JP2010232650A - レーザ光源装置、レーザ加工装置、レーザ光源装置の制御装置、およびレーザ光源装置の制御方法 - Google Patents

レーザ光源装置、レーザ加工装置、レーザ光源装置の制御装置、およびレーザ光源装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ファイバレーザおよび非線形光学素子によって、所望の波長および所望のパワーを有するレーザ光を発生させることを可能にする技術を提供する。
【解決手段】レーザ光源101は、シードLD2と、光増幅ファイバ1,11と、励起LD3,9A〜9Dと、波長変換素子を含む波長変換部14とを備える。シードLD2は、パルスレーザ光を発する。光増幅ファイバ1,11は、パルスレーザ光と励起光とが入射されることによりパルスレーザ光を増幅可能に構成される。励起LD3(9A〜9D)は、励起光を発する。波長変換部14は、光増幅ファイバ1,11によって増幅されたパルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、増幅光とは波長が異なる波長変換光を発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光源装置、レーザ加工装置、レーザ光源装置の制御装置、およびレーザ光源装置の制御方法に関する。より特定的には、本発明は、光増幅ファイバを備えるレーザ光源装置、およびそのレーザ光源装置を制御する技術に関する。
Nd:YAGレーザに代表される固体レーザ発振器は、高出力のレーザ光源として従来から広く用いられている。多くの固体レーザ発振器の発振波長領域は、1μm付近の近赤外域である。したがって、より短波長のレーザ光が要求される場合には、固体レーザ発振器からのレーザ光の波長を、非線形光学結晶によって、より短い波長に変換するという方法が提案されている。このような方法は、たとえば特許第3998067号公報(特許文献1)、あるいは特許第3197820号公報(特許文献2)に開示されている。
特許第3998067号公報 特許第3197820号公報
ファイバレーザは、従来の固体レーザ発振器(代表的にはNd:YAGレーザ)に比較して、エネルギ変換効率が高く、ビーム品質が良好であることから、近年注目を集めている。したがって、非線形光学結晶に入射されるレーザ光(基本波)を発生させるレーザ光源を、固体レーザ発振器からファイバレーザに置き換えることが考えられる。
固体レーザでは、共振器の内部波長変換によって、基本波として出力可能なエネルギに対してほぼ同じレベルのエネルギを波長変換光として出力可能である。基本波として出力可能なエネルギとは、同構成の発振器から非線形光学結晶を取り外し、基本波出力用の出力鏡を取り付けたときに得られる出力を意味する。この意味においては、100%近い効率で波長変換することができる。このような技術の例として、特許文献1および特許文献2では、レーザ共振器の内部で波長変換を行なう構成が開示されている。
これに対し、ファイバレーザを用いた場合、基本波が出力されるファイバ増幅器中を波長変換光は伝播できないため、外部に非線形光学結晶を配置しなければならない。この外部に配置する構成は固体レーザにおいても実施されることがあるが、一般的には外部の波長変換は内部の波長変換に比べて変換効率が低くなり(実用面では40〜50%である。)、より高い変換効率を得るには、短パルスのピーク出力の高い基本波のレーザ光を発生させて入射する必要がある。しかし、パルス出力のファイバレーザでは、光ファイバの内部で高ピークのエネルギが集中した場合、非線形光学効果(誘導ブリルアン散乱など)の発生の可能性が高まる。これによりファイバ中で増幅されるエネルギが制限される。
このような理由から、パルス出力のファイバレーザを用いた波長変換による高出力の短波長レーザを実現するためには、基本波側のレーザ特性の向上と共に、外部変換の変換効率を向上させる技術が要求される。
本発明の目的は、ファイバレーザおよび非線形光学素子によって、所望の波長および所望のパワーを有するレーザ光を発生させることを可能にする技術を提供することである。
本発明は要約すれば、レーザ光源装置であって、パルス光源と、光増幅ファイバと、励起光源と、波長変換素子とを備える。パルス光源は、パルスレーザ光を発する。光増幅ファイバは、パルスレーザ光と励起光とが入射されることによりパルスレーザ光を増幅可能に構成される。励起光源は、光増幅ファイバに入射されるための励起光を発する。波長変換素子は、光増幅ファイバによって増幅されたパルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、増幅光とは波長が異なる波長変換光を発生可能である。
好ましくは、パルス光源は、パルスレーザ光の強度の極大値と極小値とが時間的に繰り返され、かつ、当該強度波形の包絡線が所定の形状となるようにパルスレーザ光を発する。
好ましくは、増幅光を複数のパルスを含むパルス群と定義し、かつ、増幅光の時間波形の形状を、増幅光に含まれる複数のパルスの包絡線によって定義した場合には、複数のパルスの各々の時間波形の半値全幅は、0よりも大きく、かつ増幅光の時間波形の半値全幅の3/10以下である。
好ましくは、複数の光パルスの各々の時間波形の半値全幅は、0よりも大きく、かつ増幅光の時間波形の半値全幅の1/10以下である。
好ましくは、波長変換光を複数のパルスを含むパルス群と定義し、かつ、波長変換光の時間波形の形状を、波長変換光に含まれる複数のパルスの包絡線によって定義した場合には、波長変換光の時間波形の半値全幅は、10ナノ秒以上かつ100ナノ秒以下である。
好ましくは、波長変換素子に入射される増幅光のパワーは、波長変換素子の変換効率が波長変換素子に入射される光のパワーの変動に対して飽和する所定の飽和領域に含まれる。
好ましくは、極大値と極小値とが時間的に繰り返される間、極大値は時間に対して単調増加する。
好ましくは、パルス光源は、半導体レーザを含む。レーザ光源装置は、半導体レーザの出射側に設けられた第1のファイバブラッググレーティングと、スペクトル整形部とをさらに備える。スペクトル整形部は、第1のファイバブラッググレーティングと前記光増幅ファイバとの間に設けられる。スペクトル整形部は、パルスレーザ光のスペクトルを整形する。
好ましくは、スペクトル整形部は、光サーキュレータと、第2のファイバブラッググレーティングとを含む。光サーキュレータは、光を受けるための第1のポートと、第1のポートに入力された光を出力するとともに光を受けるための第2のポートと、第2のポートに入力された光を出力するための第3のポートとを有する。第1のポートは、第1のファイバブラッググレーティングからのパルスレーザ光を受ける。第2のポートは、第1のポートに入力されたパルスレーザ光を出力するとともに、第2のファイバブラッググレーティングによって反射されたパルスレーザ光を受ける。第3のポートは、第2のポートに入力されたパルスレーザ光を光増幅ファイバに向けて出力する。
好ましくは、増幅光のスペクトルの半値全幅は、波長変換素子の波長変換の許容スペクトル幅として予め定められた幅よりも小さく、かつ、光増幅ファイバにおける誘導ブリルアン散乱の発生閾値に基づいて定まる半値全幅よりも大きく設定される。
好ましくは、増幅光のスペクトルの半値全幅は、0.05ナノメートル以上かつ0.1ナノメートル以下である。
好ましくは、光増幅ファイバは、光増幅ファイバに入射されたパルスレーザ光の偏光を維持したままパルスレーザ光を伝送可能に構成されたファイバである。
本発明の他の局面に従うと、レーザ加工装置であって、上記のいずれかに記載のレーザ光源装置と、波長変換素子から出射された波長変換光を加工対象に向けて照射するための光学系とを備える。
本発明のさらに他の局面に従うと、レーザ光源装置の制御装置である。レーザ光源装置は、パルスレーザ光を発するパルス光源と、パルスレーザ光と励起光とが入射されることによりパルスレーザ光を増幅可能に構成された光増幅ファイバと、光増幅ファイバに入射されるための励起光を発する励起光源と、光増幅ファイバによって増幅されたパルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、増幅光とは波長が異なる光を発生可能な波長変換素子とを備える。制御装置は、光増幅ファイバへの入射のためのパルスレーザ光の強度を変調可能に構成された強度変調部と、光増幅ファイバへの入射のためのパルスレーザ光の強度が、極大値と極小値との間で時間的に繰り返され、かつ当該強度波形の包絡線が所定の形状となるように強度変調部を制御する変調制御部とを備える。
本発明のさらに他の局面に従うと、レーザ光源装置の制御方法である。レーザ光源装置は、パルスレーザ光を発するパルス光源と、パルスレーザ光と励起光とが入射されることによりパルスレーザ光を増幅可能に構成された光増幅ファイバと、光増幅ファイバに入射されるための励起光を発する励起光源と、光増幅ファイバによって増幅されたパルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、増幅光とは波長が異なる光を発生可能な波長変換素子とを備える。制御方法は、パルスレーザ光の強度が、極大値と極小値との間で時間的に繰り返され、かつ当該強度波形の包絡線が所定の形状となるように、光増幅ファイバへの入射のためのパルスレーザ光の強度を変調するステップと、励起光を励起光源から出射させるステップとを備える。
本発明によれば、ファイバレーザおよび非線形光学素子によって、所望の波長および所望のパワーを有するレーザ光を発生させることを実現できる。
本発明の実施の形態1に係るレーザ光源を含むレーザ加工装置の構成図である。 パルス光の波長変換のための構成例を示す図である。 実施の形態1に係る光増幅ファイバ1,11の構造例を示した図である。 誘導ブリルアン散乱発生閾値に基づいた、パルス光のスペクトル幅と限界平均パワーとの関係を説明するための図である。 実施の形態1によるシード光のパワー波形を説明する図である。 ガウス関数に従うレーザ光出力波形と、実施の形態1によるレーザ光出力波形とを対比して説明するための図である。 非線形光学結晶に入射されるパルス光の波形がガウス波形である場合と、実施の形態1による場合とで、非線形光学結晶の変換効率を比較した結果を示す図である。 波長変換光のパルス幅の観点から、ガウス波形と実施の形態1に係るパルス光の波形とを対比した図である。 非線形光学結晶に入射した光のパワーの変動と変換効率の変動との関係について説明するための図である。 パルス光の波形の第1の変形例を示した図である。 パルス光の波形の第2の変形例を示した図である。 各光パルスの極大値が一定の場合のシード光の波形を示す図である。 光増幅ファイバの増幅度が小さい場合における光増幅ファイバ出射光の波形を示す図である。 光増幅ファイバの増幅度が中程度である場合における光増幅ファイバの出射光の波形を示す図である。 光増幅ファイバの増幅度が大きい場合における光増幅ファイバの出射光の波形を示す図である。 図11に示す波形を有するシード光を増幅した場合における光増幅ファイバの出射光の波形を示す図である。 パルスジェネレータ21およびドライバ22の構成の一例を示す図である。 図17に示した構成を有するパルスジェネレータ21およびドライバ22の動作を説明するための図である。 パルスジェネレータ21およびドライバ22の構成の他の例を示す図である。 図19に示した構成を有するドライバ22の動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態2に係るレーザ光源を含むレーザ加工装置の構成図である。 図21に示したスペクトル整形部15の一形態を示した構成図である。 図22に示したFBG72の望ましい反射スペクトルを示した図である。 実施の形態2に係るレーザ光源における、シード光のスペクトル整形を説明するための図である。 FGLのシード光のスペクトル整形が十分でない場合に光増幅ファイバから出射された増幅光のスペクトルの実例を示した図である。
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
また、以後の説明中の「LD」は、半導体レーザを表わしている。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ光源を含むレーザ加工装置の構成図である。図1を参照して、レーザ加工装置100は、レーザ光源101と、レーザ光源101を制御するための制御装置102と、レーザ光源101から発せられたレーザ光を、加工対象であるワーク150に向けて照射し、かつワーク150の表面上でレーザ光を走査するための走査光学系103とを備える。
レーザ加工装置100は、たとえば、レーザマーキング装置、レーザトリミング装置、フォトマスク等の欠陥修正(リペア)を行なうレーザリペア装置などに適用可能である。また、穴あけ、溶接、切断、熱処理、形状加工等の各種の用途にレーザ加工装置100を適用してもよい。
レーザ光源101は、光増幅ファイバを含むファイバレーザである。具体的には、レーザ光源101は、光増幅ファイバ1と、シードLD2と、フィルタ3と、アイソレータ4と、励起LD5と、結合器6と、アイソレータ7と、バンドパスフィルタ8と、励起LD9A〜9Dと、結合器10と、光増幅ファイバ11と、アイソレータ12と、エンドキャップ13と、波長変換部14とを含む。
光増幅ファイバ1,11の各々は、光増幅成分である希土類元素が添加されたコア、およびそのコアの周囲に設けられるクラッドを有する。コアに添加される希土類元素の種類は特に限定されず、たとえばEr(エルビウム)、Yb(イッテルビウム)、Nd(ネオジム)などがある。以下では希土類元素はYbであるとして説明する。
光増幅ファイバ1のコアに含まれる希土類元素が励起光を吸収することによって、その希土類元素が励起される。この状態においてシード光が光増幅ファイバ1のコアを伝播すると、励起された希土類元素による誘導放出が生じる。この誘導放出がシード光の光増幅として作用するためシード光が増幅される。
シードLD2は、シード光を発する光源である。シードLD2は、制御装置102の制御によりパルス発振して、パルスレーザ光(以下では単に「パルス光」とも呼ぶ)をシード光として発する。なおシード光の波長は、たとえば1000〜1100nmの範囲から選択された波長である。
シードLD2から出射されたシード光は、フィルタ3およびアイソレータ4を通過する。フィルタ3は、シードLD2の半導体との間で外部共振を行なうために設けられるものであり、スペクトルの幅が波長変換に許容される幅となるように選定される。具体的には、フィルタ3は、たとえばファイバブラッググレーティング(FBG)によって構成される。アイソレータ4は、シードLD2からのシード光を透過させるとともに光増幅ファイバ1からの戻り光を遮断する。これによって光増幅ファイバ1からの戻り光がシードLD2に入射するのを防ぐことができる。
励起LD5は、光増幅ファイバ1のコアに添加された希土類元素を励起するための励起光を発する励起光源である。希土類元素がYbの場合、励起光の波長はたとえば940±10nmとなる。励起LD5は、制御装置102の制御により励起光を発する。
結合器6は、シードLD2からのシード光(パルス光)および励起LD5からの励起光を光増幅ファイバ1に入射させるために、そのシード光および励起光を結合する。シード光と励起光とが光増幅ファイバ1に入射されることにより、シード光すなわち光増幅ファイバ1に入射したパルス光が増幅される。
アイソレータ7は、光増幅ファイバ1によって増幅されて光増幅ファイバ1から出射されたパルス光を通過させる。さらにアイソレータ7は、光増幅ファイバ1に戻る光を遮断する。
バンドパスフィルタ8は、光増幅ファイバ1から出射されたパルス光のピーク波長を含む所定の波長帯の光を通過させるとともに、その波長帯と異なる波長帯の光を除去する。
励起LD9A〜9Dの各々は、制御装置102の制御により、光増幅ファイバ11のコアに含まれる希土類元素(Yb)を励起するための励起光を発する。なお、図1では光増幅ファイバ11に対応して4個の励起LDが設けられているが、励起LDの個数は特に限定されるものではない。
結合器10は、バンドパスフィルタ8を通過したパルス光と、励起LD9A〜9Dからの励起光とを光増幅ファイバ11に入射させるために、そのパルス光と励起光とを結合するためのものである。パルス光と励起光とが光増幅ファイバ11に入射されることにより、光増幅ファイバ11は、そのパルス光を増幅する。
アイソレータ12は光増幅ファイバ11から出射されたパルス光を通過させるとともに、光増幅ファイバ11に戻る光を遮断する。エンドキャップ13は、ピークパワーの高いパルス光が光ファイバから大気中に出射される際に、光ファイバの端面と大気との境界面で生じるダメージを防止するために設けられる。
波長変換部14は、光増幅ファイバ1および11によって増幅されたパルス光を受けて、そのパルス光の波長とは異なる波長を有するパルス光を発生させる。
制御装置102は、制御部20と、パルスジェネレータ21と、ドライバ22,23,24A〜24Dとを含む。
制御部20は、パルスジェネレータ21、およびドライバ22,23,24A〜24Dを統括的に制御することにより、レーザ光源101の動作を制御する。制御部20は、パーソナルコンピュータ(PC)25を介して、ワーク150の加工に関する各種の情報を受けるとともに、その情報に基づいて、パルスジェネレータ21およびドライバ22,23,24A〜24Dを制御する。制御部20の機能の一つとしては、パルスジェネレータ21およびドライバ22,23,24A〜24Dの各々の動作タイミングの制御が挙げられる。
パルスジェネレータ21は、パルス信号を発生させるとともに、そのパルス信号をドライバ22に送信する。ドライバ22は、パルスジェネレータ21からのパルス信号に応じて、シードLD2に供給する駆動電流を変調させる。シードLD2に供給される駆動電流が変調されることにより、シードLD2から発せられるシード光の強度波形は、パルスジェネレータ21により発生したパルス信号の波形を反映したものとなる。すなわちドライバ22は、光増幅ファイバ1への入射のためのパルスレーザ光の強度を変調可能な強度変調部である。パルスジェネレータ21は、強度変調部を制御する変調制御部である。
ドライバ23は、制御部20の指令に応答して、励起LD5に駆動電流を供給する。これにより励起LD5は励起光を発する。
ドライバ24A〜24Dは、励起LD9A〜9Dの各々に対応して設けられる。各ドライバは、制御部20の指令に応答して、対応する励起LDに駆動電流を供給する。これにより励起LD9A〜9Dの各々は励起光を発する。
なお、シードLD、励起LD、アイソレータ、バンドパスフィルタ等、ファイバレーザを構成する素子の特性は、温度に応じて変化し得る。したがって、これらの素子の温度を一定に保つための温度コントローラが制御装置102に含まれていることが、より好ましい。
走査光学系103は、ワーク150の表面上でレーザ光源101からの光を走査するためのものである。走査方向は1次元方向および2次元方向のいずれでもよい。図示しないが、走査光学系103は、たとえばレーザ光源101から出射されるレーザ光のビームの径を所定の大きさに調整するためのコリメータレンズ、および、コリメータレンズを通過した後のレーザ光をワーク150の表面上で二次元方向に走査するための走査装置(たとえばガルバノスキャナ)、その走査装置により走査されたレーザ光を集光するためのレンズ(たとえばfθレンズ)等により構成される。
上述のように、実施の形態1では、波長変換部14によって、光増幅ファイバ11からのパルス光とは波長の異なる光を発生させる。波長変換部14の構成は、特に限定されることなく、種々の公知の構成を適用することができる。
一般に、レーザ光(基本波)の波長変換は、非線形光学結晶により実現される。非線形光学結晶としては、たとえばBBO(β−BaB)、LBO(LiB)、KTP(KTiOPO)などを用いることができる。したがって、波長変換部14も、上述の非線形光学結晶を含んで構成される。
図2は、パルス光の波長変換のための構成例を示す図である。
図2(a)は、第2次高調波発生(SHG)のための構成を示す図である。
図2(b)は、第3次高調波発生(THG)のための構成を示す図である。
図2(c)は、第4次高調波発生(FHG)のための構成を示す図である。
図2(a)を参照して、波長変換部14は、集光レンズ31と、SHGのための非線形光学結晶32と、波長選択性フィルタ33とを含む。集光レンズ31は、周波数ωを有する光(基本波)を集光する。集光された光は非線形光学結晶32に入射する。非線形光学結晶32は、元の周波数(ω)の光と、元の周波数の2倍の周波数(2ω)の光とを出射する。波長選択性フィルタ33は、周波数2ωの光を通過させる。
図2(b)に示す構成では、非線形光学結晶34に、基本周波数(ω)の光と、その基本周波数の2倍の周波数(2ω)とを入射させることによって、基本波の3倍の周波数(基本波の1/3倍の波長)を有する光が生成される。THGのための非線形光学結晶34から出た光は波長選択性フィルタ35を通過する。
図2(c)に示す構成では、波長選択性フィルタ33を通過した周波数2ωの光を非線形光学結晶36に入射させる。非線形光学結晶36によるFHGにより、基本波の4倍の周波数(基本波の1/4倍の波長)を有する光を生成することができる。非線形光学結晶36からは、周波数2ωの光と周波数4ωの光とが出射される。波長選択性フィルタ37によって周波数4ωの光が選択される。
図2に示した構成では、非線形光学結晶により和周波発生(SHG等の周波数逓倍)が実現される。ただし非線形光学結晶を用いた波長変換は、和周波発生に限定されるものではなく、差周波発生(DFG)でもよいし、光パラメトリック発振(OPG)でもよい。また、波長変換部14は、QPM(擬似位相整合)による波長変換を行なってもよい。この場合、非線形光学結晶として、たとえばLiNbO(ニオブ酸リチウム)が用いられる。
ここで、ワーク150を所望の条件に従って加工するために必要なレーザ光のパワー、および非線形光学結晶の変換効率を考慮すると、非線形光学結晶に入射するパルス光のパワーはある程度高いことが求められる。このため、光増幅ファイバ1,11によるパルス光の増幅が必要となる。
さらに、非線形光学結晶による高効率の波長変換を実現するためには、非線形光学結晶に入射するレーザ光の偏光方向が、非線形光学結晶の結晶軸方位に対して所定の関係を満たさなければならない。このため、シードLD2より発せられる直線偏光の偏光度を維持しながら、その光を増幅する必要がある。このため光増幅ファイバ1,11ならびにパルス光が伝送される光伝送路は、偏光方向を保持可能に構成される。
図3は、光増幅ファイバ1(11)の構造を示す断面図である。なお図3は、ファイバの延在方向と直交する方向に沿った断面を示す。
図3を参照して、光増幅ファイバ1および11は、コアの周囲に2層のクラッドが配置されたダブルクラッドファイバである。光増幅ファイバ1および11は、希土類元素が添加されたコア40と、コア40の周囲に設けられ、かつコア40よりも屈折率が低い第1クラッド41と、第1クラッド41の周囲に設けられ、かつ第1クラッド41よりも屈折率が低い第2クラッド42とを含む。第2クラッド42は外皮43に覆われる。第1クラッド41には、コア40に応力を付与するための応力付与部44が形成される。
増幅されるべき光であるパルス光は、光増幅ファイバ1(11)のコア40に入射し、かつコア40を伝播する。一方、パルス光を増幅するための励起光は第1クラッド41に入射するとともに、コア40を通過しながら第1クラッド41を伝播する。励起光の一部はコア40に添加された希土類元素に吸収される。これにより希土類元素が励起される。
さらに、コア40の両側に応力付与部44が配置される。この応力付与部44によって、光増幅ファイバ1(11)には、応力の異方性による複屈折が与えられる。これにより光増幅ファイバ1(11)は、入射したパルス光の偏光方向を維持可能である。
光増幅ファイバ1(11)は、単一モードの光のみ伝播可能なシングルモードファイバである。通常のシングルモードファイバでは、光が光ファイバを伝播する間に偏波方向がランダムに変化する。図3に示されるように応力付加部をコアの周囲に配置することによって、直線偏光がコアを伝播する間に偏光方向が変化することを抑制することを実現できる。
実施の形態1では、光増幅ファイバ1(11)は、ダブルクラッドファイバであるが、光増幅ファイバ1(11)は、クラッドが1層のみであるシングルクラッドファイバでもよい。なおシングルクラッドファイバの場合には、パルス光および励起光がともにコアに入射することによってパルス光の増幅が実現される。
図1に戻り、実施の形態1では、レーザ光源101は、ファイバレーザである。ファイバレーザは、発振方式にMOPA(Master Oscillator Power Amplifier)方式を用いている。MOPA方式とは、シード光源からのシード光をアンプにより増幅する方式である。実施の形態1では、シード光源として高速での変調が可能な半導体レーザ(LD)を利用するとともに、アンプとして光増幅ファイバを利用する。MOPA方式によって、高繰り返し時にも充分なピーク出力を得ることが可能になる。加えて、その繰り返し周波数に関わらず最適な出力を得ることができる。
より具体的には、シードLD2に供給されるパルス電流を制御することによって、シードLD2から発せられるパルス光の繰り返し周波数、ピークパワー、パルス幅等の各種パラメータを互いに独立に変更できる。そのパルス光が光増幅ファイバにより増幅されるので、レーザ光源101から出射される光の繰り返し周波数、ピークパワー、パルス幅等の各種パラメータを互いに独立に変更できる。
また、ファイバレーザ(光増幅ファイバ11)から出射されるレーザ光の波長は、実質的に、シード光の波長と同じであり、たとえば1000〜1100nmの範囲から選択された波長となる。この波長領域の光に対するワークの吸収率が小さい(反射率が高い)場合には、ワークの加工効率が低くなる。実施の形態1によれば、波長変換部14によってレーザ光の波長が、元の波長と異なる波長に変換される。たとえば変換後の波長が元の波長よりも短くなる。これによって、レーザ光の波長を、ワークの吸収率が高くなる波長領域内の波長に変換することができるので、ワークの加工効率を向上させることが可能になる。
さらにワークの加工条件によっては、高パワーかつ持続時間(時間幅)の長いパルス光をレーザ光源101から出射することが必要になる場合がある。このためには、シード光のパルス幅を長くする必要がある。ドライバ22からシードLD2に供給されるパルス電流のパルス幅を長くすることによって、シード光のパルス幅を長くすることができる。
しかしながら高パワーかつ広いパルス幅のパルス光が光ファイバを伝播した場合には、その光ファイバにおいて誘導ブリルアン散乱(stimulated Brillouin scattering;SBS)が生じる可能性が高くなる。これは、瞬間的に強い光がファイバ内で一定時間継続することによって、媒質の格子振動にエネルギが与えられて音波が発生し、屈折率の周期的な変化が発生するメカニズムから理解できる。
光増幅ファイバ1あるいは11において誘導ブリルアン散乱が発生した場合には、レーザ光源101から出射されるレーザ光の波形が崩れ、レーザ出力が制限されるので、レーザ加工装置100の加工品質が低下する。さらに、誘導ブリルアン散乱により戻り光が発生する。この戻り光により、光学素子(たとえばシードLD2)を破損する可能性がある。
そこで実施の形態1では、シードLD2から、強度の極大値と極小値とが時間的に繰り返され、かつ強度波形の包絡線が所定の形状となるパルス光が発せられる。極大値と極小値とが時間的に繰り返されるパルス光を複数のパルスとみなすと、強度波形の包絡線とは、それら複数のパルスを含むパルス群を表わす波形に相当する。上記の波形を有するパルス光を光増幅ファイバによって増幅することにより、高いピークパワーと広い時間幅とを有するレーザ光を生成することができる。
さらに、そのパルス群に含まれる複数のパルスの各々の時間波形の半値全幅は、非線形光学結晶の変換効率を考慮して定められる。したがって、実施の形態1によれば、非線形光学結晶の変換効率を高めることができる。
[誘導ブリルアン散乱の抑制について]
光ファイバ中の光強度が閾値より大きくなると、光ファイバの主成分(実施の形態1では石英)の振動により発生した音波と光との相互作用によって、非線形散乱が発生する。誘導ブリルアン散乱は、非線形散乱の一種であり、光ファイバ中の音響フォノンと光との総合作用によって生じる。
誘導ブリルアン散乱の発生閾値は、限界レーザパワーとレーザ光のスペクトル幅とに依存する。「非線形ファイバー光学」(G.P.アグラワール著、小田垣 孝・山田 興一訳、吉岡書店)によれば、この閾値は以下のように説明される。
まず、ブリルアン利得係数gは以下の式(1)に従って表わされる。
式(1)において、cは光速であり、λはレーザ波長であり、ρoはファイバ材質の密度である。νは光ファイバ中の超音波の速度であり、Δνはブリルアン利得スペクトル幅である。nはファイバの屈折率であり、p12は縦方向の弾性光係数である。
次に、ブリルアン利得スペクトルのピーク利得は、以下の式(2)に従って表わされる。
最後に、ブリルアン散乱発生閾値は、以下の式(3)に従って表わされる。
effは有効な相互作用長であり、Aeffは実効断面積であり、Δλはレーザ光のスペクトル幅であり、P crは限界レーザピークパワーである。
図4は、誘導ブリルアン散乱発生閾値に基づいた、パルス光のスペクトル幅と限界平均パワーとの関係を説明するための図である。図4を参照して、3本の直線は、レーザスペクトル幅と光ファイバから出力可能な限界平均パワーとの関係を示す。この関係は、誘導ブリルアン散乱発生閾値に基づいて、計算により求められたものである。
上記の計算では、ファイバ増幅器に入射されるパルス光の繰り返し周波数が100kHzとし、パルス幅(時間幅)を10nsとした。また、ファイバ増幅器に含まれるファイバ長を10mとした。3本の直線は、ファイバ増幅器のコア径をパラメータに用いることによって得られたものである。コア径は、10μm、15μm、および20μmに設定した。
図4から、スペクトル幅が大きくなるほど、レーザの限界平均パワーが大きくなることがわかる。また、たとえば、コア径が15μmの光増幅ファイバから10W級のレーザ出力を得るためには、レーザ光のスペクトル幅が少なくとも50pm(0.05nm)でなければならないことがわかる。たとえば、レーザの限界平均パワーを10Wとすると、スペクトル幅は55pm(0.055nm)となる。
実施の形態1では、誘導ブリルアン散乱の発生閾値に基づいて、光増幅ファイバに入射されるレーザ光のスペクトル幅の下限は誘導ブリルアン散乱を発生させないスペクトル幅として定められる。
一方、実施の形態1では、光増幅ファイバに入射されるレーザ光のスペクトル幅の上限は、非線形光学結晶の波長変換の許容スペクトル幅に従って定まる。非線形光学結晶の許容スペクトル幅は各種の技術資料に記載されているので、その値を採用できる。たとえば、Solid-State Laser Engineering (Walter Koechner 著、Springer-Verlag、1996年)のp579(Table 10.2)には、SHG(Type1)の場合(1064nmから532nmへの波長変換の場合)におけるLBOのスペクトル幅が0.75nm、BBOのスペクトル幅が0.66nmと記載されている。これらの非線形光学結晶の結晶長は通常約1cm程度であるので、上記した値の半値が許容スペクトル幅となる。また、THGの場合では、LBO結晶(TypeII)による波長変換の許容スペクトル幅は、約0.2nmとなる。
したがって実施の形態1では、この許容スペクトル幅が、光増幅ファイバから出射されるレーザ光のスペクトル幅の上限であり、かつ光増幅ファイバに入射されるレーザ光のスペクトル幅の上限として定められる。たとえば、光増幅ファイバ11から、0.05〜0.1nm程度のスペクトル幅を有するパルス光が出射されるように、パルス光のスペクトル幅を調整する。光増幅ファイバから上述の条件を満たすレーザ光が出射されるよう、シード光源から発せられるシード光(パルス光)のスペクトル幅が設定される。
[パルス光の波形]
図5は、実施の形態1によるシード光のパワー波形を説明する図である。
図5に示すように、シードLD2から出射されるシード光は、複数の光パルスを含むパルス群とみなすことができる。図5には複数の光パルスの包絡線Eを示している。
ドライバ22は、シードLD2に供給する駆動電流の強度を時間的に変調することにより、シードLD2から出射されるシード光の強度を時間的に変調させる。各光パルスの強度は時間に対して振動(上下)する。
包絡線Eの形状はガウス波形である。実施の形態1によれば、ガウス波形を有する単パルスが光増幅ファイバに入射される場合に比較して、非線形光学結晶による変換効率を高めることができる。以下では、この点について詳しく説明する。なお、以下では、光増幅ファイバから出射されたレーザ光のパワー(出力)を示す波形を用いて、非線形光学結晶による変換効率について説明するが、便宜上、この増幅後の波形はシード光の波形(図5)と同じように、包絡線Eがガウス波形であると仮定する。後述するように、前方部分と後方部分との利得の差により波形のバランスが変わることになるが、以下の説明に示す結果と同様の効果はある。
[非線形光学結晶による変換効率]
図6は、ガウス関数に従うレーザ光出力波形と、実施の形態1によるレーザ光出力波形とを対比して説明するための図である。
図6(a)は、ガウス関数に従うレーザ光出力波形を説明するための図である。
図6(b)は、実施の形態1によるレーザ光出力波形を説明するための図である。
図6(c)は、図6(b)に示す波形の一部を拡大して示す拡大図である。
図6(a)を参照して、関数Pω(t)は、時間tとレーザ光出力との関係を示す。ピーク値Poはレーザ光出力のピーク値に対応する。また時間幅Tは、関数Pω(t)の値がピーク値Poの1/e(eは自然対数の底)倍となる関数の幅に対応する。関数Pω(t)は、以下の式(4)に従って表わされる。
関数Pω(t)に従う波形を有するレーザ光(基本波)が非線形光学結晶に入射されるとともに、非線形光学結晶によって、その基本波の第2次高調波が生成されたとする。レーザ光の周波数は、基本周波数ωから、その2倍の周波数2ωに変換される。
非線形光学結晶からのレーザ光(第2次高調波)の出力波形は、関数P2ω(t)に従って表わされる。関数P2ω(t)はガウス関数であり、以下の式(5)に従って表わされる。
η(t)は、非線形光学結晶の変換効率を示す。また、Kは変換効率に関する定数であり、非線形光学定数、ビーム径、非線形光学結晶の結晶長などによって決定される。
次に、レーザ光エネルギとして、関数Pω(t)に従うレーザ光出力の積分値を求める。積分値Eωは、式(6)に従って表わされる。
同様に、関数P2ω(t)従うレーザ光出力の積分値E2ωは、式(7)に従って表わされる。積分値E2ωは非線形光学結晶から出射されるレーザ光のエネルギを表わす。
次に、上述の計算と同様の計算を実施の形態1に適用する。図6(b)を参照して、包絡線Eはガウス関数を示す。このガウス関数は、その積分値が上記積分値Eωに等しく、かつ、時間幅がTとなるように定められる。このようにして定められたガウス関数のピーク値をPとする。
時間t>0の領域にN(Nは1以上の整数)個の関数が存在し、時間t<0の領域にもN個の関数が存在するとする。各関数はガウス関数であり、時間幅tを有する。さらに、各関数は、間隔tを隔てて時間軸上に並ぶものとする。ここで間隔とは、n番目(nは1以上かつN−1以下の整数)の関数をPωn(t)のピーク値とPωn+1(t)のピーク値との間の間隔である。なお、関数Pωn(t)のピーク値は、包絡線Eを示すガウス関数に従って定められる。
式(1)と同様に、関数Pωn(t)は、以下の式(8)に従って表わされる。
非線形光学結晶からのレーザ光(第2次高調波)の出力波形は、関数P2ωn(t)に従って表わされる。関数P2ωn(t)は、ガウス関数であり、以下の式(9)に従って表わされる。
関数Pωn(t)に従うレーザ光出力の積分値Eωnは、式(10)に従って表わされる。
同様に、関数P2ωn(t)従うレーザ光出力の積分値E2ωnは、式(11)に従って表わされる。この積分値E2ωnは非線形光学結晶から出射されるレーザ光のエネルギを表わす。
ここで式(11)に含まれるαは、以下の式(12)に示すように近似値を適用できる。
積分値E2ωと積分値E2ωnとを比較することによって、ガウス関数に従う波形を有する単パルス(以下では、「単パルス」と単純化して呼ぶ)を非線形光学結晶に入射した場合と、実施の形態1による場合とでの変換効率を比較することができる。
図7は、非線形光学結晶に入射されるパルス光の波形がガウス波形である場合と、実施の形態1による場合とで、非線形光学結晶の変換効率を比較した結果を示す図である。図7を参照して、グラフの縦軸は、ガウス波形を有する単パルスを非線形光学結晶に入射した場合の変換効率に対する、本実施形態の場合の変換効率(η)の比率を表わす。グラフの横軸は、図6に示す時間幅Tを100としたときにおける、関数Pωn(t)の時間幅tの大きさを表わす。
なお図7に示すグラフでは、上記Nの値をパラメータとした。具体的にはNを7、9、11、13とした。
図7に示すように、時間幅tの値が30であるときには、比率が約1.5となる。時間幅tの値が30であるときには、Nの値が7から13まで変化しても、比率はほぼ同じである。
時間幅tの値が10であるときには、Nが小さくなるにつれて比率が大きくなる。具体的に説明すると、Nが13のときには変換効率の比率は約2.0である。一方、Nが7のときには変換効率の比率は約3.0となる。
図7から、極大値と極小値とが時間的に繰り返されるパルス光を複数の光パルスとみなした場合における、その複数の光パルスの各々の時間波形の半値全幅(時間幅t)は、0よりも大きく、かつ包絡線の時間波形の半値全幅(時間幅T)の3/10以下であることが好ましい。この場合、比率は約1.5となる。したがって、単パルスを非線形光学結晶に入射した場合に比べて、変換効率が向上される。
さらに好ましくは、複数の光パルスの各々の時間波形の半値全幅(時間幅t)は、0よりも大きく、かつ包絡線の時間波形の半値全幅(時間幅T)の1/10以下であることが好ましい。この場合、変換効率として2から3の範囲内の値を実現できる。したがって、単パルスを非線形光学結晶に入射した場合に比べて、変換効率をより一層向上させることができる。
このように実施の形態1によれば、非線形光学結晶における変換効率を向上させることが可能であるが、この理由については、短時間で変調されるパルスによって瞬間的なパルスのピーク出力が増加して変換効率が高められたためであると説明することができる。
また、他の効果として、波長変換後のパルス幅を長く維持しやすいという点も挙げられる。レーザ加工の用途によっては、短パルス(通常ナノ秒以下)で熱影響の少ないシャープな加工が求められるだけでなく、もう少し長いパルス(数10から数100ナノ秒)によって熱的な作用も加えることによって対象物の一定の箇所を除去することが求められるような加工もあり、加工品質を最適化するためにパルス幅を変更できることが望ましい場合もある。
図8は、波長変換光のパルス幅の観点から、ガウス波形と実施の形態1に係るパルス光の波形とを対比した図である。図8(a)はガウス波形に従う基本波と、その基本波から生成された波長変換光とを示す図である。図8(b)は、実施の形態1に従う基本波と、その基本波から生成された波長変換光とを示す図である。
ガウス波形の場合には、基本波のパワーの立ち上がり部分(前方部分)は光増幅ファイバによって高利得で増幅される。よって、その部分に対応する波長変換光の強度も大きい。しかし基本波のパワーの立ち下がり部分については光増幅ファイバの利得が小さい。よって、その部分に対応する波長変換光の強度がさらに弱くなる。この結果、波長変換光の波形では、立ち上がり部分が強調されるので、パルス幅が細くなる。以上のように、単パルスを非線形光学結晶に入射した場合には、パルス幅の長いパルス光を生成することが容易ではない。
これに対し、実施の形態1によれば、極大値と極小値とが時間的に繰り返されるパルス光を発生させることにより、包絡線によって擬似的に示されるパルス光のパルス幅を長くすることが可能である。これにより、波長変換光のパルス幅も擬似的に長くすることができる。実施の形態1によれば、波長変換光のパルス幅も擬似的に長くすることによって、たとえばパルス幅の可変性により熱影響を生じさせることが必要な加工を実現可能である。具体的には、包絡線によって定義される波長変換光のパルス幅は、10ns〜100nsの範囲内で定められることが好ましい。
さらに、実施の形態1によれば、非線形光学結晶に入射されるパルス光のパワーは、非線形光学結晶の変換効率が飽和する領域に含まれるように定められる。
図9を参照して、曲線C1は、単パルスが非線形光学結晶に入射した場合における、入射光のパワーと非線形光学結晶の変換効率との関係を示す。曲線C2は、実施の形態1による、非線形光学結晶の入射光のパワーと非線形光学結晶の変換効率との関係を示す。
非線形光学結晶の入射光のパワーがPを中心としてΔPの範囲で変動したとする。ガウス波形を有する単パルスが非線形光学結晶に入射した場合には、変換効率の変動範囲はdηとなる。一方、実施の形態1によれば、その単パルスが非線形光学結晶に入射する場合に比較して変換効率を高めることができるので、非線形光学結晶の変換効率が飽和領域に達しやすくなる。
飽和領域では、入射光のパワーの変動に対する非線形光学結晶の変換効率の変動は小さい。すなわち変換効率の変動範囲dηはdηよりも小さい。実施の形態1では、非線形光学結晶に入射されるパルス光のパワーが、非線形光学結晶の変換効率が飽和する領域内となるように定められる。これにより、非線形光学結晶に入射する入射光のパワー変動の影響を抑制することが可能になる。したがって、波長変換光のパワーを安定させることができる。
[パルス光の波形の変形例]
図10から図16を参照して、図5に示したシード光パワー波形の他の例を示す。前述したように、複数のパルスからなる光パルス(パルス群)を非線形光学結晶に入射することにより、波長変換効率を向上することができる。複数のパルスからなるパルス光の変形例について、その変形例の波形を以下に説明する。
なお、図10および図11に示す波形は、シード光の波形、光増幅ファイバ1に入射されるパルス光の波形、光増幅ファイバ1から出射されるパルス光の波形、光増幅ファイバ11に入射されるパルス光の波形、光増幅ファイバ11から出射されるパルス光の波形のいずれであってもよい。いずれの場合も、単パルスを非線形光学素子に入射した場合の変換効率と比較すると波長変換効率が向上する。後述するように、シード光の波形と、光増幅ファイバ11から出射されるパルス光の波形とでは、パルス波形内のバランスが多少異なるなどの変化が生じることはあるが、パルス幅の長い波長変換光を出射することができる。以下では、シード光もしくはファイバ増幅後のパルス光の波形と、波長変換光のパルス幅とについて説明する。
図10は、パルス光の波形の第1の変形例を示した図である。図10を参照して、パルス光のパワーにはオフセット成分(CW成分)Paが含まれる。誘導ブリルアン散乱が生じない条件ならば、パルス光のパワーにオフセット成分が含まれていてもよい。また図10に示すようにオフセット成分Paは包絡線Eの高さに応じて変化してもよいし、一定の大きさでもよい。なお「誘導ブリルアン散乱が生じない条件」とはパルス光のピークパワーや使用されるファイバ等に応じて異なるため、オフセット成分の条件をあらかじめ把握しておく必要がある。
図11は、パルス光の波形の第2の変形例を示した図である。図11を参照して、この例では、包絡線Eが時間に応じて単調増加するようにパルス光のパワーが制御される。すなわち、この例では、強度の極大値と極小値とが時間的に繰り返される間、極大値が時間に対して単調増加する。なお時間に応じて単調増加するのであれば、包絡線Eは直線でも曲線でもよい。
まず、非線形光学素子に入射する(すなわち光増幅ファイバから出射される)光のパワー波形と、シード光の波形とについて説明する。
図12は、各光パルスの極大値が一定の場合のシード光の波形を示す図である。図12を参照して、包絡線Eは時間に対する傾きが0である直線となる。
図13〜図15は、図12に示した波形を有するシード光を光増幅ファイバで増幅することにより光増幅ファイバから出射される光のパワー波形を示す図である。図13は、光増幅ファイバの増幅度が小さい場合における光増幅ファイバ出射光の波形を示す図である。図14は、光増幅ファイバの増幅度が中程度である場合における光増幅ファイバの出射光の波形を示す図である。図15は、光増幅ファイバの増幅度が大きい場合における光増幅ファイバの出射光の波形を示す図である。なお、光増幅ファイバの増幅度は光増幅ファイバに入射される励起光のパワーに応じて定まる。
図13〜図15には光増幅ファイバからの出射光である複数の光パルスの包絡線(Ea〜Ec)を示す。包絡線Ea〜Ecの形状から分かるように、光ファイバの増幅度によらず、出射光パルスのピークパワーは次第に低下する。これは光増幅ファイバに入射した複数の光パルスが順次増幅されるにつれ、光増幅ファイバのコアに蓄積されたエネルギが減衰するためである。光増幅ファイバの増幅度が大きいほど、ピークパワー(強度の極大値)の減衰の度合いが大きくなる。したがってシード光パルスの包絡線Eがステップ状の場合、光増幅ファイバの増幅度に応じて包絡線の形状が大きく変化する。
包絡線を1つの光パルスの波形とみなすと、包絡線の形状が大きく変化することにより、その光パルスの半値幅が大きく変化することになる。シード光パルスの包絡線Eを図11に示すように単調増加させることにより、光増幅ファイバの増幅度の低下による出射光のピークパワー(強度の極大値)の低下を補正できる。この結果、図16に示すように、光増幅ファイバの出射光のピークパワーを安定させることができるので、包絡線Edを時間に対する傾きがほぼ0である直線として、ピークパワーの低下を十分に抑制した波形とすることができる。波長変換光のパルス光については、図8に示したようにパルスが更に細る現象が起こるが、パルス幅を維持することができる。
以上のように、変形例に示した波長変換部への入射光においても、図5に基づいて説明した「同じエネルギの変調なし波形に対して波長変換効率が増加する」という効果があり、また、図10および図11に示した波形に類似するいずれの波形であっても、同様の効果を得られることは、容易に理解することができる。
特に図11および図16にて説明したパルス波形は、実際のレーザ加工プロセスにおいて有効である。レーザパルスが加工する物質に吸収されて熱に変化する過程において、熱伝達する時間のあいだ持続的にレーザパルスが照射される方が、目的とする加工品質が得られる場合が多々ある。このように、熱影響を少なくするためのピークパワーの高い短いパルスから比較的長いパルスまで、パルス幅(包絡線の幅)が可変可能なレーザ装置は、加工対象物によって加工品質を選択的に制御することができる。
[シードLDの制御回路の構成例]
実施の形態1では、パルスジェネレータ21およびドライバ22によりシードLD2が制御される。具体的には、ドライバ22は、パルスジェネレータ21からの信号に基づいて、シードLD2に与える駆動電流を変調する。これにより図5、図10〜図11、図16に示したパルス光の波形が実現される。このような制御を実現可能なパルスジェネレータ21およびドライバ22の構成例を以下に説明する。
図17は、パルスジェネレータ21およびドライバ22の構成の一例を示す図である。図17を参照して、パルスジェネレータ21は、記憶部51と、FPGA(Field Programmable Gate Array)52と、D/Aコンバータ53とを含む。ドライバ22は、アンプ54と、トランジスタ56と、抵抗57とを含む。
記憶部51は、波形データを不揮発的に記憶する。FPGA52はデジタル信号発生器であり、記憶部51から読み出した波形データDをデジタルデータとして出力する。FPGA52は、制御部20(図1参照)からの動作信号を受けると、記憶部51から波形データDを読み出すとともに、その波形データDに基づいてクロック信号DAC_clkと、データ信号DAC_data(デジタルデータ)とを出力する。FPGA52は、制御部20からの停止信号に応じてその動作を停止する。
D/Aコンバータ53は、クロック信号DAC_clkと、データ信号DAC_dataとを受けて、データ信号DAC_dataにより示されるデジタルデータをアナログデータに変換する。D/Aコンバータ53は、高速の信号処理に適したD/Aコンバータ(高速D/Aコンバータ)であることが好ましい。
アンプ54は、D/Aコンバータ53からのアナログ信号である電流Idacをトランジスタ56の制御に必要な信号に変換する。トランジスタ56の制御電極にはアンプ54から出力された信号に対応する電圧VLDが与えられる。
トランジスタ56が電圧VLDに応じて導通するとシードLD2に駆動電流ILDが流れる。駆動電流ILDがしきい値電流より大きくなるとシードLD2がレーザ発振してシードLD2からシード光が発せられる。電圧VLDによってトランジスタ56に流れる電流が制御されるので駆動電流ILDの強度が制御される。これによりシード光の強度が制御される。
なお、記憶部51は複数の波形データを保存することが望ましい。さらに、FPGA52は、記憶部51に含まれる複数の波形データの中から、用途に応じたデータを選択できることが好ましい。また、図17に示した構成では、FPGAによってデジタル信号発生器が実現される。ただしデジタル信号発生器には、マイクロプロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてもよい。
図18は、図17に示した構成を有するパルスジェネレータ21およびドライバ22の動作を説明するための図である。図18および図17を参照して、D/Aコンバータ53への入力値(データ信号DAC_dataが示す値)を、0とある値(図18ではa〜f)とに設定する。図18(a)に示すように、D/Aコンバータ53は、周期tを有するクロック信号DAC_clkの立ち上がりおよび立下りに応じて、データ信号DAC_dataが示すデジタルデータを読み込み、その読み込んだデジタルデータをアナログデータに変換する。入力値a〜fのある値(たとえばa)とその次の値(たとえばb)との間には、入力値として0が挟まれる。
図18(b)に示すように、D/Aコンバータ53への入力値a〜fは、aからfの順に大きくなる。この入力値に基づいてD/Aコンバータ53、アンプ54およびトランジスタ56が動作する。これらの応答性により、駆動電流ILDの波形は図18(c)に示す波形となる。この駆動電流ILDをシードLD2に供給することで図11に示すシード光の波形を実現できる。なお、図17に示した構成によれば、図5および図10〜図11の各々に示すシード光の波形に対応する波形データを予め記憶部51の内部に記憶させておき、それらの波形データのいずれかをFPGA52が選択することによって、図5および図10〜図11の各々に示すシード光の波形も実現できる。
図19は、パルスジェネレータ21およびドライバ22の構成の他の例を示す図である。図19を参照して、パルスジェネレータ21は、LDオン/オフ信号発生回路61と、包絡線発生回路62と含む。一方、ドライバ22は、差動増幅器の入力部と同様の回路構成を有する。詳細には、ドライバ22は、抵抗63と、トランジスタ64,65,67と、抵抗68を含む。
LDオン/オフ信号発生回路61は、トランジスタ64を制御するための制御信号PLDおよびトランジスタ65を制御するための制御信号/PLDを出力する。制御信号PLD,/PLDは相補の信号である。包絡線発生回路62は、トランジスタ67を制御するための信号Senvを出力する。トランジスタ65はシードLD2と直列に接続される。
図20は、図19に示した構成を有するドライバ22の動作を説明するための図である。図20および図19を参照して、制御信号PLD,/PLDが相補の信号であるのでトランジスタ64,65は交互にオンする。したがってトランジスタ65は所定の繰返し期間ごとにオンする。さらに信号Senvに応じてトランジスタ67に流れる電流が制御される。すなわち制御信号PLD,/PLDは、「誘導ブリルアン散乱が、パルス群に含まれる複数の光パルスのいずれかによって生じることを抑制可能な所定の条件」が満たされるようにドライバ22が動作するための信号である。
トランジスタ65,67がオンすると、シードLD2、トランジスタ65および67からなる電流経路を駆動電流ILDが流れる。この電流の大きさは信号Senvに従って定められる。トランジスタ65が所定の繰返し期間ごとにオンするので、駆動電流ILDはパルス状の電流となる。包絡線発生回路62により信号Senvの波形を所望の波形(たとえばガウス波形)に設定することで、駆動電流ILDの波形の包絡線の形状には信号Senvの波形が反映される。これによりシードLD2から出射されるシード光の強度波形の包絡線の形状には、信号Senvの波形が反映される。
このように、実施の形態1に係るレーザ光源101を制御するための制御装置102は、パルスジェネレータ21と、ドライバ22と、ドライバ23とを含む。ドライバ22は、シードLD2から光増幅ファイバ1に入射されるシード光(パルス光)の強度を変調可能に構成される。パルスジェネレータ21は、光増幅ファイバに入射されるシード光の強度が、極大値と極小値との間で時間的に繰り返され、かつ強度波形の包絡線が所定の形状となるようにドライバ22を制御する。ドライバ23は、励起光源である励起LD5から励起光を出射させる。
また、実施の形態1に係るレーザ光源の制御方法によれば、光増幅ファイバに入射されるシード光の強度が、極大値と極小値との間で時間的に繰り返され、かつ強度波形の包絡線が所定の形状となるように、光増幅ファイバに入射されるシード光の強度を変調するステップと、励起光を励起光源から出射させるステップとを備える。
固体レーザでは、共振器の内部波長変換によって、基本波として出力可能なエネルギに対してほぼ同じレベルのエネルギを波長変換光として出力可能である。これに対し、ファイバレーザを用いた場合、ファイバ増幅器の外部に非線形光学結晶を配置しなければならない。外部波長変換の場合には、内部波長変換より変換効率が低くなるため、より高いピーク出力の基本波光を発生させるファイバレーザが要求されるが、光ファイバの内部で高いピーク出力のエネルギが集中した場合、非線形光学効果が発生の可能性が高まる。このためファイバ中で増幅されるピーク出力が制限される。また、ファイバレーザでは、波長変換に必要な、制限されたスペクトル幅でレーザ光を増幅する必要がある。しかしながら狭いスペクトル幅のレーザ光は、非線形光学効果の誘導ラマン散乱を発生させやすくする要因ともなるので、スペクトル幅は設計上十分に検討が必要な条件でもある。
これらの理由により、パルス出力のファイバレーザでは、連続波のファイバレーザに比べて増幅中の現象によって考慮すべき制限があり、発生可能な高ピークの基本波レーザ光が抑制されることになる。連続波のファイバレーザでは、非線形光学結晶の選定や高集光性の波長変換構成によって変換効率を向上させることも可能であるが、パルス出力の場合はピーク強度を高める構成のとき、非線形光学結晶の耐久性の課題が生じることもあり、非線形光学結晶の高変換効率を実現することは容易ではない。
さらに、図8に示すように、単パルスを非線形光学結晶に入射した場合には、基本波のピークが強調されることによってパルス幅が小さくなるため、時間幅の大きなロングパルスを実現することが困難である。このため瞬間的に大きなパワーは得られるものの、加工に必要とされるエネルギを得ることは困難となる。
実施の形態1によれば、強度の極大値と極小値とが時間的に繰り返され、かつ強度波形の包絡線が所定の形状となるパルス光を光増幅ファイバにより増幅する。さらに、その光増幅ファイバによって増幅されたパルス光を非線形光学結晶により波長変換する。これにより、所望の波長および所望のパワーを有するレーザ光を発生させることができる。
さらに、実施の形態1によれば、上記の単パルスを非線形光学結晶に入射する構成に比較して、非線形光学結晶の変換効率を向上させることができる。よって、時間幅が長く、かつある程度大きなエネルギを有するパルス光を発生させることができる。さらに実施の形態1によれば、単パルスをファイバレーザから出射する構成に比較して、波形(パルス幅)の維持を容易に実現できる。
さらに実施の形態1によれば、波長変換素子(非線形光学結晶)による高効率の波長変換を実現できるので、シードLDあるいは励起LDを駆動するためのパワーを抑制できる。これによりレーザ光源の省電力を図ることができる。また、レーザ光源の省電力が可能になることによって、レーザ光源の発熱量を抑制できるので、励起LD等を冷却するための装置を小型化できる。よって実施の形態1によればレーザ光源を小型化できる。
なお、実施の形態1では、アンプである光増幅ファイバを用いて2段階の光増幅が行なわれる。ただし増幅段の数は2に限定されず、1でもよいし、3以上でもよい。
また実施の形態1ではシード光源としてのレーザ光源は半導体レーザであり、シード光の強度を時間的に変調する装置は、半導体レーザの駆動電流の強度を時間的に変調させるドライバである。ただし本発明によるシード光源(レーザ光源)およびそのシード光源の変調方式は特に限定されるものではない。たとえばシード光源から発せられた1つの光パルス(シード光)を、パルス分割装置(たとえばシャッタ等)を用いて複数の光パルスに分割してもよい。これにより、分割された各パルスの強度を時間に対して振動(上下)させることができる。この場合、元のシード光を複数の光パルスに分割することにより、元のシード光の強度を時間的に変調することができる。
また、実施の形態1では、ピークパワーが異なるレーザ光を発する複数のレーザ発振器をシード光源に用いてもよい。この場合、変調装置として、レーザ発振器からの光を通過および遮断するために各レーザ発振器に対応して設けられた装置(たとえばシャッタや透過率可変フィルタ等)、およびその装置を制御する制御装置を用いてもよい。たとえばシャッタの開閉タイミングを異ならせることにより、時間に対して振動(上下)する複数のパルスを含むパルス群を生成できる。この構成においては、シャッタ等の装置およびその制御装置はシード光源(複数のレーザ発振器)からのシード光の強度を時間的に変調させる変調制御部に相当する。
[実施の形態2]
図21は、本発明の実施の形態2に係るレーザ光源を含むレーザ加工装置の構成図である。図21および図1を参照して、レーザ加工装置100Aは、レーザ光源101に代えてレーザ光源101Aを備える点でレーザ加工装置100と異なる。レーザ光源101Aは、スペクトル整形部15をさらに備える点、および、バンドパスフィルタ8が省略される点においてレーザ光源101と異なる。レーザ光源101Aの他の部分の構成は、レーザ光源101の対応する部分の構成と同様である。
スペクトル整形部15は、シードLD2と光増幅ファイバ1との間に配置される。より具体的には、スペクトル整形部15は、フィルタ3とアイソレータ4との間に配置される。シードLD2と出射側に設けられるフィルタ3(FBG)によりファイバグレーティングレーザ(FGL)が構成されるが、スペクトル整形部15は、このFGLから発生するシード光のスペクトル整形を行なう。スペクトル整形部15がシード光のスペクトル整形を行なうことで、波長変換に有効なスペクトル成分のみを光増幅ファイバによって選択的に増幅することができる。したがって高効率な波長変換(SHG、THGなど)を実現できる。
図22は、図21に示したスペクトル整形部15の一形態を示した構成図である。図22を参照して、スペクトル整形部15は、光サーキュレータ71と、ファイバブラッググレーティング(FBG)72と、ビームダンパ73とを備える。
光サーキュレータ71は、第1ポートPo1と、第2ポートPo2と、第3ポートPo3とを有する。第1ポートPo1は、フィルタ3(すなわちFBG)から出射されたシード光(パルスレーザ光)を受ける。第1ポートPo1に入力したレーザ光は、第2ポートPo2から出力される。FBG72は光サーキュレータ71の第2ポートPo2から出力されたシード光を反射させる。ビームダンパ73は、FBG72で反射されない一部の光を受けるために設けられる。
FBG72によって反射したシード光は、光サーキュレータ71の第2ポートPo2に入力されて、光サーキュレータ71の第3ポートPo3から出力される。光サーキュレータ71の第3ポートPo3から出力されたシード光は、光増幅ファイバ1を含むファイバ増幅器に向けて出力される。
FBG72には、フィルタ3に用いられるFBGの帯域(スペクトル幅Δλ)と同じまたはそれより狭い帯域(スペクトル幅Δλ)を有するものが適用される。なお、スペクトル幅はスペクトルの半値全幅によって定義されるものとする。FBG72の反射率は、実現可能な範囲においてできるだけ高いことが望ましく、たとえば90%以上に設定される。
図23は、図22に示したFBG72の望ましい反射スペクトルを示した図である。図23を参照して、波長λはFBG72の帯域における中心波長であり、Δλは、スペクトル幅、すなわち、この反射スペクトルにおける半値全幅である。
FBG72は、回折格子の間隔を意図的に変化させた、アポダイズ型のFBGであることが好ましい。アポダイズ型のFBGをFBG72に用いることによって、図23に示すようにFBG72の反射スペクトルがフラットトップ型になり、かつサイドローブの発生が抑制される。すなわちアポダイズ型のFBGをFBG72に適用することによって、後述するシード光の背景スペクトルを確実に除去することができる。
シード光源にLDを用いることで、繰り返し周波数、パルス幅等のパルス光のパラメータを独立に変更できるというメリットが生まれる。波長変換目的の他のパルスファイバレーザの構成例である、Qスイッチ素子を挿入した共振型ファイバレーザをシード光源としたタイプ(たとえば特許文献:米国特許出願公開公報US2009/0262761A1を参照)では、繰り返し周波数によってパルス幅が一意的に決まるため、パルスの自由度が制限されてしまう。その一方で、シード光源がLDの場合、光ファイバでの増幅と波長変換との両方に適したスペクトル波形を発生させる点で課題がある。狭スペクトル幅のシード光源として用いるFGLでは、背景スペクトルの増幅の問題が生じるため、波長変換をするには不適切であることによる。このために実施の形態2ではスペクトル整形部15によってシード光のスペクトルを整形する。FGLのシード光のスペクトルを整形することによって、光ファイバでの増幅と波長変換との両方に適したシード光を発生させることができる。
図24は、実施の形態2に係るレーザ光源における、シード光のスペクトル整形を説明するための図である。図24(a)は、図21に示したシードLD2およびフィルタ3によって得られるシード光のスペクトルを示す。図24(b)は、図21に示したスペクトル整形部15によって整形された後のシード光のスペクトルを示す。
図22および図24を参照して、シードLD2から出射されたシード光のスペクトルは、LDに用いられる半導体チップ(LDチップ)の利得帯域によって決まる。シードLD2から出射されたシード光のスペクトル幅は、一般的には2〜5nm程度である。
シード光の適正なスペクトル幅については、波長変換のための一定の上限(THGの場合、約200pm)があるのと同時に、パルス出力の場合、高ピーク出力であるためファイバ増幅中のSBSが発生しない下限(たとえば数10W級レーザの場合、少なくとも50pm以上)がある([誘導ブリルアン散乱の抑制について]において先述)。したがって制限された領域にてS/N比の高いスペクトルのシード光を発生させる必要がある。ここでのS/N比とは、中心波長部分の強度に対する背景スペクトルの強度の比と定義する。すなわち背景スペクトルの量が小さいほどS/N比が高くなる。
シードLD2の出射側にフィルタ3(FBG)が設けられることで、ファイバグレーティングレーザ(FGL)が構成される。FGLは外部共振器型のレーザ光源であり、その発振時におけるスペクトル幅は、FBGで選択される程度のスペクトル幅となる。このスペクトル幅は、約100pm以上であるが任意に設定可能である。
図24(a)に示すように、シード光のスペクトル幅はフィルタ3(FBG)によって引き込まれて狭くなる。FGLから出射されたシード光のスペクトル幅はΔλS1となる。FGLを用いることで、波長変換に有効、かつ光増幅ファイバでの増幅中にSBSが生じない程度のスペクトル幅のレーザ光をシード光として発生させることができる。
一般に、LDに用いられる半導体チップ(LDチップ)はファブリペロー共振器を構成する。LDチップによるレーザ発振モードを、以下ではファブリペローモード(FPモード)と呼ぶ。FGLのレーザ発振時には、外部共振(FBGモード)と、LDチップ自体の共振(FPモード)とが重畳した状態となる。図24(a)に示したシード光のスペクトルにおけるFPモードのみ成分が背景スペクトルとなる。背景スペクトルは、波長変換に寄与しない成分であるのでできるだけ小さいことが望ましい。この実施の形態では、背景スペクトルの量を便宜上、スペクトルの半値幅の2倍の位置での強度と定義する。S/N比は、一例を示すと30dB程度となる。
背景スペクトルの強度が十分小さくない場合、光増幅ファイバから出力されたレーザ光(増幅光)のS/N比が悪化するという課題が生じる。増幅光のS/N比の悪化は、波長変換素子における変換効率の低下につながる。
図25は、FGLのシード光のスペクトル整形が十分でない場合に光増幅ファイバから出射された増幅光のスペクトルの実例を示した図である。図25(a)は、FGLのシード光(出力約1mW、FBGのスペクトル幅は約80pm)のスペクトル波形である。ログスケールでスペクトルを示すと、FBGのスペクトル幅の外側にも−20dB程度の背景スペクトル(FPモード)が確認される。
このシード光を約10Wまでファイバ増幅したときのスペクトルを図25(b)に示す。FGLのシード光では、中心波長付近のパワーに対して1%程度の背景スペクトルが生じているが、増幅後には背景スペクトルが数10%のパワーまで増加してS/N比が悪化していることがわかる。このような増幅光では、波長変換に寄与する許容スペクトル幅内のパワーが全体の10%に満たない状態となってしまう。このように、シード光の背景スペクトルが−20dB以下程度では不十分であり、波長変換に有効なファイバ増幅を行なうことができない。
この現象は、ファイバ増幅中の利得飽和で説明される。増幅媒質のもつ飽和パワーを超える出力まで高利得の増幅を行なう場合、利得が飽和して出力が増加しなくなる。シード光のスペクトルにおける中心波長部分はパワーが高いため増幅段階で利得飽和を起こしやすい。その一方で、パワーの低い背景スペクトルの部分は高い利得のまま増幅されるため、結果的に増幅後にS/N比が悪化することになる。「非線形ファイバー光学」(G.P.アグラワール著、小田垣 孝・山田 興一訳、吉岡書店)においても、ゲインが20dBを超える例で利得飽和が生じることが述べられており、図25の例のように、40dB程度のゲインで増幅を行なったときに利得飽和が起こることが裏付けられる。したがって背景スペクトルは、飽和せずに増幅される。したがって背景スペクトルの強度が十分小さくなければ、光増幅ファイバから出力されたレーザ光のS/N比が悪化する。
増幅光のスペクトルを整形することで増幅光のS/N比を改善した場合、増幅光のパワーが大きく減少する。このため、光増幅ファイバによる増幅前の段階でスペクトルを整形することが求められる。したがって実施の形態2ではシード光のスペクトルを整形する。
図24に戻り、FGLだけでは、シード光スペクトルにおけるFPモード成分(背景スペクトル)を十分に抑制できない。このため背景スペクトルを抑制するための1つの方法として、LDチップの出射端面におけるARコートの反射率を下げる(一例を示すとARコートの反射率を0.05%以下とする)ことが考えられる。しかし、製造の面では、ARコートの反射率を安定的に低下させることが容易ではない。したがってコストが上昇する。
また、FGLのみによってスペクトル幅を狭くする(引き込む)場合、シードLDの動作条件(パルス幅、繰り返し周波数等)の変化によっても引き込み状態は変化する。たとえば数10ナノ秒のパルス内での時間的なスペクトル変化が生じた場合、波長変換後のパルスが不安定となる。またFBGの温度依存性を考慮すると、FGLでは発振状態が不安定になる可能性も考えられる。したがってFGLのみでは波長変換にとって適切なスペクトルを有するシード光を確実に得ることができない可能性がある。
実施の形態2では、光サーキュレータ71およびFBG72によって構成されたスペクトル整形部15(図23参照)によってシード光のスペクトルを整形する。スペクトル整形部15によってシード光のスペクトルを整形することで、FPモード成分を抑制することができる。FGLとスペクトル整形部15とを組み合わせることで、シード光のS/N比をより一層高くすることができる。一例を示すと、スペクトル整形部15では20dB程度のS/N比を得ることができる。したがってFGL(S/N比が30dB程度)とスペクトル整形部15(20dB程度)との組み合わせによって、シード光のS/N比を50dB程度にすることができる。
さらに、FBG72の帯域がフィルタ3(FBG)の帯域と同じかあるいはそれより小さいので、整形後のスペクトルの幅ΔλS2は、FGLのみによって得られるスペクトル幅ΔλS1と同等またはそれよりも小さくなる。
光増幅ファイバによってシード光を増幅した場合、光増幅ファイバによって、S/N比が低下することが起こる(たとえば20dB程度の低下)。しかし光増幅ファイバに入射するシード光のS/N比が高い(たとえば上記のように50dB程度)ため、光増幅ファイバによって増幅された後にも十分に高いS/N比(たとえば20dB以上)を確保した高ピークパワーの増幅光を得ることができる。増幅光のS/N比が20dB以上あれば、波長変換に寄与しない背景スペクトルのパワーも1%程度に抑えられるので、十分な波長変換効率を得ることができる。さらに、シード光のスペクトルが制限されるため、シードLDの動作条件が変化してもスペクトルの変化を抑制することができる。このため波長変換後のパルスを安定化させることができる。
なお、ファイバ増幅器に入力されるパワーについては、通常0.1〜1mW程度あれば、光ファイバでの増幅のゲインが高く飽和増幅するために、入力パワーにはほとんど依存せずに出力パワーを得ることができる。このため、スペクトル整形部の透過率が50〜70%程度であっても、十分なシード光パワーを得ることができる。
以上のように、実施の形態2によれば、パルス光源としてのシードLD2の出射端側に第1のFBG(フィルタ3)が設けられる。シードLD2および第1のFBGはファイバグレーティングレーザ(FGL)を構成する。レーザ光源装置は、さらに、第1のFBGから出射されたパルスレーザ光のスペクトルを整形するためのスペクトル整形部15を備える。スペクトル整形部15は、光サーキュレータ71と、第2のファイバブラッググレーティング(ファイバブラッググレーティング72)とを含む。
FGLとスペクトル整形部とを組み合わせることによって、適切なスペクトル幅(たとえば50pm以上、100pm以下の幅)を有し、かつS/N比の高いシード光を光増幅ファイバに入力することができる。なお、スペクトル整形部15の構成は図22に示した構成に限定されるものではなく、図22に示した構成に種々の変形を加えてもよいし、図23に示した構成とは異なる構成であってもよい。
また、実施の形態2ではシード光パワーの時間的な変化(すなわちパルス波形)は特に限定されない。したがって実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせることもできる。すなわち、シードLD2から、強度の極大値と極小値とが時間的に繰り返され、かつ強度波形の包絡線が所定の形状となるパルス光を発生させて、スペクトル整形部にそのパルス光を通すことによって、波長変換に有効なスペクトル成分のみが選択的に光増幅ファイバによって増幅されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,11 光増幅ファイバ、2 シードLD、3 フィルタ、4 アイソレータ、5,9A〜9D 励起LD、6 結合器、7 アイソレータ、8 バンドパスフィルタ、10 結合器、12 アイソレータ、13 エンドキャップ、14 波長変換部、15 スペクトル整形部、20 制御部、21 パルスジェネレータ、22,23,24A-24D ドライバ、31 集光レンズ、32,34,36 非線形光学結晶、33,35,37 波長選択性フィルタ、40 コア、41 第1クラッド、42 第2クラッド、43 外皮、44 応力付与部、50 加工対象、51 記憶部、52 FPGA、53 D/Aコンバータ、54 アンプ、56,64,65,67 トランジスタ、57,63,68 抵抗、61 LDオン/オフ信号発生回路、62 包絡線発生回路、71 光サーキュレータ、72 ファイバブラッググレーティング、73 ビームダンパ、100 レーザ加工装置、101,101A レーザ光源、102 制御装置、103 走査光学系、150 ワーク、C1,C2 曲線、D 波形データ、E,Ea〜Ed 包絡線。

Claims (15)

  1. パルスレーザ光を発するパルス光源と、
    前記パルスレーザ光と励起光とが入射されることにより前記パルスレーザ光を増幅可能に構成された光増幅ファイバと、
    前記光増幅ファイバに入射されるための前記励起光を発する励起光源と、
    前記光増幅ファイバによって増幅された前記パルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、前記増幅光とは波長が異なる波長変換光を発生可能な波長変換素子とを備える、レーザ光源装置。
  2. 前記パルス光源は、前記パルスレーザ光の強度の極大値と極小値とが時間的に繰り返され、かつ、当該強度波形の包絡線が所定の形状となるように、前記パルス光を発生させる、請求項1に記載のレーザ光源装置。
  3. 前記増幅光を複数のパルスを含むパルス群と定義し、かつ、前記増幅光の時間波形の形状を、前記増幅光に含まれる複数のパルスの包絡線によって定義した場合には、前記複数のパルスの各々の時間波形の半値全幅は、0よりも大きく、かつ前記増幅光の時間波形の半値全幅の3/10以下である、請求項2に記載のレーザ光源装置。
  4. 前記複数の光パルスの各々の時間波形の半値全幅は、0よりも大きく、かつ前記増幅光の時間波形の半値全幅の1/10以下である、請求項3に記載のレーザ光源装置。
  5. 前記波長変換光を複数のパルスを含むパルス群と定義し、かつ、前記波長変換光の時間波形の形状を、前記波長変換光に含まれる複数のパルスの包絡線によって定義した場合には、前記波長変換光の時間波形の半値全幅は、10ナノ秒以上かつ100ナノ秒以下である、請求項2から4のいずれか1項に記載のレーザ光源装置。
  6. 前記波長変換素子に入射される前記増幅光のパワーは、前記波長変換素子の変換効率が前記波長変換素子に入射される光のパワーの変動に対して飽和する所定の飽和領域に含まれる、請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザ光源装置。
  7. 前記極大値と前記極小値とが時間的に繰り返される間、前記極大値は時間に対して単調増加する、請求項2に記載のレーザ光源装置。
  8. 前記パルス光源は、半導体レーザを含み、
    前記レーザ光源装置は、
    前記半導体レーザの出射側に設けられた第1のファイバブラッググレーティングと、
    前記第1のファイバブラッググレーティングと前記光増幅ファイバとの間に設けられて、前記パルスレーザ光のスペクトルを整形するスペクトル整形部とをさらに備える、請求項1に記載のレーザ光源装置。
  9. 前記スペクトル整形部は、
    光を受けるための第1のポートと、前記第1のポートに入力された光を出力するとともに光を受けるための第2のポートと、前記第2のポートに入力された光を出力するための第3のポートとを有する光サーキュレータと、
    前記第2のポートから出た光を反射させるための第2のファイバブラッググレーティングとを含み、
    前記第1のポートは、前記第1のファイバブラッググレーティングからの前記パルスレーザ光を受け、
    前記第2のポートは、前記第1のポートに入力された前記パルスレーザ光を出力するとともに、前記第2のファイバブラッググレーティングによって反射された前記パルスレーザ光を受け、
    前記第3のポートは、前記第2のポートに入力された前記パルスレーザ光を前記光増幅ファイバに向けて出力する、請求項8に記載のレーザ光源装置。
  10. 前記増幅光のスペクトルの半値全幅は、前記波長変換素子の波長変換の許容スペクトル幅として予め定められた幅よりも小さく、かつ、前記光増幅ファイバにおける誘導ブリルアン散乱の発生閾値に基づいて定まる半値全幅よりも大きく設定される、請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザ光源装置。
  11. 前記増幅光のスペクトルの半値全幅は、0.05ナノメートル以上かつ0.1ナノメートル以下である、請求項10に記載のレーザ光源装置。
  12. 前記光増幅ファイバは、前記光増幅ファイバに入射された前記パルスレーザ光の偏光を維持したまま前記パルスレーザ光を伝送可能に構成されたファイバである、請求項1から11のいずれか1項に記載のレーザ光源装置。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載のレーザ光源装置と、
    前記波長変換素子から出射された前記波長変換光を加工対象に向けて照射するための光学系とを備える、レーザ加工装置。
  14. レーザ光源装置の制御装置であって、前記レーザ光源装置は、
    パルスレーザ光を発するパルス光源と、
    前記パルスレーザ光と励起光とが入射されることにより前記パルスレーザ光を増幅可能に構成された光増幅ファイバと、
    前記光増幅ファイバに入射されるための前記励起光を発する励起光源と、
    前記光増幅ファイバによって増幅された前記パルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、前記増幅光とは波長が異なる光を発生可能な波長変換素子とを備え、
    前記制御装置は、
    前記光増幅ファイバへの入射のための前記パルスレーザ光の強度を変調可能に構成された強度変調部と、
    前記光増幅ファイバへの入射のための前記パルスレーザ光の強度が、極大値と極小値との間で時間的に繰り返され、かつ当該強度波形の包絡線が所定の形状となるように前記強度変調部を制御する変調制御部とを備える、レーザ光源装置の制御装置。
  15. レーザ光源装置の制御方法であって、前記レーザ光源装置は、
    パルスレーザ光を発するパルス光源と、
    前記パルスレーザ光と励起光とが入射されることにより前記パルスレーザ光を増幅可能に構成された光増幅ファイバと、
    前記光増幅ファイバに入射されるための前記励起光を発する励起光源と、
    前記光増幅ファイバによって増幅された前記パルスレーザ光としての増幅光を受けることによって、前記増幅光とは波長が異なる光を発生可能な波長変換素子とを備え、
    前記制御方法は、
    前記パルスレーザ光の強度が、極大値と極小値との間で時間的に繰り返され、かつ当該強度波形の包絡線が所定の形状となるように、前記光増幅ファイバへの入射のための前記パルスレーザ光の強度を変調するステップと、
    前記励起光を前記励起光源から出射させるステップとを備える、レーザ光源装置の制御方法。
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