JP2010228528A - ハイブリッド式船外機 - Google Patents

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Abstract

【課題】制限され且つ実質的に密閉されたスペース内に集約配置される内燃機関等を含むパワーユニットを効率的且つ適正に冷却するハイブリッド式船外機を提供する。
【解決手段】ケーシング11内部にパワーユニットを収容すると共にーシング11外部にスクリュー(プロペラ88)を配置し、パワーユニットによってスクリュー88を駆動する。パワーユニットを構成するもののうち発熱部もしくは部材を冷却するための冷却装置を備え、冷却装置において熱交換器113によって冷却された冷却液を発熱部に供給し、冷却に供された冷却液を発熱部から熱交換器113に還流する。
【選択図】図9

Description

本発明は、内燃機関とモータジェネレータ(電動モータ及び発電機兼用機)を含むパワーユニット(ハイブリッドエンジン)を搭載した船外機(ハイブリッド式船外機)に関するものである。
船舶もしくは舟艇の推進機関あるいは推進システムの主なものとして船外機、船内外機及び船内機等がある。船外機は、図31(a)のようにアウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジン、その捕機類、駆動系のギアやシャフト及びスクリュー等が一体化して構成されており、船体1の船尾のトランサムボード2に搭載される。典型的には小型の舟艇等に搭載され、軸を中心にして方向が可変であり(ステアリング機能)、また航行中に障害物等との衝突を回避するために跳上げ可能に構成されている(チルティング機能)。
また、船内外機は図31(b)に示すように、小型船舶等の推進機関の設置方法として、インボードエンジン・アウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジンを船内船尾部に搭載すると共に減速ギア、前後進クラッチ及びプロペラ等を一体化してなるドライブユニットをトランサムボード2の外部に配置したものである。
更に、船内機は図31(c)に示すように、典型的には小型船舶等の推進機関の設置方法の一つである。インボードドライブとも呼ばれ、エンジン、減速ギア、前後進クラッチを船内中央部等に設置し、プロペラシャフトを船尾に向けて延出させ、船底部よりプロペラを水中に設置する方式である。船の進行方向を決定する舵は、プロペラの後方に設置されることが多い。エンジンは4ストロークディーゼルが多い。エンジンの冷却方式については、船舶が使用される水域の水をシリンダブロック内に直接循環させる直接冷却方式とシリンダブロック内に清水を循環させ、熱交換器で船舶が使用される水域の水で冷却する間接冷却方式等がある。
また、動力源として電動モータを使用し、これに捕機類、駆動系のギアやシャフト及びスクリュー等が一体化して構成し、船体の船尾のトランサムボードに搭載する電動式のものも知られている。
更には、特許文献1あるいは特許文献2に記載されるように、エンジンと電動モータをプロペラの駆動源として備えた所謂、ハイブリッド型の船外機がある。これらの特許文献に記載のハイブリッド型の船外機では、クランク軸が上下方向となるように設置されたエンジンと、このエンジンの下方に配置された電動モータとを備えている。
特開2006−36086号公報 特開2008−137646号公報
とりわけ船外機に関して、従来技術の問題点等を検討する。先ず、船尾(トランサムボード)に覆いかぶさる形で搭載されるため、船尾まわりのスペースはデッドスペースとなり、即ちこれを利用して乗降りができない等の実用上の問題がある。また、船尾に搭載された船外機が邪魔になることから、船尾から網や釣った魚等の取込みができない上、救助者を船体に引き上げるのが実質的に困難である。
また、舟艇船体とは全く別体で構成され、船体の意匠と船外機のデザイン上、配色及び形状ともマッチさせるのが極めて難しい。
ここで、従来の船外機のパッケージ上の問題点を、別パッケージ方法である船内機あるいは船内外機との関係で検討する。
船内機ではプロペラシャフト、プロペラ及び舵等が船底に突出しており、流体抵抗が大きく、航走性能及び燃費性能が悪い。船内機ではプロペラシャフト、プロペラ及び舵等が船底に突出しており、浅瀬海域で航走できない。また、海上浮遊物に衝突すると、そのままでは衝撃吸収機構がないため損傷の程度が大きい。なお、最新のPODと呼ばれる推進機を備えた船内機も同様である。
船内機及び船内外機ともエンジンを船内に、推進機を船外に配置するため、狭い閉空間へのエンジン取付け、エンジンと推進機との軸芯合わせ、あるいはエンジンと推進機との連結部の水密処理などに手間がかかる。また、エンジンが船体内部あるいは船体奥に位置するため、メンテナンスにも手間がかかる。
船内外機はチルト機構が設けられているため衝撃吸収能力はあるが、チルト軸支点がエンジン〜推進機間を連結するドライブ軸近傍にしか設けられないため、最大チルト時のギアケース高さが低く、水上に引き上げることは実質的に困難である。また、ドライブ軸をユニバーサルジョイント等で曲げているため、チルト角度も小さい。このため水上保管時推進機をドライ状態にすることができず、耐腐食性を確保するのが難しい。更に船内外機ではステアリングをユニバーサルジョイント等でドライブ軸を曲げて行っているので、ステアリング角が小さく、このため旋回性能が悪い。
船内外機はエンジンドライブ軸と推進機ドライブ軸を機械的に連結しているため、両者の相対位置が限定される。従って、船体形状及び運転状況によって決まる最適推進軸(プロペラ)位置に調整できない。
また、船内外機はエンジンドライブ軸と推進機ドライブ軸を機械的に連結していることから、両者の相対位置が変化する。このため両者を連結するドライブ軸や排気通路はそれぞれ蛇腹状のゴムチューブで覆われ、水密構造としている。このチューブは変形し易さと、耐熱性と、耐候性という相反する要求を同時に求められているため、しばしば水密不良を起こし、定期的な部品交換が必要となる。
次に、従来の船外機の燃費性能をハイブリッド化との関係で検討する。
船外機の特徴である縦軸(上下方向)エンジンの直下にモータを置いた場合(パラレル式ハイブリッド)、モータがエンジンとオイルパンに鋏まれるため、エンジンのオイル落とし性能が悪化する。また、エンジンの排気通路、エンジンの冷却水通路、エンジンの潤滑油通路をモータが邪魔するためエンジン冷却、潤滑及び排気処理が難しい。更にモータがエンジン、エンジン排気、オイルパンの熱に囲まれているため、モータの冷却が困難となり、モータの性能を上げることができない。バネ下部重量が増えるためステアリング駆動力、衝撃吸収装置、エンジン懸架装置、エンジン振動緩衝装置が大型化し、全体としてサイズ、重量及びコストこれら全ての増大化する。
エンジンとモータをギアケース内に設置した場合、パラレル式ハイブリッドではギアケースが大型化し、流体抵抗が大きくなり、航走性能や燃費が悪化する。バネ下部重量及びチルト軸周りの慣性質量が増えるため、ステアリング駆動力、衝撃吸収装置、エンジン懸架装置、エンジン振動緩衝装置が大型化するので、全体としてサイズ、重量及びコスト増加を招く。
また、エンジンについては従来同様の位置、モータをギアケース内に設置した場合(パラレル式ハイブリッド)、モータがギアケース内に位置するために、ギアケースが大型化し、流体抵抗が大きくなり、航走性能や燃費が悪化する。モータとプロペラの効率を夫々最適化するために、減速機を両者間に設けた場合、更にギアケースが大型化し、航走性能や燃費は更に悪化する。また、モータとエンジンの距離が離れるため、ハイブリッドの燃費低減特徴であるアイドルストップに伴うエンジン再始動を駆動用モータで実施する際、遅れや機械損失が発生する。バネ下部重量及びチルト軸周りの慣性質量が増えるため、ステアリング駆動力、衝撃吸収装置、エンジン懸架装置及びエンジン振動緩衝装置が大型化し、全体としてサイズ、重量及びコストが増大化する。
エンジンについては従来同様の位置、発電機をエンジン直下、モータをギアケース内に設置した場合(シリーズ式ハイブリッド)、発電機がエンジンとオイルパンに鋏まれるため、エンジンのオイル落とし性能が悪化する。また、エンジンの排気通路、エンジンの冷却水通路、エンジンの潤滑油通路を発電機が邪魔するためエンジン冷却、潤滑及び排気処理が難しい。更に発電機がエンジン、エンジン排気及びオイルパンの熱に囲まれているため、発電機の冷却が困難となり、発電機の性能を上げることができない。モータがギアケース内に位置するために、ギアケースが大型化し、流体抵抗が大きくなり、航走性能及び燃費が悪化する。
モータとプロペラの効率をそれぞれ最適化するために、減速機を両者間に設けた場合、更にギアケースが大型化し、航走性能及び燃費は更に悪化する。バネ下部重量及びチルト軸周りの慣性質量が大幅に増えるため、ステアリング駆動力、衝撃吸収装置、エンジン懸架装置、エンジン振動緩衝装置が大型化するので全体としてサイズ、重量及びコストが増大化する。
更に、従来の純電動船外機にエンジン発電機を追加した場合(シリーズ式ハイブリッド)について検討する。
純電動船外機は電池容量が小さく、一般には航続距離が短い。これを解決するために別の場所(例えば船内)にエンジン発電機を設置した場合には電池(又は相当するエネルギー蓄積装置)へ電流が出入りする際のエネルギー損失が大きく、発電機、電池及びモータの総合効率=発電機効率×電池充電効率×電池放電効率×モータ効率、とかなり低い効率となってしまう。
そして特に、コンパクト化や高性能化等を実現する上で、制限され且つ実質的に密閉されたスペース内に集約配置される内燃機関等を含むパワーユニットを効率的且つ適正に冷却するのは容易ではなかった。
本発明はかかる実情に鑑み、それ自体コンパクトであり、舟艇に一体的且つコンパクトに搭載可能な新規な構成のハイブリッド式船外機を提供することを目的とする。更に、上述した従来の課題等を解決すべく舟艇に搭載した際、種々の優れた作用効果を発揮し得るハイブリッド式船外機を提供する。
また特に、コンパクト化や高性能化等を図りながら、制限され且つ実質的に密閉されたスペース内に集約配置される内燃機関等を含むパワーユニットを効率的且つ適正に冷却するハイブリッド式船外機を提供する。
本発明のハイブリッド式船外機は、ケーシング内部にパワーユニットを収容すると共に該ケーシング外部にスクリューを配置し、前記パワーユニットによって前記スクリューを駆動するハイブリッド式船外機であって、前記パワーユニットを構成するもののうち発熱部もしくは部材を冷却するための冷却装置を備え、前記冷却装置において熱交換器によって冷却された冷却液を前記発熱部に供給し、冷却に供された冷却液を前記発熱部から前記熱交換器に還流することを特徴とする。
また、本発明のハイブリッド式船外機において、前記熱交換器内に前記ケーシング外部から海水又は淡水を取り込んで前記冷却液を冷却すると共に、その海水又は淡水を前記熱交換器から排気通路を介して排出することを特徴とする。
また、本発明のハイブリッド式船外機において、前記熱交換器には、海水又は淡水を汲み上げるための汲上げパイプが接続され、前記ケーシングの前底部から垂下された前記汲上げパイプの下端に海水又は淡水の取込み口を有することを特徴とする。
また、本発明のハイブリッド式船外機において、前記取込み口は船底から下方へ突出して配置され、前記汲上げパイプの途中に設置された電動式汲上げポンプによって前記取込み口から取り込んだ海水又は淡水を、前記熱交換器に供給することを特徴とする。
また、本発明のハイブリッド式船外機において、前記発熱部として内燃機関、発電機兼用電動モータ、電気エネルギー貯蔵装置、これら電動モータ及び電気エネルギー貯蔵装置間に接続されるインバータ、及び前記内燃機関の排気管を含むことを特徴とする。
本発明によれば、パワーユニットのうちの発熱部に対して、熱交換器において冷却液と冷却用海水の熱を交換し、これにより発熱部を有効に冷却する。
この場合、これらの発熱部はウォータジャケットを有し、各ウォータジャケット内で冷却液を流通させる。即ち、発熱部内部に直接、冷却用海水を導入しないため、特に内部の耐食性を大幅に上げることができる。
また、冷却液の流通経路と冷却用海水等の流通経路を相互に完全に独立させ、これにより熱交換器において冷却液を常に効率よく熱交換し、発熱部に対する高い冷却効果を確保する。
また、各発熱部に供給される冷却液と熱交換すべき海水等を、海水汲上げパイプを介して常に円滑且つ効率的に汲み上げ、熱交換器の適正作動を保証することができる。
更に、海水等の電動式汲上げポンプを設けることで、各発熱部に対して最適な量の海水等を汲み上げることができ、無駄がなく効率が極めて高い。また、従来の船外機における機械式ポンプにあっては、ドライブ軸の逆転によりポンプにおける海水等の出入りが逆転してしまう。電動式とすることで、そのような問題が発生しない。
本発明の実施形態に係るハイブリッド式船外機が舟艇に搭載された状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るハイブリッド式船外機を搭載した舟艇の船尾まわりを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るハイブリッド式船外機を搭載した舟艇の船尾まわりを示す破断斜視図である。 本発明の実施形態に係るハイブリッド式船外機に収容されるパワーユニットを示す斜視図である。 本発明に係る船外機ケーシングの構成例を示し、(a)は船体側へ延出する部材等を示す斜視図、(b)は内部構造を示す(a)のA−A線に沿う断面図である。 本発明に係る船外機ケーシングにおいてケーシング本体からカバーが開いた状態を示す斜視図である。 本発明に係る船外機ケーシングにおけるケーシング本体とカバーとの間のシール構造の例を示す斜視図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの後面正面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの前面正面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの左側面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの上面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの底面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの前面正面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの後面正面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの上面図である。 本発明の実施形態における船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットの底面図である。 本発明に係る船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットにおけるエンジンと減速機との結合構造を示す断面図である。 本発明に係る船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットにおけるエンジンマウントの構成例を示す図である。 本発明に係る船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットにおけるエンジンマウントの構成例を示す図である。 本発明に係る船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットにおけるエンジンマウントの構成例を示す図である。 本発明に係る船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットにおけるエンジンマウントの構成例を示す図である。 本発明に係る船外機ケーシング内に収容されるパワーユニットにおけるエンジン及びモータジェネレータの結合構造を示す断面図である。 本発明の実施形態におけるチルト軸、ドライブシャフト及び推進機まわりの構成例を示す断面図である。 本発明に係るチルト軸及びドライブシャフトまわりの構成例を示す断面図である。 本発明の実施形態における推進機まわりの構成例を示す断面図である。 本発明の実施形態におけるチルト機構に使用されるパワートリムチルトの例を概略的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るチルト機構の作動例(推進機トリム限界位置)を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るチルト機構の作動例(推進機シャロー位置)を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るチルト機構の作動例(推進機格納位置)を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るステアリング機構の作動例(直進時)を示す正面図及び底面図である。 本発明の実施形態に係るステアリング機構の作動例(左旋回時)を示す正面図及び底面図である。 本発明の実施形態に係るステアリング機構の作動例(右旋回時)を示す正面図及び底面図である。 本発明の実施形態に係るパワーユニットにおける冷却系の構成例を模式的に示す図である。 船外機、船内外機及び船内機がそれぞれ搭載された舟艇の典型的な例を示す図である。
以下、図面に基づき、本発明によるハイブリッド式船外機の好適な実施の形態を説明する。
図1及び図2は、本発明に係るハイブリッド式船外機10を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示している。この例では船舶は典型的には中小型とし、船体1の後部にトランサムボード2(船尾板)有するものとする。船外機10は図示のようにトランサムボード2を利用して搭載される。なお、以下で参照する各図の要所において、前方(船首側)を矢印Frにより、後方(船尾側)を矢印Rrによりそれぞれ示す。また、必要に応じて船体の左右方向(船体幅方向)をそれぞれ矢印L、矢印Rにより示す。
ここで先ず、本実施形態に係る船体1において、図3のように船体1の船底3の上方には船床4が敷設され、この船床4にはトランサムボード2の前方位置にて段部4aが設けられている。なお、船舶としてこの図示例のものに限定されず、その他トランサムボードの後側に船外機搭載用のブラケット等を具備した船体もあり、つまり船体の船尾に船尾板又はこれに相当する部位もしくは部材を有するタイプのものに対して、本発明のハイブリッド式船外機10は有効に適用可能である。
ケーシング
ハイブリッド式船外機10はケーシング11を有し、図4のようにケーシング11内部に後述するパワーユニットを収容すると共に、ケーシング11の外部にスクリュー(プロペラ)を配置し、パワーユニットによってスクリューを回転駆動する。ケーシング11は船外機10の外観を構成する外装部材としても機能し、全体として一体感のある外観を呈している。
ケーシング11は図5をも参照して、船体1の船尾部(典型的にはトランサムボード2とする)と略同一の幅を有する筐体として構成される。この例ではケーシング11の基本的な形態は直方体とし、該直方体の長手方向が船体幅方向(以下、船幅方向と略称する)としている。ケーシング11の筐体は少なくとも、トランサムボード2に結合する前面部11aと、トランサムボード2の頂部2aと略同一の高さ又は適度に低い高さとした実質的に平坦な上面部11bとを有する。ケーシング11は更に船幅方向両端の側面部11cと、後述するようにスクリューが配設される後面部11dと、船尾部の船底3よりも適度に高く配置される底面部11eとを有し、これらの面によってその基本的形態が構成される。
ケーシング11はまた、ケーシング本体12とその上部に開閉可能に取り付けられたカバー13とを含んでいる。ケーシング本体12の前面部11aの内面側には、ベース板14が一体的に結合する(図5(b)参照)。ベース板14はアルミニウム合金等で形成され、パワーユニット等を始めとする船外機10の構成部材を支持すると共に、船外機作動時に発生する荷重あるいは負荷等を支承する。なお、ケーシング11それ自体で所定の剛性を備えており、内部に収容される船外機構成部材を支持あるいは取り付けるために適宜利用可能である。
また、ベース板14(ケーシング11の前面部11aを含む)には、船体1への取付穴15が設けられる。この例ではベース板14の左右両端部において、上下方向に列設された複数の上側取付穴15Aと単一の下側取付穴15Bが形成されており、これらの取付穴15A及び15Bに挿通させたボルト(図示せず)によってベース板14、従って船外機10全体を船体1に強固に固定することができる。なお、下側取付穴15Bは、上下方向に沿って形成された長穴であってよい。
カバー13は上面部11bを構成するが、ケーシング本体12の前部上端付近にてヒンジ16を介して回動可能に結合する。図6のようにカバー13をヒンジ16のまわりに回動させて開成することで、ケーシング11内部が開放され、これにより露呈したケーシング11内部のパワーユニット等に自由にアクセス可能となる。カバー13を開けて内部の点検等を容易に行うことができ、この種の作業の利便性を向上することができる。ケーシング本体12とカバー13の閉合部もしくは合せ面にはシール17(図6参照)が敷設され、カバー13を閉めることでケーシング11の高い水密性が確保・保持される。
ここで、シール17は図6に示されるように、ケーシング本体12及びカバー13の合せ面に沿って全周に亘って敷設される。図7に示すようにカバー13の開口縁部、即ち閉合部13aに沿ってシール17としてのサイドシールが装着される。そして、カバー13が閉まった際にはケーシング本体12の閉合部12aとの間に挟着され、これによりケーシング11に対する高い水密性が得られる。
また、ケーシング11の上面部11b、即ちカバー13の上表面を平坦とすることにより、舟艇もしくはボートのデッキ延長として機能的及び意匠的に、船外機10が船体1から滑らかに連続するように一体化する。なお、カバー13の上表面には適度な大きさの凹凸を設け、これにより滑り止め効果を持たせることができる。その他、別体の滑り止めラバー等を添着してもよい。これにより、従来の船外機では不可能であった網の取込み、釣った魚の取込み、あるいはレスキューの際対象人員の取り込みが可能であるだけでなく、船尾を桟橋に近づけて、ボートへの乗り降りを船尾から行うことが可能になる。
更に、ケーシング11の後面側において、後面部11dから底面部11eへかけての領域において上面部11bよりも下方であって、船幅方向中央部には凹部18が設けられている。この凹部18には、後述する船舶の推進装置及びそのチルト・ステアリング機構等が配設される。凹部18は後面部11dから前方へ向けて形成されるが、図5(b)に示されるように前面部11aまでは到達せず、即ち前面部11aの手前にその前壁18aが形成される。この前壁18aは段状又は凹凸状に折曲しており、チルト機構あるいはその周辺機器や部材等の配置及び作動空間等を確保するようにしている。
凹部18の左右両側壁18bの後端には、後面部11dとの間で面取18cが形成されている。この面取18cは後述するように、ステアリング機構によって推進機が左右に回動する際、部材相互の干渉を防止するものである。また、側壁18bには、後述するスイベルブラケットの横方向スラストを支えるための案内部もしくはガイド19が設けられている。なお、ケーシング11の底面部11cは、少なくとも船底3よりも適度に高く設定される。
更に、図5(a)に示すようにケーシング11の前面部11a及びベース板14とトランサムボード2との間で穴を共あけするかたちで、複数の貫通孔が形成されている。即ち、後述するようにエンジンに燃焼用空気を供給するための吸気管42を挿通させるための貫通孔20、燃料タンク21からエンジンに燃料を供給するための燃料パイプ22を挿通させるための貫通孔23、ケーシング11内を換気するための換気空気用筒体24を通すための貫通孔25が形成される。更に、ケーシング11内の装置もしくは機器類又は部材と船体1側の操縦装置との間を、電気的(制御信号等を含む)あるいは機械的に接続するコード又はケーブル類26を挿通させるための貫通孔27が形成される。なお、これらの貫通孔には実装時に水密保持手段(シール等)が施される。
パワーユニットの全体構成
次に、ケーシング11内に収容されるパワーユニットについて説明する。ここで、図8はパワーユニットの後面正面図、図9は前面正面図、図10は左側面図、図11は上面図、図12は底面図、図13は前面正面図、図14は後面正面図、図15は上面図、図16は底面図である。これらの図をも参照しつつ、各部の構成につき更に詳細に説明する。
本発明のハイブリッド式船外機10はそのパワーユニットとして、内燃機関と電動モータを主動力とし、これらをそれぞれ独立して又は双方同時に作動させて推進機を駆動する。この実施形態では電動モータは発電機能を兼備し、即ち電動モータとして動力を発生すると共に発電した電力をバッテリに供給するジェネレータとして機能する(以下、モータジェネレータと称する)。このモータジェネレータは永久磁石式交流同期モータ型であり、電動モータとして使用する場合、バッテリからインバータを介して供給される三相交流を用いて、永久磁石を取り付けたロータを三相交流に同期させて回転させることにより、小型でありながら強力なトルクを発生する。一方、発電機として使用する場合、内燃機関の動力によりロータを回転させることで三相交流を発生させ、この三相交流に基づきインバータを介してバッテリを充電する。モータジェネレータの駆動用電気エネルギー貯蔵装置として、一般的にはバッテリもしくは電池であるが、キャパシタ等を用いることも可能である。
パワーユニットを構成する主要部材即ち内燃機関、モータジェネレータ、インバータ及びバッテリ等の重量物は、ケーシング11内にコンパクト且つバランス良く収容される。先ず図6及び図8等に示されるように、その筐体の長手方向が船幅方向としたケーシング11の左右一方側、この例では右側に内燃機関、即ちエンジン28が配置される。また、ケーシング11の左右他方側である左側にはモータジェネレータ29及びその前斜め上方のバッテリ30(高電圧用)が配置される。即ちパワーユニットの主要構成部材であるエンジン28と、モータジェネレータ29及びバッテリ30とをケーシング11内で左右に並置する。インバータ31はこの例では幅方向略中央に配置されるが、エンジン28と反対側、即ち左側寄りに配置してもよく、いずれの場合もケーシング11の左右間で重量バランスよく配置するものとする。
より具体的には、相互に連結されるエンジン28のクランク軸とモータジェネレータ29の入力軸とをそれぞれ船幅方向に沿うように、且つ水平に配置する。また、モータジェネレータ29の出力軸の延長上には後述するチルト軸を有し、船幅方向センタにて該チルト軸から推進機を垂架する。なお、これらの詳細については後述するものとする。
パワーユニットの構成部材のうち、そのかなりの重量を占めるエンジン28とモータジェネレータ29及びバッテリ30とを、上記のようにケーシング11において略センタ振分けで水平配置する。かかる配置構造により、パワーユニットシステム全体の重心を船体1(トランサムボード2)側寄りに接近させ、これにより前後方向には張り出さない。同時に水平配置する、即ちクランク軸を鉛直方向としないことで上下方向にも、特に上方に張り出すことなく、これらの構成部材はケーシング11にコンパクトに収容される。このようにエンジン28とモータジェネレータ29間の動力伝達経路を水平に設定し、トランサムボード2に近接配置できるので、本システム全体の重心位置はトランサムボード2に近くなる。従って、船外機10を搭載した船体1の水上での姿勢が船尾下がりになるのを極力抑制し、また滑走に移行するのが極めて円滑で、しかも容易且つ的確である。
エンジン
内燃機関としては水冷式多気筒(この例では4気筒)直列4サイクルガソリンエンジンを使用する。なお、エンジンの気筒数等は必要に応じて適宜変更可能であり、この例に限定されるものではない。図17をも参照して、エンジン28の相互に一体的に結合するシリンダブロック32及びクランクケース33内において、各気筒のシリンダボア34内にピストン35が往復動自在に収容され、各ピストン35ともそれぞれコンロッド36を介してクランクシャフト37と連結する。クランクシャフト37は船幅方向(左右方向)に沿って配置され、その軸端に付設されたフライホイール38には、左方へ延出するエンジン出力軸39がクランクシャフト37と同心に取り付けられる。
エンジン28の各シリンダボア34内で往復動するピストン35の上部には、点火プラグ40が栓着すると共に、シリンダヘッド41内に吸気バルブ及び排気バルブ(共に図示せず)を開閉駆動する動弁装置が収容される。本実施形態ではシリンダヘッド41において後方側に吸気バルブが、また前方側に排気バルブがそれぞれ配置される。
吸気側において、図9等に示すように吸気管42がケーシング11前部の船体1側まで延出し(図5(a)をも参照のこと)、その先端の空気取込み口42aから空気を取り込むようになっている。空気取込み口42aは、船体1において波、しぶき及び雨等に曝されることがない部屋もしくはスペースに設置される。図8及び図14に示されるように単一の吸気管42は各気筒の吸気マニホールド43に分岐するが、この分岐部位にスロットルボディ44が配置されている。スロットルボディ44において各吸気マニホールド43に対して、適正混合比となるように形成された混合気が供給される。
また、排気側において、図9及び図13等に示されるように各気筒の排気マニホールド(及びそのカバー)45が下方へ延出して互いに集合し、その後単一の排気管46に接続される。この集合部位には触媒装置47が設けられており、触媒装置47によって清浄化した排気を排気管46へと排出する。図8及び図14等を参照して、排気管46は後述するオイルパン49の下側に入り込んでエンジン28の後側へ延出し、再び上方へ引き回されて後、排気案内管48に接続される。なお、排気管46をこのように引き回す際、例えばケーシング11やシリンダブロック32の適所を利用して、支持ブラケット等を取り付け、この支持ブラケットを介して排気管46を支持することができる。また、排気管46の途中適所にマフラ(消音器)を設けることも可能である。排気は更に排気管46から、後述する排気案内管48及び排気通路等を通って、船外機10の外部へ排気されるようになっている。
エンジン28の下部には潤滑オイル用オイルパン49が配置されており、エンジン28の各部を潤滑した潤滑オイルがオイルパン49に回収される。オイルパン49に回収されたオイルは、シリンダブロック32の前側に取り付けられたオイルフィルタ50(図12、図13及び図16参照)を経て再びエンジン28の各部へと給送される。なお、潤滑オイルを循環させるためのオイルポンプが内蔵されている。
エンジン28の所要部位(シリンダブロック32及びシリンダヘッド41等)には、冷却液が循環流通するウォータジャケットが設けられている。この例では図12及び図13等に示されるようにシリンダブロック32の前側適所に配設され、クランクシャフト37の回転を動力源として作動する冷却液ポンプ51を有する。クランクシャフト37のフライホイール38とは反対側の軸端にはドライブプーリ52が取り付けられ、一方、冷却液ポンプ51の回転軸にはドリブンプーリ53が取り付けられる。両プーリ52,53間にはガイドプーリ54を介して、例えばタイミングベルト55が巻回され、これによりクランクシャフト37の回転で冷却液ポンプ51を駆動し、冷却液を所定流路に沿って循環させるようになっている。
上記の場合、冷却液ポンプ51に対して、後述する熱交換器から冷却された冷却液が供給される。エンジン28を冷却するために使用された冷却液は熱交換器へ戻り、冷却後再び冷却液ポンプ51に供給されるようになっている。
エンジン28は支持ブラケットもしくはマウントによって、ケーシング11内の所定位置に支持される。図18A〜図18D等に示されるようにシリンダブロック32あるいはシリンダヘッド41の所定部位等を、複数のマウント56A〜56Dによって支持する。各マウント56A,56B,56C,56Dはケーシング11の適所に直接又は間接的に取り付けることができる。あるいはベース板14を利用して取り付けることもでき、又はベース板14に支持されるフレーム構造部材(図示せず)に取り付けることも可能である。また、マウント56A〜56Dの設定部位や数量等は、ケーシング11内のスペースあるいはエンジン28に対する支持強度等との関係で適宜選択可能であるが、いずれの場合もエンジン28の高い支持剛性を確保し、且つエンジン28をバランスよく取付支持するものとする。
モータジェネレータ
ケーシング11内で左右に並置されるエンジン28側とモータジェネレータ29側は、図13あるいは図17等のように、ユニバーサルジョイント57を介して相互に連結される。この場合、モータジェネレータ29には減速機58(初段)が一体的に結合しており、両者はユニットとして一体化している。具体的には減速機58を介して、ユニバーサルジョイント57とモータジェネレータ29とが連結される。ユニバーサルジョイント57の一端側(右側)は、図17に示されるようにエンジン出力軸39と連結し、他端側(左側)は減速機58の入力軸59と連結する。基本的にはクランクシャフト37、エンジン出力軸39、ユニバーサルジョイント57及び減速機58の入力軸59は実質的に同一軸線上に沿って、即ち船幅方向に配置される。
ここで、ケーシング11の船幅方向中央部において凹部18に対応して、図12等に示されるように底面視(もしくは上面視)で「コ」字状の主ブラケット60が配置される(なお、図12においてはハッチングにより図示されている)。主ブラケット60はコ字の中央辺部で、ボルト等によりベース板14に固定支持され、該中央辺部の両側部がベース板14から後方へ延出して、凹部18(の側壁18b)を左右両側から挟み込むように配置される。また、主ブラケット60の左側近には「L」字状もしくは鉤型のモータブラケット61が配置される。このモータブラケット61の取付方法としては、例えばそのL字の底辺部にてベース板14に固定することができる。このように支持されるモータブラケット61は、ベース板14から後方へ延出し(図17等参照)、モータジェネレータ29と一体結合する減速機58を支持する。なお、ユニバーサルジョイント57はケーシング11の凹部18の内領域に配置され、即ちケーシング11の外部側に配置される。
図19に示されるように主ブラケット60(及び凹部18の側壁18b)には、エンジン出力軸39を挿通させるための孔60a、及び減速機58の入力軸59を挿通させるための孔60bが穿設されている。このうち一方の孔60aは、エンジン出力軸39よりも大径に形成され、両者の間に形成される隙間に対して水密を保持するためにブーツ62が装着される。なお、他方の孔60bについては、シールもしくはパッキン63が装着される。
前述のようにエンジン28はマウント56A〜56Dを介して取り付けられ、またモータジェネレータ29はマウント(モータブラケット61)を介して取り付けられる。エンジン28はその作動中、トルク反力、往復運動部や回転運動部の慣性力の不釣合い等により、その軸心であるクランクシャフト37、従ってエンジン出力軸39がエンジン28の作動状況に応じて位置ずれすることがある。また、モータジェネレータ29についても、トルク反力等に起因するが、作動状況に応じてその軸心が位置ずれすることがある。このような場合、エンジン28とモータジェネレータ29(具体的には減速機58の入力軸59)とをユニバーサルジョイント57を介して連結することで、相互間に生じる軸心のずれを吸収して、円滑なトルク伝達を保証することができる。
減速機
次に、減速機58は図19等に示されるようにそのケーシング64内に、入力軸59と接続可能なドライブギア65と、このドライブギア65と噛合するドリブンギア66とがそれぞれ回転自在に軸支されている。これらのドライブギア65及びドリブンギア66は平歯車等であってよく、両者間の変速比は、エンジン28の作動上最も効率がよい回転数とモータジェネレータ29の作動上最も効率がよい回転数とが両立するように設定される。
ドライブギア65の回転軸65aと入力軸59との間には第1クラッチ67が介装される。この第1クラッチ67は所謂、電磁クラッチ等により構成され、ハイブリッドコントロールユニットによって所定のタイミングで適宜、エンジン28側とモータジェネレータ29側の間の動力伝達経路を接続・切離するように制御される。
バッテリ/インバータ
モータジェネレータ29は、前述したように電動モータ機能と発電機能とを兼備している。モータジェネレータ29の周辺機器としてのバッテリ30は、図8あるいは図10等に示されるようにベース板14に固定支持されて後方へ延出する支持ブラケット68によって水平に支持される。バッテリ30は支持ブラケット68を介して、モータジェネレータ29の前斜め上方位置に支持されるが、ケーシング11内で前面部11a側に配置される。バッテリ30もかなりの重量物であり、このように前面部11a寄りに配置することで、船外機10の重心を船体1側に近づけることができる。
また、インバータ31は図8等に示されるように、主ブラケット60の上部に配置された支持ブラケット69によって支持される。この例ではケーシング11の船幅方向略中央部又は左側寄りであって、図10等に示されるように側面視ではモータジェネレータ29の上方位置に配置される。また、バッテリ30よりも適度に高い位置であって、ケーシング11のカバー13直近に配置される。
モータジェネレータ29は前述したように電動モータと発電機の機能を有しており、そのためモータジェネレータ29及びインバータ31間は三相交流用電気配線70を介して接続され、バッテリ30及びインバータ31間は直流用電気配線71を介して接続される(図13及び図14等参照)。モータジェネレータ29を電動モータとして使用する場合、バッテリ30の電力はインバータ31を介して交流電流として、モータジェネレータ29に供給され、一方、発電機として使用する場合はモータジェネレータ29の発生電力はインバータ31を介して直流電流として、バッテリ30に供給される。なお、これらの切替制御は、ハイブリッドコントロールユニットによって行われる。
モータジェネレータ29のロータ軸72は図19に示されるように、ドリブンギア66と同心に結合し、このドリブンギア66と一体化した回転軸66aが入力軸59の後方側で、これと平行にエンジン28側へ延出する。この回転軸66aの延長上にチルトシャフト73がチルト軸受74(ニードルベアリング等でよい)を介して、主ブラケット60によって回転可能に横架・支持される。チルトシャフト73はその基本形態として円筒状の中空構造を有し、ユニバーサルジョイント57の後方側にてこれと平行に、凹部18の内幅に亘って架け渡されるかたちで配置される。チルトシャフト73の一端側(右側)は閉塞し、他端側(左側)にはモータジェネレータ出力軸75が内挿される。モータジェネレータ出力軸75はチルトシャフト73内で、軸受76を介して回転可能に支持される。チルトシャフト73の他端にはモータジェネレータ出力軸75との間にシール77が挿着される。
ドリブンギア66の回転軸66aとモータジェネレータ出力軸75との間には、図19に示されるように第2クラッチ78が介装される。この第2クラッチ78は電磁クラッチ等により構成され、ハイブリッドコントロールユニットによって所定のタイミングで適宜、モータジェネレータ29側とモータジェネレータ出力軸75側、ひいては推進機側との間の動力伝達経路を接続・切離するように制御される。なお、第2クラッチ78の作動制御は、ハイブリッドコントロールユニットによって行われる。
チルトシャフト73はそれ自体でギアケースとなり、即ちその内部にベベルギア79及びピニオン80によって構成される中間減速機81が配置される。モータジェネレータ出力軸75の先端部にはピニオン80が取り付けられる。また、水平配置されたモータジェネレータ出力軸75と直交して下方へ延出するドライブシャフト82の上端部には、ベベルギア79が取り付けられる。このようにモータジェネレータ出力軸75とドライブシャフト82の間に中間減速機81を設置することで、モータジェネレータ29の効率のよい回転数と推進機のプロペラの効率のよい回転数とを一致させている。
図19〜図21に示されるようにケーシング11の凹部18の船幅方向中央部でチルトシャフト73から下方へ延出するドライブシャフト82の周囲には、ドライブシャフトケース83が配置される。このドライブシャフトケース83の前側にはスイベルブラケット84が配置され、これらチルトシャフト73、ドライブシャフトケース83及びスイベルブラケット84は、相互に一体的に結合する。スイベルブラケット84はその基本的形態において、凹部18の内幅と略等しい船幅方向に広がりを持つ概略板状を呈し、外力等の負荷荷重に対して高い剛性強度を備えている。スイベルブラケット84の下端には後方へ延出するロアステアリングブラケット85が固着する。
上述のようにモータジェネレータ出力軸75はチルト軸と一致しおり、チルト軸から下方に垂架されるドライブシャフト82や後述する推進機は、このチルト軸を中心に上下方向に回動可能、即ちチルティング作動する。これにより船速及び推進力に応じた最適推進角度で運転が可能であり、一方、最大チルトアップ姿勢では水上係留において、推進機まわりを水面から離してドライ状態とすることができる。
なお、チルトシャフト73の周囲(の一部)にはエンジン28で発生した燃料ガスを排気するための排気通路が形成され、この排気通路は更にドライブシャフトケース83内部を経由して形成されるが、これについては後述するものとする。
推進機
図20等に示されるようにドライブシャフトケース83の下方には、プロペラを有する推進機86が配置される。推進機86は、プロペラ駆動用のギアを内蔵するギアケース87を含み、全体としてフィン状を呈する。ギアケース87の後端部にはプロペラ88が装架される。ドライブシャフト82はドライブシャフトケース83内を通って更に下方へ延出し、ギアケース87内まで延設される。ここで、ギアケース87は、ドライブシャフトケース83の周囲に設けた軸受部89及びこの軸受部89に結合するドライブシャフトハウジング90を介して、スイベルブラケット84のロアステアリングブラケット85によって回動可能に支持される。
ドライブシャフト82は図22にも示されるように、ギアケース87内で軸受91によって支持される。ギアケース87の内部にベベルギア92及びピニオン93によって構成される最終減速機94が配置される。ドライブシャフト82の下端部にはピニオン93が取り付けられ、垂直配置されたドライブシャフト82と直交して水平後方へ延出するプロペラシャフト95の前端部にはベベルギア92が取り付けられる。プロペラシャフト95は、その前端部及び後端部付近でそれぞれ軸受96,97によって回転可能に支持され、後端部にプロペラ88が取り付けられている。軸受96,97は、ベアリングハウジング98内に配設される。これによりドライブシャフト82の回転で、最終減速機94を介してプロペラシャフト95、従ってプロペラ88を回転駆動することができる。
前述したようにエンジン28及びモータジェネレータ29間に減速機58を配置し、モータジェネレータ29及びドライブシャフト82間に中間減速機81を設け、更にドライブシャフト82及びプロペラシャフト95間に最終減速機94を設け、これらの初段、中段及び終段の減速機を経てプロペラ88を駆動するようになっている。中段減速比×終段減速比がモータジェネレータ29及びプロペラ88間の総合減速比となり、初段減速比×中段減速比×終段減速比がエンジン28及びプロペラ88間の総合減速比となり、初段減速比がエンジン16及びモータジェネレータ17間の減速比となる。このように減速比を設定することでエンジン28、モータジェネレータ29及びプロペラ88のそれぞれ効率が最もよくなるように組み合わせている。
チルト機構
次に、推進機86に対するチルト機構及びステアリング機構について説明する。
先ず、推進機86はチルトシャフト73を介してそのチルト軸のまわりに上下方向に回動可能である。チルト機構において所謂、パワートリムチルト(PTT)等と称する駆動装置を備える。図23に概略図示したようにこのパワートリムチルト99は、両側一対のトリム駆動用の油圧シリンダ100とそれらの間のチルト駆動用の油圧シリンダ101を一体化したかたちで備えている。これらの油圧シリンダ100,101は電動油圧式であり、モータ駆動による油圧ポンプを油圧源として作動する。油圧シリンダ100のトリムロッド100a及び油圧シリンダ101のチルトロッド101aはそれぞれ伸縮するように構成され、トリム駆動用のトリムロッド100aの作動ストロークよりもチルト駆動用のチルトロッド101aの作動ストロークが長く設定されている。パワートリムチルト99の油圧シリンダ100及び101は、制御装置によって作動タイミング等が制御されるようになっている。
パワートリムチルト99の基端99aは図20等に示されるように、ケーシング11側(主ブラケット60の適所部位を利用することができる)に揺動可能(上下方向)に支持される。この場合、チルト駆動用のチルトロッド101aの先端部は、スイベルブラケット84に連結される。なお、このチルトロッド101aの連結部位は、チルト軸よりも下方である。一方、トリム駆動用の油圧シリンダ100のトリムロッド100aは、スイベルブラケット84側に当接するようになっている。この例ではトリムロッド100aを指向して、スイベルブラケット84の前面側から斜め上前方に突設された突当てアーム102を有する。
チルト機構によりトリム駆動する場合、油圧シリンダ100を作動させ、そのトリムロッド100aを図24の矢印のように伸長させて突当てアーム102に当接させる。これによりチルトシャフト73より下方の部位を、該チルトシャフト73のまわりに矢印のように回動させ、ドライブシャフト82及びドライブシャフトハウジング90等、そしてプロペラシャフト95を含む推進機86全体を傾動させることができる。この場合、トリム限界位置としては、20°程度とする。
一方、油圧シリンダ101を作動させると、図25の矢印のように油圧シリンダ101のチルトロッド101aが伸長し、その先端部に連結するスイベルブラケット84、従ってチルトシャフト73より下方の部位をチルトシャフト73のまわりに矢印のように更に回動させ、この場合もドライブシャフト82及びドライブシャフトハウジング90等、そしてプロペラシャフト95を含む推進機86全体を傾動させることができる。この場合、チルト駆動による推進機86のシャロー位置としては、45°程度とする。
このチルト作動では更に、図26のように格納位置として90°程度まで推進機86をチルト駆動することができる。なお、通常のパワートリムチルトによるチルト駆動時の上限位置は、高々75°程度である。
油圧シリンダ100,101は衝撃吸収機能があり、推進機86が例えば仮に水上浮遊物や海底と衝突した場合、後方(上方)に推進部が跳ね上がることがあるが、このとき油圧シリンダ内のオイルの動きをオリフィスで規制することで衝撃を緩和吸収することができる。
ステアリング機構
次に、推進機86はステアリング機構によってヨー方向(左右方向)に回動可能である(ヨーイング)。このステアリング機構において、図8及び図13あるいは図14等に示すようにスイベルブラケット84の左右両側に突出して、該スイベルブラケット84に前側に張り出す一対のステアリング固定ブラケット103を有する。スイベルブラケット84の前側において、これらのステアリング固定ブラケット103によって両端が支持されるステアリングロッド104が横架される。ステアリングロッド104には電動油圧式に油圧駆動されるステアリングシリンダ105が嵌着しており、モータ駆動による油圧ポンプを油圧源として、ステアリングロッド104に沿って往復動するようになっている。
図27を参照して、ステアリングシリンダ105の両端には油圧配管エルボ106が取り付けられ、これらの油圧配管エルボ106を介して作動油が供給・排出される。ステアリングシリンダ105の下側には、ステアリング可動ブラケット107が略平行に取り付けられていて(図27(a)においてハッチングにより図示されている)、ステアリングシリンダ105と一体的に可動する。なお、ステアリングシリンダ105の両端部には、ステアリング可動ブラケット107を取り付けるためのボス105aが突設されている。ステアリング可動ブラケット107は、ギアケース87側と結合しているドライブシャフトハウジング90側に植設した連結ピン108と結合する。これによりステアリングシリンダ105の往復動に連動して、連結ピン108を介してギアケース87、従って推進機86が左右方向に回動する。
例えば直進時には図27のようにステアリングシリンダ105が、ステアリングロッド104の長手方向中央部に位置し、このときギアケース87従って推進機86全体は前後方向を向き、舟艇は直進する。また、この直進状態からステアリングシリンダ105を、図28(a)の矢印のように右方へ移動させると、ギアケース87即ち推進機86は、図28(b)の矢印のようにその回動中心であるステアリング軸即ちドライブシャフト82のまわりに回動し、これにより推進機86は右方を向き、舟艇は左旋回する。
一方、上述した直進状態からステアリングシリンダ105を、図29(a)の矢印のように左方へ移動させると、ギアケース87即ち推進機86は、図29(b)の矢印のようにその回動中心であるステアリング軸即ちドライブシャフト82のまわりに回動し、これにより推進機86は左方を向き、舟艇は右旋回する。
吸・排気系
前述したように吸気側において、船体1側まで延出させた吸気管42の先端の空気取込み口42aから空気を取り込み、排気側において、エンジン28からの排気が排気管46へと排出される。吸気管42を船体1側まで延出させるために、ベース板14及びトランサムボード2に貫通孔20(図5参照)を形成し、これに吸気管42を貫通させる。これにより空気取込み口42aから船内の直接しぶきや雨水がかからない部屋から空気を取り込むことができ、従ってケーシング11内の温度が上がっても低温高密度の空気を燃焼用に使用でき、エンジン出力が下がることはない。
排気側において、図8等に示したように排気管46はエンジン28の底部の下側(オイルパン49)を通って、エンジン28の後方側で凹部18を指向して立ち上がるように引き回わされる。前述のように凹部18にはチルトシャフト73が横架されており、このチルトシャフト73と略平行に排気案内管48が配置されている。図19〜図21を参照して、排気案内管48は排気導入口48aと排気排出口48bを有し、排気導入口48aはケーシング11内で排気管46と接続され、排気が導入されるようになっている。なお、凹部18内に排気案内管48を支持するためのブラケットを設け、このブラケットを介して排気案内管48を支持することができる。
排気案内管48は、船幅方向に相互に離隔した一対の排気排出口48bを有し、各排気排出口48bから後述する排気通路へ排気を排出する。チルトシャフト73の両端部において、その外周部に排気案内管48の各排気排出口48bと接続するための接続部109を有する。この接続部109内部には、一対の断面略矩形のドーナッツ型の環状空間もしくはスペース110が形成され、この環状スペース110が排気排出口48bと接続される。
接続部109における接続構造において、例えば接続部109の外周面には長穴が形成され、その長穴を介して環状スペース110及び排気排出口48bが連通する。なお、長穴としては、接続部109の外周面においてその円周角で見て少なくとも90°程度の長さを有する。接続部109はチルトシャフト73と共に一体的に回転するが、この場合、長穴から排気が漏出しないようにするために、例えば排気排出口48bには長穴の円周形状に沿った遮蔽部材109a等を付設することができる。
接続部109の環状スペース110に導入された排気は、図20及び図21の矢印で示すような排気通路111を通って一旦、排気集合部112に集合される。そして、その後ドライブシャフトケース83内を通って、排気は更にギアケース87内を通過してプロペラ98のボス部内側から水中に排出される。上記のように構成される排気通路111において、排気案内管48の一対の排気排出口48bから左右バランスよく流通させることで、排気を効率よく排出することができる。また、最終的にプロペラ98のボス部内側から水中に排出することで、排気音を抑制して大型の消音装置等を必要としないで済む。
冷却系
パワーユニットを構成するエンジン28あるいはモータジェネレータ29等は、その作動時に発熱するが、これらの部材を冷却するために熱交換器を有し、熱交換器から冷却液を各部に供給すると共に、使用後は熱交換器に還流するようになっている。
本実施形態では図12等に示すようにモータジェネレータ29の前部側にて、ブラケット114を介して熱交換器113が配置支持される。なお、図30は、熱交換器113による冷却系を模式的に示している。
熱交換器113には、海水又は淡水(以下、単に海水という)を汲み上げるための海水汲上げパイプ115が接続され、この海水汲上げパイプ115はケーシング11の前底部から垂下される。海水汲上げパイプ115の下端には海水取込み口116を有し、この海水取込み口116から海水を取り込むようになっている。なお、海水取込み口116は、船底3から下方へ突出する。ケーシング11内において、海水汲上げパイプ115の途中適所に海水汲上げ用の電動式汲上げポンプ117が配置され(図12及び図15等参照のこと)、この汲上げポンプ117によって海水を汲み上げて、熱交換器113内に供給する。熱交換器113内の海水は使用後、排水パイプ118を通って排気通路111と合流して排水されるようになっている。
熱交換器113内には、所定の経路に沿って熱交換パイプ119が引き回されており、この熱交換パイプ119は一端側で冷却液供給パイプ120と接続し、他端側で冷却液還流パイプ121と接続される。冷却液供給パイプ120(120a〜120c)はモータジェネレータ29(インバータ31に対する間接的な冷却液供給パイプ120a′の場合を含む)、バッテリ30、エンジン28及び排気管46にそれぞれ接続される。また、インバータ31、バッテリ30、エンジン28及び排気管46にはそれぞれ冷却液還流パイプ121(121a〜121c)が接続される。冷却液供給パイプ120の途中適所には冷却液循環用の電動式循環ポンプ122が配置され(図16参照)、この循環ポンプ122によってこの冷却系で冷却液を循環させる。
上記の場合、モータジェネレータ29、バッテリ30及びインバータ31、更には排気管46はそれぞれ、所謂ウォータジャケットを有している。それらのウォータジャケット内で冷却液を流通させることで、液冷式に冷却が行われる。なお、エンジン28、モータジェネレータ29、バッテリ30、インバータ31及び排気管46に対して上記のように冷却液を供給する際、それらのウォータジャケットの冷却液供給口にサーモスタット等を装着し、ウォータジャケット内の冷却液の温度に応じて冷却液を供給/遮断するようにすることも可能である。
なおここで、減速機58においてドライブギア65とドリブンギア66は常時、噛合しており、そのためケーシング64内に潤滑油が供給されるようになっている。このため図8あるいは図14等に示されるようにモータジェネレータ29の典型的には右下方には、減速機58に潤滑油を供給するための電動式油圧ポンプ123が配置されている。減速機58のケーシング64と油圧ポンプ123の間は、潤滑油供給パイプ124及び潤滑油回収パイプ125で接続されている。
また、モータジェネレータ29の左側前方には図10及び図12等に示されるように、ブラケット126を介してバッテリ127(低電圧用)が配置支持される。エンジン28の始動(アイドルストップからの再からの始動を含む)は、基本的にはモータジェネレータ29によって行われる。エンジン28は、この低電圧のバッテリ127で動作する電動スタータを備えている。例えば、高電圧駆動系(バッテリ30、インバータ31、モータジェネレータ29)の運転を休止せざるを得なくなった場合でも、バッテリ127を使ってエンジン28を始動することができ、エンジン出力だけで継続航行が可能である。
上記の場合、船外機10のパワーユニットは、ハイブリッドコントロールユニット及び/又はエンジンコントロールユニットにより最適に制御され、常に適正作動がなされる。例えばバッテリ30の充電状態は常にモニターされ、ハイブリッドコントロールユニットにおいて、必要充電量/放電量がモータジェネレータ29による出力の要求電流に応じて計算され、発電量が決定される。
また、バッテリ30の状態と舟艇の走行状態によって、モータジェネレータ29と駆動部間にある第2クラッチ78は切離され、モータジェネレータ29で発電した交流電力は全てインバータ31で直流に変換され、バッテリ30に供給される。
更に、バッテリ30の状態と走行状態によって、モータジェネレータ29で発電した交流はインバータ31で直流に変換され、バッテリ30に供給される。エンジン28の動力はモータジェネレータ29による発電と、プロペラ駆動の両方に使用される。
また、バッテリ30の状態と走行状態によって、バッテリ30に蓄えられた電力は直流からインバータで交流に変換され、モータジェネレータ29が駆動される。低速時にはエンジン28は停止し、エンジン28〜モータジェネレータ29間の第1クラッチ67は切離され、モータジェネレータ29のみで推進機を駆動する。
また、バッテリ30の状態と走行状態によって、バッテリ30に蓄えられた電力はインバータ29によって直流から交流に変換され、モータジェネレータ29が駆動される。例えば加速時にはエンジン28とモータジェネレータ29の双方で推進機を駆動する。
また、バッテリ30の状態と走行状態によって、モータジェネレータ29は第1クラッチ67によってエンジン28と切離され、減速時に推進機86のプロペラ98で発生するトルクはモータジェネレータ29により交流電流を発生し、インバータ31で直流に変換され、バッテリ30が充電される。
次に、本発明のハイブリッド式船外機10における主要構成による作用効果等について説明する。
1)先ず、船外機10のパワーユニットを構成する主要部材であるエンジン28、モータジェネレータ29、バッテリ30及びインバータ31がケーシング11内に収容されると共に、該ケーシング11に推進機74が搭載され、これら全体が船外機10として船体外部に一体的に設置される。
舟艇内の空間を占有しないので、船内空間を広く使える。また、船外機10の構成要素が実質的に船外に配置されるので、メンテナンス作業等を簡単に行うことができる。更に特別な装置を用いることなく、船尾部に一括で簡単に取り付けることができる。
また、作動上、負荷変動に対してエンジン28は効率の良い状態でのみ運転されるので、燃費が良い。特に、アイドリングなど低負荷時にはエンジン28を停止させるので、燃費が良くなる。また、後進−中立−前進の切替えをモータジェネレータ29の回転方向と回転速度を変化させることで行い、即ち通常の内燃機関の場合のようにシフト操作(クラッチとギア)によって行わないので、前進、後進及び加速等を滑らかに切り替えることができる。
2)モータジェネレータ29のモータジェネレータ出力軸75を、チルト軸(チルトシャフト73)と一致させている。
これによりチルト角変化に対して、モータジェネレータ出力軸75とプロペラ軸(プロペラシャフト95)とを例えばユニバーサルジョイント等を用いて曲げる必要がない。このため余分な動力伝達機構等を用いないで済むため機械効率が高く、構造も簡素化して製品価格を廉価にすることができる。また、構造が簡素化することで、故障の発生等を極力抑制することができる。
また、水上係留時、推進機86まわりを水面上に引き上げることができ(図26参照)、耐腐食性や耐汚損性(藻や貝等に起因するもの)に優れる。従って、耐久性を向上することで、製品寿命を長期化することができる。
更に、水上浮遊物あるいは海底との衝突が仮に発生した際、チルト方向に推進機86を跳ね上げることで、衝突エネルギーを緩和することできる(図24、図25等参照)。
また、水中に浸漬されるギアケース87やプロペラ88等を含む推進機86内に、モータ等を配置しないので、推進機86の水中浸漬部が小さくなる。これにより流体力学的抵抗(以下、ドラッグと言う)が小さくなり、航走性能及び燃費等が向上する。
また、チルトすることで船底からの突出部長さ(深さ)を変えることができるので、浅瀬での航行が可能になる。
また、推進(縦)方向を変えることができるので(トリム機能)、航行時に船体重心、船底形状あるいは船速等で変化する船尾周りの水の流れ分布に最適な推進(縦方向)角度に調整できる。
3)モータジェネレータ出力軸75とドライブ軸(ドライブシャフト82)をかさ歯車(ベベルギア79及びピニオン80)で減速しつつ、両者を直交させている。
これによりステアリング角変化に対して、モータジェネレータ出力軸75とプロペラ軸とを例えばユニバーサルジョイント等を用いて曲げる必要がない。このため機械効率が高く、構造も簡素化して製品価格を廉価にすることができる。また、構造が簡素化することで、故障の発生等を極力抑制することができる。
また、推進機86におけるチルト軸から最も離れた位置にある部位(ギアケース87あるいはプロペラ88等)の重量が大きくならないことから、チルト軸周りの可動部分の慣性質量が大きくならない。このため水上浮遊物や海底に衝突した際、チルト軸周りに跳ね上がり衝撃吸収するエネルギーが実質的に小さくなる。従って、衝撃吸収装置が小さくて済むため、船外機全体を軽量且つ廉価にすることができる。更に、チルト角を大きく設定することが可能となる。
4)ドライブ軸とステアリング軸を一致させている。
これによりステアリング角を大きくできる。
また、チルト角変化に対して、モータジェネレータ出力軸75とプロペラ軸とを例えばユニバーサルジョイント等を用いて曲げる必要がない。このため機械効率が高く、構造も簡素化して製品価格を廉価にすることができる。また、構造が簡素化することで、故障の発生等を極力抑制することができる。
また、ステアリングしてもドライブ軸及びプロペラ軸間、あるいはドライブ軸及びモータジェネレータ出力軸間のそれぞれ相対位置関係が変化しない。これによりシンプルな構成で動力を伝達でき、伝達効率が良い。
5)推進(プロペラ)軸と直交鉛直方向にドライブ軸を配置し、両者をギアケース内のかさ歯車(ベベルギア92及びピニオン93)で減速している。
これによりモータジェネレータ29における機械効率の良い比較的高い回転数から、モータジェネレータ軸〜ドライブ軸間減速機(中間減速機)と、ドライブ軸〜プロペラ軸間減速機(最終減速機)の2段で減速する。これにより総合減速比を大きく設定でき、プロペラ88の推進効率の高い比較的低い回転数に減速することができる。また、最終減速機を小さくすることができるので、水中浸漬部のドラッグが増大しない。
6)モータジェネレータ29と中間減速機81の間に、ハイブリッドコントロールユニットによって結/離を制御できる第2クラッチ78を配置している。
これにより推進機86を静止したまま、エンジン28によってモータジェネレータ29を駆動し、発電機として作動させることで発電することができる。この場合、推進機86は静止しているので、発電効率が良い。
7)エンジン28のクランク軸を舟艇の進行方向と直交配置させている(所謂、横置き内燃機関の配置構造)。
これにより上下方向及び前後方向に張り出さないため、船外機の全体パッケージをコンパクトにすることができる。
また、推進機86の重心が舟艇から後方に大きく離れないため、簡単に滑走状態に移行することができる。
8)モータジェネレータ軸を舟艇の進行方向と直交配置させている(所謂、横置きモータの配置構造)。
これにより船外機の全体パッケージをコンパクトにすることができる。
また、この場合も推進機86の重心が舟艇から後方に大きく離れないため、簡単に滑走状態に移行することができる。
9)エンジン28のクランク軸と第1(初段)の減速機入力軸(入力軸59)を一致させている。また、第1の減速機出力軸とモータジェネレータ軸を一致させている。更にエンジン28のクランク軸と第1の減速機入力軸をユニバーサルジョイント57で連結している。また、ユニバーサルジョイント57と第1の減速機入力軸の間にハイブリッドコントロールユニットによって結/離を切り替えることができる第1クラッチ67を設けている。
これによりエンジン28の振動がモータジェネレータ29に伝達するのを抑止することができる。所謂、アイドリングストップ後の再始動時、モータジェネレータ29でエンジン28を始動する際に、エンジン28に対してその始動用発電機(モータジェネレータ29)が近接配置されているためエンジン始動時の遅れが少ない。
また、エンジン28及びモータジェネレータ29は駆動部(推進機86)から離されている。駆動部と内燃機関が一体となった従来型船外機と比較すると、駆動部の重量及び慣性モーメントが小さくなるため、チルト動作に必要な(油圧)装置を小さくすることができる。
更に、駆動部をチルト作動やステアリング作動させても、エンジン28の姿勢は変化しないので、エンジン28の冷却や潤滑を簡単且つ的確に行うことができる。このため例えば自動車用内燃機関を利用することができる。
また、第1クラッチ67及び第2クラッチ78を適宜使い分けることで、典型的には下記4つの運転モードを選択することができる。
(イ)第1クラッチ結且つ第2クラッチ“結”状態;
エンジン28とモータジェネレータ29でプロペラ88を駆動(加速又は重負荷状態)、又はエンジン28によってプロペラ88を駆動しながら、モータジェネレータ29で発電状態(電池低充電状態)にする。
(ロ)第1クラッチ結且つ第2クラッチ“離”状態;
舟艇は静止、モータジェネレータ29で充電(電池低充電状態)、又はモータジェネレータ29によってエンジン28を始動することができる。
(ハ)第1クラッチ離且つ第2クラッチ“結”状態;
モータジェネレータ29による推進、又は減速時エネルギー回生(エンジン停止)を行うことができる。
(ニ)第1クラッチ離且つ第2クラッチ“離”状態;
否運転状態である。
10)エンジン28及びモータジェネレータ29が水密のケーシング11で覆われる。
これによりエンジン28及びモータジェネレータ29等の耐食性及び耐汚性を向上することができる。
11)水密のケーシング11と船体1を固定する係合部材を設けている。
これによりエンジン28及びモータジェネレータ29を含む船外機全体が、一体的に組み立てられている。なお、この点に関する限り、従来船外機と同様に所謂All-in-One、又はプレアッシーであるため、船体1への取付けを簡単に行うことができ、構成部材各部の相対的位置を調整する必要がない。
12)上記All-in-Oneによる作用効果は、下記列挙の構成によりそれぞれ同様に達成することができる。
(イ)水密のケーシング11に駆動部のチルト軸受を設けている。
(ロ)水密のケーシング11に駆動部のチルト用油圧駆動装置の固定端(パワートリムチルト99の基端99a)を設けている。
(ハ)水密のケーシング11に駆動部のステアリング用駆動装置の固定端(ステアリング固定ブラケット103)を設けている。
(ニ)水密のケーシング11に交流発電機(モータジェネレータ29)電流を直流に変換するインバータ31、電池(バッテリ30)からの直流を交流電流に変換するインバータ31を設けている。
これらいずによっても、エンジン28及びモータジェネレータ29を含む船外機全体が、一体的に組み立てられ、船体1への取付けを簡単に行うことができ、構成部材各部の相対的位置を調整する必要がない。
13)水密のケーシング11内に配置されるエンジン28の燃焼用空気は、ケーシング11及び船体1のトランサムボード2に開けられた貫通孔を経由して配備された吸入空気用筒(吸気管42)から供給される。この場合、空気用筒の船内側開口端は、船体に設けられた波、しぶき及び雨等に直接曝されない部屋に設置されている。
従来の船外機ではカバー(カウリング)内に設けられた内燃機関燃焼用空気を、カバーの空気取入れ口から取り入れていたため、カバー内が負圧になり、空気だけでなく、水(しぶき)もカバー内に入ってくるのを回避するのが難しかった。これに対して船内機や船内外機等と同様に船体における波、しぶき及び雨等に直接曝されていない部屋から空気を取り入れることで、水密のケーシング11は負圧にならず、水(しぶき)がケーシング11内に入ってくるのを防ぐことができる。
14)水密のケーシング11内に換気用空気を取り入れるために、ケーシング11及び船体1のトランサムボード2に開けられた貫通孔を経由して配備された換気空気用筒が設けられる。この換気空気用筒の船内側開口端は、船体に設けられた波、しぶき及び雨等に直接曝されない部屋に設置されている。また、換気排出口は、ケーシング11から迷路を経由して外部に導かれる。
水密のケーシング11内の換気ができる。水密のケーシング11内の圧力を正圧に維持することで、水(しぶき)が水密のケーシング11に入るのを防止することができる。
15)水密のケーシング11の下端を船底3よりも上方に設置している。
これにより水密のケーシング11自体がトランサムボード2の下端(船底3)から盛り上がるように流れる水を受けるため、船体1の船尾を持ち上げる効果が働き、滑走へ移行し易くなる。
16)水密のケーシング11の上端をトランサムボード2の上端と同一又は下方に設置している。
これにより船尾部まわり特に後方が実質的に開放され、例えば桟橋等から船尾部に乗り降りし易く、網や釣り魚等を船尾から取込み易い等の優れた利点を有する。因みに、従来では嵩高の船外機によって船尾部まわりが塞がれてしまう。船尾後方を開放することで、船外機の使用性及び使い勝手が格段に向上する。
17)水密のケーシング11の上面部を略平面としている。
船体1と推進装置(水密のケーシング11)の意匠を整合できる。なお、一般に船外機デザインとボートデザインとを両立させるのは容易ではない。
18)水密のケーシング11上部を開閉可能としている。
パワーユニット各部(エンジン/モータジェネレータ/インバータ等)のメンテナンスを極めて容易且つ適切に行うことができる。メンテナンス作業の内容にもよるが、従来では一般に船外機を船体からおろして、外装(カバー)を取り外して後メンテナンス作業を行わざるを得なかった。
19)水密のケーシング11内にエンジン28、モータジェネレータ29、バッテリ30及びインバータ31に対して、これらの冷却液と冷却用海水の熱を交換する熱交換器を設けている。即ち、モータジェネレータ29及びインバータ31を水冷式としている。
エンジン28、モータジェネレータ29及びインバータ31等の内部に直接、冷却用海水を導入しないため、これらの装置もしくは機器の特に内部の耐食性を大幅に上げることができる。因みに、内燃機関については船内機、船内外機と実質的に同様であるが、船外機にあっては基本的に海水を直接取り込むため、耐食性に難がある。
20)水密のケーシング11内に冷却用海水を取り込むための電動式汲上げポンプ1177を設けている。
従来の船外機ではドライブ軸上に設置された機械式ポンプによって海水を汲み上げている。このためドライブ軸を逆転させると、そのままではポンプの出入りが逆転してしまうため、モータ(ドライブ軸)逆転で舟艇を後進させるタイプの推進機には利用できない。また、機械式ポンプの場合、ドライブ軸(つまり内燃機関)回転数だけに比例して汲上げ量が決定される。これに対して電動式のポンプとすることで、負荷(内燃機関をガソリンエンジンとするとスロットル開度)と回転数とに応じて発生する熱量に見合う冷却水量のみ汲み上げるので、無駄がなく効率が極めて高い。
21)水密のケーシング11内にエンジン28、モータジェネレータ29、バッテリ30及びインバータ31と熱交換器113との間で冷却液を循環させる電動式の循環ポンプ122を設けている。
船内外機等における機械式ポンプはドライブ軸(内燃機関)回転数だけに比例した量の冷却液を循環させ、サーモスタット等を用いて必要量のみバイパスさせるようになっている。これに対して電動式とすることで、負荷(内燃機関をガソリンエンジンとするとスロットル開度)と回転数とに応じて発生する熱量に見合う冷却液量のみ循環させるので、無駄がなく効率が極めて高いい。
22)ケーシング11内の装置もしくは機器類又は部材と船体1側の操縦装置との間を、電気的、機械的に接続するコード又はケーブル類26を挿通させるための貫通孔27が形成される。
船体1や推進機86周辺にケーブル類が露出せず安全性、整頓性及び意匠性等等の点で極めて優れている。
23)エンジン28をガソリンエンジンとしている。
量産規模の大きい4輪用エンジンをベースにすることで、廉価な推進装置を提供することができる。
24)エンジン28をディーゼルエンジンとしている。
上記の場合と同様に量産規模の大きい4輪用エンジンをベースにすることで、廉価な推進装置を提供することができる。
25)排気経路中に触媒装置47を設けている。
従来の船外機の場合と異なり、排気通路を本体外に独立して設けることができ、触媒を容易に設置することができる。排気ガスを適正且つ効率的に浄化することができる。
26)排気経路を、ギアケース87を通じてプロペラ軸周辺に導き、排気ガスを最終的には水中に排出している。
通常の船内機、船内外機あるいは船外機の場合と同様、排気音に関して静粛性を確保することができる。
27)水密のケーシング11内の排気経路(触媒装置下流側)の周囲にウォータジャケットを設けている。
水密のケーシング11内の雰囲気温度が排気通路からの放射で上昇する程度を抑えることができる。
28)水密のケーシング11の下面は中凹(鞍形)形状とし、またその凹部18にチルト軸可動部を含む駆動部分を収容している。
凹部18を駆動部を収容可能な位置に設定し、これをセンタ振分けとして両側の箱部内のうちその一方をエンジン28、他方をモータジェネレータ29、バッテリ30及びインバータ31等を収めたので、全体としてバランスのとれた極めてコンパクトな形状もしくは形態にすることができる。
29)水密のケーシング11の凹部18に、スイベルブラケット84の横方向スラストを支えるための案内部もしくはガイド19を設けている。
ケーシング11の凹部18で横方向スラストを支えるので、全体として剛性が高く、大きな横スラストを簡便な形状で支持することができる。この場合、凹部18の壁面を有効に利用し、特別な構造部材を必要としない。
30)水密のケーシング11の凹部18の前側に壁部を設け(凹部18は下面全体ではなく、後方側のみに設けた)、スイベルブラケット84をチルト軸を中心として回転させるための油圧(又は電気)駆動装置の全体を水密のケーシング11の外部に配置する。このように配置することで、水密のケーシング11内外を結ぶ場合と比較して、ケーシング11の水密構造を簡単化することができる。
31)チルト軸が、エンジン28とモータジェネレータ29を結ぶドライブ軸よりも後方又は下方に位置するように設定している。
チルト軸周りの慣性モーメントを小さくできるので、チルト駆動に必要な力量を実質的に小さくすることができる。必要とされる衝撃吸収力を小さくできる。チルト可動部との干渉を避けるための、逃がし部を小さくできるので、全体をコンパクトにできる。
32)ハイブリッドコントロールユニット(モータジェネレータ29、インバータ31及びクラッチ等を制御する)とエンジンコントロールユニットを水密のケーシング11内に設けている。
ハイブリッドシステムが水密のケーシング11内に一つの完成されたユニットとしてパッケージングされているので、ボート等への取付けを極めて簡単且つ的確に行うことができる。これにより船外機の優れた特徴であるAll-in-One性が長期に亘り適正に維持することができる。
33)モータジェネレータ29及びインバータ31と接続されるエネルギー貯蔵装置(高電圧用バッテリ30)とは別に、エンジンコントロール用に低電圧用バッテリ127を水密のケーシング11内に設けている。
エンジン28を普及型(一般に量産されているもの)コントロールユニットで運転することができ、実質的にコスト低減を図ることができる。
さて、本発明の要旨は、上述したハイブリッド式船外機10において特に、パワーユニットを構成するもののうち発熱部もしくは部材を冷却するための冷却装置を備え、この冷却装置において熱交換器113によって冷却された冷却液を発熱部に供給し、冷却に供された冷却液を発熱部から熱交換器113に還流する、点にある。
本発明のハイブリッド式船外機10において、ケーシング11内に配置されるエンジン28(排気管46を含む)、モータジェネレータ29、バッテリ30及びインバータ31等はそれらの作動時発熱し、密閉空間内ではこれらの発熱部を冷却することは極めて重要である。そこで本発明ではこれらの発熱部に対して、熱交換器113において冷却液と冷却用海水の熱を交換し、これにより発熱部を有効に冷却する。
この場合、これらの発熱部はウォータジャケットを有し、各ウォータジャケット内で冷却液を流通させる。即ち、発熱部内部に直接、冷却用海水を導入しないため、特に内部の耐食性を大幅に上げることができる。
また、本発明において、熱交換器113内にケーシング11外部から海水又は淡水を取り込んで冷却液を冷却すると共に、その海水又は淡水を熱交換器113から排気通路111を介して排出する。
冷却液の流通経路と冷却用海水等の流通経路を相互に完全に独立させ、これにより熱交換器113において冷却液を常に効率よく熱交換し、発熱部に対する高い冷却効果を確保する。
また、本発明において、熱交換器113には、海水又は淡水を汲み上げるための海水汲上げパイプ115が接続され、ケーシング11の前底部から垂下された海水汲上げパイプ115の下端に海水又は淡水の取込み口116を有する。
各発熱部に供給される冷却液と熱交換すべき海水等を、海水汲上げパイプ115を介して常に円滑且つ効率的に汲み上げ、熱交換器113の適正作動を保証することができる。
また、本排気において、取込み口116は船底から下方へ突出して配置され、海水汲上げパイプ115の途中に設置された電動式汲上げポンプ117によって取込み口116から取り込んだ海水又は淡水を、熱交換器113に供給する。
このように電動式汲上げポンプ117を設けることで、例えば機械式ポンプの場合にはドライブ軸回転数だけで汲上げ量が決定されてしまうのに対して、電動式のポンプとすることで、これを独立的に駆動制御することができる。これにより各発熱部に対して最適な量の海水等を汲み上げることができ、無駄がなく効率が極めて高い。
また、従来の船外機における機械式ポンプにあっては、ドライブ軸の逆転によりポンプにおける海水等の出入りが逆転してしまう。電動式とすることで、そのような問題が発生しない。
なお、冷却の対象となる発熱部として内燃機関28、発電機兼用電動モータ29、電気エネルギー貯蔵装置30、これら電動モータ29及び電気エネルギー貯蔵装置30間に接続されるインバータ31、及び内燃機関28の排気管46を含む。
パワーユニットにおいてこれらの部材は特に高温になり易く、これらを有効に冷却することにより常に適正作動を保証することが可能となる。
このように本発明によれば、極めてコンパクトに構成され、舟艇に一体的且つコンパクトに搭載可能なハイブリッド式船外機10を実現する。その際、従来の船外機が有する種々の課題等を解決しながら、舟艇に搭載されて優れた作用効果を発揮することができる。
また特に、コンパクト化や高性能化等を図りながら、制限され且つ実質的に密閉されたスペース内に集約配置される内燃機関等を含むパワーユニットを効率的且つ適正に冷却することが可能となる。
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、冷却液供給パイプ120あるいは冷却液還流パイプ121のケーシング11内における引き回し方等は、図示例の場合にのみ限定されず、最もスペース効率のよい態様で適宜設定可能である。
1 船体、2 トランサムボード、2a 頂部、3 船底、4 船床、4a 船床段部、10 ハイブリッド式船外機、11 ケーシング、11a 前面部、11b 上面部、11c 凹部、11d 後面部、11e 底面部、12 ケーシング本体、13 カバー、14 ベース板、15 取付穴、15A 上側取付穴、15B 下側取付穴、16 ヒンジ、17 シール、18 凹部、18a 前壁、18b 側壁、19 ガイド、20 貫通孔、21 燃料タンク、22 燃料パイプ、23 貫通孔、24 換気空気用筒体、25 貫通孔、26 ケーブル類、27 貫通孔、28 エンジン、29 モータジェネレータ、30 バッテリ(高電圧用)、31 インバータ、32 シリンダブロック、33 クランクケース、34 シリンダボア、35 ピストン、36 コンロッド、37 クランクシャフト、38 フライホイール、39 エンジン出力軸、40 点火プラグ、41 シリンダヘッド、42 吸気管、42a 空気取込み口、43 吸気マニホールド、44 スロットルボディ、45 排気マニホールド、46 排気管、47 触媒装置、48 排気案内管、48a 排気導入口、48b 排気排出口、49 オイルパン、50 オイルフィルタ、51 冷却水ポンプ、52 ドライブプーリ、53 ドリブンプーリ、54 ガイドプーリ、55 タイミングベルト、56 マウント、57 ユニバーサルジョイント、58 減速機、59 入力軸、60 主ブラケット、60a,60b 孔、61 モータブラケット、62 ブーツ、63 パッキン、64 ケーシング、65 ドライブギア、65a 回転軸、66 ドリブンギア、66a 回転軸、67 第1クラッチ、68 支持ブラケット、69 支持ブラケット、70 三相交流用電気配線、71 直流用電気配線、72 ロータ軸、73 チルトシャフト、74 チルト軸受、75 モータジェネレータ出力軸、76 軸受、77 シール、78 第2クラッチ、79 ベベルギア、80 ピニオン、81 中間減速機、82 ドライブシャフト、83 ドライブシャフトケース、84 スイベルブラケット、85 ロアステアリングブラケット、86 推進機、87 ギアケース、88 プロペラ、89 軸受部、90 ドライブシャフトハウジング、91 軸受、92 ベベルギア、93 ピニオン、94 最終減速機、95 プロペラシャフト、96,97 軸受、98 ベアリングハウジング、99 パワートリムチルト、100 油圧シリンダ、100a トリムロッド、101 油圧シリンダ、101a チルトロッド、102 突当てアーム、103 ステアリング固定ブラケット、104 ステアリングロッド、105 ステアリングシリンダ、106 油圧配管エルボ、107 ステアリング可動ブラケット、108 連結ピン、109 接続部、109a 遮蔽部材、110 環状スペース、111 排気通路、112 排気集合部、113 熱交換器、114 ブラケット、115 海水汲上げパイプ、116 海水取込み口、117 電動式汲上げポンプ、118 排水パイプ、119 熱交換パイプ、120 冷却液供給パイプ、121 冷却液還流パイプ、122 電動式循環ポンプ、123 電動式油圧ポンプ、124 潤滑油供給パイプ、125 潤滑油回収パイプ、126 ブラケット、127 バッテリ(低電圧用)。

Claims (5)

  1. ケーシング内部にパワーユニットを収容すると共に該ケーシング外部にスクリューを配置し、前記パワーユニットによって前記スクリューを駆動するハイブリッド式船外機であって、
    前記パワーユニットを構成するもののうち発熱部もしくは部材を冷却するための冷却装置を備え、
    前記冷却装置において熱交換器によって冷却された冷却液を前記発熱部に供給し、冷却に供された冷却液を前記発熱部から前記熱交換器に還流することを特徴とするハイブリッド式船外機。
  2. 前記熱交換器内に前記ケーシング外部から海水又は淡水を取り込んで前記冷却液を冷却すると共に、その海水又は淡水を前記熱交換器から排気通路を介して排出することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド式船外機。
  3. 前記熱交換器には、海水又は淡水を汲み上げるための汲上げパイプが接続され、前記ケーシングの前底部から垂下された前記汲上げパイプの下端に海水又は淡水の取込み口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド式船外機。
  4. 前記取込み口は船底から下方へ突出して配置され、前記汲上げパイプの途中に設置された電動式汲上げポンプによって前記取込み口から取り込んだ海水又は淡水を、前記熱交換器に供給することを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド式船外機。
  5. 前記発熱部として内燃機関、発電機兼用電動モータ、電気エネルギー貯蔵装置、これら電動モータ及び電気エネルギー貯蔵装置間に接続されるインバータ、及び前記内燃機関の排気管を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド式船外機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20130133862A (ko) * 2011-03-15 2013-12-09 보벤 프로퍼티즈 게엠베하 선박

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