JP2010230110A - リニアアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】直動部材の回転を規制するガイド部材と、このガイド部材に係合する回転阻止部材との間における温度変化によるがたつきを低減させた、直動部材の動作精度や駆動中の静穏性に優れたリニアアクチュエータを提供すること。
【解決手段】モータ10のねじ部材144に螺合された直動部材20と、該直動部材20の回転を規制すると共にその外周面の一部が平面で切り欠かれたDカット部321,322、および該Dカット部321,322から外側に向かって突出した突出部321a,322aを有する合成樹脂製のガイド部材30と、該ガイド部材30の前記Dカット部321,322と係合する直線部441,442、および該直線部441,442から外側に向かって凹んだ前記突出部321a,322aと係合する係合凹部441a,442aが形成された係合穴44を有する金属製の回転阻止部材40とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、リニアアクチュエータに関し、更に詳しくは、モータの回転動力を直線動力に変換する機構を備え、直動部材をモータの軸線方向に進退移動させるリニアアクチュエータに関するものである。
従来一般に、モータ(ステッピングモータ)の回転動力に基づき直動部材を進退移動させるリニアアクチュエータが知られている。このようなリニアアクチュエータは、各種気体や液体などの流路を開閉する弁体の駆動装置として好適に用いられ、例えば、燃料用ガスの開閉バルブやガス流量調整バルブとして、ガス給湯器などのガス燃焼機器に多く使用されている。
そのリニアアクチュエータとして、例えば特許文献1や特許文献2には、駆動源であるモータと、このモータの動力がねじ機構を介して伝達される直動部材を備え、この直動部材がガイド部材に形成されたガイド穴によって回転が規制されることで、モータの回転に伴って直動部材が直線動作する構成が記載されている。このようなリニアアクチュエータでは、直動部材の回転を規制するガイド部材が直動部材と一緒に回転してしまうことのないよう、ガイド部材の回転止め機構も必要となる。特許文献1や特許文献2では、直動部材の回転を規制するガイド部材は、リニアアクチュエータのケース体として機能する回転阻止部材によって回転が規制されている。
特開2007−312570号公報 特開2007−326595号公報
しかしながら、上述のようにこの種のリニアアクチュエータは、例えば特許文献2の図3に示されるように、ガス燃焼機器のガス管などに直接固定されて用いられる場合がある。そのため、熱などの影響でケース体が溶融し、ガス漏れが発生することのないよう、ガスが存在する空間と外気とをシールする機能を持つ回転阻止部材は、金属材料によって構成されている。一方、直動部材や、この直動部材の回転を規制するガイド部材は、直動部材とガイド部材の間の摺動抵抗を低減するため、共に樹脂材料によって形成されている。つまり、樹脂製のガイド部材は、金属製の回転阻止部材によって回転が規制されているため、温度上昇に伴う両者の膨張率が大きく異なり、温度変化による両者の干渉を避けるため、両者の係合部には隙間を設ける必要がある。これにより、両者の係合状態でがたつきが生じ、直動部材の動作精度の低下や、駆動中における騒音や振動が発生してしまうという問題がある。
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、直動部材の回転を規制するガイド部材と、このガイド部材に係合する回転阻止部材との間における温度変化によるがたつきを低減させた、直動部材の動作精度や駆動中の静穏性に優れたリニアアクチュエータを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るリニアアクチュエータは、モータの回転動力を直線動力に変換して被駆動体に出力するリニアアクチュエータであって、前記モータによって回転駆動されるねじ部材に螺合された直動部材と、該直動部材の回転を規制すると共にその外周面の一部が平面で切り欠かれたDカット部、および該Dカット部から外側に向かって突出した突出部を有する合成樹脂製のガイド部材と、該ガイド部材の前記Dカット部と係合する直線部、および該直線部から外側に向かって凹んだ前記突出部と係合する係合凹部が形成された係合穴を有する金属製の回転阻止部材とを備え、前記突出部は、その突出方向と直交する方向における大きさが、前記Dカット部と直交する方向における前記突出部を除いた前記ガイド部材の大きさよりも小さく形成されていることを要旨とするものである。
本発明に係るリニアアクチュエータは、直動部材の回転を規制するガイド部材は、その外周面に形成されたいわゆるDカット部に加え、そのDカット部から突出した突出部が形成され、この突出部が回転阻止部材の係合穴に設けられた係合凹部に係合されることによって回転が規制されるよう構成されている。そして、この突出部は、その突出方向と直交する方向における大きさが、前記Dカット部と直交する方向における前記突出部を除いた前記ガイド部材の大きさよりも小さく形成されている。したがって、ガイド部材のDカット部と回転阻止部材の直線部との間にがたつきが生じるような温度環境下で使用される場合であっても、大きさが小さいため温度変化に伴う寸法変化量が少ない突出部と係合凹部の間には、従来のような大きながたつきが生じることはない。つまり、温度変化における動作精度の低下、騒音や振動の発生が効果的に防止される。
この場合、前記直動部材は、前記ねじ部材に螺合される本体部と、該本体部と一体的に形成された複数の出力軸部とからなり、前記ガイド部材の中央には、モータ軸の一端を支持する軸支持部が形成されていれば好適である。
このように、直動部材に出力軸部を複数設け、モータ軸がガイド部材の中央で支持されるように構成すれば、ガイド部材に設けられる軸支持部と上記突出部との距離が従来よりも遠くなり、肉厚な突出部を設けることによるヒケの影響で軸支持部の位置ずれや形状の変形が生じてしまうことが防止される。これにより、モータ軸の傾倒によるトルクロスや振動、騒音の発生を抑制することができる。
また、前記ガイド部材には、前記複数の出力軸部のそれぞれが挿通されるガイド穴が形成されており、該ガイド穴と前記出力軸部の一側面が当接することにより前記直動部材の回転が規制され、前記ガイド穴と前記出力軸部の他側面との間には所定の大きさのクリアランスが設けられていればよい。
このように、ガイド穴と当接される出力軸部の一側面の反対側の他側面とガイド穴との間に所定の大きさのクリアランス(具体的には、成形時におけるヒケなどによりガイド穴、あるいは出力軸部に生じ得る寸法誤差などを吸収することができる大きさのクリアランス)が設けられていれば、出力軸部がガイド穴に圧入されるような状態となることが回避され、直動部材をスムーズに進退動作させることができる。このようなクリアランスを設ける一方、モータ駆動時に出力軸部の一側面とガイド穴とが当接することによって直動部材の回転が規制されるようにすれば、直動部材が精度良く位置決めされるため、上記クリアランスによって直動部材の位置(動作)精度が悪化してしまうことはない。
さらに、前記直動部材は、前記複数の出力軸部のいずれかに形成された取付穴に回転自在に支持された連結軸を介して前記被駆動体と連結されていれば好適である。
このように、直動部材と被駆動体とを連結する連結軸を、直動部材の出力軸に回転自在に支持させることで、連結軸に直交する方向に働く力を、連結軸の回転によって吸収することができ、製品の耐久性が向上する。
本発明に係るリニアアクチュエータによれば、直動部材の回転を規制するガイド部材は、その外周面に形成されたいわゆるDカット部に加え、そのDカット部から突出した突出部が形成され、この突出部が回転阻止部材の係合穴に設けられた係合凹部に係合されることによって回転が規制されるよう構成されている。そして、この突出部は、その突出方向と直交する方向における大きさが、前記Dカット部と直交する方向における前記突出部を除いた前記ガイド部材の大きさよりも小さく形成されている。したがって、ガイド部材のDカット部と回転阻止部材の直線部との間にがたつきが生じるような温度環境下で使用されている場合であっても、温度変化に伴う寸法変化量が少ない突出部と係合凹部の間には、従来のような大きながたつきが生じることはなく、直動部材の動作精度の低下や、装置駆動中における騒音や振動の発生を防止することができる。
本発明の第一の実施形態に係るリニアアクチュエータの外観斜視図である。 図1に示したリニアアクチュエータの断面図である。 図1に示したリニアアクチュエータの分解斜視図である。 図1に示したリニアアクチュエータを上方から見た正面図である。 突出部と係合凹部の隙間を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るリニアアクチュエータ1の外観斜視図、図2はその断面図、図3はその分解斜視図(ステータ12を除く)である。なお、以下の説明における上下方向とは、図2における上下方向をいうものとする。
本実施形態に係るリニアアクチュエータ1は、ガス給湯器などのガス燃焼機器が備えるガス管の流路を開閉する弁体の駆動装置として使用される。図2に示されるように、リニアアクチュエータ1は、パッキン92などを介してガス管などの密閉空間90に取り付けられる。すなわち、密閉空間90は、通過するガスが漏れないよう、リニアアクチュエータ1によって密閉されている。
このリニアアクチュエータ1は、駆動源であるモータ10と、モータ10によって回転駆動されるねじ部材144に螺合された直動部材20と、直動部材20の回転を規制するガイド部材30と、ガイド部材30の回転を規制する回転阻止部材40とを備える。
モータ10は、公知のステッピングモータであり、詳細な説明は省略するが、ステータ12およびロータ14を備える。ステータ12は、ステータコア121に駆動コイル122が巻回されて構成され、ステータケース50に収納されている。ロータ14は、ホルダ143に永久磁石142が固定されることで構成され、モータ軸141に回転自在に支持され、有底筒状の本体ケース52に収納されている。ねじ部材144はロータ14と一体に回転し、ねじ部材144には、その出力側に直動部材20が螺合される雄ねじ部144aが形成されており、雄ねじ部144aが形成されていない反出力側は、ホルダ143と一体に回転駆動するよう保持される。また、モータ軸141の一端は、本体ケース52の底部中央に形成された反出力側軸支持部52aに保持されており、他端は、ガイド部材30の中央に設けられた出力側軸支持部32a(本発明における軸支持部に相当する。)に支持されており、モータ軸141は本体ケース52に固定されている。
なお、図1および図2に示されるように、ステータケース50には、端子台54が固定されている。この端子台54には、駆動コイル122と電気的に接続された端子ピン54aが設けられ、この端子ピン54aより駆動コイル122に給電されることでロータ14の周りに所定の磁界が生じ、ロータ14と共にねじ部材144が回転する。
雄ねじ部144aに螺合された直動部材20は、本体部22および出力軸部24が合成樹脂材料で一体的に形成されてなる。円柱形状の本体部22の中央には、上記ねじ部材144の雄ねじ部144aに螺合される雌ねじ部22aが貫通して形成されている。そして、この雌ねじ部22aを挟むようにして、本体部22の出力側端面から断面略半円形状の二股状の出力軸部24(以下、一方を第一出力軸部241、他方を第二出力軸部242ということもある。)が突出形成されている。直動部材20は、雄ねじ部144aに雌ねじ部22aを螺合させることによってねじ部材144に取り付けられている。また、第一出力軸部241および第二出力軸部242のそれぞれには、モータ軸141に直交する同軸線上に取付穴241a,242aが形成されている。この取付穴241a,242aには、リニアアクチュエータ1によって駆動される被駆動体(本実施形態では、ガス流路を開閉する弁体)と、直動部材20を連結するための連結軸26が回転自在に支承される。
ガイド部材30は、合成樹脂材料で一体的に形成された部材であり、筒状部32とフランジ部34とを備える。筒状部32の底面には、直動部材20の第一出力軸部241および第二出力軸部242のそれぞれが挿通されるガイド穴331,332が形成されている。このガイド穴331,332に出力軸部24が挿通されることにより、直動部材20はその回転が規制されている。この直動部材20の回り止め構造の詳細については後述する。
直動部材20の回転を規制するガイド部材30は、ねじ部材144と共に回転しようとする直動部材20の回転動力を受け止める部材であるため、直動部材20と共にガイド部材30自体が回転してしまうことのないよう、回転阻止部材40によって回転が規制されている。この回転阻止部材40は、金属板のプレス加工などによって形成された板状の部材であり、本体ケース52の開口部を覆うように被着されている。このように、回転阻止部材40を金属で構成するのは、リニアアクチュエータ1は、図2に示すようにガス管などの密閉空間90内に突っ込むように取り付けられており、回転阻止部材40によって密閉空間90の密閉状態を維持しなければならないからである。つまり、例えば火災時などに回転阻止部材40が熱によって損傷し、密閉空間90内の可燃性ガスが漏れ、被害が拡大してしまうことを防止するため、回転阻止部材40を金属材料で構成する必要がある。
この回転阻止部材40の中央には、所定の大きさの窪み部42が形成されており、この窪み部42の中央に、ガイド部材30が挿通される係合穴44が形成されている。本実施形態では、この係合穴44にガイド部材30が挿通されることにより、ガイド部材30の回転が規制されている。
この点について、図1〜図3に加え、図4を参照して具体的に説明する。図4は、本実施形態に係るリニアアクチュエータ1を上方から見た正面図である。これらの図に示されるように、ガイド部材30には、その筒状部32の外周面が平面で切り欠かれたDカット部321,322が対向するように形成されている。さらに、このDカット部321,322の中央には、外側に向かって突出した突出部321a,322aが形成されている。
一方、図4から分かるように、回転阻止部材40の係合穴44には、上方から見た形状が直線形状である直線部441,442が形成され、この直線部441,442の中央には、外側に向かって凹んだ係合凹部441a,442aが形成されている。ガイド部材30は、Dカット部321,322を直線部441,442に当接させ、突出部321a,322aを係合凹部441a,442aに係合させた状態で、回転阻止部材40の係合穴44に挿通されている。
このように、ガイド部材30は、筒上部32の外周面に形成されたDカット部321,322が、係合穴44の直線部441,442に当接された状態で配設されることでその回転が規制されている(以下、この回り止めの構成を単にDカットということもある。)。加えて、本実施形態では、ガイド部材30が合成樹脂材料から形成され、回転阻止部材40が金属材料から形成されていることを考慮して、Dカット部321,322から突出して設けられた突出部321a,322aが、係合穴44の直線部441,442から外側に向かって凹んだ係合凹部441a,442aに係合される構成としている。
このような構成としているのは次の理由による。合成樹脂(PBT:線膨張係数9×10−5[1/℃])製のガイド部材30と金属(SECE:線膨張係数12.6×10−6[1/℃])製の回転阻止部材40とは膨張率が異なるため、高温環境下で使用される場合の膨張によって両者が干渉しないよう、隙間を設ける必要がある。仮に、ガイド部材30が、Dカットのみによってその回転が規制される構成であれば、ガイド部材30および回転阻止部材40全体の膨張量が大きく影響するDカット部321,322と直線部441,442には大きな隙間を設ける必要があるため、恒温環境下でのDカット部321,322と直線部441,442との間にがたつきが生じ、ガイド部材30によって回転が規制される直動部材20の動作精度の低下や、回転方向を逆にしたときに騒音や振動が発生するといった問題が生じる。
これに対し、本実施形態のように、係合する部材(ガイド部30および回転阻止部材40)全体の膨張量の差が大きく影響するDカットによりガイド部材30の回転が規制される構成に加え、突出部321a,322aと、係合凹部441a,442aとの係合によりガイド部材30の回転が規制される構成を備え、突出部321a,322aを構成する部分の幅(突出方向と直交する方向(図5(a)に示すX方向)における突出部321a,322aの大きさ)がDカット部321から322までの大きさ(Dカット部321,322と直交する方向(図5(a)に示すY方向)における突出部321a,322aを除いたガイド部材30の大きさ)よりも小さくなるようにすれば、温度変化によるY方向における突出部321a,322aを除いたガイド部材30の寸法変化より、X方向における突出部321a,322aの寸法変化が小さくなる。そのため、突出部321a,322aと係合凹部441a,442aの隙間を小さくすることができる。これにより、突出部321a,322aと係合凹部441a,442aのがたつきが小さくなり、Dカットのみによって回転が規制される構成と比較し、ガイド部材30と回転阻止部材40との間にそれほど大きながたつきが生じることはない。よって、直動部材20の動作精度を高く維持することができ、かつ駆動中の騒音や振動の発生を抑制することができる。
また、図5(a)のように、突出部321a,322aと係合凹部441a,442aの係合面45を、ネジ部材144の回転方向と略直交する向きに構成したため、図5(b)のように突出部321a,322aと係合凹部441a,442aの係合面をネジ部材144の回転方向に対して略斜めに構成した場合に比べ、突出部321a,322aと係合凹部441a,442aの隙間の幅a1が同じであるとすれば、ネジ部材144の回転方向(突出部321a,322aの突出方向と直交する方向)における隙間の長さa2を小さくすることができる。
また、突出部321a,322aをDカット部321,322から突出するように設けることにより、モータ軸141の中心から突出部321a,322aの先端までの距離を小さくすることができる。そのため、窪み部42を小さくすることが可能となり、パッキン92を小さくすることができる。さらに、モータ軸141の中心から突出部321a,322aの先端までの距離を小さくするため、突出部321a,322aの長さ(突出方向(図5(a)に示すY方向)の長さ)を極力小さく設定することが好ましい。ただし、ガイド部材30の回り止めとしての役割を果たすため、十分な機械的強度を確保することができる大きさでなければならない。
なお、このような突出部321a,322aおよび係合凹部441a,442aを設けることによる効果を考慮すれば、温度変化による膨張率の差の影響を小さくするため、突出部321a,322aの幅(突出方向と直交する方向(図5(a)に示すX方向)の大きさ)を極力小さく設定することが好ましい。ただし、ガイド部材30の回り止めとしての役割を果たすため、十分な機械的強度を確保することができる大きさでなければならない。
また、突出部321a,322aは、ガイド部材30の筒状部32の外周面に設けられるが、この突出部321a,322aを設けた分、ガイド部材30の成形時にヒケなどが生じるおそれがある。本実施形態では、ガイド部材30に形成された出力側軸支持部32aでモータ軸141の出力側軸端が支持される構成としているが、このようなヒケの影響を受けないようにするため、出力側軸受部32aを中央に設け、出力側軸支持部32aと突出部321a,322aとの距離ができるだけ大きくなるようにしている。具体的には、直動部材20の出力軸部24を第一出力軸部241と第二出力軸部242からなる二股状に形成することにより、モータ軸141を第一出力軸部241と第二出力軸部242との間に位置させることができるように構成している。
さらに、突出部321a,322aは、その突出方向(図5(a)に示すY方向)における長さが、Dカット部321から322までのガイド部材30の長さよりも小さい。そのため、回転阻止部材40にガイド部材30を組込む際に、まず隙間の大きい直線部441,442とDカット部321,322によってある程度の位置決めがされ、隙間の小さい係合凹部411a,442aと突出部321a,322aの組込みが容易になる。
このように、回転阻止部材40によって回転が規制されたガイド部材30は、前述したように、出力軸部24の回り止め部材として機能する。以下、この直動部材20の回り止め構造について説明する。
図4に示すように、第一出力軸部241および第二出力軸部242は、断面略半円形状に形成されており、それぞれが同じく略半円形状に形成されたガイド穴331,332に挿通されることによって回転が規制されている。具体的には、第一出力軸部241と第二出力軸部242における互いに対向する対向面(本発明における出力軸部の一側面に相当する。)241b,242bをガイド穴331,332の内側の面に当接させた状態とすることにより、出力軸部24の回転が規制されている。
一方、対向面241b,242bの反対側の外周面(本発明における出力軸部の他側面に相当する。)241c,242cと、ガイド穴331,332との間には、所定の大きさのクリアランスCが生じるように構成されている。具体的には、成形時におけるヒケなどによりガイド穴331,332、あるいは出力軸部24に生じ得る寸法誤差などを吸収することができる大きさのクリアランスCが設けられている。かかる構成とすれば、ガイド穴331,332や出力軸部24に生じる寸法誤差により、出力軸部24がガイド穴331,332に圧入されるような状態となることを回避することができる。
つまり、本実施形態では、出力軸部24の対向面241b,242bとガイド穴331,332とを当接させることによって、直動部材24の位置(動作)精度を確保しつつ、出力軸部24の外周面241c,242cとガイド穴331,332との間に所定の大きさのクリアランスCを設けることにより、直動部材20をスムーズに進退動作させることができる。
次に、このように構成されるリニアアクチュエータ1の動作について、一部上記説明と重複するが以下説明する。
まず、駆動源であるモータ10を駆動させ、ねじ部材144を所定の方向に回転させると、本体部22がねじ部材144の雄ねじ部144aに螺合された直動部材20もねじ部材144と共に回転しようとする。しかし、直動部材20の出力軸部24は、回転阻止部材40によって回転が規制されたガイド部材30のガイド穴331,332に挿通されているため、直動部材20が回転することはない。したがって、直動部材20は、ねじ部材144の回転に伴い、モータ軸141の軸線方向に前進動作する。このとき、出力軸部24は、その対向面241b,242bを当接させた状態でガイド穴331,332に挿通されているため、前進動作する際における出力軸部24の位置ずれを防止することができる。
直動部材20が前進すると、出力軸部24の取付穴241a,242aに回転自在に支持された連結軸26を介して直動部材20と連結された被駆動体が前進し、ガス流路が遮断される。ここで、直動部材20と被駆動体を連結する連結軸26が、出力軸部24の取付穴241a,242aに「回転自在に」支持されているのは、被駆動体に対して図4における左右方向に力が掛かった場合、連結軸26が回転することによりその力が吸収され、直動部材20(特に出力軸部24)に掛かる負荷を低減することができるためである。
直動部材20を後退させる場合には、直動部材20を前進させた場合とは反対方向にねじ部材144を回転させる。これにより、ガイド部材30のガイド穴331,332に挿通されることにより回転が規制されている直動部材20は、モータ軸141の軸線方向に後退し、ガス流路が開放される。このとき、出力軸部24は、その対向面241b,242bを当接させた状態でガイド穴331,332に挿通されているため、後退動作する際における出力軸部24の位置ずれを防止することができる。
以上、本実施形態に係るリニアアクチュエータ1の構成および動作について説明したが、このように構成される本実施形態に係るリニアアクチュエータ1によれば、次のような作用効果が奏される。すなわち、直動部材20の回転を規制するガイド部材30は、いわゆるDカットに加え、Dカット部321,322から突出するように形成された突出部321a,322aが、回転阻止部材40の係合穴44に設けられた係合凹部441a,442aに係合されることによって回転が規制されるよう構成されている。そして、突出部321a,322aは、その突出方向と直交する方向(図5(a)に示すX方向)における大きさが、Dカット部321,322と直交する方向(図5(a)に示すY方向)における突出部321a,322aを除いたガイド部材30の大きさよりも小さいため、ガイド部材30のDカット部321,322と回転阻止部材40の直線部441,442との間にがたつきが生じるような温度環境下で使用されている場合であっても、温度変化に伴う寸法変化量が少ない突出部321a,322aと係合凹部441a,442aとの間には大きながたつきが生じることはない。つまり、温度変化における動作精度の低下、騒音や振動の発生が効果的に防止される。
また、直動部材20を二股状に形成し、ガイド部材30の中央に形成された出力側軸支持部32aでモータ軸141の出力側軸端が支持され、かつこの出力側軸支持部32aと突出部321a,322aを軸方向に離間させたため、ガイド部材30における出力側軸支持部32aと突出部321a,322aとの距離が遠くなり、肉厚な突出部321a,322aを設けることによるヒケの影響で出力側軸支持部32aの位置ずれや形状の変形が生じてしまうことが防止される。これにより、モータ軸141の傾倒によるトルクロスや振動、騒音の発生を抑制することができる。
また、ガイド穴331,332と当接される出力軸部24の外周面241c,242cとガイド穴331,332との間に所定の大きさのクリアランスCが設けられていれば、出力軸部24がガイド穴331,332に圧入されるような状態となることが回避され、直動部材20をスムーズに進退動作させることができる。このようなクリアランスCを設ける一方、出力軸部24の対向面241b,242bとガイド穴331,332とは当接された状態にあるため、上記クリアランスCによって直動部材20の位置(動作)精度が悪化してしまうことはない。
さらに、直動部材20と被駆動体とを連結する連結軸26を、直動部材20の取付穴241a,242aが形成に回転自在に支持させることで、連結軸26に対し、その直交する方向に働く力を、連結軸26の回転によって吸収することができ、製品の耐久性が向上する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、本実施形態に係るリニアアクチュエータ1は、ガス給湯器などガス燃焼機器のガス流路を開閉する弁体の駆動装置として使用されることを説明したが、その他の流体流路を開閉する弁体の駆動装置としてはもちろんのこと、被駆動体が弁体以外の駆動装置としても適用可能である。
1 リニアアクチュエータ
10 モータ
141 モータ軸
144 ねじ部材
20 直動部材
22 本体部
24 出力軸部
241a,242a 取付穴
241b,242b 対向面
241c,242c 外周面
30 ガイド部材
32a 出力側軸支持部
321,322 Dカット部
321a,322a 突出部
331,332 ガイド穴
40 回転阻止部材
44 係合穴
441,442 直線部
441a,442a 係合凹部

Claims (4)

  1. モータの回転動力を直線動力に変換して被駆動体に出力するリニアアクチュエータにおいて、前記モータによって回転駆動されるねじ部材に螺合された直動部材と、該直動部材の回転を規制すると共にその外周面の一部が平面で切り欠かれたDカット部、および該Dカット部から外側に向かって突出した突出部を有する合成樹脂製のガイド部材と、該ガイド部材の前記Dカット部と係合する直線部、および該直線部から外側に向かって凹んだ前記突出部と係合する係合凹部が形成された係合穴を有する金属製の回転阻止部材とを備え、前記突出部は、その突出方向と直交する方向における大きさが、前記Dカット部と直交する方向における前記突出部を除いた前記ガイド部材の大きさよりも小さく形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  2. 前記直動部材は、前記ねじ部材に螺合される本体部と、該本体部と一体的に形成された複数の出力軸部とからなり、前記ガイド部材の中央には、モータ軸の一端を支持する軸支持部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
  3. 前記ガイド部材には、前記複数の出力軸部のそれぞれが挿通されるガイド穴が形成されており、該ガイド穴と前記出力軸部の一側面が当接することにより前記直動部材の回転が規制され、前記ガイド穴と前記出力軸部の他側面との間には所定の大きさのクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
  4. 前記直動部材は、前記複数の出力軸部のいずれかに形成された取付穴に回転自在に支持された連結軸を介して前記被駆動体と連結されていることを特徴とする請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
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