JP2010243554A - 現像装置、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に凸部および凹部を配したトナー担持ローラーを有する現像装置、画像形成装置および該ローラーを用いて画像を形成する画像形成方法において、トナー担持ローラー上におけるトナーの帯電量のばらつきを抑えて帯電ムラや現像濃度ムラを抑制する。
【解決手段】シリカなどの絶縁性外添剤および酸化チタンなどの導電性外添剤を含有したトナーを用いる。金属製の板状部材461と導電性ゴム製の弾性部材462とよりなる規制ブレード46に、現像ローラー44よりも負電位となるような規制バイアス電圧Vrbを規制バイアス用電源141により付与する。規制ブレード46の現像ローラー44に対する当接圧は4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下にすることによりトナーへの電荷付与が効果的に行われ、帯電量のばらつきが抑制される。
【選択図】図7
【解決手段】シリカなどの絶縁性外添剤および酸化チタンなどの導電性外添剤を含有したトナーを用いる。金属製の板状部材461と導電性ゴム製の弾性部材462とよりなる規制ブレード46に、現像ローラー44よりも負電位となるような規制バイアス電圧Vrbを規制バイアス用電源141により付与する。規制ブレード46の現像ローラー44に対する当接圧は4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下にすることによりトナーへの電荷付与が効果的に行われ、帯電量のばらつきが抑制される。
【選択図】図7
Description
この発明は、表面に帯電トナーを担持するトナー担持ローラーを有する現像装置、画像形成装置および該ローラーを用いて画像を形成する画像形成方法に関するものである。
静電潜像をトナーにより現像する技術においては、略円筒形状に形成されたトナー担持ローラーの表面にトナーを担持させるものが一般的である。この種の技術においては、トナーの帯電量にばらつきが不可避的に生じるため、特に帯電量の低いトナーや本来の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーが、画像のうち本来トナーを付着させるべきでない部分に付着していわゆるカブリを生じさせたり、帯電量のばらつきに起因する帯電ムラや現像濃度ムラを生じさせる。一方、トナー担持ローラーの表面に規制ブレードを当接させてトナー搬送量を規制することが一般に行われる。そこで、トナー担持ローラーの表面に対する規制ブレードの当接圧、すなわち規制荷重を増大させると、トナー搬送量が低下することから、トナー帯電量の絶対値を上昇させることができ、逆帯電トナーを減少させることができる。
但し、この方法による帯電量の増大は、帯電量分布のブロード化を伴う。すなわち、必ずしも帯電量のばらつきを抑制することができず、また、過剰に帯電する過帯電トナーを発生させてしまうこととなる。過帯電トナーは、トナー担持ローラーから離れにくくなるため、現像に寄与できないことから、現像濃度低下などの弊害を引き起こす。また、規制ブレードからトナーに印加される応力が増大するため、外添剤が母粒子から離脱するなどのトナーの劣化を促進したり、トナーが規制ブレードに固着するフィルミングを引き起こしていた。
これに対し、トナー担持ローラー表面に担持されるトナーの帯電量を高めるために、トナーとして導電性のトナーを使用するとともに、トナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加された電荷注入部材をトナー担持ローラーに対向させて、トナー担持ローラー表面のトナーに電荷を付与するように構成されたものがある(例えば、特許文献1)。
しかしながら、本願発明者らの実験によれば、特許文献1に記載の技術では、電荷注入部材や規制ブレードに印加されたバイアス電圧による電界が、既に帯電しているトナーをトナー担持ローラー側へ押しやる方向に作用するため、トナー担持ローラー上でのトナー搬送量が増大する。この結果、電荷を注入すべきトナーの量が多くなり、全体としての帯電量は多くなるものの、個々のトナーの帯電量のばらつきを抑える効果は十分とは言えなかった。その結果、トナーの帯電量ばらつきに起因する帯電ムラや現像濃度ムラを十分に抑制することは困難であった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、表面に凸部および凹部を配したトナー担持ローラーを有する現像装置、画像形成装置および該ローラーを用いて画像を形成する画像形成方法において、トナー担持ローラー上におけるトナーの帯電量のばらつきを抑えて帯電ムラや現像濃度ムラを抑制することを目的とする。
この発明にかかる現像装置は、上記目的を達成するため、絶縁性外添剤および該絶縁性外添剤より導電性の高い導電性外添剤を含むトナーを内部に収容するハウジングと、前記ハウジングに軸着され、それぞれの頂面が互いに同一の円筒面の一部をなす複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に形成されて、該表面に前記ハウジングから供給される帯電トナーを担持しながら回転するトナー担持ローラーと、自由端が前記トナー担持ローラーの回転方向上流側を向くとともに該自由端または該自由端に隣接する隣接部位が前記トナー担持ローラー表面に当接することで、前記トナー担持ローラー表面に担持されるトナーの量を規制する、導電性の規制ブレードとを備え、前記規制ブレードには、前記トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧が印加され、前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔が前記トナーの体積平均粒径よりも小さく、前記規制ブレードの前記トナー担持ローラーに対する規制荷重は、4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下であることを特徴としている。
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、絶縁性外添剤および該絶縁性外添剤より導電性の高い導電性外添剤を含むトナーを内部に収容するハウジングと、前記ハウジングに軸着され、それぞれの頂面が互いに同一の円筒面の一部をなす複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に形成されて、該表面に前記ハウジングから供給される帯電トナーを担持しながら回転するトナー担持ローラーと、自由端が前記トナー担持ローラーの回転方向上流側を向くとともに該自由端または該自由端に隣接する隣接部位が前記トナー担持ローラー表面に当接することで、前記トナー担持ローラー表面に担持されるトナーの量を規制する、導電性の規制ブレードと、前記トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧を前記規制ブレードに対して印加するバイアス印加手段とを備え、前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔が前記トナーの体積平均粒径よりも小さく、前記規制ブレードの前記トナー担持ローラーに対する規制荷重は、4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下であることを特徴としている。
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するため、絶縁性外添剤および該絶縁性外添剤より導電性の高い導電性外添剤を含むトナーを準備し、それぞれの頂面が互いに同一の円筒面の一部をなす複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に形成したトナー担持ローラーの該表面に前記トナーを担持させ、自由端が前記トナー担持ローラーの回転方向上流側を向くとともに該自由端または該自由端に隣接する隣接部位が前記トナー担持ローラー表面に当接する導電性の規制ブレードを、前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔を前記トナーの体積平均粒径未満として配置し、前記規制ブレードを前記トナー担持ローラーの前記表面に4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下の規制荷重で当接させて前記トナー担持ローラーの前記表面が担持する前記トナーの量を規制し、前記規制ブレードに前記トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧を印加し、前記トナー担持ローラーに対向配置させた潜像担持体に静電潜像を担持させ、前記静電潜像を前記トナー担持ローラーが担持する前記トナーにより現像することを特徴としている。
これらの発明では、まず規制ブレードをトナー担持ローラー表面に当接させ、しかも、規制ブレードの自由端の先端とトナー担持ローラーの凸部との間隔(以下、「開口高さ」という)をトナーの体積平均粒径未満とすることで、凸部に担持されるトナーを1層未満に規制している。また、このように開口高さを規定することで、規制ブレードの先端と凹部との間隔も規定されるため、凹部に担持されるトナーの量もほぼ一定に規制される。したがって、トナー担持ローラーに担持されるトナーの量については、規制ブレードへのバイアス印加の有無によらず機械的にほぼ一定量とすることができる。このような効果は、凸部の頂面が互いに同一の円筒面の一部をなすような構造のトナー担持ローラーを採用することによって得られるものである。こうしてトナー量を機械的に規制した上で、これらの発明では、導電性の規制ブレードにトナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧を印加している。
後に詳述するが、本願発明者らは種々の実験を行った結果、バイアスを印加した導電部材と接触させて電荷を付与することでトナーを帯電させる帯電メカニズムにおいては、前記した特許文献1に記載されているようにトナーが導電性を有するか否かではなく、トナー表面に付与された特定の外添剤の存在がトナーの帯電に大きく寄与している、との知見を得た。具体的には、導電性を有する微粒子を外添剤として付与したトナーでは、トナー母粒子自体の導電性とは関係なく、その正規帯電極性と同極性の電位を付与した導電部材からトナー表面の導電性外添剤に電荷を注入することによって、トナー全体の帯電量を効果的に制御することが可能である。
そこで、上記の発明では、導電性外添剤を付与されたトナーと、凸部頂面の高さが管理されたトナー担持ローラーとを採用し、その表面に担持されるトナーの量を規制ブレードによって機械的に規制することで、トナー担持ローラーと規制ブレードとの当接により形成されるニップ部に送り込まれるトナーの量を管理している。その上で、トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧を規制ブレードに印加することにより、ニップ部に送り込まれたトナーに電荷を付与しその帯電量を制御している。したがって、トナー搬送量の増大を防止しているため、各トナーへの電荷付与を確実に行うことができる。その結果、これらの発明では、帯電量の不足したトナーがトナー担持ローラーから離脱して飛散したり、画像に付着してカブリを生じさせたり、帯電量のばらつきにより帯電ムラや現像濃度ムラを生じさせるのを効果的に防止することができる。
さらに、上記の発明では、規制バイアス電圧印加によりトナーの帯電量を制御しているため、ニップ部における規制ブレードとの摩擦によりトナーの帯電を促進することは不要になっている。そこで、規制ブレードのトナー担持ローラーに対する当接圧、すなわち規制荷重を極力低減している。具体的には、上記の発明では、規制ブレードのトナー担持ローラーに対する規制荷重は、4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下になっている。なお、トナー担持ローラーの回転軸方向の距離を単位長さとしている。発明者らの実験によれば、規制荷重が4.9[N/m]未満のときは、表面に担持されるトナー量を十分に規制することができず、規制ブレードとしての役目を果たせなかった。一方、規制荷重が14.7[N/m]を超えると、トナーの流動性を高めるために含まれているシリカや樹脂ビーズなどの絶縁性外添剤が、規制ブレード表面に固着して堆積したため、この堆積した絶縁性外添剤が、規制バイアス電圧印加による導電性外添剤への電荷付与を阻害した。すなわち、規制ブレードに固着した絶縁性外添剤を除去すると、その除去した部分だけ規制バイアス電圧印加による電荷付与効果を確認することができた。また、規制荷重が14.7[N/m]を超えると、トナーが規制ブレードに固着するフィルミングを引き起こすおそれが増大した。
このように、規制ブレードの規制荷重が上記の範囲内である上記の発明では、規制ブレードからトナーに印加される応力を低減できるため、トナー母粒子から外添剤が剥がれるなどのトナーの劣化を促進したり、トナーが規制ブレードに固着するフィルミングを発生させるのを未然に防止することができ、これによって、規制バイアス電圧印加によるトナーへの電荷付与効果を長期間持続させることができる。また、規制ブレードのトナー担持ローラーへの規制荷重が低いため、連続使用時に、トナー担持ローラー表面の凹凸に起因する筋ムラが発生するのを抑制できる。また、規制ブレードからトナー担持ローラーに過剰な応力が印加されて該ローラの駆動トルクが増大するのを未然に防止できる。
これらの発明において、前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔を0としてもよい。すなわち、規制ブレードの先端がトナー担持ローラーの凸部に直接接触する、いわゆるエッジ規制としてもよい。このようにすると、凸部にはほとんどトナーが担持されないことになる。凸部に担持されたトナーのうち帯電量の低いものはトナー担持ローラーの回転により受ける風圧で飛散しやすい。この発明では凸部に薄く付着させたトナーに規制ブレードから電荷を付与することで帯電量を上昇させ、トナー担持ローラー表面から離れにくくさせることで飛散は起こりにくいが、このことは凸部のトナーが現像濃度の向上にあまり寄与しないということでもある。したがって、飛散やカブリをより確実に抑制し、また凹部でのトナー担持量をより正確に制御するという観点から、凸部でのトナー担持をなくしてもかまわない。また、上記間隔が0でなければ、トナーの粒径分布がブロードで微粒子の割合が多い場合には、当該微粒子が凸部に担持されて、飛散やカブリの原因となり得ることが考えられる。しかしながら、上記間隔が0であれば、粒径分布がブロードで微粒子の割合が多いトナーであっても、トナー規制を効果的に行うことができる。
また、前記凹部に、前記トナー担持ローラー表面に直接接触する接触トナーと、前記トナー担持ローラー表面に直接接触しない非接触トナーとの双方を担持するようにしてもよい。凹部においてトナー担持ローラー表面に直接接触している接触トナーは、もともと帯電量が高くトナー担持ローラー表面に対し静電的に強く付着したものである。一方、トナー担持ローラー表面に直接接触しない非接触トナーは帯電量がより低いものが主体であり、トナー担持ローラー表面に付着した接触トナー層を覆う形で担持されている。このように帯電量の低いトナーは飛散やカブリの原因となりうるが、凸部表面から後退した凹部に担持されたトナーは風圧を受けにくいので飛散は抑制される。なお、接触トナーのみを担持する系においては、ほぼ全てのトナーが規制ブレードに接触するために帯電量が過剰となりやすく、これはトナー担持ローラーへのトナーの付着力を増大させるので、飛散やカブリ抑制の点からは問題ないが、高い現像濃度を得るという観点からは不利である。
また、このような凹部のトナー層に規制バイアス電圧を印加した規制ブレードを接触させた場合、表面側に露出した非接触トナーのみに電荷を付与することとなるので、非接触トナーのみ帯電量を上昇させることが可能である。その一方で、もともと帯電量の高い接触トナーの帯電量を過剰に上昇させることがない。また、非接触トナーであっても帯電量の高いものに対しては、規制バイアス電圧が斥力を生じさせるように作用するので、やはり過剰な帯電は抑制される。その結果、凹部に担持されるトナーのうち低帯電のもののみ帯電量が上昇して帯電量のばらつきが小さくなり、カブリの発生や現像濃度ムラが抑制される。
トナー担持ローラーの表面に形成された凹部が、トナー担持ローラー表面に直接接触する接触トナーと、トナー担持ローラー表面に直接接触しない非接触トナーとの双方を担持するためには、具体的には例えば、自由端の先端とトナー担持ローラーの凹部との間隔がトナーの体積平均粒径より大きくなるようにすればよい。こうすることで、凹部には1層を超えるトナー層が担持され、結果として接触トナーと非接触トナーとの双方を含むことになる。なお、凹部に担持されるトナー層の層数が多くなると、非接触トナーの中に規制ブレードと当接することができないため、電荷を付与できないものが出現する。このようなトナーはカブリの原因となるので、非接触トナーに確実に電荷を付与するためには、トナー層の層数を2層以下とするのが望ましい。すなわち、規制ブレードの先端と凹部との間隔はトナーの体積平均粒径の2倍以下とすることが望ましい。
導電性外添剤としては、金属酸化物を含む外添剤を使用することができる。また、この金属酸化物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム(特に、遷移アルミナ)、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズおよびチタン酸ストロンチウムの少なくとも1つを含むことが望ましい。これらの金属酸化物については、本発明の構成による帯電量制御が有効に機能することが本願発明者らの実験により確認されている。
図1はこの発明を適用した画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像信号がメインコントローラー11に与えられると、このメインコントローラー11からの指令に応じてエンジンコントローラー10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラー10により制御されている。そして、このエンジンコントローラー10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラー44が感光体22に対し所定のギャップを隔てて対向配置され、その対向位置において現像ローラー44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
図3は現像器の外観を示す図である。また、図4は現像器の構造および現像バイアス波形を示す図である。より詳しくは、図4(a)は現像器の構造を示す断面図である。また、図4(b)は現像バイアス波形と感光体表面電位との関係を示す図である。各現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3および図4(a)を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。
この現像器4Kでは、その内部に非磁性一成分トナーTを収容するハウジング41に供給ローラー43および現像ローラー44が回転自在に軸着されており、当該現像器4Kが上記現像位置に位置決めされると、現像ローラー44が感光体2と現像ギャップDGを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラー43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。供給ローラー43は例えば発泡ウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料により円筒状に形成されている。また、現像ローラー44は、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金により円筒状に形成されている。この実施形態では、鉄製の円筒表面を無電解ニッケル・リンめっき処理したものを使用している。そして、2つのローラー43、44が接触しながら回転することでトナーが現像ローラー44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラー44表面に形成される。この実施形態では負帯電トナーを用いるが、正帯電トナーであってもよい。
ハウジング41の内部空間は隔壁41aによって第1室411および第2室412に仕切られている。供給ローラー43および現像ローラー44はともに第2室412に設けられており、これらのローラーの回転に伴って第2室412内のトナーが流動し攪拌されながら現像ローラー44の表面に供給される。一方、第1室411に貯留されているトナーは、供給ローラー43および現像ローラー44とは隔離されているので、これらの回転によっては流動しない。このトナーは、現像ユニット4が現像器を保持したまま回転することによって、第2室412に貯留されたトナーと混合され攪拌される。
このように、この現像器では、ハウジング内部を2室に仕切り、供給ローラー43および現像ローラー44の周囲をハウジング41の側壁および隔壁41aで囲み比較的容積の小さい第2室412を設けることにより、トナー残量が少なくなった場合でも、トナーが効率よく現像ローラー44の近傍に供給されるようにしている。また、第1室411から第2室412へのトナー供給およびトナー全体の攪拌を現像ユニット4の回転によって行うようにすることで、現像器内部にトナー攪拌のための攪拌部材(オーガ)を省いたオーガレス構造を実現している。
また、この現像器4Kでは、現像ローラー44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード46が配置されている。この規制ブレード46は、ステンレスやリン青銅などの弾性を有する板状部材461と、板状部材461の先端部に取り付けられたシリコンゴムやウレタンゴムなどの樹脂部材からなる弾性部材462とで構成されている。弾性部材462にはカーボン粒子などの導電性粒子が分散されて、その抵抗率が約106Ωcmに調整されている。また、その硬度はJIS−A硬度70度である。
この板状部材461の後端部はハウジング41に固着されており、図4の矢印に示す現像ローラー44の回転方向D4において、板状部材461の先端部に取り付けられた弾性部材462が板状部材461の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。つまり、規制ブレード46は、一方端(後端部)が固定されるとともにこれとは反対側の自由端である先端部46a(図6参照)が現像ローラー44の回転方向D4において上流側に向かうように取り付けられており、弾性部材462が現像ローラー44表面に対しいわゆるカウンタ方向に弾性的に当接することで規制ニップを形成し、現像ローラー44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。現像ローラー44表面への規制ブレード46の当接圧、すなわち規制荷重は5gf/cm(≒4.9N/m)に調整されている。ここでは現像ローラー44の回転軸方向距離を単位長さとしている。
このようにして現像ローラー44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラー44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。そして、エンジンコントローラー10に制御されるバイアス用電源140からの現像バイアスが現像ローラー44に印加される。図4(b)に示すように、感光体22の表面電位Vsは、帯電ユニット23により均一に帯電された後、露光ユニット6からの光ビームLの照射を受けた露光部では残留電位Vr程度にまで低下し、光ビームLが照射されなかった非露光部ではほぼ均一の電位Voとなっている。一方、現像ローラー44に与えられる現像バイアスVbは直流電位を重畳した矩形波交流電圧であり、そのピーク間電圧を符号Vppにより表す。このような現像バイアスVbが印加されることにより、現像ローラー44上に担持されたトナーは現像ギャップDGにおいて飛翔して感光体22の表面各部にその表面電位Vsに応じて部分的に付着し、こうして感光体22上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。
現像バイアス電圧Vbとしては、例えば、ピーク間電圧Vppが1500Vで3〜4kHz程度の周波数を有する矩形波電圧を用いることができる。現像バイアスVbの交流成分の繰り返し周期Tcのうち、電位が正側に振れている期間を符号Tp、負側に振れている期間を符号Tnにより表すとともに、現像バイアスVbの波形デューティWDを次式:
WD=Tp/(Tp+Tn)=Tp/Tc
により定義すると、この実施形態ではTp>Tnとなるように、つまり波形デューティWDが50%より大きくなるように、バイアス波形が定められている。代表的には、WD=60%程度とすることができる。
WD=Tp/(Tp+Tn)=Tp/Tc
により定義すると、この実施形態ではTp>Tnとなるように、つまり波形デューティWDが50%より大きくなるように、バイアス波形が定められている。代表的には、WD=60%程度とすることができる。
矩形波交流電圧に重畳された直流成分に、上記波形デューティに起因して生じる直流成分を加えた、現像バイアスVbの加重平均電圧Vaveは、感光体22の残留電位Vrとの電位差がいわゆる現像コントラストとなり画像濃度に影響を与えるので、所定の画像濃度を得るために必要な値とすることができる。代表的には、例えば(−200)V程度とすることができる。
また、詳しくは後述するが、この実施形態では、規制ブレード46を構成する金属製の板状部材461と現像ローラー44との間に規制バイアス用電源141が接続されており、導電性を有する弾性部材462に所定の規制バイアス電圧が印加されている。
さらに、ハウジング41には、現像ローラー44の回転方向において感光体22との対向位置よりも下流側で現像ローラー44表面に圧接されたシール部材47が設けられている。シール部材47は、ポリエチレン、ナイロンまたはフッ素樹脂などの柔軟性を有する樹脂材料により形成され、現像ローラー44の回転軸に平行な方向Xに沿って延びる帯状のフィルムであり、長手方向Xに直交する短手方向(現像ローラー44の回転方向に沿った方向)における一方端部がハウジング41に固着されるとともに、他方端部が現像ローラー44表面に当接されている。他方端部は現像ローラー44の回転方向D4における下流側に向かうように、いわゆるトレイル方向に現像ローラー44に当接されており、感光体22との対向位置を通過した現像ローラー44表面に残留しているトナーをハウジング41内に案内するともに、ハウジング内のトナーが外部へ漏れ出すのを防止している。
図5は現像ローラーおよびその表面の部分拡大図を示す図である。現像ローラー44は略円筒形のローラー状に形成されており、その長手方向の両端にはローラーと同軸にシャフト440が設けられており、該シャフト440が現像器本体により軸支されて現像ローラー44全体が回転自在となっている。現像ローラー44表面のうちその中央部44aには、図5の部分拡大図(点線円内)に示すように、規則的に配置された複数の凸部441と、それらの凸部441を取り囲む凹部442とが設けられている。
複数の凸部441のそれぞれは、図5紙面の手前側に向けて突出しており、各凸部441の頂面は、現像ローラー44の回転軸と同軸である単一の円筒面の一部をそれぞれ成している。また、凹部442は凸部441の周りを網目状に取り囲む連続した溝となっており、凹部442全体も現像ローラー44の回転軸と同軸かつ凸部のなす円筒面とは異なる1つの円筒面をなす。そして、凸部441とそれを取り囲む凹部442との間は緩やかな側面443によって繋がれている。すなわち、該側面443の法線は現像ローラー44の半径方向外向き(図において上方)、つまり現像ローラー44の回転軸から遠ざかる方向の成分を有する。
この実施形態では、現像ローラー44表面における凸部441の配列ピッチPは、周方向、軸方向(X方向)とも80μmである。凹部442の深さ、つまり凸部441と凹部442との高低差Hdは10μmである。また、現像位置における感光体22と現像ローラー44とのギャップ(現像ギャップ)は190μmとする。
このような構造の現像ローラー44については、例えば特開2007−140080号公報に記載のいわゆる転造加工を用いた製造方法により製造することができる。これにより、現像ローラー44の円筒面に規則的かつ均一な凹凸部を形成することができる。そのため、得られる現像ローラー44は、その円筒面に均一かつ最適な量のトナーを担持させることができ、また、現像ローラー44の円筒面でのトナーの転動性(転がりやすさ)も均一なものとすることができる。その結果、トナーの局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。また、型を用いて凹凸部を形成するため、ブラスト加工により得られた一般的な現像ローラーと異なり、得られる凹凸部はその凸部の先端の幅を比較的大きくすることができる。このような凹凸部は優れた機械的強度を有する。特に、型により押圧された部位は機械的強度が向上するので、得られる凹凸部は、切削加工のような処理で得られたものと比しても優れた機械的強度を有する。このような凹凸部を有する現像ローラー44は、優れた耐久性を発揮することができる。また、凹凸部の凸部の先端の幅が比較的大きいと、磨耗しても形状変化が少ないので、現像特性が急激に低下することも防止して、長期にわたり優れた現像特性を発揮することができる。
図1に戻って画像形成装置の説明を続ける。上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラー72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラー73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラー81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラー81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9によりトナー像を定着され、排出前ローラー82および排出ローラー83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラー82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラー83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラー81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、図2に示すように、各現像器4Y,4C,4Mおよび4Kには該現像器の製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの残量などに関するデータを記憶するメモリー91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像器4Y,4C,4M、4Kには無線通信器49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられた無線通信器109と非接触にてデータ通信を行い、インターフェース105を介してCPU101と各メモリー91〜94との間でデータの送受を行って該現像器に関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では、無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行っているが、本体側および各現像器側にコネクター等を設け、コネクター等を機械的に嵌合させることで相互にデータ送受を行うようにしてもよい。
また、この装置では、図2に示すように、メインコントローラー11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザーへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピューターなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラー11に設けられた画像メモリーである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
また、ローラー75の近傍には、クリーナー76が配置されている。このクリーナー76は図示を省略する電磁クラッチによってローラー75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラー75側に移動した状態でクリーナー76のブレードがローラー75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
さらに、ローラー75の近傍には、濃度センサー60が配置されている。この濃度センサー60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像器に与える現像バイアスや、露光ビームLの強度、さらには装置の階調補正特性などの調整を行っている。
この濃度センサー60は、例えば反射型フォトセンサーを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の濃淡に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサー60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
図6は現像ローラー44と規制ブレード46との位置関係を示す図である。図6(a)に示すように、規制ブレード46の先端部46aを上流側(図6において左方)に突出させ、弾性部材462のエッジ部462eと、現像ローラー44表面との間に所定の間隔Ho(>0)を設けている。これにより、弾性部材462と現像ローラー44表面との間に上流側に向けた開口部が形成され、両者の間隔に対応する開口高さHo以下の粒径を有するトナーが凸部441に担持されることが許容される。ここで、開口高さHoについては、現像ローラー44の回転中心と弾性部材462のエッジ部462eとを結ぶ直線Rに沿った間隔として定義される。図6の形態では、弾性部材462のエッジ部462eに隣接する当接部462tが、現像ローラー44表面に当接することとなる。
この開口高さHoをトナーの体積平均粒径Daveより小さくすれば、図6(b)に示すように、凸部441には体積平均粒径Daveより小さな粒径を有するトナーTsのみを担持させることができる。粒径の小さなトナーは小径ゆえに強い鏡像力が作用するため、現像ローラー44から離脱しにくいことから、このようなトナーのみを凸部441に付着させることで、確実に飛散やカブリを防止することができる。なお、この実施形態では規制ブレード46によるトナーの摩擦帯電は期待していないので、規制ブレード46を高い荷重で現像ローラー44に押し当てる必要はない。したがって、上述したように、規制荷重は5gf/cm(≒4.9N/m)である。この程度の荷重であれば、凸部441のトナーが規制ブレード46に押圧されることに起因するフィルミングは問題とならない。
後に詳述するが、凹部442での帯電ばらつきを抑える効果を得るためには、凹部442におけるトナー層を、1層より多くかつ2層未満とする必要があることが明らかとなった。トナー層が1層以下では過帯電となり、また2層を超えると現像ローラー44、規制ブレード46のいずれにも接触しないトナーが現れるからである。凹部442と規制ブレード46との間隔Hpは、凸部441と規制ブレード46との間隔、つまり開口高さHoに凸部441と凹部442との高低差Hdを加えたものである。すなわち、Hp=Ho+Hdである。したがって、この値Hpがトナーの体積平均粒径Daveの1倍より大きく2倍以下の値とすることが望ましい。
次に、この実施形態において使用するトナーについて説明する。トナーは公知の粉砕法により製造された非磁性一成分トナーであり、摩擦帯電によって負極性に帯電する性質を有する。また、このトナーの体積平均粒径(以下、符号Daveにより表す)は8μmであり、外添剤として絶縁性の酸化ケイ素(シリカ)粒子と、これより導電性の高い導電性外添剤としての酸化チタン(チタニア)粒子とをそれぞれ含むものである。この実施形態のトナーは、絶縁性外添剤として体積平均粒径D=12nmの小粒径シリカを1.0重量%、体積平均粒径D=50nmの中粒径シリカを0.5重量%、導電性外添剤として体積平均粒径D=30nmのチタニアを1.0重量%、それぞれ含んでいる。なお、以下の説明においては、特に説明のない限り、実験に使用したトナーの物性値は上記したとおりのものである。
規制ブレードにバイアスを印加して現像ローラー上のトナーの帯電特性を改善する技術は従来より多く提案されており、前記した特許文献1(特開2005−331780号公報)の他にも例えば特開2006−220967号公報、特開昭58−153792号公報などがある。これらの文献においては、規制ブレードにバイアスを印加することに加えて、トナー粒子の導電性を適宜に調整することがトナーの帯電量を改善する上で有効であることが記載されている。しかしながら、本願発明者らが種々の実験を行った結果によれば、これとは異なる知見が得られた。
図7は本願発明者らの行った実験の概要を示す図である。この実験では、感光体22を回転方向D1に回転させながら帯電ユニット23により所定の表面電位に帯電させ、露光ユニット6による露光を行わない状態で、現像ローラー44に現像バイアスVbを印加した。このとき、現像ローラー44と規制ブレード46との間を規制バイアス用電源141を介して電気的に接続し、規制ブレード46に対し規制バイアス電圧Vrbを印加した。この状態で、現像ローラー44上でのトナー搬送量、規制ブレード46に印加する規制バイアス電圧Vrb、規制ブレード46による現像ローラー44への規制荷重などを種々に変化させて、現像特性を評価した。
図8は凹部442と規制ブレード46との間隔Hpを変化させたときのトナー層の特性の測定結果を示す図である。図8において、左の縦軸はカブリ量を表わし、データを実線で示しており、右の縦軸は現像濃度を表わし、データを破線で示している。ここでは、規制バイアス電圧VrbはVrb=−400Vとしている。また、トナーの体積平均粒径Daveは、上述したようにDave=8μmである。凹部442と規制ブレード46との間隔Hpが小さいときは(図8の左方)、現像ローラー44上でのトナー搬送量が少ないため、カブリ量は少ないが、現像濃度も不足している。一方、凹部442と規制ブレード46との間隔Hpが大きくなると(図8の右方)、現像ローラー44上でのトナー搬送量が多くなるため、現像濃度は十分になるが、カブリ量も多くなる。そして、Dave≦Hp≦(2×Dave)の範囲内では、カブリ量の抑制および十分な現像濃度の確保を両立していることが分かる。
現像ローラー44上のトナー層が1層を超える(すなわちDave<Hp)と、該トナー層には、現像ローラー44表面に直接接触する形で担持されるトナー(接触トナー)と、現像ローラー44表面には直接接触せず、該表面上の接触トナーの上に担持されるトナー(非接触トナー)とが混在することとなる。後に詳述するが、現像ローラー44への付着力の差に起因して、接触トナーは現像ローラー44表面から離脱しにくく、非接触トナーは離脱しやすい。この点において、飛散・カブリ防止の観点からはトナー層は接触トナーのみで構成されることが望ましいが、十分な現像濃度を得るとの観点からは、離脱しやすい非接触トナーを含んでいることが望ましい。理想的なのは、接触トナー、非接触トナーの双方を含むトナー層が担持され、かつ飛散・カブリを防止するための方策が採られている状態である。
この方策として、この実施形態では規制ブレード46に負極性の規制バイアス電圧Vrbを印加している。そこで、次に、規制バイアス電圧Vrb印加の効果について評価した。具体的には、現像ローラー44表面の凸部441と凹部442との高低差Hdと、凸部441と規制ブレード46の最上流側の先端部46aのエッジ部462eとの間隔(開口高さ)Hoとを変えたトナー層の厚さが異なる2つのサンプルを作成し、それぞれのサンプルにおいて規制バイアス電圧Vrbを変化させた。
図9は各サンプルの規制条件を示す図である。図9に示すように、第1のサンプルでは、比較例として、開口高さHoを20μm、高低差Hdを6μmとした。すなわち凹部442と規制ブレード46との間隔Hpは26μmとなる。以下ではこの条件を「規制条件1」と称する。このとき、トナーの体積平均粒径Daveは上述したように8μmであるため、開口高さHoはトナーの体積平均粒径Daveよりも大きく、凸部441、凹部442とも2層以上のトナーが担持される。一方、第2のサンプルでは、開口高さHoを5μm、高低差Hdを10μmとした。すなわち凹部442と規制ブレード46との間隔Hpは15μmとなる。以下ではこの条件を「規制条件2」と称する。このとき、開口高さHoはトナーの体積平均粒径Daveよりも小さい(Ho<Dave)。また、凹部442と規制ブレード46との間隔Hp(=Ho+Hd=15μm)はトナーの体積平均粒径Daveの約1.88倍である。すなわちDave<Hp<(2×Dave)となっている。
図10は、図9に示す各規制条件におけるトナー層の特性の測定結果を示す図である。図10において、横軸の規制バイアス電圧Vrbは、右側ほど規制ブレード46の負電位が大きくなることを示している。まず、現像ローラー44のトナー搬送量については、図10(a)に示すように、規制条件1ではバイアス値に応じて搬送量の増大が見られたが、規制条件2ではほぼ一定であった。また、トナーの質量当たりの帯電量(Q/M)については、図10(b)に示すように、規制条件1ではほぼ変化がなく、規制条件2ではバイアス値に応じて帯電量が増加した。また、カブリ量については、図10(c)に示すように、規制条件1ではバイアス値によってあまり変化しないか僅かに増加する一方、規制条件2では、適当な規制バイアス電圧Vrb(代表的には、−400V程度)を与えることによってカブリ量を大きく低減することができた。
図10(a)、(b)の規制条件1を比較すると、規制バイアス電圧Vrbの増大によってトナー搬送量が増加しているにも拘らず、トナーの質量当たりの帯電量(Q/M)に変化がないということは、トナー全体としての帯電量は増加しているが、個々のトナーに対する電荷付与効果がトナー搬送量の増大によって打ち消されていると考えられる。図10(c)に示すように、トナー搬送量が増加しているにも拘らず、カブリ量にあまり変化がないということからも、トナー全体としての帯電量増加が裏付けられる。
一方、図10(a)、(b)の規制条件2を比較すると、規制バイアス電圧Vrbの増大によってトナー搬送量が増加しないのは、凹部442と規制ブレード46との間隔Hpが小さいため、規制ブレード46によってトナー搬送量が規制されていると考えられる。このため、規制バイアス電圧Vrbの増大による個々のトナーに対する電荷付与効果が、そのままトナーの質量当たりの帯電量(Q/M)の増大につながっていると考えられる。そして、図10(c)に示すように、トナーの質量当たりの帯電量(Q/M)増加が、カブリ量の低減に寄与していると考えられる。
このことから、トナーの帯電量のばらつきを抑えて帯電ムラおよび現像濃度ムラを抑えるという目的からは、規制ブレード46を当接させることで現像ローラー44上に送り込まれるトナーの量を予め機械的に規制した上で、導電性を持たせた規制ブレード46(弾性部材462)にトナーの帯電極性と同極性の適当な規制バイアス電圧Vrbを印加することが有効である。より一般的には、現像ローラー44表面に担持された強帯電トナーによって生じる現像ローラー44表面の表面電位に対し、極性が同じでその絶対値がより大きい電位を規制ブレード46に印加することが望ましい。この点において、トナー量を規制するよりも前に導電性トナーに電荷付与する特許文献1に記載の技術や、搬送量増大を期待して導電性トナーに電荷付与する特開2006−220967号公報に記載された技術と本発明とは相違している。
図11ないし13はこの実施形態においてトナーの帯電量が改善されるメカニズムのモデルを示す図である。より具体的には、図11は凹部でのトナーの挙動を示すモデル図である。また、図12は図11の現象をより微視的に見たモデル図であり、図13は図12の現象をさらに微視的に見たモデル図である。ここでは、このモデルを「再配列・誘導帯電モデル」と称する。なお、図11では、説明の便宜上、規制ブレード46の弾性部材462のエッジ部462eを現像ローラー44表面の凸部441に当接させる、いわゆるエッジ規制によって凸部441へのトナー担持を規制するモデルを示している。エッジ規制のため、凸部441と凹部442との高低差Hdと、凹部442と規制ブレード46との間隔Hpとは等しい。
トナーには帯電ばらつきがあり、帯電量の高いものや低いもの、また本来の帯電極性(負極性)とは反対の正極性に帯電したものなどが含まれる。以下では便宜的に、本来の帯電極性である負極性に帯電したトナーのうち比較的帯電量の高いものを「強帯電トナー」、帯電量の低いものを「弱帯電トナー」、反対極性(つまり正極性)に帯電したものを「逆帯電トナー」と称する。また、強帯電トナーのうち特に帯電量の高いものを「過帯電トナー」という。
図11(a)に示すように、規制ブレード46によって層規制される前では、帯電量の様々に異なるトナー粒子が現像ローラー44の表面に分布している。このうち、比較的帯電量の高い強帯電トナーは、鏡像力の作用によって現像ローラー44の金属表面に強く引き付けられる。そのため、強帯電トナーが現像ローラー44の表面に近い位置に多く存在する一方、これに押しやられて弱帯電トナーや逆帯電トナーは現像ローラー44の表面から離れた位置に多く存在している。
現像ローラー44がその回転方向D4に回転することにより、規制ブレード46(より詳しくは規制ブレード46を構成する弾性部材462)は相対的に(−D4)方向に移動している。このモデルでは、現像ローラー44の回転方向D4において最上流側に当たる弾性部材462のエッジ部462eが凸部441に当接するエッジ規制としているため、図11(b)に示すように、規制ブレード46の(−D4)方向への進行に伴い、凸部441からはトナーが排除される。また、凹部442においては、凸部441と凹部442との高低差Hdに相当する厚さ以上のトナーはすり切られてやはり排除される。この実施形態では、トナーの体積平均粒径が8μmであるのに対して凸部441と凹部442との高低差Hdが10μmであるため、凹部442のトナー層は1層よりは多いが2層よりは少ない厚さとなる。
このとき、現像ローラー44と規制ブレード46との間に規制バイアス電圧Vrbが印加されていると、図11(c)に示すように、凹部442においては現像ローラー44から規制ブレード46に向かう方向の電界(以下、「規制電界」という)Erが形成されている。この規制電界Erは、負に帯電するトナーに対し、現像ローラー44表面側に押しやる方向の力を生じさせる。この力は帯電量の高いトナーにより強く作用するから、強帯電トナーに対しては該トナーを現像ローラー44表面に向けて押しやる強い力が作用する。これに対して、より帯電量の低い低帯電トナーや逆帯電トナーに対してはこの力がより弱く、あるいは逆方向に力が作用するため、結果として、現像ローラー44表面に近い位置には強帯電トナーが集まってくる一方、弱帯電トナーや逆帯電トナーは現像ローラー44表面から離れる方向に移動する。こうして凹部442においてトナーの再配列が生じ、帯電量の高いトナーほど現像ローラー44表面に近い位置で担持される一方、帯電量の低い、あるいは逆極性に帯電したトナーは現像ローラー44表面から離れた位置で担持されることになる。
この実施形態では凹部442のトナー層を2層未満としているので、図11(c)に示すように、現像ローラー44から離れた位置で担持される低帯電トナーや逆帯電トナーは規制ブレード46に接触する。このとき、図11(d)に示すように、規制バイアス電圧Vrb(現像ローラー44に対して負電圧)を印加された規制ブレード46からトナーに負電荷(符号「e−」により表す)が注入されることにより、帯電量の不足していた低帯電トナーや逆帯電トナーの帯電量が上昇する。なお、現像ローラー44に接触する形で担持されていたトナーのうち一部は規制ブレード46にも接触することが考えられるが、このようなトナーはさらに帯電量が上昇して過帯電トナーとなる場合がある。過帯電トナーはその帯電量の高さゆえに現像ローラー44表面から離れにくく、現像にあまり寄与しないが、飛散・カブリ抑制の観点からは特に問題とはならない。
規制ブレード46との接触による電荷注入のメカニズムについて、図12および図13を参照しながらさらに詳しく説明する。図12に示すように、トナー粒子は母粒子Tmの周囲に、より粒径の細かい導電性の外添剤Acが分散された状態となっている。そして、このようなトナー粒子が現像ローラー44の凹部442と規制ブレード46の弾性部材462との間に充填された状態となっており、ここに規制バイアス電圧Vrbによる規制電界Erが形成されている。基本的に、現像ローラー44(凹部442)表面に接触しているトナーは規制ブレード46(弾性部材462)には接触しておらず、逆に規制ブレード46に接触しているトナーは現像ローラー44には接触していない。
ここで、トナー母粒子Tmおよび外添剤Acが十分な導電性を有する場合には、これらを通じてリーク電流が流れる。このような電流は、トナー粒子内を通過するだけでトナーの帯電には寄与しないと考えられる。ただし、トナーの帯電電荷が外部に散逸して帯電量が乱れる可能性がある。一方、トナー母粒子Tmの導電性が低ければ、外添剤Acが導電性でかつ母粒子Tmの表面全体を密に覆っているのでない限り、このようなリーク電流はほとんど流れない。ここでは、導電性を持たないトナー母粒子について考える。
外添剤Acとして用いられる酸化チタンやその他の金属酸化物では、同じく外添剤として使用される絶縁性の高いシリカなどとは異なって、微粒子の状態で若干の導電性(107〜108Ωcm程度)を示すことがわかっている。この実施形態におけるトナーは、このような性質を有する外添剤を適量加えて、母粒子Tmの表面を外添剤Acにより疎らに覆った状態としたものである。
現像ローラー44と接触していないトナーに対しては、現像ローラー44の回転に伴って規制ブレード46が次第に接近して接触し、そして離間してゆくという現象が生じる。このうち、接近過程では、図13(a)に示すように、負の規制バイアス電圧Vrbを付与された弾性部材462が接近することにより、トナー母粒子Tm表面の外添剤Ac内では静電誘導により正電荷が弾性部材462側に引き寄せられる。この状態で、外添剤Acが弾性部材462と接触すると、図13(b)に示すように、正電荷が弾性部材462側に移動する。これは弾性部材462から負電荷が外添剤Acに注入されるのと等価である。そして、最終的に弾性部材462が離間すると、図13(c)に示すように、外添剤Acは負電荷が過剰な状態となる。その結果、摩擦帯電によりトナー母粒子Tmがもともと有していた帯電電荷に外添剤Acの電荷が加わって、トナー粒子全体としての帯電量が増加すると考えられる。
このような再配列・誘導帯電モデルによれば、先の実験結果をうまく説明することができる。すなわち、トナー母粒子Tmが導電性であるか否かに関わらず、外添剤Acとして適量の酸化チタンを添加し、かつ規制ブレード46にトナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加すると、トナーの帯電量が向上しカブリが抑制される。これは、酸化チタン外添剤Acが規制ブレード46から負電荷を受け取りトナー粒子全体としての帯電量が向上したためと考えられる。また、トナー母粒子Tmの導電性が高くなると外添剤Acに注入された電荷が母粒子Tm側にリークし、外添剤Acが電荷を保持できなくなる(つまりトナー粒子全体としての電荷を保持できなくなる)ため、トナーの導電性が必ずしもカブリ低減効果につながらないものと考えられる。
図14は比較例としてトナーの帯電量が改善されないメカニズムのモデルを示す図である。より具体的には、図14は凹部442と凸部441との高低差Hdがトナーの体積平均粒径Daveの2倍より大きい場合、すなわちHd>(2×Dave)の場合における凹部442でのトナーの挙動を示すモデル図である。なお、図14では、図11と同様に、規制ブレード46の弾性部材462のエッジ部462eを現像ローラー44表面の凸部441に当接させる、いわゆるエッジ規制によって凸部441へのトナー担持を規制するモデルを示している。エッジ規制のため、凸部441と凹部442との高低差Hdと、凹部442と規制ブレード46との間隔Hpとは等しい。
規制ブレード46によって層規制される初期状態では、図11(b)の場合と同様である。すなわち、図14(a)に示すように、帯電量の様々に異なるトナー粒子が現像ローラー44の表面に分布している。このうち、比較的帯電量の高い強帯電トナーは、鏡像力の作用によって現像ローラー44の金属表面に強く引き付けられる。そのため、強帯電トナーが現像ローラー44の表面に近い位置に多く存在する一方、これに押しやられて弱帯電トナーや逆帯電トナーは現像ローラー44の表面から離れた位置に多く存在している。
そして、現像ローラー44がその回転方向D4に回転することにより、規制ブレード46(より詳しくは規制ブレード46を構成する弾性部材462)は相対的に(−D4)方向に移動し、図14(a)に示すように、規制ブレード46の(−D4)方向への進行に伴い、凸部441からはトナーが排除される。また、凹部442においては、凸部441と凹部442との高低差Hdに相当する厚さ以上のトナーはすり切られてやはり排除される。図14に示す比較例のモデルでは、凹部442のトナー層は4層になっている。
このとき、現像ローラー44と規制ブレード46との間に規制バイアス電圧Vrbが印加されていると、図11(c)と同様に、凹部442においては現像ローラー44から規制ブレード46に向かう方向の規制電界が形成されている。この規制電界は、負に帯電するトナーに対し、現像ローラー44表面側に押しやる方向の力を生じさせる。この力は帯電量の高いトナーにより強く作用するから、強帯電トナーに対しては該トナーを現像ローラー44表面に向けて押しやる強い力が作用する。これに対して、より帯電量の低い低帯電トナーや逆帯電トナーに対してはこの力がより弱く、あるいは逆方向に力が作用するため、結果として、現像ローラー44表面に近い位置には強帯電トナーが集まってくる一方、弱帯電トナーや逆帯電トナーは現像ローラー44表面から離れる方向に移動する。こうして凹部442においてトナーの再配列が生じ、帯電量の高いトナーほど現像ローラー44表面に近い位置で担持される一方、帯電量の低い、あるいは逆極性に帯電したトナーは現像ローラー44表面から離れた位置で担持されることになる。
この比較例のモデルでは凹部442のトナー層を4層としているので、図14(b)に示すように、現像ローラー44から離れた位置で担持される低帯電トナーや逆帯電トナーは、規制ブレード46に接触するものと接触しないものとが存在する。このとき、図14(b)に示すように、規制ブレード46に接触するものには、規制バイアス電圧Vrb(現像ローラー44に対して負電圧)を印加された規制ブレード46からトナーに負電荷(符号「e−」により表す)が注入されることにより、帯電量の不足していた低帯電トナーや逆帯電トナーの帯電量が上昇する。しかしながら、規制ブレード46に接触しない低帯電トナーや逆帯電トナーには、規制ブレード46から電荷が注入されないため、低帯電トナーや逆帯電トナーの状態が維持されることとなる。このように、規制ブレード46に接触しないトナーには電荷注入が十分に行われないため、上記図8に示したように、Hp>(2×Dave)の範囲ではカブリ量が増大したものと考えられる。
図15は比較例として凹部に担持されるトナー層が1層以下である場合のモデルを示す図である。図15(a)に示すように、凸部441と凹部442との高低差Hdがトナーの体積平均粒径Daveと同等である場合には、現像ローラー44に直接接触している接触トナーが、規制バイアス電圧Vrbを与えられた弾性ブレード462とも接触することになる。その結果、もともと帯電量の高い接触トナーにさらに電荷が注入されて過帯電トナーとなり、現像ローラー44から離れ難くなって現像濃度の低下を招く。このため、図8に示したように、Hp<Daveの範囲では、カブリ量は殆どないものの、現像濃度が不足したものと考えられる。なお、図15(a)においても、エッジ規制のため、凸部441と凹部442との高低差Hdと、凹部442と規制ブレード46との間隔Hpとは等しい。
図15(b)に示すように、凸部441と凹部442との高低差Hdはトナーの体積平均粒径Daveよりも大きいが(Hd>Dave)、弾性部材462の表面が凹部442の底に向けて大きく撓み込んでいる場合も同様である。また、図15(c)に示すように、凸部441にも1層以下のトナーを担持させるようにした場合には、凸部441のトナーも同様に、ほとんど過帯電となってしまう。
このように、凹部442での帯電ばらつきを抑える効果を得るためには、凹部442におけるトナー層を1層より多くかつ2層未満とすることが好ましい。トナー層が1層以下では過帯電となり、また2層を超えると現像ローラー44、規制ブレード46のいずれにも接触しないトナーが現れるからである。凹部442と規制ブレード46との間隔Hpは、凸部441と規制ブレード46との間隔、つまり開口高さHoに凸部441と凹部442との高低差Hdを加えたものであるから、この値Hpがトナーの体積平均粒径Daveの1倍より大きく2倍より小さな値とすることが望ましい。
図16は現像ローラー44表面への規制ブレード46の当接圧、すなわち規制荷重および規制バイアス電圧Vrbを変化させたときのトナー層の特性の評価結果を示す図である。図16の各欄においては、各評価項目について、良好なケースを「○」により示し、良好でないケースを「×」により示している。図16に示すように、規制荷重が3gf/cm(≒2.94N/m)のときは、トナー量を十分に規制できず、規制ブレードとしての役目を果たしていない。一方、規制荷重が20gf/cm(≒19.6N/m)のときは、規制バイアス電圧Vrbを印加していても、帯電ムラおよびカブリが発生しており、規制バイアス電圧印加の効果が得られていない。なお、規制バイアス電圧Vrbを印加しない場合には、規制荷重の値に関係なく、帯電ムラは生じないがカブリが生じている。そして、規制バイアス電圧Vrbを印加した場合には、規制荷重が5gf/cm(≒4.9N/m)〜15gf/cm(≒14.7N/m)のときは、全ての評価項目について、良好な結果が得られている。
図17は規制荷重が異なるレベルのときの外添剤の挙動を示すモデル図である。具体的には、図17(a)は規制荷重が適正レベル(5〜15gf/cm)のときを示し、図17(b)は規制荷重が過大レベル(20gf/cm)のときを示している。規制荷重が5〜15gf/cm(≒4.9〜14.7N/m)のときは、図17(a)に示すように、絶縁性外添剤Aiにより邪魔されることなく、導電性外添剤Acに対する電荷付与が効果的に行われている。これに対して、規制荷重が20gf/cm(≒19.6N/m)以上になると、トナーに対する応力が過大になるため、外添剤Ac,Aiの一部がトナー母粒子Tmから剥がれて、規制ブレード46(弾性部材462)に固着して堆積する。これらの堆積した外添剤のうち、絶縁性外添剤Aiが、導電性外添剤Acと弾性部材462との接触を妨害するために、導電性外添剤Acから弾性部材462に向けて正電荷をリークすることができず、規制バイアス電圧Vrbによる電荷付与効果を発揮できないものと考えられる。なお、発明者らが、弾性部材462に固着した外添剤を除去すると、その除去した領域における規制バイアス電圧Vrbの印加による効果が確認できた。よって、上記モデルは外添剤の挙動を正しく表わしていると考えられる。
図18は酸化チタン以外の導電性外添剤についての評価結果を示す図である。ここでは、他の導電性外添剤として酸化亜鉛、酸化アルミニウムのうち比較的導電性の高い遷移アルミナおよび酸化セリウムについての結果を示しているが、これらの金属酸化物以外にも、酸化スズおよびチタン酸ストロンチウム等でも酸化チタンと同様の傾向および効果が確認された。これらの微粒子はシリカに比べて2桁程度抵抗率の小さなものである。図18の「評価」欄においては、規制ブレード46を現像ローラー44と同電位とした場合を基準として、負の規制バイアス電圧Vrbを加えたときにカブリが大きく低減されたケースを「○」により示し、多少低減されたケースを「△」により示している。
なお、図18において、トナーにおける外添剤の被覆率Saは、例えば次式:
Sa =(Wa・Dt・ρt)/(π・Da・ρa)×100 [%] … (式1)
により表すことができる。上式において、
Wa:外添剤の含有量(重量比)
Dt:トナーの粒径
Da:外添剤の粒径
ρt:トナーの真比重
ρa:外添剤の真比重
である。
Sa =(Wa・Dt・ρt)/(π・Da・ρa)×100 [%] … (式1)
により表すことができる。上式において、
Wa:外添剤の含有量(重量比)
Dt:トナーの粒径
Da:外添剤の粒径
ρt:トナーの真比重
ρa:外添剤の真比重
である。
以上より、この実施形態では、体積平均粒径が8μmである粉砕法によるトナー母粒子に対し、その流動性を向上させるための外添剤として、粒径50nmのシリカを0.5重量%、粒径12nmのシリカを1.0重量%添加するとともに、トナーの帯電性を調整するため、シリカより導電性の高い導電性外添剤である粒径30nmの酸化チタンを1.0重量%添加したものをトナーとして使用している。そして、現像ローラー44としてその表面に転造加工により規則的な凹凸を形成された金属製の円筒を用いるとともに、その表面に当接させる規制ブレード46を、JIS−A硬度70度程度の導電性ゴム製の弾性部材462を有するものとして、トナーの帯電極性と同極性の負の規制バイアス電圧Vrbを印加している。さらに、上記JIS−A硬度70度程度の導電性ゴム製の弾性部材462を5gf/cm(≒4.9N/m)以上、かつ15gf/cm(≒14.7N/m)以下という比較的低い規制荷重で現像ローラー44に当接させることで凸部441および凹部442によるトナー担持を規制している。
このような構成とすることにより、この実施形態では、もともと帯電量の高いトナーの過帯電を抑えつつ帯電量の低いトナーの帯電量を増加させることによって、現像ローラー44表面に担持されるトナーの帯電ムラおよびその帯電ムラに起因する現像濃度ムラを抑え、現像ローラー44からのトナーの飛散やカブリの発生を防止しながら十分な現像濃度を確保して、良好な画像品質で画像を形成することができる。また、比較的低い規制荷重でトナー担持を規制しているため、外添剤が母粒子から剥離するなどのトナー劣化を低減し、規制ブレード46への外添剤の堆積を抑制することができる。これによって、規制バイアス電圧Vrb印加の効果を長期間持続することができる。
なお、上記のように凸部441で1層未満のトナーを担持させるのに代えて、凸部441でのトナー担持を禁止するようにしてもよい。凸部441でのトナー担持を禁止することで、飛散やカブリをより確実に抑制し、また凹部442でのトナー担持量をより正確に制御することができる。また、上記のように凸部441で1層未満のトナーを担持させる場合には、トナーの粒径分布がブロードで微粒子の割合が多い場合には、当該微粒子が凸部441に担持されて、飛散やカブリの原因となり得ることが考えられる。しかしながら、凸部441でのトナー担持を禁止する場合には、粒径分布がブロードで微粒子の割合が多いトナーであっても、トナー規制を効果的に行うことができる。
図19は凸部でのトナー担持を禁止した形態を示す図である。凸部441でのトナー担持を禁止する場合には、図19に示すように、規制ブレード46の弾性部材462の上流側エッジ部を現像ローラー44表面の凸部441に当接させる、いわゆるエッジ規制によって凸部441へのトナー担持を規制すればよい。これにより、トナーが凸部441に担持されることが禁止される。
また、現像ローラー44の表面処理によっても効果に差のあることが確認されており、例えば現像ローラー44を鉄製とした場合、表面を非晶質の無電解めっき処理としたときに良好な結果が得られている。好ましい処理としては、例えば、ニッケル・リンめっき処理、ニッケル・タングステンめっき処理、ニッケル・ホウ素・タングステンめっき処理およびクロムカーバイドめっき処理などが挙げられる。このような非晶質材料で表面を覆った現像ローラーでは、供給ローラー43との摺擦によってトナーの摩擦帯電が起きやすいとみられ、規制ブレード46との当接位置に送り込まれてくるトナーの帯電量が高められているので、規制バイアス電圧Vrbによる帯電量の調整がより有効に機能することが確認されている。
また、現像ローラー44がアルミニウム製であるとき、表面をアルマイト処理すると、現像ローラー44表面に薄い絶縁膜が形成されるため、現像ローラー44と規制ブレード46との間の絶縁抵抗を高めることができ、特に小粒径のトナーやカーボンブラック顔料の含有量が多く導電性の高いトナーであっても電流リークを防止しつつ高い絶縁耐圧を確保することができ、十分な規制バイアス電圧を印加してトナーの帯電量を制御性よく高めることが可能となる。このことは、絶縁性に劣る小粒径あるいは高顔料トナーにおける飛散・カブリの抑制を図る上で有効である。
また、本実施形態のように正規の帯電極性が負極性であるトナーの場合には、トナーに添加する導電性外添剤粒子を、表面処理により予めアミノシラン薄膜を形成したものとするのも効果的である。アミノシラン膜は陽イオンを取り込んで正極性に帯電しやすいことが知られており、このような正電荷が導電性外添剤の表面に存在することで、規制ブレード46に印加された負の規制バイアス電圧により引き寄せられるので、導電性外添剤をより確実に規制ブレード46に接触させるという効果を高める上で有効である。
以上説明したように、この実施形態においては、感光体22、現像ローラー44および規制ブレード46がそれぞれ本発明の「潜像担持体」、「トナー担持ローラー」および「規制ブレード」として機能している。また、これらを備える現像器4Y、4M、4Cおよび4Kが本発明の「現像装置」に相当している。また、規制バイアス用電源141が本発明の「バイアス印加手段」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態は感光体22と現像ローラー44とを所定のギャップを隔てて対向させ両者の間でトナーを飛翔させる、いわゆるジャンピング現像方式の画像形成装置であるが、両者を当接させた状態で交流現像バイアスを印加する装置に対しても、本発明を適用することが可能である。
また、上記実施形態では、粉砕法により製造されたトナーを用いているが、これに限られず、重合法により製造されたトナーを用いてもよい。但し、本発明の思想によればトナー母粒子自体は必ずしも導電性を必要とせず、カブリ抑制の観点からは、むしろ導電性が低い方が導電性外添剤による帯電制御を行いやすいという点で好ましい。この意味からは、粉砕法によるよりも、顔料を樹脂により覆って導電性を低く抑えることが可能な重合法により製造されたトナーを用いるのが、より好ましいと言える。
また、例えば、上記実施形態の現像ローラー44の凸部441は略菱形に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば凸部を円形や三角形など他の形状となるようにしてもよい。また、各凸部の形状が同一である必要はなく、異なる形状のものが混在していてもよい。ただし、いずれの場合においても、本発明にかかるトナー層制御の効果を得るためには、少なくとも各凸部の頂面については、互いに同一の円筒面の一部をそれぞれなすような構造であることが望ましい。また凹部の深さも概ね一定であることが望ましい。この点において、元は平滑な円筒面に凹部を刻み込むことによって凹凸を形成した構造のものが特に有効である。
また、上記実施形態の画像形成装置は、ロータリー現像ユニット4に現像器4K等を装着したカラー画像形成装置であるが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。例えば、中間転写ベルトに沿って複数の現像器を並べたいわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置や、現像器を1個だけ備えてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。
22…感光体(潜像担持体)、 41…ハウジング、 44…現像ローラー(トナー担持ローラー)、 46…規制ブレード、 46a…(規制ブレードの)先端部(自由端)、 141…規制バイアス用電源(バイアス印加手段)、 441…(現像ローラー表面の)凸部、 442…(現像ローラー表面の)凹部、 462…弾性部材、 462e…(弾性部材の)エッジ部(自由端の先端)、 462t…(弾性部材の)当接部(隣接部位)、 Ac,Ac1,Ac2…チタニア(導電性外添剤)、 Ai…シリカ(絶縁性外添剤)、 Hd…(凸部と凹部との)高低差、 Ho…凸部開口高さ、 Hp…(規制ブレードと凹部との)開口高さ、 T…トナー
Claims (8)
- 絶縁性外添剤および該絶縁性外添剤より導電性の高い導電性外添剤を含むトナーを内部に収容するハウジングと、
前記ハウジングに軸着され、それぞれの頂面が互いに同一の円筒面の一部をなす複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に形成されて、該表面に前記ハウジングから供給される帯電トナーを担持しながら回転するトナー担持ローラーと、
自由端が前記トナー担持ローラーの回転方向上流側を向くとともに該自由端または該自由端に隣接する隣接部位が前記トナー担持ローラー表面に当接することで、前記トナー担持ローラー表面に担持されるトナーの量を規制する、導電性の規制ブレードと
を備え、
前記規制ブレードには、前記トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧が印加され、
前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔が前記トナーの体積平均粒径よりも小さく、
前記規制ブレードの前記トナー担持ローラーに対する規制荷重は、4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下であることを特徴とする現像装置。 - 前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔が0である請求項1に記載の現像装置。
- 前記凹部に、前記トナー担持ローラー表面に直接接触する接触トナーと、前記トナー担持ローラー表面に直接接触しない非接触トナーとの双方を担持する請求項1または2に記載の現像装置。
- 前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凹部との間隔が、前記トナーの体積平均粒径よりも大きく、かつ当該体積平均粒径の2倍以下である請求項3に記載の現像装置。
- 前記導電性外添剤は金属酸化物を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置。
- 前記導電性外添剤は、前記金属酸化物として、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズおよびチタン酸ストロンチウムの少なくとも1つを含む請求項5に記載の現像装置。
- 絶縁性外添剤および該絶縁性外添剤より導電性の高い導電性外添剤を含むトナーを内部に収容するハウジングと、
前記ハウジングに軸着され、それぞれの頂面が互いに同一の円筒面の一部をなす複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に形成されて、該表面に前記ハウジングから供給される帯電トナーを担持しながら回転するトナー担持ローラーと、
自由端が前記トナー担持ローラーの回転方向上流側を向くとともに該自由端または該自由端に隣接する隣接部位が前記トナー担持ローラー表面に当接することで、前記トナー担持ローラー表面に担持されるトナーの量を規制する、導電性の規制ブレードと、
前記トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧を前記規制ブレードに対して印加するバイアス印加手段と
を備え、
前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔が前記トナーの体積平均粒径よりも小さく、
前記規制ブレードの前記トナー担持ローラーに対する規制荷重は、4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 絶縁性外添剤および該絶縁性外添剤より導電性の高い導電性外添剤を含むトナーを準備し、
それぞれの頂面が互いに同一の円筒面の一部をなす複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に形成したトナー担持ローラーの該表面に前記トナーを担持させ、
自由端が前記トナー担持ローラーの回転方向上流側を向くとともに該自由端または該自由端に隣接する隣接部位が前記トナー担持ローラー表面に当接する導電性の規制ブレードを、前記自由端の先端と前記トナー担持ローラーの前記凸部との間隔を前記トナーの体積平均粒径未満として配置し、
前記規制ブレードを前記トナー担持ローラーの前記表面に4.9[N/m]以上かつ14.7[N/m]以下の荷重で当接させて前記トナー担持ローラーの前記表面が担持する前記トナーの量を規制し、
前記規制ブレードに前記トナーの正規帯電極性と同極性の規制バイアス電圧を印加し、
前記トナー担持ローラーに対向配置させた潜像担持体に静電潜像を担持させ、
前記静電潜像を前記トナー担持ローラーが担持する前記トナーにより現像することを特徴とする画像形成方法。
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JP2009088735A JP2010243554A (ja) | 2009-04-01 | 2009-04-01 | 現像装置、画像形成装置および画像形成方法 |
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JP2012173412A (ja) * | 2011-02-18 | 2012-09-10 | Sharp Corp | 非磁性一成分現像用トナーおよびそれを備えた現像装置、画像形成装置 |
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2009
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