JP2010249729A - 金成分を含んだ機能性粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】より好適な態様を有する「標的物質が結合可能な粒子」を提供する。
【解決手段】粒子は、その表面に、金被膜(金コーティング)および/または金粒子が設けられていることを特徴としている。金被膜および/または金粒子は、硫黄原子に対して結合性を有し得るため、「標的物質と結合する物質または官能基」に含まれる硫黄原子に起因して、「標的物質と結合する物質または官能基」を容易に粒子に固定化できる。かかる固定化が施された粒子は、標的物質との共存により相互に結合し得るので、標的物質の分離、精製または抽出などの種々の用途に対して用いることができるだけでなく、テーラーメード医療技術の用途に対しても用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、金成分を含んだ機能性粒子に関する。より詳細には、本発明は、標的物質の分離、固定化、分析、抽出、精製、反応などに適した「金成分を含んだ機能性粒子」に関する。
標的物質の定量、分離、精製および分析等の生化学用途に利用される機能材として、標的物質と特異的に結合または反応する複合粒子が従来より知られている(特許文献1参照)。かかる複合粒子は、磁性を帯びており、例えば非磁性のビーズ中に磁性体材料を含ませることによって形成されている。標的物質の分離に際しては、まず、標的物質が含まれる試料中に複合粒子を供し、複合粒子の表面に標的物質を結合させる。次いで、磁場の印加により複合粒子を移動させて集合・凝集させ、その後、集合・凝集した複合粒子を回収することによって、複合粒子に結合した標的物質を回収している。このような磁場または磁気を用いた手法(以下では「磁気分離」とも称す)は、遠心分離法、カラム分離法または電気泳動法などの手法に比べて、少量の試料に対しても実施でき、また、標的物質を変性させずに短時間で実施できる特徴を有している。しかしながら、用いる複合粒子の密度が1.0g/cm〜3.4g/cmと小さいので、複合粒子を効率的に凝集させにくいものであった。このように複合粒子の密度が比較的小さい理由は、密度の低い樹脂やシリカを母材とし、その内部に磁性粉材料を分散させて複合粒子化しているからである。つまり、複合粒子の密度は磁性粉材料の量に依存することになるところ、磁化量から計算すると磁性粉材料の含率は高々20重量%程度にすぎず、複合粒子の密度は母材の低い材料密度に近い値となっている。
一方、密度の大きいジルコニア粒子を使用する例が特許文献2に記載されているものの、特許文献2に記載されているジルコニア粒子は、三次元内部貫通ネットワーク(即ち、貫通孔)を持つ多孔質から成るものであり、標的物質の分離に際して非特異結合が生じやすい。即ち、標的物質以外の物質が粒子に結合しやすく、所望の標的物質を優先的に粒子に結合させて分離することが困難である。また、特許文献2に記載されているジルコニア粒子は、多孔質であるために、かかる粒子を、標的物質を含んだ試料に供する際に空気などの気体が粒子内に取り込まれてしまう。その結果、取り込んだ気体の浮力などが作用して試料中で粒子を移動・凝集させにくくなり、標的物質の分離にとっては好ましくない(即ち、標的物質の分離に要する時間が長くなってしまう)。
このような粒子の多くは、標的物質を結合させるべく官能基処理が施されている場合が多い。官能基処理されることによって「標的物質が結合可能な官能基」が粒子に導入され、得られる粒子を機能材として用いることができる。しかしながら、官能基処理された粒子を得る際、縮合剤のような他の反応試薬を付加的に使用しなければならない場合が多い。また、そのような官能基処理された粒子は、水との反応に起因して不活性化することになり、標的物質と反応できなくなるので、水中での長期保存に適さない場合がある。
ここで、金コロイドというものは、チオール基との結合性や発色性、安定性の点から、標識用粒子として診断用や研究用に用いられている。しかしながら、金自体は高価なために、定量、分離、精製の用途に用いるべくミクロンサイズやミリメートルサイズの金単一の高密度粒子としては使用されていなかった。さらに、金は磁性を持たないために金単体の粒子では用途が限定されていた。
特表平04−501956号公報 特表平09−503989号公報
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、より好適な態様を有する「標的物質が結合可能な粒子」を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく機能性粒子について発明を行い、その発明に関する出願を既に行っているが(WO2007/126151)、更に発展的に鋭意検討することによって、本願発明を完成するに至った。かかる本願発明は、標的物質が結合可能な粒子であって、粒子本体の表面に金被膜および/または金粒子が設けられている粒子である。
本発明の粒子は、その表面に、金被膜(金コーティング)および/または金粒子が設けられていることを特徴としている。金被膜および/または金粒子は、硫黄原子に対して結合性を有し得るため、「標的物質と結合する物質または官能基」に含まれる硫黄原子に起因して、「標的物質と結合する物質または官能基」を容易に粒子に固定化できる。かかる固定化が施された粒子は、標的物質との共存により相互に結合し得るので、標的物質の分離、精製または抽出などの種々の用途に対して用いることができるだけでなく、テーラーメード医療技術の用途に対しても用いることができる。
例えば、粒子本体の表面に金被膜を有する場合では、本発明の粒子は、「金属酸化物等から成る密度の大きな前駆体粒子から成るコア部分」と「標的物質を結合させることが可能な金を表面層として有するシェル」とから構成され得る。
ある好適な態様では、本発明の粒子は、密度が3.5g/cm〜23g/cmとなっており、標的物質の分離に一般的に用いられる粒子よりも密度(または比重)が大きくなっている。また、ある好適な態様では、本発明の粒子は、粒子本体に貫通孔が形成されておらず、多孔質形態を有していない。換言すれば、本発明の粒子では、粒子の比表面積が0.0005m/g〜1.0m/gと比較的小さくなっており、実質的に非多孔質形態となっている。
本発明の粒子においては、チオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基で修飾した「標的物質に結合可能な物質」が固定化されていることが好ましい。「標的物質に結合可能な物質」としては、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンおよびニュートラアビジンから成る群から選択される少なくとも1種以上の物質であってよい。あるいは、チオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基を有すると共に、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、トシル基、スクシンイミド基、マレイミド基、硫化物官能基(例えばチオール基、チオエーテル基もしくはジスルフィド基)、アルデヒド基、アジド基、ヒドラジド基、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、イミドエステル基、カルボジイミド基、イソシアネート基、ヨードアセチル基、アシル基、または、二重結合を「標的物質が結合可能な官能基」として有して成るリンカーが本発明の粒子に固定化されていることが好ましい。
本発明では、粒子表面に金被膜および/または金粒子が設けられていることに起因して、より好適な態様で「標的物質が結合可能な粒子」を得ることができる。特に、縮合剤のような他の反応試薬を付加的に使用することなく、「標的物質が結合可能な物質または官能基」を粒子本体に容易に導入・固定化できる。
また、本発明では、従来の金コロイドの知見を活用し、チオール基・チオエーテル基・ジスルフィド基などを用いて容易に生体分子の結合を行うことができるので、所望の粒子を容易に設計できる。例えば、本発明の粒子は、チオール基等の「硫黄原子含有の官能基または物質」を介して生体物質と結合し得るので、特定の検体(標的物質)と特異的に結合又は反応させるなどの機能を発揮させやすい。
また、本発明の粒子では、金を表層部に有するために、水などの溶媒に対して耐性を有し、そのような溶媒中での長期保存に適している。
更に、本発明では、金コートされうる複合粒子の材料(例えば、粒子本体の材質)を調整することで、金の結合特性を保持したまま、流体中での分散性、外部磁場に対する応答性などを目的に応じて適宜最適なものとすることが出来る。
本発明の粒子では、粒子密度が「3.5g/cm〜23g/cm」と大きいので、自然沈降だけでも、基本的には短時間で分離可能である。つまり、本発明の粒子は、高密度粒子であって、遠心分離などといった手法に頼らずとも自然沈降だけで粒子の分離が可能である。この自然沈降に磁気分離作用を付加する場合では(即ち、本発明の粒子に磁性を付加的に持たすことによって)、従来よりも高速に粒子の分離が可能となる。高速に粒子の分離ができるということは、複雑な機構を用いずに標的物質の分離、抽出、精製または反応などを行うシステムが構築でき、また、そのようなシステムの小型化またはチップ化にとっても有効となることを意味している。
ここで、本発明の粒子は、密度のみならず比表面積の点でも自然沈降にとって好適となっている。「比表面積」に関して説明すると、比表面積が大きい多孔質粒子の場合には、粒子内部に間隙部が多いので、標的物質を含んだ試料に粒子を供する際に空気などの気体が粒子内部に取り込まれた状態となり、結果的に、取り込んだ気体の浮力などが作用して沈降速度が遅くなり得るが、本発明の粒子は、貫通孔を有しておらず、比表面積が0.0005m/g〜1.0m/gと実質的に非多孔質であるために、そのような不利な気体の影響を排除することができる。また、本発明の粒子は実質的に非多孔質とみなせることに起因して、標的物質以外の物質が粒子に結合する非特異結合を抑えることもできる。換言すれば、粒子の非多孔質(非多孔性)に起因して、標的物質以外の物質が吸収・吸着され得る粒子細孔または粒子表面が少なく又は実質的に存在しておらず、その結果、標的物質以外の物質が粒子に結合することを抑制できる。このように、本発明の粒子では、非特異結合を抑えることができるので、簡易な操作だけで、高効率で標的物質の分離や精製を実施できる。
以上のように、本発明の粒子は、その粒子の使用態様のみらならず、その調製などにおいても好適な機能性粒子であるといえる。
以下にて、本発明の粒子を詳細に説明する。
本発明の粒子は、標的物質が結合可能な粒子であって、粒子本体の表面に金被膜および/または金粒子が設けられている。より好ましくは、本発明の粒子は、密度の大きな材料から成る粒子本体部と、生体物質と結合させるための金部分(金被膜および/または金粒子)とを含んで成る。換言するならば、本発明の粒子は、“密度の大きな材料から成るコア部”と“生体物質と結合させるための金を含んだシェル部”とから構成されている。本発明の粒子には、後述するように必要に応じて磁性層または磁性部分を設けてもよい。
本発明の粒子は、密度が3.5g/cm〜23g/cmとなっており、標的物質の分離に好適な密度を有している。換言すれば、本発明の粒子は、分離速度が高いものとなっており、遠心分離などといった手法に頼らずとも自然沈降だけで粒子の分離が可能となる。本明細書において「自然沈降」とは、重力の作用を受けて粒子が液体中を沈降することを指している。また、本明細書において「分離」とは、標的物質を含んだ試料(例えば、ヒト又は動物の尿、血液、血清、血漿、精液、唾液、汗、涙、腹水、羊水等の体液;ヒト又は動物の臓器、毛髪、皮膚、爪、骨、筋肉又は神経組織等の懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;便懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;培養細胞又は培養組織の懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;ウィルスの懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;菌体の懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;土壌懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;植物の懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;食品・加工食品懸濁液、抽出液、溶解液又は破砕液;排水等)から標的物質を分離することを指しており、より具体的には、試料中に含まれる標的物質を粒子に結合させた後、標的物質が結合した粒子を移動させることによって標的物質を試料から選別することを実質的に意味している。そして、「分離速度」とは、標的物質が結合した粒子が試料中を移動する速度を実質的に指しており、自然沈降に対して用いる場合では粒子の沈降速度を実質的に意味している。分離速度が大きい場合では、試料から標的物質を分離するのに要する時間が短くて済むことになる。尚、「標的物質」とは、分離のみならず、抽出、定量、精製または分析などの種々の対象になり得る物質を実質的に意味しており、粒子に直接的または間接的に結合できるものであれば、いずれの種類の物質であってもかまわない。具体的な標的物質としては、例えば、核酸、蛋白質(例えばアビジンおよびビオチン化HRPなども含む)、糖、脂質、ペプチド、細胞、真菌、細菌、酵母、ウィルス、糖脂質、糖蛋白質、錯体、無機物、ベクター、低分子化合物、高分子化合物、抗体または抗原等を挙げることができる。本発明の粒子は、このように種々の標的物質の分離、精製、抽出もしくは分析に用いることができる点で、種々の機能を奏するものといえ、それゆえ、本発明の粒子を「機能性粒子」と呼ぶことができる。
尚、密度に関して詳述しておくと、粒子の密度が3.5g/cmよりも小さくなると、自然沈降のみによる粒子の移動速度が実用上好ましくない一方、密度が23g/cmよりも大きい粒子は、現存する物質の密度を考慮すると製造が現実的に困難である。従って、本発明の粒子の密度は、3.5g/cm以上かつ23g/cm以下であり、好ましくは4g/cm以上かつ20g/cm以下、より好ましくは5g/cm以上かつ15g/cm以下(例えば「5g/cm以上かつ10g/cm以下」程度)である。ここでいう「密度」とは、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とする真密度を意味しており、ユアサアイオニクス社製の真密度測定装置ウルトラピクノメーター1000を使用することによって求められる値を意味している。
本発明の粒子は、粒子本体に貫通孔が実質的に形成されておらず、多孔質形態となっていないという特徴も有している。このことは、本発明の比表面積が0.0005m/g〜1.0m/gと比較的小さくなっていることからも理解できる。「粒子本体に貫通孔が実質的に形成されていない」とは、粒子本体が実質的に中実であり、粒子が内部貫通ネットワーク構造を有さないことを意味している。即ち、本明細書にいう「粒子本体に貫通孔が実質的に形成されていない」とは、「粒子本体または粒子本体コア部が中実である」、「粒子表面が凹凸状になっていても、凹部が粒子内部にまで存在しない」、及び「一般的な多孔質粒子と比べた場合、かさ密度がより大きいこと」と同義である。
本発明の粒子は、密度が大きいだけでなく、比表面積が0.0005m/g〜1.0m/gと比較的小さく、実質的に非多孔質とみなすことができるので、標的物質以外の物質が粒子に結合する非特異結合を抑えることができる。また、“非多孔質”ゆえ、粒子が貫通孔(即ち、内部貫通ネットワーク構造)などを有していないので、標的物質を含んだ試料に粒子を供する際に空気などの気体が粒子内部に取り込まれることが抑制され、自然沈降させるだけでも十分な分離速度を得ることができる。
本発明の粒子の比表面積は、0.0005m/g〜1.0m/gの範囲内であれば特に制限はなく、例えば「0.005m/g〜0.5m/g」、「0.001m/g〜0.2m/g」、「0.0006m/g〜0.004m/g」あるいは「0.0005m/g〜0.005m/g」(例えば、0.02〜0.05m/gなど)であり得る。本明細書にいう「比表面積」は、比表面積細孔分布測定装置Belsorp−mini(日本ベル社製)を使用することによって求めた比表面積値のことを指している。
本発明の粒子本体の材質は、上述のような密度・比表面積に資するものであれば、特に限定されるものではない。好ましくは、粒子本体は、金属、金属酸化物または合金から形成されており、例えば、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、W(タングステン)、Rh(ロジウム)、Os(オスミウム)、Re(レニウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、Hf(ハフニウム)、およびTa(タンタル)から成る群から選択される少なくとも1種類以上の遷移金属元素を含んで成る。あるいは、本発明の粒子本体は、例えば、Al(アルミニウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)およびTl(タリウム)から成る群から選択される少なくとも1種類以上の典型金属元素を含んで成る。かかる遷移金属元素と典型金属元素とが混在して成る粒子本体であってもかまわない。金属酸化物の場合は、例えば、ジルコニア(酸化ジルコニウム、イットリウム添加酸化ジルコニウム)、酸化鉄およびアルミナから成る群から選択される少なくとも1種以上の材料から粒子本体が形成されていることが好ましい。
本発明の粒子は、“磁性”を有していなくても短時間の分離に供し得るものであるが、付加的には“磁性”を帯びていてもよい(以下、磁性を帯びている本発明の粒子を「磁性粒子」とも称す)。なぜなら、粒子の磁気分離操作を補助的に行うことができるからである。つまり、試料中にて「金被膜および/または金粒子を備えた磁性粒子」をより速く移動させることができ、標的物質(より具体的には「粒子に結合した標的物質」)をより短時間で分離することが可能となる。また、磁気により、上下方向や水平移動といった磁気移動も可能となる。
磁性粒子の材質は、粒子が磁性を帯びることになる限り、特に限定されるものではない。例えば、粒子本体が、フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄ならびに「遷移金属および鉄を含んで成る酸化物」から成る群から選択される少なくとも1種以上の鉄酸化物を含んで成るものであってよい。あるいは、粒子本体が、ニッケル、コバルト、鉄およびそれらの金属を含んで成る合金から成る群から選択される少なくとも1種以上の金属材料を含んで成るものであってよい。上記の「遷移金属および鉄を含んで成る酸化物」は、ガーネット構造を有するものが好ましい。このような「遷移金属および鉄を含んで成るガーネット構造の酸化物」は、一般的にYIGと呼ばれるものであり、例えば、YFe12の組成式で表される化合物やこの化合物のYの一部をビスマスで置換したBi3−xFe12(0<X<3)である。
磁性粒子の粒子本体は、“磁性を帯びていない粒子本体前駆体”を磁性物質でコーティングすることによって形成してもよい。磁性物質のコーティングに際しては、無電解メッキ法、電気メッキ法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法またはメカノケミカル法などを用いることができる。なお、ここでいう「磁性を帯びていない粒子本体前駆体」とは、例えば、Cu等から成る粒子本体前駆体を意味しており、「磁性物質」としては、上述の磁性材質と同様、フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄、または、遷移金属および鉄を含んで成るガーネット構造の酸化物などの鉄酸化物を挙げることができるだけでなく、ニッケル、コバルト、鉄、または、それらの金属を含んで成る合金も挙げることができる。粒子本体前駆体の表面に形成される磁性物質コーティングが少なすぎると、最終的に得られる粒子の磁化の値が小さくなり、所望の磁気分離特性が得られない可能性がある。従って、磁性物質コーティングの体積が、粒子本体の体積に対して5%以上であることが好ましい。磁性物質コーティングの厚さは、粒子本体の直径に対して1.7%以上であることが好ましい。ちなみに、磁性物質コーティングを「磁性を帯びていない粒子本体前駆体」に供する態様のみならず、「磁性を帯びていない粒子前駆体」の中に磁性物質を含ませる態様であってもよい。
粒子の磁気特性としては、例えば飽和磁化および保磁力がある。一般に、飽和磁化の値が大きいほど磁界に対する粒子の応答性が向上する。ここで、本発明のような密度が比較的大きい粒子を製造するには、磁性を帯びていない粒子の表面もしくは内部に磁性物質を持たすことが好ましい。磁性物質は磁性を帯びていない粒子よりも密度が小さいことが多いために、供する磁性物質の量を制限することによって必要な密度を維持しなければならず、85A・m/kgよりも大きい飽和磁化を得ることは実際には困難である。その一方、飽和磁化が0.5A・m/kgよりも小さいと磁界に対する粒子の応答性が必要以上に低下するために好ましくない。従って、本発明の粒子の飽和磁化は、好ましくは0.5A・m/kg〜85A・m/kg(0.5emu/g〜85emu/g)であり、より好ましくは3A・m/kg〜10A・m/kg(3emu/g〜10emu/g)である。また、一般に、保磁力の値が大きくなると粒子が凝集し易くなる。しかしながら、保持力の値が大きすぎると凝集作用が強くなりすぎ、粒子が分散しなくなってしまう。そのため、保磁力は、好ましくは、0kA/m〜23KA/m(0〜300エルステッド)であり、より好ましくは0kA/m〜15.95kA/m(0〜200エルステッド)であり、更に好ましくは0kA/m〜7.97kA/m(0〜100エルステッド)である。
本明細書の「飽和磁化」および「保磁力」の値は、振動試料型磁力計(東英工業製、型式VSM−5)を用いて測定される値のことを指している。具体的には、「飽和磁化」は、797kA/m(10キロエルステッド)の磁界を印加した際の磁化量から求められる飽和磁化の値である。「保磁力」は、797kA/mの磁界を印加した後、磁界をゼロに戻し、更に、磁界を逆方向に徐々に増加させた場合において、磁化量がゼロになる印加磁界の値である。
本発明の粒子の形状は特に制限はなく、例えば、球形状、楕円体形状、粒形状、板形状、針形状または多面体形状(例えば立方体形状)等であってよい。尚、磁性を帯びていない粒子本体前駆体に磁性物質をコーティングすることを通じて本発明の粒子を得る場合では、「磁性を帯びていない粒子前駆体」が球形状または楕円体形状を有していることが好ましい。
本発明の粒子の平均サイズ(即ち「平均粒子サイズ」)は5μm〜2cmであることが好ましい。平均粒子サイズが5μmよりも小さいと、標的物質の分離に際して粒子の自然沈降による移動速度を十分に大きくすることができない一方、平均粒子サイズが2cmよりも大きいと、粒子自体を測定することや、分析機器内で粒子を用いることが困難となる。より好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜500μmの平均粒子サイズであり、例えば10μm〜30μmの平均粒子サイズである。ここでいう「粒子サイズ」とは、粒子のあらゆる方向における長さのうち最大となる長さを実質的に意味しており、「平均粒子サイズ」・「平均サイズ」とは、粒子の電子顕微鏡写真または光学顕微鏡写真に基づいて例えば30個の粒子のサイズを測定し、その数平均として算出した粒子サイズを実質的に意味している。ちなみに、純金属から成る粒子はサイズが小さくなると、急激な酸化が生じやすく、場合によっては粒子が発火する危険性があるが、本発明のような比較的大きい粒子サイズでは、急激な酸化が生じにくく、粒子が発火する危険性は低減されている。
本発明の粒子は、上述したように、粒子本体表面に金被膜および/または金粒子が設けられている(つまり、金の形態としては、“殻状層の形態”や“粒子として担持された形態”となっている)。金被膜の平均厚さは、好ましくは1nm〜10μm程度となっている。金被膜は、粒子本体表面を全体的に覆うように形成されている態様のみならず、粒子本体表面の少なくとも一部を覆うように形成されている態様であってもよい。金被覆の形成には、無電解メッキ法、電気メッキ法、置換メッキ法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法またはメカノケミカル法などを用いることができる。例えば、無電解メッキ法を挙げると、粒子本体にニッケルメッキを行い、さらに置換メッキで金メッキをすることによって、粒子本体表面に金被覆を形成できる。
粒子本体表面に金粒子が設けられている態様では、金粒子は2nm〜300nm程度の平均粒子サイズを有していることが好ましい。金被膜と同様、金粒子が、粒子本体表面を全体的に覆うように設けられている態様のみならず、粒子本体表面の少なくとも一部を覆うように設けられている態様であってもよい。尚、本発明の1粒子につき、金が占める割合は、1.0×10−8〜30重量%程度であることが好ましい(本発明の粒子の重量基準)。尚、金粒子の設置法・担持法について例示すると、メカノフュージョン法により基材粒子と金粒子を混合することによって粒子本体表面に金粒子を設けることができる。金粒子の形状は特に制限はなく、例えば、球形状、楕円体形状、粒形状、板形状、針形状または多面体形状(例えば立方体形状)等であってよい。
本発明の粒子においては、粒子本体表面の金成分と硫黄原子との結合(Au−S結合)に起因して、「標的物質が結合可能な物質または官能基」(即ち“標的物質結合可能物質”または“標的結合可能官能基”)が容易に導入され得る。例えば、本発明の粒子においては、チオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基で修飾した“標的物質結合可能物質”が固定化されていることが好ましい。この場合、“標的物質結合可能物質”としては、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、核酸、酵素、アプタマー、抗体、プロテインAおよびプロテインGから成る群から選択される少なくとも1種以上の物質を用いることが好ましい。あるいは、一端にチオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基を有すると共に、他端にカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、トシル基、スクシンイミド基、マレイミド基、チオール基、チオエーテル基もしくはジスルフィド基などの硫化物官能基、アルデヒド基、アジド基、ヒドラジド基、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、イミドエステル基、カルボジイミド基、イソシアネート基、ヨードアセチル基、アシル基、または、二重結合を“標的結合可能官能基”として有して成るリンカーが本発明の粒子に固定化されていてもよい(即ち、硫黄原子を含有する二官能性または三官能性の“標的結合可能官能基”を固定化してもよい)。このような“標的結合可能官能基”は、その誘導体であってもかまわないことに留意されたい。本発明ではこのようにAu−S結合に起因して“標的物質結合可能物質”または“標的結合可能官能基”が粒子本体に固定化されており、かかる物質または官能基を介して標的物質を粒子に結合させることができる。
本明細書において「固定化」とは、粒子本体の表面付近に「標的物質が結合可能な物質または官能基」が存在している態様を実質的に意味しており、必ずしも「標的物質が結合可能な物質または官能基」が粒子本体の表面に直接取り付けられている態様のみを意味するものではない。本発明では、粒子本体の表面の少なくとも一部に「標的物質が結合可能な物質または官能基」が固定化されていればよく、「標的物質が結合可能な物質または官能基」が必ずしも粒子本体の表面全体にわたって固定化されていなくてもよい。但し、好ましい態様では、粒子本体が「標的物質が結合可能な物質または官能基」に内包されるように、「標的物質が結合可能な物質または官能基」が粒子表面全体にわたって存在している。更に言えば、本明細書において「標的物質結合」という用語は、粒子に対して標的物質が「吸着」または「吸収」される態様を包含しているのみならず、標的物質と粒子との間に働く種々の「親和力」に起因して標的物質が粒子に結合される態様をも包含している。
本発明において、Au−S結合に起因した“標的物質結合可能物質”または“標的物質結合可能官能基”の固定化は、“標的物質結合可能物質”または“標的物質結合可能官能基”と、金被膜および/または金粒子が設けられている粒子前駆体とを共存させることによって容易に行うことができる。例えば水などの適当な溶媒下において、“標的物質結合可能物質”または“標的物質結合可能官能基”と、金被膜および/または金粒子が設けられている粒子前駆体とを攪拌混合して行うことができる。
次に、以下においては、本発明の粒子を用いた分離方法について説明しておく。かかる分離方法は、上述した本発明の粒子を用いて、試料中から標的物質を分離する又は標的物質を固定した粒子を得る方法である。この分離方法は、
(i)標的物質を含んで成る試料と本発明の粒子とを接触させ、粒子と標的物質とを結合させる工程、
(ii)試料を静置に付して、試料中で粒子を自然沈降させる工程、および
(iii)試料中で沈殿した粒子を回収することによって、標的物質を試料から分離する又は標的物質を固定した粒子を得る工程
を含んで成る。
工程(i)では、標的物質を含んで成る試料と本発明の粒子とが接触し、粒子と標的物質とが相互に結合される。例えば、標的物質を含んで成る試料に対して粒子を供給することによって、試料と粒子とを接触させる。結合が促進されるように、必要に応じて、攪拌処理を施してもよい。供される粒子は、一般的には、単一の粒子ではなく、上述したような平均サイズ5μm〜2cmの粒子が複数個存在する粉末形態の粒子として供給され得る。供される粉末形態の粒子の量は、試料の種類や分離用途などとの関係で決まってくるものであり、総括的に特定できるものではないが、例を挙げるとすると、一粒子から使用でき、分析、研究用途ではグラム単位まで(10−2g〜10g程度)となり、工業的に利用する場合はキログラム単位(1〜10kg程度)からトン単位(1〜10t程度)までとなり得る。
工程(ii)にて粒子の自然沈降がもたらされるように、標的物質を含んで成る試料は、例えば、ビーカー、メスシリンダー、試験管、マイクロチューブ、バイオチップ、化学チップ、μ-TASチップなどに仕込んだ状態で用いることが好ましい。
標的物質と粒子との間の結合は、それらの間に働く吸着力または親和力によって引き起こされる。より具体的には、粒子本体に固定化されている「標的物質を結合させることが可能な物質または官能基」と標的物質との間で吸着力または親和力が働くことによって、標的物質と粒子とが相互に結合する。尚、試料中に供する粉末形態の粒子の量によっては、標的物質の結合に寄与しない粒子も存在し得る(例えば粒子を過剰に供給した場合)。尚、この工程で用いる粒子は、標的物質以外の物質が粒子に結合する非特異結合を抑えることができる粒子である。従って、試料中に標的物質以外の物質が含まれていても、標的物質を優先的に粒子に結合できる。
工程(ii)では、粒子が供された試料を静置に付して、試料中で本発明の粒子を自然沈降させる。この工程で用いる粒子は、上述したような密度特性および比表面積特性を有するものであるため、比較的速い自然沈降速度が得られる。換言すれば、用いる粒子の密度が大きいだけでなく、粒子の比表面積が0.0005m/g〜1.0m/gと比較的小さく実質的に非多孔質とみなすことができるので、標的物質を含んだ試料に粒子を供する際に空気などの気体が粒子内部に取り込まれた状態となることが抑制される(即ち、気体が粒子内部に存在し得ないので、気体に起因した浮力作用などの影響を排除することができる)。その結果、粒子を自然沈降させるだけでも十分な分離速度を得ることができる。
工程(iii)では、試料中で沈殿した本発明の粒子が回収されることによって、標的物質が試料から分離される又は標的物質が固定された粒子が得られる。例えば、自然沈降に起因して試料の下方領域または容器の底領域に粒子が沈殿するので、上澄みが試料の上方領域に形成される。従って、かかる上澄みをピペットなどで吸引除去することによって、試料中で沈殿した粒子を回収することができる。回収された粒子には、上述したように標的物質が結合しているので、粒子の回収によって標的物質が試料から分離されることになる。
以上の工程(i)〜(iii)を通じて、試料中の標的物質を分離できたり、あるいは、標的物質が固定化された粒子を得ることができるので、それらを応用することによって、細胞、蛋白質、核酸または化学物質等の種々の標的物質の分析、抽出、精製および反応等が可能となる。より具体的に言うと、上述のような標的物質の分離、固定化を行う方法以外にも、標的物質の分析、抽出、精製または反応などを行う方法が可能となる。例えば、「標的物質の分析を行う方法」では、標的物質として「検出対象物質と結合可能な抗体」が固定された粒子をチップ内に装填した形態で、チップ内に検出対象物質を注入することにより、チップ内粒子に検出対象物質を固定し、さらに検出対象物質に結合する酵素、蛍光色素、磁性体などを結合させた抗体をマーカーとして検出対象物質量を吸光、化学発光、蛍光、または磁気などにより検出する。以上の方法により、検出対象物質を定量分析または定性分析することができる。また、検出対象物質が核酸である場合には、標的物質として「検出対象核酸と結合可能な核酸」が固定された粒子を装填した形態で、酵素または蛍光色素が固定された検出対象核酸をチップ内に注入することにより、チップ内粒子に検出対象核酸を固定し、検出対象核酸量を吸光、化学発光、蛍光、または磁気などにより検出することによって検出対象核酸を定量分析または定性分析することができる。この際、各反応段階においてチップ上の複数個の反応槽のうち同一箇所で実施しても、別の箇所で実施してもかまわない。また、チップ上に設けられた複数個の反応槽間での移動、もしくは各反応槽中での撹拌に重力を用いることが可能である。また、「標的物質の抽出を行う方法」または「標的物質を精製する方法」では、上述した本発明の方法の工程(iii)の分離の後に、標的物質を粒子から分離・遊離させる物質を用いる、または必要な加熱、冷却などの処理を行うことにより、標的物質を抽出または精製することができる。更に、「標的物質の反応を行う方法」では、チップ内に標的物質と結合可能な物質が固定された粒子を装填した形態でチップ内に標的物質を注入することによりチップ内粒子に標的物質を固定し、チップ上に設けられた複数個の反応槽の各所において混合、加熱、撹拌、紫外線照射などを行うことで、標的物質の反応を実施できる。この際、チップ上に設けられた複数個の反応槽間での移動、もしくは各反応槽中での撹拌に重力を用いることが可能である。また、酵素や触媒を粒子に固定して、重力を利用して反応系に投入することも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。例えば以下の変更態様を挙げることができる。
● 上述の説明では、チオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基で修飾した「標的物質に結合可能な物質」を粒子に固定化し、かかる「標的物質に結合可能な物質」を介して標的物質と粒子とを結合させる態様を例示したが、必ずしもかかる態様に限定されるわけではない。例えば、標的物質自体が硫黄原子を有するのであれば、「標的物質が結合可能な物質または官能基」を固定化しなくても、標的物質を直接的に粒子に結合させることができる。
● 上述の説明では、粒子本体が金属、金属酸化物または合金から形成されている態様を例示したが、必ずしもかかる態様に限定されるわけではない。所望の密度や比表面積を有するのであれば、粒子本体材料としてアクリル樹脂などの樹脂材料を用いてもよい。
● 本発明の粒子は、粒子本体表面に金被膜および/または金粒子が設けられているものであるが、金被膜・金粒子には、必要に応じて他の成分が含まれていてよく、必ずしも純粋な金成分から成るものでなくてもよい(即ち、金の純度については特に制限はない)。また、粒子本体と金被膜/金粒子との界面にあたる部分が自然酸化または耐蝕性の向上などの理由により何らかの表面処理が為されているような態様であってもかまわない。
本発明の粒子を調製し、その特性を確認した。
《粒子の調製》
置換メッキ法を用いることによって粒子本体表面がAu層で被覆された粒子Pを得た。
まず、ニイミ産業製のイットリウム添加ジルコニア粒子pを用意した。かかる粒子pは、平均粒子サイズ23μm、比表面積0.056m/g、密度6g/cmであった。
粒子pを陽イオン系界面活性剤である3−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液(5wt%水溶液)で処理し、水洗後、Pd触媒核の塩酸水溶液中で3分間混合した。濾過、水洗後、得られた粒子を1規定のHCl水溶液に加え、3分間混合した。次いで、濾過、水洗後、次亜燐酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケルメッキ浴(85℃)に加え1分間攪拌した。かかる操作により、粒子pがメッキ処理されニッケル−リン合金膜が形成された。次いで、得られた粒子を置換型無電解金メッキ浴に10分間浸漬し、ニッケルメッキ膜上に金膜をメッキして粒子Pを得た。得られた粒子Pにつき比表面積は0.035m/gであって、密度は8.9g/cm、平均粒子サイズは約25μmであった。
《Au−S結合特性の確認試験》
得られた粒子Pとメチオニン溶液(硫黄原子を含んだ含硫アミノ酸の溶液)とを撹拌混合し、粒子Pをニンヒドリン溶液反応に付した。得られた結果物は、粒子を含まないメチオニン溶液と比較した。より具体的には、粒子Pに10mMメチオニン溶液を加え、30分静置し、粒子Pにメチオニンを結合させ、上清をとり、1%ニンヒドリン溶液を加え、50℃で1分間保った。この溶液の570nmの吸収を測定した。その結果、粒子Pとメチオニン溶液とを攪拌混合したものについては、“吸収の減少”を確認した。つまり、“吸収の減少”は、粒子Pがメチオニンの硫黄原子と結合して沈殿したことを意味しており、粒子Pがチオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基で修飾した「標的物質に結合可能な物質」と容易に固定化し得ることを確認できた。
《粒子の分離速度の確認試験》
粒子Pの分離速度を確認した。具体的には、1gの粒子Pを試験管内の5mlの水に分散させて静置させた。そして、静置後から透明な上澄みが得られるまでの時間(即ち、分離時間)を測定した。その結果、分離時間は約20秒であった。この分離時間からは、粒子の自然沈降による移動速度である“自然沈降速度”が間接的に把握できることに留意されたい。
《まとめ》
本発明の粒子は、その表面に有する金被膜によりチオール基等を介した標的物質との結合が可能であり、また、自然沈降による移動速度だけでも十分な分離速度を得ることができる粒子であることが分かった。
本発明の粒子は、細胞、蛋白質、核酸または化学物質等の標的物質の定量、分離、精製および分析等に利用できる。例えば、本発明の粒子は、DNA等の核酸を結合させることができ、結果的にDNAの塩基配列の解析に用いることができるので、テーラーメード医療技術に資するものである。

Claims (7)

  1. 標的物質が結合可能な粒子であって、
    粒子本体の表面に金被膜および/または金粒子が設けられていることを特徴とする粒子。
  2. 密度が3.5〜23g/cmであることを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
  3. チオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基で修飾した「標的物質に結合可能な物質」が固定化されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の粒子。
  4. チオール基、チオエーテル基またはジスルフィド基を有すると共に、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、トシル基、スクシンイミド基、マレイミド基、硫化物官能基、アルデヒド基、アジド基、ヒドラジド基、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、イミドエステル基、カルボジイミド基、イソシアネート基、ヨードアセチル基、アシル基、または、二重結合を「標的物質が結合可能な官能基」として有して成るリンカーが固定化されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粒子。
  5. 比表面積が0.0005m/g〜1.0m/gであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子。
  6. 前記粒子本体が、ジルコニア、イットリウム添加ジルコニアおよび酸化鉄から成る群から選択される少なくとも1種類以上の材料を含んで成ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の粒子。
  7. 前記粒子の平均サイズが5μm〜1mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012224577A (ja) * 2011-04-19 2012-11-15 Asahi Kasei Corp 糖ペプチド誘導体及びその製造方法
JP2019066323A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 標識抗体、その製造方法及び免疫学的測定法

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