JP2010241008A - インクジェット印刷方法及びインクセット - Google Patents
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Abstract
【課題】自己分散顔料を含む非水系インクを用いたインクジェット印刷方式で、該顔料を印刷媒体上で凝集させることによって印刷濃度を高める。
【解決手段】印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷方法において、第一のインクは、第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成され、第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成され、自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして下記式(1)で示されるカチオンを備える顔料であり、前記第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン、カチオン樹脂などのカチオン性物質とから少なくとも構成される。
【選択図】なし
【解決手段】印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷方法において、第一のインクは、第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成され、第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成され、自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして下記式(1)で示されるカチオンを備える顔料であり、前記第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン、カチオン樹脂などのカチオン性物質とから少なくとも構成される。
【選択図】なし
Description
本発明は、印刷媒体上で顔料を凝集させて裏抜け及び滲みを防止することにより、印刷濃度を向上させるインクジェット印刷方法及び該印刷方法に用いるインクセットに関する。
インクジェット印刷方式に用いられるインクジェットインクは、水性インクと非水性インクに大別される。
水性インクは、非水性インクに比べてドットゲインが小さく、高解像度・高濃度の画像を得るのに適しており、オフィスや家庭用のインクジェットプリンタに一般的に用いられている。また、水性インクの滲みを防止して更に高解像度の画像印刷を達成するために、水性インクで印刷する前に、該インクと反応する処理液を印刷媒体に吐出し、これに重ねて該インクを吐出することにより、該インクに含まれる色材を凝集させる印刷方法が提案されている(特許文献1、2及び3参照)。
しかし、水性インクは、ドットゲインが小さいことから、低解像度の印刷に不向きであり、また、普通紙に印刷した場合、印刷物にカールが生じるため、印刷物の搬送性に劣り、高速印刷に不向きである。また、水性インクは開放状態で水の蒸発が起きるためインクノズルにおける目詰まりが生じやすく、間欠吐出性能が悪く、メインテナンスしにくいという欠点があった。
これに対し、非水性インクは、水性インクに比べてドットゲインが大きく、普通紙に印刷した場合でも、印刷物にカールが生じないので、低解像度の高速印刷に適している。また、非水性インクは、水性インクよりも溶媒が揮発し難いため、インクノズルにおける目詰まりが生じにくく、間欠吐出性能に優れ、インクノズルのクリーニング回数が少なくて済むといった利点があり、高速印刷、特に、ラインヘッド方式の高速インクジェット印刷に適している(特許文献4及び特許文献5参照)。
しかし、非水性インクは、溶媒と顔料との親和性が高いことから、印刷媒体に顔料が溶媒とともに浸透し易く、顔料が印刷媒体の表面に留まり難いので、印刷濃度が低く、裏抜けや滲みが生じやすいという欠点があった。
本発明は、顔料と水溶性有機溶剤とを少なくとも含む非水性インクを用いたインクジェット印刷方式において、印刷媒体に吐出されたインクに含まれる顔料を印刷媒体上で凝集させることによって印刷濃度を高めることを目的とする。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷システムにおいて、第一のインクとして、特定のカウンターイオンを伴った自己分散顔料と水溶性有機溶剤とを少なくとも含む非水性インクを用い、第二のインクとして、カチオン性物質と前記水溶性有機溶剤に混和性の溶剤とを少なくとも含むインクを用い、第一及び第二のインクを印刷媒体上に重ねて吐出させて両インクを混合させときに、第二のインクに含まれていたカチオン性物質の作用により第一のインクの自己分散顔料の分散安定性を破壊し、凝集を引き起こさせて印刷媒体の上方に該顔料を留めることにより、該顔料の印刷媒体への浸透を抑制し、印刷濃度を向上させると同時に裏抜けと滲みを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面によれば、
印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷方法において、前記第一のインクは、第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成される非水性インクであり、
前記第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される溶剤であり、
前記自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして下記式(1)で示されるカチオンを備える顔料であり、
前記第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質とから少なくとも構成されるインクである、インクジェット印刷方法が提供される。
印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷方法において、前記第一のインクは、第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成される非水性インクであり、
前記第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される溶剤であり、
前記自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして下記式(1)で示されるカチオンを備える顔料であり、
前記第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質とから少なくとも構成されるインクである、インクジェット印刷方法が提供される。
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基を示す。)
また、本発明の他の局面によれば、印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うためのインクジェット印刷用インクセットであって、
第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成される非水性インクである第一のインクと、
前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質とから少なくとも構成される第二のインクとからなり、
前記第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される溶剤であり、
前記自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオンを備える顔料である、インクジェット印刷用インクセットが提供される。
第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成される非水性インクである第一のインクと、
前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質とから少なくとも構成される第二のインクとからなり、
前記第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される溶剤であり、
前記自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオンを備える顔料である、インクジェット印刷用インクセットが提供される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第一の溶剤は、23℃での粘度が5〜20mPa・sの溶剤であって、グリセリン、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなる群より選ばれた1種以上の高粘度水溶性有機溶剤と、23℃での粘度が10mPa・s以下の低粘度水溶性有機溶剤とからなる。この場合、前記自己分散顔料の分散安定性に優れ、かつ、吐出性に優れた第一のインクが得られる。前記低粘度水溶性有機溶剤としては、グリコールエーテル類が好ましく使用される。好ましくは、前記第一のインクは、第一のインク全量の40〜80質量%の前記低粘度水溶性有機溶剤、第一のインク全量の20〜60質量%の前記高粘度水溶性有機溶剤、及び、第一のインク全量の0〜10質量%の水を含有してなる。
本発明の更に他の好ましい実施形態によれば、前記第二のインクは、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質の水溶液からなる。この好ましい第二のインクは、第一のインクの自己分散顔料を効果的に凝集させることができるだけでなく、安価に製造できる点で好都合である。
本発明の更に他の好ましい実施形態によれば、 印刷濃度を向上させるために、第二のインクはさらに色材を含有する。
本発明の更に他の好ましい実施形態によれば、 印刷濃度を向上させるために、第二のインクはさらに色材を含有する。
本発明によれば、第一のインクとして、特定のカウンターイオンを伴った自己分散顔料と水溶性有機溶剤とを少なくとも含む非水性インクを用い、第二のインクとして、カチオン性物質と前記水溶性有機溶剤に混和性の溶剤とを少なくとも含むインクを用い、第一及び第二のインクを印刷媒体上に重ねて吐出させて印刷するようにしたので、印刷媒体上で両インクが混合したときに、第二のインクに含まれていたカチオン性物質の作用により第一のインクの自己分散顔料の分散安定性が破壊され、該顔料が凝集を引き起こして印刷媒体の上方に留まることにより、印刷媒体への浸透が抑制され、印刷濃度が向上すると同時に裏抜けと滲みが防止される。また、第一のインクは、特定のカウンターイオンを伴った自己分散顔料を使用しているため、顔料の分散安定性、及び、貯蔵安定性に優れたインクジェット印刷用非水性インクである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
1.第一のインク
本発明で使用される第一のインクは、第一の溶剤と下記自己分散顔料とを少なくとも含む非水性インクであれば、特に限定されない。
1.第一のインク
本発明で使用される第一のインクは、第一の溶剤と下記自己分散顔料とを少なくとも含む非水性インクであれば、特に限定されない。
1−1.第一の溶剤
本発明の第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される非水性溶剤である。
1−1−1.水溶性有機溶剤
本発明で使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、グリコール類、ポリアルキレングリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類のアセタート、低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等のポリグリセリン、イミダゾリジノン系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
本発明の第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される非水性溶剤である。
1−1−1.水溶性有機溶剤
本発明で使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、グリコール類、ポリアルキレングリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類のアセタート、低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等のポリグリセリン、イミダゾリジノン系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
グリコール類としては、式OH-(CH2)n-OH(nは2以上の整数)であらわされるジオール及びその2乃至3分子の脱水縮合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール(例えば、3‐メチル‐2,4‐ペンタンジオール)などのアルキレングリコールの他、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
ポリアルキレングリコール類としては、式HO-(C2H4-O)n-Hで表わされる分子量200乃至50,000g/molのポリエチレングリコール、式HO-(C3H6-O)n-Hで表わされる分子量300乃至75,000g/molのポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類が挙げられる。
ポリアルキレングリコール類としては、式HO-(C2H4-O)n-Hで表わされる分子量200乃至50,000g/molのポリエチレングリコール、式HO-(C3H6-O)n-Hで表わされる分子量300乃至75,000g/molのポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、グリコール類及びポリアルキレングリコール類の水酸基の一つ又は両方をメチル化したものが挙げられ、例えば、下記式(2)及び(3)で示される化合物が挙げられる。
(式(2)中、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6好ましくは4〜6のアルキル基であり、R5及びR6の少なくとも一つはアルキル基であり、nは1乃至4の整数であり、好ましくは3乃至4、さらに好ましくは4である。)
上記式(2)で示されるグリコールエーテル類の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
(式(3)中、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6好ましくは4〜6のアルキル基であり、R5及びR6の少なくとも一つはアルキル基であり、nは1乃至4の整数であり、好ましくは3乃至4、さらに好ましくは4である。)
上記式(3)で示されるグリコールエーテル類の具体例としては、例えば、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
低級アルコールとしては、例えば一分子中の炭素数が1〜6の脂肪族アルコール類が挙げられ、具体的には、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
1−1−2.水不溶性有機溶剤
本発明の第一の溶剤は、水溶性有機溶剤と単一の相を形成し、且つ、下記自己分散顔料の分散安定性を損なわない限り、水不溶性有機溶剤を含有してもよい。
水不溶性有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、高級脂肪酸エステル系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、高級アルコール系溶剤などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
本発明の第一の溶剤は、水溶性有機溶剤と単一の相を形成し、且つ、下記自己分散顔料の分散安定性を損なわない限り、水不溶性有機溶剤を含有してもよい。
水不溶性有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、高級脂肪酸エステル系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、高級アルコール系溶剤などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の石油系炭化水素溶剤が挙げられ、具体的には、エクソンモービル社製「アイソパー、エクソール」(いずれも商品名)、新日本石油社製「AFソルベント」(商品名)、サン石油社製「サンセン、サンパー」(いずれも商品名)等が挙げられる。
高級脂肪酸エステル系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が5以上、好ましくは9以上、より好ましくは12乃至32の脂肪酸エステル類が挙げられ、具体的には、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、イソパルミチン酸イソオクチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ヒバリン酸2−オクチルドデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどが挙げられる。
高級脂肪酸系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が4以上、好ましくは9乃至22の脂肪酸類が挙げられ、具体的には、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
高級アルコール系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が12以上の脂肪族アルコール類が挙げられ、具体的には、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
1−1−3.第一の溶剤の好ましい実施形態
本発明では、下記自己分散顔料の分散安定性を確保するために、水溶性有機溶剤として、グリセリン、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなる群より選ばれた1種以上を使用することが好ましい。しかし、これらの水溶性有機溶剤は高粘度であり吐出性に劣るため、23℃での粘度が10mPa・s以下の低粘度水溶性有機溶剤と混合して、水溶性有機溶剤全体の23℃での粘度が5〜20mPa・sとなるように調整することが好ましい。このような低粘度水溶性有機溶媒としては、グリコールエーテル類が好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
本発明では、下記自己分散顔料の分散安定性を確保するために、水溶性有機溶剤として、グリセリン、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなる群より選ばれた1種以上を使用することが好ましい。しかし、これらの水溶性有機溶剤は高粘度であり吐出性に劣るため、23℃での粘度が10mPa・s以下の低粘度水溶性有機溶剤と混合して、水溶性有機溶剤全体の23℃での粘度が5〜20mPa・sとなるように調整することが好ましい。このような低粘度水溶性有機溶媒としては、グリコールエーテル類が好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
本発明の第一のインクは、第一のインク全量の40〜80質量%の前記低粘度水溶性有機溶剤、第一のインク全量の20〜60質量%の前記高粘度水溶性有機溶剤、及び、第一のインク全量の0〜10質量%の水を含有してなることが好ましい。前記低粘度水溶性有機溶剤の配合量が少なすぎるとインクの吐出性が劣り、多すぎると自己分散顔料の分散安定性が劣る。同様に、前記高粘度水溶性有機溶剤の配合量が少なすぎると自己分散顔料の分散安定性が劣り、多すぎるとインクの吐出性が劣る。水は、インク粘度を低下させるために第一のインクに添加することができるが、水の配合量が多すぎる場合、印刷時に印刷用紙のカールやコックリングが発生するので、本発明では、第一のインク全量の0〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
1−2.自己分散顔料
本発明の第一のインクで使用する自己分散顔料は、分散剤なしで分散が可能な顔料であり、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオンを備える顔料粒子である。顔料としては、カーボンブラック等の黒色顔料の他、各種色彩の有機顔料を使用することができる。
本発明の第一のインクで使用する自己分散顔料は、分散剤なしで分散が可能な顔料であり、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオンを備える顔料粒子である。顔料としては、カーボンブラック等の黒色顔料の他、各種色彩の有機顔料を使用することができる。
本発明で使用する自己分散顔料は、アニオン性官能基が顔料粒子の表面に直接結合しているものであっても、他の原子団を介して顔料粒子の表面に結合しているものであってもよい。
アニオン性官能基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基などのアニオン性の極性基が挙げられ、好ましくは、カルボン酸基である。
かかるアニオン性官能基は、特表2003−513137号公報、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094号公報などに記載の方法に従って、顔料粒子表面に結合させることができる。
かかるアニオン性官能基は、特表2003−513137号公報、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094号公報などに記載の方法に従って、顔料粒子表面に結合させることができる。
上記式(1)で示されるカチオンは第四級アンモニウムイオンであるが、第四級アンモニウムイオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、及びテトラヘキシルアンモニウムイオンが挙げられ、テトラプロピルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンが好ましく、テトラブチルアンモニウムイオンが特に好ましい。
本発明では、カウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を備える自己分散顔料を使用することとしたので、該自己分散顔料は、水溶性有機溶媒から主として構成される第一の溶剤中おいて、塩を形成して該有機溶媒に対する親和性を発揮し、安定に分散する。
表面にアニオン性官能基を備えた顔料は、通常、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、遊離酸の形態で提供されている。このような自己分散顔料は、キャボット社から商品名Cab−O−JET300、Cab−O−JET200、Cab−O−JET250、Cab−O−JET260、Cab−O−JET270の下に市販されている。
遊離酸の形態の顔料については、上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を添加することにより、カウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を備えた上記自己分散顔料に変換することができ、そのまま本発明の第一のインクに配合することができる。塩の形態の顔料は、イオン交換樹脂により一旦遊離酸の形態に変換した後、上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を添加することにより、カウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を備えた上記自己分散顔料に変換することができる。また、塩の形態の顔料は、上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を保持したイオン交換樹脂を用いて、カウンターイオンとして上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)を備えた上記自己分散顔料に直接変換することもできる。
本発明において、自己分散顔料の全カウンターイオンが上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)で構成されている必要はないが、カウンターイオンとしての上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)は、自己分散顔料の全カウンターイオンに対する当量比(上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)/全カウンターイオン)で0.45乃至1に相当する量だけ存在していればよく、好ましくは0.55乃至1に相当する量だけ存在していればよい。この当量比が0.45未満の場合、顔料の分散安定性の改善効果が十分に得られない場合がある。なお、四級アンモニウムイオン以外のカウンターイオンは、特に限定されるものではなく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられ、そのうち、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンが好ましく、ナトリウムイオンがより好ましい。
したがって、本発明の自己分散顔料として、例えば、塩の形態の自己分散顔料を完全に上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)との塩の形態に変換したもの(自己分散顔料X)を単独で使用してもよく、塩の形態の自己分散顔料のカウンターイオンを例えば半分以上上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)の塩に変換したもの(自己分散顔料Y)を単独で使用してもよく、さらには、上記自己分散顔料Xと、塩の形態の自己分散顔料のカウンターイオンが上記式(1)で示されるカチオン(第四級アンモニウムイオン等)以外のもの(自己分散顔料Z)とを混合したものを使用しても良い。
本発明の第一のインクにおいて、自己分散顔料の含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、固形分換算で0.1質量%〜15質量%の範囲が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。0.1質量%未満では、十分な画像濃度が得られない。15質量%を越えると、インク変質が起こりやすく、ノズルの詰まりが発生しやすくなる。
1-3.添加剤
本発明の第一のインクには、上記成分の他に、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種添加剤を配合することができる。
本発明の第一のインクには、上記成分の他に、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種添加剤を配合することができる。
1-4.インクの製造方法
本発明の第一のインクは、例えばディスパー等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。具体的には、予め溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明の第一のインクは、例えばディスパー等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。具体的には、予め溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明の第一のインクは、多数のノズルが長手方向に一列に配列された吐出ヘッドを備えたライン型インクジェットプリンタでの印刷に用いるのに好適である。このようなインクジェットプリンタでは、印刷用紙を印刷機の静止した吐出ヘッドの下を一回通過させるだけで画像形成が行われ、100ppm以上の高速で印刷が行われる。ライン型インクジェットプリンタ用には、本発明のインクジェットインクは、該プリンタに専用の容量500mL以上のインク容器に充填して提供することができる。
1−5.インクの物性
ライン型インクジェットプリンタ用のインクジェットインクの23℃における粘度は、インクジェットヘッドノズルからの吐出に適した5〜50mPa・sの範囲に設定することが好ましく、5〜30mPa・sの範囲に設定することがより好ましく、5〜20mPa・sの範囲に設定することが更により好ましく、7〜14mPa・sの範囲に設定することが特に好ましい。また、保存環境によってインクが凍結しないように、インクの凝固点は−5℃以下とするのが好ましい。かかる粘度や凝固点は、上記水溶性有機溶剤の種類や量などを適宜選択したり、必要に応じて、添加剤を配合することにより調整することができる。
ライン型インクジェットプリンタ用のインクジェットインクの23℃における粘度は、インクジェットヘッドノズルからの吐出に適した5〜50mPa・sの範囲に設定することが好ましく、5〜30mPa・sの範囲に設定することがより好ましく、5〜20mPa・sの範囲に設定することが更により好ましく、7〜14mPa・sの範囲に設定することが特に好ましい。また、保存環境によってインクが凍結しないように、インクの凝固点は−5℃以下とするのが好ましい。かかる粘度や凝固点は、上記水溶性有機溶剤の種類や量などを適宜選択したり、必要に応じて、添加剤を配合することにより調整することができる。
2.第二のインク
本発明で使用される第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤とカチオン性物質とから少なくとも構成されるものであれば、特に限定されない。
本発明で使用される第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤とカチオン性物質とから少なくとも構成されるものであれば、特に限定されない。
2−1.第二の溶剤
本発明で使用する第二の溶剤は、前記第一の溶剤に混和性で、且つ、前記カチオン性物質を溶解または分散させるものであれば、特に限定されない。したがって、第二の溶剤としては、水以外に、第一の溶剤に関して上述した水溶性有機溶剤および水不溶性有機溶剤を使用することができる。
しかし、第一のインクと第二のインクが混合したときに下記カチオン性物質を自己分散顔料と反応させて凝集させる目的では、第二の溶剤は、90〜100質量%の水と0〜10質量%の水溶性有機溶剤とから構成されることが好ましい。水の量が少なすぎると、本発明の第一および第二のインクを重ねて印刷した時の印刷濃度が十分に向上しない。
本発明で使用する第二の溶剤は、前記第一の溶剤に混和性で、且つ、前記カチオン性物質を溶解または分散させるものであれば、特に限定されない。したがって、第二の溶剤としては、水以外に、第一の溶剤に関して上述した水溶性有機溶剤および水不溶性有機溶剤を使用することができる。
しかし、第一のインクと第二のインクが混合したときに下記カチオン性物質を自己分散顔料と反応させて凝集させる目的では、第二の溶剤は、90〜100質量%の水と0〜10質量%の水溶性有機溶剤とから構成されることが好ましい。水の量が少なすぎると、本発明の第一および第二のインクを重ねて印刷した時の印刷濃度が十分に向上しない。
2−2.カチオン性物質
カチオン性物質としては、多価金属イオン及びカチオン樹脂が挙げられる。
多価金属イオンとしは、例えば、たとえば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+等の二価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+等の三価の金属イオンが挙げられる。これら多価金属イオンを第二のインク中に存在せしめるためには、多価金属の塩を第二のインクに添加すればよい。多価金属の塩は、有機酸塩及び無機酸塩の何れであってもよい。
好ましい多価金属イオンはCa2+、Mg2+、Sr2+、Al3+及びY3+であり、Ca2+が特に好ましく、プロピオン酸カルシウム水溶液などの形態で使用することが好ましい。
カチオン樹脂とは、アミン、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリジノン塩などのカチオンサイトを複数もつ樹脂である。カチオン樹脂としては、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチルのような1〜3級アミンまたは4 級アンモニウムであるラジカル重合性モノマーを構成単量体として含有するアクリル樹脂が挙げられるが、これに限定されるものではない。カチオン樹脂は、カチオン樹脂微粒子であってもよい。
カチオン性物質としては、多価金属イオン及びカチオン樹脂が挙げられる。
多価金属イオンとしは、例えば、たとえば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+等の二価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+等の三価の金属イオンが挙げられる。これら多価金属イオンを第二のインク中に存在せしめるためには、多価金属の塩を第二のインクに添加すればよい。多価金属の塩は、有機酸塩及び無機酸塩の何れであってもよい。
好ましい多価金属イオンはCa2+、Mg2+、Sr2+、Al3+及びY3+であり、Ca2+が特に好ましく、プロピオン酸カルシウム水溶液などの形態で使用することが好ましい。
カチオン樹脂とは、アミン、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリジノン塩などのカチオンサイトを複数もつ樹脂である。カチオン樹脂としては、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチルのような1〜3級アミンまたは4 級アンモニウムであるラジカル重合性モノマーを構成単量体として含有するアクリル樹脂が挙げられるが、これに限定されるものではない。カチオン樹脂は、カチオン樹脂微粒子であってもよい。
2−3.その他の成分
本発明で使用される第二のインクは、所望により、さらに、色材、分散剤、その他の添加剤を含有しても良い。
第二のインクが色材を含有すると、印刷濃度が向上するので好ましい。第二のインクで使用する色材は、そこに溶解又は分散可能なものであれば顔料及び染料の何れであってもよいが、好ましくは、顔料である。
本発明で使用される第二のインクは、所望により、さらに、色材、分散剤、その他の添加剤を含有しても良い。
第二のインクが色材を含有すると、印刷濃度が向上するので好ましい。第二のインクで使用する色材は、そこに溶解又は分散可能なものであれば顔料及び染料の何れであってもよいが、好ましくは、顔料である。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ピリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。
これらの顔料は単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用してもよい。
顔料を添加する場合、第二のインク全量に対して0.01質量%〜20質量%の範囲で配合することが好ましい。
これらの顔料は単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用してもよい。
顔料を添加する場合、第二のインク全量に対して0.01質量%〜20質量%の範囲で配合することが好ましい。
印刷濃度を向上させるためには、通常、第一のインクが含有する色材と同じ色の色材を第二のインクに含有させることが好ましい。また、黒色インクの場合は、シアンインクを重ねて印字することにより印刷濃度を高めることができる。従って、例えば、第一のインクがカーボンブラック及び/または銅フタロシアニンを含有する場合、第二のインクにカーボンブラック及び/または銅フタロシアニンを含有させることにより、黒色又はシアン色の印刷濃度を向上させることができる。通常、カラーインクジェットインクは、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のインクをそれぞれ備えているので、シアン(C)インク及びブラック(K)インクの何れか一方を本発明の第一のインクとして構成し、他方を本発明の第二のインクとして構成することで、本発明は容易に実施できる。
色材を添加する場合、色材を安定に分散させるために分散剤を併用してもよい。かかる分散剤は、使用する溶剤と色材に応じて、水性インクに用いられている公知の分散剤から適宜選択して使用することができる。
本発明の第二のインクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、第二の溶剤、カチオン性物質、色材及び分散剤に加えて、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
本発明の第二のインクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、第二の溶剤、カチオン性物質、色材及び分散剤に加えて、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
2−4.インクの製造方法及び物性
本発明の第二のインクの製造方法及び物性は、第一のインクに関して上記したものがそのまま当てはまる。
本発明の第二のインクの製造方法及び物性は、第一のインクに関して上記したものがそのまま当てはまる。
3.インクジェット印刷方法
本発明のインクジェット印刷方法は、印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後にこれに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより行われる。本発明は、第一のインクに含まれる自己分散顔料と第二のインクに含まれるカチオン性物質とを印刷媒体上で反応させることを必須とするものであるから、一方のインクが吐出されて印刷媒体の内部に浸透する前に連続して迅速に他方のインクを吐出させることにより、両インクを重ねて印刷する必要がある。本発明においては、反応性の点から、第二のインクを前処理液として印刷媒体に吐出してから、これに重ねて第一のインクを吐出することが好ましい。
本発明のインクジェット印刷方法は、印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後にこれに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより行われる。本発明は、第一のインクに含まれる自己分散顔料と第二のインクに含まれるカチオン性物質とを印刷媒体上で反応させることを必須とするものであるから、一方のインクが吐出されて印刷媒体の内部に浸透する前に連続して迅速に他方のインクを吐出させることにより、両インクを重ねて印刷する必要がある。本発明においては、反応性の点から、第二のインクを前処理液として印刷媒体に吐出してから、これに重ねて第一のインクを吐出することが好ましい。
本発明においては、使用者が本発明のインクジェット印刷方法を容易に実施できるように、上記第一のインクと第二のインクを少なくとも含むインクセットを構成して販売すると好都合である。
例えばシアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の吐出ノズルを備えたインクヘッドが装着された通常のインクジェットプリンタで本発明の印刷方法を実施して黒色の印刷濃度を高める場合、ブラックインクを第一のインクとして調製し、シアンインクを第二のインクとして調製し、ブラックインクの印刷媒体への吐出に連続して、この印字部分にシアンインクを重ねて吐出するように、またはこれと逆の順序で吐出するようにインクジェットプリンタを制御すれば、本発明の印刷方法を容易に実施することができる。また、逆に、ブラックインクを第二のインクとして調製し、シアンインクを第一のインクとして調製してもよい。さらには、2種類のブラックインクをプリンタに搭載し、一方を第一のインクとして調製し、他方を第二のインクとして調製してもよい。
例えばシアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の吐出ノズルを備えたインクヘッドが装着された通常のインクジェットプリンタで本発明の印刷方法を実施して黒色の印刷濃度を高める場合、ブラックインクを第一のインクとして調製し、シアンインクを第二のインクとして調製し、ブラックインクの印刷媒体への吐出に連続して、この印字部分にシアンインクを重ねて吐出するように、またはこれと逆の順序で吐出するようにインクジェットプリンタを制御すれば、本発明の印刷方法を容易に実施することができる。また、逆に、ブラックインクを第二のインクとして調製し、シアンインクを第一のインクとして調製してもよい。さらには、2種類のブラックインクをプリンタに搭載し、一方を第一のインクとして調製し、他方を第二のインクとして調製してもよい。
本発明において、印刷媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシートなどが使用できる。とりわけ、本発明によれば、油性インクを用いて普通紙に印刷する場合でも、顔料等の色材が印刷用紙に浸透せずに印刷用紙の表面に留まるので、印刷濃度が向上し、裏抜けが低減するという大きなメリットが得られる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
製造例1(自己分散顔料の調製)
キャボット社製自己分散カーボンブラック分散体(商品名:Cab−O−JET400)を、テトラブチルアンモニウムイオンを吸着させたイオン交換樹脂(商品名:アンバーライト、Sigma-Aldrich社製)で処理し、該分散体がカウンターイオンとして含有していたナトリウムイオンをテトラブチルアンモニウムイオンに変換して、自己分散顔料分散体1を得た。なお、カウンターイオンの変換率は80%であった。
なお、キャボット社製自己分散カーボンブラック分散体(商品名:Cab−O−JET400)は、表面にリン酸基(カウンターイオンはナトリウムイオン)を結合させたカーボンブラック粒子の濃度15質量%の水分散体である。
キャボット社製自己分散カーボンブラック分散体(商品名:Cab−O−JET400)を、テトラブチルアンモニウムイオンを吸着させたイオン交換樹脂(商品名:アンバーライト、Sigma-Aldrich社製)で処理し、該分散体がカウンターイオンとして含有していたナトリウムイオンをテトラブチルアンモニウムイオンに変換して、自己分散顔料分散体1を得た。なお、カウンターイオンの変換率は80%であった。
なお、キャボット社製自己分散カーボンブラック分散体(商品名:Cab−O−JET400)は、表面にリン酸基(カウンターイオンはナトリウムイオン)を結合させたカーボンブラック粒子の濃度15質量%の水分散体である。
製造例2(第一のインクの調製)
製造例1で得られた自己分散顔料分散液1(56質量部)と1,3−プロパンジオール(20質量部)を混合した後、該混合物から水を蒸発させた。その後、該混合物にジエチレングリコールモノエチルエーテル(71.6質量部)を混合した後、8μmフィルターでろ過して、インク1を調製した。なお、得られたインク1の最終組成を表1に示した。
製造例1で得られた自己分散顔料分散液1(56質量部)と1,3−プロパンジオール(20質量部)を混合した後、該混合物から水を蒸発させた。その後、該混合物にジエチレングリコールモノエチルエーテル(71.6質量部)を混合した後、8μmフィルターでろ過して、インク1を調製した。なお、得られたインク1の最終組成を表1に示した。
実施例1〜2、比較例1
第一のインク及び第二のインクとして表2に記載のものを選択し、東芝テック社製ヘッドの第一のインク吐出経路に第二のインクを導入し、第二のインク吐出経路に第一のインクを導入し、印刷用紙として普通紙(理想用紙薄口(商品名;理想科学工業株式会社製))を用い、第一のインク吐出経路から印刷用紙上に吐出されたインクのドットに第二のインク吐出経路から吐出されたインクのドットが重なるようにベタ画像を印刷した。なお、印刷は、解像度300dpi×600dpi、液滴量38pL/dotで実施した。得られた印刷物の印刷画像濃度(OD)及び裏抜け、並びに間欠性能を、下記方法で評価した。結果を表2に示す。
第一のインク及び第二のインクとして表2に記載のものを選択し、東芝テック社製ヘッドの第一のインク吐出経路に第二のインクを導入し、第二のインク吐出経路に第一のインクを導入し、印刷用紙として普通紙(理想用紙薄口(商品名;理想科学工業株式会社製))を用い、第一のインク吐出経路から印刷用紙上に吐出されたインクのドットに第二のインク吐出経路から吐出されたインクのドットが重なるようにベタ画像を印刷した。なお、印刷は、解像度300dpi×600dpi、液滴量38pL/dotで実施した。得られた印刷物の印刷画像濃度(OD)及び裏抜け、並びに間欠性能を、下記方法で評価した。結果を表2に示す。
・印刷物の印刷画像濃度(OD)測定方法
得られた印刷物の表面の印刷画像濃度(OD)値を光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し、下記基準で評価した。
印刷画像濃度評価基準:
○:1.3≦OD値
△:1.2≦OD値<1.3
×:OD値<1.2
得られた印刷物の表面の印刷画像濃度(OD)値を光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し、下記基準で評価した。
印刷画像濃度評価基準:
○:1.3≦OD値
△:1.2≦OD値<1.3
×:OD値<1.2
・印刷物の裏抜け測定方法
得られた印刷物の印刷画像の裏面の濃度(OD)値を光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し、下記基準で評価した。
印刷物の裏抜け評価基準:
○:OD値<0.25
△:0.25≦OD値<0.3
×:0.3≦OD値
得られた印刷物の印刷画像の裏面の濃度(OD)値を光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し、下記基準で評価した。
印刷物の裏抜け評価基準:
○:OD値<0.25
△:0.25≦OD値<0.3
×:0.3≦OD値
・間欠性能
印字後1分間印字を停止した後印字を行い、印刷画像のドット抜けの有無を確認した。
間欠性能評価基準:
○:印字停止1分後にプリカーサなしで印刷してもドット抜けがない。
△:印字停止1分後にプリカーサなしで印刷するとドット抜けが生じるが、プリカーサありで印刷するとドット抜けが生じない。
×:印字停止1分後にプリカーサありで印刷してもドット抜けが生じる。
印字後1分間印字を停止した後印字を行い、印刷画像のドット抜けの有無を確認した。
間欠性能評価基準:
○:印字停止1分後にプリカーサなしで印刷してもドット抜けがない。
△:印字停止1分後にプリカーサなしで印刷するとドット抜けが生じるが、プリカーサありで印刷するとドット抜けが生じない。
×:印字停止1分後にプリカーサありで印刷してもドット抜けが生じる。
尚、表2記載の原材料の表示は、以下の通りである。
カチオン樹脂16%水溶液:側鎖に多数の4級アンモニウム塩を備えたアクリル樹脂の水溶液。
カチオン樹脂16%水溶液:側鎖に多数の4級アンモニウム塩を備えたアクリル樹脂の水溶液。
表1の結果から、本発明に従い第一のインク及び第二のインクを重ねて印字した実施例1〜2は、第一のインクしか印字しなかった比較例1に比べ、印刷物の印字濃度が高く、裏抜けが少なかった。
本発明のインクジェット印刷方法及びインクセットは、第一のインクと第二のインクをノズルヘッドから連続的に吐出して印刷媒体に重ねて印字できるインクジェットプリンタで簡単に実施することができ、インクジェット印刷の分野で広く利用できる。
Claims (12)
- 印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うインクジェット印刷方法において、前記第一のインクは、第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成される非水性インクであり、
前記第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される溶剤であり、
前記自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして下記式(1)で示されるカチオンを備える顔料であり、
前記第二のインクは、前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質とから少なくとも構成されるインクである、インクジェット印刷方法。
- 前記第一の溶剤は、23℃での粘度が5〜20mPa・sの溶剤であって、グリセリン、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなる群より選ばれた1種以上の高粘度水溶性有機溶剤と、23℃での粘度が10mPa・s以下の低粘度水溶性有機溶剤とから少なくとも構成される、請求項1に記載のインクジェット印刷方法。
- 前記低粘度水溶性有機溶剤が、グリコールエーテル類である請求項2に記載のインクジェット印刷方法。
- 前記第一のインクは、第一のインク全量の40〜80質量%の前記低粘度水溶性有機溶剤、第一のインク全量の20〜60質量%の前記高粘度水溶性有機溶剤、及び、第一のインク全量の0〜10質量%の水を含有してなる請求項2又は3に記載のインクジェット印刷方法。
- 前記グリコールエーテル類が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項4に記載のインクジェット印刷方法。
- 前記第二のインクは、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質の水溶液からなる請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット印刷方法。
- 印刷媒体上へ第一のインク及び第二のインクの何れか一方を吐出した後これに重ねて他方のインクを連続的に吐出させることにより印刷を行うためのインクジェット印刷用インクセットであって、
第一の溶剤と自己分散顔料とから少なくとも構成される非水性インクである第一のインクと、
前記第一の溶剤に混和性の第二の溶剤と、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質とから少なくとも構成される第二のインクとからなり、
前記第一の溶剤は、水溶性有機溶剤から主として構成される溶剤であり、
前記自己分散顔料は、表面にアニオン性官能基を備えるとともにそのカウンターイオンとして下記式(1)で示されるカチオンを備える顔料である、インクジェット印刷用インクセット。
- 前記第一の溶剤は、23℃での粘度が5〜20mPa・sの溶剤であって、グリセリン、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなる群より選ばれた1種以上の高粘度水溶性有機溶剤と、23℃での粘度が10mPa・s以下の低粘度水溶性有機溶剤とからなる、請求項7に記載のインクジェット印刷用インクセット。
- 前記低粘度水溶性有機溶剤が、グリコールエーテル類である請求項8に記載のインクジェット印刷用インクセット。
- 前記第一のインクは、第一のインク全量の40〜80質量%の前記低粘度水溶性有機溶剤、第一のインク全量の20〜60質量%の前記高粘度水溶性有機溶剤、及び、第一のインク全量の0〜10質量%の水を含有してなる請求項8又は9に記載のインクジェット印刷用インクセット。
- 前記グリコールエーテル類が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項10に記載のインクジェット印刷用インクセット。
- 前記第二のインクは、多価金属イオン及びカチオン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオン性物質の水溶液からなる請求項7〜11の何れか1項に記載のインクジェット印刷用インクセット。
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JP2017014325A (ja) * | 2015-06-26 | 2017-01-19 | 理想科学工業株式会社 | 非水系インクジェット印刷方法 |
US10487225B2 (en) | 2017-03-17 | 2019-11-26 | Seiko Epson Corporation | Oil-based ink jet recording liquid |
-
2009
- 2009-04-07 JP JP2009092901A patent/JP2010241008A/ja active Pending
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