作製した。この正極スラリーを、導電性フィルムの片側に塗布し乾燥させプレスし、正極層を形成した。
負極は、負極活物質として、ハードカーボン(平均粒子径:10μm)90質量%およびバインダとしてPVdF 10質量%からなる固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるNMPを固形分全量に対して50質量%の量で添加して、負極スラリーを作製した。この負極スラリーを、別途用意した上記導電性フィルムの片面に塗布し乾燥させて負極層を形成した。
上記で形成した、電極を片面に塗布した2枚の樹脂フィルムを、セパレータを介して電極面が対向するようにセルを組み、1M−LiPF+エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=2/3の電解液を注入した。これにより電池が完成した。この電池の充放電サイクル特性を評価したところ、10サイクル後の容量保持率が95%となり、カーボンブラック混合フィルムを使用した電池の容量保持率である90%よりも向上した。カーボンブラック混合フィルムで容量維持率が低い原因は、フィルム内のカーボンへのLiイオンのインターカレーションにより不可逆容量が発生しているためと考えられる。一方、金属体混合フィルムでは不可逆容量が発生しないことから、容量維持率が向上しているものと思われる。
2a、3a、4a 樹脂基材、
2b、3b、4b 金属体、
4c 導電性粒子、
10、50 双極型リチウムイオン二次電池、
11 集電体、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、57 発電要素、
23 双極型電極、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29 ラミネートフィルム、
31 シール部、
58 正極タブ、
59 負極タブ、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (11)

  1. 樹脂基材に金属体が取り込まれ、前記金属体の一部が前記樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出している、双極型電池用集電体。
  2. 前記金属体の露出部の断面積が、前記金属体の前記樹脂基材の内部における断面積よりも小さい、請求項1に記載の双極型電池用集電体。
  3. 前記金属体の形状が球状である、請求項1または2に記載の双極型電池用集電体。
  4. 前記樹脂基材に対して、前記金属体よりも粒径が小さい導電粒子がさらに混合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の双極型電池用集電体。
  5. 前記樹脂基材に対して、前記金属体よりも線径が小さい導電繊維がさらに混合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の双極型電池用集電体。
  6. 前記金属体が、鉄、ニッケル、クロム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む合金材料からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の双極型電池用集電体。
  7. 前記金属体が前記樹脂基材中に5〜30質量%含まれている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の双極型電池用集電体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の双極型電池用集電体を含む、双極型電池用電極。
  9. 請求項8に記載の双極型電池用電極を含む、双極型電池。
  10. 請求項9に記載の双極型電池が複数個接続された組電池。
  11. 請求項9に記載の双極型電池、または請求項10に記載の組電池をモータ駆動用電源として搭載する車両。
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