JP2010234723A - 平版印刷版用支持体および平版印刷版材料 - Google Patents

平版印刷版用支持体および平版印刷版材料 Download PDF

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Abstract

【課題】インキ着肉性に優れた平版印刷版用支持体を提供する。また、レーザー描画に適性を有し、プロセスレスあるいはケミカルフリーな現像が可能でありインキ着肉性に優れた平版印刷版材料を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム基体上に、カルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性ポリマーを含有する親水性層を有し、該親水性層の水抽出物中の水溶性ポリマー溶解率が5.4質量%以下である平版印刷版用支持体およびこれを用いた平版印刷版材料。
【選択図】なし

Description

本発明はプラスチックフィルム基体を用いて、これに更に親水性層を設け、この親水性層を印刷版の非画像部として利用する平版印刷版用支持体に関する。またこうした平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版材料に関する。
平版印刷版用支持体としては、PS版等のように粗面化処理され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板が広く用いられているが、他方で紙やフィルムを支持体とする平版印刷版材料が広く用いられている。こうした平版印刷版材料の一例として、銀塩拡散転写現像(DTR現像)を利用した平版印刷版材料がある。この平版印刷版材料は、露光されたハロゲン化銀結晶がDTR現像により化学現像され黒色の銀を形成し親水性の非画像部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面の物理現像核に拡散し、物理現像を生起してインク受容性の物理現像銀を主体とする画像部を形成する。こうしたプラスチックフィルムのようにフレキシブルな基体を用いた平版印刷版材料は、アルミニウム支持体の場合と比較して、安価でかつ取り扱いが容易であり、特にCTP(コンピュータートゥープレート)方式を利用した製版システムにおいては、ロール状の平版印刷版材料として極めてコンパクトに露光装置内に収納できるため好んで使用されている。
しかしながら、上記のようなフレキシブルな基体を用いる平版印刷版材料は、PS版等のアルミニウム支持体の場合と比較してインキ着肉性に劣る問題があり、改良が望まれているのが現状である。
アルミニウム支持体を利用せず、プラスチックフィルム基体表面に親水性層を設ける例としては、例えば、特公昭49−2286号公報に記載のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート系ポリマーによる親水性樹脂層、特公昭56−2938号公報に記載の尿素樹脂と顔料から構成される親水性層、特開昭48−83902号公報に記載のアクリルアミド系ポリマーをアルデヒド類で硬化させて得られる親水性層、特開昭62−280766号公報に記載の水溶性メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、水不溶性無機粉体を含有する組成物を硬化させて得られる親水性層、特開平8−184967号公報に記載の側鎖にアミジノ基を有する繰り返し単位を含む水溶性ポリマーを硬化して得られる親水性層、特開平8−272087号公報に記載の親水性(共)重合体を含有し、加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートで硬化された親水性層、特開平10−296895号公報に記載のオニウム基を有する親水性層、特開平11−311861号公報に記載のルイス塩基部分を有する架橋親水性ポリマーを多価金属イオンとの相互作用によって三次元架橋させて得られる親水性層、特開2000−122269号公報に記載の親水性樹脂および水分散性フィラーを含有する親水性層等が挙げられる。
更に特開2000−158839号公報(特許文献1)には、ポリアクリル酸等のカルボキシル基を有する水溶性ポリマーを含む親水性層をフィルム支持体上に形成し、インキ脱離性の良好な結果を示している。また特開2008−238506号公報(特許文献2)には、水溶性でんぷん又は水溶性セルロース誘導体にアクリルアミドおよび/又はスチレンスルホン酸塩がグラフト重合した水溶性ポリマーを含む親水性層を有する平版印刷版用支持体が開示される。しかしながら、これら従来から知られる親水性層を用いた平版印刷版材料は、親水性層中のポリマー成分が印刷中に徐々に溶解され、画像部に影響を及ぼすため、多数枚印刷に伴いインキ着肉性が低下するという問題があった。
先に述べたようにプラスチックフィルムのようなフレキシブルな支持体を有する印刷版が要望されているが、銀塩拡散転写方式(DTR法)を利用した平版印刷版は高アルカリ溶液を現像液として用いていることから、現像処理が煩雑で、処理液の液性管理が厄介であり、安定した品質を維持することに問題があった。こうした背景から、現像処理を必要としないプロセスレス印刷版や、あるいは現像液が実質的にアルカリ剤を含有しないケミカルフリーの現像処理が可能な印刷版が切望されており、特にフレキシブルでプロセスレスあるいはケミカルフリーの印刷版に対する期待が大である。
現在までのところ、プロセスレス印刷版としては、インクジェット方式あるいは感熱転写方式を利用するもの、およびレーザー光を利用する方式として、アブレーション方式を利用するもの、熱融着タイプのもの、およびマイクロカプセル型のものが挙げられる。インクジェット方式あるいは熱転写方式を利用する例としては、先の特許文献1に記載される系が挙げられる。これらは、下記に述べるレーザー光を利用する方式に比べて画質的に劣る問題があるものの、最も簡便に平版印刷版が作製できるため好ましい方式である。一方、レーザー光を利用する方式として、アブレーション方式に関しては、例えば、特開平8−507727号公報、特開平6−186750号公報、特開平6−199064号公報、特開平7−314934号公報、特開平10−58636号公報、特開平10−244773号公報等に記載されているものが挙げられる。熱融着タイプは、例えば、特許2938397号公報、特開2001−88458号公報、特開2001−39047号公報、特開2004−50616号公報および特開2004−237592号公報等に記載される熱により熱融着性微粒子を融着させる方式を利用するものが挙げられる。マイクロカプセル型に関しては、特開2002−29162号公報、特開2002−46361号公報、特開2002−137562号公報、特開2004−66482号公報等に見られるような、マイクロカプセルあるいは微粒子に光重合性機能を付与した素材を使用し、光重合により、これらを硬化させるタイプのものである。しかしながらこれら各種方式を利用した平版印刷版であっても、プラスチックフィルムのようなフレキシブルな支持体を利用した場合、インキ着肉性が十分でないという共通した問題があった。
特開2003−215801号公報(特許文献3)、特開2008−230205号公報(特許文献4)、特開2008−238505号公報(特許文献5)、特開2008−250198号公報(特許文献6)には、ケミカルフリーな現像が可能な光重合系の平版印刷版材料として、側鎖にフェニル基を介してビニル基が結合したカチオン性もしくはアニオン性の重合性水溶性ポリマーを用いた感光層を有する平版印刷版材料が開示されている。しかしこのようなケミカルフリーな現像を可能にする上記水溶性ポリマーは、従来から知られるアルカリ現像タイプの平版印刷版で使用するアルカリ可溶性ポリマーと比べてより親水性が高い。このためこのようなケミカルフリーな現像が可能な平版印刷版材料の支持体として、プラスチックフィルム基体上に親水性層を有する支持体を利用した場合、多数枚印刷に伴いインキ着肉性が低下するという問題がとりわけ顕著に現れ改善が求められていた。
特開2000−158839号公報 特開2008−238506号公報 特開2003−215801号公報 特開2008−230205号公報 特開2008−238505号公報 特開2008−250198号公報
本発明の目的は、印刷時におけるインキ着肉性に優れた平版印刷版用支持体を提供することにある。また、レーザー描画に適性を有し、プロセスレスあるいはケミカルフリーな現像が可能であり、インキ着肉性に優れた平版印刷版材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
(1)プラスチックフィルム基体上に、カルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性ポリマーを含有する親水性層を有し、該親水性層の水抽出物における水溶性ポリマー溶解率が5.4質量%以下であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
(2)上記(1)に記載の平版印刷版用支持体が有する親水性層上に、側鎖にビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基を有する共重合ポリマー、光重合開始剤および増感色素を含有する感光層を有する平版印刷版材料。
本発明により、インキ着肉性に優れた平版印刷版用支持体を提供することができる。また、レーザー描画に適性を有し、プロセスレスあるいはケミカルフリーな現像が可能で、インキ着肉性に優れた平版印刷版材料を提供することができる。
本発明の平版印刷版用支持体が有するプラスチックフィルム基体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース等が代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。
本発明の平版印刷版用支持体が有する親水性層が含有する、カルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水酸基を有する水溶性ポリマーや、ポリアクリル酸、ポリスチレン−マレイン酸共重合体、ポリ酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシ基を有する水溶性ポリマー、およびポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のアミノ基を有する水溶性ポリマー等を挙げることができる。
また該親水性層が含有する上記水溶性ポリマーとしては、水溶性でんぷんにアクリルアミドおよび/又はスチレンスルホン酸塩を含むモノマーがグラフト重合した水溶性ポリマーが好ましく用いられる。
水溶性でんぷんにアクリルアミドおよび/又はスチレンスルホン酸塩を含むモノマーがグラフト重合した水溶性ポリマーとは、水溶性でんぷんの存在下に、アクリルアミドおよび/又はスチレンスルホン酸塩を含むモノマーのグラフト重合を行うことで得られるポリマーを意味する。スチレンスルホン酸塩とはスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩および有機アミンによる塩を含む。天然物として得られるでんぷんは通常冷水に溶解せず、熱水溶解した後に糊化するため塗工用途には用いることは困難である。でんぷんを原料にして製造される水溶性でんぷんとは、酵素処理により低分子量化した酵素変性デキストリンや、アルファー化でんぷん、カルボキシメチル化でんぷん、ヒドロキシアルキル化でんぷん等のエーテル化でんぷん、および酢酸エステル化でんぷん、リン酸エステル化でんぷん等のエステル化でんぷん等が挙げられる。また、水溶性セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。これらの素材は、種々の粘度および変性化の度合いの異なるグレードのものが市販されており、特に変性でんぷんに関しては、日澱化学(株)等から入手可能である。
上記の種々のでんぷんに関して好ましい例が存在し、特に酵素処理により低分子量化した酵素変性デキストリンが好ましく用いることができる。
上記のグラフト重合を行うには、公知の種々のラジカル重合開始剤を使用した通常のラジカル重合の条件で容易に行うことができる。好ましい重合温度としては0℃から120℃の範囲であり、更に好ましい範囲は50℃から100℃である。この温度範囲で使用する好ましい重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル、アゾビス(4−シアノ吉草酸)、アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、アゾビス(ジメチルホルムアミド)等が好ましく使用できる。
アクリルアミドあるいはスチレンスルホン酸塩はそれぞれ単独で上記のようなグラフト重合を行っても良いが、更に他の親水性モノマーを共重合して得られるグラフトポリマーを用いることも好ましく行われる。水溶性でんぷんに対してグラフト重合を行うことで、水溶性でんぷんに結合する部分の水溶性ポリマーとして、極めて好ましい組成が存在し、最も好ましい該水溶性ポリマーの組成として、下記一般式(1)で示されるポリマーが挙げられる。
Figure 2010234723
上式において、Xは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる基を有する繰り返し単位である。繰り返し単位Bはアクリルアミドおよび/又はスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位であり、特にスチレンスルホン酸塩が好ましい。
上記一般式(1)で示す繰り返し単位Aに対応するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシ基含有モノマーおよびこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の含窒素複素環含有モノマー等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
上記一般式(1)において、繰り返し単位Aの共重合体中に於ける割合であるXは1から40であり、この範囲より少なければ硬膜反応が進行しても充分な膜強度が得られない場合があり、この範囲より多ければ、下記の水溶性を付与するための繰り返し単位Bの導入による効果が薄れ、親水性層の水に対する親和性が低下する場合がある。本発明における好ましい水溶性ポリマーの例を下記に示す。
Figure 2010234723
Figure 2010234723
上記水溶性ポリマーは、親水性層の水抽出物における水溶性ポリマー溶解率を5.4質量%以下とするために後述する硬膜剤と併用することが好ましく、かかる水溶性ポリマーは硬膜剤との間で効率的に硬膜反応が進行するための反応性基として、カルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。これらの反応性基を分子内に有する水溶性ポリマーを得るには、反応性基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込むことが好ましく行われる。また親水性層の水抽出物における水溶性ポリマー溶解率は更に0〜2質量%の間に調整することが好ましい。水溶性ポリマー溶解率を低くすることで、印刷中におけるポリマー溶解を制御でき、多数枚印刷時でも溶解成分が画像部に影響を及ぼすことなくインキ着肉性が向上するものと推測される。
なお本発明における水溶性ポリマー溶解率は、プラスチックフィルム基材上に親水性層が塗布された支持体を細かく裁断し、この片を合計100cm準備し、これを25℃、10mlの純水中に投入し、HONDA ELECTRONICS社製超音波分散機WT−200−Mにて10分間処理し、この液を採取し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC(島津製作所(株)製))を用いて液中に溶解した水溶性ポリマー量を定量し、水溶性ポリマー溶解率(親水性層に予め含まれる水溶性ポリマーに対する溶解した水溶性ポリマーの比率)を算出することで求められる。
これら水溶性ポリマーの平均分子量は10000〜600000が好ましく、更に、200000〜500000がより好ましい。これより分子量が低い場合、親水性層が水と接触すると溶解したり剥がれたりする場合がある。またこの範囲を超えると塗液の粘度が高くなり、均一な塗布が不可能になる場合がある。
上記したカルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性ポリマーと併用される架橋剤の好ましい例としては、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物およびその誘導体、アルデヒド化合物およびメチロール化合物等が挙げられる。中でもメチロール化合物が特に好ましい。
エポキシ化合物としては分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で、水溶性であるものが好ましく使用される。好ましいエポキシ化合物の具体例を下記に示す。
Figure 2010234723
上記のようなエポキシ化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に硬膜反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシ基やアミノ基が特に好ましい。
アジリジン化合物として好ましい化合物の具体例を下記に示す。こうしたアジリジン化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に硬膜反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシ基が特に好ましい。
Figure 2010234723
オキサゾリン化合物としては、置換基として下記一般式2で示す基を分子内に2個以上含む化合物が好ましく、市販される各種化合物として例えば(株)日本触媒からエポクロスの商品名で提供される各種グレードの化合物が好ましく使用される。こうしたオキサゾリン化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に硬膜反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシ基が特に好ましい。
Figure 2010234723
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号明細書)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号明細書)、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平10−60073号公報等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。こうしたイソシアネート化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に硬膜反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては水酸基やアミノ基が特に好ましい。
アルデヒド化合物およびメチロール化合物の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、および下記に示すような種々のN−メチロール化合物を例示することができる。こうした化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に硬膜反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシ基や水酸基やアミノ基が好ましい。
Figure 2010234723
上記のような種々の硬膜剤と該水溶性ポリマーとの比率に関しては好ましい範囲が存在する。該水溶性ポリマー100質量部に対して硬膜剤は1〜40質量部の範囲で用いることが好ましく、1質量部未満では十分なインキ着肉性が得られない場合がある。逆に40質量部を超えて用いた場合には、地汚れが発生する場合がある。
本発明における親水性層は、更にコロイダルシリカを含有することが好ましい。ここで言うコロイダルシリカとは、光散乱方式粒度分布計で計測される平均粒子径が5〜200nmである球状、針状、不定形あるいは、球状粒子が連なってできるネックレス状等の種々の形状、粒子径のシリカ粒子であり、水中に安定的に分散したシリカゾルが好ましく用いられる。こうした素材は、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスの商品名で各種のコロイダルシリカが提供されており、球状のシリカゾルとしてスノーテックスXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスXS(粒子径8〜11nm)、スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックスXL(粒子径40〜60nm)、スノーテックスYL(粒子径50〜80nm)、スノーテックスZL(粒子径70〜100nm)、スノーテックスMP−2040(粒子径200nm)および表面のナトリウム塩を除去した酸性タイプのシリカゾルとしてスノーテックスOXS、OS等が好ましく使用できる。針状あるいは不定形のシリカゾルとして、例えばスノーテックスUP、OUPや触媒化成工業(株)から出されているファインカタロイドF−120等が挙げられる。ネックレス状のシリカゾルとして、スノーテックスPS−S(粒子径80〜120nm)、PS−M(粒子径80〜150nm)およびこれらの酸性タイプであるPS−SOおよびPS−MO等が挙げられる。
親水性層におけるコロイダルシリカの割合については好ましい範囲が存在する。前記したカルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性ポリマーとコロイダルシリカの比率は、該水溶性ポリマー100質量部に対して500質量部以下であることが好ましい。これ以上の比率でコロイダルシリカを添加して親水性層を形成した場合には、インキ着肉不良が生じる場合があり、本発明による効果が消失する場合がある。
親水性層には上記のコロイダルシリカ以外に他の無機微粒子を添加することも好ましく行われる。μmサイズの多孔質シリカ微粒子として例えば、富士シリシア化学(株)から得られる各種グレードのサイリシアの添加により親水性の向上や親水性層のブロッキング防止等の好ましい効果が得られる。あるいは、ゼオライトとして知られる結晶性アルミノケイ酸塩、層状粘土鉱物微粒子としてスメクタイト(モンモリロナイト等)やタルク等を添加することによっても同様な好ましい効果が得られる。これらの多孔質シリカ微粒子やゼオライトあるいは層状粘土鉱物微粒子を添加して用いる場合には、コロイダルシリカとの好ましい比率が存在し、コロイダルシリカ100質量部に対し1から50質量部である。これ以下の添加量では効果が認めがたく、また50質量部を越えて添加した場合には、塗膜の平滑性が損なわれて画質が低下する場合がある。
親水性層の乾燥塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、乾燥質量で1平方メートルあたり0.5gから5gの範囲で形成することが好ましく、最も好ましい範囲は1平方メートルあたり0.5gから3gの範囲である。
本発明の平版印刷版用支持体が有する親水性層は、プラスチックフィルム基体上に公知の種々の塗布方式を用いて塗布、乾燥し得られる。塗布方式としては、例えばロールコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、ホッパーコーティング、ブレードコーティング、ワイヤドクターコーティング等が挙げられる。この親水性層の塗布液は水を主溶媒とするのが好ましく、前述の水溶性ポリマー、無機微粒子および硬膜剤の他に界面活性剤、有機溶剤(例えばエタノール、アセトン、テトラヒドロフラン等)等を含有することができる。乾燥工程は一般的等ライヤー設備を用いることができ、乾燥温度に制限はないが30〜150℃の範囲内が好ましい。
本発明の平版印刷版用支持体上には以下のような公知の方法により画像を形成することができるが、本発明はこれらの方法に限るものではない。
公知のインクジェット法により画像状にインキ受容素材を親水性層上に付着させてインク受容性画像層を形成する。該インキ受容素材は耐水性を有する素材であって、ホットメルトや画像形成後に熱又は光で硬化する熱硬化性物質又は光硬化性物質でもよい。
熱硬化性物質の例としては、ハロゲン化ビスフェノール、レゾルシン、ビスフェノールF、テトラヒドロキシフェニルエタン、ノボラック、ポリヒドロキシ化合物、ポリグリコール、グリセリントリエーテル、ポリオレフィン、エポキシ化大豆油、ビニルシクロヘキセンジオキシド、エポキシ化大豆油と有機酸又はその無水物(例、フタル酸、マレイン酸、セバシン酸又はその無水物)、あるいは有機過酸化物(例、過酸化ベンゾイル又は過酸化フタロイド)との組み合わせ、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート又はジアリルクロレンテート、あるいはこれらと有機化酸化物(例、過酸化ベンゾイル又は過酸化フタロイド)との組み合わせ、N−メチル−N′−メチロールウロンエチルエーテル、N−メチル−N′−メチロールウロンメチルエーテル、N−エチル−N′−メチロールウロンメチルエーテル、テトラメチロールウレア、N−メチル−N,N′,N′−トリメチロールウレア、N−エチル−N,N′,N′−トリメチロールウレア、N,N′−ジエチル−N,N′−ジメチロールウレア、モノおよびポリメチロールメラミン、p−メチロールフェノール、フェノール、o−メチロールフェノール、2,4−ジメチロールフェノールあるいは2,6−ジメチロールフェノールとホルムアルデヒドとの組み合わせ、アニリン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびフラン樹脂を挙げることができる。
光硬化性物質としては、不飽和ポリエステル(二塩基酸の例:無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸;多価アルコールの例:エチレングリコール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリントリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール);およびアクリレート又はメタクリレートモノマー又はオリゴマー(例:メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシドデシルメタクリレート、2−ヒドロキシドデシルアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートモノヤシ油脂肪酸エステル、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、および2,3−ジブロムプロピルアクリレート)を挙げることができる。上記光硬化性物質は、一般に光重合開始剤と共に使用される。光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アセトフェノン類、ジケトン類およびアシルオキシムエステル類等を挙げることができる。
感熱転写方式による親油性の画像層の形成は、例えば下記のように行うことができる。本発明の平版印刷版用支持体の親水性層表面に、基体上に感熱転写層を設けてなる感熱転写シートの感熱転写層を密着させる。次いで基体側からサーマルヘッドにより画像様に加熱し、該親水性層上に加熱部分に対応する感熱転写層を転写する。これにより、該親水性層表面の一部に感熱転写層からなる親油性層を形成する。勿論サーマルヘッドの代わりにレーザービームを使用することもできる。上記感熱転写シートの感熱転写層の材料としては、加熱により溶融して上記画像受容層に転写することができるものが使用される。感熱転写層は、加熱により溶融する樹脂および無機顔料からなり、必要により染料が添加される。樹脂例としては、パラフィンワックス、天然ロジン、高級脂肪酸エステル、ポリアミド、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル等を挙げることができ、無機顔料の例としてはシリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、チタンホワイト等を挙げることができる。
また、公知の光重合性の感光層を親水性層上に塗設し、露光後、未露光部分をケミカルフリーな現像液にて現像する、もしくは印刷機上で給湿液等により除去して画像層を形成することも好ましく行うことができる。こうした感光層に用いるポリマーとしては分子内に重合性二重結合を有するポリマーがあり、分子内に重合性二重結合を有する重合体として特に側鎖に重合性二重結合を有するポリマーを用いる系が好ましい。本発明に関わるケミカルフリーな現像液にて現像する、もしくは印刷機上で給湿液等により除去して画像層を形成することが可能な光硬化性感光層を与える系として、重合性二重結合を有するモノマーとしてビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーと、水溶性基含有モノマーとして構造中にスルホン酸基を有しているモノマー(例えば3−スルホプロピルメタクリレート、4−スルホスチレン、4−スルホ−n−ブチルメタクリルアミド、スルホ−tert−ブチルアクリルアミド等)を共重合成分として含む、側鎖にビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基を有する共重合ポリマーが挙げられ、該スルホン酸基は塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、トリエチルアンモニウム塩、リチウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等)を形成していても良い。このポリマーは構造中に有するスルホン酸基が水溶性を高めるため、現像液のpH値が4.0以上10.0未満の範囲内にある、アルカリ剤を実質的に含有しないケミカルフリーな現像液にて現像を行う方法(以下、単に水現像と称する場合もある)、又は露光後の露光済み版を印刷機に装着して印刷機上で現像を行う方法(以降、機上現像と称する場合もある)が可能となる。また、重合性二重結合として側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有することで、高感度化が可能となる。
上記共重合ポリマーが側鎖に有するビニル基が置換したフェニル基とは、ベンゼン環やナフタレン環等の芳香族環にビニル基が置換されており、該ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良く、また芳香族環にも置換基を有していてもよい。このような重合体は本発明の平版印刷版用支持体が有する親水性層と強固に結合するため、印刷時における物理的な応力による画像の剥離や溶出が極めて起こりにくく、このため向上されたインキ着肉性は多部数にわたるロングラン印刷時においても刷了まで持続することができるため好ましい。ビニル基が置換したフェニル基とは、詳細には下記一般式(3)で表される。
Figure 2010234723
式中、R11、R12およびR13は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基およびアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、R11が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R12およびR13が水素原子であるものが特に好ましい。
式中、R14は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表す。また、これらの基を構成するアルキル基およびアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
式中、mは0〜4の整数を表し、pは0又は1の整数を表す。また、Lは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子又は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子群からなる多価の連結基を表す。
を構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
本発明に於ける側鎖にビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基を有する共重合ポリマーの具体例を下記に示す。
Figure 2010234723
本発明の平版印刷版材料の光重合性の感光層は、レーザー描画に適性を有し、露光後、未露光部分をケミカルフリーな現像液にて現像する、もしくは印刷機上で給湿液等により除去して画像層を形成することを目的に、上記側鎖にビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基を有する共重合ポリマーと共に、光重合開始剤および増感色素を含有する感光層であることが極めて好ましい。本発明に用いられる光重合開始剤としては、光又は電子線の照射によりラジカルを発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いることができる。
本発明に用いることのできる光重合開始剤の例としては有機ホウ素塩化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロアルキル置換化合物、芳香族ケトン類等が挙げられ、特に好ましい光重合開始剤は有機ホウ素塩化合物である。
有機ホウ素塩化合物の例としては、特開平8−217813号公報、特開平9−106242号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素アンモニウム化合物、特開平6−175561号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−157623号公報等に記載の有機ホウ素スルホニウム化合物および有機ホウ素オキソスルホニウム化合物、特開平6−175553号公報、特開平6−175554号公報等に記載の有機ホウ素ヨードニウム化合物、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素ホスホニウム化合物、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−292014号公報、特開平7−306527号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体化合物等が挙げられる。また、特開昭62−143044号公報、特開平5−194619号公報等に記載の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有するカチオン性色素が挙げられる。
芳香族オニウム塩化合物の例としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩化合物は特公昭52−14277号公報、特開昭52−14278号公報、特開昭52−14279号公報等に例示されている化合物を挙げることができる。
有機過酸化物の例としては、分子中に酸素−酸素結合を一個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ(tert−ブチルジパーオキシ)イソフタレート等の過酸化エステル系が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物の例としては、特公昭45−37377号公報、同昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
トリハロアルキル置換化合物の例としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、米国特許第3,954,475号明細書、米国特許第3,987,037号明細書、米国特許第4,189,323号明細書、特開昭61−151644号公報、特開昭63−298339号公報、特開平4−69661号公報、特開平11−153859号公報等に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭54−74728号公報、特開昭55−77742号公報、特開昭60−138539号公報、特開昭61−143748号公報、特開平4−362644号公報、特開平11−84649号公報等に記載の2−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合した、特開2001−290271号公報等に記載のトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」 J.P.FUOASSIER,J.F.RABEK(1993)、P.77〜P.177に記載のベンゾフェノン骨格、あるいはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン類、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン類、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類を挙げることができる。
本発明に用いられる光重合開始剤には光酸発生剤として知られている化合物も含まれる。光酸発生剤は、光又は電子線の照射により分解し、塩酸、スルホン酸等の強酸やルイス酸の如き酸を発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いることができる。本発明に用いることのできる光酸発生剤の例としては、(k)芳香族ジアゾニウム塩化合物、(l)ピバリン酸−o−ニトロベンジルエステル、ベンゼンスルホン酸−o−ニトロベンジルエステル等のo−ニトロベンジルエステル類、(m)9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸−4−ニトロベンジルエステル、ピロガロールトリスメタンスルホネート、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類等のスルホン酸エステル誘導体、(n)ジベンジルスルホン、4−クロロフェニル−4′−メトキシフェニルジスルホン等のスルホン類、(o)リン酸エステル誘導体及び(p)米国特許第3,332,936号明細書、特開平2−83638号公報、特開平11−322707号公報、特開2000−1469号公報等に記載のスルホニルジアゾメタン化合物等を挙げることができる。
本発明で特に好ましい光重合開始剤である有機ホウ素塩化合物は、有機ホウ素塩から構成されており、有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(4)で表される。
Figure 2010234723
式中、R21、R22、R23およびR24は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R21、R22、R23およびR24の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオンおよびカチオン性増感色素が挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウムおよびホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオン又はオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。また、カチオン性増感色素の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有する場合は、該増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は更にアルカリ金属もしくはオニウム塩の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを併せて含有するのが好ましい。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、先に示した一般式(4)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の具体例を下記に示す。
Figure 2010234723
Figure 2010234723
本発明において、有機ホウ素塩と共に用いることで更に高感度化、硬調化が具現される光重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい具体例を下記に示す。
Figure 2010234723
Figure 2010234723
上記光重合開始剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。光重合開始剤の含有量は、重合性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含むポリマーの100質量部に対して、1〜100質量部の範囲が好ましく、更に1〜40質量部の範囲が特に好ましい。
本発明の平版印刷版材料の光重合性の感光層が含有する増感色素は、増感色素が有する吸収極大波長に前述の光重合開始剤を増感するものである。これにより各種レーザー(例えば青紫色半導体レーザー、近赤外レーザー)による露光に対応することが可能になる。そして前記光重合開始剤が有機ホウ素塩である場合、該増感色素と組み合わせることで、各種レーザー光に対する感度が非常に高くなる特徴を有する。増感色素は、具体的には380〜1300nmの波長域において光重合開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素および電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。本発明に関わる増感色素の具体例を以下に示す。
Figure 2010234723
Figure 2010234723
本発明の増感色素として、青紫色半導体レーザー(バイオレットレーザー)対応の場合、380〜430nmの波長領域の光に感光性を持たせる系が特に好ましく、増感色素として、こうした波長領域に吸収を有することが必要であり、こうした目的で使用される特に好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2010234723
本発明の増感色素として、近赤外レーザー対応の場合、750〜1100nmの波長領域の光に感光性を持たせる系が特に好ましく、増感色素として、こうした波長領域に吸収を有することが必要であり、こうした目的で使用される特に好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2010234723
上記増感色素は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。増感色素の含有量は、重合性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含むポリマー100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲が好ましく、更に0.5〜20質量部の範囲が特に好ましい。
光重合性の感光層を構成する他の要素として着色剤の添加も好ましく行うことができる。着色剤としては露光および現像処理後において画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素および顔料を使用することができる。
光重合性の感光層を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有することもできる。例えば感光層のブロッキングを防止する目的で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
光重合性の感光層の乾燥塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、乾燥質量で1平方メートルあたり0.2gから5gの範囲で形成することが好ましく、最も好ましい範囲は1平方メートルあたり0.5gから3gの範囲である。
本発明の平版印刷版材料においては、光重合性感光層の上に、更に保護層を設けることも好ましく行われる。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光感度を更に向上させる好ましい効果を有する。更には感光層表面を傷から防止する効果も併せて期待される。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低く力学的強度に優れ、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。特に400〜430nmの波長域の青紫色半導体レーザーを使用して記録を行う場合、一般的にはレーザー出力が近赤外半導体レーザーと比較して低いため、特に高感度である感光層が要求される。こうした場合に、保護層を設けることで更に感度が上昇するため特に好ましく適用することができる。
このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報等に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが良く、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等のような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に最も良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。こうした保護層を適用する際の乾燥固形分塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、感光層上に乾燥質量で1平方メートルあたり0.1gから10gの範囲の乾燥固形分塗布量で形成することが好ましく、更には0.2gから2gの範囲が好ましい。保護層は、公知の種々の塗布方式を用いて光硬化性感光層上に塗布、乾燥される。
本発明の光重合性の平版印刷版材料の現像処理方法において、露光部は感光層が光重合反応を起こしているため、画像状に残余し(画像部)、未露光部は現像処理によって感光層が膨潤あるいは溶解されることで親水性層が表面に露出され(非画像部)、平版印刷版が得られる。
本発明の光重合性の平版印刷版材料の現像処理方法として実質的にアルカリ剤を含有しないケミカルレス現像がある。この現像は現像液のpH値が4.0以上10.0未満の範囲内にある中性現像液(ケミカルレス現像液)を用いる方法であり、現像液のより好ましいpH値は4.0以上8.0未満である。またpH値が上記範囲内であれば他の添加剤を含有してもよく、この添加剤として、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルセルソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種有機溶剤、あるいは、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤等を添加することが可能である。添加剤の量は添加剤の種類、目的によって異なるが、水100質量部に対して10質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下の範囲である。更に、市販の印刷版用版面保護液や、印刷版用湿し水を使用することもできる。なお、この処理方法は現像工程の後に、例えば水洗工程等を含んでも良い。
本発明の光重合性の平版印刷版材料の現像処理方法として機上現像がある。この方法は上述した現像工程を介さず、露光後の版を印刷機に装着し、印刷機上で現像を行うシステムであり、機上現像は未露光部の光重合性の感光層がブランケットに転写して、ブランケットを介して印刷紙等に転写させる方法、給湿液用ロールを介して給湿液に未露光部の光重合性の感光層を溶解もしくは分散させる方法等がある。
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<でんぷんグラフトポリマーの合成方法>
でんぷんとして、酵素変性デキストリン(アミコールNo.7−H、日澱化学(株)製)を使用した。酵素変性デキストリンおよびモノマー(この例では、アクリルアミドおよびアクリル酸)を純水400gに溶解した溶液に重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩をモノマーに対して0.5質量%添加し、75℃で4時間加熱攪拌することで前述の水溶性ポリマーY−1(アクリルアミド:アクリル酸=80:20)がグラフト重合されたでんぷんグラフトポリマーを合成した。また、同様の手法で前述の水溶性ポリマーY−2〜Y−4およびA−1〜A−4がグラフト重合されたでんぷんグラフトポリマーも合成した。
<親水性層>
厚みが100μmのプラスチックフィルム基体上に、下記の親水性層処方にてワイヤーバーで乾燥重量が1.5g(1平方メートル当たり)になるように親水性層の塗布を行い、50℃の乾燥機にて10分間乾燥を行い、更に乾燥物を40℃の乾燥機にて2日間加熱を行い、本発明および比較の平版印刷版用支持体を得た。
<親水性層処方>
水溶性ポリマー(表1に記載) 1質量部
無機微粒子 日産化学工業(株)製スノーテックスPS−M(粒子径80〜150nm)
1.5質量部
硬膜剤 H−21 0.5質量部
pH調整剤(水酸化ナトリウム水溶液もしくは硫酸水溶液にてpHを4.0に調整)
イオン交換水 10質量部
<感光層>
上記平版印刷版用支持体上(親水性層の表面)に、下記の感光層処方にてワイヤーバーで乾燥重量が1.5g(1平方メートル当たり)になるように光重合性の感光層の塗布を行い、70℃の乾燥機にて10分間乾燥を行い、更に感光層の上に下記の保護層処方にてワイヤーバーで乾燥重量が1.5g(1平方メートル当たり)になるように保護層の塗布を行い、70℃の乾燥機にて10分間乾燥を行い、本発明および比較の平版印刷版材料を得た。
<感光層処方>
重合体 SP−1 1質量部
光重合開始剤 BC−6 0.1質量部
光重合開始剤 T−4 0.1質量部
増感色素 S−14 0.05質量部
着色剤 ビクトリアブルー 0.2質量部
アセトン 5質量部
エタノール 5質量部
テトラヒドロフラン 10質量部
<保護層処方>
PVA105((株)クラレ製ポリビニルアルコール) 1質量部
イオン交換水 20質量部
<露光試験>
得られた平版印刷版材料を、405nmバイオレットレーザーを搭載した外面ドラム方式プレートセッター(三菱製紙(株)製VIPLAS)を使用して、画像を露光量100μJ/mで露光した。
<現像方法>
上記で描画した平版印刷版材料を30℃に調節したイオン交換水に15秒間浸け、セルローススポンジで軽く擦ることで未露光部を除去した。
<ポリマー溶解率>
上記で作製した本発明および比較例の平版印刷版用支持体のポリマー溶解率の測定を以下のように行った。親水性層が塗布された親水性支持体を細かく裁断した片を合計100cm準備し、これを25℃、10mlの純水中に投入し、HONDA ELECTRONICS社製超音波分散機WT−200−Mにて10分間処理し、この液を採取し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC(島津製作所(株)製))を用いて液中に溶解した水溶性ポリマー量を定量し、水溶性ポリマー溶解率を算出することで求めた。この結果を表1に示した。
<インキ着肉性>
印刷機ハイデルベルグKORD(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、BestOne墨Nインキ(T&KTOKA(株)製)および市販のPS版用給湿液(アストロマークIII 日研化学(株)製)を用いて20000枚の印刷を行い、印刷初期と刷了時のインキ着肉性を下記基準において評価を行った。この結果を表1に示した。
印刷初期
○:1000枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が20枚未満
△:1000枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が20枚以上50枚未満
×:1000枚目のサンプルの反射濃度値の90%に到達する枚数が50枚以上
刷了時
○:刷了時における反射濃度が1000枚目のサンプルの反射濃度の90%以上
△:刷了時における反射濃度が1000枚目のサンプルの反射濃度の80%以上90%未満
×:刷了時における反射濃度が1000枚目のサンプルの反射濃度の80%未満
Figure 2010234723
表1の結果より、本発明によりインキ着肉性に優れた平版印刷版用支持体およびインキ着肉性に優れた平版印刷版材料が得られることが判る。

Claims (2)

  1. プラスチックフィルム基体上に、カルボキシル基、アミノ基又は水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性ポリマーを含有する親水性層を有し、該親水性層の水抽出物における水溶性ポリマー溶解率が5.4質量%以下であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
  2. 前記請求項1に記載の平版印刷版用支持体が有する親水性層上に、側鎖にビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基を有する共重合ポリマー、光重合開始剤および増感色素を含有する感光層を有する平版印刷版材料。
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