JP2010248151A - 活性炭の用時調製用のキット - Google Patents
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Abstract
【課題】
活性炭製剤に必要とされる吸着能を損なわずに、服用性の改善された活性炭の用時調製用のキットを提供することを目的とする。
【解決手段】
下記A液とB組成物とを混合しゼリー化して服用する用時調製用のキットであって、少なくともA液及びB組成物を含む活性炭の用時調製用のキットを提供する。
A:アルギン酸塩溶液
B:少なくとも(i)活性炭、(ii)難溶性又は不溶性のカルシウム塩、及び、(iii) ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、白糖、乳糖、トレハロース、及びブドウ糖からなる群より選ばれる、1種以上の糖又は糖アルコール を含む組成物。
【選択図】 なし
活性炭製剤に必要とされる吸着能を損なわずに、服用性の改善された活性炭の用時調製用のキットを提供することを目的とする。
【解決手段】
下記A液とB組成物とを混合しゼリー化して服用する用時調製用のキットであって、少なくともA液及びB組成物を含む活性炭の用時調製用のキットを提供する。
A:アルギン酸塩溶液
B:少なくとも(i)活性炭、(ii)難溶性又は不溶性のカルシウム塩、及び、(iii) ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、白糖、乳糖、トレハロース、及びブドウ糖からなる群より選ばれる、1種以上の糖又は糖アルコール を含む組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、服用時に混合しゼリー製剤とする、活性炭の用時調製用のキットに関するものである。
慢性腎不全による透析患者数は年々増加し、2007年末では約27万人であった。腎疾患患者の透析導入を遅らせる手段として、体内の尿毒素を特異的に吸着、排泄する活性炭が内服薬として利用されている。
市販されている活性炭は細粒とカプセルであるが、活性炭を水と共に服用するとむせたり、口腔内に残存したり、喉に詰まったりするという問題がある。こうした欠点を解消するため、服用性改善の提案がなされている。例えば、活性炭とゲル基剤とを混合し服用時に水又は液状希釈剤を添加して混合することにより、加熱や冷却処理を必要とせず、1分程度でゲル状となる易服用化剤が知られている(特許文献1)。この特許文献1の記載によれば、ゲル基材としてアルギン酸ナトリウムを使用した場合、柔らかいゲル状となるため、理想的なゼリー強度を得るためには、更なる改善が必要である。さらに、ここでは、「糖アルコールは吸湿性が高く容易に液化するため、湿度によって安定性が損なわれる医薬品との組み合わせは制限され、特に球状活性炭は水分と接触し続けると吸着能が低下するため糖アルコールと組み合わせることは不適切である」と記載されている。
一方、服用直前に水又は液状物質を添加して混合し、速やかにゲル状とする易服用化剤として、ゲル形成高分子と糖アルコールとを含有する粒状物質が知られている(特許文献2)。この特許文献2の記載によれば、ゲル基剤として水溶性ゼラチンを使用し、エリスリトールと組み合わせることにより、易服用化剤として理想的なハードゼリー状製剤が1分間以内に得られるとされている。しかし、活性炭を用いて実施してみたところ、活性炭から気泡が発生し、ホイップ状となりゼリー化には至らなかった。
また、医薬品の不快な味覚をマスキングによって軽減する方法として、ゲル基剤を利用する技術も知られている(特許文献3)。この特許文献3ではアルギン酸塩と多価イオンとの架橋ゲル化を利用して、苦味の強い抗菌剤のマスキング化薬剤と組み合わせる実施例が記載されている。しかし、活性炭を用いて実施できるかについては、一切記載されていない。
前述のように、活性炭は、服用性改善が強く望まれているが、その性質上、添加する物質によっては吸着能を損なう、又はゼリー化に至らない傾向にある。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、活性炭製剤に必要とされる吸着能を損なわずに、服用性の改善された活性炭の用時調製用のキットを提供することを目的とする。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、活性炭製剤に必要とされる吸着能を損なわずに、服用性の改善された活性炭の用時調製用のキットを提供することを目的とする。
活性炭の吸着能は、水分と接触し続けることにより低下すると考えられるため、既調製ゲル状製剤においては吸着能の低下が認められた。そこで、本発明者らは、吸着能の低下を抑制するため、短時間でゼリー化し、水との接触時間を極力低減させる処方を検討した。その結果、活性炭、多価金属イオン、及び分散剤からなるB組成物と、架橋性高分子の水溶液からなるA液とを混合することにより、3分以内に理想的なゼリーが得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)A液とB組成物とを混合しゼリー化して服用する用時調製用のキットであって、少なくともA液及びB組成物を含む活性炭の用時調製用のキット。
A:アルギン酸塩溶液
B:少なくとも(i)活性炭、(ii)難溶性又は不溶性のカルシウム塩、及び、(iii) ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、トレハロース、白糖、乳糖、及びブドウ糖からなる群より選ばれる、1種以上の糖又は糖アルコール を含む組成物。
A:アルギン酸塩溶液
B:少なくとも(i)活性炭、(ii)難溶性又は不溶性のカルシウム塩、及び、(iii) ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、トレハロース、白糖、乳糖、及びブドウ糖からなる群より選ばれる、1種以上の糖又は糖アルコール を含む組成物。
(2)B組成物中の活性炭100重量部に対して、A液中のアルギン酸塩が1〜30重量部、B組成物中のカルシウム塩が0.1〜10重量部、及び、B組成物中の糖又は糖アルコールが10〜1000重量部の量で含有されている、前記(1)に記載のキット。
(3)B組成物中の活性炭100重量部に対して、A液中のアルギン酸塩が5〜25重量部、B組成物中のカルシウム塩が0.5〜8重量部、及び、B組成物中の糖又は糖アルコールが30〜100重量部の量で含有されている、前記(1)に記載のキット。
(4)A液中のアルギン酸塩の濃度が、0.2〜15w/w%である、前記(1)から(3)のいずれかに記載のキット。
(5)B組成物中の活性炭が、B組成物全体の9〜91w/w%である、前記(1)から(4)のいずれかに記載のキット。
(6)A液とB組成物とを混合後3分以内のゼリー強度が、5〜100gの範囲に調製される、前記(1)から(5)のいずれかに記載のキット。
本発明によれば、口腔内に残存し易い活性炭を容易に服用でき、かつ、活性炭の吸着能を損なわない活性炭の用時調整用のキットを提供することができる。また、加熱や冷蔵を必要とせず、常温でゼリー化するため、患者等が簡便に調製できる。さらに、本発明によれば、A液とB組成物とを混合後3分以内のゼリー強度が5〜100gのゼリー製剤を提供することができる。
以下に、本発明の用時調製用のキットについて説明する。本発明の「用時調製用のキット」とは、服用時に少なくともA液とB組成物とを混合するだけで、室温で速やかにゼリー化するキットをいう。速やかにゼリー化するので、有効成分である活性炭本来の吸着能が損なわれず、また、活性炭がゼリーに包まれた状態となるため、服用性が改善される。
ここで、ゼリーとは、弾性のある半固形物をいう。本発明においてゼリー強度は、レオメーター(CR−500DX、サン科学)を用い、以下の条件にて検体を圧縮し、変異応力曲線の最大荷重(g)として求めた。
フランジャー:直径5mm円筒
圧縮速度:200mm/分
フランジャー:直径5mm円筒
圧縮速度:200mm/分
本発明においては、A液とB組成物とを混合後3分以内のゼリー強度が、5〜100gであることが好ましい。より好ましくは、同様に3分以内のゼリー強度が、5〜50gである。A液とB組成物とを混合後、かき混ぜるのに30秒程度要することを考慮すると、A液とB組成物とを混合後30秒〜3分以内のゼリー強度は、5〜100gであることが好ましく、より好ましくは5〜50gである。
さらに、A液とB組成物とを混合後1分以内のゼリー強度が、5〜100gであることが好ましく、より好ましくは5〜50gである。上記同様にかき混ぜる時間を考慮すると、A液とB組成物とを混合後、30秒〜1分以内のゼリー強度が、5〜100gであることが好ましく、より好ましくは5〜50gである。
なお、ゼリー強度が150gを超える場合は、舌でつぶして服用することが困難な硬いゼリーとなる。
さらに、A液とB組成物とを混合後1分以内のゼリー強度が、5〜100gであることが好ましく、より好ましくは5〜50gである。上記同様にかき混ぜる時間を考慮すると、A液とB組成物とを混合後、30秒〜1分以内のゼリー強度が、5〜100gであることが好ましく、より好ましくは5〜50gである。
なお、ゼリー強度が150gを超える場合は、舌でつぶして服用することが困難な硬いゼリーとなる。
本発明で用いる活性炭は、経口吸着剤であり、分子選択的に尿毒素等を吸着し排泄するものであれば特に限定されない。例えば、薬用炭、球状活性炭、又は球形吸着炭等を挙げることができ、これらは市販品を購入することにより容易に入手できる。また、前記球状活性炭を更に処理した表面改質球状活性炭も使用することができる。
本発明の用時調製用のキットのB組成物中の活性炭の含有量は、特に規定されるものではないが、1回分の投与量を含めることが好ましい。一般的に、成人であれば、活性炭は2〜20g/日程度投与することから、前記活性炭の含有量は、0.5〜20gとするのが好ましい。本発明において、B組成物中の活性炭は、B組成物全体の9〜91w/w%であるのが好ましい。
本発明では、アルギン酸塩とカルシウム塩との架橋結合を利用した、用時調製ゼリーを提供する。アルギン酸塩がカルシウム塩と架橋結合を形成するのは、アルギン酸を構成するD−マンヌロン酸とL−グルロン酸の2種類のウロン酸のうち、グルロン酸同士の結合が捻れたポケット構造を有していることに起因する。このグルロン酸同士が結合したポケットに、カルシウムイオンが侵入することで、エッグボックスに例えられる架橋結合を形成しゲル化する。
アルギン酸塩としては、カルシウム塩との架橋結合を形成するものであれば、特に限定されない。例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムなどが使用できるが、アルギン酸ナトリウムを使用することが特に好ましい。
アルギン酸塩の架橋ゲル化のためには、(i)先ずアルギン酸塩を充分に水和させ溶解する、(ii)次にCa2+イオンと均一に接触させイオン架橋させる、という順序が重要である。本発明では、初めからアルギン酸塩を溶液とし、アルギン酸塩溶液(A)とカルシウム塩等含有組成物(B)とのキットとすることにより、服用時のゼリー化する調製をより早く、より容易となるようにした。
本発明で使用するA液中のアルギン酸塩の含有量は、B組成物中の活性炭100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、より好ましくは5〜25重量部である。アルギン酸塩の含量が、A液とB組成物とを混合後のゼリー製剤中の0.2〜1.0w/w%の範囲にあれば、好適なゼリー製剤ができる。これを超える量のアルギン酸塩が存在すると、ゼリー製剤が硬くなり、舌でつぶすことができない食感の悪いゼリー製剤となる。
本発明で使用するアルギン酸塩の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは200,000以上である。アルギン酸ナトリウムの分子量が小さいほど、ゲルはゆるくなり、口腔内でゼリーがほどけて活性炭が残存しやすくなり、分子量が大きいほどゲルの食感は硬くなり、口腔内で活性炭が残存しにくくなる。
本発明のA液中のアルギン酸塩の濃度は、0.1〜15w/w%であるのが好ましく、より好ましくは、0.2〜5w/w%である。
また、A液アルギン酸塩溶液の粘度は、速くゼリー化するという観点から20mpa.s以上が好ましい。よって、本発明で使用するアルギン酸塩は、1%アルギン酸塩水溶液にした時の粘度が100mpa.s以上のものが好ましく、200mpa.s以上のものがより好ましい。A液アルギン酸塩溶液の粘度の上限は、A液とB組成物の混合が可能な範囲であればよく、当業者であれば適宜設定できる。
なお、本発明におけるアルギン酸塩溶液の粘度は、バイオレオライザーE型粘度計を使用して、温度20℃、サンプル量0.6mLにて測定した時の数値である。
また、A液アルギン酸塩溶液の粘度は、速くゼリー化するという観点から20mpa.s以上が好ましい。よって、本発明で使用するアルギン酸塩は、1%アルギン酸塩水溶液にした時の粘度が100mpa.s以上のものが好ましく、200mpa.s以上のものがより好ましい。A液アルギン酸塩溶液の粘度の上限は、A液とB組成物の混合が可能な範囲であればよく、当業者であれば適宜設定できる。
なお、本発明におけるアルギン酸塩溶液の粘度は、バイオレオライザーE型粘度計を使用して、温度20℃、サンプル量0.6mLにて測定した時の数値である。
本発明でアルギン酸塩の架橋のために使用するカルシウム塩は、難溶性カルシウム又は不溶性カルシウムであることが好ましい。易溶性カルシウムではゲル化が局所的に起こり、均一なゼリーを形成しないからである。
難溶性カルシウムとしては、硫酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウムが挙げられる。不溶性カルシウムとしては、リン酸水素カルシウム又は炭酸カルシウムが挙げられる。なお、易溶性カルシウムとしては、塩化カルシウム又は乳酸カルシウムなどが挙げられる。
難溶性カルシウムとしては、硫酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウムが挙げられる。不溶性カルシウムとしては、リン酸水素カルシウム又は炭酸カルシウムが挙げられる。なお、易溶性カルシウムとしては、塩化カルシウム又は乳酸カルシウムなどが挙げられる。
B組成物中のカルシウム塩の量は、B組成物中の活性炭100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜8重量部がより好ましい。カルシウム塩が増えるに従い、ゼリー強度が増大する傾向にある。
本発明のキットでは分散剤として糖又は糖アルコールを使用する。本発明では、好ましいゼリー製剤を得るために、糖又は糖アルコールをB組成物中に含有する。甘味をつけるため、A液中に糖又は糖アルコールを加えることもできるが、必須ではない。糖又は糖アルコールとしては、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、マンニトール、トレハロース、白糖、ブドウ糖、及び乳糖からなる群より選ばれる、1種以上を使用する。なお、エリスリトール及びキシリトールは、球状活性炭の吸着能を阻害する傾向にあるため、好ましくない。
B組成物中の糖又は糖アルコールの含有量は、B組成物中の活性炭100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは25〜250重量部、さらに好ましくは30〜100重量部の量である。これが10重量部以下ではゲル化が局所的に起こり、均一なゼリーの形成が困難である。また、不必要に過量の糖アルコール等を添加することは、球状活性炭の吸着能低下を招く。
本発明を絶対量で規定すると、B組成物中の活性炭100重量部に対して、A液中のアルギン酸塩が1〜30重量部、B組成物中のカルシウム塩が0.1〜10重量部、及び、B組成物中の糖又は糖アルコールが10〜1000重量部の量で含有されているのが好ましい。B組成物中の活性炭100重量部に対して、A液中のアルギン酸塩が5〜25重量部、B組成物中のカルシウム塩が0.5〜8重量部、及び、B組成物中の糖又は糖アルコールが25〜250重量部の量で含有されているのがさらに好ましい。
本発明では、B組成物中にさらに適当な添加剤を加えることができる。添加剤としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、流動化剤等を挙げることができる。また、A液中に、保存剤、有機酸、封鎖剤、pH調整剤、着色剤、安定化剤、甘味剤などを添加することができる。有機酸としては、カルシウム塩のイオン化促進剤となるものが好ましく、クエン酸、グルコノ−δ−ラクトン、又はアジピン酸が特に好ましい。封鎖剤としては、カルシウム塩のイオン化遅延剤となるものが好ましく、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、又はクエン酸ナトリウムが特に好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
吸着試験方法
DL−β−アミノイソ酪酸100mgを1LのpH7.4リン酸塩緩衝液に溶かし、100mg/LのDL−β−アミノイソ酪酸溶液を調製した。次いで、上記のDL−β−アミノイソ酪酸溶液30mLに、球状活性炭1.5gを加え、37±1℃で3時間攪拌した。その後、フラスコの内容物を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し試料溶液とした。
試料溶液3mLに炭酸水素ナトリウム水溶液(1g/30mL)2mLを加え、さらにダンシルクロリドのアセトン溶液(1g/200mL)4mLを加えて、37℃で1時間静置後、減圧留去し、得られた水溶液につき液体クロマトグラフを用いて、吸光波長280nmにて測定した。
DL−β−アミノイソ酪酸100mgを1LのpH7.4リン酸塩緩衝液に溶かし、100mg/LのDL−β−アミノイソ酪酸溶液を調製した。次いで、上記のDL−β−アミノイソ酪酸溶液30mLに、球状活性炭1.5gを加え、37±1℃で3時間攪拌した。その後、フラスコの内容物を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し試料溶液とした。
試料溶液3mLに炭酸水素ナトリウム水溶液(1g/30mL)2mLを加え、さらにダンシルクロリドのアセトン溶液(1g/200mL)4mLを加えて、37℃で1時間静置後、減圧留去し、得られた水溶液につき液体クロマトグラフを用いて、吸光波長280nmにて測定した。
[実施例1]
A:0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)硫酸カルシウム0.025g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1g
B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、1%水溶液の粘度が1000cpの極高粘度品を使用した。
A:0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)硫酸カルシウム0.025g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1g
B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、1%水溶液の粘度が1000cpの極高粘度品を使用した。
[実施例2]
A:0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)グルコン酸カルシウム0.1g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1g
B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、1%水溶液の粘度が500cpの高粘度品を使用した。
A:0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)グルコン酸カルシウム0.1g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1g
B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、1%水溶液の粘度が500cpの高粘度品を使用した。
[実施例3]
A:1%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)リン酸水素カルシウム0.1g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1g
B組成物及びクエン酸0.1gをよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
A:1%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)リン酸水素カルシウム0.1g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1g
B組成物及びクエン酸0.1gをよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
[実施例4]
A:0.625%アルギン酸ナトリウム水溶液8g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)硫酸カルシウム0.025g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1.5g
B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
A:0.625%アルギン酸ナトリウム水溶液8g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)硫酸カルシウム0.025g、
(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1.5g
B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
[比較例1]
A:なし
B:(i)球状活性炭2g、(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1.5g
アルギン酸塩溶液に代えて、粉末のアルギン酸ナトリウムを使用した。また、難溶性又は不溶性のカルシウム塩に代えて、易溶性カルシウムである塩化カルシウムを使用した。
B組成物、塩化カルシウム0.06g、及びアルギン酸ナトリウム0.2gをよく混合したものをカップ容器に入れた。さらに水12g加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
A:なし
B:(i)球状活性炭2g、(iii) 粉末還元麦芽糖水アメ1.5g
アルギン酸塩溶液に代えて、粉末のアルギン酸ナトリウムを使用した。また、難溶性又は不溶性のカルシウム塩に代えて、易溶性カルシウムである塩化カルシウムを使用した。
B組成物、塩化カルシウム0.06g、及びアルギン酸ナトリウム0.2gをよく混合したものをカップ容器に入れた。さらに水12g加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
[比較例2]
A:0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)硫酸カルシウム0.1g、(iii)なし
糖又は糖アルコールを含有しない比較例を作成した。B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
A:0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液10g
B:(i)球状活性炭2g、(ii)硫酸カルシウム0.1g、(iii)なし
糖又は糖アルコールを含有しない比較例を作成した。B組成物をよく混合したものをカップ容器に入れた。さらにA液を加えてかき混ぜ、気泡の発生が収まるところで放置した。なお、アルギン酸ナトリウムは、高粘度品を使用した。
(試験例1)
A液とB組成物とを混合直後から1分経過後、4分経過後、10分経過後のそれぞれのゼリー強度を、レオメーター(CR−500DX、サン科学)を用いて測定した。
実施例1〜3、比較例1および比較例2のゼリー強度と外観を表1に示す。
A液とB組成物とを混合直後から1分経過後、4分経過後、10分経過後のそれぞれのゼリー強度を、レオメーター(CR−500DX、サン科学)を用いて測定した。
実施例1〜3、比較例1および比較例2のゼリー強度と外観を表1に示す。
実施例1〜3において、A液とB組成物とを混合後1分で均一なゼリーを形成した。食感は口腔内で容易につぶれ、球状活性炭が残存することなく飲み込むことができるものであった。実施例1〜3ともに、混合後1〜10分の範囲での服用性は良好であった。また、初めからアルギン酸塩溶液とした場合に、好ましいゼリーを得ることができた。
比較例1においては、水を加えると球状活性炭が沈降し、ゲル化しなかったため、服用性は改善されなかった。このことから、易溶性カルシウムではゼリー化には至らず、液と球状活性炭が不均一になることがわかる。
比較例2はゲル化するが局所的であり、不均一にゲル化したダマ部分と、液が混在して均一なゼリーには至らず、服用性は改善されなかった。このことから、B組成物に糖アルコール等のような分散剤が添加されていない場合、Caイオンとアルギン酸塩溶液が接触したところが局所的にゲル化してダマになり、不均質で離水してしまうような製剤になると考えられる。
比較例1においては、水を加えると球状活性炭が沈降し、ゲル化しなかったため、服用性は改善されなかった。このことから、易溶性カルシウムではゼリー化には至らず、液と球状活性炭が不均一になることがわかる。
比較例2はゲル化するが局所的であり、不均一にゲル化したダマ部分と、液が混在して均一なゼリーには至らず、服用性は改善されなかった。このことから、B組成物に糖アルコール等のような分散剤が添加されていない場合、Caイオンとアルギン酸塩溶液が接触したところが局所的にゲル化してダマになり、不均質で離水してしまうような製剤になると考えられる。
(試験例2)
実施例1のアルギン酸ナトリウム溶液の濃度を変えてゲル化し、ゼリー強度に与える影響を試験した。結果を表2に示す。なお、アルギン酸ナトリウムは極高粘度品を使用した。
アルギン酸ナトリウム溶液の濃度が高いほど、ゼリー強度が上昇する傾向を示した。濃度が高いアルギン酸塩溶液を使用する場合、時間が経過すればゼリー強度が150g以上の硬いゼリーとなり、食感が悪くなるが、調製後直ぐに服用する場合には問題ない。
実施例1のアルギン酸ナトリウム溶液の濃度を変えてゲル化し、ゼリー強度に与える影響を試験した。結果を表2に示す。なお、アルギン酸ナトリウムは極高粘度品を使用した。
アルギン酸ナトリウム溶液の濃度が高いほど、ゼリー強度が上昇する傾向を示した。濃度が高いアルギン酸塩溶液を使用する場合、時間が経過すればゼリー強度が150g以上の硬いゼリーとなり、食感が悪くなるが、調製後直ぐに服用する場合には問題ない。
(試験例3)
実施例4において、粉末還元麦芽糖水アメの添加量を変えてゲル化し、ゼリー強度に与える影響について試験した。結果を表3に示す。
粉末還元麦芽糖水アメの量が少ないほどゼリー強度が高くなる傾向を示し、粉末還元麦芽糖水アメ0.5gの系においては、一部に局所的に固まったダマが認められた。1gおよび1.5gにおいてはこのようなダマは確認されなかった。
実施例4において、粉末還元麦芽糖水アメの添加量を変えてゲル化し、ゼリー強度に与える影響について試験した。結果を表3に示す。
粉末還元麦芽糖水アメの量が少ないほどゼリー強度が高くなる傾向を示し、粉末還元麦芽糖水アメ0.5gの系においては、一部に局所的に固まったダマが認められた。1gおよび1.5gにおいてはこのようなダマは確認されなかった。
(試験例4)カルシウム塩の含有量
実施例1の硫酸カルシウム量を変えてゼリー強度に与える影響を試験した。結果を表4に示す。なお、アルギン酸ナトリウムは高粘度品を使用した。
硫酸カルシウム量が増えるに従いゼリー強度が高くなる傾向を示した。また、これらの範囲において、ゼリーの食感は良好であった。
実施例1の硫酸カルシウム量を変えてゼリー強度に与える影響を試験した。結果を表4に示す。なお、アルギン酸ナトリウムは高粘度品を使用した。
硫酸カルシウム量が増えるに従いゼリー強度が高くなる傾向を示した。また、これらの範囲において、ゼリーの食感は良好であった。
(試験例6)吸着試験1
活性炭20gと糖又は糖アルコール20gとを混合し、70℃で9日間の保存条件で安定性試験を実施した。安定性試験終了後、83meshの篩を用いて混合物から活性炭を取り出し、吸着試験方法に従い、吸着試験を行った。結果を表5に示す。
糖又は糖アルコールの種類により、球状活性炭のDL−β−アミノイソ酪酸に対する吸着力を低下させる化合物があることが確認された。エリスリトール及びキシリトールは球状活性炭がDL−β−アミノイソ酪酸を吸着するのを著しく阻害することが認められた。
活性炭20gと糖又は糖アルコール20gとを混合し、70℃で9日間の保存条件で安定性試験を実施した。安定性試験終了後、83meshの篩を用いて混合物から活性炭を取り出し、吸着試験方法に従い、吸着試験を行った。結果を表5に示す。
糖又は糖アルコールの種類により、球状活性炭のDL−β−アミノイソ酪酸に対する吸着力を低下させる化合物があることが確認された。エリスリトール及びキシリトールは球状活性炭がDL−β−アミノイソ酪酸を吸着するのを著しく阻害することが認められた。
(試験例6)吸着試験2
実施例1のB組成物を用いて60℃で21日間の保存条件で安定性試験を実施した。安定性試験終了後、83メッシュの篩を用いて篩過して活性炭を取り出し、吸着試験方法に従い、吸着試験を行った。結果を表6に示す。
60℃21日の安定性試験の結果、実施例1のB組成物の処方は球状活性炭の吸着能を阻害することなく、良好な吸着力を維持することが確認された。
実施例1のB組成物を用いて60℃で21日間の保存条件で安定性試験を実施した。安定性試験終了後、83メッシュの篩を用いて篩過して活性炭を取り出し、吸着試験方法に従い、吸着試験を行った。結果を表6に示す。
60℃21日の安定性試験の結果、実施例1のB組成物の処方は球状活性炭の吸着能を阻害することなく、良好な吸着力を維持することが確認された。
次に、実施例1のA液を用いて、40℃2ヶ月の安定性試験を実施し、液部分の安定性を評価した。B組成物については試験毎に再度調製したものを用いた。なお、アルギン酸ナトリウムは高粘度品を使用した。結果を表7に示す。
40℃2ヶ月の安定性試験の結果、初期のゼリー強度に差異はなく、均一なゼリーを形成した。このことから、アルギン酸ナトリウム水溶液は40℃2ヶ月の保存によりゼリー強度が低下しないことが確認された。
40℃2ヶ月の安定性試験の結果、初期のゼリー強度に差異はなく、均一なゼリーを形成した。このことから、アルギン酸ナトリウム水溶液は40℃2ヶ月の保存によりゼリー強度が低下しないことが確認された。
Claims (6)
- A液とB組成物とを混合しゼリー化して服用する用時調製用のキットであって、少なくともA液及びB組成物を含む、活性炭の用時調製用のキット。
A:アルギン酸塩溶液
B:少なくとも(i)活性炭、(ii)難溶性又は不溶性のカルシウム塩、及び、(iii) ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、トレハロース、白糖、乳糖、及びブドウ糖からなる群より選ばれる、1種以上の糖又は糖アルコール を含む組成物。 - B組成物中の活性炭100重量部に対して、A液中のアルギン酸塩が1〜30重量部、B組成物中のカルシウム塩が0.1〜10重量部、及び、B組成物中の糖又は糖アルコールが10〜1000重量部の量で含有されている、請求項1に記載のキット。
- B組成物中の活性炭100重量部に対して、A液中のアルギン酸塩が5〜25重量部、B組成物中のカルシウム塩が0.5〜8重量部、及び、B組成物中の糖又は糖アルコールが30〜100重量部の量で含有されている、請求項1に記載のキット。
- A液中のアルギン酸塩溶液の濃度が、0.2〜15w/w%である、請求項1から3のいずれかに記載のキット。
- B組成物中の活性炭が、B組成物全体の9〜91w/w%である、請求項1から4のいずれかに記載のキット。
- A液とB組成物とを混合後3分以内のゼリー強度が、5〜100gの範囲に調製される、請求項1から5のいずれかに記載のキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009101073A JP2010248151A (ja) | 2009-04-17 | 2009-04-17 | 活性炭の用時調製用のキット |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009101073A JP2010248151A (ja) | 2009-04-17 | 2009-04-17 | 活性炭の用時調製用のキット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010248151A true JP2010248151A (ja) | 2010-11-04 |
Family
ID=43310951
Family Applications (1)
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JP2009101073A Pending JP2010248151A (ja) | 2009-04-17 | 2009-04-17 | 活性炭の用時調製用のキット |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010248151A (ja) |
-
2009
- 2009-04-17 JP JP2009101073A patent/JP2010248151A/ja active Pending
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