JP2010229122A - 抗癌剤、医薬、及び癌疾患の検査薬 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】癌細胞は細胞表面にC5aRを発現すること、及びC5aは濃度依存的に癌細胞に対して浸潤亢進作用を有する。また、セリンプロテアーゼ阻害剤を用いることによって癌細胞膜プロテアーゼによるC5からのC5aの遊離を抑制すること、及び抗C5a抗体や抗C5a受容体抗体を用いることによってC5aによる癌細胞の浸潤亢進作用を抑制する。また、抗C5a抗体及び/又は抗C5a受容体抗体、並びに被験者から得られた尿、血液、細胞、組織、臓器などの生体試料を用いれば、被験者が上記した癌に罹患しているか否かを検査することができ、抗C5a抗体及び/又は抗C5a受容体抗体を含む、癌疾患の検査薬。
【選択図】なし
Description
好ましくは、癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤が、フリン阻害剤又はフリン様プロテアーゼ阻害剤である。
好ましくは、癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤が、抗フリン抗体、抗フリン様プロテアーゼ抗体又はdecanoyl−Arg−Val−Lys−Arg−cmkである。
好ましくは、癌が、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、膵癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、口頸部癌、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、尿管癌又は膀胱癌である。
本発明の抗癌剤は、癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤、C5a受容体拮抗剤、抗C5a抗体、及び/又は抗C5a受容体抗体を含む。
本発明の癌細胞抑制剤の作用機序を模式化したものが図15である。本発明者らは、図15に示す通り、癌細胞の多くはC5a受容体(C5aR)を細胞表面に発現すること、さらに驚くべきことに、C5a受容体を発現する癌細胞はC5aがC5a受容体に結合することにより、浸潤活性が増長されることを見出した。これらの知見を基に、本発明者らは、血漿中のC5からC5aが癌細胞膜プロテアーゼによって産生されることにより、C5a受容体を発現する癌細胞の浸潤・転移亢進が生物体の表現型として発生し得るものと推測している。
C5aは、補体タンパク質C5がタンパク質分解されて生成される、アナフィラトキシンと称されるシグナル伝達作用を有するアミノ末端カチオン性断片である。ヒト由来のC5aを構成するアミノ酸配列やC5aをコードする塩基配列は、それぞれNCBIデータベースによりNCBI NP001726.2(アミノ酸配列)及びMN001735.2(塩基配列)として登録されている。C5aは、C5a受容体と結合することにより、生物体に対して種々の表現型、例えば、白血球の極性化および浸潤、顆粒結合性タンパク質分解酵素の放出、活性酸素および窒素ラジカルの生成、肥満細胞の脱顆粒誘導によって放出されるヒスタミンによる血管および毛細管漏出の変化、ならびに平滑筋の収縮などを示す。C5aにおいて、C末端の配列はC5aが機能を発揮するには重要であり、C5a受容体との結合に関与している。
抗癌剤として用いられる癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤は、癌細胞膜セリンプロテアーゼの有する補体C5からC5aへの遊離を触媒する活性を阻害するものであれば特に制限されず、化合物やタンパク質などの種々の形態や構造をとり得る。癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤の具体的な例は、アプロチニンを挙げることができる。アプロチニンは、カルビオケム社(Calbiochem, San Diego, CA)から市販されている。また、補体C5からC5aへの遊離を触媒する活性を有する癌細胞膜セリンプロテアーゼとしてはフリン(NCBI NP 002560.1(アミノ酸配列)及びMN 002569.2(塩基配列))やフリン様プロテアーゼがある。フリン様プロテアーゼは、フリンと類似した構造及び/又は作用を有するものである。これらフリンやフリン様プロテアーゼの上記活性を阻害する物質としては、例えば、抗フリン抗体、抗フリン様プロテアーゼ抗体やdecanoyl-Arg-Val-Lys-Arg-cmkなどが挙げられ、これらを本発明の抗癌剤の有効成分として含むことができる。抗フリン抗体は、例えば、R&D システムズ社(R&D systems, Mineapolis, MN)から市販されている。この抗フリン抗体は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体であり、フリン様プロテアーゼにおける細胞膜から露出している部分の1〜数個のエピトープに結合してC5からのC5aの遊離反応を阻害するものと推測される。decanoyl-Arg-Val-Lys-Arg-chloromethyketoneは、カルビオケム社から市販されている。
C5a受容体拮抗剤は、C5a受容体を特異的に認識して、C5aとC5a受容体との結合を阻害する物質であれば特に制限されない。C5a受容体拮抗剤は、C5a様の作用を実質的に有していないことが好ましい。C5a受容体拮抗剤は、便宜的に、濃度依存的にC5a受容体に対する結合部位を本来のリガンドであるC5aと奪い合うことでアゴニストの作用を阻害する競合的拮抗剤と、C5a受容体の結合定数に影響を及ぼすことやC5a受容体と不可逆的に結合するなどしてアゴニストの作用を阻害する非競合的拮抗剤に大別できるが、これらのいずれのものであってもよい。C5a受容体拮抗剤としては、例えば、N-methyl-Phe-Lys-Pro-D-cyclohexylalanine-D-cyckohexylalanine-D-Arg、AcPhe[Orn-Pro-D-cyclohexylalanine-Trp-Arg]などを挙げることができる。
本発明の抗癌剤は、抗C5a抗体、抗C5a受容体抗体、抗フリン抗体及び/又は抗フリン様プロテアーゼ抗体を含み得る。抗C5a抗体は、C5a又はその一部に対して特異的親和性を有し、かつC5aとC5a受容体との結合を妨げる構造をとるものである。抗C5a受容体抗体は、C5a受容体又はその一部に対して特異的親和性を有し、かつC5aとC5a受容体との結合を妨げる構造をとるものである。抗フリン抗体はフリン又はその一部に対して、抗フリン様プロテアーゼ抗体はフリン様プロテアーゼ又はその一部に対して特異的親和性を有し、かつフリンやフリン様プロテアーゼの有するC5からのC5aへの遊離活性を妨げる構造をとるものである。
C5a又はその部分ペプチドを、哺乳動物に対して、投与により抗体産生が可能な部位に、それ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与する。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等が挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
C5a又はその部分ペプチドに対するポリクローナル抗体は、自体公知の方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(C5a又はその部分ペプチド)自体、あるいはそれとキャリアータンパク質との複合体を作製し、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行い、該免疫動物から抗C5a抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行うことにより製造することができる。
本発明の抗癌剤は、上記した癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤、C5a受容体拮抗剤、抗C5a抗体、及び/又は抗C5a受容体抗体を含むことにより、C5a−C5a受容体シグナル伝達系による癌細胞の浸潤亢進作用を抑制することができる。この場合において、癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤、C5a受容体拮抗剤、抗C5a抗体、及び抗C5a受容体抗体は、抗癌剤の有効成分として機能する。
本発明には、本発明の抗癌剤を含む、癌疾患を予防及び/又は治療するための医薬が包含される。本発明の医薬において、本発明の抗癌剤が有効成分として機能する。本発明の医薬の適用対象となる癌疾患の好ましい例は、癌の浸潤及び/又は転移である。
抗C5a抗体及び/又は抗C5a受容体抗体、並びに被験者から得られた尿、血液、細胞、組織、臓器などの生体試料を用いれば、被験者が上記した癌に罹患しているか否かを検査することができる。したがって、本発明の別の側面によれば、抗C5a抗体及び/又は抗C5a受容体抗体を含む、癌疾患の検査薬が提供される。
ヒト胆管癌細胞株であるMEC及びHuCCT1、並びにヒト結腸癌細胞株であるHCT15及びCOLO205は、東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターから入手した。ヒト胆管癌細胞株であるSSP-25、RBE、YSCCC及びTKKKは、理研セルバンク(筑波、日本)から購入した。ヒト結腸癌細胞株であるHCT116及び肝臓癌細胞株SKHep1は、ジョンス・ホプキンス大学のB.ヴォゲルスタイン(B.Vogelstein)博士及び久留米大学のイトウ キョウゴ博士によって譲り受けた。細胞は、37℃の5% CO2大気中で10% FBS、ペニシリン(40U/ml)およびストレプトマイシン(40μg/ml)を補ったRPMI1640培地又はDMEM培地で培養した。
癌組織試料は、熊本大学病院での外科的切除又は針生検を受けた225人の患者から得られた。脱パラフィン化した2μm厚の切片を、内因性ペルオキシダーゼ活性を遮断するために20分間0.3% H2O2を含むメタノールで前処理し、次いで非特異IgG結合を遮断するためにタンパク質ブロック無血清(Dako Cytomation、Glostrup、Denmark)で20分間前処理した。切片をC5aR (2μg/ml)に対する第一次抗体と4℃でオーバーナイト培養し、次いでEnVision+溶液(Dako Cytomation)及び0.006%の過酸化水素を含む3,3′-ジアミノベンジジン・テトラヒドロクロリド溶液を使用して、製造業者の指示に従って染色した。核を、ヘマトキシリンで軽く逆染色した。
線維状アクチン(F−アクチン)形成をスクラウフスタターらの文献(Schraufstatter, I.U. et al., J. Immunol. 169, 2102-2110 (2002))に記載の通りに視覚化した。細胞をガラスカバーグラス上に低密度で播種し、48時間培養した。無血清培地に移してから2時間後、これらの細胞を様々な時間で100nM C5aで刺激した。次いで細胞を4% パラホルムアルデヒドで固定化し、0.2% トリトンX-100中に5分間置き、5U/ml Alexa 488−ファロイジン(Molecular Probes, Eugene, OR)の中で40分間インキュベートし、次いでPBSで3回洗浄した。イメージを、レーザー走査型共焦点顕微鏡であるオリンパスFluoView 300 (オリンパス、Melville、NY)を使用して得た。
生細胞を2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(WST−8)(Dojin Laboratories, Kumamoto, Japan)を含む細胞計数キット-8を用いて数えた。ICC細胞株(MEC、1×104細胞/100μl; HuCCT1又はC5aR(+)HuCCT1、0.3×104細胞/100μl)を、96ウェルプレートの中に接種して12時間培養し、次いでFCS無添加培地にC5a(10nM又は100nM)を含むRPMI培地を置換した。各ウェルにWST-8(10μl)を加えた後に、細胞を37℃で2時間培養した。450nmの光学密度で自動化ELISAプレート・リーダーを使用して測定した。実験はそれぞれ3回繰り返した。
C5aR;
胆管癌及び結腸癌の細胞から得られた細胞溶解物を、10% ポリアクリルアミドゲルを使用して還元下でSDS−PAGEで分析し、ポリビニリデンフッ素膜(Immobilon Transfer Membranes; Millipore)に移した。5% 無脂肪ミルクで処理した後に、膜を抗ヒトC5aRウサギIgG(1000倍希釈)(Santa Cruz、Santa Cruz、CA)又はポリクローナル抗アクチン抗体(500倍希釈)(Santa Cruz)とインキュベートし、次いでHRP結合IgG(1000倍希釈)とインキュベートした。
MEC又はHuCCT1によるC5からのC5a生産を検出するために、6.8μl C5(最終濃度、350 nM)を、37℃で24時間培養し、4cmディッシュにおいて100μlの無血清培地中の癌細胞又はMEC若しくはHuCCT1コンフルエントの上清を用いてインキュベートした。様々なインキュベーション期間で、20μlの混合液を採取した。癌細胞によってヒト血漿からC5a又はC5bの生産を調べるために、56℃、30分間で処理されたクエン酸塩が加えられた100μlのヒト血漿を、37℃で1×104細胞でインキュベートした。様々なインキュベーション期間で、2μlの反応液を採取した。陽性対照として糖鎖化C5a又はC5bを得るために、5mlの血漿を、1Uのコブラ毒因子(CVF)(Quidel Corporation, San Diego, CA)を用いて37℃、30分間インキュベートし、次いで5μlのカルボキシペプチダーゼN抑制剤、DL-2-メルカプトメチル-3-グアニジノエチルチオプロパン酸(3mM)(Calbiochem, La Jolla, CA)及び2μlの血漿を使用した。これらの試料を、15% ポリアクリルアミドゲルを使用した減少条件下でのSDS−PAGEで分析し、ポリビニリデンフッ素膜上に移し、さらに抗ヒトC5aヤギIgG(1000倍希釈) (R&D systems, Minneapolis, MN)又は抗ヒトC5bモノクローナルIgG(1000倍希釈)(Progen biotechnik、Heidelberg、Germany)を用いてインキュベートした。バンドを増強化ケモルミネッセンス(chemoluminescence)(Amersham Biosciences, Blauvelt, NY)によって視覚化した。
MEC、HuCCT1又はC5aR(+)HuCCT1を、マウスモノクローナルFITC結合抗C5a受容体抗体(Serotec Ltd, Oxford, UK) 又はFITC結合アイソタイプの一致した対照抗体(Serotec Ltd)を用いて、30分間処理し、次いでPBSで2回洗浄した。蛍光をFACScan装置(BD Biosciences)で分析した。
癌細胞の浸潤度は、アルビニらの文献(Albini, A. et al., Cancer Res. 47, 32939-3245 (1987))に記載のバイオコートマトリゲル侵入チャンバー(BioCoat Matrigel invasion chambers)(24ウェルプレート、8μm孔) (BD Biosciences)を使用して、測定した。HuCCT1(3.75×104)又はMEC(7.5×104)の0.5mlの細胞浮遊液を上層チャンバーに入れ、C5a又はPBSのいずれかを追加した0.75mlのRPMI1640培地を下層チャンバーに入れた。さらに、C5aR依存性を調べるために、C5aR抗体(10μg/ml)を、上層チャンバー中の細胞浮遊液に加えた。代わりに、1%のBSAを含むRPMI 1640培地中の様々な濃度のC5aを用いて、37℃で12又は24時間インキュバートした後に、洗浄したHuCCT1又はMECを上層チャンバーに入れ、10% FBSを含む培地を下層チャンバーに入れた。両方の場合で、チャンバーを37℃で24又は36時間でインキュベートした。フィルターの上部表面上の細胞を、生綿スワブで除去した。下部表面へ侵入した細胞は100%メタノール中で固定し、1% トルイジンブルー中で染色した。移動した細胞を、5つの視野 (×20)で数えた。
無血清のRPMI 1640培地で培養した5×104個のHuCCT1又はMEC浮遊液100 μlに、血漿濃度の補体5因子C5(350μM)を添加し、さらに下記物質:10μg/ml aprotinin(calbiochem社)、10μM E64(Peptide Institute、Minou、Japan)、1μM pepstatin(Peptide Institute)、5μM GM6001(calbiochem社)若しくは10μM phospholamidon(Peptide Institute)を添加して又はこれらを添加せず(control)に、37°C、24時間培養した。その培養上清20μlを採取し、還元下SDS-15%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行い、これをニトロセルロース膜に転写した。転写されたC5aを検出するために一次抗体に抗ヒトC5aヤギIgG(R&D systems、Minneapolis、MN)を、二次抗体にhorseraddish peroxidase結合抗ヤギIgGウサギIgG(Dako社)を反応させ、ケモルミネッセンス法でバンドを可視化した。
無血清のRPMI 1640培地で培養した5×104個のHuCCT1浮遊液100 μlに、血漿濃度の補体5因子C5(350μM)を添加し、さらに下記物質:10μg/ml aprotinin(calbiochem社)、2μM decanoyl-Arg-Val-Lys-Arg-cmk(calbiochem社;以下、FIともいう)、20μM FI、DMSO、0.1μg/ml 抗フリンIgG(FAb、R&D systems社)若しくは0.1μg/ml 非特異IgG(Dako社)を添加して又は添加せずに、37°C、24時間培養した。培養上清におけるC5aの検出は例1と同様に実施した。
ヒト血漿を56℃で30分間処理し、C1q及びB因子を不活化して補体系の活性化能を消失させたヒト非動化血漿を調製した。無血清のRPMI 1640培地で培養した5×104個のHuCCT1又はMECに、上記ヒト非動化血漿と、10μg/ml アプロチニン(calbiochem社)を添加して若しくは添加せずに、37°C、24時間又は48時間培養した。培養後の培養上清におけるC5aを検出した。また、同様に37℃で24時間インキュベートした血漿を陰性対照とした。
図6に模式図を示した通り、抗ヒトC5a受容体抗体を含む又は含まない10%FBS−RPMI1640培地を用いて、MEC(75,000/0.75ml)を上穴に、C5aを下穴に入れ、37°C、12時間インキュベートした。ラミニン、コラーゲン IVなどからなるMartrigel(図6を参照)を通り8μmの小孔を抜けてフィルター下面に達した細胞をメタノール固定後1% トルイジンブルーで染色し、光学顕微鏡を用いてx20視野5カ所で数えた。C5aの代わりに上記培地を下穴に入れた場合の細胞数をcontrolとしてその割合で活性を表した。
抗ヒトC5a受容体抗体を含む又は含まない10%FBS−RPMI1640培地を用いて、MEC(75,000/0.75ml)をC5a共存下で37°C、12時間培養した後に、培養液中の細胞を回収し、PBSで洗浄した。次いで回収した細胞を上記培地に再懸濁して上穴に入れ、さら上記培養液の上清を下穴に入れ、37°C、24時間インキュベートした。例4と同様にして、ゲル層を通り抜けた細胞数を計測した。C5aの代わりに培地を下穴に入れた場合の細胞数をcontrolとしてその割合で活性を表した。
図9に模式図として示した通り、抗ヒトC5a抗体を含む又は含まない10%FBS−RPMI1640培地を用いて、下穴でHuCCT1(100,000/ml)をC5 (350nM)の存在下又は非存在下で37°C、24時間培養した後に、C5a受容体陽性HuCCT1細胞(100,000/ml)を上層に入れ、下層において2.6μg/ml 抗C5a抗体又は2.6μg/ml 非特異IgGの存在下で24時間培養した。上層から下層に浸潤した細胞を例5と同様に数えた。
抗C5aR抗体を用いて免疫組織化学染色により、C5aRを発現する癌組織を調べた。図11に、各種ヒト癌組織における抗C5aR抗体を用いた免疫組織化学染色結果を示した。各癌組織において、C5aRを発現する細胞は茶色に染色された。なお、枠内の写真は、陰性対照を示す。また、今回調べた症例において、由来臓器ごとにC5aR陽性症例数の全症例数に対する比をC5aR陽性率として図12に示した。大腸癌、胆管細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌においては過半数の症例でC5aR陽性であった。また、扁平上皮癌(食道)、腺癌(上記食道以外)に加え移行上皮癌(膀胱)でも陽性があり、すべての癌型でC5aR(+)が確認された(図12を参照)。
GM6001の存在若しくは非存在下で、MEC(図13の左図)又はC5aR陽性HuCCT1(図13の右図)を上層に置き、下層に100nM C5aを置いてインキュベートした。値は、平均±SD(n=3)を示す。P<0.01である。MMP阻害剤であるGM6001はC5a刺激による癌細胞の浸潤促進を抑制した。
5×104個の癌細胞を350nM C5を用いてインキュベートし、培養上清からイムノブロッティングによりC5aを調べた。調べた胆管からの5種及び大腸からの3種の癌細胞のすべてが、その血漿濃度において、ヒトC5からC5aを放出した(図14を参照)。
Claims (10)
- 癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤、抗C5a抗体、C5a受容体拮抗剤、及び/又は抗C5a受容体抗体を含む、抗癌剤。
- 癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤が、アプロチニンである、請求項1に記載の抗癌剤。
- 癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤が、フリン阻害剤又はフリン様プロテアーゼ阻害剤である、請求項1に記載の抗癌剤。
- 癌細胞膜セリンプロテアーゼ阻害剤が、抗フリン抗体、抗フリン様プロテアーゼ抗体又はdecanoyl−Arg−Val−Lys−Arg−cmkである、請求項1に記載の抗癌剤。
- 癌が、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、膵癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、口頸部癌、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、尿管癌又は膀胱癌である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗癌剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗癌剤を含む、癌疾患を予防及び/又は治療するための医薬。
- 癌疾患が、癌の浸潤及び/又は転移である、請求項6に記載の医薬。
- 抗C5a抗体及び/又は抗C5a受容体抗体を含む、癌疾患の検査薬。
- 癌が、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、膵癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、口頸部癌、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、尿管癌又は膀胱癌である、請求項8に記載の検査薬。
- 癌疾患が、癌の浸潤及び/又は転移である、請求項8又は9に記載の検査薬。
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