JP2010229204A - 溶出低減材および溶出低減処理方法 - Google Patents

溶出低減材および溶出低減処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010229204A
JP2010229204A JP2009075759A JP2009075759A JP2010229204A JP 2010229204 A JP2010229204 A JP 2010229204A JP 2009075759 A JP2009075759 A JP 2009075759A JP 2009075759 A JP2009075759 A JP 2009075759A JP 2010229204 A JP2010229204 A JP 2010229204A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elution
reducing material
acid
weight
elution reducing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009075759A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5077777B2 (ja
Inventor
Tomoko Kiko
智子 木虎
Masahiko Yoshida
雅彦 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP2009075759A priority Critical patent/JP5077777B2/ja
Publication of JP2010229204A publication Critical patent/JP2010229204A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5077777B2 publication Critical patent/JP5077777B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

【課題】 重金属の溶出低減効果を長期的に安定して発揮させるとともに、地盤の強度増進を図ることのできる溶出低減材、および溶出低減処理方法を提供することを一の目的とする。
【解決手段】 汚泥焼却灰と酸とを接触させて得られた処理物、酸化マグネシウム、鉄塩、および強度増進材を含み、前記処理物の含有率が1〜45重量%、前記酸化マグネシウムの含有率が15〜60重量%であることを特徴とする溶出低減材を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶出低減材および溶出低減処理方法に関し、特に、有害化学物質を含んだ汚染土壌に対して好適な溶出低減材および溶出低減処理方法に関する。
近年、工場跡地における土壌汚染や、産業廃棄物等の不法投棄による土壌汚染が社会問題として指摘されるようになり、このような汚染土壌から化学物質の溶出を抑制する方法が、種々試みられている。
例えば、該汚染土壌中に含まれる重金属に関しては、酸化マグネシウムの水和反応を利用した固化処理技術が多く提案されており、一例として、本発明者らによる下記特許文献1には、鉄塩、高炉スラグ、および酸化マグネシウムを用いて有害重金属を含む汚染土壌の溶出低減処理を図ることが記載され、該方法によって、従来のセメント類による固化処理と比べてより安定的に有害金属を不溶化することができ、しかも、該地盤の固化強度(地耐力)も向上させうることが記載されている。
一方、下水道の普及による下水処理量の増加に伴い、発生する下水汚泥の量も増加している。この下水汚泥は、焼却又は溶融処理されることによって減量化(減容化)されるものの、焼却処理によって発生する汚泥焼却灰の量も増加傾向にあり、処分地の確保が問題となっている。
そのため、最終処分場へ投棄処分される汚泥焼却灰を減らすべく、汚泥焼却灰を再資源化する試みがなされている。例えば、汚泥焼却灰を加圧成形した後、焼成してレンガにしたり、汚泥焼却灰を加圧造粒して人造骨材にしたり、汚泥焼却灰を溶融し得られたスラグを路盤材に利用したり、下記特許文献2記載のように、汚泥焼却灰からリンを回収する等の技術が提案されている。
特開2008−49210号公報 特開平9−77506号公報
上記特許文献1記載の方法は、汚染土壌からの有害金属の溶出低減と、地盤の固化強度の改善とを同時に行いうるという優れた効果を奏するものであったが、土質の影響やpH調整剤の添加量によっては固化強度が変動することがあり、安定して所定の強度を確保することが困難となる場合があった。
また、固化強度をさらに高めるべくセメント等の強度増進材を添加した場合には、土壌のpHがアルカリ側へと移行するために酸化マグネシウムによる不溶化作用に悪影響を及ぼし、その結果、長期的な観点からの溶出低減効果が阻害される虞があった。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、重金属の溶出低減効果を長期的に安定して発揮させるとともに、地盤の強度増進を図ることのできる溶出低減材、および溶出低減処理方法を提供することを一の目的とする。
上記課題を解決するべく、本発明は、汚泥焼却灰と酸とを接触させて得られた処理物、酸化マグネシウム、鉄塩、および強度増進材を含み、前記処理物の含有率が1〜45重量%、前記酸化マグネシウムの含有率が15〜60重量%であることを特徴とする溶出低減材を提供する。汚泥焼却灰と酸とを接触させて得られた処理物は、pH緩衝能を有するとともに多孔質であるため、汚染土壌に含まれる重金属等の有害成分を吸着固定化することができる。また、該処理物を、酸化マグネシウム及び強度増進材と共存させることにより、pHが10以下の低アルカリ性を維持することが可能となるため、汚染土壌中における酸化マグネシウムによる溶出低減作用を維持しつつ、強度増進材による土壌の強度増進作用を発揮させることが可能となる。
また、本発明は、上記溶出低減材を汚染土壌に添加することを特徴とする溶出低減処理方法を提供する。本発明に係る溶出低減処理方法によれば、上記構成の溶出低減材を用いることにより、強度増進材による土壌の強度増進作用が奏され、また同時に、前記処理物によって汚染土壌中の重金属等の有害成分が吸着固定化され、しかも酸化マグネシウムによる溶出低減作用も長期的に安定して発揮されることとなる。
以上のように、本発明によれば、重金属の溶出低減効果を長期的に安定して発揮させうるとともに、地盤の強度増進を図ることが可能となる。
本発明に係る溶出低減材は、汚泥焼却灰と酸とを接触させて得られた処理物と、酸化マグネシウムと、鉄塩と、強度増進材とを含むものである。
前記汚泥焼却灰としては、下水処理場で発生する汚泥を焼却したものの他に、し尿、家庭用雑排水、産業用排水等を処理することによって発生する汚泥を焼却したものを用いることができる。前記汚泥としては、高分子凝集剤を含んだ汚泥や石灰系凝集剤を含んだ汚泥等を好適に用いることができる。具体的には、近年、下水処理場等においては汚泥の発生量を減少させる目的から高分子凝集剤が多く使用されるため、高分子凝集剤を含む汚泥を焼却した汚泥焼却灰を用いることが好ましい。また、前記汚泥は、含水率が60〜90重量%程度になるまで脱水されたものを用いることが好ましい。
また、前記汚泥焼却灰は、シリカ、燐酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄等を含むものであってもよい。さらに前記汚泥焼却灰の形態は、特に限定されるものではなく、酸との接触による反応が効果的に行われるような形態であればよい。具体的には、汚泥を焼却したそのままの形態、または酸との接触を良好なものにするため、汚泥焼却灰を粉砕した形態であることが好ましい。また、ペレット状、板状、錠剤状等に形成されたものであってもよい。
汚泥焼却灰と接触させる酸は、汚泥焼却灰中の酸可溶性成分を溶解させて除去し、汚泥焼却灰の多孔質化を行うものである。このような酸との接触処理を行うことにより、汚泥焼却灰のBET比表面積を増加させることができる。具体的には、酸と接触させる前の汚泥焼却灰のBET比表面積が5m2/g程度であるのに対し、酸と接触させた後には6.5m2/g以上となるように処理することが好ましく、また、10〜70m2/gとなるように処理することがより好ましい。なお、BET比表面積は、N2ガス吸着式BET測定装置「BELSORP−mini」(日本BEL株式会社製)を用いて測定することができる。
前記汚泥焼却灰と接触させる酸は、酸性水溶液、酸性ガス又は酸性粉体等の形態で用いることができる。具体的には、汚泥焼却灰との接触が良好である酸性水溶液または酸性ガスを用いることが好ましい。
前記酸性水溶液を用いた場合には、汚泥焼却灰に酸性水溶液を添加して混合し、浸漬することによって、汚泥焼却灰中の酸可溶性成分が溶出し、多孔質化した処理物を得ることができる。前記酸性水溶液の酸濃度としては、0.1〜10規定が好ましい。
また、前記酸性水溶液としては、特に限定されるものではないが、硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。具体的には、塩酸水溶液を用いることが好ましく、市販の塩酸水溶液や金属精錬工業等から発生する廃塩酸の水溶液を用いることもできる。
また、前記酸性水溶液は、汚泥焼却灰100重量部に対して、100%酸換算で0.5重量部以上添加されることが好ましく、また、4〜25重量部添加されることがより好ましい。添加時の酸性水溶液の温度は、反応を促進する面から10〜90℃程度であることが好ましい。
また、前記酸として酸性ガスを用いた場合には、前記汚泥焼却灰と酸性ガスとを混合し、混練することによって、汚泥焼却灰に含まれる水分に酸性ガスが溶解し、汚泥焼却灰と酸との接触が良好なものとなり、多孔質化した処理物を効果的に得ることができる。
前記酸性ガスとしては、特に限定されるものではないが、汚泥焼却灰に含まれる水分に溶解しやすい酸性ガスであればよい。具体的には、塩化水素、窒素酸化物または硫黄酸化物を含むガスや廃棄物処理工場等において発生する塩素系ガス等を用いることが好ましい。より好ましくは、水分に溶解しやすい塩化水素ガスを用いることがよい。前記塩化水素ガスは、塩化カリウム、塩化ナトリウム又は塩化カルシウム等の塩素系化合物と、硫酸又は硫酸化合物とを混合し、加熱して発生させる等したものを用いることができる。
また、前記酸性ガスは、汚泥焼却灰100重量部に対して、100%酸換算で1重量部以上添加されることが好ましく、また、4〜25重量部添加されることがより好ましい。これは、4.0重量部未満では、酸性ガスが汚泥焼却灰中の水分に十分に溶解しないためであり、一方、25重量部を超えると、乾燥後の処理物の表面が硬化し、多孔質化が阻害される場合があるためである。また添加時の温度は10〜90℃程度が反応を促進する面から好ましい。
前記酸性ガスを用いることによって、酸と接触後の処理物中に多量の水分を含ませることがないため、後に行う乾燥処理等で多大なエネルギーと時間を要する必要がないという利点がある。
なお、汚泥焼却灰と上記酸性水溶液及び酸性ガスとの接触時間は、特に限定されるものではなく、汚泥焼却灰の性状に応じて任意に設定することができる。具体的には、0.1時間〜10日とするのが好ましい。より好ましくは、0.1時間〜1日とするのがよい。また、接触時間を変化させることによって処理物の細孔径分布を変化させることができる。具体的には、接触時間を長くすることにより10nm以下、特に6nm以下の径の微細な細孔の容積を増加させることができる。微細な細孔の容積が増加することによって、化学物質を吸着する表面積が増加し、化学物質の吸着性能をより高めることができる。
前記酸との接触により処理された汚泥焼却灰、即ち、処理物は、その後、中和剤と接触させて中和処理することが好ましい。中和処理を行うことによって、処理物を乾燥、貯蔵、及び運搬するための設備等に、耐酸性対策を施す必要がなくなるという利点がある。
前記中和剤としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、消石灰、アンモニア、炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とするライムストーン(石灰岩)、コーラルサンド等のアルカリ性の材料等を用いることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムを用いることが好ましい。前記中和剤の形態としては、アルカリ性水溶液、アルカリ性ガス又はアルカリ性粉体等の形態で用いることができる。また、中和剤の添加量は、添加後の処理物がpH5.5〜9.0となるように、pHを調節して添加することが好ましい。
また、前記処理物は、乾燥処理工程において乾燥処理されることが好ましい。乾燥処理を行うことによって、細孔容積及び比表面積が増加し、化学物質の吸着性を向上させることができる。乾燥処理としては、特に限定されるものではないが、回転ドラム式乾燥機、パドル式乾燥機、流動層式乾燥機、気流乾燥機、遠心薄膜式乾燥機等を用いて行うことができる。また、下水処理場において行われる汚泥の乾燥処理によっても行うことができる。乾燥温度としては、特に制限されるものではないが、例えば90〜300℃において乾燥処理されることが好ましい。
上述の如き酸との接触処理により、汚泥焼却灰は多孔質化され、微細な細孔容積が増大するため、良好なカチオン捕捉性及びアニオン捕捉性を有するとともに物理的な吸着性を有する処理物となり、土壌中から溶出する化学物質を吸着除去しうるものとなる。
該処理物は、本発明の溶出低減材において、1〜45重量%となるように配合されるものであり、好ましくは、5重量%以上、40重量%以下、より好ましくは、20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下となるように配合される。斯かる配合量の処理物を用いることにより、有害化学物質の溶出低減効果と、土壌の強度増進効果とをより一層十分に発揮させうるという効果がある。
本発明に係る溶出低減材を構成する前記酸化マグネシウム(MgO)としては、特に限定されるものではなく、市販等されているものを適宜使用することができる。該酸化マグネシウムは、本発明の溶出低減材において、含有率が15〜60重量%となるように配合されるものであり、好ましくは、50重量%以上、55重量%以下、となるように配合される。斯かる配合量の酸化マグネシウムを用いることにより、有害化学物質の溶出低減効果と、土壌の強度増進効果とをより一層十分に発揮させうるという効果がある。
本発明に係る溶出低減材を構成する鉄塩としては、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等の水溶性の第一鉄塩;硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の水溶性の第二鉄塩等が挙げられる。これらの中でも、前記鉄塩としては、好ましくは、硫酸第一鉄および塩化第二鉄である。前記硫酸第一鉄および塩化第二鉄は、単独で、または二種以上混合して用いられる。例えば、前記鉄塩として硫酸第一鉄または塩化第二鉄の少なくとも何れか一方を含有した溶出低減材は、有害金属が含まれた土壌に対して用いた場合に、該土壌からの有害金属(例えば、六価クロムイオン、ヒ素イオン等)の溶出を十分に抑制することができるという効果を発揮する。
該鉄塩は、本発明の溶出低減材において、5〜30重量%となるように配合されることが好ましく、5〜15重量%となるように配合されることがより好ましい。斯かる配合量の鉄塩を用いることにより、低アルカリを維持するためのpH調整の役割を果たすとともに、高強度を達成することがより一層容易になるという効果がある。
本発明に係る溶出低減材を構成する強度増進材としては、各種水硬性材料を使用することができるが、中でも、セメント、スラグ、石膏のうちから少なくとも何れか1種を使用することが好ましい。
該強度増進材の配合量は、処理対象となる地盤の強度に応じて調整しうるが、溶出低減効果との両立を図るという観点からは、本発明の溶出低減材において、10〜60重量%となるように配合されることが好ましく、30〜50重量%となるように配合されることがより好ましい。斯かる配合量の鉄塩を用いることにより、低アルカリを維持するためのpH調整の役割を果たすとともに、高強度を達成することがより一層容易になるという効果がある。
斯かる構成の溶出低減材が、被処理物から溶出を低減しうる化学物質としては、カチオン性物質、アニオン性物質、有機塩素化合物、栄養塩類、揮発性有機化合物(VOC)等の物質が挙げられる。具体的には、該溶出低減材は、カチオン性物質として、クロム、アルミニウム、カルシウム(石灰)、ニッケル、銅、鉛、亜鉛、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属類や水素イオン、アンモニウムイオン等の陽イオン類に有効であり、また、アニオン性物質として、ヒ素、フッ素、ホウ素、セレン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、リン酸イオン等の陰イオン類にも有効である。特に、鉛、ヒ素、及びフッ素に関して、顕著な吸着除去効果を有するものである。
本発明に係る溶出低減材を用いて処理される汚染土壌としては、特に限定されるものではなく、上記の化学物質により汚染された土壌、浚渫土、その他各種工事によって発生した現場処理土等を挙げることができる。特に、重金属等の有害物質を取り扱っていた工場の跡地や、廃棄物処分場の跡地等の土壌が、本発明の処理対象である汚染土壌として極めて効果的である。
本発明に係る溶出低減処理方法は、上述の如き構成の溶出低減材を、上記汚染土壌に添加するものである。添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、汚染土壌から掘り出した土と溶出低減材とを撹拌機に投入して撹拌混合する方法や、該汚染土壌が存在する現場において溶出低減材を添加し混合する方法を採用することができる。
汚染土壌が存在する現場において汚染土壌に添加、混合する方法としては、地盤改良材を用いた各種地盤改良工法と同様の方法を好適に採用することができ、具体的には、前記溶出低減材をスラリー状とし、注入ロッドを介して汚染土壌中で噴射し、噴射された溶出低減材と土壌とを該注入ロッドの先端近傍に設けた撹拌羽根によって撹拌混合する方法を採用することができる。また、汚染土壌の表面に溶出低減材を散布し、撹拌混合するようにしてもよい。
汚染土壌から掘り出した土と溶出低減材とを撹拌機に投入して撹拌混合した場合には、汚染土壌の全体に前記溶出低減材がより均一に存在することとなるため、該汚染土壌中に含まれる化学物質を迅速に吸着除去することができる。また、混合した後の汚染土壌は固化作用を有するものであるため、埋立て処理した際にもその地盤が所定の固化強度を備えたものとなる。
また、スラリー状とした溶出低減材を汚染土壌中で噴射し、噴射された溶出低減材と土壌とを撹拌混合した場合には、地盤改良工法と同様に軟弱地盤の強度を高めうると同時に、該土壌中に含まれる有害化学物質の溶出を低減することができる。
さらに、汚染土壌の下に溶出低減材を配することも可能であり、この場合、上記工場跡地等から汚染土壌の層を掘り出し、そこへ前記溶出低減材を敷き詰めた後、掘り出した汚染土壌を埋め戻すようにしてもよい。この方法によれば、汚染土壌の下に溶出低減材の硬化した層が形成されるため、該汚染土壌中から溶出する化学物質が該硬化層により吸着除去されることとなる。また、汚染土壌と溶出低減材とを混合する必要がないため、作業時間とコストを削減することができる。
また、前記溶出低減材によって処理された汚染土壌から溶出する溶出液は、pHが10以下の低アルカリ性に維持されるため、汚染土壌のpH雰囲気を考慮することなく様々な汚染土壌に用いることができる。
なお、本発明に係わる溶出低減材及び溶出低減処理方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、酸による処理の後に処理物を中和処理し、乾燥処理する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて他の任意の処理工程を加えてもよい。例えば、酸処理後に処理物を粉砕する粉砕処理を加えてもよく、しかも、後の中和処理及び乾燥処理を迅速に行うことができ、また、該処理物と他の成分との分散性が良好となる。さらに、前記酸処理後の各処理は、任意にその順番を変更して実施してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
・模擬汚染土壌の調製
(1)砂質土(千葉県成田産)に、硝酸鉛、亜ヒ酸カリウム、フッ化ナトリウムを添加し、模擬汚染土壌1を作成した。尚、該模擬汚染土壌1の溶出試験を行ったところ、下記表1に示すような溶出結果が得られた。
Figure 2010229204
・多孔質粉体(処理物A)の調製
(汚泥焼却灰)
汚泥焼却灰として、高分子凝集材を添加後脱水した汚泥を流動床型焼却炉にて焼却した粉体を用いた。前記粉体としては、下記表2に示すそれぞれの組成を含み、BET比表面積5.5m2/gのものである。
Figure 2010229204
前記粉体(汚泥焼却灰)50gを攪拌容器に入れ、これに1規定の塩酸水溶液を50ml添加し、練りさじで約1分間混練した後、20℃の恒温室に2時間、浸漬状態で静置して酸処理を行った。次いで、酸処理した粉体を含む浸漬物が、pH8.0〜8.5程度となるように、中和剤水酸化カルシウム(Ca(OH)2)粉末(特級試薬)を添加し、中和処理を行った。さらに、中和処理した汚泥焼却灰を含む浸漬物を110℃の乾燥機に入れて18時間保持して乾燥させた後、粉砕機によってBET比表面積が10.0m2/gとなるように粉砕し、多孔質粉体(処理物A)を得た。
・溶出低減材の調製
(実施例1)
上述のようにして得られた処理物Aを40重量部、酸化マグネシウムを20重量部、硫酸第一鉄を10重量部、普通セメントを20重量部、高炉スラグを5重量部、石膏を5重量部の割合で混合し、実施例1の溶出低減材を調製した。
尚、使用した材料は下記に示すとおりである。
塩化第一鉄 :試薬特級 キシダ化学社製
高炉スラグ :住金鹿島社製
高炉セメント :住友大阪セメント社製
酸化マグネシウム :試薬 キシダ化学社製
硫酸第一鉄 :試薬特級 キシダ化学社製
無水石膏 :天然石膏
(他の実施例および比較例)
下記表3に示した配合とすることを除き、他は実施例1と同様にして各溶出低減材を調製した。また、比較例4では、市販のセメント系固化材(住友大阪セメント社製)を使用した。
Figure 2010229204
・強度試験および溶出試験1
実施例および比較例の溶出低減材(粉体)を、摸擬汚染土壌に対して100kg/m3の割合で添加し、撹拌機を用いて混合撹拌した。
そして、混合撹拌した後の摸擬汚染土壌に対し、材齢7日における圧縮強度試験を実施した。また、材齢28日において、環境庁告示46号に準じて溶出試験を実施し、溶出液中の鉛濃度をグラファイトファーネス原子吸光法により測定し、ヒ素濃度を水素化物原子吸光法により測定し、フッ素濃度をランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法で測定した。結果を下記表4に示す。
Figure 2010229204
・溶出試験2
実施例および比較例の溶出低減材を、摸擬汚染土壌に対し200kg/m3の割合で添加したことを除き、他は溶出試験1と同様にして溶出試験を行った。結果を下記表5に示す。
Figure 2010229204
表4および表5によると、酸化マグネシウムの添加量が少なく、処理物Aの添加量が多い比較例1および2では、圧縮強度が低く、フッ素等に対する溶出低減効果が不十分であることが認められる。また、処理物Aを添加しない比較例3では、ヒ素に対する溶出低減効果が不十分であり(表4)、また、添加量が多くなるとpHが10を超える(表5)といった不具合が認められる。これに対し、本発明の実施例の溶出低減材を用いた場合には、圧縮強度が高く、しかも各種溶出試験においても優れた溶出低減効果を発揮し、pHも10以下に安定していることが認められる。

Claims (10)

  1. 汚泥焼却灰と酸とを接触させて得られた処理物と、酸化マグネシウムと、鉄塩と、強度増進材とを含み、前記処理物の含有率が1〜45重量%、前記酸化マグネシウムの含有率が15〜60重量%であることを特徴とする溶出低減材。
  2. 前記強度増進材が、セメント、スラグおよび石膏のうち少なくとも何れか1種を含むことを特徴とする請求項1記載の溶出低減材。
  3. 前記処理物のBET比表面積が、10〜70m2/gであることを特徴とする請求項1又は2記載の溶出低減材。
  4. 前記酸が硫酸、塩酸、硝酸のいずれかを含む酸性水溶液であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の溶出低減材。
  5. 前記処理物が、さらに中和処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の溶出低減材。
  6. 前記処理物が、さらに乾燥処理されたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の溶出低減材。
  7. 前記処理物が、カチオン捕捉性及びアニオン捕捉性を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の溶出低減材。
  8. 前記鉄塩の含有率が5〜30重量%、前記強度増進材の含有率が10〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の溶出低減材。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の溶出低減材を、汚染土壌に添加することを特徴とする溶出低減処理方法。
  10. 前記溶出低減材の添加量が、前記汚染土壌1m3に対して50kg以上であることを特徴とする請求項9記載の溶出低減処理方法。
JP2009075759A 2009-03-26 2009-03-26 溶出低減材および溶出低減処理方法 Expired - Fee Related JP5077777B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009075759A JP5077777B2 (ja) 2009-03-26 2009-03-26 溶出低減材および溶出低減処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009075759A JP5077777B2 (ja) 2009-03-26 2009-03-26 溶出低減材および溶出低減処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010229204A true JP2010229204A (ja) 2010-10-14
JP5077777B2 JP5077777B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=43045320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009075759A Expired - Fee Related JP5077777B2 (ja) 2009-03-26 2009-03-26 溶出低減材および溶出低減処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5077777B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013193055A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Taiheiyo Cement Corp フッ素の溶出抑制方法
JP2017013067A (ja) * 2016-10-06 2017-01-19 太平洋セメント株式会社 フッ素の溶出抑制方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002079081A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 多孔質粉体、その製造方法及びその用途
JP2003145092A (ja) * 2001-11-14 2003-05-20 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 製紙スラッジ焼却残渣から得られる多孔質物質原料及び多孔質物質並びにその製造方法
JP2006273921A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Fujita Corp 土質改良材、土質改良方法、土壌内重金属溶出抑制用スラッジ灰、強度発生養生期間短縮用スラッジ灰
JP2007302885A (ja) * 2006-04-14 2007-11-22 Univ Waseda 有害物質の不溶化剤
JP2008049210A (ja) * 2006-03-31 2008-03-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 有害金属の溶出低減固化法および有害金属の溶出低減固化材
WO2009001719A1 (ja) * 2007-06-25 2008-12-31 Azmec Co., Ltd. 有害物質の不溶化剤及び有害物質の不溶化方法
JP2009013427A (ja) * 2001-11-30 2009-01-22 Matsuda Giken Kogyo Kk 土壌用固化不溶化剤および土壌処理方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002079081A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 多孔質粉体、その製造方法及びその用途
JP2003145092A (ja) * 2001-11-14 2003-05-20 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 製紙スラッジ焼却残渣から得られる多孔質物質原料及び多孔質物質並びにその製造方法
JP2009013427A (ja) * 2001-11-30 2009-01-22 Matsuda Giken Kogyo Kk 土壌用固化不溶化剤および土壌処理方法
JP2006273921A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Fujita Corp 土質改良材、土質改良方法、土壌内重金属溶出抑制用スラッジ灰、強度発生養生期間短縮用スラッジ灰
JP2008049210A (ja) * 2006-03-31 2008-03-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 有害金属の溶出低減固化法および有害金属の溶出低減固化材
JP2007302885A (ja) * 2006-04-14 2007-11-22 Univ Waseda 有害物質の不溶化剤
WO2009001719A1 (ja) * 2007-06-25 2008-12-31 Azmec Co., Ltd. 有害物質の不溶化剤及び有害物質の不溶化方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013193055A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Taiheiyo Cement Corp フッ素の溶出抑制方法
JP2017013067A (ja) * 2016-10-06 2017-01-19 太平洋セメント株式会社 フッ素の溶出抑制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5077777B2 (ja) 2012-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Stabilisation/solidification of municipal solid waste incineration fly ash by phosphate-enhanced calcium aluminate cement
JP4712483B2 (ja) 重金属汚染土壌用処理組成物及び処理方法
JP2007302885A (ja) 有害物質の不溶化剤
JP5205844B2 (ja) 有害化学物質を含む石炭灰を利用する粒状物の製造方法、並びに該方法で得られる粒状物及び資源材
JP2012092180A (ja) 中性固化材用の添加材、中性固化材および重金属類の溶出抑制方法
JP2005146275A (ja) 土壌、土質改良及び固化安定剤
JP5963177B2 (ja) 固形状重金属被汚染物の処理方法及びセメント固化物の製造方法
JP2008273994A (ja) 有害物質不溶化処理用組成物
JP6267922B2 (ja) 有害物質処理薬剤
JP2007268513A (ja) 廃棄物の処理方法
WO2019244856A1 (ja) 重金属不溶化固化材及び汚染土壌類の改良工法
JP2017145294A (ja) 有害物質の溶出防止剤および溶出防止方法
JP2004050158A (ja) 重金属類固定化材ならびに汚染土壌の処理工法
JP4694434B2 (ja) 副生物の処理方法
CN104907329A (zh) 一种矿区重金属污染土壤固化/稳定化处理的方法
JP5077777B2 (ja) 溶出低減材および溶出低減処理方法
JP2008255171A (ja) 無機系有害成分の固定化剤
CN111661993A (zh) 污泥固化剂及其制备方法和使用方法
JP2013202463A (ja) リン回収材、リン回収方法及び肥料の製造方法
JP2004269821A (ja) 硫化カルシウム系重金属固定化剤
JPWO2008152855A1 (ja) 土壌改質工法及び土地遮蔽工法
JP6046476B2 (ja) 有害物質の溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法
JP6749126B2 (ja) 有害物質の処理材及び処理方法
JP5877049B2 (ja) 有害物質の溶出防止剤
Zhou et al. Study on the stabilization/solidification of lead-contaminated soil using alkali-activated cementing materials with rich-silicon materials

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120518

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120803

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120816

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5077777

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees