JP2010247278A - シャー切断制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続処理設備におけるシャー切断方法において、シャー切断の駆動手段の動力を最大限に利用できるようにすることで、設備能力を十分に発揮させて生産性のさらなる向上を図る。
【解決手段】板状の被切断材を、被切断材の板送り方向に沿って往復移動する第1の切刃151と、クランク軸165の回転駆動により円運動する所定のレーキ角を有する第2の切刃161との間に挿入し、第2の切刃161が第1の切刃151と噛み合う際に被切断材に剪断応力を与え、被切断材を切断するシャー切断制御方法において、少なくとも被切断材の板厚tと板幅Bを用いて被切断材の切断に要する動力Pを算出し、当該動力Pの大きさに応じて、クランク軸165の回転駆動の減速比を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼帯に酸洗、焼鈍、メッキなどの各種の処理を連続的に施すための、いわゆる連続処理設備におけるシャー切断制御方法に関する。
一般に、鋼帯の連続処理設備においては、コイル状に巻かれた鋼帯を巻き戻し、溶接機などにより複数の鋼帯を連結し、これに各設備で目的とする種々の処理を連続的に施した後、再びコイル状に巻き取る作業が行われる。このようなコイル状に巻かれた鋼帯を巻き戻してから再びコイル状に巻き取るまでの間に、鋼帯の不良部の除去やコイルの分割あるいはサンプルの採取を行うために、鋼帯を剪断する必要がある。この鋼帯の剪断を行う装置として、現在では、揺動式ギロチンシャーなど、鋼帯を走行状態において剪断してシート状や端板に分割することができる、いわゆる走間シャーが広く使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
このような走間シャーでは、通常はモータ等の駆動手段を用いて装置を駆動しているが、同一のモータ容量において生産性を向上させるために、被切断材となる鋼帯等の切断に要する動力の大きさに応じて減速比(ギア比)を替え、高速ギアと低速ギアを切り替えている。例えば、鋼帯の板厚が薄いときなど、被切断材の切断に要する動力が小さな場合には、減速比を小さくして、すなわち、高速ギアに切り替えることにより、被切断材の切断に要する時間を短縮することができ、これにより、生産性をある程度向上させることができる。
特開平7−112614号公報
ここで、走間シャーの刃は、通常、一方の刃が所定のレーキ角を有する傾斜刃となっている。これは、被切断材に当たる刃の面積を小さくして切断に要する力を下げ、かつ切断に要する力が切断過程で一定となるようにするためである。このような走間シャーで切断される被切断材は、板厚とレーキ角から決まる一定の切断線で切断される。レーキ角は設備構成で決まってしまうため、従来は、減速比を替える場合、板厚のみを考慮していた。
しかしながら、このような従来の減速比の決定方法は、モータ等のシャー切断の駆動手段の動力を最大限に有効利用したものではなく、走間シャーが十分に設備能力を発揮していない、という問題を本発明者らは見出した。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、連続処理設備におけるシャー切断制御方法において、シャー切断の駆動手段の動力を最大限に利用できるようにすることで、設備能力を十分に発揮させて生産性のさらなる向上を図ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、被切断材の切断に要する動力を算出する際に、鋼帯等の板状の被切断材の板幅の影響をも考慮することにより、モータ等のシャー切断の駆動手段の動力を最大限に利用することができ、低い減速比で(高速ギアで)被切断材を切断できる範囲が拡大することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、板状の被切断材を、前記被切断材の板送り方向に沿って往復移動する第1の切刃と、クランク軸の回転駆動により円運動する所定のレーキ角を有する第2の切刃との間に挿入し、前記第2の切刃が前記第1の切刃と噛み合う際に前記被切断材に剪断応力を与え、前記被切断材を切断するシャー切断方法において、少なくとも前記被切断材の板厚と板幅を用いて前記被切断材の切断に要する動力Pを算出し、当該動力Pの大きさに応じて、前記クランク軸の回転駆動の減速比を設定するシャー切断制御方法が提供される。
前記シャー切断制御方法において、前記動力Pは、前記第2の切刃の円運動に要する動力Pと、前記被切断材の切断自体に要する動力Pとの和として算出され、前記動力Pが、前記クランク軸の回転駆動を行うクランク駆動手段の動力P以下となる範囲内で、前記第1の切刃と前記第2の切刃とで前記被切断材を剪断可能な値に前記減速比を設定してもよい。
以上のような本発明によれば、鋼帯等の板状の被切断材の板厚だけでなく板幅の影響をも考慮して被切断材の切断に要する動力を算出することで、クランク駆動手段の動力を最大限に利用することができる。すなわち、本発明においては、動力P≦動力Pとなる範囲内で、かつ、被切断材が剪断可能な範囲であれば、減速比をなるべく小さく、すなわち、クランク軸の回転速度がなるべく速くなるような減速比を設定することが可能となる。従って、本発明によれば、低い減速比で、すなわち、クランク軸の回転速度が速い状態で、被切断材を切断できる範囲が拡大する。
本発明によれば、連続処理設備におけるシャー切断制御方法において、板状の被切断材の板幅の影響をも考慮して被切断材の切断に要する動力を算出することで、低い減速比で被切断材を切断できる範囲が拡大するので、設備能力を十分に発揮させて生産性のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るシャー切断装置の全体構成を示す側面図である。 同実施形態に係るシャー切断装置の全体構成を示す上面図である。 同実施形態に係る走間シャーの構成を示す側面図である。 同実施形態に係る走間シャーの構成を示す側面図である。 同実施形態に係るシャー切断装置の動作を示す説明図である。 同実施形態に係る上刃及び下刃の運動の軌跡とクランク軸の回転の軌跡との関係を示す説明図である。 同実施形態に係る被切断材の切断自体に要する動力を説明するための説明図である。 同実施形態に係る下刃の円運動に要する動力を説明するための説明図である。 本発明の一実施例において、高速ギアを使用する範囲と低速ギアを使用する範囲を、被切断材の板厚と板幅との関係で示したグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[本発明の一実施形態に係るシャー切断制御方法に用いるシャー切断装置について]
(シャー切断装置の構成について)
まず、図1、図2、図3Aおよび図3Bを参照しながら、本発明の一実施形態に係るシャー切断制御方法に用いるシャー切断装置10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るシャー切断装置10の全体構成を示す側面図である。図2は、本実施形態に係るシャー切断装置10の全体構成を示す上面図である。図3Aおよび図3Bは、本実施形態に係る走間シャー15の構成を示す側面図である。
図1、図2、図3Aおよび図3Bに示すように、本実施形態に係るシャー切断装置10は、本実施形態に係るクランク駆動手段の一例としてのモータ11と、減速機13と、走間シャー15と、を主に備える。
モータ11は、動力(モータ容量)が一定のモータで、モータの回転軸の一端が連結部12を介して減速機13と連結されている。減速機13は、一側が連結部12を介してモータ11の回転軸と連結され、他側が連結部14を介して後述する走間シャー15のクランク軸165に連結され、モータ11の回転駆動により生じた回転を所定の減速比でクランク軸165に伝える。
この減速機13は、コイル等の被切断材の切断に要する動力の大きさに応じて減速比を上げたり下げたりすることが可能な制御部(図示せず)を有している。また、減速機13の内部には、例えば、減速の割合が小さくクランク軸165のトルクが小さい高速ギアと、減速の割合が大きくクランク軸165のトルクが大きい低速ギアとが設けられており、減速機13の制御部が減速比を替えることにより、高速ギアと低速ギアとが切り替えられる。ただし、本実施形態における減速機13が有するギアは高速ギアと低速ギアの2つからなる場合だけでなく、減速機13には、3以上のギアや無段変則ギア等が設けられていてもよい。
このような減速機13を備えるシャー切断装置10は、被切断材の種類等により、被切断材の切断に必要な動力が大きな場合には、減速機13が減速比を上げて(例えば、低速ギアに切り替えて)クランク軸のトルクを上げることにより、被切断材に与える剪断力を大きくし、一方、被切断材の切断に必要な動力が小さくてすむ場合には、減速機13が減速比を下げて(例えば、高速ギアに切り替えて)クランク軸の回転速度を上げる。このとき、通常は、減速機13の制御部は、できるだけ小さな減速比に設定する(例えば、被切断剤の切断の動力が小さくてすむ場合には、できるだけ高速ギアを選択するようにする)ことで、被切断材の切断に要する時間を短縮することができ、これにより、生産性を向上させることができる。
ただし、従来は、被切断材の切断に必要な動力を算出する際に、板状の被切断材の板厚のみを考慮していたため、より低い減速比で(例えば、低速ギアで)被切断材を切断可能な場合にも高い減速比(例えば、高速ギア)を用いて被切断材の切断を行っており、モータ11の動力を有効に利用することができていなかった。
そこで、本実施形態では、減速機13の制御部は、少なくとも被切断材の板厚と板幅を用いて被切断材の切断に要する動力を算出し、当該動力の大きさに応じて、クランク軸165の回転駆動の減速比を設定している。この減速機13の制御部による減速比の設定方法の詳細については後述する。
走間シャー15は、本実施形態に係る第1の切刃の一例としての上刃151と、上刃支持部材153と、走行車輪155と、車輪支持部材157と、ガイドレール159と、本実施形態に係る第2の切刃の一例としての下刃161と、下刃支持部材163と、クランク軸165と、クランク支持部材167と、回転伝達軸171と、を主に有する。
上刃151は、上刃支持部材153により支持され、板状の被切断材の板送り方向にほぼ直角に設置されており、被切断材の板送り方向に沿って往復移動する。このような上刃151の往復移動を行わせる上刃移動機構としては、本実施形態では、主に、車輪支持部材157により回転可能に支持された走行車輪155と、走行車輪155の移動をガイドするガイドレール159とから構成されている。走行車輪155は、上側及び下側にそれぞれ4個ずつ設けられており、それぞれの走行車輪155に対応して、ガイドレール159が設けられている。ガイドレール159は、被切断材の板送り方向に沿って設けられており、走行車輪155がガイドレール159上を移動することにより、上刃支持部材153に支持された上刃151を板送り方向に往復移動させることができる。このとき、上刃151は、その移動速度が、下刃161の円運動における周速の板送り方向の成分(下刃161の板送り方向における移動速度)に同調するように板送り方向に往復移動する。
下刃161は、下刃支持部材163により支持され、上刃151と同様に、板状の被切断材の板送り方向にほぼ直角に設置されており、クランク軸165の回転駆動により円運動する。ここで、図3Aおよび図3Bに示すように、クランク軸165は、中心軸が偏芯した構造を有する左右(減速機13に近い側と遠い側)2つの軸で構成されており、クランク支持部材167により支持され、さらに、偏芯した軸に軸受167a(図3Aを参照)を介して下刃支持部材163が支持されている。
さらに、減速機13からの回転力は、一方(図1の左側)のクランク軸に伝達され、さらに、回転伝達軸171を介して反対側(図1の右側)のクランク軸165に伝達され、左右のクランク軸165が同期して回転するようになっている。
また、下刃161は、所定のレーキ角を有する傾斜刃となっている。これは、下刃161がレーキ角を有することにより、被切断材に当たる刃の面積を小さくして切断に要する力を下げるためである。
本実施形態に係るシャー切断装置10は、以上のような構成を有し、板状の被切断材を上刃151と下刃161との間に挿入し、下刃161が上刃151と噛み合う際に被切断材に剪断応力を与え、被切断材を切断するものである。
(シャー切断装置の動作について)
次に、図4を参照しながら、上述した構成を有するシャー切断装置10の動作について説明する。図4は、本実施形態に係るシャー切断装置10の動作を示す説明図である。
上述したように、本実施形態に係るシャー切断装置10は、板状の被切断材を、被切断材の板送り方向に沿って往復移動する上刃151と、クランク軸165の回転駆動により円運動する所定のレーキ角を有する下刃161との間に挿入し、下刃161が上刃151と噛み合う際に被切断材に剪断応力を与え、被切断材を切断する。以下、図4に示す(I)〜(IV)の順に、このようなシャー切断装置10の動作について詳細に説明する。
まず、図4の(I)は、走間シャー15の上刃151と下刃161とが噛み合っている状態を示している。このとき、走行車輪155はガイドレール159の略中央部に位置しており、クランク軸165の偏芯した軸は上側に位置している。このような状態で、走間シャー15の上刃151と下刃161とは、被切断材(図示せず)に剪断応力を与えることができる。
次に、図4の(II)に示すように、クランク軸165が時計回り方向に回転し、クランク軸165の偏芯した軸が右側に位置するようになる。このクランク軸165の回転により、下刃支持部材163に支持された下刃161は、時計回り方向に円運動し、被切断材の板送り方向(図4では水平方向)の右方で、かつ、鉛直方向の下方に向かって移動する。また、この下刃161の板送り方向の移動速度に同調する速度で、走行車輪155がガイドレール159に沿って板送り方向(図4では水平方向)の右方に移動し、走行車輪155がガイドレールの159の右端に位置するようになる。この走行車輪155の移動に連動して、上刃支持部材153に支持された上刃151も、板送り方向の右方に移動する。従って、上刃151と下刃161との位置関係は、板送り方向には変化しないが、鉛直方向には互いに離隔することとなる。
次に、図4の(III)に示すように、クランク軸165が時計回り方向にさらに回転し、クランク軸165の偏芯した軸が下側に位置するようになる。このクランク軸165の回転により、下刃支持部材163に支持された下刃161は、時計回り方向にさらに円運動し、被切断材の板送り方向(図4では水平方向)の左方で、かつ、鉛直方向の下方に向かって移動する。また、この下刃161の板送り方向の移動速度に同調する速度で、走行車輪155がガイドレール159に沿って板送り方向(図4では水平方向)の左方に移動し、走行車輪155がガイドレール159の略中央部に位置するようになる。この走行車輪155の移動に連動して、上刃支持部材153に支持された上刃151も、板送り方向の左方に移動する。従って、上刃151と下刃161との位置関係は、板送り方向には変化しないが、鉛直方向には、図4(II)の場合よりも互いにさらに離隔することとなる。
次に、図4の(IV)に示すように、クランク軸165が時計回り方向にさらに回転し、クランク軸165の偏芯した軸が左側に位置するようになる。このクランク軸165の回転により、下刃支持部材163に支持された下刃161は、時計回り方向にさらに円運動し、被切断材の板送り方向(図4では水平方向)の左方で、かつ、鉛直方向の上方に向かって移動する。また、この下刃161の板送り方向の移動速度に同調する速度で、走行車輪155がガイドレール159に沿って板送り方向(図4では水平方向)の左方に移動し、走行車輪155がガイドレール159の左端に位置するようになる。この走行車輪155の移動に連動して、上刃支持部材153に支持された上刃151も、板送り方向の左方に移動する。従って、上刃151と下刃161との位置関係は、板送り方向には変化しないが、鉛直方向には、図4(III)の場合よりも接近することとなる。なお、図4に示した例では、上刃151と下刃161との距離は、(II)と(IV)では同一となっている。
次に、クランク軸165が時計回り方向にさらに回転すると、図4の(I)に示す状態に復帰し、このときに被切断材を切断することとなる。
なお、以上説明した走間シャー15の上刃151と下刃163の動作からわかるように、下刃161の円運動は、上刃151の移動方向である板送り方向および被切断材の垂線方向(図4では鉛直方向)を含む平面内で行われる。
[本発明の一実施形態に係るシャー切断制御方法について]
次に、図5〜図7を参照しながら、以上説明したようなシャー切断装置10を用いて行われる、本実施形態に係るシャー切断制御方法について説明する。図5は、上刃151及び下刃161の運動の軌跡とクランク軸の回転の軌跡との関係を示す説明図である。図6は、被切断材の切断自体に要する動力を説明するための説明図である。図7は、下刃163の円運動に要する動力を説明するための説明図である。
本実施形態に係るシャー切断制御方法は、板状の被切断材を、当該被切断材の板送り方向に沿って往復移動する上刃151と、クランク軸165の回転駆動により円運動して所定のレーキ角を有する下刃161との間に挿入し、下刃161が上刃151と噛み合う際に被切断材に剪断応力を与え、被切断材を切断するように制御する方法である。そして、この本実施形態に係るシャー切断制御方法においては、少なくとも被切断材の板厚と板幅を用いて被切断材の切断に要する動力Pを算出し、当該動力Pの大きさに応じて、クランク軸165の回転駆動の減速比を設定する。
図5のクランク軌跡に示すように、クランク軸165が回転駆動されると、下刃161は、図5に破線の軌跡で示したように、例えば矢印Yの方向(時計回り方向)に円運動する。また、上刃151は、下刃161の動作に同調して、矢印X1及び矢印X2に示すように、被切断材の板送り方向(図5では水平方向)に沿って往復移動する。そして、上刃151と下刃161とが噛みあった際に、被切断材に剪断力Fを与える。このとき、クランク軸165には、剪断力Fと同じ大きさの剪断抵抗力が加わるので、クランク軸165の剪断抵抗トルクは、クランク軸165の上死点からの回転角をθ(クランク軸165の上死点をからの半時計回りの角度;0°<θ<180°)、クランク軸165の偏芯量(以下、「クランク半径」という場合がある。)をRとすると、Fsinθ・Rとなる。
ここで、被切断材の板厚が薄い場合など、被切断材の切断に要する剪断力Fが小さな場合には、クランク軸165にかかる剪断抵抗トルクは小さくて済むため、クランク軸165の回転駆動の減速比を小さくすることができる。
本発明者らの検討の結果、このような被切断材の切断の際の剪断抵抗トルクは、単に被切断材の板厚のみならず、被切断材の板幅により大きく影響を受けるということが判明した。以下、この点について、図6を参照しながら具体的に説明する。
図6は、被切断材の切断の際の剪断抵抗トルクの大きさについて、板幅の大きな被切断材(以下、「幅広材」という。)STbと、板幅の小さな被切断材(以下、「幅狭材」という。)STnとで比較した結果を示している。図6に示すように、下刃161は、所定のレーキ角(図6では、レーキ角正接が1/58=sin1°、すなわち、レーキ角が1°の場合を例に挙げている。)を有する。そのため、被切断材の板幅により、各被切断材の端部と下刃161とが接触する切断開始点におけるクランク角θ(クランク軸の上死点からの回転角(0°<θ<180°)が異なる。
詳細には、幅広材STbの場合、図6に実線で示したように、下刃161が幅広材STbの端部Ebと接触する切断開始点は、下刃軌跡上における点CSbとなり、このときのクランク角はθである。一方、幅狭材STnの場合、図6に2点鎖線で示したように、下刃161が幅狭材STnの端部Enと接触する切断開始点は、下刃軌跡上における点CSnとなり、このときのクランク角はθである。
ここで、幅広材STbよりも幅狭材STnの方が、下刃161が接触する位置がより上方となるので、幅狭材STnの切断開始点CSnの方が、幅広材STbの切断開始点CSnよりもクランク軸165の上死点により近い位置となるので、クランク角はθ<θとなる。従って、幅広材STbの切断に要するクランク軸165の剪断抵抗トルクFsinθ・Rよりも、幅狭材STnの切断に要するクランク軸165の剪断抵抗トルクFsinθ・Rの方が小さくなる。すなわち、被切断材の幅が狭いほど、その切断に要する動力は小さくなり、より厚い板まで切断可能となり、同じ板の厚みであれば、クランク軸165の駆動の際の減速比をより小さな値に設定することが可能となる。
例えば、幅狭材STnの板幅が600mmであり、幅広材STbの板幅が1880mmであるとした場合には、幅狭材STnのクランク角θは15.4°(sinθ=0.27)となり、幅広材STbのクランク角θは25.8°(sinθ=0.44)となる。従って、幅狭材STnの切断の際の剪断抵抗トルクは、幅広材STbの切断の際の剪断抵抗トルクの6割(=0.27/0.44)で済み、その結果、クランク軸165の駆動の減速比も、幅狭材STnの切断では、幅広材STbの切断の際の6割とすることができる。
このような検討の結果から、本実施形態に係るシャー切断制御方法では、被切断材の板幅により切断開始点におけるクランク角が異なることに着目し、被切断材の板幅による剪断抵抗トルクの違いを考慮した剪断動力の算出式を考案した。その結果、本実施形態に係るシャー切断制御方法によれば、幅狭材STnでは、従来の板厚のみを考慮して減速比を設定する方法よりも、より小さな減速比で(すなわち、よりクランク軸165の回転速度が速く、より短時間で)被切断材を切断可能な範囲を拡大させることができる。
具体的には、被切断材の切断自体に要する動力Pは、次のように算出することができる。
まず、被切断材の切断開始点からクランク軸165の上死点までの距離をH、下刃161のラップ量をh、板幅をB、板厚をt、下刃161のレーキ勾配をCとすると、距離Hは、以下の式(1−1)で表される。
H=h+B/(2×C)+t ・・・(1−1)
また、クランク角(被切断材の切断開始時における第2の切刃のクランク軸の上死点からの回転角)をθ(0°<θ<180°)、クランク半径をRとすると、cosθ及びsinθは、それぞれ、下記式(1−2)及び(1−3)で表される。
cosθ=(1−H/R) ・・・(1−2)
sinθ=√(1−cosθ) ・・・(1−3)
被切断材を切断する際の剪断力Fは、断面積係数をK1、剪断抵抗係数をK2、板厚をt、剪断応力をTSとすると、下記式(1−4)で表される。
F=K1×t×C×TS×K2 ・・・(1−4)
よって、被切断材を切断する際のクランク軸165の剪断抵抗トルクTは、下記式(1−5)で表される。
T=F×sinθ×R
=K1×t×C×TS×K2×sinθ×R ・・・(1−5)
従って、被切断材の切断自体に要する動力Pは、一般に、クランク軸165の単位時間当たりの回転数をNとすると、下記式(1−6)で表され、(1−1)式から(1−6)式に基づき算出することができる。
=T×N ・・・(1−6)
また、被切断材の切断に要する動力Pとしては、上述したようにして算出される被切断材の切断自体に要する動力Pに加え、下刃161の駆動(円運動)に要する動力Pも考慮する必要がある。
まず、下刃161は、図7に示すように円運動をしており、昇降方向(板送り方向と直交する方向、図7では鉛直方向)にはサインカーブ、横行方向(板送り方向、図7では水平方向)にはコサインカーブで運動をしている。そのため、下刃161が等速円運動をするためには、昇降及び横行の際に加速度を生じる。
図7に示すように、被切断材の切断開始点におけるクランク角をθ、クランク半径をR、下刃161の周速度をVとすると、周速度V(m/s)は、角速度ω(rad/s)を用いて、V=Rω(m/s)で表される。
また、下刃161の昇降方向の速度(昇降速度)Vs及び横行方向の速度(横行速度)Voは、それぞれ、Vs=Vsinθ(m/s)、Vo=Vcosθ(m/s)で表される。よって、下刃161の昇降方向の加速度(昇降加速度)αs(m/s)及び横行方向の加速度(横行加速度)αo(m/s)は、それぞれ、下記式(2−1)及び(2−2)で表される。
αs=−Vωcosωt ・・・(2−1)
αo=Vωsinθ ・・・(2−2)
また、下刃161が昇降する際に下刃161にかかる荷重Fs、及び下刃161が横行する際に下刃161にかかる荷重Foは、重力加速度をg、下刃支持部材163の重量をWs、上下の刃物台の重量をWoとすると、それぞれ、下記式(2−3)及び(2−4)で表される。
Fs=Ws・(αs+g) ・・・(2−3)
Fo=Wo・αo ・・・(2−4)
よって、下刃161が昇降する際のトルク(昇降トルク)Ms(N−m)、及び下刃161が横行する際のトルク(横行トルク)Mo(N−m)は、それぞれ、下記式(2−5)及び(2−6)で表される。
Ms=Fs・sinθ×R ・・・(2−5)
Mo=Fo・cosθ×R ・・・(2−6)
従って、下刃161が等速円運動する際の合計のトルク(合計トルク)M(N−m)は、下記式(2−7)で表される。
M=(Fs・sinθ+Fo・cosθ)×R ・・・(2−7)
また、下刃161の駆動(円運動)に要する動力P(W)は、以下の式(2−8)で表される。
=M×ω ・・・(2−8)
以上、(2−1)から(2−8)式に基づいて動力Pが算出されるが、通常は、計算が煩雑となるため、最小2乗法等を用いて求めた近似式を使用してもよい。
以上、下刃161の円運動に要する動力Pと、被切断材の切断自体に要する動力Pとの和として、被切断材の切断に要する合計の動力Pを算出する。そして、この動力Pが、クランク軸165の回転駆動を行うクランク駆動手段(本実施形態ではモータ11)の動力P以下となる範囲内で、上刃151と下刃161とで被切断材を切断可能な値に減速比を設定することができる。
このように、本実施形態に係るシャー切断方法では、動力P≦動力Pとなる範囲内で、かつ、被切断材が剪断可能な範囲であれば、減速比をなるべく小さく、すなわち、クランク軸165の回転速度がなるべく速くなるような減速比を設定することが可能となる。従って、本実施形態に係るシャー切断方法によれば、低い減速比で、すなわち、クランク軸165の回転速度が速い状態で、被切断材を切断できる範囲が拡大する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
本実施例では、高速ギアとしてクランク軸の回転速度(周速度)が80mpmであるギアを、低速ギアとしてクランク軸の回転速度が40mpmであるギアを備える減速機を用い、被切断材として、板幅(mm)と板厚(mm)の異なる複数のコイルを用いて、実験を行った。この実験では、実施例として、本発明を適用した板厚と板幅の影響を考慮して、コイルの切断に要する動力を算出し、算出された動力に応じて減速比を設定した。高速ギアとして設定した範囲で、高速ギアを用いて切断実験を行い、被切断材が切断可能かどうかを確認した。
上記実験の結果を図8に示す。なお、図8は、本発明を適用して設定した高速ギアを使用する範囲と低速ギアを使用する範囲を、被切断材としてのコイルの板厚と板幅との関係で示したグラフであり、高速ギア範囲と低速ギア範囲の境界を実線(L2)で記している。また、従来の板厚だけを考慮して設定した場合の高速ギア範囲と低速ギア範囲の境界を破線(L1)で記している。図8を見るとわかるように、従来の板厚のみを考慮して減速比を設定した場合に比べて、本発明の板厚と板幅を考慮して減速比を設定した場合には、板幅が小さな場合にはより板厚が大きな場合でも高速ギアを使用することができ、これにより、高速ギアを使用できる範囲が大きく拡大している。また、切断実験の結果を図8中に記しているが、本発明で拡大した高速ギアの適用範囲内でも、問題なく切断可能であることが確認できた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 シャー切断装置
11 モータ
13 減速機
15 走間シャー
151 上刃
153 上刃支持部材
155 走行車輪
159 ガイドレール
161 下刃
163 下刃支持部材
165 クランク軸
167 クランク支持部材
171 回転伝達軸

Claims (2)

  1. 板状の被切断材を、前記被切断材の板送り方向に沿って往復移動する第1の切刃と、クランク軸の回転駆動により円運動する所定のレーキ角を有する第2の切刃との間に挿入し、前記第2の切刃が前記第1の切刃と噛み合う際に前記被切断材に剪断応力を与え、前記被切断材を切断するシャー切断方法において、
    少なくとも前記被切断材の板厚と板幅を用いて前記被切断材の切断に要する動力Pを算出し、当該動力Pの大きさに応じて、前記クランク軸の回転駆動の減速比を設定することを特徴とする、シャー切断制御方法。
  2. 前記動力Pは、前記第2の切刃の円運動に要する動力Pと、前記被切断材の切断自体に要する動力Pとの和として算出され、
    前記動力Pが、前記クランク軸の回転駆動を行うクランク駆動手段の動力P以下となる範囲内で、前記第1の切刃と前記第2の切刃とで前記被切断材を剪断可能な値に前記減速比を設定することを特徴とする、請求項1に記載のシャー切断制御方法。
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