JP2010233648A - 車両用ヘッドレスト装置 - Google Patents

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Koichi Hirota
功一 廣田
Kohei Kobayashi
康平 小林
Hitoshi Takayanagi
均 高柳
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Abstract

【課題】ヘッドレストを乗員頭部に対してより確実且つ正確に追従させることができる車両用ヘッドレスト装置を提供する。
【解決手段】ECU20は、前記ヘッドレストの上下方向への移動制御を行うにあたり、センサ電極31,32がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量を得られないときには、当該静電容量を得られるまでヘッドレスト12を前方向に移動させるべくモータ13を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗員頭部に追従して位置調整可能な車両用ヘッドレスト装置に関するものである。
従来、車両用ヘッドレスト装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この車両用ヘッドレスト装置は、ヘッドレストに内蔵した複数のセンサ電極の静電容量に基づいてヘッドレストに対する乗員頭部の上下位置、左右位置、前後位置を検出するとともに、乗員頭部に追従するべくヘッドレストを作動させるものである。
すなわち、ヘッドレストの上下位置を調整する場合には、該ヘッドレスト内に上下方向に並んだ2個のセンサ電極の静電容量が等しくなるようにヘッドレストを作動させている。また、ヘッドレストの左右位置を調整する場合には、該ヘッドレスト内に左右方向に並んだ2個のセンサ電極の静電容量が等しくなるようにヘッドレストを作動させている。さらに、ヘッドレストの前後位置(乗員頭部との距離)を調整する場合には、該ヘッドレスト内の全てのセンサ電極の静電容量の和が閾値と等しくなるようにヘッドレストを作動させている。
特開昭64−11512号公報
ところで、特許文献1の車両用ヘッドレスト装置では、乗員頭部がヘッドレストから離れ過ぎている場合、ヘッドレストの位置を調整すべくこれを移動させても、該当のセンサ電極の静電容量の変化が小さ過ぎて、乗員頭部に対するヘッドレストの位置を正確に調整することができないことがある。また、センサ電極の感度を高くする対策として、該センサ電極の面積を大きくすることが考えられるが、その内蔵されるヘッドレストの配置スペースには自ずと限界があり、十分な感度が得られないでいた。
本発明の目的は、ヘッドレストを乗員頭部に対してより確実且つ正確に追従させることができる車両用ヘッドレスト装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、シートバックに対してヘッドレストを上下方向及び前後方向に移動させる駆動手段と、前記ヘッドレストに設けられ乗員頭部との間の距離の変動に伴って静電容量が変化する位置調整用電極と、該位置調整用電極の静電容量に基づいて乗員頭部に前記ヘッドレストを追従させるべく前記駆動手段を制御する制御手段とを備える車両用ヘッドレスト装置において、前記制御手段は、前記ヘッドレストの上下方向への移動制御を行うにあたり、前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、当該静電容量を得られるまで前記ヘッドレストを前方向に移動させるべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
同構成によれば、例えば前記ヘッドレストが乗員頭部から離れ過ぎているなど、前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、前記制御手段により当該静電容量を得られるまで前記ヘッドレストが前方向に移動させられる。このように、前記ヘッドレストが強制的に前方向に移動させられることで、当該静電容量を得られる可能性が高くなり、前記ヘッドレストを乗員頭部に対してより確実に追従させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記制御手段は、前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られた状態で、前記位置調整用電極の静電容量に基づき乗員頭部に対する前記ヘッドレストの上下位置を調整すべく前記駆動手段を制御し、前記ヘッドレストの上下位置の調整が完了した状態で、前記位置調整用電極の静電容量に基づき乗員頭部に対する前記ヘッドレストの前後位置を適正位置に調整すべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
同構成によれば、前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られた状態で、前記制御手段により前記位置調整用電極の静電容量に基づき乗員頭部に対する前記ヘッドレストの上下位置が調整される。そして、前記ヘッドレストの上下位置の調整が完了した状態で、前記制御手段により前記位置調整用電極の静電容量に基づき乗員頭部に対する前記ヘッドレストの前後位置が適正位置に調整される。このように、前記ヘッドレストの上下位置の調整に必要な静電容量を得られた状態で、該ヘッドレストの上下位置及び前後位置を順次調整することで、前記ヘッドレストを乗員頭部に対してより確実且つ正確に追従させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記制御手段は、前記ヘッドレストが前端の位置まで移動しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、前記ヘッドレストの前方向への移動を停止させるべく前記駆動手段を制御し、前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られるまで前記ヘッドレストを上方向に移動させるべく前記駆動手段を制御し、前記ヘッドレストが上端の位置まで移動しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないとき、前記ヘッドレストの上方向への移動を停止させるべく前記駆動手段を制御し、前記ヘッドレストを予め設定された基準位置に復帰させるべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
同構成によれば、前記ヘッドレストが前端及び上端の位置まで移動しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、前記制御手段により前記ヘッドレストが前記基準位置に復帰させられる。従って、乗員頭部に追従できなかった前記ヘッドレストが上方向(上端の位置)に突出したまま放置されることを回避でき、例えば視界を好適に確保することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記制御手段は、前記ヘッドレストが前記基準位置に復帰した後、予め設定されたリトライ条件が成立した際に、前記位置調整用電極の静電容量に基づく前記ヘッドレストの位置調整をリトライすることを要旨とする。
同構成によれば、乗員頭部への追従が失敗して一旦、前記基準位置に復帰した前記ヘッドレストは、所定のリトライ条件が成立することで、前記制御手段により位置調整がリトライされる。従って、前記ヘッドレストの位置調整の機会が増える分、該ヘッドレストを乗員頭部に追従させる可能性を高くすることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記制御手段は、前記位置調整用電極の静電容量に基づく前記ヘッドレストの位置調整のリトライを所定回数又は所定時間繰り返しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、該リトライを中止させるべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
同構成によれば、前記ヘッドレストの位置調整のリトライが際限なく繰り返されることを回避できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記制御手段は、当該ヘッドレスト装置が配される車両用シートに対して乗員が着座しているアクティブ状態であるか、該車両用シートに対して乗員が着座していない非アクティブ状態であるかを判断し、前記アクティブ状態にあっては、前記位置調整用電極の基準の静電容量値に対する現在の静電容量値の絶対容量変化に基づいて前記ヘッドレストの位置調整を行う一方、前記非アクティブ状態において、前記基準の静電容量値を補正することを要旨とする。
同構成によれば、前記ヘッドレストの位置調整に係る前記基準の静電容量値は、前記非アクティブ状態においてその都度、補正されるため、例えば環境変化、前記ヘッドレストや前記位置調整用電極の経時劣化の影響を緩和することができ、前記ヘッドレストの位置調整精度を好適に維持することができる。
本発明では、ヘッドレストを乗員頭部に対してより確実且つ正確に追従させることができる車両用ヘッドレスト装置を提供することができる。
車両用シートを示す側面図。 ヘッドレストと乗員頭部との配置関係を示す説明図。 車両用ヘッドレスト装置の電気的構成を示すブロック図。 一実施形態の制御態様を示すフローチャート。 同実施形態の制御態様を示すフローチャート。 同実施形態の制御態様を示すフローチャート。 同実施形態の制御態様を示すフローチャート。 同実施形態の制御態様を示すフローチャート。 変形形態の制御態様を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図8に従って説明する。
図1に、本発明に係る車両用ヘッドレスト装置が適用された車両用シート1の側面図を示す。この車両用シート1は、車両の前席側に配置されるものである。図1に示すように、車両用シート1は、座席シート2と、該座席シート2に傾動可能に支持されたシートバック3と、車両用ヘッドレスト装置10とを備えている。
車両用ヘッドレスト装置10は、シートバック3の上端部に設けられたヘッドレストステー11と、該ヘッドレストステー11の上端部に支持されたヘッドレスト12と、該ヘッドレスト12内に収容されたモータ13と、該モータ13に駆動されて伸縮動作することでシートバック3に対してヘッドレスト12を前後方向に移動させる駆動機構15と、シートバック3内に収容されたモータ14と、該モータ14に駆動されて伸縮動作することでシートバック3に対してヘッドレスト12を上下方向に移動させる駆動機構16とを備えて構成される。なお、モータ13,14及び駆動機構15,16は駆動手段を構成する。
さらに、車両用ヘッドレスト装置10は、ヘッドレスト12の乗員頭部BH(図2参照)に対向する前部に内蔵された上側センサ電極31及び下側センサ電極32を備えて構成される。上側センサ電極31及び下側センサ電極32は位置調整用電極を構成する。これら上側センサ電極31及び下側センサ電極32はヘッドレスト12の上下方向に並べて設けられており、ヘッドレスト12の幅方向(図1において紙面に直交する方向)に延在する互いに略同等の面積を有する長方形状に成形されている。上側センサ電極31及び下側センサ電極32は、被検出物即ち乗員頭部BHとの間の距離の変動に伴って静電容量が変化する。
これらセンサ電極31,32においては、基本的に乗員頭部BHが近付くほど静電容量が大きくなる。そして、例えば乗員頭部BHに概略対向する通常の上下位置にヘッドレスト12がある状態では、乗員頭部BHに反応してセンサ電極31,32の静電容量がそれぞれ増加する。また、これらセンサ電極31,32の静電容量は互いに略同等となる。一方、乗員頭部BHにより近接する前後位置にヘッドレスト12がある状態でも、乗員頭部BHに反応してセンサ電極31,32の静電容量がそれぞれ増加する。換言すれば、乗員頭部BHに概略対向する通常の上下位置にヘッドレスト12がある状態では、センサ電極31,32の静電容量を一定の範囲に収めることで、乗員頭部BH及びヘッドレスト12間の前後方向の距離が略一定に保たれる。
図1に示すように、車両用ヘッドレスト装置10は、センサ電極31,32の静電容量に基づいてモータ13,14の駆動を制御するECU20を備える。すなわち、例えば乗員の着座等が検出されると、ECU20は、センサ電極31,32の静電容量に基づいて乗員頭部BHを検出するとともに、必要に応じて該乗員頭部BHにヘッドレスト12を追従させるべく、シートバック3に対してヘッドレスト12を前後方向及び上下方向に移動させるようにモータ13,14を制御する。
次に、車両用ヘッドレスト装置10の電気的構成について説明する。
図3に示すように、車両用ヘッドレスト装置10は、前記ECU20、該ECU20に接続された前記モータ13,14及び前記センサ電極31,32に加えて、電源装置17、着座判断部18、パーキングブレーキ判断部19及び車速判断部30等を備えて構成される。
そして、ECU20は、CPU21と、該CPU21に接続された電源回路22、車両情報入力回路23、モータ駆動回路24、静電容量センサ回路25及びメモリ26等を備えて構成されている。
CPU21は、電源回路22及びイグニッションスイッチ(IGSW)27を介して電源装置17に接続されており、イグニッションスイッチ27のオン操作により電源回路22を介して電源装置17から電力が供給される。また、CPU21は、車両情報入力回路23を介して、着座判断部18から乗員の着座情報等の車両情報を入力する。着座判断部18は、例えば座席シート2に設置された荷重センサ(図示略)に接続されており、該荷重センサからの信号を入力して当該車両用シート1に乗員が着座しているか(乗員着座相当の荷重が存在するか)否かを判断する。さらに、CPU21は、車両情報入力回路23を介して、パーキングブレーキ判断部19からパーキングブレーキの状態(オン・オフ)を表す車両情報を入力する。パーキングブレーキ判断部19は、例えばパーキングブレーキに連動するスイッチに接続されており、該スイッチからの信号を入力してパーキングブレーキがオンか否かを判断する。そして、パーキングブレーキ判断部19は、その判断結果を車両情報入力回路23に出力する。また、CPU21は、車両情報入力回路23を介して、車速判断部30から車両速度の状態を表す車両情報を入力する。車速判断部30は、例えば車速センサに接続されており、該車速センサからの信号を入力して現在の車両速度が所定速度以上か否かを判断する。そして、車速判断部30は、その判断結果を車両情報入力回路23に出力する。
また、CPU21は、静電容量センサ回路25を介してセンサ電極31,32に接続されており、該センサ電極31,32の静電容量値C1,C2を個別に検出する。さらに、CPU21は、モータ駆動回路24を介してモータ13,14に接続されており、モータ駆動回路24を制御してモータ13,14(駆動機構15,16)を個別に駆動制御する。
そして、CPU21は、着座判断部18による乗員の着座等が判断されたとき、センサ電極31,32の静電容量値C1,C2の偏差CD(=C1−C2)が所定範囲に収まるようにヘッドレスト12を上下移動させるべく、モータ14を制御する。これにより、ヘッドレスト12は、乗員頭部BHに概略対向するようにその上下位置が調整される。また、CPU21は、センサ電極31,32の静電容量値C1,C2の合計値CS(=C1+C2)が所定範囲に収まるようにヘッドレスト12を前後移動させるべく、モータ13を制御する。これにより、乗員頭部BH及びヘッドレスト12間の前後方向の距離が略一定に保たれるように該ヘッドレスト12の前後位置が調整される。
一方、CPU21は、センサ電極31,32の静電容量値C1,C2がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量に満たないとき、即ち乗員頭部BHを検出できないときには、当該静電容量を得られるまで前記ヘッドレストを前方向に移動させるべく、モータ13を制御する。また、CPU21は、ヘッドレスト12が前端の位置まで移動してもセンサ電極31,32の静電容量値C1,C2がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量に満たないときには、該ヘッドレスト12の前方向への移動を停止させるべくモータ13を制御(停止)し、当該静電容量を得られるまでヘッドレスト12を上方向に移動させるべく、モータ14を制御する。そして、CPU21は、ヘッドレスト12が上端の位置まで移動してもセンサ電極31,32の静電容量値C1,C2がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量に満たないときには、該ヘッドレスト12の上方向への移動を停止させるべくモータ14を制御(停止)し、更にヘッドレスト12を予め設定された基準位置に復帰させるべくモータ13,14を制御する。ヘッドレスト12の復帰する基準位置は、想定される乗員の快適さを考慮して少なくとも後端の位置(後端及び下端の位置など)であることが好ましいが、例えばヘッドレスト12の前後位置及び上下位置を検出するセンサ(モータ13,14の回転センサなど)を備える場合には任意の設定が可能である。
なお、CPU21は、厳密にはセンサ電極31,32の静電容量値C1,C2の、各々に対して予め設定されている基準の静電容量値C10,C20に対する変化量(絶対容量変化)を閾値判断することで、ヘッドレスト12の前後位置及び上下位置を調整している。具体的には、静電容量値C1及び基準の静電容量値C10の差分(=C1−C10)と、静電容量値C2及び基準の静電容量値C20の差分(=C2−C20)との偏差(CDに相当)が、所定の上下調整下限閾値Cthdn及び上下調整上限閾値Cthup(>Cthdn)の間に収まるようにヘッドレスト12の上下位置を調整している。あるいは、静電容量値C1及び基準の静電容量値C10の差分(=C1−C10)と、静電容量値C2及び基準の静電容量値C20の差分(=C2−C20)との加算値(CSに相当)が、所定の前後調整下限閾値Cthr及び前後調整上限閾値Cthf(>Cthr)の間に収まるようにヘッドレスト12の前後位置を調整している。そして、CPU21は、着座判断部18により乗員が着座していないと判断される非アクティブ状態において、基準の静電容量値C10,C20を逐次補正している。これは、静電容量値C1,C2に対する環境変化、ヘッドレスト12やセンサ電極31,32の経時劣化の影響を緩和するためである。
次に、CPU21によるヘッドレスト12の制御態様について、図4〜図8のフローチャートに基づき総括して説明する。なお、この処理の起動時においては、ヘッドレスト12は所定の初期位置(例えば後端及び下端の位置)に配置されているものとする。
図4に示すように、処理がこのルーチンに移行すると、ヘッドレスト調整処理のサブルーチンが実行される(S10)。そして、図6に示すように、乗員の着座があるか否かが判断され(S11)、イグニッションスイッチ27がオンか否かが判断され(S12)、パーキングブレーキがオフか否かが判断され(S13)、更に現在の車両速度が所定速度以上か否かが判断される(S14)。そして、S11〜S14のいずれかの判断が満たされないときには、S11に戻って同様の処理が繰り返される。
また、S11〜S14の全ての判断が満たされたときには、乗員頭部BHが検出可能か否かが判断される(S15)。具体的には、各センサ電極31,32の静電容量値C1,C2(あるいは基準の静電容量値C10,C20との差分)が、ヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量に相当する所定閾値を超えるか否かが判断される。そして、乗員頭部BHが検出可能でないと判断されると、乗員頭部BHからヘッドレスト12が離れていると判定されて、該ヘッドレスト12を前方向に移動させるべくモータ13が制御される(S16)。そして、ヘッドレスト12が前端の位置にあるか否かが判断される(S17)。ここで、ヘッドレスト12が前端の位置にないと判断されると、S15に戻って同様の処理が繰り返される。
一方、S15において乗員頭部BHが検出可能と判断され、あるいは、S17においてヘッドレスト12が前端の位置にあると判断されると、ヘッドレスト12の前後方向(前方向)の移動を停止(又は停止状態を維持)すべくモータ13が制御される(S18)。
続いて、ヘッドレスト12を上方向に移動させるべくモータ14が制御され(S19)、ヘッドレスト12の上下位置が適正か否かが判断される(S20)。具体的には、センサ電極31,32の静電容量値C1,C2の偏差CDが所定範囲に収まるか否かが判断される。そして、ヘッドレスト12の上下位置が適正でないと判断されると、ヘッドレスト12が上端の位置にあるか否かが判断される(S21)。ここで、ヘッドレスト12が上端の位置にないと判断されると、S20に戻って同様の処理が繰り返される。
一方、S20においてヘッドレスト12の上下位置が適正と判断され、あるいは、S21においてヘッドレスト12が上端の位置にあると判断されると、ヘッドレスト12の上下方向(上方向)の移動を停止すべくモータ14が制御される(S22)。
次に、ヘッドレスト12が前端の位置にあるか否かが判断される(図7のS23)。ヘッドレスト12が前端の位置にないと判断されると、ヘッドレスト12を前方向に移動させるべくモータ13が制御され(S24)、ヘッドレスト12の前後位置が適正か否かが判断される(S25)。具体的には、センサ電極31,32の静電容量値C1,C2の加算値CSが所定範囲に収まるか否かが判断される。そして、ヘッドレスト12の前後位置が適正でないと判断されると、ヘッドレスト12が前端の位置にあるか否かが判断される(S26)。ここで、ヘッドレスト12が前端の位置にないと判断されると、S25に戻って同様の処理が繰り返される。
一方、S25においてヘッドレスト12の前後位置が適正と判断されると、頭部検出が設定され(S27)、更にヘッドレスト12の前後方向(前方向)の移動を停止すべくモータ13が制御される(S28)。また、S23又はS26においてヘッドレスト12が前端の位置にあると判断されると、頭部未検出が設定され(S29)、更にヘッドレスト12を基準位置に復帰させるべくモータ13,14が制御される(S30)。そして、S28又はS30の処理が終わると、図4のルーチンに戻ってその後の処理が終了される。
次に、頭部未検出(S29)を前提とするヘッドレスト12の位置調整のリトライ態様について、図5のフローチャートに基づき説明する。なお、この処理は、予め設定された所定のリトライ条件が成立することで起動される。具体的には、頭部未検出(S29)が設定されてからの経過時間が所定時間を超えることで起動される。処理がこのルーチンに移行すると、前記したヘッドレスト調整処理のサブルーチンが実行される(S10)。そして、今回のサブルーチン(S11〜S30)のS27又はS29の設定に基づいて、頭部未検出か否かが判断される(S31)。
頭部未検出と判断されると、当該リトライ処理(S10)が所定回数繰り返されたか否かが判断される(S32)。そして、リトライ処理が所定回数繰り返されていないと判断されると、このルーチンを開始してから所定時間経過したか否かが判断される(S33)。このルーチンを開始してから所定時間経過していないと判断されると、S10に戻って同様の処理が繰り返される。
一方、S31において頭部未検出でない(頭部検出である)と判断されると、ヘッドレスト12の位置調整が完了したことからその後の処理が終了される。あるいは、S32においてリトライ処理が所定回数繰り返されていると判断され、あるいは、S33においてこのルーチンを開始してから所定時間経過していると判断されると、リトライ処理を繰り返してもヘッドレスト12の位置調整が完了しないことからその後の処理が終了される。
次に、CPU21によるセンサ電極31,32の基準の静電容量値C10,C20の補正態様について図8のフローチャートに従って説明する。処理がこのルーチンに移行すると、乗員の着座無(非アクティブ状態)か否かが判断され(S41)、乗員の着座無の判断を待って各センサ電極31,32の静電容量値C1,C2が検出される(S42)。そして、このときの静電容量値C1,C2が基準の静電容量値C10,C20として設定され、メモリ26に記憶される(S43)。ヘッドレスト12の位置調整が、厳密にはセンサ電極31,32の静電容量値C1,C2の基準の静電容量値C10,C20に対する変化量に基づいて行われることは既述のとおりである。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、例えばヘッドレスト12が乗員頭部BHから離れ過ぎているなど、センサ電極31,32がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量を得られないとき、即ち頭部検出できないときには、当該静電容量を得られるまでヘッドレスト12が前方向に移動させられる。そして、ヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量を得られた状態で(S15でYES)、センサ電極31,32の静電容量に基づき乗員頭部BHに対するヘッドレスト12の上下位置が調整される。そして、ヘッドレスト12の上下位置の調整が完了した状態で(S20でYES)、センサ電極31,32の静電容量に基づき乗員頭部BHに対するヘッドレスト12の前後位置が調整される。このように、ヘッドレスト12が乗員頭部BHから離れ過ぎているなど、センサ電極31,32がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量を得られない場合には、ヘッドレスト12が強制的に前方向に移動させられることで、当該静電容量を得られる可能性が高くなる。そして、ヘッドレスト12の上下位置の調整に必要な静電容量を得られた状態で、該ヘッドレスト12の上下位置及び前後位置を順次調整することで、ヘッドレスト12を乗員頭部BHに対してより確実且つ正確に追従させることができる。
(2)本実施形態では、ヘッドレスト12が前端及び上端の位置まで移動してもセンサ電極31,32がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量を得られないときには、ヘッドレスト12が前記基準位置に復帰させられる(S30)。従って、乗員頭部BHに追従できなかったヘッドレスト12が上方向(上端の位置)に突出したまま放置されることを回避でき、例えば視界を好適に確保することができる。
(3)本実施形態では、乗員頭部BHへの追従が失敗して一旦、前記基準位置に復帰したヘッドレスト12は、所定のリトライ条件が成立することで、位置調整がリトライされる。従って、ヘッドレスト12の位置調整の機会が増える分、該ヘッドレスト12を乗員頭部BHに追従させる可能性を高くすることができる。
(4)本実施形態では、センサ電極31,32の静電容量に基づくヘッドレスト12の位置調整のリトライを所定回数又は所定時間繰り返してもセンサ電極31,32がヘッドレスト12の位置調整に必要な静電容量を得られないときには、該ヘッドレスト12の位置調整のリトライが中止させられる。従って、ヘッドレスト12の位置調整のリトライが際限なく繰り返されることを回避できる。
(5)本実施形態では、ヘッドレスト12の位置調整に係る基準の静電容量値C10,C20は、乗員が着座していない非アクティブ状態においてその都度、補正されるため、例えば環境変化、ヘッドレスト12やセンサ電極31,32の経時劣化の影響を緩和することができ、ヘッドレスト12の位置調整精度を好適に維持することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・車室内(無人状態等)監視式のセキュリティーシステムを搭載する構成においては、当該セキュリティーシステムの解除時(人が乗る間近)にセンサ電極31,32の基準の静電容量値C10,C20を補正してもよい。すなわち、図9のフローチャートに示すように、処理がこのルーチンに移行すると、セキュリティーシステムが解除か否かが判断され(S44)、当該セキュリティーシステムの解除の判断を待って各センサ電極31,32の静電容量値C1,C2が検出される(S45)。そして、このときの静電容量値C1,C2が基準の静電容量値C10,C20として設定され、メモリ26に記憶される(S46)。この場合、人が乗る間近に基準の静電容量値C10,C20を補正できるため、環境変化の影響を最小限に抑えることができる。
・前記実施形態において、車両ドアの施解錠を検出するドアロック装置を設け、該ドアロック装置による車両ドアの解錠検出時にセンサ電極31,32の基準の静電容量値C10,C20を補正してもよい。あるいは、車両ドアの開扉を検出する開扉センサを設け、該開扉センサによる車両ドアの開扉検出時にセンサ電極31,32の基準の静電容量値C10,C20を補正してもよい。
・前記実施形態において、復帰作動時の基準位置は、乗員に快適と思われる汎用性の高い位置であれば任意に設定できる。特に、本発明を後席側の車両用シートに適用する場合、下端に復帰させることで後方視界の確保に好適である。また、リトライ後の最終的な復帰位置は、頭部未検出時の復帰位置と同一である必要はない。
・リトライ条件として、適宜の検出信号を利用してもよい。具体的には、シートバックに内蔵された静電センサの検出信号や室内カメラの撮影した乗員の画像(映像)信号などを利用してもよい。特に、乗員頭部BHの安定が検出されたときにリトライを行うことが好ましい。
・前記実施形態において、ヘッドレスト12の上下調整完了後の前後調整(S23〜S26)の処理を割愛してもよい。
・前記実施形態において、イグニッションスイッチ27のオフ、車両ドアの開扉、着座無など、乗員が車両から離れることを想定しうるときには、ヘッドレスト12を基準位置に復帰させてもよい。なお、このときの基準位置は、例えば乗員の着座を想定しない(着座不能な)格納位置であってもよいし、下端及び後端の位置であってもよい。
3…シートバック、12…ヘッドレスト、13,14…モータ(駆動手段)、15,16…駆動機構(駆動手段)、18…着座判断部、19…パーキングブレーキ判断部、27…イグニッションスイッチ、30…車速判断部、20…ECU(制御手段)、31…上側センサ電極(位置調整用電極)、32…下側センサ電極(位置調整用電極)。

Claims (6)

  1. シートバックに対してヘッドレストを上下方向及び前後方向に移動させる駆動手段と、前記ヘッドレストに設けられ乗員頭部との間の距離の変動に伴って静電容量が変化する位置調整用電極と、該位置調整用電極の静電容量に基づいて乗員頭部に前記ヘッドレストを追従させるべく前記駆動手段を制御する制御手段とを備える車両用ヘッドレスト装置において、
    前記制御手段は、前記ヘッドレストの上下方向への移動制御を行うにあたり、前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、当該静電容量を得られるまで前記ヘッドレストを前方向に移動させるべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  2. 請求項1に記載の車両用ヘッドレスト装置において、
    前記制御手段は、前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られた状態で、前記位置調整用電極の静電容量に基づき乗員頭部に対する前記ヘッドレストの上下位置を調整すべく前記駆動手段を制御し、
    前記ヘッドレストの上下位置の調整が完了した状態で、前記位置調整用電極の静電容量に基づき乗員頭部に対する前記ヘッドレストの前後位置を適正位置に調整すべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用ヘッドレスト装置において、
    前記制御手段は、
    前記ヘッドレストが前端の位置まで移動しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、前記ヘッドレストの前方向への移動を停止させるべく前記駆動手段を制御し、
    前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られるまで前記ヘッドレストを上方向に移動させるべく前記駆動手段を制御し、
    前記ヘッドレストが上端の位置まで移動しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないとき、前記ヘッドレストの上方向への移動を停止させるべく前記駆動手段を制御し、
    前記ヘッドレストを予め設定された基準位置に復帰させるべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  4. 請求項3に記載の車両用ヘッドレスト装置において、
    前記制御手段は、前記ヘッドレストが前記基準位置に復帰した後、予め設定されたリトライ条件が成立した際に、前記位置調整用電極の静電容量に基づく前記ヘッドレストの位置調整をリトライすることを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  5. 請求項4に記載の車両用ヘッドレスト装置において、
    前記制御手段は、前記位置調整用電極の静電容量に基づく前記ヘッドレストの位置調整のリトライを所定回数又は所定時間繰り返しても前記位置調整用電極が前記ヘッドレストの位置調整に必要な静電容量を得られないときには、該リトライを中止させるべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、
    前記制御手段は、
    当該ヘッドレスト装置が配される車両用シートに対して乗員が着座しているアクティブ状態であるか、該車両用シートに対して乗員が着座していない非アクティブ状態であるかを判断し、
    前記アクティブ状態にあっては、前記位置調整用電極の基準の静電容量値に対する現在の静電容量値の絶対容量変化に基づいて前記ヘッドレストの位置調整を行う一方、
    前記非アクティブ状態において、前記基準の静電容量値を補正することを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
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