JP2010236776A - 爆破処理方法および爆破処理装置 - Google Patents

爆破処理方法および爆破処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炸薬を有する弾頭と推進剤を有する推進部とを備えた推進剤付き弾薬を容易にかつ安全に爆破処理する。
【解決手段】第1爆薬70を弾頭11の外側に配置する第1爆薬配置工程と、第2爆薬を含む複数の爆発体80を推進部12の外側に配置する第2爆薬配置工程と、第1爆薬70の爆轟により炸薬を爆轟させつつ弾頭11を爆破する弾頭爆破工程と、第2爆薬の爆轟により推進剤を爆燃させつつ推進部12を燃焼処理する推進部処理工程とを含み、第1爆薬70を、その爆轟により弾頭11の周囲に高圧場を発生させて炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制するように、弾頭11の周囲を覆う位置に配置するとともに、各爆発体80を、推進剤の燃焼エネルギーの外部への発散を許容することで推進剤が爆轟に至るのを抑制するように、互いに離間した位置に配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、推進部を有する軍事用の弾薬等を爆破処理するための爆破処理方法に関する。
軍事用の弾薬(砲弾、爆弾、地雷、機雷等)の構成としては、鋼製の弾殻の内部に、炸薬と、人体に有害な化学剤とが充填されたものが知られている。この弾薬は、前記炸薬を爆轟させ、化学剤を前記弾殻の破片とともに外部に飛散させるものである。そして、この弾薬を処理するための方法としては、爆破による処理方法が知られている。この爆破による処理方法は、解体作業を要しないことから、保存状態が良好な前記兵器等のみならず、経年劣化や変形などにより解体が困難になったものの処理にも適用することができる。さらに人体に有害な化学剤を有する爆弾を処理する場合には、爆発に基づく超高温場および超高圧場の実現によって化学剤のほとんど全てを分解できるという利点がある。このような爆破処理として、例えば特許文献1に次のような方法が開発されている。
すなわち、特許文献1には、所定の容器内に前記弾薬を設置し、この弾薬の周囲を覆うようにANFO爆薬を配置するとともに、前記容器の周囲にこのANFO爆薬よりも高爆速のシート状爆薬を巻きつけ、このシート状爆薬の所定の端部を起爆することでこのシート状爆薬を所定の方向に順次爆轟させていき、このシート状爆薬の爆轟に伴って前記ANFO爆薬を所定の方向に順次爆轟させることで、前記弾薬内の炸薬を爆轟させつつこの弾薬を爆破処理する方法が開示されている。この方法によれば、前記シート状爆薬の爆轟により、当該シート状爆薬の内側に設けられた前記ANFO爆薬の爆轟ベクトルを内側に向かせ、それに伴って本来は外向きである前記弾殻の内部の炸薬の爆轟ベクトルを内向きに変更することができる。その結果、前記炸薬の爆発により外側に飛散する弾殻の破片の飛散速度を低減することができる。
特開2005−291514号公報
軍事用の弾薬としては、前記弾薬のように弾殻の内側に炸薬が収容された弾頭に、この弾頭に推力を与えるため推進部が設けられた推進剤付き弾薬(ロケット弾やミサイルや推進部薬を有する砲弾等)がある。この推進部には、前記弾頭に推力を与えるための推進剤が設けられている。このような推進剤付き弾薬もまた前記のように爆破処理して無害化するのが好ましい。
ところが、この推進剤付き弾薬に前記の爆破処理方法を適用すると、前記推進部の周囲が前記ANFO爆薬の爆轟波で覆われる結果、通常の使用状態では爆燃するだけの前記推進剤が爆轟に至ってしまい、通常の使用状態よりも高い圧力場を発生させてしまうという問題がある。
本発明は前記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で推進部を有する推進剤付き弾薬を安全に処理することのできる爆破処理方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、炸薬を有する弾頭と、当該弾頭の後端部に設けられてこの弾頭に推力を与えるための推進剤を有する推進部とを備えた推進剤付き弾薬を爆破処理するための方法であって、前記弾頭を爆破するための第1爆薬を、当該弾頭の外側となる位置に配置する第1爆薬配置工程と、前記推進剤を起爆するための第2爆薬を含む複数の爆発体を、前記推進部の外側となる位置に配置する第2爆薬配置工程と、前記第1爆薬を起爆させて当該第1爆薬を爆轟させ、当該第1爆薬の爆轟により前記炸薬を爆轟させつつ前記弾頭を爆破する弾頭爆破工程と、前記第2爆薬を起爆させて当該第2爆薬を爆轟させ、当該第2爆薬の爆轟により前記推進部の推進剤を爆燃させつつ前記推進部を燃焼処理する推進部処理工程とを含み、前記第1爆薬配置工程は、前記第1爆薬の爆轟により前記弾頭の周囲に高圧場を発生させ、当該高圧場によって前記炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制するように、前記第1爆薬を前記弾頭の周囲を覆う位置に配置するものであり、前記第2爆薬配置工程は、前記推進剤の燃焼エネルギーの外部への発散を許容することで当該推進剤が爆轟に至るのを抑制するように、前記複数の爆発体を互いに離間した位置に配置するものであることを特徴とする爆破処理方法を提供する(請求項1)。
この方法によれば、前記第1爆薬の爆轟により前記弾頭の周囲に高圧場を発生させ、この高圧場によって前記炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制することで、弾殻の破片等が外部に飛散するのを抑制することができる。特に、前記弾頭内に化学剤が含まれている場合には、前記爆轟エネルギーにより化学剤が分解される。その一方、前記推進部については、前記各爆発体を、前記推進剤の燃焼エネルギーの外部への発散を許容するように互いに離間した位置に配置することで、この推進剤を爆轟に至らせずに爆燃させ、過剰な衝撃を抑制することができる。このように、本方法によれば、前記弾頭を安全に爆破しつつ、前記推進剤の爆轟を回避することで前記推進部を安全に処理することが可能となる。また、この方法によれば、従来のように前記推進部の周囲を前記爆薬で覆う場合に比べて推進部の周囲に配置する爆薬の量を削減することができるので、コスト面でも有利となる。
また本発明において、前記第1爆薬は、前記弾頭を爆破するための内側爆薬と当該内側爆薬よりも爆速の大きい外側爆薬とからなり、前記第1爆薬配置工程は、前記内側爆薬を前記弾頭の周囲を覆う位置に配置する工程と、前記外側爆薬を前記内側爆薬の外側となる位置に配置する工程とを含み、前記弾頭爆破工程は、前記外側爆薬を起爆させて当該外側爆薬の爆轟により前記内側爆薬を起爆させることでこの内側爆薬の爆轟波を内向きとし、この内向きの爆轟波によって前記炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制しつつ前記弾頭を爆破する工程を含むのが好ましい(請求項2)。
この方法によれば、前記のように推進部を爆燃させつつ、前記内側爆薬に前記外側爆薬の内向きの爆轟波を伝播してこの内側爆薬の爆轟ベクトルを内向きにすることで、前記炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を効果的に抑制することが可能となる。そして、前記内側爆薬の爆轟波を効率よく前記弾頭に伝播させることで、弾頭をより確実に爆破することができる。
また、本発明において、前記第2爆薬配置工程は、前記複数の爆発体を、各爆発体の前端部が前記第1爆薬に接触する位置に配置する工程を含み、前記弾頭爆破工程は、前記第1爆薬の前端部を起爆させて当該第1爆薬の爆轟を後方に向けて伝播させる工程を含み、前記推進部処理工程は、前記第1爆薬の爆轟により前記各爆発体に含まれる第2爆薬を起爆させる工程を含むのが好ましい(請求項3)。
このように、前記第1爆薬の前端部を起爆させて当該第1爆薬の爆轟を後方に向けて伝播させ、この第1爆薬の爆轟により前記第2爆薬を起爆させれば、前記第2爆薬を別途起爆する必要がなくなり、推進剤付き弾薬全体を効率よく処理することが可能となる。また、前記第1爆薬の爆轟伝播によって前記第2爆薬が起爆するので、前記第1爆薬の爆轟による前記炸薬の起爆の後に前記第2爆薬による前記推進剤の着火を行うことができ、この推進剤の爆燃により発生した推力が前記弾頭に与える影響を小さくすることができるので、爆破処理をより安全に行うことが可能となる。
特に、前記爆発体を、一方向に延びる形状とし、前記第2爆薬配置工程にて、前記複数の爆発体を、前記推進部の周方向に互いに離間した状態で前後方向に延びるように配置する工程を実施すれば、前記一方向に延びる形状を有する爆発体を前記推進部の外側となる位置に配索するだけで、簡単に前記第2爆薬を前記推進部の外側に配置することができるので、爆破処理を効率よく行うことが可能となる。また、各爆発体を前後方向に延びるように配置することで、各爆発体の前端部の第2爆薬が起爆されることで第2爆薬の爆轟を後方に伝播させることができ、前記推進剤を効率よく爆燃させていくことができる(請求項4)。
また本発明は、前記弾頭の周囲を覆う位置に設けられて、前記弾頭の周囲に高圧場を発生させて当該高圧場によって前記弾頭の炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制しつつ当該炸薬を爆轟させ、前記弾頭を爆破するための第1爆薬と、前記推進部の外側となる位置に設けられて、前記推進部の推進剤を爆燃させつつ当該推進部を燃焼処理するための第2爆薬を含む複数の爆発体と、前記第1爆薬を起爆するための起爆装置とを備え、前記複数の爆発体は、各爆発体の前端部が前記第1爆薬と接触し、かつ、前記推進剤の燃焼エネルギーの外部への発散を許容して当該推進剤が爆轟に至るのを抑制する位置に、互いに離間した状態で設けられていることを特徴とする爆破処理装置を提供する(請求項5)。
この装置によれば、前記起爆装置によって前記第1爆薬を起爆させてこの第1爆薬を爆轟させることで前記炸薬の爆轟波の外部への伝播を抑制しつつ前記弾頭を爆破し、前記第2爆薬の爆轟によって前記推進剤を着火することで、この推進剤を爆燃させて前記推進部を処理することができる。特に、前記第2爆薬を含む爆発体が互いに離間した位置に設けられているので、前記推進剤の燃焼エネルギーを外部に発散させることができ、この推進剤が爆轟に至ってしまうのを回避することができる。また、この装置によれば、前記爆発体が前記第1爆薬に接触するように配置されているので、第1爆薬の爆轟によりこの爆発体に含まれる第2爆薬を起爆することができ、爆破処理を効率よく早期に終了させることが可能となる。
以上のように、本発明によれば、簡単な構成で推進部を有する推進剤付き弾薬を容易にかつ安全に処理することが可能となる。
本発明に係る爆破処理方法により爆破処理される推進剤付き弾薬を示す概略断面図である。 本発明に係る爆破処理装置に図1に示す推進剤付き弾薬を搭載した状態を示す概略斜視図である。 図2の縦断面図である。 図2の弾頭における横断面図である。 図3のロケットモータ部分における横段面図である。 図2に示す爆破処理装置に用いられる爆発体および索状爆発体の断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る爆破処理方法の実施形態について説明する。図1は、本爆破処理方法により爆破処理する推進剤付き弾薬の一例であるロケット弾の概略断面図である。また、図2は本爆破処理方法にて使用する爆破処理装置に前記ロケット弾を設置した状態で示す概略斜視図であり、図3は図2の縦断面図であり、図4は図2の後述する弾頭部分の横断面図であり、図5は図2の後述するロケットモータ部分の横断面図である。
被処理物の一例である前記ロケット弾10は、図1に示すように、軸方向に延びるような形状を有しており、弾頭11とこの弾頭11の後端部に連設されるロケットモータ(推進部)12とからなる。
前記弾頭11は、弾殻13の内側に、信管10aと、炸薬筒15とを有している。前記炸薬筒15には、ピクリン酸やTNT等からなる炸薬14が収容されている。また、前記弾殻13と炸薬筒15との間には、有害物質である化学剤16が収容されている。一方、前記ロケットモータ12は、前記弾頭11に推力を与えるためのものであり、ケース17の内側に推進剤18を有している。この推進剤18は、例えば無煙火薬からなり、当該無煙火薬の燃焼およびノズル19からの圧縮ガスの噴出によって前記弾頭11に推力を与える。
このロケット弾10は、前記推進剤18の燃焼により推力を得て所定の対象物に向けて飛行を開始し、前記弾頭11に設けられた信管10aが所定の条件で作動することで前記炸薬14を爆轟させて、この炸薬14の爆轟エネルギーの外部への発散に伴って前記弾殻13の破片および前記化学剤16を周囲に飛散させる。
本爆破処理方法は、前記のようなロケット弾10に含まれる前記炸薬14や化学剤16を爆破処理して無害化するための方法である。この爆破処理方法では、図2に示すように、第1爆薬70と、爆発体80と、容器40と、電気雷管(起爆装置)50とを有する爆破処理装置1を用いて、図示しない爆破チャンバ内にて爆破処理を行う。
ここで、前記第1爆薬70は、前記弾頭11を爆破するための爆薬であり、内側爆薬20と索状爆発体30とからなる。前記内側爆薬20は、その爆轟により弾頭11を爆破するための爆薬であり、前記索状爆発体30は、この内側爆薬20を起爆するための外側爆薬34を含むものである。また、前記爆発体80は、爆轟することで前記ロケットモータ12内の前記推進剤18を着火するための第2爆薬84を含むものである。また、前記容器40は、ロケット弾10の弾頭11および前記第1爆薬70を収容するためのものである。また、前記電気雷管50は、前記第1爆薬70を起爆するためのものである。
前記爆破処理方法は、次の各工程を含む。
1)第2爆薬配置工程
この工程は、前記爆発体80を前記ロケットモータ12の外側となる位置に、この爆発体80に含まれる第2爆薬84の爆轟により前記推進剤18を着火しつつ、この推進剤18の燃焼エネルギーが外部に発散できるように、互いに離間した状態で配置する工程である。
前記爆発体80に含まれる第2爆薬84によって、前記ロケットモータ12の推進剤18を着火してこの推進剤18全てを燃焼させるためには、より多くの爆発体80を前記ロケットモータ12の周囲に配置するのがよい。しかしながら、ロケットモータ12の周囲に配置する爆発体80の量を増やしていくと、爆発体80に含まれる第2爆薬84の爆轟波がロケットモータ12の周囲を覆い、このロケットモータ12の周囲に所定値以上の高圧場を発生させてしまうおそれがある。そして、このようにロケットモータ部12の周囲が高圧場で覆われてしまうと、着火された前記推進剤18の燃焼エネルギーが外部に発散されず、推進剤18が爆轟に至ってしまう可能性が高い。推進剤18が爆轟してしまうと過剰な衝撃が生じ、この衝撃が爆破チャンバを損傷してしまう可能性がある。すなわち、爆破チャンバを早期に交換する必要が生じる可能性がある。従って、爆破処理を安全に行うためには、推進剤18を爆轟に至らせずに爆燃させる必要がある。そして、この推進剤18の爆轟を回避するためには、前記第2爆薬84の爆轟波の重ね合わせを抑制して推進剤18の周囲に所定値以上の超高圧場が発生するのを回避せねばならず、第2爆薬84を含む爆発体80同士を十分に離間させた状態で配置する必要がある。
ここで、推進剤18が爆轟に至る時の周囲圧力の値は、推進剤18の種類や量、ロケットモータ12の大きさ等により変化する。また、前記推進剤18を全て爆発するための爆発体80の量も、ロケットモータ12の大きさ等によって変化する。従って、爆破処理するロケット弾の種類、第2爆薬84の種類に応じて、爆発体80の量および配置方法を適宜設定するのがよい。
本実施形態では、前記爆発体80として、一方向に延びる形状を有し、その内側に前記ロケットモータ12の推進剤18を着火するための第2爆薬84を有するものを用いる。より具体的には、心薬をPETNとし、これに被覆を施したひも状の導爆線を用いる。すなわち、この爆発体80は、図6に示すように、一方向に延びるプラスティック等からなる外筒82と、この外筒82の内側に収容されたPETNからなる第2爆薬84とを有している。
まず、予め準備しておいた長尺な前記ひも状の導爆線を前記ロケットモータ12の大きさおよび形状に合わせて切断し、4本の爆発体80を形成する。次に、これら4本の爆発体80を、前記ロケットモータ12の外側面上に、このロケットモータ12の中心軸と平行になるようにすなわち前後方向に延びるように、かつ、周方向に、前記第2爆薬84の爆轟波の重ね合わせが抑制されるような十分な距離を空けて、互いに等間隔で離間するように配索する。
このように配置すれば、後の爆破工程において前記第2爆薬84の爆轟により推進剤18をその外周面上で均等に着火することができる。そして、この第2爆薬84の爆轟が前記ロケットモータ12の中心軸と平行に伝播することで、この中心軸に沿って推進剤18を着火していくことができ、これによって推進剤18全体を着火することができる。
ここで、本工程では、各爆発体80を、その前端部が前記容器40内に挿入されるように配索する。
2)第1爆薬配置工程
この工程は、前記第1爆薬70を前記弾頭11の外側となる位置に配置する工程である。この第1爆薬70は、前記のように内側爆薬20と索状爆発体30とからなり、この工程では、まず、前記索状爆発体30を弾頭11の外側となる位置に配置した後、前記内側爆薬20をこの索状爆発体30と弾頭11との間に配置する。
ここで、本実施形態では、前記索状爆発体30として、前記爆発体80と同じ構成のものを用いている。すなわち、索状爆発体30は外筒32とこの外筒32の内側に前記第2爆薬84と同成分(心薬がPETN)の外側爆薬34を有するものであり、前記ひも状の導爆線を切断することで索状爆発体30を形成する。具体的には、前記弾頭11の大きさおよび形状に合わせて前記導爆線を切断し、同じ長さを有する8本の索状爆発体30を形成する。
そして、この8本の索状爆発体30を前記容器40内であって前記弾頭11の外側を囲む位置に、この弾頭11の中心軸と平行になるように、かつ、周方向に互いに等間隔となるように配索する。
その後、前記のようにして索状爆発体30が配索された容器40に、前記ロケット弾10を、互いに同軸となるように挿入する。
次に、前記弾頭11と前記容器40の内側面との間に前記内側爆薬20を流し込み、この内側爆薬20を弾頭11の周囲に配置する。このとき、この内側爆薬20を、その後端部分が前記ロケットモータ12の周囲に配索された前記爆発体80の前端部分と接触するように配置する。
ここで、前記内側爆薬20は、前記のように、爆轟して前記弾頭11を爆破するための爆薬である。この内側爆薬20は、前記外側爆薬34よりも爆速の小さいものであればどのような爆薬でもよいが、粉体や流動体のように流動性を有するもの、例えば、エマルジョン爆薬やスラリー爆薬およびANFO爆薬を用いるのがよい。ここで、エマルジョン爆薬やスラリー爆薬の爆速は5km/s程度であり、ANFO爆薬の爆速は3km/s程度である。一方、前記外側爆薬34を構成するPETNの爆速は約6〜7km/s程度であるので、前記外側爆薬34の爆速の方が、この内側爆薬20の爆速に比べて十分に大きな爆速となる。
3)爆破工程
この工程は、前記第1爆薬70の爆轟により前記炸薬14を爆轟させつつ弾頭11を爆破するとともに(弾頭爆破工程)、前記第2爆薬84の爆轟により前記推進剤18を爆燃させつつロケットモータ12を燃焼処理する工程(推進部処理工程)工程である。
この工程では、まず、前記各索状爆発体30に共通の電気雷管50を接続する。具体的には、前記8本の索状爆発体30の各前端部を前記容器40の中心軸上で一まとめにし、この索状爆発体30の束に電気雷管50を接続する。このとき、前記索状爆発体30の電気雷管50との接続点すなわち各外側爆薬34の起爆点から前記内側爆薬20の外周面までの距離が等しくなるように、前記電気雷管50を接続する。
次に、前記電気雷管50を発破母線60を介して図示しない発破器に接続する。
その後、この発破器を操作して、電気雷管50により前記複数本の索状爆発体30に含まれる外側爆薬34を全て同時に起爆させる。
起爆された外側爆薬34は爆轟を開始する。各外側爆薬34の爆轟は径方向外側に伝播した後、前記内側爆薬20を起爆しつつこの内側爆薬20の外周面を容器40の軸方向に沿って伝播していく。前記起爆された内側爆薬20は爆轟を開始し、前記弾頭11の炸薬14を起爆しつつ前記弾頭11の周囲に超高温高圧場を発生させていく。前記起爆された炸薬14は爆轟を開始する。このとき、前記内側爆薬20および前記炸薬14の爆轟により前記弾殻13は破壊され、この弾殻13の破片は外側に飛散しようとするが、前記内側爆薬20の爆轟により発生した高圧場に阻まれる結果、外部への飛散が抑制されることになる。
そして、弾頭11内の化学剤16は、前記内側爆薬20および前記炸薬14の爆轟により発生した超高温高圧場に晒されることで分解し無害化される。このようにして、弾頭11は前記内側爆薬20の爆轟によって破壊される。
一方、前記軸方向に沿って伝播した内側爆薬20の爆轟波は、前記ロケットモータ12の前端部において、前記爆発体80に伝播し、この爆発体80に含まれる第2爆薬84を起爆させる。
起爆した第2爆薬84は爆轟を開始する。この爆轟は、前記推進剤18を着火しつつ、後端に向けて伝播していく。着火された推進剤18は、燃焼エネルギーを発生させつつ爆燃を開始する。ここで、前記第2爆薬84は、前記のように、推進剤18の燃焼エネルギーが外部に発散できるように互いに離間した状態で配置されており、推進剤18の周囲にこの推進剤18の燃焼エネルギーを閉じ込めるだけの高圧場を形成しない。従って、推進剤18は爆轟に至ることなく爆燃していくことになる。このようにして、ロケットモータ12内の推進剤18が爆燃することで、ロケットモータ12は燃焼処理される。
以上のように、本爆破処理方法を用いれば、前記内側爆薬20の爆轟により弾頭11の周囲に高圧場を発生させ、この高圧場によって前記炸薬14の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制することで、化学剤16を分解するとともに弾殻13の破片が外部に飛散するのを抑制しつつ弾頭11を安全に爆破処理することができる。そして、前記ロケットモータ12については、前記爆発体80を前記推進剤18の燃焼エネルギーの外部への発散を許容するように互いに離間した位置に配置することで、この推進剤18を爆轟に至らせずに爆燃させ、過剰な衝撃を抑制した状態で処理することができる。また、この方法によれば、ロケットモータ12には、前記爆発体80を互いに離間した状態で配置すればよいだけであり、従来のように前記推進部の周囲を爆薬で覆う場合に比べて推進部の周囲に配置する爆薬の量を削減することができるので、コスト面でも有利となる。
また、前記のように、第1爆薬70を内側爆薬20と索状爆発体30とで構成し、弾頭11の周囲に内側爆薬20を配置し、さらにその外側に索状爆発体30を配置するとともに、この索状爆発体30に含まれる外側爆薬34を起爆してその爆轟により内側爆薬20を起爆させれば、前記内側爆薬20の爆轟ベクトルを内向きにすることができるので、前記炸薬14の爆轟エネルギーの外部への発散をより効果的に抑制することができる。そして、内側爆薬20の爆轟波を弾頭11に効率よく衝突させることができるので、弾頭11をより確実に爆破することが可能となる。
また、前記のように、前記爆発体80の前端部を前記内側爆薬20に接触させておき、この内側爆薬20の前端部を起爆させてこの内側爆薬20の爆轟を後方に向けて伝播させることで前記爆発体80の第2爆薬84を起爆させれば、第2爆薬84を別途起爆する必要がなくなり、爆破処理を効率よく行うことができる。また、前記内側爆薬20の爆轟の後に前記推進剤18が燃焼開始することになるので、この推進剤18の爆燃により発生した推力が前記弾頭11に与える影響を小さくすることができる。すなわち、前記弾頭11が推進して爆破チャンバに衝突してしまうという事態を回避することができ、爆破処理を安全に行うことが可能となる。
また、前記のように、爆発体80として第2爆薬84を含み一方向に延びる形状を有するものを用いれば、前記ロケットモータ12の周囲に第2爆薬84を容易に配置することが可能となる。
ここで、前記爆発体80の形状および配置方法は前記に限られず、推進剤18を着火しつつこの推進剤18の爆轟を回避できるようなものであればよく、前記索状爆発体30とは異なるものを用いてもよい。例えば、シート状に形成された複数の爆発体80をロケットモータ12の外側に所定の間隔をおいて配置してもよい。また、前記爆発体80と前記索状爆発体30とを一本の導爆線等で構成するようにしてもよい。すなわち、複数の導爆線を前記弾頭11とロケットモータ12とにわたって配索するようにしてもよい。
また、前記索状爆発体30は内側爆薬20より爆速の大きいものであればよく、前記に限られない。例えば、シート状のものを用い、前記内側爆薬20の全周を覆うようにしてもよい。前記内側爆薬20の種類も前記に限られない。但し、エマルジョン爆薬は比較的安価であるため、このエマルジョン爆薬を用いれば爆破処理全体のコストを低減することが可能となる。
また、各工程の順番は前記に限られない。例えば、前記ロケット弾10を容器40に収容した後前記第1爆薬配置工程と第2爆薬配置工程とを実施してもよい。また、前記弾頭爆破工程と推進部処理工程とを同時に開始させてもよい。この場合には、ロケットモータ12に配索された爆発体80を直接起爆装置に接続してこの爆発体80を別途起爆させてもよい。
また、前記容器40は省略してもよい。この場合には、例えば、前記内側爆薬20を袋体に詰め込み、この袋体を弾頭11の周囲に固定すればよい。
また、前記爆破処理方法で処理対象となる推進剤付き弾薬は、前記のような化学剤入りのロケット弾10に限らない。すなわち、化学剤を有しないロケット弾や、ミサイルの爆破処理にも適用することができる。また、弾頭と推進部とが別体で形成されているもの、例えば、砲弾と、当該砲弾を発射させるための推進剤が含まれた薬莢とが固着したもの等にも適用することができる。また、前記ロケット弾10が保護ケースに収容されたものにも適用することができる。
1 爆破処理装置
10 ロケット弾(推進剤付き弾薬)
11 弾頭
12 ロケットモータ(推進部)
13 弾殻
14 炸薬
15 炸薬筒
16 化学剤
18 推進剤
20 内側爆薬
30 索状爆発体
34 外側爆薬
40 容器
50 電気雷管(起爆装置)
70 第1爆薬
80 爆発体
84 第2爆薬

Claims (5)

  1. 炸薬を有する弾頭と、当該弾頭の後端部に設けられてこの弾頭に推力を与えるための推進剤を有する推進部とを備えた推進剤付き弾薬を爆破処理するための方法であって、
    前記弾頭を爆破するための第1爆薬を、当該弾頭の外側となる位置に配置する第1爆薬配置工程と、
    前記推進剤を起爆するための第2爆薬を含む複数の爆発体を、前記推進部の外側となる位置に配置する第2爆薬配置工程と、
    前記第1爆薬を起爆させて当該第1爆薬を爆轟させ、当該第1爆薬の爆轟により前記炸薬を爆轟させつつ前記弾頭を爆破する弾頭爆破工程と、
    前記第2爆薬を起爆させて当該第2爆薬を爆轟させ、当該第2爆薬の爆轟により前記推進部の推進剤を爆燃させつつ前記推進部を燃焼処理する推進部処理工程とを含み、
    前記第1爆薬配置工程は、前記第1爆薬の爆轟により前記弾頭の周囲に高圧場を発生させ、当該高圧場によって前記炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制するように、前記第1爆薬を前記弾頭の周囲を覆う位置に配置するものであり、
    前記第2爆薬配置工程は、前記推進剤の燃焼エネルギーの外部への発散を許容することで当該推進剤が爆轟に至るのを抑制するように、前記複数の爆発体を互いに離間した位置に配置するものであることを特徴とする爆破処理方法。
  2. 請求項1に記載の爆破処理方法であって、
    前記第1爆薬は、前記弾頭を爆破するための内側爆薬と当該内側爆薬よりも爆速の大きい外側爆薬とからなり、
    前記第1爆薬配置工程は、前記内側爆薬を前記弾頭の周囲を覆う位置に配置する工程と、前記外側爆薬を前記内側爆薬の外側となる位置に配置する工程とを含み、
    前記弾頭爆破工程は、前記外側爆薬を起爆させて当該外側爆薬の爆轟により前記内側爆薬を起爆させることでこの内側爆薬の爆轟波を内向きとし、この内向きの爆轟波によって前記炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制しつつ前記弾頭を爆破する工程を含むことを特徴とする爆破処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の爆破処理方法であって、
    前記第2爆薬配置工程は、前記複数の爆発体を、各爆発体の前端部が前記第1爆薬に接触する位置に配置する工程を含み、
    前記弾頭爆破工程は、前記第1爆薬の前端部を起爆させて当該第1爆薬の爆轟を後方に向けて伝播させる工程を含み、
    前記推進部処理工程は、前記第1爆薬の爆轟により前記各爆発体に含まれる第2爆薬を起爆させる工程を含むことを特徴とする爆破処理方法。
  4. 請求項3に記載の爆破処理方法であって、
    前記爆発体は、一方向に延びる形状を有しており、
    前記第2爆薬配置工程は、前記複数の爆発体を、前記推進部の周方向に互いに離間した状態で前後方向に延びるように配置する工程を含むことを特徴とする爆破処理方法。
  5. 請求項3または4に記載の爆破処理方法を用いて爆破処理を行う爆破処理装置であって、
    前記弾頭の周囲を覆う位置に設けられて、前記弾頭の周囲に高圧場を発生させて当該高圧場によって前記弾頭の炸薬の爆轟エネルギーの外部への発散を抑制しつつ当該炸薬を爆轟させ、前記弾頭を爆破するための第1爆薬と、
    前記推進部の外側となる位置に設けられて、前記推進部の推進剤を爆燃させつつ当該推進部を燃焼処理するための第2爆薬を含む複数の爆発体と、
    前記第1爆薬を起爆するための起爆装置とを備え、
    前記複数の爆発体は、各爆発体の前端部が前記第1爆薬と接触し、かつ、前記推進剤の燃焼エネルギーの外部への発散を許容して当該推進剤が爆轟に至るのを抑制する位置に、互いに離間した状態で設けられていることを特徴とする爆破処理装置。
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