JP2010229124A - ジフェンヒドラミン含有溶液充填カプセル剤 - Google Patents

ジフェンヒドラミン含有溶液充填カプセル剤 Download PDF

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Abstract

【課題】服用に際してコンプライアンス上良好で、カプセル皮膜の軟化や割れが起こりにくい、カプセル充填用のジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液、及び該溶液を充填したカプセル剤の提供。
【解決手段】ジフェンヒドラミン又はその塩、有機酸、及び可塑剤を含有する溶液。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液に関する。
ジフェンヒドラミンはアミノアルキルエーテル系の抗ヒスタミン剤であり、経口剤として蕁麻疹、皮膚疾患に伴うアレルギー性鼻炎、そう痒、急性鼻炎等に用いられるほか、近年では、睡眠改善薬として広く用いられている。
しかし、ジフェンヒドラミンをアレルギー性鼻炎等に用いる場合は、1回あたりの服用量が10mgであるのに対し、睡眠改善薬として用いる場合は、1回あたりの服用量が50mgであり、服用する製剤数を減らすためには、製剤そのものを大きくするほか無く、ジフェンヒドラミン含有製剤についてのコンプライアンス上の問題が生じた。
一方、医薬の経口剤の態様として、フィルムコーティング錠、糖衣錠などの錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤などのカプセル剤が知られている。
しかし、錠剤は、胃内の環境によって溶出性に差異が生じることが懸念され、また、速やかな薬効発現の点で必ずしも好ましい剤形ではない、という問題がある。
また、カプセル剤については、以下のような技術が既に知られている。
(1)水を含む液体をカプセルに充填すると、カプセル皮膜が軟化するため、軟化を避けるためには充填液の水の質量を20質量%未満にする必要があることが知られている(特許文献1)。
(2)ジフェンヒドラミン塩酸塩を、マクロゴール400と水との混液に溶解した状態で充填液400mg中12.5mg(ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度:3%)配合したカプセル剤が既に知られている(特許文献1)。しかしながら、この濃度で1回あたりの服用量を50mgとすると、カプセルが大きくなるか(000号のカプセル)又は服用カプセル数が多くなる(4カプセル)ので、コンプライアンス上問題がある。
特許第3553562号公報
本発明者は、ジフェンヒドラミン含有カプセル剤のコンプライアンス上の問題を解決するため、ジフェンヒドラミン又はその塩を高濃度に含有する溶液をカプセルに充填することを試みた。
まず、カプセルの軟化を抑制すべく、従来技術のように水の量を20質量%未満にして充填を試みたが、水の量を減少させただけではゼラチンカプセルに割れが生じた。
一方、ジフェンヒドラミン又はその塩を含まない充填液をゼラチンカプセルに充填した場合には、カプセルの割れは生じなかった。従って、ジフェンヒドラミン又はその塩は、ゼラチンカプセルに対して何らかの悪影響を及ぼしていることを見出した。
この点について検討を進めた結果、ジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液に、有機酸を配合することにより、ジフェンヒドラミン又はその塩の含有率を高めても、カプセルの軟化や割れが生じなくなることを見出した。
そして、上記有機酸配合溶液について検討を進めたところ、「におい」がある有機酸を用いた場合、有機酸のにおいが服用者等にとってコンプライアンス等の問題となりうることを見出した。
従って、本発明の課題は、服用に際してコンプライアンス上良好で、カプセル皮膜の軟化や割れが起こりにくい、カプセル充填用のジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液、及び該溶液を充填したカプセル剤を提供することである。さらに、服用に際してコンプライアンス上良好で、カプセル皮膜の軟化や割れが起こりにくく、ジフェンヒドラミン又はその塩の含有量の低下をも抑制されたカプセル充填用のジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液、及び該溶液を充填したカプセル剤を提供することである。
本発明者は、ジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液に、有機酸として「におい」があるものを用いた場合、有機酸のにおいが服用者等にとってコンプライアンス等の問題となり得、この問題を解決すべく検討を進めた結果、可塑剤を配合することにより、カプセルの軟化や割れが生じずに、有機酸のにおいを抑制できることを見出した。
さらに、有機酸の配合により、外観変化(変色)とジフェンヒドラミン又はその塩の含有量の低下が発生することを見出した。そこで、これらの問題解決につき検討を進めた結果、上記有機酸配合溶液にさらにカラメルを配合することにより、カプセルの軟化や割れが生じずに、経時的な変色及びジフェンヒドラミン又はその塩の含有量の低下を抑制できることを見出した。
1)すなわち、本発明は、ジフェンヒドラミン又はその塩、有機酸、及び可塑剤を含有する溶液を提供するものである。
2)また、ジフェンヒドラミン又はその塩、有機酸、可塑剤及びカラメルを含有する溶液を提供するものである。
3)さらに、本発明は、上述1)又は2)の溶液を、カプセルに充填したカプセル剤を提供するものである。
本発明によれば、服用しやすく、安定性に優れた、商品価値の高いジフェンヒドラミン又はその塩を含有する溶液及びこれを含有するカプセル剤を提供することができる。
本発明に用いられるジフェンヒドラミン又はその塩は、公知の化合物であり、公知の方法により製造してもよいし、また市販品を用いることができる。
ジフェンヒドラミンの塩としては、例えば、塩酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩、ジフェニルジスルホン酸塩、酒石酸塩、タンニン酸塩、ラウリル硫酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩等の酸付加塩が挙げられ、塩酸塩が好ましい。
本発明に用いられるジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、睡眠改善薬として服用する場合のコンプライアンス向上の点から、1カプセル中に50mg又は25mg含有するように調整することが好ましい。すなわち、本発明のジフェンヒドラミン又はその塩含有溶液(以下、本発明溶液ともいう)中のジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、4〜40質量%が好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。
なお、ジフェンヒドラミン又はその塩は、その一部又は全部を他の抗ヒスタミン剤に代替することも可能である。代替可能な抗ヒスタミン剤としては、例えば、ドキシラミン、クレマスチン、ジフェニルピラリン、カルビノキサミン、プロメタジン、メキタジン、アリメマジン、イソチペンジル、ヒドロキシジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、クロルフェニラミン、トリプロリジン、ブロムフェニラミン、エメダスチン等及びこれらの塩が挙げられる。このうち、ドキシラミンコハク酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、エメダスチンフマル酸塩が好ましい。
本発明において、有機酸としては、酸そのもの又は酸の水溶液として、ジフェンヒドラミン又はその塩を溶解し、かつ、カプセルに充填した際に、カプセルの軟化や割れを生じさせないようなものであれば、特に限定されるべきものではないが、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、クエン酸、グルタミン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸等が挙げられる。このうち、酢酸、乳酸が好ましい。なお、有機酸は1種だけ用いても、複数の混合物を用いてもよい。
本発明において、有機酸の含有量としては、カプセルの軟化・割れ抑制の点から、本発明溶液全量に対して、5〜50質量%が好ましく、8〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
ジフェンヒドラミン又はその塩と有機酸との含有比率は、カプセルの軟化・割れ抑制の点から、ジフェンヒドラミン又はその塩1質量部に対して有機酸が0.2〜3質量部が好ましく、0.3〜2.7質量部が特に好ましい。
本発明において、有機酸として酢酸、マレイン酸又はリンゴ酸を用いた場合、可塑剤をさらに配合することが好ましい。酢酸等のにおいが服用者等にとって、コンプライアンス等の問題となりうることがあるが、本発明者は、さらに可塑剤を配合することにより、この問題を解決し得ることを見出した。
当該可塑剤としては、ジフェンヒドラミン又はその塩の溶解に悪影響を及ぼさず、カプセルの軟化や割れを生じさせず、酢酸等のにおいを抑制できるものであれば、特に限定されるべきものではないが、例えば、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、ゴマ油、酢酸ビニル樹脂、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン由来糖アルコール液、トリアセチン、ヒマシ油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、綿実油・ダイズ油混合物、モノステアリン酸グリセリン、流動パラフィン等が挙げられ、このうち1種だけ用いても、複数の混合物を用いてもよい。これらのうち、本発明においては、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、トリアセチン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがより好ましい。
ここで、グリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの水酸基の1つ以上を同種又は異種の脂肪酸でエステル化して得られるものであれば、特に限定されるものではない。グリセリン脂肪酸エステルは、当業者であれば、容易に理解できるものである。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステル及びこれらの混合物が挙げられ、主成分がグリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はグリセリンジ脂肪酸エステルであるものが好ましい。
また、当該脂肪酸部分としては、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の飽和又は不飽和の炭素数6〜30のものが挙げられ、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の飽和又は不飽和の炭素数6〜18のものが好ましい。
すなわち、グリセリン脂肪酸エステルの好適な具体例としては、モノヘキサン酸グリセリン、モノオクタン酸グリセリン、モノデカン酸グリセリン、モノラウリン酸グリセリン、ジオクタン酸グリセリン、ジデカン酸グリセリン、デカン酸オクタン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等が挙げられ、これらを主成分とするものが好ましい。
また、本発明においては、グリセリン脂肪酸エステルに換えて、グリセリン脂肪酸エステルの誘導体、脂肪酸とポリグリセリンのエステル及びその誘導体を用いることもできる。これらの具体例としては、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベートともいい、ソルビットの分子内脱水で得られる脱水物であるソルビタンの水酸基の1つ以上を脂肪酸でエステル化して得られるソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキサイドを付加重合させることで得られるポリオキシエチレンエーテルをいう。ポリソルベートは、当業者であれば、容易に理解できるものである。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン数が5〜40、好ましくは10〜30、より好ましくは15〜25で、脂肪酸部分の炭素数が6〜18のものが挙げられる。好ましい脂肪酸部分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、これら脂肪酸は同種又は異種いずれでもよい。エステル化される水酸基の数は、1つ又は3つが好ましい。
当該ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、ポリソルベート20(別名:モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))、ポリソルベート40(別名:モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))、ポリソルベート60(別名:モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))、ポリソルベート61(別名:モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.))、ポリソルベート65(別名:トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート80(別名:モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))、ポリソルベート81(別名:モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.))、ポリソルベート85(別名:トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))が挙げられるが、ポリソルベート80が特に好ましい。
本発明溶液における可塑剤の含有量は、におい抑制の点から、本発明溶液全量に対して、0.1〜15質量%が好ましく、0.15〜12質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。また、有機酸と可塑剤との含有比率は、におい抑制の点から、有機酸1質量部に対して可塑剤が0.005〜1質量部が好ましく、0.01〜0.8質量部が特に好ましい。
本発明で用いるカラメルは、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、マルトース、ショ糖、白糖、転化糖、水アメ、デンプン加水分解物、糖ミツその他の糖類等の炭水化物を熱処理して得ることができる。また、池田糖化工業株式会社製や仙波糖化工業株式会社製等の市販品を用いることもできる。
本発明溶液におけるカラメルの濃度は、本発明溶液中20〜1500質量ppmが好ましく、40〜1200質量ppmが好ましい。
また、ジフェンヒドラミン又はその塩とカラメルの配合質量比は、変色抑制及びジフェンヒドラミンの含有量低下抑制の点から、1:0.00005〜1:1が好ましく、1:0.0001〜1:0.5が好ましい。
また、本発明においては、液体をカプセルに充填する際に用いられる通常の溶媒を加えることができる。
上記通常の溶媒としては、ジフェンヒドラミン又はその塩を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、(1)水、(2)水と混和しない又は水に溶解しない揮発性又は非揮発性の液体(植物油、脂肪族及び芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル類、エステル類、高級アルコール類等)、(3)水と混和する非揮発性の液体、(4)その他(グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール;ケトン、アミン、エステル類等)が挙げられる。これらのうち、コンプライアンス向上及びカプセル皮膜の軟化抑制等の点で、多価アルコール、水と多価アルコールとの混液が好ましい。なお、これら通常の溶媒は、1種だけ用いても、複数の混合物を用いてもよい。
上記多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、マクロゴール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、マクロゴール、グリセリンがより好ましく、マクロゴールがさらに好ましい。
また、マクロゴールの平均分子量としては、特に限定されないが、100〜800が好ましく、150〜700がより好ましく、190〜630がさらに好ましい。このうち、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600が好ましく、マクロゴール400が特に好ましい。
また、本発明溶液に多価アルコールを含有せしめる場合、多価アルコールの含有量は、本発明溶液全量に対して、10〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、20〜80質量%が特に好ましい。
有機酸と多価アルコールとの含有比率は、有機酸1質量部に対して多価アルコールが1.5〜40質量部が好ましく、3〜30質量部が特に好ましい。
また、本発明溶液には、さらにpH調節剤等を添加することができる。pH調節剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム等の塩基が挙げられる。本発明において、カプセル軟化や割れ抑制作用の点で、溶液のpHは3〜9が好ましく、3〜6がより好ましく、3.3〜5.8がさらに好ましく、3.6〜5.6が特に好ましい。
本発明のカプセルは、前記本発明溶液をカプセルに充填することにより得られるものである。
本発明のカプセルに用いられる、カプセル皮膜の基剤としては、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCと略される)、プルラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体(好ましくは、ポリビニルアルコールとメチルメタクリレートとアクリル酸又はその塩の共重合体)、マクロゴール等が挙げられ、ポリビニルアルコール共重合体、マクロゴール、ゼラチンが好ましい。これらは1種だけでも、複数の混合物としてもよい。複数用いる場合は、マクロゴールとゼラチンの混合物が好ましい。
カプセル皮膜には、基剤の他に、アラビアガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドガム、ファーセレラン、ペクチン、ローカストビーンガム等のゲル化剤を含有させてもよく、また必要に応じて、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム等のゲル化助剤を含有させることができる。
また、本発明に用いられるカプセル皮膜には、例えば、法定色素等の色素、酸化チタン等の顔料、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、防腐剤、芳香剤、崩壊剤、グリセリン等の可塑剤、マンニトールやソルビトール等の糖アルコール等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含有させてもよい。
すなわち、本発明のカプセル皮膜としては、マクロゴール及びゼラチンを含有する皮膜、必要に応じてカラギーナン及び塩化カリウムを含有せしめたポリビニルアルコール共重合体を含有する皮膜が好ましい。
本発明において、カプセル皮膜としてマクロゴール及びゼラチンを含有する皮膜を用いる場合、マクロゴールの含有量は、カプセルの機械的強度や成形時の皮膜の均一性を考慮して適宜検討すればよいが、カプセル皮膜全量に対して、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
本発明に用いられるカプセル皮膜中にマクロゴールを含む場合、マクロゴールの平均分子量は、950〜25000が好ましく、2500〜4000がより好ましく、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000がさらに好ましく、マクロゴール4000が特に好ましい。なお、マクロゴールは1種だけ用いても、複数の混合物を用いてもよい。
本発明に用いられるカプセル皮膜中にゼラチンを含む場合、ゼラチンとしては、例えば、熱変化に伴いゾルゲル変化するもので、牛、豚、鳥、魚等を原料とするゼラチンやコハク化ゼラチン等のアシル化ゼラチンなどが挙げられる。
上記ゼラチンの含有量は、カプセルの機械的強度や成形時の皮膜の均一性を考慮して適宜検討すればよいが、カプセル皮膜全量に対して、50〜99.5質量%が好ましく、65〜99質量%がより好ましい。
本発明に用いられるカプセル皮膜中にポリビニルアルコール共重合体(ポリビニルアルコールとメチルメタクリレートとアクリル酸又はその塩の共重合体)を含む場合、ポリビニルアルコール共重合体は、ポリビニルアルコール、メチルメタクリレート及びアクリル酸とを共重合すれば得ることができる。ポリビニルアルコールは、けん化度が78mol%以上であればよく、また、部分けん化物(けん化度:78〜96mol%)でも、完全けん化物(けん化度:97mol%以上)でもよい。本発明においては、平均重合度300〜3000のポリビニルアルコール(部分けん化物)、メチルメタクリレート及びアクリル酸とを質量比60〜90:7〜38:0.5〜12の割合で共重合させて得られるものが好ましく、25℃における該共重合体の5質量%水溶液の粘度が5〜40mPa・sであるものがより好ましい。ポリビニルアルコール共重合体は、国際公開WO02/017848パンフレットや特開2007−91670号公報等の記載にしたがって、製造することができる。
本発明のカプセル剤には、硬カプセル剤及び軟カプセル剤のいずれもが含まれるが、速やかな薬効発現の点から、硬カプセル剤が好ましい。
また、本発明に用いられるカプセル皮膜の色は、特に限定されるものではないが、カプセル剤の商品性の点から、充填された内溶液を目視可能な透明又は半透明が好ましい。特にジフェンヒドラミンを睡眠改善薬として用いる場合、製剤がカラメル由来の色に基づき、微黄色ないし褐色を呈することもあるため、カプセルに充填する場合、カプセルが透明又は半透明であると、充填液を目視可能となり、カラメル由来の色により、落ち着きがあって、安定感・安心感のイメージをもたらし、リラックスして心地よく睡眠に導くこともできる。ここで透明には、無色だけでなく、内部が目視できる限り、色がついている場合も含まれる。
本発明のカプセル剤は、常法に従って製することができる。
例えば、マクロゴール及びゼラチンを含有するカプセル皮膜を用いたカプセル剤を製造する場合、ゼラチンを吸水膨潤させた後、加熱溶解し、次いでカプセル皮膜中に含ませるべきマクロゴールを適当量加え、所望により色素や防腐剤等を添加し、適宜粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得る。得られたジェリーを、カプセル成形装置を用いて本発明にかかるカプセルに成形し、これに本発明の溶液を充填することで、本発明のカプセル剤(硬カプセル剤)を製することができる。さらに、常法に従って、バンド方式や熱着方式等によりカプセルにシールを施すこともできる。
また、ゼラチンを吸水膨潤させた後、加熱溶解し、次いでカプセル皮膜中に含ませるべきマクロゴールを適当量加え、所望により、グリセリン等の多価アルコールやソルビトール等の糖アルコール等の可塑剤、色素や防腐剤等を添加して、適宜粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得る。得られたジェリー及び本発明の溶液を用いて、ロータリー・ダイ法や滴下法等に基づくことにより、本発明のカプセル剤(軟カプセル剤)を製することができる。
また、カプセル皮膜としてポリビニルアルコール共重合体を含有する皮膜を用いる場合、ポリビニルアルコール共重合体を水に溶解し、所望によりゲル化助剤、色素や防腐剤等を添加し、加温溶解する。これと別途ゲル化剤を水に加温溶解したものとを合わせ、ディッピング液を調製する。これを用いてディッピング成形を行い、本発明にかかるカプセルに成形し、これに本発明の溶液を充填することで、本発明のカプセル剤(硬カプセル剤)を製することができる。さらに、常法にしたがって、バンド方式や熱着方式等によりカプセルにシールを施すこともできる。
また、本発明のカプセル剤に用いられるカプセルは、上記常法に従って製造することもできるが、市販の硬カプセルを用いることもできる。市販品としては、例えば、PEG(マクロゴール)を配合した日本薬局方ゼラチンカプセル(クオリカプス株式会社)ポリビニルアルコール共重合体を基剤とするPONDAC(登録商標)カプセル(日新化成株式会社)、HPMCを基剤とするクオリーV(クオリカプス株式会社)、プルランを基剤とするNPcaps(登録商標)(カプスゲル・ジャパン株式会社)等が挙げられる。
これら市販の硬カプセルを用いて、本発明の溶液を充填することで、本発明のカプセル剤を製することができ、さらに、常法にしたがって、バンド方式や熱着方式等によりカプセルにシールを施すこともできる。当該シールを施すことにより、カプセルからの充填液の液漏れ、充填液に由来するにおいの防臭や充填液の安定性に寄与する。
本発明のカプセル剤の包装形態は特に限定されるものではなく、例えば、ビンやPTP包装等の通常のカプセル剤の包装形態で包装することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
参考例1:硬カプセルの製造
ゼラチン10.0kgに精製水18.0リットルを加え、約1〜2時間程度自然放置して吸水膨潤させた。ゼラチンが十分に膨潤した後、60℃に加温し、撹拌してゼラチンを均一に溶解させ、更にこのゼラチン溶液中にマクロゴール4000の50質量%水溶液を1.0kg(5質量%濃度)加えて撹拌し、その粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得た。このジェリーをカプセル成形装置に仕込み、サイズ3号のカプセルを成形した。
参考例2:硬カプセルの製造
マクロゴール4000の50質量%水溶液を0.5kg(2.5質量%濃度)加える以外は参考例1と同様にして、カプセルを成形した。
参考例3:硬カプセル剤
マクロゴール400を414g及び精製水36gを混合後、約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩50gを加え撹拌し、溶解後、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調整し、充填液とした。この充填液を、参考例1に記載のカプセルに250mgずつ充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度が10質量%の硬カプセル剤を製造した。
参考例4:硬カプセル剤
参考例2に記載のカプセルを用いる以外は参考例3と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
比較例1:硬カプセル剤
マクロゴール400を414g及び精製水36gを混合後、約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩15gを加え撹拌し、溶解後、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調整し、充填液とした。この充填液を通常のサイズ3号のゼラチンハードカプセルに250mgずつ充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度が3質量%の硬カプセル剤を製造した。
比較例2:硬カプセル剤
ジフェンヒドラミン塩酸塩を50g用いる以外は比較例1と同様にして、ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度が10質量%の硬カプセル剤を製造した。
試験例1:硬カプセル剤の評価
参考例3、4及び比較例1、2の硬カプセル剤についてカプセル割れの評価を行った。評価は充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、室温にて1日放置後及び40℃1ヵ月保存後及び40℃4ヵ月保存後の割れやひびの有無を目視で検査することにより行った。結果を表1及び表2に示した。
Figure 2010229124
表1から明らかなように、参考例3及び4の硬カプセル剤は、製造直後及び40℃1ヵ月保存後、40℃4ヵ月保存後いずれにおいても、カプセル割れは観察されなかった。
Figure 2010229124
表2から明らかなように、比較例1の硬カプセル剤では製造直後及び40℃1ヵ月保存後においても、カプセル割れは観察されなかったが、40℃4ヵ月保存後においては、カプセルの軟化が観察された。また、比較例2の硬カプセル剤では製造直後からカプセル割れが認められた。
従って、試験例1より、通常のゼラチンカプセルを用いてジフェンヒドラミン塩酸塩を溶解した充填液を充填した製品として供給可能なカプセル剤は、ジフェンヒドラミン塩酸塩の濃度が3%までであることがわかった。しかしながら、3%の濃度では、1回服用量を50mgとすると、カプセルを大きくするか、服用カプセル数を多くする必要があり、コンプライアンス上好ましいものではない。
一方、参考例3及び4の硬カプセル剤は、製造直後、40℃1ヵ月保存後、40℃4ヵ月保存後のいずれにおいても、カプセル割れは観察されず、服用カプセルの大きさや数(1カプセルあたりジフェンヒドラミン塩酸塩25mg含有)を必要最小限に抑えることができ、コンプライアンスを向上することができることが判明した。
実施例1:硬カプセル剤
300gのマクロゴール400と酢酸40gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩50gを加え撹拌し、溶解し、充填液とした。この充填液390mgを参考例2に記載の方法と同様に製した1号カプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度が12.8質量%の硬カプセル剤を製造した。
実施例2:硬カプセル剤
PONDAC(登録商標)カプセル(日新化成株式会社)を用いる以外は実施例1と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
試験例2:硬カプセル剤の評価
実施例1及び2の硬カプセル剤についてカプセル割れの評価を行った。評価は充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、製造直後及び50℃1日保存後の割れやひびの有無を目視で検査することにより行った。結果を表3に示した。
Figure 2010229124
表3から明らかなように、実施例1及び2の硬カプセル剤は、ジフェンヒドラミン塩酸塩を比較例1及び2の製剤より高濃度含有するにも関らず、製造直後及び50℃1日保存後のいずれにおいても、カプセル割れは観察されず、服用カプセルの大きさや数(1カプセルあたりジフェンヒドラミン塩酸塩50mg含有)を最小限に抑えることができ、コンプライアンスを向上することができることが判明した。
実施例3:軟カプセル剤
ゼラチン9.0kgに精製水10.0リットルを加え、約1〜2時間程度自然放置して吸水膨潤させた。ゼラチンが十分に膨潤した後、60℃に加温し、撹拌してゼラチンを均一に溶解させ、更にこのゼラチン溶液中に濃グリセリン1kg及びマクロゴール4000の50質量%水溶液を1.0kg(5質量%濃度)又は0.5kg(2.5質量%濃度)加えて撹拌し、その粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得た。このジェリーを用いてロータリー式カプセル充填機にて、実施例1で製した充填液を充填し、軟カプセル剤を製造した。
実施例4:軟カプセル剤
マクロゴール4000の50質量%水溶液を0.5kg(2.5質量%濃度)加える以外は実施例3と同様にして、軟カプセル剤を製造した。
実施例5:硬カプセル剤
160gのマクロゴール400と酢酸40gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩50gを加え撹拌し、溶解後、10%水酸化ナトリウム水溶液10.4gを加えて、pHを約5に調整し、冷却後、ポリソルベート80(NIKKOL TO−10MV:日本サーファクタント工業社製)1.6gを加え攪拌し、充填液とした。この充填液262mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度が19.1質量%の硬カプセル剤を製造した。
実施例6:硬カプセル剤
ポリソルベート80をクエン酸トリエチルに換える以外は実施例5と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
実施例7:硬カプセル剤
ポリソルベート80をトリアセチンに換える以外は実施例5と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
実施例8:硬カプセル剤
ポリソルベート80をグリセリン脂肪酸エステル(インバイター742:Sasol社製)に換える以外は実施例5と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
実施例9:硬カプセル剤
160gのマクロゴール400と酢酸40gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩50gを加え撹拌し、溶解後、10%水酸化ナトリウム水溶液10.4gを加えて、pHを約5に調整し、充填液とした。この充填液260.4mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩濃度が19.2質量%の硬カプセル剤を製造した。
すなわち、本硬カプセル剤は、上記実施例5〜8の各硬カプセル剤から各可塑剤を除いたものである。
試験例3:硬カプセル剤の評価
実施例5〜9の硬カプセル剤についてカプセル割れ及び酢酸のにおいの評価を行った。カプセル割れの評価は、充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、製造直後及び50℃1日保存後の割れやひびの有無を目視で検査することにより行った。また、製造直後及び50℃1週間保存後における酢酸のにおいの程度につき、第十五改正日本薬局方の通則に準じ、実施例9の製造直後のにおいを+++として3段階評価した(程度の説明;+++:強烈な酢酸のにおいがする、++:やや酢酸のにおいがする、+:わずかに酢酸のにおいがする)。結果を表4に示した。
Figure 2010229124
表4から明らかなように、いずれの硬カプセル剤(実施例5〜9)も、製造直後及び50℃1日保存後において、カプセル割れは観察されなかった。酢酸のにおいについては、可塑剤を配合した実施例5〜8の硬カプセル剤は、可塑剤を配合しない実施例9の硬カプセル剤に比して、著しく抑制された。
したがって、実施例5〜8の硬カプセル剤は、コンプライアンス上良好で、服用しやすく、安定性に優れた、商品価値の高いジフェンヒドラミン又はその塩を含有するカプセル剤であることがわかった。
実施例10:硬カプセル剤
160gのマクロゴール400と酢酸40gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩50gを加え撹拌し、溶解後、カラメル0.06g(カラメルS:池田糖化工業社製)及び10%水酸化ナトリウム水溶液10.4gを加えて、pHを約5に調整し、充填液とした。この充填液260.4mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg含有する硬カプセル剤を製造した。
試験例4:硬カプセル剤の評価
実施例9及び実施例10の硬カプセル剤について、外観変化の評価を行った。充填後、カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、製造直後及び50℃2週間保存後の外観変化を目視で検査することにより、評価した。結果を表5に示した。
Figure 2010229124
表5から明らかなように、いずれの硬カプセル(実施例9及び実施例10)も、製造直後に外観変化は観察されなかった。一方、カラメル未添加の実施例9は外観変化が認められたが、カラメルを添加した充填液を充填した実施例10の硬カプセル剤には、外観変化が認められなかった。
よって、カラメルは、ジフェンヒドラミン又はその塩の安定化に有効であることが判明した。
したがって、実施例10の硬カプセル剤は、コンプライアンス上良好で、服用しやすく、より安定性に優れ、商品価値の極めて高い、ジフェンヒドラミン又はその塩を含有するカプセル剤であることが判明した。
実施例11:硬カプセル剤
320gのマクロゴール400と乳酸80gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩100gを加え撹拌し、溶解後、10%水酸化ナトリウム水溶液30gを加えて、充填液とした。この充填液265mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg(18.9質量%)含有する硬カプセル剤を製造した。
実施例12:硬カプセル剤
320gのマクロゴール400と乳酸80gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩100gを加え撹拌し、溶解後、カラメル0.05g(カラメルS:池田糖化工業社製)及び10%水酸化ナトリウム水溶液30gを加えて、充填液とした。この充填液265mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg(18.9質量%)含有する硬カプセル剤を製造した。
実施例13:硬カプセル剤
320gのマクロゴール400と乳酸80gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩100gを加え撹拌し、溶解後、カラメル0.05g(カラメルS:池田糖化工業社製)及び20%水酸化ナトリウム水溶液20gを加えて、充填液とした。この充填液260mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg(19.2質量%)含有する硬カプセル剤を製造した。
実施例14:硬カプセル剤
320gのマクロゴール400と乳酸80gを約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩100gを加え撹拌し、溶解後、カラメル0.05g(カラメルS:池田糖化工業社製)及び20%水酸化ナトリウム水溶液30gを加えて、充填液とした。この充填液265mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg(18.9質量%)含有する硬カプセル剤を製造した。
試験例5:硬カプセル剤の評価
実施例11〜14の硬カプセル剤についてカプセル割れ、外観変化及びジフェンヒドラミン塩酸塩の残存率の評価を行った。
充填後の硬カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、製造直後及び50℃1日保存後に、目視で検査することにより、割れやひびの有無の評価を行った。
また、得られた硬カプセルをPTP包装し、更にアルミピロー包装して、50℃2週間及び40℃2ヶ月間保存後に、目視で検査することにより、割れやひびの有無、外観変化の有無の評価を行った。結果を表6に示した。
Figure 2010229124
表6から明らかなように、いずれの硬カプセル剤(実施例11〜14)も、製造直後、50℃1日保存後、50℃2週間保存後及び40℃2ヶ月間保存後において、カプセル割れは観察されなかった。
したがって、服用カプセルの大きさやカプセル数(1カプセルあたりジフェンヒドラミン塩酸塩50mg含有)を最小限に抑えることができ、コンプライアンスを向上することができることが判明した。
また、カラメル未添加の実施例11は、50℃2週間保存後及び40℃2ヶ月間保存後において、外観変化(変色傾向)が認められたが、カラメルを添加した充填液を充填した実施例12〜14のカプセル剤は、外観変化が認められなかった。
よって、カラメルは、ジフェンヒドラミン又はその塩の安定化に有効であることが判明した。
結果から明らかなように、カラメルを添加した実施例12〜14の硬カプセル剤は、特にコンプライアンス上良好で、服用しやすく、より安定性に優れ、商品価値の極めて高い、ジフェンヒドラミン又はその塩を含有するカプセル剤であることが判明した。
実施例15:硬カプセル剤
160gのマクロゴール400及び酢酸40gを混合後、約60℃に加温し、これにジフェンヒドラミン塩酸塩50gを加え撹拌し、溶解後、カラメル0.06g(カラメルS:池田糖化工業社製)及び10%水酸化ナトリウム水溶液10.4gを加えて、pHを約5に調整した。冷却後、ポリソルベート80(NIKKOL TO−10MV:日本サーファクタント工業社製)1.5gを加え攪拌し、充填液とした。この充填液262mgを、参考例2で製したサイズ3号のカプセルに充填し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を50mg含有する硬カプセル剤を製造した。
実施例16:硬カプセル剤
ポリソルベート80をクエン酸トリエチルに換える以外は実施例15と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
実施例17:硬カプセル剤
ポリソルベート80をトリアセチンに換える以外は実施例15と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
実施例18:硬カプセル剤
ポリソルベート80をグリセリン脂肪酸エステル(インバイター742:Sasol社製)に換える以外は実施例15と同様にして、硬カプセル剤を製造した。
試験例6:硬カプセル剤の評価
実施例5及び実施例15〜18の硬カプセル剤についてカプセル割れ、酢酸のにおい、外観変化及びジフェンヒドラミン塩酸塩の残存率の評価を行った。
充填後の硬カプセル同士が重ならないようにトレイに広げ、製造直後及び50℃1日保存後に、目視で検査することにより、割れやひびの有無の評価を行った。
また、製造直後及び50℃2週間保存後における酢酸のにおいの程度につき、第十五改正日本薬局方の通則に準じ、実施例9の製造直後のにおいを+++として3段階評価した(程度の説明;+++:強烈な酢酸のにおいがする、++:やや酢酸のにおいがする、+:わずかに酢酸のにおいがする)。
さらに、得られた硬カプセルをPTP包装し、更にアルミピロー包装して、50℃2週間保存後に、目視で検査することにより、割れやひびの有無、外観変化の有無の評価を行った。あわせて、硬カプセル剤中のジフェンヒドラミン塩酸塩の含量をHPLC法にて測定し、イニシャル時の含量に対する残存率を算出した。結果を表7に示した。
Figure 2010229124
表7から明らかなように、いずれの硬カプセル剤(実施例15〜18及び実施例5)も、製造直後、50℃1日保存後及び50℃2週間保存後において、カプセル割れは観察されなかった。また、酢酸のにおいについては、いずれの硬カプセル剤もわずかであった。
カラメル未添加の実施例5は外観変化及びジフェンヒドラミン塩酸塩の含有量の低下が認められたが、カラメルを添加した充填液を充填した実施例15〜18のカプセル剤は、外観変化及びジフェンヒドラミン塩酸塩の含有量の低下が認められなかった。
よって、カラメルは、ジフェンヒドラミン又はその塩の安定化に有効であることが判明した。
したがって、実施例15〜18の硬カプセル剤は、コンプライアンス上良好で、服用しやすく、より安定性に優れ、商品価値の極めて高い、ジフェンヒドラミン又はその塩を含有するカプセル剤であることが判明した。

Claims (9)

  1. ジフェンヒドラミン又はその塩、有機酸、及び可塑剤を含有する溶液。
  2. さらに、カラメルを含有する請求項1記載の溶液。
  3. さらに、多価アルコールを含有する請求項1又は2記載の溶液。
  4. 有機酸が、酢酸及び乳酸から選ばれる1種以上である請求項1〜3いずれか1項記載の溶液。
  5. 可塑剤が、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、ゴマ油、酢酸ビニル樹脂、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン由来糖アルコール液、トリアセチン、ヒマシ油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、綿実油・ダイズ油混合物、モノステアリン酸グリセリン及び流動パラフィンからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜4いずれか1項記載の溶液。
  6. 請求項1〜5いずれか1項記載の溶液を、カプセルに充填したカプセル剤。
  7. ジフェンヒドラミン又はその塩の含有量が、1カプセル当たり25mg又は50mgである請求項6記載のカプセル剤。
  8. カプセルの皮膜が、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体及びマクロゴールからなる群より選ばれる1種以上の基剤を含有するものである請求項6又は7記載のカプセル剤。
  9. カプセルの皮膜が、マクロゴール及びゼラチン、又はポリビニルアルコール共重合体を含有するものである請求項6〜8のいずれか1項記載のカプセル剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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