JP2010229411A - 6配位ルテニウムまたはオスミウム金属カルベンメタセシス触媒 - Google Patents

6配位ルテニウムまたはオスミウム金属カルベンメタセシス触媒 Download PDF

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【課題】新規な6配位メタセシス触媒を提供する。
【解決手段】開環メタセシス重合(ROMP)、閉環メタセシス(RCM)、ADMETおよびクロスメタセシスにおいても有用である、新規な6配位メタセシス触媒ならびにその調製方法およびその使用方法。オレフィンメタセシス反応で使用されるルテニウムおよびオスミウムカルベン触媒に関する。より詳細には、6配位ルテニウムおよびオスミウムカルベン触媒ならびにその調製方法をしめす。6配位メタセシス触媒は、下記式のものである。
Figure 2010229411

【選択図】なし

Description

メタセシス触媒は、例えば米国特許第5312940号、同第5342909号、同第5728917号、同第5750815号、同第5710298号および同第5831108号ならびにPCT公開公報第WO97/20865号および同第WO97/29135号にすでに記載されている(これらはいずれも、本明細書に援用される)。これらの刊行物は、いくつかの有利な特性を有する明瞭な単一の成分であるルテニウム触媒またはオスミウム触媒について記載している。例えばこれらの触媒は、各種官能基に対して耐容性であり、従来知られているメタセシス触媒より活性が高い。
最近、特許文献1〜3(これらの各内容は本明細書に援用される)に記載のようなイミダゾリジンまたはトリアゾリジン配位子などのN−複素環カルベン(NHC)配位子を金属−カルベン錯体に組み込むことで、これら触媒のすでに有利な特性を改善することが認められている。予想外かつ驚くべき結果として、すでに確立されている5配位触媒構造から6配位触媒構造に構造を変えることで、触媒の特性が大幅に向上することが認められている。
米国特許第6,426,419号明細書 米国特許第7,329,758号明細書 国際公開第99/51344号パンフレット
例えば、本発明のこれらの6配位触媒によって、閉環メタセシス(「RCM」)反応だけでなく、クロスメタセシス(「CM」)反応、非環式オレフィン類の反応および開環メタセシス重合(「ROMP」)反応などの他のメタセシス反応においても、活性および選択性が高くなった。
本発明は、新規な6配位メタセシス触媒ならびにその調製方法およびその使用方法に関する。本発明の触媒は、下記式のものである。
Figure 2010229411
式中、
Mはルテニウムまたはオスミウムであり;
XおよびX1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立してアニオン配位子
であり;
L、L1′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり;1つ以上のL、L1′およびL2がN−複素環カルベン配位子であり;かつ、
RおよびR1はそれぞれ独立して水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル
、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ
、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよび
1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、Rまたは
1置換基はそれぞれ、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうち
から選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく、それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子も、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
好ましい実施態様において、L2およびL1′はピリジンであり、LはホスフィンまたはN−複素環カルベン配位子である。N−複素環カルベン配位子の例としては以下のものなどがある。
Figure 2010229411
式中、
R、R1、R6、R7、R8、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して、水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カル
ボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニ
ルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、R、R1、R6、R7、R8、R9、R10およびR11の各置換基は
、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールからなる1つ以上の部分で置換されていてもよく、それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子もさらに、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。上記6配位ルテニウムまたはオスミウム触媒にNHC配位子を組み込むことで、これら錯体の特性が大幅に向上することが認められている。このNHCに基づく6配位錯体は極めて活性が高いことから、必要な触媒量は大幅に低減される。
錯体31をラベル表示で示す化学構造式。 開始物質の消失(502nm)を20℃でモニタリングした場合における、kobsと[C5D5N]のプロットを示すグラフ。
本発明は概して、オレフィンメタセシス反応で使用されるルテニウムおよびオスミウムカルベン触媒に関する。より詳細には本発明は、6配位ルテニウムおよびオスミウムカルベン触媒ならびにその調製方法および使用方法に関するものである。本明細書において「触媒」および「錯体」という用語は互換的に使用される。
未修飾のルテニウムおよびオスミウムカルベン錯体は、米国特許第5312940号、同第5342909号、同第5728917号、同第5750815号および同第5710298号に記載されており、それらはいずれも本明細書に援用される。これらの特許に開示されているルテニウムおよびオスミウムカルベン錯体はいずれも、形の上では+2酸化状態の金属中心を有し、電子数が16であり、5配位である。これらの触媒は下記一般式のものである。
Figure 2010229411
式中、
Mはルテニウムまたはオスミウムであり、
XおよびX1はそれぞれ独立してアニオン配位子であり、
LおよびL1はそれぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり、
RおよびR1同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボ
キシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニル
オキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、RまたはR1の各置換基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アル
コキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分によって置換されていてもよく、それらの各部分はまた、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子もさらに、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらの限定されるものではない。
本発明の触媒は、それがRuまたはOs錯体であるという点で同様である。しかしながら、これらの錯体では、金属は形式上+2酸化状態であり、電子数が18であって、6配位である。その触媒は以下の一般式を有する。
Figure 2010229411
式中、
Mはルテニウムまたはオスミウムであり、
XおよびX1同一であるか、または異なっており、それぞれ独立してアニオン配位子で
あり、
L、L1′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり、
RおよびR1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カル
ボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニ
ルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、RまたはR1の各置換基はC1〜C10アルキル、C1〜C10アル
コキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく;その各部分はさらにハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子も、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
6配位錯体は、公知の5配位錯体に勝るいくつかの長所を提供する。例えば6配位錯体は、配位的に飽和していることから、固体状態での空気安定性が相対的に高い。ピリジン類などの別の配位子は反応活性であることから、これらの錯体はホスフィン系の5配位化学種より早く開始する。開始が遅いということは、実際にはごく少量の錯体しか触媒的に活性ではないため、加えた錯体の多くが浪費されることを意味している。相対的に早い開始剤を用いると、触媒投入が低減される。さらに、理論に拘束されるものではないが、ホスフィン類に関して反応活性な配位子の再結合による6配位錯体の成長(propogation)が遅くなるということが多分散性につながるものと考えられる。さらに、配位的に飽和した化学種は5配位体より良好に結晶化する。さらに、6配位錯体における配位子(例:ピリジンおよび塩素)の反応活性により、その錯体では従来はでは得られなかった錯体を得ることができ、種々の経路によって得ることができる比較的純度の高いある種の錯体が得られる。例えば、ホスフィン配位子としてトリフェニルホスフィンを有する5配位ベンジリデンは、6配位錯体を用いて、より高収率およびより高純度で得ることができる。ホスフィン配位子としてP(p−CF3643を有する5配位ベンジリデンは、既存の経路では得られない。理論に拘束されるものではないが、それは、より弱い供与体配位子でより強い供与体配位子を置換する必要があるためであると考えられる。6配位錯体のアニオン配位子の置換は、相当する5配位化学種(例:ホスフィン結合したもの)よりかなり速度が大きい。理論に拘束されるものではないが、これは、アニオン配位子置換に先だって、配位子解離が必要であるために生じるものと考えられる。そこで、中性電子供与体配位子の解離が迅速である錯体は、より急速な置換を受ける。
本発明の触媒は、開環メタセシス重合(ROMP)、閉環メタセシス(RCM)、ADMETおよびクロスメタセシスにおいても有用である。これらメタセシス反応を介するオレフィンの合成および重合については、例えば、2001年6月25日出願の「官能化および非官能化オレフィンの合成(Synthesis of Functionalized and Unfunctionalized Olefins)」と題された米国特許出願09/891144号および米国特許出願09/491800号(これら各出願の内容は本明細書に援用される)に記載されている。本発明の触媒の好ましい実施態様は、以下の一般式に示したように、金属中心に結合した1つ以上のNHC配位子を有する。
Figure 2010229411
本発明の触媒の好ましい実施態様では、R置換基は水素であり;R1置換基は、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニルおよびアリールのうちから選択される。さらに好まし
い実施態様では、R1置換基は、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、フェニルおよ
び官能基のうちから選択される1つ以上の部分で任意に置換されたフェニルまたはビニルであり得る。特に好ましい実施態様においてR1は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、−N
2、−NMe2、メチル、メトキシおよびフェニルのうちから選択される1つ以上の部分で置換されたフェニルまたはビニルである。最も好ましい実施態様においてR1置換基は
、フェニルまたは−C=C(CH32である。R1がビニルの場合、その触媒は下記一般
式のものである。
Figure 2010229411
式中、M、L、L1、L1′、L2、X、X1およびRは上記で定義した通りである。R′およびR″は好ましくは独立して水素またはフェニルであるが、RまたはR1について挙
げた基のいずれかから選択することができる。
本発明の触媒の好ましい実施態様において、XおよびX1はそれぞれ独立して、水素、
ハライドまたはC1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20アルコキシド、アリールオキシド、C3〜C20アルキルジケトネート、アリールジケトネート、C1〜C20カルボキシレート、アリールスルホネート、C1〜C20アルキルスルホネート、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルまたはC1〜C20アルキルスルフィニルの基のうちの1つである。任意にXおよびX1は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリール
のうちから選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく;それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。より好ましい実施態様において、XおよびX1はハラ
イド、ベンゾエート、C1〜C5カルボキシレート、C1〜C5アルキル、フェノキシ、C1
〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、アリールおよびC1〜C5アルキルスルホネー
トである。さらに好ましい実施態様において、XおよびX1はそれぞれ、ハライド、CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2、(CH33CO、(CF32(CH3)CO、(CF3)(CH32CO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレートまたはトリフル
オロメタンスルホネートである。最も好ましい実施態様において、XおよびX1はそれぞ
れ塩素である。
L、L1、L1′およびL2は、適切な単座配位または多座配位の中性電子供与体配位子
であることができる。多座配位の中性電子供与体配位子には例えば、2座配位、3座配位および4座配位の中性電子供与体配位子などがある。本発明の触媒の好ましい実施態様において、L、L1、L1′およびL2はそれぞれ独立して、ホスフィン、スルホン化ホスフ
ィン(sulfonated phosphine)、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジンおよびチオエーテルまたはそれらのいずれかの誘導体のうちから選択される。L、L1、L1′およびL2の少なくとも一つは、N−複素環
カルベン配位子であってもよい。好ましい実施態様には、L1′およびL2がいずれも同一または異なったNHC配位子である錯体などがある。
好ましい実施態様において、L、L1、L1′およびL2のうちの少なくとも一つが式P
345のホスフィンであり、式中においてR3、R4およびR5はそれぞれ独立して、アリールまたはC1〜C10アルキル、特には1級アルキル、2級アルキルまたはシクロアル
キルである。さらに好ましい実施態様では、L、L1、L1′およびL2のうちの少なくと
も一つがそれぞれ、−P(シクロヘキシル)3、−P(シクロペンチル)3、−P(イソプロピル)3および−P(フェニル)3のうちから選択される。さらに好ましくは、L、L1
、L1′およびL2のうちの少なくとも一つがNHC配位子である。好ましい実施態様には、LがNHCであり;L1がP(シクロヘキシル)3または−P(シクロペンチル)3であ
り;L1′およびL2がそれぞれ、任意に芳香族であり得る複素環配位子であるか、または共に2座配位子を形成しているものなどがある。好ましくはL1′およびL2はそれぞれ独立して、ピリジンまたはピリジン誘導体である。
NHC配位子の例としては、下記一般式の配位子などがある。
Figure 2010229411
式中、R、R1、R′、R”、R6、R7、R8、R9、R10およびR11はそれぞれ独立し
て、水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリ
ール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ
、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1
〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、R、R1、R6、R7、R8、R9、R10
よびR11の各置換基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分によって置換されていてもよく;それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子もさらに、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
好ましい実施態様において、R6、R7、R8およびR9は独立して、水素、フェニルのうちから選択されるか、または一体となって、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシ、アリールならびに水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンのうちから選択される官能基のうちから選択される1つ以上の部分によって任意に置換されていてもよいシクロアルキルまたはアリールを形成しており;R10およびR11はそれぞれ独立して、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、アリールならびに水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンのうちから選択される官能基によって任意に置換されていてもよいC1〜C10アルキルまたはアリールである。
より好ましい実施態様において、R6およびR7はいずれも水素またはフェニルであるか;またはR6およびR7が一体となって、シクロアルキル基を形成しており;R8およびR9は水素であり;R10およびR11はそれぞれ置換または未置換アリールである。理論に拘束されるものではないが、相対的に嵩高いR10およびR11基は、熱安定性などの特性が改善された触媒を生じると考えられる。特に好ましい実施態様においては、R10およびR11は同一であり、それぞれ独立して下記式のものである。
Figure 2010229411
式中、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、C1〜C10アルキル
、C1〜C10アルコキシ、アリールまたは水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、ア
ルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンから選択される官能基である。特に好ましい実施態様において、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、水酸基およびハロゲンのうちから選択される。最も好ましい実施態様では、R12、R13およびR14は同一であって、それぞれメチルである。
これらの錯体で、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、水素であるか、またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C2 0アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択
される置換基である。イミダゾリジン配位子は、イミジゾール−2−イリデン配位子とも称される。
中性電子供与体配位子の他の例には例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ビピリジン、ピコリルイミン、γ−ピラン、γ−チオピラン、フェナントロリン、ピリミジン、ビピリミジン、ピラジン、インドール、クマロン、チオナフテン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ジチアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、キノリン、ビスキノリン、イソキノリン、ビスイソキノリン、アクリジン、クロメン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、トリアジン、チアントレン、プリン、ビスイミダゾールおよびビスオキサゾールなどの未置換または置換ヘテロアレーン類から誘導される配位子などがある。
置換基の例としては、OH、ハロゲン、C(O)ORs1、OC(O)Rs4、C(O)Rs2、ニトロ、NH2、シアノ、SO3y、OSO3y、NR20SO3y、N=N−Rs2
1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C12〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C5〜C9ヘテロアリール、C5
9ヘテロアリールオキシ、C7〜C11アラルキル、C7〜C11アラルキルオキシ、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニル、C7〜C10ヘテロアラルケニル、モノアミノ、ジアミノ、スルホニル、スルホンアミド、カルバミド、カーバメート、スルホヒドラジド、カルボヒドラジド、カルボヒドロキサム酸残基およびアミノカルボニルアミドがあり;Rs1は水素、My、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7
11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs 4は、水素、C1〜C12
ルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、
16〜C10アリール、C5〜C19ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10
ヘテロアラルキルであり;Rs2およびRs20は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12
ルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環ア
ルキル、C1〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニルまたはC7〜C10ヘテロアラルケニルであり;アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環アルキル、複素環アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキル、アラルケニルおよびヘテロアラルケニルはまた、未置換であるか上記の置換基のいずれかによって置換されており;yは1であって、かつMは1価の金属であるか;またはyは1/2であり、かつMは2価の金属である。
本発明の説明の文脈において、金属および対応するカチオンとは、例えばLi、NaまたはKなどのアルカリ金属;例えばMg、CaまたはSrなどのアルカリ土類金属またはMn、Fe、ZnまたはAg、ならびに対応するカチオンを指す。リチウムイオン、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンが、それらの塩とともに好ましい。NH2、モノアミ
ノ、ジアミノ、カルバミド、カーバメート、カルボヒドラジド、スルホンアミド、スルホヒドラジドおよびアミノカルボニルアミドは好ましくはR8C(O)(NH)pN(R9
−−、−−C(O)(NH)pNR89、R8OC(O)(NH)pN(R9)−−、R840NC(O)(N
H)pN(R9)−−、−−OC(O)(NH)pNR89、−−N(R40)C(O)(N
H)pNR89、R8S(O)2(NH)pN(R9)−−;−−S(O)2(NH)pNR89;R840NS(O)2N(R9)−−、または−−NR40S(O)2NR89の基に相当
し;R8、R9およびR40は互いに独立して、水素、OH、C1〜C12アルキル、C1〜C12
アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環
アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C16アラルキル、C2〜C6アルケニレンおよびC6〜C10アリールを有するC8〜C16アラルケニル、C6〜C15ヘテロアラルキル、C6〜C15ヘテロアラルケニルまたはジ−
6〜C10アリール−C1〜C6アルキルまたはR8′9′Nであり;R8′およびR9′
互いに独立して、水素、OH、SO3y、OSO3y、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C2〜C6アルケニレンおよびC6
〜C10アリールを有するC8〜C16アラルケニルまたはジ−C6〜C10アリール−C1〜C6アルキルであり、それらは未置換であるか、またはOH、ハロゲン、C(O)ORs1、OC(O)Rs4、C(O)Rs2、ニトロ、NH2、シアノ、SO3y、OSO3y、NR20
SO3y、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11
素環アルケニル、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C5〜C9ヘテロアリール、C5〜C9ヘテロアリールオキシ、C7〜C11アラルキル、C7〜C11アラルキルオキシ、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニル、C7〜C10ヘテロアラルケニル
、モノアミノ、ジアミノ、スルホニル、スルホンアミド、カルバミド、カーバメート、スルホヒドラジド、カルボヒドラジド、カルボヒドロキサム酸残基およびアミノカルボニルアミドのうちからの1つ以上の置換基によって置換されており;Rs1は水素、Zy、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アル
キル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6
10ヘテロアラルキルであり;Rs4は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9
ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs2は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキ
ル、C8〜C11アラルケニルまたはC7〜C10ヘテロアラルケニルであり;かつアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環アルキル、複素環アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキル、アラルケニルおよびヘテロアラルケニルはまた、未置換であるか上記の置換基のいずれかによって置換されており;pは0または1であり、かつyは1であり、かつZは1価の金属であるか、またはyは1/2であり、かつZは2価の金属であり;またはNR89または−−NR8′9′またはR840N−
−の場合にR8およびR9、またはR8′およびR9′、またはR8およびR40は一体となっ
て、テトラメチレン、ペンタメチレン、−−(CH22−−O−−(CH22−−、−−(CH22−−S−−(CH22−−または−−(CH22−−NR7−−(CH22
−であり;R7は、H、C1〜C6アルキル、C7〜C11アラルキル、C(O)Rs2またはスルホニルである。
スルホニル置換基は例えば、式R10−−SO2−−のものであり;R10は、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6
10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;それらは未置換であるか、またはOH、ハロゲン、C(O)ORs1、OC(O)Rs4、C(O)Rs2、ニトロ、NH2、シアノ、SO3y、OSO3y、NR20
SO3y、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11
素環アルケニル、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C5〜C9ヘテロアリール、C5〜C9ヘテロアリールオキシ、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニル、C7〜C10ヘテロアラルケニル、モノアミノ、ジアミノ、スル
ホニル、スルホンアミド、カルバミド、カーバメート、スルホンヒドラジド、カルボヒドラジド、カルボヒドロキサム酸残基およびアミノカルボニルアミドのうちから選択される1つ以上の置換基によって置換されており;Rs1は、水素、Zy、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs4は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロ
アルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs2およびR20は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリー
ル、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8
〜C11アラルケニルまたはC7〜C10ヘテロアラルケニルであり;アルキル、アルケニル
、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環アルキル、複素環アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、ヘテロアラルキル、アラルケニルおよびヘテロアラルケニルはまた、未置換であるか、または上記置換基のいずれかによって置換されており;yは1であり、かつZは1価の金属であるか;またはyは1/2であり、かつZは2価の金属である。好ましい中性電子供与体配位子は例えば、下記の群のヘテロアレーン類から誘導される。

Figure 2010229411
Figure 2010229411
Figure 2010229411
より好ましい化合物群は、L2およびL1′が互いに独立して、未置換であるか、またはC1〜C12アルキル、C2〜C11複素環アルキル、C5〜C9ヘテロアリール、ハロゲン、モノアミノ、ジアミノおよび−C(O)Hのうちからの1つ以上の置換基によって置換されたピリジルである場合に形成される。その例としては以下のものがある。
Figure 2010229411
別の好ましい化合物群は、L2およびL1′が一体となってビピリジル、フェナントロリニル、ビチアゾリル、ビピリミジニルまたはピコリルイミンであり;それらは未置換であるか、またはC1〜C12アルキル、C6〜C10アリールおよびシアノのうちからの1つ以上の置換基によって置換されており;置換基アルキルおよびアリールは未置換であるか、またはC1〜C12アルキル、ニトロ、モノアミ
ノ、ジアミノおよびニトロ−またはジアミノ−置換−−N=N−C6〜C10アリールのう
ちからの1つ以上の置換基によって置換されている場合に形成される。例としては以下のものがある。

Figure 2010229411
Figure 2010229411
さらに好ましくは、L2およびL1′はそれぞれ独立して、以下のもののうちから選択さ
れる。
Figure 2010229411
式中、Rは水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニ
ル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニ
ルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルス
ルフィニルのうちから選択される置換基のうちから選択される。任意にR基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分によって置換されていてもよく;それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらに、いずれの複素環もさらに1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましくはRは、C1〜C20アルキル、アリー
ル、エーテル、アミン、ハライド、ニトロ、エステルおよびピリジルのうちから選択される。
好ましくは、錯体1〜4を用いて、本発明の錯体の好ましい実施態様5〜29を調製する。

Figure 2010229411
Figure 2010229411
Figure 2010229411
Figure 2010229411
Figure 2010229411
上記においてsIMESは下記のものである。
Figure 2010229411
最も好ましくは、LはNHC、好ましくはイミダゾリジン配位子であり、L2およびL1′はピリジンである。
上記の全てのカルベン錯体において、L、L1、L1′、L2、X、X1、RおよびR1
うちの1以上が、L、L1、L1′、L2、X、X1、RおよびR1の少なくとも1つの他の
ものに結合されて、2座配位子または多座配位子列を形成していてもよい。
(合成:)
一般に本発明の触媒は、ピリジンなどの過剰の中性電子供与体配位子を、下記式の構造を有する前述の5配位金属カルベン触媒錯体と接触させることによって調製される。
Figure 2010229411
式中、
M、X、X1、L、L1、RおよびR1は上記で定義した通りであり;
第3の中性電子供与体配位子が金属中心に結合している。図式1には、本発明の6配位金属カルベン錯体の形成のための一般的合成を示してある。
Figure 2010229411
図式中、M、X、X1、L、L1、L1′、L2、RおよびR1は前記で定義した
通りである。
好ましい実施態様の合成を図式2に示す。
Figure 2010229411
図式1および2に示したように、過剰の配位子L2存在下で、5配位錯体はL1配位子を失い、配位子L2およびL1′が金属中心に結合する。配位子L2およびL1′は、例えば(過剰のピリジンを使用した場合)ピリジンなどの同じ化合物であるか、または一体となって2座配位子を形成し得る。これに代わって、L1およびL1′が同一であり、その場合、5配位化合物は過剰のL2存在下で必ずしもL1配位子を失わない。
大過剰の(約100当量)のピリジンと錯体1とを反応させると、赤から明緑色へと急速な色変化が起こり、得られた溶液を冷(−10℃)ペンタンに移し入れることで、ビスピリジン付加物(ImesH2)(Cl)2(C55N)2Ru=CHPh(31)の沈殿
が生じる。錯体31はペンタンで数回洗浄することにより精製することができ、CH2
2、ベンゼンおよびTHFに可溶の空気安定性緑色固体として単離される。この手順は
、錯体31を収率80〜85%で与え、数グラムの規模で容易に行われる。
室温における31の飽和ベンゼン溶液へのペンタン気相拡散によって、X線結晶構造決定に好適な結晶を成長させた。結晶分析の収集データおよび精査パラメータを表1にまとめてある。
Figure 2010229411
図1に錯体31のラベル表示した図を示してあり、代表的な結合長および結合角を表2に示してある。
Figure 2010229411
ビスピリジン付加物のいくつかの構造異性体を想定できるが、固体状態構造からは、ピリジンがシス形で結合して、ベンジリデンおよびN−複素環カルベン配位子に対してトランスの配位位置を占めていることがわかる。1.873(4)ÅというRu=C(1)(ベンジリデン炭素)の結合長は、(Cl)2(PCy32Ru=CHPh[d(Ru=C
α)=1.838(2)Å]および錯体1[d(Ru=Cα)=1.835(2)Å]を含む5配位ルテニウムオレフィンメタセシス触媒の場合よりわずかに長い。31におけるその長いRu=Cα結合は恐らく、ピリジン配位子の存在によるものである。2.033(4)ÅというRu−C(38)(N−複素環カルベン)の結合長は、錯体1の結合長より約0.05Å短く、それは恐らく、PCy3と比較してピリジンが相対的に大きさが小
さく、トランスの影響があまり強くないためである。Ru−C(1)およびRu−C(38)の結合距離における0.15Åの差は、前者の共有結合性および後者のルテニウム−カルベン結合の供与性を強調する。興味深いことに、これら2種類のRu−N結合距離は0.15Åより大きく異なっており、ベンジリデン配位子がN−複素環カルベンよりかなり大きいトランスの影響を与えることを示している。
錯体1とピリジンの間の反応の速度論を調べて、この配位子置換の機構を確認した。錯体1(0.88Mトルエン溶液)と過剰のピリジン−d5(0.18〜0.69M)との
反応では、150nmの赤方偏移可視MLCT吸収があり、この変換後にUV−visス
ペクトル測定を行うことができる。開始物質の消失(502nm)を20℃でモニタリングし、全ての場合について、データは5半減期にわたって一次速度論に適合した。kobs
と[C5D5N]のプロットを図2に示してある。このデータは、高濃度のピリジンであっても良好な線形適合(R2=0.999)を示しており、この直線のy切片(1.1×
10-3)は非常にゼロに近い。錯体1におけるホスフィン解離の速度定数(kB)を、31
P磁化移動実験によって測定したところ、20℃でkBは4.1×10-5-1である。こ
のkB値は、1における解離配位子交換の速度に上限を与えるものであり、ピリジン置換
における実測速度定数は明らかにkBより3桁高い。これらの結果を総合すると、ピリジ
ンによるPCy3の置換は、20°Cで5.7×10-2-1-1という2次速度定数を有
する会合機構によって進行することを示している。顕著に対照的な点として、オレフィン基質による1のホスフィン配位子の置換(オレフィンメタセシス反応における開始事象)は解離機構を介して起こる。
錯体31の初期反応性の調査は、双方のピリジン配位子が置換的に反応活性であることを示している。例えば、ベンジリデン31は1.1当量のPCy3と直ちに反応してピリ
ジンを放出し、錯体1を再生する。この平衡は、過剰のC55Nを加えることでピリジン付加物の方へ戻すことができるが、減圧下で揮発分を除去すると容易に再形成される。
31とPCy3の反応が容易であることは、ピリジンを他の進入配位子によって置換可
能であることを示唆しており、ビスピリジン錯体と非常に多様なホスフィン類との反応によって、一般式(ImesH2)(PR3)(Cl)2Ru=CHPhの新たなルテニウム
ベンジリデン類を得るための簡単かつ多様な経路が得られることが明らかになった。31と1.1当量のPR3との化合により、緑色から赤/褐色への色変化及び相当するPR3付加物の形成が生じる。残留ピリジンは減圧下で除去することができ、ルテニウム生成物は、数回のペンタン洗浄および/またはカラムクロマトグラフィーによって精製される。この配位子置換は、PPH3、PBn3およびP(n−Bu)3などの多様なアルキル−およ
びアリール置換ホスフィンについて良好に進行して、錯体32、33および34を生じる。
Figure 2010229411
さらに、本発明の方法を用いて、パラ置換トリフェニルホスフィン誘導体35、36および37(それぞれ、パラ置換基CF3、ClおよびOMeを有する)を調製することが
できる。錯体35の合成がし易いことは、P(p−CF3643が極めて電子不足のホスフィンであることから(χ=20.5cm-1)、特に特筆すべき点である。トリアリー
ルホスフィンルテニウム錯体32、35〜37は、それらがオレフィンメタセシス反応において、親錯体1よりほぼ2桁反応活性が高いことから、貴重な触媒である。
ピリジン置換反応においては、進入ホスフィン配位子に対しては、立体的制限および電子的制限の双方があるように思われる。例えば錯体31は、P(o−トリル)3と反応し
て安定な生成物を生成しないが、恐らくそれは進入配位子が禁制的な大きさであるためと思われる。P(o−トリル)3の円錐角は194°であるが、PCy3(31のピリジンに良好に置換することが示されている比較的大きいホスフィンの一つ)の円錐角は170°である。さらに、電子不足のホスフィンP(C663は、強制的な条件下であっても3
1とは反応を示さない。この配位子は、P(p−CF3643(χ=20.5cm-1)よりかなり低い電子供与能力を有し(χ=33.6cm-1)、やはりPCy3より大きい
円錐角を有する(θ=184°)。
本明細書に記載の方法は、錯体(NHC)(PR3)(Cl)2Ru=CHPhを得るための従来の合成経路に対して大幅な改善を提供するものである。これら化合物の以前の調製では、ビスホスフィン前駆体(PR32(Cl)2Ru=CHPhとNHC配位子との
反応を行っていた。この変換は多くの場合(特にNHCが小さい場合)収率が低く、各PR3配位子を有するルテニウム前駆体を並行して合成する必要があった。さらに、PPh3(θ=145°;χ=13.25cm-1;pKa=2.73)より小さく、電子供与性の
低いPR3配位子を有するビスホスフィン開始物質は調製することができず、以前の調製
方法によって利用可能な錯体には厳しい制限がある。
31の塩素配位子も、親錯体1の配位子よりかなり反応活性が高い。例えば21は、NaIと室温で2時間以内に定量的に反応して、(ImesH2)(I)2(C55N)Ru=CHPh(38)を与える。それとは対照的に、1とNaIとの間の反応は、同一条件下で完結するのに約8時間を要する。興味深いことに、1HNMRスペクトル測定で、ジ
ヨージド(diiode)錯体38はピリジン配位子を1個のみ有するが、類縁のジクロリド体31は2当量のピリジンに配意することを示している。38におけるヨージド配位子が比較的大きいことおよび金属中心での電子親和性が低いこと(31と比較して)がいずれも、この系における5配位錯体の形成に寄与するものと考えられる。
錯体31はさらに、KTp[Tp=トリス(ピラゾリル)ボレート]と25℃で1時間以内に定量的に反応して、明緑色の生成物Tp(ImesH2)(Cl)Ru=CHPh
(39)を生じるが、錯体1とKTpとの間の類似の反応は極めて遅い(後者の反応は、室温で数日後であっても50%未満しか完了しない)。減圧下で溶媒除去し、次に濾過を行い、ペンタンおよびメタノールで数回洗浄することで、空気および水分に対して安定な固体として39が得られる。予備1HNMR調査でも、31と過剰量のKOt−Buとの
化合によって、4配位ベンジリデンである(ImesH2)−(OtBu)2Ru=CHP
h(40)が室温で10分以内に定量的に生成することが示される。それとは対照的に、1とKOt−Buとの間で40を形成する反応は、35℃で数日後であっても完了しない。錯体40は、1のオレフィンメタセシス反応に関与する14−電子中間体である(IMesH2)(Cl)2Ru=CHPhのモデルと考えることができる。
本発明は、(IMesH2)(Cl)2(PCy3)Ru=CHPh(1)から(IMe
sH2)(Cl)2(C55N)2Ru=CHPh(31)を高収率で調製する手順を提供
する。1とオレフィン基質との反応とは対照的にこの配位子置換は、会合機構によって進行する。錯体31はホスフィン類と容易に反応して、本明細書に記載の新たな錯体を入手可能とする。錯体31はさらに、KOt−Bu、NaIおよびKTpと反応して、新たな
4配位、5配位または6配位のルテニウムベンジリデン類を与える。本発明の方法は、構造的に多様な配位子配列を有する新たなルテニウムオレフィン系メタセシス触媒の開発を
促進する上で有用である。
(オレフィンメタセシス)
本発明の錯体は、オレフィンメタセシス反応、特に重合反応において有用である。これらの触媒は、各種メタセシス反応で使用することができ、その反応には、鎖状および非鎖状環状オレフィンの開環メタセシス重合、非環状ジエン類の閉環メタセシス、非環状ジエンメタセシス重合(「ADMET」)、自己メタセシス反応(self−metathesis reaction)およびクロスメタセシス反応、アルキン重合、カルボニルオレフィン化、不飽和ポリマーの解重合、テレキーリックポリマーの合成およびオレフィン合成などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用される最も好ましいオレフィンモノマーは置換または未置換ジシクロペンタジエン(DCPD)である。各種のDCPD供給者および純度を用いることができ、それにはリオンデル(Lyondell)108(純度94.6%)、ベリスコル(Veliscol)UHP(純度99+%)、B.F.グッドリッチ・ウルトレン(登録商標)(Goodrich Ultrene)(純度97%および99% )およびヒタチ(純度99+%)などがある。他の好ましいオレフィンモノマーには、トリマー類、テトラマー類、ペンタマー類などの他のシクロペンタジエンオリゴマー類;シクロオクタジエン(COD;デュポン(DuPont));シクロオクテン(COE、アルファ・エーサー(Alfa Aesar));シクロヘキセニルノルボルネン(シェル(Shell));ノルボルネン(アルドリッチ(Aldrich));無水ノルボルネンジカルボン酸(無水ナジック);ノルボルナジエン(エルフ・アトケム(Elf Atochem));ならびにブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネン、オクチルノルボルネン、デシルノルボルネンなどの置換ノルボルネン類などがある。好ましくはオレフィン部分には、炭素数3〜200のモノまたはジ置換オレフィンおよびシクロオレフィンなどがある。最も好ましくは、メタセシス活性オレフィン部分には、例えばシクロペンテン類、シクロブテン類、シクロヘプテン類、シクロオクテン類、[2.2.1]ビシクロヘプテン類、[2.2.2]ビシクロオクテン類、ベンゾシクロブテン類、シクロペンテン類、トリマー,テトラマー,ペンタマーなどのシクロペンタジエンオリゴマー類;シクロヘキセン類などの置換または未置換の環状または多環式のオレフィン類などがある。さらには、そのような組成物には、1つ以上の炭素原子が、ハロゲン類、擬似ハロゲン類(pseudhalogens)、アルキル、アリール、アシル、カルボキシル、アルコキシ、アルキル−およびアリールチオレート、アミノ、アミノアルキルなどのラジカル部分から誘導される置換基を有する骨格または1つ以上の炭素原子が例えばケイ素、酸素、硫黄、窒素、リン、アンチモンまたはホウ素によって置き換わっている骨格を備えることも明らかである。例えばそのオレフィンは、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、ホスフェート、ホスファイト、サルフェート、サルファイト、スルホニル、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメート、ハロゲンまたは擬似ハロゲンなどの1つ以上の基で置換されていてもよい。同様にオレフィンは、C1〜C20アルキル、アリール、アシ
ル、C1〜C20アルコキシド、アリールオキシド、C3〜C20アルキルジケトネート、アリールジケトネート、C1〜C20カルボキシレート、アリールスルホネート、C1〜C20アルキルスルホネート、C1〜C20アルキルチオ、アリールチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニル、C1〜C20アルキルホスフェート、アリールホスフェートなどの1つ以上の基で置換されていてもよく、これらの部分は置換されていても未置換であってもよい。
これらのオレフィンモノマーは、単独で用いることができるか、または種々の組合せで互いに混合して、オレフィンモノマー組成物の特性を調節し得る。例えば、シクロペンタジエンダイマーおよびトリマーの混合物では融点が下がり、純粋なポリDCPDと比較し
て機械的強度および剛性の向上した硬化オレフィン共重合体が得られる。別の例として、COD、ノルボルネンまたはアルキルノルボルネン共単量体を組み込むと、比較的柔軟かつ弾力性のある硬化オレフィン共重合体が得られる傾向がある。メタセシス反応から形成されるポリオレフィン組成物は、熱硬化を受けやすく、添加剤、安定剤、速度調節剤、硬化および/または靭性調節剤、充填剤ならびに炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維(例:ケブラー(Kevlarおよびトワロン(Twaron;登録商標))、ポリエチレン繊維(例:スペクトラ(Spectra;登録商標)およびダイネー(Dyneema;登録商標))、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例:ザイロン(Zylon;登録商標))、ポリベンゾアミダゾール繊維(PBI)(これらに限定されるものではない)およびそれらの混成物および他のポリマー繊維などの繊維に対して耐容性である。
メタセシス反応では、任意に製剤補助剤を用い得る。公知の補助剤には、帯電防止剤、酸化防止剤(一次酸化防止剤、二次酸化防止剤またはそれらの混合物)、セラミック類、光安定剤、可塑剤、染料、顔料、充填剤、強化繊維、潤滑剤、接着促進剤、増粘剤および離型促進剤などがある。光学的特性、物理的特性、機械的特性、および電気的特性を向上させるための充填剤の例としては、粉末、ビーズおよび繊維状のガラスおよび石英、金属および半金属酸化物、炭酸塩類(例:MgCO3、CaCO3)、ドロマイト、金属硫酸塩(例:石膏および重晶石)、天然および合成ケイ酸塩(例:ゼオライト類、珪灰石および長石類)、炭素繊維、ならびにプラスチックの繊維または粉末などがある。
本発明のカルベン錯体を用いるメタセシス反応から得られるポリオレフィン組成物のUVおよび酸化耐性は、一次酸化防止剤(例:立体障害フェノール類など)、二次酸化防止剤(例:有機ホスファイト類、チオエステル類など)、光安定剤(例:立体障害アミン系光安定剤またはHALS)および、2000年2月4日出願の米国特許出願第09/498120号(この内容は、本明細書に援用される)に記載の紫外線吸収剤(例:ヒドロキシベンゾフェノン系吸収剤、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系吸収剤など)などの各種安定化添加剤を加えることで向上させることができる。
一次酸化防止剤の例としては、例えば4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)(エタノックス(Ethanox)702(登録商標);アルベマーレ社(Albemarle Corporation))、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス (3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(エタノックス330(登録商標);アルベマーレ社)、オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076(登録商標);チバガイギー(Ciba−Geigy))およびペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)(イルガノックス(登録商標)1010;チバガイギー)などがある。二次酸化防止剤の例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(イルガフォス(Irgafos)(登録商標)168;チバガイギー)、1:11(3,6,9−トリオキサウデシル)ビス(ドデシルチオ)プロピオナート(ウィングステイ(Wingstay)(登録商標)SN−1;グッドイヤー(Goodyear))などがある。光安定剤および光吸収剤の例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロナート(チヌビン(Tinuvin)(登録商標)144HALS;チバガイギー)、 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジtertペンチルフェノール(チヌビン(登録商標)328吸収剤;チバガイギー)、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル(チヌビン(登録商標)327吸収剤;チバガイギー)、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(キマスソルブ(Chimassorb)(
登録商標)81吸収剤;チバガイギー)などがある。
さらに、例えばトリフェニルホスフィン(TPP)、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリアルキルホスファイト類、トリアリールホスファイト類、混合ホスファイト類または米国特許第5939504号および米国特許出願第09/130586号(これらの各内容は、本明細書に援用される)に記載のものなどの他のルイス塩基のような好適な速度調節剤をオレフィンモノマーに加えて、必要に応じて重合速度を遅延または促進することができる。
得られるポリオレフィン組成物ならびにそれから調製される部材および物品は、例えば反応射出成形(RIM)、樹脂トランスファー成形(RTM)およびVARTM(真空RTM)およびSCRIMP(シーマン(Seemann)複合樹脂注入成形法)などの真空を用いる変法、開放鋳造(open casting)、回転成形、遠心成形、フィラメントワインディングおよび機械加工などの各種方法で加工することができる。これらの加工組成物は当業界では公知である。各種成形および加工法については、例えばPCT公開公報第WO97/20865号に記載されており、その開示内容は本明細書に援用される。
このメタセシス反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことが可能である。この重合反応で使用可能な溶媒の例としては、重合条件下で好ましくは不活性である有機溶媒、プロトン性溶媒または水系溶媒などがある。そのような溶媒の例としては、芳香族炭化水素類、塩素化炭化水素類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、水またはそれらの混合物などがある。好ましい溶媒には、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノール、エタノール、水またはそれらの混合物などがある。より好ましくは、溶媒はベンゼン、トルエン、p−キシレン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物である。最も好ましくは溶媒は、トルエンまたはベンゼンおよび塩化メチレンの混合物である。重合反応で形成されるポリマーの溶解度は、溶媒の選択および得られるポリマーの分子量によって決まる。
本発明の錯体は、それら触媒の活性レベル、安定性、溶解度および回収の容易さを調節および微調整することにおいて柔軟性を持たせることができる良好な配位子環境を有する。カルベン化合物の溶解度は、当業界で公知の疎水性または親水性配位子を適切に選択することで制御することができる。触媒の所望の溶解度は、主に反応基質および反応生成物の溶解度によって決まる。
本発明の金属カルベン錯体は、反応に加える錯体の全てではないにしてもほとんどを消費させるだけの高い開始速度を示している。従って、メタセシス反応で浪費される触媒が少ない。それとは対照的に、従来の5配位開始剤は、反応完結後にも残留する比較的多量の抽出可能物(すなわち、未重合モノマー)を有していた。成長速度も、前記2種類のピリジン配位子が存在することで遅延される。高い開始速度および低い成長速度により、従来の5配位錯体で得られるものと比較して、狭い多分散性を有するポリマーが得られる。さらに、加熱によって開始速度が上昇することが確認されている。5配位錯体の熱的開始は米国特許第6107420号に記載されており、その内容は本明細書に援用される。本発明の触媒を用いるメタセシス重合の開始および/または速度は、本発明の触媒をオレフィンと接触させることと、反応混合物を加熱することとを有する方法によって制御される。驚くべき予想外の結果として、本発明の触媒の熱的開始のTmaxは、従来の5配位触媒
のTmaxよりかなり高い。理論に拘束されるものではないが、製造される部品または物品
が充填系のタイプ(例:強化充填剤、繊維、ビーズなどを含む系)である場合には、メタ
セシス触媒を用いる反応において、その充填材料が熱シンクとして働き得るという点でそれは重要である。従来の5配位触媒を用いると、充填系から生じる熱シンクの影響のために、後硬化が必要となる場合があった。5配位触媒を用いる過酸化物架橋剤存在下でのROMP重合は、米国特許第5728785号(この開示内容は本明細書に援用される)に記載されている。それとは対照的に、本発明の6配位触媒を用いる反応の方がかなり多くの内部熱を発生する。この高いTmaxによって、後硬化の必要性が低減される。
さらに、架橋を促進するために過酸化物またはラジカルを加える場合であっても、ラジカル機構を使用する部分での架橋度は、従来の5配位メタセシス触媒を用いて得られる部分と比較して高い。さらに、半減期は最高温度によって決まる。本発明の触媒を用いると、半減期がかなり低下することから、必要な触媒量が減り、商業的にかなり有利となる。理論に拘束されるものではないが、Tmaxが高いということは、ROMP反応において、よ
り多くの環が開環し、硬化度が高くなることを示している。Tmaxが高くなると、抽出可
能物がほとんどゼロとなり、ほとんど全ての反応可能な分子が反応することを示している。例えばビニリデン類は、アルキリデン類より高温での安定性が高いという点で有利である。反応混合物に保護NHC(例:米国仮出願第60/288680号および同第60/278311号(これらの各内容は本明細書に援用される)に記載のImes配位子を加えると、ピーク発熱に大幅な上昇が認められる。さらに、ピークに達するまでの時間が大幅に短縮される。高いピーク発熱は、より多くの触媒が重合に利用可能であることを意味し、抽出可能物がゼロに近いことを示している。従って本発明の触媒は、充填剤および添加剤存在下であっても、より良好な変換率、より良好な特性を有する。
明瞭を期して、特に好ましい実施態様を参照しながら、本発明の具体的説明を行う。しかしながら理解すべき点として、これらの実施態様および実施例は、説明のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例)
(一般的手順)
有機金属化合物の取り扱いは、乾燥アルゴン雰囲気下または窒素充填真空雰囲気ドライボックス(O2<2ppm)中で、標準的なシュレンク(Schlenk)法を用いて行
った。NMRスペクトラムは、バリアン・イノバ(Varian Inova)(1Hに
関しては499.85MHz;31Pに関しては202.34MHz;13Cに関しては125.69MHz)またはバリアン・マーキュリー(Varian Mercury)300(1Hに関しては299.817;31Pに関しては121.39MHz;13Cに関して
は74.45MHz)で記録した。31PNMRスペクトラムは、外部標準としてH3PO4(δ=0ppm)を用いて基準とした。UV−ビススペクトラムは、HP8452Aダイオード−アレイ分光光度計で記録した。
(材料および方法)
溶媒精製カラムに通すことで、ペンタン、トルエン、ベンゼンおよびベンゼン−d6
乾燥させた。CaH2からの真空移動によってピリジンを乾燥させた。全てのホスフィン
類およびKTpは、市販入手先から入手し、入荷した状態で使用した。ルテニウム錯体1は、文献の手順に従って調製した。
*(IMesH2)(C1282)(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、1,10−フェナントロリン(0.85g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌したが、その間に暗紫色から茶橙色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶橙色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C1282)(Cl)2Ru=CHPh5を茶橙色粉末(1.7g、収率96%)として得た。
*(IMesH2)(C54BrN)2(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、3−ブロモピリジン(1.50g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(
54BrN)2(Cl)2Ru=CHPh6を明緑色粉末として得た(1.8g、収率86%)。
*(IMesH2)(C91222(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ピロリジノピリジン(1.40g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2
(C91222(Cl)2Ru=CHPh7を明緑色粉末として得た(1.9g、収率93%)。
1HNMR(300MHz、CD2Cl2):δ19.05(s、1H、CHPh)、8
.31(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.6Hz)、7.63(d、2H、オルトCH、JHH=8.4Hz)、7.49(t、1H、パラCH、JHH=7.4Hz)、7.33(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.9Hz)、7.10(t、2H、メタCH、JHH=8.0Hz)、7.03(brs、2H、MesCH)、6.78(brs、2H、MesCH)、6.36(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.3Hz)、6.05(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.9Hz)、4.08(brd、4H、NCH2CH2N)、3.30(m、4H、ピロリジンCH2)、3.19(m、4H、ピロリジンCH2)、2.61〜2.22(多重ピーク、18H、MesCH3)、2.02(m、4H、ピ
ロリジンCH2)、1.94(m、4H、ピロリジンCH2)。
例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(
91222(Cl)2Ru=CHPh=0.0151gを用いて、開始温度約24.2℃にて、DCPD:Ru比を約30,000:1として重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=194秒。Tmax=208.9℃。熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=165o\~C。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)
=1.23%。
*(IMesH2)(C67N)2(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−メチルピリジン(0.88g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移しいれたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2
(C67N)2(Cl)2Ru=CHPh8を明緑色粉末(1.5g、収率84%)として得た。
*(IMesH2)(C10822(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)に溶かし、トルエン(10mL)および4,4′−ビピリジン(0.74g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から茶橙色への色変化が認め
られた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶橙色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C10822(Cl)2Ru=CHPh9を茶橙色粉末(1.4g、収率71%
)として得た。
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.15(s、1H、CHPh)、8
.73〜8.68(多重ピーク、8H、ピリジンCH)、7.63〜6.77(多重ピーク、17H、ピリジンCH、パラCH、メタCH、MesCH)、4.08(brd、4H、NCH2CH2N)、2.61〜2.24(多重ピーク、18H、MesCH3)。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C10822(Cl)2Ru=CHPh=0.0153gを用いて、DCPD:Ru比を約30,000:1として、開始温度約24.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=953秒。Tmax=124.2℃。
*(IMesH2)(C71022(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ジメチルアミノピリジン(1.18g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C71022(Cl)2Ru=CHPh10を明緑色粉末(1.9g、99%
収率)として得た。
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.10(s、1H、CHPh)、8
.18(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.5Hz)、7.64(d、2H、オルトCH、JHH=7.5Hz)、7.48(t、1H、パラCH、JHH=7.0Hz)、7.38(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.5Hz)、7.08(t、2H、メタCH、JHH=7.5Hz)、7.00(brs、2H、MesCH)、6.77(brs、2H、MesCH)、6.49(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.0Hz)、6.15(d、2H、ピリジンCH、JHH=7.0Hz)、4.07(brd、4H、NCH2CH2N)、2.98(s、6H、ピリジンCH3)、2.88(s、6H、ピリジンCH3)、2.61〜2.21(多重ピーク、18H、MesCH3)。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C71022(Cl)2Ru=CHPh=0.0141gを用い、DCPD:Ru比(約30、000:1)および開始温度約24.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=389秒。Tmax=175.3℃。
*(IMesH2)(C1082)(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、2,2′−ビピリジン(0.74g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、紫色から暗褐色−赤色への色変化が認められた反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶赤色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C1082)(Cl)2Ru=CHPh11を茶赤色粉末(0.7g、収率41%)として得た。
*(IMesH2)(C65NO)2(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、2−ピリジンカルボキシアルデ
ヒド(1.01g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から暗青色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、暗青色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C65NO)2(Cl)2Ru=CHPh12を暗青色粉末(1.3g、
収率70%)として得た。
*(IMesH2)(C119N)2(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−フェニルピリジン(1.50g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から暗緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、暗緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2
)(C119N)2(Cl)2Ru=CHPh13を暗緑色粉末(2.0g、収率97%)
として得た。
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.23(s、1H、CHPh)、8
.74(brs、2H、ピリジン)、7.91(brs、2H、ピリジン)、7.70〜7.08(多重ピーク、19H、オルトCH、パラCH、メタCH、ピリジン)、6.93(brs、2H、MesCH)6.79(brs、2H、MesCH)、4.05(brs、4H、NCH2CH2N)、2.62〜2.29(多重ピーク、18H、MesCH3)。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C119N)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0153gを用い、DCPD:Ru比
(約30、000:1)および開始温度約13.4℃で重合させた。
結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=145秒。Tmax=202.2℃。 熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=168℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=1.17%。
*(IMesH2)(C181222(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、2,2′−ビキノリン(1.21g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から茶紫色へのわずかな色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶紫色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C181222(Cl)2Ru=CHPh14を茶紫色粉末(1.8g、収率93%)として得た。
*(IMesH2)(C55N)2(Cl)2Ru=CHPhの合成
錯体1(1.1g、1.3mmol)をトルエンに溶かし、ピリジン(10mL)を加えた。反応液を10分間撹拌した。その間に、ピンクから明緑色への色変化が認められた。反応混合物をカニューレによって、冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C55N)2(Cl)2Ru=CHPhを緑色粉末(0.75g、収率
80%)として得た。C66/ペンタンからの再結晶とそれに続く真空乾燥によって、元素分析用サンプルを調製した。これらのサンプルは、恐らくは減圧下でのピリジン喪失により、モノピリジン付加物(IMesH2)(C55N)(Cl)2Ru=CHPhとして分析される。
1HNMR(C66):∂19.67(s、1H、CHPh)、8.84(brs、2
H、ピリジン)、8.39(brs、2H、ピリジン)、8.07(d、2H、オルトCH、JHH=8Hz)、7.15(t、1H、パラCH、JHH=7Hz)、6.83〜6.04(広い多重ピーク、9H、ピリジンおよびMesCH)、3.37(brd、4H、CH2CH2)、2.79(brs、6H、MesCH3)、2.45(brs、6H、M
esCH3)、2.04(brs、6H、MesCH3)。
13C{1H}NMR(C66):∂314.90(m、Ru=CHPh)、219.1
0(s、Ru−C(N)2)、152.94、150.84、139.92、138.3
8、136.87、135.99、134.97、131.10、130.11、129.88、128.69、123.38、51.98、51.37、21.39、20.96、19.32。
33373Cl2Ruの元素分析
計算値:C、61.20;H、5.76;N、6.49
実測値:C、61.25;H、5.76;N、6.58。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C55N)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0127gを用い、DCPD:Ru比(約30,000:1)および開始温度約12.1℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=173秒。Tmax=201.9℃。熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=164℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=1.05%。
重合例:ヘキシルノルボルネン塊50gを、(IMesH2)(C55N)2(Cl)2
Ru=CHPh=0.0068gを用い、HxN:Ru比(約30,000:1)および
開始温度約12.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=9
9秒。Tmax=140.7℃。
*(PCp3)(C1282)(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、1,10−フェナントロリン(1.01g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から赤色−褐色の色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、赤色−褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C1282)(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3215を赤色−褐色粉末(1.8g、収率98%)として得た。
*(PCp3)(C54BrN)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、3−ブロモピリジン(1.76g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C54
BrN)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3216を緑色粉末(0.2g、収率10%)として得た。
*(PCp3)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、ピリジン(0.88g、4モル
当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3217を緑色粉末(0.6g、収率34%)として得た
*(PCp3)(C67N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−メチルピリジン(1.04g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C67N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3218を明緑色粉末(1.4g、収率
75%)として得た。
*(PCy3)(C1282)(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、1,10−フェナントロリン(0.91g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から橙褐色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、橙褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C1282)(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3219を橙褐色粉末(1.7g、収率97%)として得た。
*(PCy3)(C54BrN)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、3−ブロモピリジン(1.58g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色からの大幅な色変化は認められなかった。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、紫色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(
54BrN)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3220を紫色粉末(1.4g、収率67%)として得た。
*(PCy3)(C119N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−フェニルピリジン(1.55g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から褐色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C11
9N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3221を褐色粉末(1.6g、収率7
7%)として得た。
*(PCy3)(C67N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−メチルピリジン(0.93g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C67
N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3222を緑色粉末(1.6g、収率91%
)として得た。
*(PCy3)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、ピリジン(0.79g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3223を明緑色粉末(1.4g、収率83%)と
して得た。
*(IMesH2)(C119N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−フェニルピリジン(1.13g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C11
9N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3224を緑色粉末(0.9g、収率5
8%)として得た。
*(IMesH2)(C91222(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ピロリジノピリジン(1.08g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C91222(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3225を緑色粉末(1.0g、収率
65%)として得た。
1HNMR(300MHz、CD2Cl2):δ19.05(d、1H、CH−CH=C
(CH32、JHH=11Hz)、8.14(brs、2H、ピリジンCH)、7.69(d、1H、CH−CH=C(CH32、JHH=11Hz)、7.36(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.0Hz)、7.04(s、2H、MesCH)、6.81(s、2H、MesCH)、6.36(brs、2H、ピリジンCH)、6.12(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.0Hz)、4.06(md、4H、NCH2CH2N)、3.29(brs、4H、ピロリジンCH2)、3.23(brs、4H、ピロリジンCH2)、2.55〜2.12(多重ピーク、18H、MesCH3)、2.02(brs、4H、ピロ
リジンCH2)、1.97(brs、4H、ピロリジンCH2)、1.10(s、3H、CH−CH=C(CH32)、1.08(s、3H、CH−CH=C(CH32)。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C91222(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32=0.0147gを用い、DCPD:Ru比(約30,000:1)および開始温度約24.7℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=181秒。Tmax=200.9℃。熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=144℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=3.93%。
*(IMesH2)(C10822(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4,4′−ビピリジン(0.57g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20
℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色からの大幅な色変化は認められなかった。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2
(C10822(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3226を褐色粉末として得た(1.0g、収率64%)
*(IMesH2)(C71022(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ジメチルアミノピリジン(0.89g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し真空乾燥して、(IMesH2)(
71022(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3227を緑色粉末(0.9g、収率63%)として得た。
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.10(d、1H、CH−CH=C
(CH32、JHH=11.5Hz、)、8.18(brs、2H、ピリジンCH)、7.69(d、1H、CH−CH=C(CH32、JHH=11.5Hz)、7.41(brs、2H、MesCH)、6.49(brs、2H、ピリジンCH)、6.24(brs、2H、MesCH)、4.06(brm、4H、NCH2CH2N)、2.99(s、6H、ピリジンCH3)、2.59(s、6H、ピリジンCH3)、2.36〜2.12(多重ピーク、18H、MesCH3)、1.07(s、3H、CH−CH=C(CH32)、
1.06(s、3H、CH−CH=C(CH32)。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C71022(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32=0.0138gを用い、DCPD:Ru比(約30,000:1)および開始温度約24.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=200秒。Tmax=200.9℃。熱機械分析(TMA)で測定したガラス転移温度=145℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=4.57%。
重合例:ヘキシルノルボルネン塊50gを、(IMesH2)(C71022(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32=0.0074gを用い、HxN:Ru比(約30,000:1)および開始温度約16.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達す
るまでの時間=182秒。Tmax=141.7℃。
*(IMesH2)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32の合成
錯体4(0.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、ピリジン(10mL)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、褐色から褐色−緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、28(IMesH2)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32を緑色結晶(0.2g、収率47%)として得た。
1HNMR(300MHz、CD2Cl2):δ19.19(d、1H、Ru=CH−C
H=C(CH32、JHH=10.8Hz)、8.60〜6.85(多重ピーク、15H、ピリジン、MesCH、Ru=CH−CH=C(CH32、4.07(m、4H、NCH2CH2N)、2.58〜2.27(多重ピーク、12H、MesCH3)、2.31(s
、3H、MesCH3)、2.19(s、3H、MesCH3)、1.09(s、3H、CH−CH=C(CH32)、1.08(s、3H、CH−CH=C(CH32)。
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2
)(C55N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH32=0.0123gを用い、DCPD:Ru比(約30、000:1)および開始温度約12.5℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=129秒。Tmax=197.1℃。熱機械分析(TMA)で測定したガラス転移温度=157℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=2.13%。
*(IMesH2)(C55N)2(Cl)2Ru=CHPh(31)の合成
錯体1(4.0g、4.7mmol)に溶かし、トルエン(10mL)およびピリジン(30mL、0.37mol)を加えた。反応液を10分間撹拌した。その間に、赤色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物をカニューレによって、冷(−10℃)ペンタン100mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、ペンタン50mLで4回洗浄し、真空乾燥して、31を緑色粉末(2.9g、収率85%)として得た。C66/ペンタンからの再結晶とそれに続く真空乾燥によって、元素分析用サンプルを調製した。これらのサンプルは、恐らくは減圧下でのピリジン喪失によって、モノピリジン付加物(IMesH2)(C55N)(C1)2Ru=CHPhとして分析される。
1HNMR(C66):δ19.67(s、1H、CHPh)、8.84(brs、2
H、ピリジン)、8.39(brs、2H、ピリジン)、8.07(d、2H、オルトCH、JHH=8Hz)、7.15(t、1H、パラCH、JHH=7Hz)、6.83−6.04(br多重ピーク、9H、ピリジン、MesCH)、3.37(brd、4H、CH2CH2)、2.79(brs、6H、MesCH3)、2.45(brs、6H、Mes
CH3)、2.04(brs、6H、MesCH3)。
C{1H}NMR(C66):δ314.90(m、Ru=CHPh)、219.10
(s、Ru−C(N)2)、152.94、150.84、139.92、138.38
、136.87、135.99、134.97、131.10、130.11、129.88、128.69、123.38、51.98、51.37、21.39、20.96、19.32。
33373C12Ruの元素分析
計算値:C、61.20;H、5.76;N、6.49;
実測値:C、61.25;H、5.76;N、6.58。
*ホスフィン錯体:IMesH2)(PPh3)(Cl)2Ru=CHPh(41)の代
表的な合成
錯体31(150mg、0.21mmol)およびPPh3(76mg、0.28mm
ol)をベンゼン(10mL)中で混合し、10分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた褐色残留物をペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥した。錯体41を褐色粉末として得た(125mg、73%収率)。
31P{1H}NMR(C66):δ37.7(s)。 1HNMR(C78):δ19.60(s、1H、Ru=CHPh)、7.70(d、2H、オルトCH、JHH=8Hz)、7.29〜6.71(多重ピーク、20H、PPh3、パラCH、メタCHおよびMe
sCH)、6.27(s、2H、MesCH)、3.39(m、4H、CH2CH2)、2.74(s、6H、オルトCH3)、2.34(s、6H、オルトCH3)、2.23(s、3H、パラCH3)、1.91(s、3H、パラCH3)。
13C{1H}NMR(C66):δ305.34(m、Ru−CHPh)、219.5
7(d、Ru−C(N)2、JCP=92Hz)、151.69(d、JCP=4Hz)、1
39.68、138.35、138.10、138.97、137.78、135.89135.21、135.13、131.96、131.65、131.36、130.47、129.83、129.59(d、JCP=2Hz)、129.15、128.92、128.68、128.00、52.11(d、JCP=4Hz)、51.44(d、JCP=2Hz)、21.67、21.35、21.04、19.21。
46472Cl2PRuの元素分析
計算値:C、66.50;H、5.70;N、3.37;
実測値:C、66.82;H、5.76;N、3.29。
*(IMesH2)(OtBu)2Ru=CHPh(42)の合成
窒素下にNMR管中にて、錯体31(7.5mg、0.010mmol)およびKOt
Bu(3mg、0.027mmol)をC66(0.6mL)中で混合した。反応混合物を15〜20分間放置した。その間に、緑色から暗赤色への色変化が認められた。そして、30分後にNMRスペクトラムを記録した。
1HNMR(C66):δ16.56(s、1H、Ru=CHPh)、7.63(d、
2H、オルトCH、JHH=7Hz)、7.2〜7.1(多重ピーク、3H、メタCHおよびオルトCH)、6.97(s、4H、MesCH)、3.43(s、4HCH2CH2)、2.59(s、12H、オルトCH3)、2.29(s、6H、パラCH3)、1.18(s、18H、tBu)。
*Tp(IMesH2)(Cl)Ru=CHPh(43)の合成
KTp(87mg、0.34mmol)および錯体31(125mg、0.17mmol)をCH2C12(10mL)中で混合し、1時間撹拌した。ペンタン(20mL)を加えて塩を沈殿させ、反応液をさらに30分間撹拌し、次にカニューレ濾過した。得られた明緑色溶液を濃縮し、固体残留物をペンタン(2×10mL)およびメタノール(2×10mL)で洗浄し、真空乾燥して、43(84mg、収率66%)を分析的に純粋な緑色粉末として得た。
1HNMR(CD2C12):δ18.73(s、1H、Ru=CHPh)、7.87(
d、1H、Tp、JHH=2.4Hz)、7.41(d、1H、Tp、JHH=2.1Hz)、7.35〜7.30(多重ピーク、3H、TpおよびパラCH)、7.08(d、1H、Tp、JHH=1.5Hz)、6.82(brs、5H、MesCH、オルトCHおよびメタCH)、6.24(brs、3H、MesCH)、6.16(t、1H、Tp、JHH=1.8Hz)5.95(d、1H、Tp、JHH=1.5Hz)、5.69(t、1H、Tp、JHH=2.4Hz)、5.50(t、1H、Tp、JHH=1.8Hz)、3.77(brd、4H、CH2CH2)、2.91〜0.893(広い多重ピーク、18H、オルトCH3、パラCH3)。
13C{1H}(CD2C12):δ324.29(m、Ru=CHPh)、220.57
(s、Ru−C(N)2)、151.50、146.08、145.39、142.07
、137.94、136.57、134.41、133.18、130.60(br)、129.55、127.98、106.41、105.19、104.51、53.77(br)、21.26、20.32(br)。
37428ClBRuの元素分析
計算値:C、59.56;H、5.67;N、15.02;
実測値:C、59.20;H、5.67;N、14.72。
*1とC55Nとの反応の速度論
ゴム隔壁を取り付けたキュベット内で、1(0.88mM)のトルエン(1.6mL)溶液を調製した。この溶液をUV−vis分光光度計内で20℃にて熱平衡状態とした。無希釈のピリジン−d5(25〜100μL)をマイクロシリンジを用いて加え、開始物
質の消失(502nm)をモニタリングすることで、反応速度を追跡した。各試験について、データを5半減期にわたって収集し、一次指数関数に適合させた。指数関数曲線適合についての代表的なR2値は0.999より大きかった。
*31のX線結晶構造
表1に、結晶、強度収集(collection)および精査の詳細をまとめた。選択した結晶を、パラトン−N(Paratone−N)オイルを用いてガラス繊維に載せ、結晶ロジック(Crystal Logic)CL24低温装置を搭載したブルカー(Bruker) SMART 1000 CCD面積検出器に移した。7種類のψ値でのω−走査によってデータを収集し、次にSAINTで処理した。吸収および減衰の補正は行わなかった。SELXTLを用いて(直接法およびその後の差フーリエマップによって)解を求め、構造を精査した(F2についての全マトリクス最小二乗)。不斉単位に2つの
分子がある。全ての非水素原子について異方的に精査を行った。結合元素のUeqに基づくUiso値を用いて、水素原子を計算位置に配置した。一つの分子についての適切な結合の
長さおよび角度を表2に示してある。

Claims (1)

  1. 環状または非環状オレフィンのメタセシス方法において、前記オレフィンを下記式の化合物と接触させることからなる方法。
    Figure 2010229411
    [式中、
    Mはルテニウムまたはオスミウムであり;
    XおよびX1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立してアニオン配位子
    であり;
    L、L1′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり;少なくとも1つのL、L1′およびL2がN−複素環カルベン配位子であり;
    RおよびR1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して水素であるか、
    またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アル
    キルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換または未置換の置換基である]
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