JP2010242561A - ロータの製造方法、ロータ及びターボチャージャ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、回転翼7と軸6とが接続されたロータ5の製造方法であって、軸6の一端部に設けられる嵌合凸部61が挿入される凹部と、該凹部の内周面から嵌合凸部61の径よりも中心側に突出する調整部とを有する、回転翼7を成形する回転翼成形工程と、調整部における中心側の端部によって形成される嵌合凹部の位置及び径を調整する調整工程と、嵌合凹部に嵌合凸部61を嵌合し、回転翼7と軸6とを一体的に接続する接続工程とを備えるという方法を採用する。
【選択図】図2
Description
ロータは、排気ガスの流動によって高速で回転する(例えば、10万rpm以上)。そのため、回転翼の回転中心と軸の軸中心とがずれた状態では、ロータの回転中心におけるバランスが不均一となり、ロータの回転時に振動等を発生させる虞がある。さらに、その振動等が原因となって、タービン効率の低下やターボチャージャ及びロータの破損を引き起こす虞もある。
特許文献1に開示されている方法では、凹部の中心位置は、回転翼の回転中心と同一軸上に配置され、かつ、凹部の径は、凸部の径に対応する大きさで形成されている。したがって、溶接による接続後には、回転翼の回転中心と軸の軸中心とを略同一軸上に合わせ込むことができた。
本発明は、回転翼と軸とが接続されたロータの製造方法であって、軸の一端部に設けられる嵌合凸部が挿入される凹部と、該凹部の内周面から嵌合凸部の径よりも中心側に突出する調整部とを有する、回転翼を成形する回転翼成形工程と、調整部における中心側の端部によって形成される嵌合凹部の位置及び径を調整する調整工程と、嵌合凹部に嵌合凸部を嵌合し、回転軸と軸とを一体的に接続する接続工程とを備えるという方法を採用する。
このような方法を採用する本発明では、回転翼成形工程で、凹部の中心側に突出する調整部を成形し、調整工程で、調整部の中心側の端部を調整して、嵌合凹部の位置及び径を調整する。そのため、一度の加工で嵌合凹部を成形する場合に比べ、調整工程での調整代が小さくなることから、高い精度で嵌合凹部の位置及び径を調整することが可能となる。
このような方法を採用する本発明では、調整部が上記軸周り方向で延在し、例えば環状に形成されている場合に比べ、調整工程での調整代が小さくなることから、高い精度で嵌合凹部の位置及び径を調整することが可能となる。
このような方法を採用する本発明では、調整部が上記軸周り方向に関して略等間隔で複数設置されているため、軸周り方向での回転に関するバランスが均一化し、ロータ回転時の振動等が減少する。
このような方法を採用する本発明では、調整工程での調整部分が調整部の山型状の先端部に限定されるため、調整代が小さくなり、高い精度で嵌合凹部の位置及び径を調整することが可能となる。
このような構成を採用する本発明では、まず、凹部の中心側に突出する調整部を成形し、次に、調整部の中心側の端部を調整して、該端部によって形成される嵌合凹部の位置及び径を調整する。そのため、一度の加工で嵌合凹部を成形する場合に比べ、調整部における調整代が小さくなることから、高い精度で嵌合凹部の位置及び径を調整することが可能となる。
このような構成を採用する本発明では、調整部が上記軸周り方向で延在し、例えば環状に形成されている場合に比べ、調整部における調整代が小さくなることから、高い精度で嵌合凹部の位置及び径を調整することが可能となる。
このような構成を採用する本発明では、調整部が上記軸周り方向に関して略等間隔で複数設置されているため、軸周り方向での回転に関するバランスが均一化し、ロータ回転時の振動等が減少する。
このような構成を採用する本発明では、調整部分が調整部における山型状の先端部に限定されるため、調整代が小さくなり、高い精度で嵌合凹部の位置及び径を調整することが可能となる。
このような構成を採用する本発明では、ロータにおける回転翼及び軸の接続に用いられる、回転翼の嵌合凹部の位置及び径を高い精度で調整することが可能となる。
本発明によれば、回転翼における嵌合凹部の位置及び径を高い精度で調整できることから、回転翼の回転中心と軸の軸中心とを高い精度で合わせ込むことができる。したがって、本発明によれば、少ない手間及びコストで、高精度のロータを製造できるという効果がある。
本実施形態に係るターボチャージャTの構成を、図1を参照して説明する。
図1は、ターボチャージャTの全体構成を示す概略図である。なお、図1中の矢印Fは前方向を示す。
図1に示すように、ターボチャージャTは、タービンハウジング1と、軸受けハウジング2と、シールプレート3と、コンプレッサハウジング4とが前側より順次配置され一体的に設けられた構成となっている。
タービンスクロール流路11は、排気ガスを導入するための不図示のガス流入口と連通している。また、タービンスクロール流路11は、タービンインペラ7の設置箇所を介してタービンハウジング出口12に連通している。タービンハウジング出口12は、不図示の排気ガス浄化装置に接続されている。
吸気口41は、コンプレッサインペラ8の設置箇所を介してディフューザ流路43に連通しており、ディフューザ流路43は、コンプレッサスクロール流路42に連通している。
図2は、本実施形態に係るロータ5の構成を示す概略図であり、(a)は側面図、(b)は前後方向に沿う所定の面における断面図である。図3は、本実施形態におけるタービン軸6の構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。図4は、本実施形態におけるタービンインペラ7の構成を示す概略図であり、(a)は側面図、(b)は背面図、(c)は(b)の円筒部71部分の拡大図である。なお、上記図面中の矢印Fは前方向を示す。
図2に示すように、ロータ5は、タービン軸(軸)6と、タービンインペラ(回転翼)7と、コンプレッサインペラ8とを有している。タービン軸6の前端部にはタービンインペラ7が一体的に接続され、タービン軸6の後端部にはコンプレッサインペラ8がナット81を用いて一体的に接続されている。
図3に示すように、タービン軸6は、前後方向で延びる軸であり、強度の高い材質(例えばクロムモリブデン鋼等)を用いて形成されている。タービン軸6の前端部には、後述するタービンインペラ7の凹部(図4参照)72に挿入される嵌合凸部61と、嵌合凸部61の後側に隣接する段部62とが設けられている。
段部62は、嵌合凸部61の径よりも大きな径を有する略円柱状に形成され、嵌合凸部61と同じく、その中心軸はタービン軸6の中心軸と略同一軸上に配置されている。段部62の前方に対向する端面である段部端面62aは、略平面状に形成されている。
図4に示すように、タービンインペラ7は、略円錐状を呈するベース部材の外周面に複数の翼が周方向で略等間隔に配設された構成となっている。タービンインペラ7の後面部(上記ベース部材の底面)には、タービン軸6との接続に用いられる円筒部71が設けられている。
円筒部71の内周面には、山型凸部(調整部)73が、凹部72の中心側に対向しつつ周方向(タービン軸6の軸周り方向)に関して略等間隔で複数設けられており、複数の山型凸部73は互いに隣接していることから凹部72は後側から見た場合に菊座形状を呈している。
より詳しくは、山型凸部73の先端である端部73aは、円筒部71の周方向に沿う略平面状に形成されている。また、複数の端部73aによって形成される嵌合凹部74は、タービン軸6の嵌合凸部61が隙間なく嵌合できる径となっている。さらに、嵌合凹部74の中心軸は、タービンインペラ7の回転中心と同一軸上に配置されている。
図5は、本実施形態における山型凸部73の成形及び調整を示す概略図であり、(a)はタービンインペラ7の成形時における山型凸部73の形状を示す概略図、(b)は山型凸部73の調整後の形状を示す概略図である。
タービンインペラ7を、金属射出成型法(MIM:Metal Injection Molding)を用いて成型する。なお、タービンインペラ7を他の成型法、例えば精密鋳造法(ロストワックス等)を用いて成形してもよい。
図5(a)に示すように、タービンインペラ7の成形時における山型凸部73の調整前端部(端部)73bは、凹部72の中心側に対向して尖った形状となっており、タービン軸6の嵌合凸部61の径よりも上記中心側に突出して形成されている。すなわち、複数の調整前端部73bによって形成される調整前嵌合凹部74Aは、嵌合凸部61の径よりも小さい径で形成されている。
例えばプレス処理等により、調整前端部73bを調整して端部73aに変形させる。具体的には、タービン軸6の嵌合凸部61の径と略同一の径を有する不図示の調整部材を、調整前嵌合凹部74A内に挿入し、調整前端部73bを径方向外側に押し広げて塑性変形させる。なお、上記調整部材の挿入時において、タービンインペラ7の回転中心と、調整部材の軸中心とを同一軸上に配置しておく。
上記プレス処理を経ることにより、図5(b)に示すように、調整前端部73bは調整され、端部73aに変形される。複数の端部73aによって形成される嵌合凹部74は、タービン軸6の嵌合凸部61が隙間なく嵌合できる径となる。さらに、嵌合凹部74の中心軸は、タービンインペラ7の回転中心と同一軸上に配置される。
また、本実施形態では山型凸部73が周方向に関して複数設けられているため、円筒部71の内周面が周方向で延在した環状に形成されている場合に比べ、調整前端部73bの調整代が小さくなる。
加えて、回転翼成形工程における山型凸部73の調整前端部73bは、凹部72の中心側に対向して尖った形状を呈しており、調整工程での調整を施す部分が山型凸部73の先端部に限定されるため、調整代が小さくなり、高い精度で嵌合凹部74の位置及び径を調整することが可能となる。
図2(b)に示すように、タービンインペラ7の凹部72にタービン軸6の嵌合凸部61を挿入させる。より詳しくは、タービンインペラ7の嵌合凹部74に、嵌合凸部61を嵌合させる。嵌合凹部74は、嵌合凸部61が隙間なく嵌合できる径となっているため、余分なクリアランスを生じさせることなく嵌合凹部74に嵌合凸部61が嵌合する。この状態で、円筒部71の円筒部端面71aと、段部62の段部端面62aとの接触部Cを、溶接処理(例えば電子ビーム溶接等)により溶接し、タービン軸6とタービンインペラ7とを一体的に接続する。
ここで、嵌合凹部74の中心軸はタービンインペラ7の回転中心と同一軸上に配置されているため、タービンインペラ7の回転中心とタービン軸6の軸中心とを高い精度で合わせ込むことができる。
以上で、本実施形態に係るロータ5の製造が終了する。
排気ガスはその流動によりタービンインペラ7を回転させ、その後、タービンハウジング出口12より排出される。
なお、タービンインペラ7の回転中心とタービン軸6の軸中心とは高い精度で合わせ込まれており、かつ、複数の山型凸部73が周方向に関して略等間隔で設けられているため、ロータ5の回転に関するバランスは均一化されており、ロータ5の回転時の振動等が減少する。
コンプレッサインペラ8の回転により、吸気口41から導入された空気がディフューザ流路43に供給される。空気は、ディフューザ流路43を通ることで圧縮され昇圧される。昇圧された空気は、コンプレッサスクロール流路42を通ってエンジンの吸気口に供給される。結果として、エンジンに空気を過給し、エンジンの出力を向上させることができる。
以上で、ターボチャージャTの過給動作が終了する。
本実施形態によれば、タービンインペラ7における嵌合凹部74の位置及び径を高い精度で調整できることから、タービンインペラ7の回転中心とタービン軸6の軸中心とを高い精度で合わせ込むことができる。したがって、本実施形態によれば、少ない手間及びコストで、高精度のロータ5を製造できるという効果がある。
また、図6(b)に示すように、山型凸部73の形状を変更して略扇形を呈する扇形凸部75を、例えば2箇所で互いに略対向する位置に設置してもよい。
Claims (9)
- 回転翼と軸とが接続されたロータの製造方法であって、
前記軸の一端部に設けられる嵌合凸部が挿入される凹部と、該凹部の内周面から前記嵌合凸部の径よりも中心側に突出する調整部とを有する、前記回転翼を成形する回転翼成形工程と、
前記調整部における前記中心側の端部によって形成される嵌合凹部の位置及び径を調整する調整工程と、
前記嵌合凹部に前記嵌合凸部を嵌合し、前記回転軸と前記軸とを一体的に接続する接続工程とを備えることを特徴とするロータの製造方法。 - 前記調整部は、前記軸の軸周り方向に関して複数設置されていることを特徴とする請求項1に記載のロータの製造方法。
- 前記調整部は、前記軸の軸周り方向に関して略等間隔で複数設置されていることを特徴とする請求項2に記載のロータの製造方法。
- 前記回転翼成形工程で形成される前記調整部の、前記軸の軸方向に略直交する面での断面形状は、前記中心側に対向する略山型状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のロータの製造方法。
- 回転翼と軸とが接続されたロータであって、
前記回転翼は、前記軸の一端部に設けられる嵌合凸部が挿入される凹部と、該凹部の内周面に設けられ、前記嵌合凸部の径よりも前記凹部の中心側に突出した形状から径方向外側に調整される調整部とを有し、
前記嵌合凸部は、前記調整部における前記中心側の端部によって形成される嵌合凹部に嵌合していることを特徴とするロータ。 - 前記調整部は、前記軸の軸周り方向に関して複数設置されていることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
- 前記調整部は、前記軸の軸周り方向に関して略等間隔で複数設置されていることを特徴とする請求項6に記載のロータ。
- 前記軸の軸方向に略直交する面での前記調整部の断面形状は、前記中心側に対向する略山型状に形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のロータ。
- 請求項5から8のいずれか一項に記載の前記ロータを備えることを特徴とするターボチャージャ。
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