JP2010254888A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性と、耐衝撃性と、熱安定性と、及び湿熱安定性とを兼ね備えた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、RSiO1.5で示される単位(前記式中、Rは炭素数1〜12の一価の炭化水素基を表す。)を全体のシロキサン単位(R0〜3SiO2.0〜0.5)に対して50モル%以上含有し、かつ含有する全炭化水素基(R)のうち芳香族基が50モル%以上を占めるポリオルガノシロキサン、0.1〜5質量部と、C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸の金属塩を、金属濃度にして0.1ppm以上10ppm以下とを含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、難燃性、耐衝撃性、熱安定性及び湿熱安定性を同時に有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及び芳香族ポリカーボネート樹脂組成物成形体に関するものである。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気・電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部材として好適に使用されている。
芳香族ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、従来、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を芳香族ポリカーボネート樹脂に配合することがなされてきた。しかしながら、塩素や臭素を含有するハロゲン系難燃剤を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがあった。また、リン系難燃剤を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂の特徴である高い透明性を阻害したり、耐衝撃性、耐熱性の低下を招いたりする為、その用途が制限されることがあった。加えて、これらのハロゲン系難燃剤及びリン系難燃剤は、製品の廃棄、回収時に環境汚染を惹起する可能性があるため、近年ではこれらの難燃剤を使用することなく難燃化することが望まれている。
かかる状況下、近年、火災発生時や焼却処分時に有害なガスを発生せず、人体への安全性が高く、かつ環境負荷の少ない難燃剤として、ポリオルガノシロキサン(シリコーン)系難燃剤も有用な難燃剤として数多く検討されている。
ポリオルガノシロキサンは、下記式(1)〜(4)で示される4つの単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)の少なくとも1種から構成される。
Figure 2010254888
Figure 2010254888
Figure 2010254888
Figure 2010254888
なかでも、上述のT単位またはQ単位を一定以上含有するポリオルガノシロキサン、即ち、主鎖構造に分岐状または網目状構造を有するポリオルガノシロキサンを用いることで、難燃性が向上することが知られている。
例えば、特許文献1では、芳香環を含有する非シリコーン樹脂と、D単位及びT単位を有し、重量平均分子量が10000以上270000以下であり、かつフェニル基が40〜80モル%のポリオルガノシロキサンから成る難燃性樹脂組成物が提案されている。
特許文献2では、ポリカーボネート樹脂に、T単位とM単位から構成されるシリコーン樹脂、またはT単位とM単位とQ単位から構成されるシリコーン樹脂とフルオロポリマーとから成る難燃性樹脂が提案されている。
特許文献3では、分子中に芳香環を含む合成樹脂と分子中にフェニル基を含有し、M単位を含有し、分子中のアルコキシ基及びSi−OH基の含有量が2重量%(質量%)未満であり、かつ重量平均分子量が2000を超えるポリオルガノシロキサンとから成る難燃性樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3で提案されているような、ポリオルガノシロキサンをポリカーボネート樹脂に単独で配合する手法では、満足のいく難燃効果は得られなかった。また、添加量を多くすることで難燃効果を向上させようとしても、難燃性が悪化する場合があるなどバラツキが見られ、また機械物性や熱安定性の低下も著しいという欠点を有していた。
そこで、上述のオルガノシロキサンと有機スルホン酸金属塩化合物を併用する手法が提案されている。このように有機スルホン酸金属塩とポリオルガノシロキサンを併用することで、難燃性改良に関して相乗効果を発揮することが知られている。
特許文献4では、芳香族ポリカーボネート樹脂と、エポキシ基を含有するポリオルガノシロキサンと、有機スルホン酸金属塩とからなる難燃性ポリカーボネート樹脂が提案されている。
特許文献5では、芳香族ポリカーボネート樹脂と、特定の粘度を有するシリコーンワニスと、有機スルホン酸アルカリ金属塩とから成る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
特許文献6〜7では、ポリカーボネート樹脂と、T単位を含有し、かつフェニル基を含有するポリオルガノシロキサンと、特定の有機スルホン酸金属塩とからなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
そして、特許文献4〜7では、ポリオルガノシロキサンと併用する有機スルホン酸金属塩化合物として、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等のパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウムやトルエンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸金属塩化合物が好適であると提案されている。
特許第324972号公報 特開2001−152004号公報 特開2000−212460号公報 特許第3163596号公報 特開平11−263903号公報 特開平11−217494号公報 特開2000−302961号公報
しかしながら、特許文献4〜5で提案されているような有機スルホン酸金属塩とポリオルガノシロキサンをポリカーボネート樹脂に配合する難燃化方法は、ポリカーボネート樹脂に一定の難燃効果を付与することができるものの、近年要求されるような高度な難燃性(薄肉難燃性)のレベルを達成することが困難であり、未だ不十分であった。
これに対し、本発明者は有機スルホン酸金属塩の添加量を比較的多くすることで、さらに難燃性が高められることを確認しているが、機械物性や熱安定性、湿熱安定性、成形性、成形体とした場合の表面外観等の諸物性を著しく損なうという欠点があった。とりわけ、芳香族ポリカーボネート樹脂の本来有する耐衝撃性の著しい低下が課題であった。
上述のように、近年要求されるような高い難燃性と、耐衝撃性、熱安定性、及び湿熱安定性とを兼ね備える芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は未だ得られておらず、このような特性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が強く望まれていた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、芳香族ポリカーボネート樹脂の有する優れた機械、熱、電気的特性を損なわず、難燃性と、耐衝撃性、熱安定性、及び湿熱安定性とを兼ね備えた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及びそれからなる成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するべく、芳香族ポリカーボネート樹脂と特定のポリオルガノシロキサンと有機スルホン酸金属塩とを含有する樹脂組成物おいて、含有する有機スルホン酸金属塩の構造及び量と難燃性及び耐衝撃性、熱安定性、及び湿熱安定性との関係性について鋭意検討した。
この結果、驚くべきことに特定の有機骨格を有する有機スルホン酸金属塩を、芳香族ポリカーボネート樹脂に、特定の金属濃度となるように配合することで、優れた難燃性を有し、且つ、耐衝撃性、熱安定性、湿熱安定性にも優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、RSiO1.5で示される単位(前記式中、Rは炭素数1以上12以下の一価の炭化水素基を表す。)を全体のシロキサン単位(R0〜3SiO2.0〜0.5)に対して50モル%以上含有し、かつ含有する全炭化水素基(R)のうち芳香族基が50モル%以上を占めるポリオルガノシロキサンを0.1質量部以上5質量部以下と、C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸の金属塩を、金属濃度にして0.1ppm以上10ppm以下とを含有することを特徴とする。
このとき、フルオロポリマーを、該芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することが好ましい。
また、該金属塩は下記式(5)で表される部分構造を有する有機スルホニウム基と、金属元素とからなることが好ましく、
Figure 2010254888
下記式(6)で表される部分構造を有する有機スルホニウム基と、金属元素とからなることがさらに好ましく、
Figure 2010254888
1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸のアルカリ金属塩であることが、より好ましく、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸カリウムであることが特に好ましい。
さらに、該ポリオルガノシロキサンの芳香族基が、フェニル基であることも好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物成形体は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及び芳香族ポリカーボネート樹脂組成物成形体は、難燃性と、耐衝撃性、熱安定性、湿熱安定性とを同時に有する。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において各種化合物が有する「基」は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよい。
[1.概要]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、特定の構造を有するポリオルガノシロキサンと、C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸(以下、適宜「C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸」という。)の金属塩とを少なくとも含む組成物である。また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物はフルオロポリマーを含んでいることが好ましい。さらに、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、これら以外にその他の成分を含んでいても良い。
[2.芳香族ポリカーボネート樹脂]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が含有する芳香族ポリカーボネート樹脂の種類に制限は無い。また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
なお、本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(7)で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
Figure 2010254888
式(7)中、Aは一般には芳香族炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたAを用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限は無いが、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、芳香族ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしても良い。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;0−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤は芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、芳香族ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。中でも、例えばアルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただしなかでも、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有することにより、難燃性がさらに向上する傾向にある。分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、適宜「分岐芳香族ポリカーボネート樹脂」という。)の製造方法の例を挙げると、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの文献に記載の方法では、溶融エステル交換法により芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸のジエステルとを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を使用することなく、加水分解安定性に優れた分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する他の方法として、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂の原料である、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体の他に、三官能以上の多官能性化合物を用い、界面重合法または溶融ステル交換法にて、これらを共重合する方法が挙げられる。
三官能以上の多官能性化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(フロログルシン)、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類;
3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインド−ル(即ち、イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。中でも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
多官能性化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができる。多官能性化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、また、通常10モル%以下、好ましくは3モル%以下である。
なお、多官能性化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、上述した方法の中でも、上述の溶融エステル交換法によって分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する製造方法が特に好ましい。比較的安価で、工業的入手のしやすい原料により製造できるためである。このため、芳香族ポリカーボネート樹脂も、溶融エステル交換法により製造することが好ましい。
・芳香族ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは16000以上、より好ましくは18000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2010254888
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂単独(芳香族ポリカーボネート樹脂単独とは、芳香族ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、芳香族ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、芳香族ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有される芳香族ポリカーボネートリゴマーは、芳香族ポリカーボネート樹脂(芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらに芳香族ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生された芳香族ポリカーボネート樹脂は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる芳香族ポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生された芳香族ポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このような芳香族ポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[2.ポリオルガノシロキサン]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリオルガノシロキサンを含有する。このようなポリオルガノシロキサンを後述の金属塩と同時に含有することで、高い難燃性を得ることができる。
本発明におけるポリオルガノシロキサンは、RSiO1.5で示されるT単位を必須成分とするものであり、(i)前記のT単位を全体のシロキサン単位(R0〜3SiO2.0〜0.5)に対して所定濃度以上含有し、(ii)含有する全炭化水素基(R)のうち芳香族基が所定濃度以上を占めるものである。また、本発明におけるシリコーンレジンは、前記のT単位に加え、RSiO0.5で表されるM単位、RSiOで表されるD単位、及び、式SiOで表されるQ単位を含有することは、本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
以下、このシリコーンレジンの構成について詳細に説明する。
本発明におけるポリオルガノシロキサンは、通常、RSiO0.5で表される1官能基性のM単位、RSiO1.0で表される2官能基性のD単位、RSiO1.5で表される3官能基性のT単位、及び、SiO2.0で表される4官能基性のQ単位からなる群より選ばれる1種以上の繰り返し単位から構成されている。ここで、Rは炭素数1以上12以下の一価の炭化水素基を表す。なお、各Rは同じでもよく、異なっていてもよい。
前記のRは、炭素数が通常1〜12のアルキル基、炭素数が通常2〜12のアルケニル基、炭素数が通常6〜12のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜12のアルキル基の例を挙げると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられ、この中でメチル基が特に好ましい。炭素数2〜12のアルケニル基の例を挙げると、ビニル基、ブテニル基、アリル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基の例を挙げると、フェニル基、ナフチル基、トリル基等が挙げられ、この中ではフェニル基が特に好ましい。また、Rの一部が、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、アミノ基、メタロキシ基等の反応性官能基を含有していてもよい。
本発明におけるポリオルガノシロキサンは、上述したM単位、D単位、T単位及びQ単位等の各繰り返し単位が有する全炭化水素基(即ち、R)のうち、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、特に好ましくは100モル%を、芳香族基が占める。芳香族基の含有量が前記の範囲に満たない場合は、シリコーンレジン自体の耐熱性が低下し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造プロセスにおける溶融混練中にポリオルガノシロキサン自身が分解しやすいだけでなく、分解したポリオルガノシロキサンによって芳香族ポリカーボネート樹脂の分解までも誘発する可能性があり、さらには芳香族ポリカーボネート樹脂とシリコーンレジンとの相溶性が低下するため、分散性が低下し、十分な難燃性が得られにくい。特に、芳香族基の中でもフェニル基の含有量が前記の範囲に収まることが好ましい。
また、本発明におけるポリオルガノシロキサンは、前記のT単位を、全体のシロキサン単位(R0〜3SiO2.0〜0.5)に対して、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上含有するものであり、実質的に100モル%のものが特に好ましい。これは、ポリオルガノシロキサンを構成するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のうち、T単位の占める割合が所定濃度以上であることを意味する。T単位の含有量が所定濃度未満の場合は、ポリオルガノシロキサン自体の耐熱性が低下し、溶融混練時に分解しやすくなるだけでなく、難燃性も極端に低下する傾向にある。
このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、信越化学工業社製X−40−9805、X−40−9243、X40−9244、旭化成ワッカーシリコーン社製SILRES SY430、東レダウコーニング社製217FLAKE、SH−6018等が挙げられる。
さらに、本発明におけるポリオルガノシロキサンにおけるシラノール基の含有量は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下、特に好ましくは7.5質量%以下である。シラノール基の含有量を上述の範囲とすることで、高い難燃効果が得られる傾向にある。また、シラノール基含有量が多すぎると本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性や湿熱安定性が著しく低下する可能性がある。
なお、ポリオルガノシロキサンは水酸基の他にアルコキシ基を含有していてもよいが、その量は10質量%以下であることが好ましい。アルコキシ基が10質量%を超える場合は、ゲル化を引き起こしやすくなり、芳香族ポリカーボネート樹脂の機械物性の低下を招く可能性がある為である。
本発明におけるポリオルガノシロキサンの平均分子量(重量平均分子量)は特に制限はなく、適宜選択して用いればよいが、通常450以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、特に好ましくは1700以上であり、通常30万以下、好ましくは10万以下、より好ましくは20000以下、特に好ましくは15000以下である。重量平均分子量が前記範囲の下限値未満のものは製造が困難であり、またポリオルガノシロキサンの耐熱性も極端に低下する可能性がある。また、重量平均分子量が前記範囲の上限値を超えるものは、分散性に劣るためか難燃性が低減する傾向にあり、かつ芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械物性を低下させる傾向にある。なお、重量平均分子量は、通常GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)によって測定される。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂におけるポリオルガノシロキサンの含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上であり、通常5質量部以下、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、特に好ましくは3.5質量部以下である。シリコーンレジンの含有量が少なすぎると本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となる可能性があり、逆に多すぎても本発明の成形体の外観不良や機械的強度の低下、熱安定性の低下が生ずる可能性がある。
[3.金属塩]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸(即ち、C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸)の金属塩を含む。この本発明における金属塩を含有させることにより、高度な難燃性を有すると共に、優れた耐衝撃性、熱安定性、湿熱安定性等の諸物性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を実現できる。このように優れた効果が得られる理由は定かではないが、本発明者の検討によれば、ポリオルガノシロキサンとの併用する有機スルホン酸金属塩のうち、従来用いられてきた芳香族スルホン酸金属塩では、金属塩自体の耐熱性が低く、燃焼時に十分にポリオルガノシロキサンに作用することができず、結果難燃性向上効果が低くなると考えられる。また、芳香族スルホン酸金属塩は、構造上、疎水作用が弱いため、湿熱環境下における加水分解作用が大きく、結果、樹脂組成物の物性低下を引き起こすと考えられる。
また、C−F結合のみからなるパーフルオロアルキルスルホン酸の金属塩では、金属塩自体の耐熱性が高いため、燃焼時の高温下であっても芳香族スルホン酸金属塩と比較し、比較的難燃性を示す傾向にあるが、芳香族ポリカーボネート樹脂に対する分散性が極端に悪いため、高い難燃効果が得られにくく、また機械物性の低下を招く傾向にあると考えられる。添加量を多くすることで、難燃効果を向上させることもできるが、この場合は、樹脂組成物のさらなる耐衝撃性の低下や、熱安定性、湿熱安定性等の諸物性までも低下させることになる為、難燃性と諸物性のバランスをとることができないものと考えられる。
一方、C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸の金属塩では、上述のC−F結合のみからなるパーフルオロアルキルスルホン酸の金属塩と同様の理由で、難燃効果が得られやすく、さらにC−F結合の一部がC−Hに置き換わることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性が向上し、さらに高い難燃効果が得られると共に、分散不良による機械物性の低下を抑制できる。加えて、上述の分散性が高いことに起因し、比較的少量であっても難燃効果が得られ、さらには構造上、フッ素を含有する為、フッ素の撥水効果により、湿熱環境下であっても加水分解を引き起こしにくく、このような理由より、樹脂組成物の難燃性と耐衝撃性、熱安定性、湿熱安定性等の諸物性のバランスが極めて良好なものになると推察される。
本発明における金属塩は、C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸の金属塩である。ここで、本発明のおける金属塩の有機基であるC−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸は、パーフルオロアルキルスルホン酸のフッ素原子の一部が水素原子で置き換わった構造であれば特に制限はないが、以下の構造を有するものが好ましい。
本発明における金属塩の有機基であるC−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸において、アルキル基は鎖状でもよく、環状でもよい。また、前記アルキル基が鎖状である場合、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、前記アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、また、通常8以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸のアルキル基の炭素数がこの範囲に収まれることにより芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性が向上し、優れた難燃性、機械物性が得られやすいという利点が得られる。
また、C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸が有する水素原子の数は1以上であれば制限は無いが、通常3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1である。水素原子の数がこの範囲に収まれることにより、金属塩自体の耐熱性が向上し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の良好な熱安定性や色相が得られるという利点が得られる。
また、C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸が有するフッ素原子の数は1以上であれば制限は無いが、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは4以下である。フッ素原子の数がこの範囲に収まれることにより、金属塩自体の耐熱性が向上し、結果、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械物性の低下を抑制し、また有効な難燃性が得られやすいという利点が得られる。
さらに、C−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸が有するスルホ基の数は、1以上であれば制限は無いが、好ましくは2以下、より好ましくは1である。スルホ基の数がこの範囲に収まれることにより、金属塩自体の耐熱性が向上し、結果、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械物性の低下を抑制し、また熱安定性、湿熱安定性、色相に優れる傾向にあるという利点が得られる。
また、本発明におけるC−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸において、水素原子の位置は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、スルホン酸基が結合した炭素原子と、水素原子が結合した炭素原子とが結合していることが好ましい。このような構造を有するC−H結合含有フルオロアルキルスルホン酸は、製造コストが安価だからである。よって、本発明における金属塩は、下記式(8)で表される部分構造を有する有機スルホニウム基と、金属元素からなることが好ましい。
Figure 2010254888
式(8)で表される部分構造を有する本発明における金属塩の中でも、特に、下記式(9)で表される有機スルホニウム基と金属元素とからなるものが特に好ましい。
Figure 2010254888
前記式(9)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、一価炭化水素基、フルオロアルキル基、及びオキシフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。
ここで、一価炭化水素基は、一価の任意の炭化水素基を用いることができる。ただし、その炭素数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、また、通常14以下、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。一価炭化水素基の炭素数がこの範囲に収まれることにより芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性が向上し、難燃性が得られやすいという利点が得られる。
一価炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。また、鎖状であっても環状であってもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。その例を挙げると、メチル基、エチル基等の鎖状アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基等のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;などが挙げられる。
また、前記のフルオロアルキル基及びオキシフルオロアルキル基において、アルキル基は鎖状でもよく、環状でもよい。また、前記アルキル基が鎖状である場合、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、前記アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、また、通常14以下、好ましくは6以下、より好ましくは2以下である。アルキル基の炭素数がこの範囲に収まれることにより芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性が優れ、難燃性が得られやすいという利点が得られる。
なお、フルオロアルキル基及びオキシフルオロアルキル基は、それぞれ、パーフルオロアルキル基及びパーオキシフルオロアルキル基であることが好ましい。
前記のフルオロアルキル基の例を挙げると、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも、トリフルオロメチル基が好ましい。
また、オキシフルオロアルキル基の例を挙げると、オキシトリフルオロメチル基、オキシペンタフルオロエチル基、オキシヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも、オキシトリフルオロメチル基が好ましい。
上述したものの中でも、R及びRは、それぞれ独立に、フッ素原子、フルオロアルキル基、またはオキシフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子またはフルオロアルキル基であることがより好ましく、フッ素原子であることが特に好ましい。工業的に入手しやすいためである。よって、下記式(10)で表される有機スルホニウム基と金属元素からなるものが特に好ましい。
Figure 2010254888
前記式(10)で表される金属塩の例を挙げると、下記式(11)〜(15)で示すものが挙げられる。なお、下記式(11)〜(15)においても、Mは金属元素を表す。
Figure 2010254888
Figure 2010254888
Figure 2010254888
Figure 2010254888
Figure 2010254888
なかでも、式(11)で表される、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸金属塩、及び式(12)で表される1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホン酸金属塩が好ましく、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸金属塩が特に好ましい。
本発明における金属塩が有する金属元素は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であることが好ましい。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制して難燃性をより高めることができると共に、芳香族ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械物性、熱安定性、湿熱安定性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できるからである。
このうち、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。中でも、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムが好ましい。また、アルカリ土類金属よりはアルカリ金属が好ましく、このため、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムがより好ましく、ナトリウム、カリウムがさらに好ましく、カリウムが特に好ましい。
本発明における金属塩のうち好ましいものの具体例を挙げると、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸カリウム、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸セシウム、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホン酸カリウム、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホン酸セシウムなどが挙げられる。この中でも、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸カリウムが特に好ましい。
なお、本発明における金属塩は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が含有する本発明における金属塩の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、金属濃度にして、0.1ppm以上、好ましくは0.15ppm以上、より好ましくは0.3ppm以上、さらに好ましくは0.5ppm以上であり、また、10ppm以下、好ましくは8.5ppm以下、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下、特に好ましくは1.5pm以下である。金属濃度にして、前記範囲の下限値を下回ると本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分になる可能性がある。また、前記範囲の上限値を上回ると、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性、熱安定性、湿熱安定性を低下させる可能性がある。
ここで、「金属濃度(ppm)」とは、芳香族ポリカーボネート中に、含有する金属の割合であり、含有させる金属塩の「金属含有率(%)」と、「芳香族ポリカーボネート100質量部に対する金属塩の含有量(質量%)」との積を意味し、下記式により算出した値である。
Figure 2010254888
上記の計算式に用いる各元素の原子量については、IUPACが定める値を採用する。例えば、H=1.01、Li=6.94、Be=9.01、C=12.0、N=14.0、O=16.0、F=19.0、Na=23.0、Mg=24.3、Al=27.0、S=32.1、K=39.1、Ca=40.1、Rb=85.5、Sr=87.6、Cs=132、Ba=137等の数を採用できる。
[4.フルオロポリマー]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物はフルオロポリマーを含有してもよい。このようにフルオロポリマーを含有することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させることができ、特に滴下防止効果を効果的に高めることが可能である。
このフルオロポリマーとしては、フッ素を有する公知のポリマーを任意に選択して使用できるが、中でもフルオロオレフィン樹脂が好ましい。
フルオロオレフィン樹脂としては、例えば、フルオロエチレン構造を含む重合体や共重合体が挙げられる。その具体例を挙げると、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられる。中でもテトラフルオロエチレン樹脂等が好ましい。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が好ましい。
フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂としては、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製テフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業社製ポリフロンF201L、ポリフロンF103等が挙げられる。
また、フルオロエチレン樹脂の水性分散液として、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン(登録商標)30J、ダイキン化学工業社製フルオンD−1等も挙げられる。
さらに、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するフルオロエチレン重合体も、フルオロポリマーとして使用することができる。その具体例を挙げると、三菱レイヨン社製メタブレンA−3800、GEスペシャリティーケミカル社製ブレンデックスB449等が挙げられる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂におけるフルオロポリマーの含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは0.15質量部以上であり、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.4質量部以下、特に好ましくは0.35質量部以下である。フルオロポリマーの含有量が少なすぎると本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となる可能性があり、逆に多すぎても本発明の成形体の外観不良や機械的強度の低下が生ずる可能性がある。
[5.その他の成分]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、芳香族ポリカーボネート樹脂の他の樹脂や各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・他の樹脂
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
以下、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
・・熱安定剤
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。これらの中でも、下記式(16)〜(17)で表される有機ホスファイト化合物が好ましい。
Figure 2010254888
Figure 2010254888
上記式(16)〜(17)において、R、R、R、R及びRはアルキル基またはアリール基を表す。なかでもR、R、R、R及びRは、炭素数が通常1以上、好ましくは2以上であり、通常30以下、好ましくは25以下のアルキル基、または、炭素数が通常6以上であり、通常30以下のアリール基であることがより好ましい。さらに、R、R、R及びRはアルキル基よりもアリール基が好ましく、Rは、アリール基よりもアルキル基が好ましい。なお、R、R、R、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
このような有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、アデカ社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、熱安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると、熱安定効果が不十分となる可能性があり、多すぎる場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・・酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
なお、酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
酸化防止剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤が少なすぎると酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、多すぎる場合は効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・・離型剤
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が少なすぎると離型性の効果が十分でない場合があり、多すぎると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
・・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、中でも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ701」、「シーソーブ705」、「シーソーブ703」、「シーソーブ702」、「シーソーブ704」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−n−ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられ、このようなベンゾフェノン化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」、共同薬品社製「バイオソーブ100」、「バイオソーブ110」、「バイオソーブ130」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ10」、「ケミソーブ11」、「ケミソーブ11S」、「ケミソーブ12」、「ケミソーブ13」、「ケミソーブ111」、BASF社製「ユビヌル400」、BASF社製「ユビヌルM−40」、BASF社製「ユビヌルMS−40」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV9」、「サイアソーブUV284」、「サイアソーブUV531」、「サイアソーブUV24」、アデカ社製「アデカスタブ1413」、「アデカスタブLA−51」等が挙げられる。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられ、このようなサリシレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ201」、「シーソーブ202」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ21」、「ケミソーブ22」等が挙げられる。
シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられ、このようなシアノアクリレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ501」、共同薬品社製「バイオソーブ910」、第一化成社製「ユビソレーター300」、BASF社製「ユビヌルN−35」、「ユビヌルN−539」等が挙げられる。
オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられ、このようなオキザリニド化合物としては、具体的には例えば、クラリアント社製「サンデュボアVSU」等が挙げられる。
マロン酸エステル化合物としては、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類、特に2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類が挙げられ、このようなマロン酸エステル系紫外線吸収剤としては、具体的には例えば、クラリアントジャパン社製「PR−25」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「B−CAP」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、多すぎるとモールドデボジット等が生じる可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・・染顔料
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
染顔料の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは3質量以下、より好ましくは2質量部以下である。染顔料の含有量が多すぎると耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
[6.芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限は無く、例えば、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂及びポリオルガノシロキサン、金属塩、並びに、必要に応じて配合されるフルオロポリマー及びその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて予め混合した後、例えばバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練することによって製造できる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度他の成分と混合し、溶融混練することによって本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。この場合、金属塩を予め芳香族ポリカーボネート樹脂と混合してマスターバッチを調製してから、他の成分と混合、溶融混練すると、分散性に優れることがあり、また押出作業性に優れるため、好ましい。また、金属塩の分散性を上げる目的で、予め水や有機溶剤等の溶媒に金属塩を溶解してから混練することもできる。
[7.利点]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、高い難燃性を有し、更に、高い耐衝撃性を有する。また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、通常、耐熱性も、熱安定性、湿熱安定性も高いという利点も有している。
[8.成形体]
上述した本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、通常、何らかの形状に成形して成形体(本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物成形体)として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の例を挙げると、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などが挙げられる。これらの中でも、特に電気・電子機器やOA機器、情報端末機器、家電製品のハウジング、カバー部材、車輌外装・外板部品、内装部品へ用いて好適である。
前記の電気・電子機器やOA機器、情報端末機器、家電製品のハウジング、カバー部材としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ、携帯オーディオプレーヤーなどのハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチ部材が挙げられる。
また、上記の車輌外装・外板部品、内装部品としては、例えば、へッドランプ、ヘルメットシールド、インナードアハンドル、センターパネル、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーションなどのディスプレイハウジング、車内照明機器部材などが挙げられる。なお、車輌は自動車に限ることはなく、二輪自動車、農業用、土木建築用特殊車輌、鉄道車輌等も含まれる。
成形体の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形法、IMC(インモールドコ−ティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を採用することもできる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
[樹脂ペレットの製造]
後述する表2に記した各成分を、表3及び表4に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得た。
[UL試験用試験片の作製]
上述の製造方法で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1mmの試験片を成形した。得られた成形体をUL試験用サンプルとして、以下の要領で難燃性の評価を行った。
各芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、UL試験用サンプルを温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリー(UL)ULが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 2010254888
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。結果を表3〜表4に示す。
[ASTM試験片の作製]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で射出成形し、ASTM D256に準拠したIzod衝撃試験片(3.2mm厚のノッチ付き試験片)、シリンダー温度280℃及び310℃の条件でASTM D638に準拠したASTMダンベル試験片(3.2mm厚の試験片)を成形した。
各芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性の評価は、ASTM D256に準拠して、上記で作製したIzod衝撃試験片(3.2mm厚のノッチ付き試験片)を使用し、23℃においてIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。結果を表3〜表4に示す。なお、表3〜表4中、「耐衝撃性」と表記する。
各芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性の評価は、ASTM D638に準拠して、上記で作製したASTMダンベル試験片(310℃成形)を用いて、23℃において引張試験(速度20mm/min.)を行う、引張破断強度(単位:MPa)を測定した。結果を表3〜表4に示す。なお、表3〜表4中、「熱安定性」と表記する。
各芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の湿熱安定性の評価は、上記で作製したASTMダンベル試験片(290℃成形)を、120℃の飽和水蒸気下、4時間の条件でプレッシャークッカー試験(PCT)を行い、その後、ASTM D638に準拠して、23℃において引張試験(速度20mm/min.)を行う、引張破断強度(単位:MPa)を測定した。結果を表3〜表4に示す。なお、表3〜表4中、「湿熱安定性」と表記する。
Figure 2010254888
Figure 2010254888
Figure 2010254888
表3および表4から、芳香族ポリカーボネート樹脂と、特定のポリオルガノシロキサンと、C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸の金属塩C−1とを含み、且つ、金属塩C−1の金属濃度が所定の範囲に収まるもの(実施例1〜3)は、難燃性に優れると共に、耐衝撃性、熱安定性、湿熱安定性が同時に優れることが分かる。一方、金属塩C−2を含む比較例2では、難燃性が不十分であり、C−2の含有量が多い比較例3では難燃性が良好なものになるが、耐衝撃性が低下し、さらに熱安定性、湿熱安定性が極端に低下する。また、金属塩C−3を含有する比較例4および比較例5では、難燃性、湿熱安定性が不十分である。
本発明は産業上の幅広い分野に利用することが可能であり、例えば、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などの分野に用いて好適である。

Claims (8)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100質量部に対し、
    RSiO1.5で示される単位(前記式中、Rは炭素数1以上12以下の一価の炭化水素基を表す。)を全体のシロキサン単位(R0〜3SiO2.0〜0.5)に対して50モル%以上含有し、かつ含有する全炭化水素基(R)のうち芳香族基が50モル%以上を占めるポリオルガノシロキサン(b)を、0.1質量部以上5質量部以下と、
    C−H結合を含有するフルオロアルキルスルホン酸の金属塩(c)を、金属濃度にして0.1ppm以上10ppm以下とを含有する
    ことを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100質量部に対し、さらにフルオロポリマー(d)を0.01〜1質量部含有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 金属塩(c)が、下記式(1)で表される部分構造を有する有機スルホニウム基と、金属元素とからなる
    ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2010254888
  4. 金属塩(c)が、
    下記式(2)で表される部分構造を有する有機スルホニウム基と、
    金属元素とからなる
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2010254888
  5. 金属塩(c)が、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸のアルカリ金属塩である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 金属塩(c)が、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸カリウムである
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. ポリオルガノシロキサン(b)の芳香族基が、フェニル基である
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る
    ことを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物成形体。
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