JP2010242916A - 流体制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイアフラム弁体の周縁部を環状溝に圧入する際に発生する内周壁と外周壁の傾きを防止すること。
【解決手段】
弁本体2に、固定凸部33Aを嵌合する環状溝25Cが形成され、環状溝25Cと弁座24との間の内周壁25Bと、環状溝25Cと弁本体2の外壁との間の外周壁25Aと、を有し、内周壁25Bの内部に環状に形成した円筒状の内周壁補強部材10Bが組み込み、外周壁25Aの内部に環状に形成した円筒状の外周壁補強部材10Aが組み込み、内周壁補強部材10Bと外周壁補強部材10Aとを連結する連結部材10Cを有する補強部材10を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、入力ポートと出力ポートとを連通する弁孔の外周に形成された弁座を有する樹脂製の弁本体と、樹脂製弁本体の上面に連結される樹脂製の弁体駆動部と、弁本体と弁体駆動部との間に狭持され、弁座を開閉するダイアフラム弁体とを有すること、ダイアフラム弁体のうち周縁部が、弁本体と前記弁体駆動部との間に狭持されている流体制御弁に関する。
従来より、半導体製造装置などで使用される薬液の供給を制御するための流体制御弁では、制御対象である薬液の性質から、外部シール構造におけるシール性能が重視されている。
また、近年においては、半導体製造装置ではデバイスの高集積化が進むにつれ高浸透性の薬液を高温下で扱うことが多くなってきており、浸透性の高い薬液には、ふっ酸などが含まれている。このため、流体制御弁が従来よりも過酷な条件下で使用される頻度が高まっているため、外部シール構造におけるシール性能が十分でない場合が発生する恐れがある。
そのため、従来より過酷な条件下でも十分な安全性を確保することができるように、流体制御弁の外部シール構造に対し、シール性能の向上が望まれていた。
従来、この種の技術として、下記の特許文献1に記載される流体制御弁100がある。図7に、流体制御弁100の断面図を示す。また、図8に図7の流体制御弁100のうち、点線Rで囲った部分の拡大図を示す。
図7に示すように、流体制御弁100は、弁本体103、弁上体109、ダイアフラム弁体108により構成されている。弁本体103には、入力ポート112と出力ポート111とに連通する開口部114が形成されている。弁本体103と弁上体109との間には、樹脂製のダイアフラム弁体108が狭持されている。
図8に示すように、ダイアフラム弁体108の周縁部122aの先端に段部124が形成されている。また、弁本体103の周縁突出部103aの先端に段部125が形成されている。これらの段部124、125によりPFA製の溶着部品123を嵌め込む溝126が形成されている。そして、この溝126に溶着部品123を嵌め込み、ボディ103の突出部103aとダイアフラム弁体108の周縁部122aと溶着部品123によって溶着して外部シールを行っている。
しかし、流体制御弁100においては、外部シールを行うために、溶着部品123によって溶着しなければならず、工程管理が大変であるため問題となる。また、工程数が増加すると、生産効率が悪くなるため問題となる。
そこで、外部シールに対して、溶着を必要としないものとして、特許文献2に記載される流体制御弁200がある。図9に、流体制御弁200の断面図を示す。また、図10に図9の流体制御弁200のうち、点線Pで囲った部分の拡大図を示す。
図9に示すように、流体制御弁200は、弁本体202、弁上体203、ダイアフラム弁体204により構成されている。弁本体202には、入力ポート211と出力ポート212とに連通する開口部214が形成されている。弁本体202と弁上体203との間には、樹脂製のダイアフラム弁体204が狭持されている。
図10に示すように、開口部214の外側には、環状溝216及び環状溝217が形成されており、環状溝216の内周面には、圧入代216aが形成され、環状溝217の内周面には、圧入代217aが形成されている。
図10に示すように、ダイアフラム弁体204には、外縁に沿って肉厚に設けられた周縁部204c及び204dが形成され、リング体235が周縁部204cに装着されている構成である。
弁本体202の環状溝216に、ダイアフラム弁体204の周縁部204cを圧入し、周縁部204cと圧入代216aが係合することによりシールされる。さらに、リング体235が、周縁部204cに装着されていることにより、ダイアフラム弁体204の周縁部204cが弁本体202に押圧されても変形しない。また、弁本体202の環状溝217に、ダイアフラム弁体204の周縁部204dを圧入し、周縁部204dと圧入代217aが係合することによりシールされる。
よって、溶着を要せずにシールをすることができる。
特開2005−163877号公報 特開2009−2442号公報
しかしながら、特許文献2の流体制御弁200には、以下の問題があった。
すなわち、図10に示すように、周縁部204cを環状溝216に圧入すると、内壁218には圧入された部分から押圧力Xが加わるため、内壁218は内側に傾いてしまう。また、周縁部204dを環状溝217に圧入すると、外壁219に圧入された部分から押圧力Yが加わるため、外壁219は外側に傾いてしまう。
内壁218が傾くと、内壁218に形成された圧入代216aも傾き、周縁部204cと係合しない部分が出てくる。また、外壁219が傾くと、外壁219に形成された圧入代217aも傾き、周縁部204dと係合しない部分が出てくる。
以上のように、周縁部と圧入代の係合部分が少なくなるとシール力が弱くなるため問題となる。
さらに、高浸透性の薬液を高温下で扱う場合には特にシール力が低下すると大きな問題となる。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的はダイアフラム弁体の周縁部を環状溝に圧入することによる内周壁と外周壁の傾きを防止する流体制御弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る流体制御弁は、以下の構成を有する。
(1)入力ポートと出力ポートとを連通する弁孔の外周に形成された弁座を有する樹脂製の弁本体と、樹脂製弁本体の上面に連結される樹脂製の弁体駆動部と、弁本体と弁体駆動部との間に狭持され、弁座を開閉するダイアフラム弁体とを有すること、ダイアフラム弁体のうち周縁部が、弁本体と前記弁体駆動部との間に狭持されている流体制御弁において、弁本体に、周縁部を嵌合する環状溝が形成されていること、弁本体が、環状溝と弁座との間の内周壁と、環状溝と弁本体の外壁との間の外周壁と、を有すること、内周壁の内部に環状に形成した円筒状の内周壁補強部材が組み込まれていること、外周壁の内部に環状に形成した円筒状の外周壁補強部材が組み込まれていること、内周壁補強部材と外周壁補強部材とを連結する連結部材を有すること、を特徴とすることにある。
(2)(1)に記載する流体制御弁において、内周壁補強部材、外周壁補強部材、及び、連結部材をインサート成形で挿入すること、を特徴とすることにある。
(3)(1)に記載する流体制御弁において、内周壁補強部材は、弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、外周壁補強部材は、弁本体より強度
が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、連結部材は、弁本体より強度が
高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、を特徴とすることにある。
(4)(1)に記載する流体制御弁において、内周壁補強部材、外周壁補強部材、及び、連結部材の断面形状がコの字形状であること、を特徴とすることにある。
(5)(1)に記載する流体制御弁において、外周壁補強部材が内周壁補強部材よりも軸心方向に全長が長いこと、を特徴とすることにある。
(6)(1)に記載する流体制御弁において、弁本体に固定ブロックに固定するためのネジ孔が形成されていること、ネジ孔の内周壁がネジ孔補強部材により形成されていること、を特徴とすることにある。
(7)(6)に記載する流体制御弁において、ネジ孔補強部材と外周壁補強部材は、重なり合っていること、を特徴とすることにある。
(8)(6)に記載する流体制御弁において、ネジ孔補強部材は、弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、を特徴とすることにある。
上記流体制御弁の作用及び効果について説明する。
(1)弁本体に、周縁部を嵌合する環状溝が形成されていること、弁本体が、環状溝と弁座との間の内周壁と、環状溝と弁本体の外壁との間の外周壁と、を有すること、内周壁の内部に環状に形成した円筒状の内周壁補強部材が組み込まれていること、外周壁の内部に環状に形成した円筒状の外周壁補強部材が組み込まれていること、内周壁補強部材と外周壁補強部材とを連結する連結部材を有することにより、ダイアフラム弁体の周端部を環状溝に圧入しても、内周壁が内側へ傾くのを内周壁補強部材が防止することができる。また、外周壁が外側へ傾くのを外周壁補強部材が防止することができる。
内周壁補強部材と外周壁補強部材は連結部材により連結されていることにより、固定され、強度を持つ。そのため、内周壁が内側へ傾くのを防止することができ、外周壁が外側へ傾くのを防止することができる。
(2)内周壁補強部材、外周壁補強部材、及び、連結部材をインサート成形で挿入することにより、内周壁補強部材、外周壁補強部材、及び、連結部材を、弁本体と一体的に密着させることができるため、ガタがなくなり内周壁補強部材及び外周壁補強部材の力を内周壁及び外周壁に直接伝わることができるため、より強固に補強することができる。
(3)内周壁補強部材は、弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、外周壁補強部材は、弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、連結部材は、弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用することにより、内周壁、外周壁を補強することができるため、内周壁が内側へ傾くのを防止することができ、外周壁が外側へ傾くのを防止することができる。
(4)内周壁補強部材、外周壁補強部材、及び、連結部材の断面形状がコの字形状であることにより、外周壁補強部材と内周壁補強部材に相反する押圧力が加わりバランスを保つことができるため、一方向に傾くことがなく、外周壁及び内周壁の傾きを防止することができる。
(5)外周壁補強部材が内周壁補強部材よりも軸心方向に全長が長いことにより、周縁部を囲むように補強することができるため、周縁部を環状溝に圧入しても、内周壁が内側へ傾くのを内周壁補強部材が防止することができる。また、外周壁が外側へ傾くのを外周壁補強部材が防止することができる。
(6)弁本体に固定ブロックに固定するためのネジ孔が形成されていること、ネジ孔の内周壁がネジ孔補強部材により形成されていることにより、弁本体の軸心方向の強度を高めることができる。さらに、外周壁の変形を抑制でき、シール性を向上させることができる。
(7)ネジ孔補強部材と外周壁補強部材は、重なり合っていることにより、外周壁が外側へ傾くのを防止することができる。
(8)ネジ孔補強部材は、弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用することにより、ネジ孔を補強し、弁本体を補強することができるため、外周壁が外側へ傾くのを防止することができる。
本発明の第1実施形態に係る流体制御弁1の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る図1の点線Mの拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る流体制御弁1Lの断面図である。 本発明の第2実施形態に係る図3の点線Nの拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る図3のBB断面図である。 本発明の第2実施形態に係る図5のAA断面図である。 特許文献1に係る流体制御弁100の断面図である。 特許文献1に係る図7の点線Rの拡大図である。 特許文献2に係る流体制御弁200の断面図である。 特許文献2に係る図9の点線Pの拡大図である。
次に、本発明に係る流体制御弁の一実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
<流体制御弁の全体構成>
図1には、流体制御弁1の断面図を示す。
図1に示すように、流体制御弁1は、樹脂製の弁本体2、樹脂製のダイアフラム弁体3、樹脂製の弁体駆動部4から構成されている。
<弁本体の構成>
弁本体2には、第1外部ポートと接続する第1流路22、及び、第2外部ポートと接続する第2流路21が形成されている。弁本体2の上面2Aの中央には、開口部28が形成されており、開口部28には、弁座24が形成され、弁座24の内側に弁孔23が形成されている。弁孔23には、第1流路22が接続されている。また、弁座24の周りに形成された環状の溝部27には第2流路21が接続されている。
こうして、第1流路22と第2流路21とは、ともに弁本体2の上面2Aの中央に形成された開口部28に連通し、その開口部28はダイアフラム弁体3によって塞がれている。
図1に示す、弁本体2の上面2Aの周端には、ダイアフラム弁体3及び弁体駆動部4と接続する環状の接続部25が形成されている。接続部25の内側は、開口部28が形成されている。接続部25の外側は、弁本体2の外周壁に沿って形成されている。開口部28は、環状溝27、弁座24、弁孔23を含む部分である。
図2に示すように、接続部25には、ダイアフラム弁体3の固定部33の固定凸部33Aと嵌合する環状溝25Cが形成されている。接続部25のうち環状溝25Cよりも外周方向にある外側の接続部25を外周壁25Aとする。また、接続部25のうち環状溝25Cよりも内周方向にある内側の接続部25を内周壁25Bとする。
<補強部材の構成>
図2に示すように、接続部25の内部には、接続部25を補強するための補強部材10が形成されている。補強部材10は、接続部25の内部にインサート成形されることにより形成されている。具体的には、補強部材10は、外周壁補強部材10A、内周壁補強部材10B、連結部材10Cにより構成されている。接続部25の外周壁25Aの内部には、外周壁補強部材10Aが形成され、内周壁25Bの内部には、内周壁補強部材10B
が形成され、外周壁補強部材10Aと内周壁補強部材10Bとを連結する連結部材10Cを有する。
外周壁補強部材10Aと内周壁補強部材10Bとは平行に横並びに並んで、インサート成形されており、さらに、外周壁補強部材10A及び内周壁補強部材10Bと、連結部材10Cとは、直角に連結していることにより、補強部材10の断面形状はコの字形状をしている。インサート成形されていることにより、外周壁補強部材10A、内周壁補強部材10B、及び、連結部材10Cは、弁本体2と一体的に密着される。
補強部材10は、弁本体2、ダイアフラム弁体3に使用される材料であるフッ素樹脂(PFA、PTFE)よりも強度が高いものを材料として使用する。
強度が高いものの基準としては、ダイアフラム弁体3の固定部33の固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入した際に、外周壁25Aが外側に傾くことを防止でき、また、内周壁25Bが内側へ傾くことを防止することができる強度を持つものである。固定部33の固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入する際には、外周壁25Aには外側への押圧力が、内周壁25Bには、内側への押圧力が加わるため、圧入に対する押圧力に対抗できる強度を必要とする。例えば、フッ素樹脂(PFA、PTFE)の引張強度が、30(MPa)であるため、補強部材25では、引張強度が、30(MPa)以上のものを使用する。具体的には、引張強度が、250〜400(MPa)である金属(チタン)、引張強度が、800(MPa)である金属(Ni合金)、引張強度が、200(MPa)であるPPS等を使用する。
また、浸透性の高い薬液を高温下で扱うため、高温下でも、ダイアフラム弁体3の固定部33の固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入した際に、外周壁25Aが外側に傾くことを防止でき、また、内周壁25Bが内側へ傾くことを防止することができる強度が必要である。高温下では、強度が低下することに加え、材料は膨張する。そのため、本来の形を維持するのが難しくなるため、補強材の材料には線膨張係数が小さい材料を使用することが必要となる。例えば、フッ素樹脂(PFA、PTFE)の線膨張係数が、15×10−5〜20×10−5(/K)であるため、補強部材25では、線膨張係数が、15×10−5(/K)より小さいものを使用する。具体的には、線膨張係数が、9×10−6(/K)である金属(チタン)、線膨張係数が、13×10−6(/K)である金属(Ni合金)、線膨張係数が、5×10−5(/K)であるPPS等を使用する。
したがって、補強部材10は、弁本体2、ダイアフラム弁体3に使用される材料であるフッ素樹脂(PFA、PTFE)よりも、強度が高く、さらに線膨張係数が小さい材料である、金属(チタン)、金属(Ni合金)、PPS等を使用する。
弁本体2、ダイアフラム弁体3に使用される材料であるフッ素樹脂(PFA、PTFE)よりも強度がある補強部材10を使用することにより、ダイアフラム弁体3の固定部33の固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入した際に、外周壁25Aが外側に傾くことを防止でき、また、内周壁25Bが内側へ傾くことを防止することができる。
<ダイアフラム弁体の構成>
図1示すように、ダイアフラム弁体3は、弁座24に対して当接・離間する弁体部31と、そこから外側に張り出した膜部32と、膜部32の周縁に形成された環状の固定部33とを有して形成されたものである。図2に示すように、固定部33の周端下の垂直方向に、環状溝25Cと嵌合する環状の固定凸部33Aが形成されている。
図1に示すように、閉弁時の形状がほぼ通常状態で、その固定部33が弁本体2及び弁体駆動部4によって挟み込まれ、膜部32が図1に示すように湾曲し、弁体部31が弁座24に当接している。
<弁体駆動部の構成>
図1に示すように、弁体駆動部4は、ピストンロッド5、シリンダ6、カバー7、及びスプリング8などを有し、これらにより構成されている。
シリンダ6の内部には、ピストンロッド5が摺動可能に挿入され、ピストンロッド5の下端がダイアフラム弁体3の弁体部31に差し込まれて一体になっている。つまり、ダイアフラム弁体3は、ピストンロッド5の上下動によってダイアフラム弁体3の弁体部31が弁座24に対して当接・離間するように構成されている。
シリンダ6の上部開口にはカバー7が取付けられ、このカバー7によって、シリンダ6の内部にできた閉空間にスプリング8が装填され、ピストンロッド5のピストン部5aがスプリング8によって、上方から付勢されるようになっている。したがって、流体制御弁1は、ピストンロッド5にスプリング8の付勢力が常に下方に作用し、図1に示すように弁体部31が弁座24に対して当接して弁閉状態を維持するように構成されたノーマルクローズドタイプの弁である。
一方、ピストンロッド5のピストン部5aの下方には、加圧室62が形成され、その加圧室62の内部に圧縮エアを供給する操作ポート61がシリンダ6に形成されている。また、スプリング8が装着されたピストン部5aの上方の空間に連通する呼吸ポート71が形成されている。
<補強部材の作用効果>
流体制御弁1の組立の際に、ダイアフラム弁体3を弁本体2に組み付けるため、図2に示すように、ダイアフラム弁体3の固定凸部33Aを、弁本体2の環状溝25Cに圧入する。固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入すると、圧入の押圧力により、外周壁25Aが外側に押圧され、内周壁25Bが内側に押圧される。
しかし、外周壁25Aの内側には外周壁補強部材10Aが形成され、内周壁25Aの内側には内周壁補強部材10Bが形成され、外周壁補強部材10Aと内周壁補強部材10Bとは連結部材10Cにより連結されることで、外周壁25A及び内周壁25Bは補強されているため、外周壁25A及び内周壁25Bが押圧力により傾くのを防止することができる。
また、補強部材10は断面形状がコの字形状で固定され、強度を持つため、例えば外側にのみ力が加わるとすると、コの字の形状のまま外側に傾き、外周壁25A及び内周壁25Bが外側に傾いてしまう恐れがある。しかし、固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入する際には、必ず、外周壁25Aが外側へ押圧され、内周壁25Bが内側へ押圧され、外側と内側とに向かう押圧力が相反する。相反する押圧力が発生し補強部材10のバランスを保つことにより、コの字の補強部材10は、一方向に傾くことはない。したがって、補強部材10には、相反する押圧力が加わりバランスを保つため、一方向に傾くことがなく、外周壁25A及び内周壁25Bの傾きを防止することができる。
また、補強部材10の強度は、フッ素樹脂と比較して高いため、ダイアフラム弁体3の固定凸部33Aが環状溝25Cに圧入され、外周壁25A及び内周壁25Bを押圧したとしても、補強部材10が形成された外周壁25A及び内周壁25Bは傾かない。
さらに、補強部材10の線膨張係数は、フッ素樹脂と比較して小さいため、高温下においては、補強部材10は膨張しにくいため、本来の形を維持することができる。そのため、ダイアフラム弁体3の固定凸部33Aが環状溝25Cに圧入され、外周壁25A及び内周壁25Bを押圧したとしても、補強部材10が形成された外周壁25A及び内周壁25Bは傾かない。
また、外周壁補強部材10A、内周壁補強部材10B、及び連結部材10Cは、インサート成形により、弁本体2と一体的に密着されているため、ガタがなく、内周壁補強部材10B及び外周壁補強部材10Aの力を内周壁25B及び外周壁25Aに直接伝えることができるため、より強固に補強することができる。
<流体制御弁の作用効果>
図1に示すように、流体制御弁1は、通常、ピストンロッド5がスプリング8によって下方に付勢され、そのピストンロッド5の下端に固定されたダイアフラム弁体3の弁体部31が、弁座24に対して押し付けられている。こうした閉弁状態の流体制御弁1は、ダイアフラム弁体3によって遮断され、第1流路22に流入した流体が第2流路21へ、又は、第2流路21に流入した流体が第1流路22へ流れることはない。
そこで、シリンダ6の操作ポート61から圧縮エアが供給されると、ピストン部5aが下方から加圧され、スプリング8の付勢力に抗してピストンロッド5が上昇する。そのため、ピストンロッド5と一体の弁体部31も上昇して、弁座24から離間して、第1流路22と第2流路21とが連通した開弁状態となる。流体を第1流路22から供給すれば、弁孔23、溝部27を経由して第2流路21へと流れ、流体を第2流路21から供給すれば溝部27、弁孔23を経由して第1流路22へと流れる。
そして、操作ポート61から加圧室62に供給された圧縮エアを排出すればスプリング8に付勢されたピストンロッド5が下降して、再び図1に示すような閉弁状態に戻って、流体の流れが遮断される。
以上詳細に説明したように、第1実施形態の流体制御弁1によれば、
(1)弁本体2に、固定凸部33Aを嵌合する環状溝25Cが形成されていること、弁本体2が、環状溝25Cと弁座24との間の内周壁25Bと、環状溝25Cと弁本体2の外壁との間の外周壁25Aと、を有すること、内周壁25Bの内部に環状に形成した円筒状の内周壁補強部材10Bが組み込まれていること、外周壁25Aの内部に環状に形成した円筒状の外周壁補強部材10Aが組み込まれていること、内周壁補強部材10Bと外周壁補強部材10Aとを連結する連結部材10Cを有することにより、ダイアフラム弁体3の固定凸部33Aを環状溝25Cに圧入しても、内周壁25Bが内側へ傾くのを内周壁補強部材10Bが防止することができる。また、外周壁25Aが外側へ傾くのを外周壁補強部材10Aが防止することができる。
内周壁補強部材10Bと外周壁補強部材10Aは連結部材10Cにより連結されていることにより、固定され、強度を持つ。そのため、内周壁25Bが内側へ傾くのを防止することができ、外周壁25Aが外側へ傾くのを防止することができる。
(2)内周壁補強部材10B、外周壁補強部材10A、及び、連結部材10Cをインサート成形で挿入することにより、内周壁補強部材10B、外周壁補強部材10A、及び、連結部材10Cを弁本体2と一体的に密着させることができるため、ガタがなくなり内周壁補強部材10B及び外周壁補強部材10Aの力が内周壁25B及び外周壁25Aに直接伝えることができるため、より強固に補強することができる。
(3)内周壁補強部材10Bは、弁本体2より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、外周壁補強部材10Aは、弁本体2より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、連結部材10Cは、弁本体2より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用することにより、内周壁補強部材10B、外周壁補強部材10A、及び、連結部材10Cを補強することができるため、内周壁25Bが内側へ傾くのを防止することができ、外周壁25Aが外側へ傾くのを防止することができる。
(4)内周壁補強部材10B、外周壁補強部材10A、及び、連結部材10Cの断面形状がコの字形状であることにより、外周壁補強部材10Aと内周壁補強部材10Bに相反する押圧力が加わりバランスを保つため、一方向に傾くことがなく、外周壁25A及び内周壁25Bの傾きを防止することができる。
また、環状溝25Cの溝形状と同じ形状になるため、環状溝25Cを補強することができる。環状溝25Cを補強することにより、内周壁25B及び外周壁25Aも補強できるため、内周壁25Bが内側へ傾くのを防止することができ、外周壁25Aが外側へ傾くのを防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の流体制御弁1Lにおいては、第1実施形態の流体制御弁1と比較して同様の構成を採る部分については、説明を割愛する。なお、流体制御弁1と同様の構成を採る部分については、流体制御弁1Lの中において部品番号の末尾にLを付した。
<補強部材の構成>
図4に示すように、接続部25Lの内部には、接続部25Lを補強するための補強部材90が形成されている。補強部材90は、接続部25Lの内部にインサート成形されることにより形成されている。具体的には、接続部25Lの外周壁25ALの内部には、外周壁補強部材90Aが形成され、内周壁25BLの内部には、内周壁補強部材90Bが形成され、外周壁補強部材90Aと内周壁補強部材90Bとを連結する連結部材90Cを有する。
第2実施形態における、補強部材90の外周壁補強部材90Aは、内周壁補強部材90Bよりも軸心方向に全長が長く形成されている。図3に示すように、外周壁補強部材90Aの一端は、弁本体2Lの上面2ALまでの長さがある。
外周壁補強部材90Aと内周壁補強部材90Bとは平行に横並びに並んで、インサート成形されており、さらに、外周壁補強部材90A及び内周壁補強部材90Bと、連結部材90Cとは、直角に連結している。
図5に、図3の流体制御弁1LのBB断面図を示す。図6に図5のAA断面図を示す。
図5で示すように、BB断面図では、ダイアフラム弁体3Lを省略して示す。図5では、図3には示されない、外周壁25ALの四隅に4つのネジ孔29が形成されている。4つのネジ孔29の内周壁の雌ネジ部は、ネジ孔補強部材91によって構成されている。ネジ孔補強部材91の外周は、外周壁補強部材90Aの外周と重なるように形成されている。
また、図6に示すように、ネジ孔補強部材91は軸心方向に上下へ縦長に形成されている。
補強部材90及びネジ孔補強部材91の材料は、第1実施形態と同様に、弁本体2L、ダイアフラム弁体3Lに使用される材料であるフッ素樹脂(PFA、PTFE)よりも、強度が高く、さらに、線膨張係数が小さく、強度のある材料である、金属(チタン)、金属(Ni合金)、PPS等を使用する。
弁本体2L、ダイアフラム弁体3Lに使用される材料であるフッ素樹脂(PFA、PTFE)よりも強度がある補強部材90及びネジ孔補強部材91を使用することにより、ダイアフラム弁体3Lの固定部33Lの固定凸部33ALを環状溝25CLに圧入した際に、外周壁25ALが外側に傾くことを防止でき、また、内周壁25BLが内側へ傾くことを防止することができる。
<補強部材の作用効果>
外周壁補強部材90Aが内周壁補強部材90Bよりも軸心方向に全長が長く形成されていることにより、外周壁25ALを押圧する固定凸部33ALを含む固定部33を囲むように補強することができる。そのため、固定凸部33ALを環状溝25CLに圧入しても、外周壁25ALが外側へ傾くのを外周壁補強部材90Aが防止することができる。
また、補強部材90は、環状溝25CLを完全に囲むように形成されているため、環状溝25CLの形状が変わることはない。よって、外周壁25ALが外側へ傾くのを外周壁補強部材90Aが防止することができる。さらに、内周壁25BLが内側へ傾くのを内周壁補強部材90Bが防止することができる。
<ネジ孔補強部材の作用効果>
ネジ孔補強部材91の外周は、外周壁補強部材90Aの外周と重なるように形成されているため、固定凸部33ALが環状溝25CLに圧入され、外周壁25ALが外側へ傾くのを防止することができる。すなわち、外周壁補強部材90Aが押圧され外側へ傾こうとしたときにも、ネジ孔補強部材91があることにより、外周補強部材90Aは、ネジ孔補強部材91に支えられる形となり、外側へ傾くことがない。
また、ネジ孔補強部材91は、軸心方向に上下へ縦長に形成されているため、弁本体2Lの強度を高めることができる。それにより、外部シールの役割を果たす外周壁25ALの変形をさらに抑制でき、結果として、シール性を向上させることができる。
以上詳細に説明したように、第2実施形態の流体制御弁1Lによれば、
(5)外周壁補強部材90Aが内周壁補強部材90Bよりも軸心方向に全長が長いことにより、外周壁25ALを押圧する固定凸部33ALを含む固定部33を囲むように補強することができるため、固定凸部33ALを環状溝25CLに圧入しても、外周壁25ALが外側へ傾くのを外周壁補強部材90Aが防止することができる。
(6)弁本体2Lに固定ブロックに固定するためのネジ孔29が形成されていること、ネジ孔29の内周壁がネジ孔補強部材91により形成されていることにより、弁本体2Lの軸心方向の強度を高めることができる。それにより、外部シールの役割を果たす、外周壁25ALの変形をさらに抑制でき、結果として、シール性を向上させることができる。
(7)ネジ孔補強部材91と外周壁補強部材90Aは、重なり合っていることにより、固定凸部33ALが環状溝25CLに圧入され、外周壁25ALが外側へ傾くのを防止することができる。すなわち、外周壁補強部材90Aが押圧され外側へ傾こうとしたときにも、ネジ孔補強部材91があることにより、外周補給部材90Aは、ネジ孔補強部材91に支えられる形となり、外側へ傾くことがない。
(8)ネジ孔補強部材91は、弁本体2Lより強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用することにより、ネジ孔29を補強し、弁本体2Lを補強することができるため、外周壁25ALが外側へ傾くのを防止することができる。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、第1実施形態においては、補強部材10は、断面形状がコの字形状をしているが、補強部材の断面形状が、U字形状、V字形状等であってもよい。
また、ダイアフラム弁体3の固定凸部が軸線方向の上面に形成され、弁体駆動部4に固定凸部を嵌合する環状溝が形成されている場合もある。弁体駆動部4に環状溝が形成されている場合には、内周壁補強部材、外周壁補強部材、及び、連結部材は弁体駆動部4に形成されることになる。
また、補強部材を弁座内部にインサート成形することにより、弁座の強度をあげることができる。
1 流体制御弁
2 弁本体
23 弁孔
24 弁座
25 接続部
25A 外周壁
25B 内周壁
25C 環状溝
3 ダイアフラム弁体
33 固定部(請求項中「周縁部」)
4 弁体駆動部
10 補強部材
10A 外周壁補強部材
10B 内周壁補強部材
10C 連結部材

Claims (8)

  1. 入力ポートと出力ポートとを連通する弁孔の外周に形成された弁座を有する樹脂製の弁本体と、前記樹脂製の弁本体の上面に連結される樹脂製の弁体駆動部と、前記弁本体と前記弁体駆動部との間に狭持され、前記弁座を開閉するダイアフラム弁体とを有すること、前記ダイアフラム弁体のうち周縁部が、前記弁本体と前記弁体駆動部との間に狭持されている流体制御弁において、
    前記弁本体に、前記周縁部を嵌合する環状溝が形成されていること、
    前記弁本体が、前記環状溝と前記弁座との間の内周壁と、前記環状溝と前記弁本体の外壁との間の外周壁と、を有すること、
    前記内周壁の内部に環状に形成した円筒状の内周壁補強部材が組み込まれていること、
    前記外周壁の内部に環状に形成した円筒状の外周壁補強部材が組み込まれていること、
    前記内周壁補強部材と前記外周壁補強部材とを連結する連結部材を有すること、
    を特徴とする流体制御弁。
  2. 請求項1に記載する流体制御弁において、
    前記内周壁補強部材、前記外周壁補強部材、及び、前記連結部材をインサート成形で挿入すること、
    を特徴とする流体制御弁。
  3. 請求項1に記載する流体制御弁において、
    前記内周壁補強部材は、前記弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、
    前記外周壁補強部材は、前記弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、
    前記連結部材は、前記弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、
    を特徴とする流体制御弁。
  4. 請求項1に記載する流体制御弁において、
    前記内周壁補強部材、前記外周壁補強部材、及び、前記連結部材の断面形状がコの字形状であること、
    を特徴とする流体制御弁。
  5. 請求項1に記載する流体制御弁において、
    前記外周壁補強部材が前記内周壁補強部材よりも軸心方向に全長が長いこと、
    を特徴とする流体制御弁。
  6. 請求項1に記載する流体制御弁において、
    前記弁本体に固定ブロックに固定するためのネジ孔が形成されていること、
    前記ネジ孔の内周壁がネジ孔補強部材により形成されていること、
    を特徴とする流体制御弁。
  7. 請求項6に記載する流体制御弁において、
    前記ネジ孔補強部材と前記外周壁補強部材は、重なり合っていること、
    を特徴とする流体制御弁。
  8. 請求項6に記載する流体制御弁において、
    前記ネジ孔補強部材は、前記弁本体より強度が高く、かつ、線膨張係数が小さい材料を使用すること、
    を特徴とする流体制御弁。
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