JP2010246645A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用シート2の少なくとも一部(11)が、一部(11)とは異なる他部(12)又は車両用シート2とは異なる他部材に接触して相対的に摩擦する構成であり、一部(11)の表皮材をヨコ朱子織物FSにて構成するとともに、ヨコ朱子織物FSのヨコ糸に、起毛処理又は毛羽出し処理を施して、摩擦方向に対して直交状に配置した。
【選択図】図1
Description
そして公知技術の車両用シートは、シートクッションとシートバックが共に皮革製の表皮材にて被覆されており、良好な意匠性(例えば高級感のある風合い)を有する。
もっともファブリック製の表皮材を用いれば異音発生を低減できるのであるが、ファブリック製の表皮材が必ずしも良好な意匠性を備えるものではない。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートの意匠性を極力維持しつつ、シートの異音発生を防止又は低減することにある。
そして上記構成では、上記相対移動時に、前記一部の表皮材が擦れるなどして異音が発生するおそれがある。
そこで本発明では、シートクッションとシートバックを皮革製の表皮材で被覆するに際して、第一接触部と第二接触部の少なくとも一方の表皮材部分をヨコ朱子織物にて構成する。そしてヨコ朱子織物のヨコ糸を、起倒動作時における一方の表皮材部分の摩擦方向に対して直交状に配置することで、表皮材の摩擦による異音発生を防止又は低減する構成とした。
そして各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4とシートバック6とヘッドレスト8を備え、これら各部材が表皮材(4S,6S,8S)にて被覆される。そしてシートバック6は、リクライニング機構Rを介して、シートクッション4に対して起倒可能に保持されており、シートクッション4後部とシートバック6底部が接している。
そして本実施例では、シートバック6の起倒動作時に、シートバック6底部(第一接触部11)とシートクッション4後部(第二接触部12)が接触して相対移動する。この種の構成では、表皮材4S,6S同士の摩擦による異音(擦れ音など)の発生を極力抑えることが好ましい。
そこで本実施例では、後述する表皮材構成によって、シートの異音発生を防止又は低減することとした。以下、各構成について詳述する。
本実施例では、第一接触部11(シートバック6底部)の表皮材部分を、後述のヨコ朱子織物FSにて構成する。また表皮材6Sの上部側(第一接触部11を除く部分の表皮材部分)と、シートクッション4の表皮材4Sを皮革LSにて構成する。
なお皮革LSとして、天然皮革や合成皮革などの各種の皮革を使用することができる。天然皮革として、牛革、馬革、豚革、鹿革、羊革、山羊革、カンガルー革などの動物系天然皮革を例示できる。なかでも牛革は風合いに優れるため、本実施例の皮革LSとして好適に使用することができる。
ヨコ朱子織物FSは、タテ糸に対してヨコ糸が織物表面に多く現れる(織物表面からヨコ糸が浮き出る)織物である。
このヨコ朱子織物FSは、タテ糸とヨコ糸が各N本(N≧5)で完全組織となる織物である。例えば5枚朱子織物は、タテ糸とヨコ糸が各5本で完全組織となる織物であり、8枚朱子織物は、各8本ずつで完全組織となる織物であり、12枚朱子織物は、各12本ずつで完全組織となる織物である。
またヨコ朱子織物FSは、織物表面(着座面)にヨコ糸が多く現れるため滑らかで光沢がある。このためヨコ朱子織物FSは品質に優れる表皮材となる(仕上がりの良い表皮材となる)。
なかでも8枚朱子織物(後述)は意匠性に特に優れるため、車両用シートの表皮材として好適に使用することができる。なお5枚朱子織物は、8枚朱子織物よりも網目が目立つ傾向にある。また12枚朱子織物は、8枚朱子織物よりもヨコ糸が多く浮き出るため、後述のエンボス加工時において朱子線が目立ちやすくなる傾向にある。
本実施例においては、8枚朱子織物を適宜例示しつつヨコ朱子織物の織製について説明する(図2〜図4を参照)。
8枚朱子織物の織製では、8本のタテ糸(21a〜21h)を並列に配置したのち、後述の組織図に基づいて、複数のヨコ糸(20a〜20h)を順に交差させる。例えば一対の横棒(ビーム)の間にタテ糸(21a〜21h)を並列して張設する。そして8枚の綜絖にて各タテ糸を引き上げて、ヨコ糸を打ち込み可能な隙間を形成する。
そして各ヨコ糸(20a〜20h)を固定したシャトルを、タテ糸の隙間に打ち込む(タテ糸とヨコ糸を交差させる)ことで、8枚朱子織物を織製することができる。
図2を参照して、ヨコ朱子織物FSの組織図では、タテ糸とヨコ糸の交錯点(組織点:CD1〜CD8)が規則正しく連続しないように飛んでおり、この飛び方を「朱子の飛数」と呼ぶ。
そして組織図は、与えられた綜絖枚数(完全組織のタテ糸本数)を1及び公約数を持たない2つの数に分け、これら2数を「朱子の飛数」として描くことができる。
例えば8枚朱子織物の綜絖枚数は8であることから、「朱子の飛数」は(1と7、3と5、2と6、4と4)のいずれかである。このうち(1と7)と(2と6)と(4と4)は、1及び公約数の関係であるため除かれる。よって8枚朱子織物の「朱子の飛数」は(3と5)となる(図2及び図3を参照)。
また「朱子の飛数」を5に設定した場合には、5飛8枚朱子(8枚朱子織物の他例)の組織図を描くことができる(図3を参照)。この3飛8枚朱子では、8つの組織点(CD1〜CD8)が、ヨコ糸方向にタテ糸5本ずつ離れて規則正しく配置する。
そしてこれら8枚朱子織物では、各組織点が規則正しくほぼ等距離に配置する。このため8枚朱子織物では、組織点同士がスジ状につながりにくく(朱子線がほとんど表れず)、意匠性に優れる織物となる。
ここでタテ糸及びヨコ糸(材質)として、天然繊維、化学繊維又はこれらの混紡繊維を例示することができる。これら繊維の線材(フィラメントや紡績糸)をタテ糸及びヨコ糸として使用することができる。なお繊維の線材として、シングルフィラメントや、複数のフィラメントをセット加工(捲縮)したマルチフィラメントを使用できる。またヨコ糸に対してカバリング糸をらせん状に巻き付けてもよい。
ここでタテ糸及びヨコ糸の太さ(寸法)は、ヨコ朱子織物FSを織製可能であれば特に限定しないが、典型的なタテ糸は75デニール(d)〜300デニール(d)である。またヨコ糸は、0.001デニール(d)〜300デニール(d)である。
特にヨコ糸として、単糸デニール0.001d〜1dの長繊維(捲縮加工された長繊維を含む)を使用することが好ましい。
また化学繊維として、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などの合成繊維を用いることができる。また化学繊維として、レーヨンなどの再生繊維や、アセテートなどの半合成繊維を用いることができる。
(a)ヨコ朱子織物FSを、太さの異なるヨコ糸で構成する。例えば太いヨコ糸と細いヨコ糸を交互又はランダムに打ち込むことで、織物表面を凸凹状にすることができる。
例えば図2を参照して、ヨコ糸一部(20a、20c、20e、20g)を太い糸で構成する。またヨコ糸他部(20b、20d、20f、20h)を細い糸で構成する。またマルチフィラメントのヨコ糸を用いる場合には、構成糸の本数(フィラメント数)によって糸の太さを調節できる。
このとき(A)と(B)の総デニール数の差を大きく設定する(好ましくは(A)−(B)≧20に設定する)ことが好ましい。このようにヨコ糸(A)とヨコ糸(B)の総デニール数の差を大きく設定することでヨコ朱子織物FSに凹凸ができやすくなり、皮革LSとの実接触面積(M)が小さくなる。
なお異音発生エネルギー(E)は下記の計算式により求めることができる。
異音発生エネルギー(E)=垂直荷重(N)×動摩擦係数(μ)×実接触面積(M)×接触時間(t)
ヨコ糸(シングルフィラメント又はマルチフィラメント)の収縮率は、例えば糸の材質によって調節できる。またカバリング糸がヨコ糸に巻き付けられている場合には、このカバリング糸の熱収縮率を調節してもよい(カバリング糸によるヨコ糸の収束度合いに差をつけてもよい)。
このとき引き揃えられた複数のヨコ糸(撚り合させることなく一まとめにされた複数のヨコ糸)を用いることもできる。
そしてヨコ朱子織物FSのヨコ糸に、起毛処理又は毛羽出し処理を施す。図4を参照して、起毛処理又は毛羽出し処理をヨコ糸20aに施すことで、織物表面からヨコ糸20aを更に浮き出させることができる(織物表面がより凹凸状となる)。
ここで起毛処理とは、ヨコ朱子織物FS中のヨコ糸20aを織物表面に引き出す処理である(図4(b)を参照)。起毛処理の手法は特に限定しないが、例えば起毛機(円筒にJ字状の金具を取付けた機械)によって、織物表面からヨコ糸20aを引き出すことができる。
また毛羽出し処理とは、ヨコ朱子織物FS中のヨコ糸20aに傷を付けるなどして、ヨコ糸20aの繊維を毛羽状に突き出させることである(図4(c)を参照)。毛羽出し処理の手法は特に限定しないが、例えばハリなどの部材によりヨコ糸20aに傷を付けて毛羽立たせることができる。
また本実施例では、ヨコ朱子織物FSにエンボス加工を施すことができる。ここでエンボス加工の手法は特に限定しないが、例えば表面凹凸状のロールを、ヨコ朱子織物FSに押しつけながら転動することで織物に凹凸をつけることができる。
そしてヨコ朱子織物FSにエンボス加工を施して凹凸状とすることで、ヨコ朱子織物FSが皮革LSに近似する意匠性を備えることとなる。特に8枚朱子織物に対して皮革様の凹凸を形成することで、同織物が皮革LSに匹敵する意匠(高級感のある風合い)を有することとなる。
図1及び図2を参照して、第一接触部11(シートバック6底部)の表皮材部分をヨコ朱子織物FSにて構成する。このようにシートバック6底部(目立ちにくい位置)にヨコ朱子織物FSを配置することで、シートの意匠性を好適に維持することができる。
そしてヨコ朱子織物FSのヨコ糸を、シートバック6の起倒動作時における摩擦方向に対して直交状に配置する。すなわちヨコ朱子織物FSのヨコ糸(20a〜20h)を、シートバック6の起倒方向D1(車両前後方向)に対して直交状に配置する。ここで各ヨコ糸は、起倒方向に対して直交配置されていることが望ましいが、厳密に直交させる必要はなく若干傾斜状に配置させることもできる。
このとき第一接触部11のヨコ糸(20a〜20h)が第二接触部12(皮革LS)に順に接触する。これらヨコ糸(20a〜20h)は織物表面から浮き出ているため、第二接触部12と点接触する(接触面積が低減される)。
またヨコ糸(20a〜20h)を、シートバック6の起倒方向D1に対して直交状に配置することにより、各ヨコ糸と第二接触部12が比較的短時間で離間する(摩擦の応力残留が好適に回避される)。
このように第一接触部11と第二接触部12の接触面積を低減して、各ヨコ糸の応力残留を回避することにより、摩擦による異音発生を極力防止又は低減することができる。
このため本実施例によれば、表皮材6Sの意匠性を極力維持しつつ、シート動作時の異音発生を防止又は低減することができる。
特に8枚朱子織物は優れた意匠性を備えることから、シートの意匠性を好適に向上させることができる。また8枚朱子織物にエンボス加工を施すことで、ヨコ朱子織物FSが皮革LSに匹敵する風合いを備えることとなる。
このため本実施例の8枚朱子織物によれば、車両用シート2(皮革製の表皮材を主構成とするシート)において、風合いを維持しつつ、異音発生を防止又は低減できる。
本実施例の車両用シート2aは、実施例1の車両用シートとほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
図5の車両用シート2aは、一対のシート体31a,32aと、アームレスト9を有する。一対のシート体31a,32aは、各々、シートクッション4aとシートバック6aとヘッドレスト8aを備える。また一対のシートバック6a,6aの間には、アームレスト9を収納可能な収納部40(略長方形状の空間部)が形成されている。
そして本実施例では、アームレスト9一側を、収納部40に橋し渡した軸部(図示省略)に回転可能に軸支する。そしてアームレスト9の回転動作により、アームレスト9他側がシート前方に突き出す「使用位置」と、アームレスト9が収納部40に収まる「収納位置」の間を変位可能とする。
しかし上記構成では、アームレスト9の回転動作時において、アームレスト9側面(第一接触部11a)と、シートバック6a側面(第二接触部12a)が接触して異音が発生することがある。
そこで本実施例では、第一接触部11aの表皮材部分をヨコ朱子織物FSにて構成するとともに、第二接触部12aの表皮材部分を皮革LSにて構成する(図6を参照)。そしてヨコ朱子織物FSのヨコ糸を、アームレスト9の回転動作方向D2(摩擦方向)に対して直交状に配置することとした。
このとき第一接触部11aのヨコ糸(20a〜20h)が第二接触部12a(皮革LS)に順に接触する(図2及び図3を参照)。これらヨコ糸(20a〜20h)は織物表面から浮き出ているため、第二接触部12aと点接触する(接触面積が低減される)。
またヨコ糸(20a〜20h)を、アームレスト9の回転方向D2に対して直交状に配置することにより、各ヨコ糸と第二接触部12aが比較的短時間で離間する(摩擦の応力残留が回避される)。
このように第一接触部11aと第二接触部12aの接触面積を低減して、ヨコ糸の応力残留を回避することにより、アームレスト9動作時の異音発生を極力防止又は低減することができる。
本実施例の車両用シート2bは、実施例1又は2の車両用シートとほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
図6の車両は、車両用シート2bと、一対のホイールハウスH1(車両用シートとは異なる他部材)を有する。
一対のホイールハウスH1は、車室RO内側(両側)に膨出する半円状の凸部であり、車両用シート2bよりも車両後方に配置する。そして一対のホイールハウスH1の間には、車両用シート2bが嵌入可能なクリアランスが設けてある。
しかし上記構成では、シートバック6b側面(接触部11b)と、ホイールハウスH1側面(被接触部12b)が接触して摩擦による異音が発生することがある。
そこで本実施例では、接触部11bの表皮材部分をヨコ朱子織物FSにて構成するとともに、被接触部12bの表皮材部分を皮革LSにて構成する(図6を参照)。そしてヨコ朱子織物FSのヨコ糸を、シートバック6bの起倒動作方向D3(摩擦方向)に対して直交状に配置した。
このとき接触部11bのヨコ糸(20a〜20h)が被接触部12b(皮革LS)に順に接触する(図2及び図3を参照)。これらヨコ糸(20a〜20h)は織物表面から浮き出ているため、被接触部12bと点接触する(接触面積が低減される)。
またヨコ糸(20a〜20h)を、シートバック6bの起倒方向D3に対して直交状に配置することにより、各ヨコ糸と被接触部12bが比較的短時間で離間する(摩擦の応力残留が回避される)。
このように接触部11bと被接触部12bの接触面積を低減して、ヨコ糸の応力残留を回避することにより、シートバック6b動作時の異音発生を極力防止又は低減することができる。
本実施例の車両用シート2cは、実施例1〜3のいずれかの車両用シートとほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
図7の車両は、車両用シート2c(一対のシート体31c,32c)と、一対のレール部材35と、一対のホイールハウスH2を有する。一対のホイールハウスH2は、車室RO内側に膨出する半円状の凸部であり、車両用シート2bの両側に配置する。
また一対のレール部材35は、各々、アッパレール34とロアレール36を有する。これらアッパレール34とロアレール36は、共にシート前後に延びる板状部材である。そしてロアレール36は車室に配設されており、アッパレール34は、シートクッション4c下部に固定されている。
そして補強部材50の両端を、車両前後にスライド移動可能として支持部材52に取付ける。そして支持部材52のネジ孔54に軸部材(図示省略)を挿入することで、補強部材50(車両用シート2c)をホイールハウスH2に固定することができる。
しかし上記構成では、乗員の着座などにより、シートクッション4c側面(接触部11c)が車室幅方向に膨出することがある。このためスライド移動時には、ホイールハウスH2側面(被接触部12c)と接触部11bが接触して異音が発生することがある。
そこで本実施例では、接触部11cの表皮材部分をヨコ朱子織物FSにて構成するとともに、被接触部12cの表皮材部分を皮革LSにて構成する(図7を参照)。そしてヨコ朱子織物FSのヨコ糸を、車両用シート2cのスライド動作方向(摩擦方向)に対して直交状に配置した。
このとき接触部11cのヨコ糸(20a〜20h)が被接触部12c(皮革LS)に順に接触する(図2及び図3を参照)。これらヨコ糸(20a〜20h)は織物表面から浮き出ているため、被接触部12cと点接触する(接触面積が低減される)。
またヨコ糸(20a〜20h)を、車両用シート2cのスライド移動方向に対して直交状に配置することにより、各ヨコ糸と被接触部12cが比較的短時間で離間する(摩擦の応力残留が回避される)。
このように接触部11cと被接触部12cの接触面積を低減して、ヨコ糸の応力残留を回避することにより、車両用シート2cのスライド移動時の異音発生を極力防止又は低減することができる。
(1)本実施例では、専ら第一接触部(11,11a)をヨコ朱子織物にて構成した。これとは異なり第二接触部(12,12a)をヨコ朱子織物にて構成するとともに、第一接触部(11,11a)を皮革にて構成することができる。また第一接触部と第二接触部を共にヨコ朱子織物にて構成することもできる。なおヨコ朱子織物は、裏朱子で第二接触部に接してもよく、表朱子で第二接触部に接してもよい。
なお第一接触部(又は第二接触部)以外の表皮材部分は、シートの意匠性を考慮して、皮革製の表皮材で被覆することが好ましいが、皮革に限定する趣旨ではない。
(3)また本実施例では、ヨコ朱子織物として、一定の飛び数を有する正則ヨコ朱子織物を例示した。これとは異なり、複数の飛び数を有する変化ヨコ朱子織物(変則ヨコ朱子織物、ひろげヨコ朱子織物、重ねヨコ朱子織物、みかげヨコ朱子織物、昼夜ヨコ朱子織物、ぼかしヨコ朱子織物)を使用することもできる。
(4)また本実施例では、第一接触部と第二接触部と接触部の配置位置を例示したが、これら接触部の配置位置を限定する趣旨ではない。すなわち各接触部は各種シート構成に形成することができる。
(5)また本実施例では、ホイールハウスを他部材(被接触部)として例示したが、そのほかにも各種の車室内装品が他部材となり得る。また乗員(皮革製の着衣)も他部材となりえる。
(6)本実施例の構成は、車両用シート以外の車室内装品(ホイールハウスや開閉可能なボックス類等)に応用可能である。
例えばホイールハウス(H1,H2)の表皮材に本実施例の構成を応用することができる。すなわち被接触部(12b,12c)をヨコ朱子織物にて構成するとともに、接触部(11b,11c)を皮革にて構成することができる。また接触部と被接触部を共にヨコ朱子織物にて構成することもできる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
9 アームレスト
11,11a 第一接触部
11b,11c 接触部
12,12a 第二接触部
12b,12c 被接触部
20a〜20h ヨコ糸
21a〜21h タテ糸
34 アッパレール
35 レール部材
36 ロアレール
40 収納部
H1,H2 ホイールハウス
FS ヨコ朱子織物
LS 皮革
RO 車室
Claims (4)
- 表皮材を有する車両用シートにおいて、
前記車両用シートの少なくとも一部の表皮材が、前記一部とは異なる他部又は前記車両用シートとは異なる他部材に接触して相対移動する構成であり、
前記一部の表皮材をヨコ朱子織物にて構成するとともに、前記ヨコ朱子織物のヨコ糸に、起毛処理又は毛羽出し処理を施して、摩擦方向に対して直交状に配置した車両用シート。 - 前記ヨコ朱子織物が8枚朱子織物である請求項1に記載の車両用シート。
- 前記車両用シートが、シートクッションと、前記シートクッションに対して起倒可能に保持されたシートバックを有し、前記シートバックの起倒動作を行うことで、前記シートバックの第一接触部が、前記シートクッションの第二接触部に接触して相対移動する構成であり、
前記シートクッションとシートバックを皮革製の表皮材で被覆するに際して、前記第一接触部と前記第二接触部の少なくとも一方の表皮材部分を前記ヨコ朱子織物にて構成し、
前記ヨコ朱子織物のヨコ糸を、起倒動作時における前記一方の表皮材部分の摩擦方向に対して直交状に配置した請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。 - 前記ヨコ朱子織物にエンボス加工を施して凹凸状とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用シート。
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