JP2010225965A - 大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法 - Google Patents

大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化とコスト低減を図ると共に製造工程に時間をかけずに製造できる大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホール構造であって、スルーホール内には多層基板とは別部品の被メッキ体120が挿入され、スルーホール11と被メッキ体が同一の材質でメッキされ、両者のメッキ同士が互いに電気的に導通し、スルーホールの内面及び被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在している。
【選択図】図3

Description

本発明は、大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法に関する。
従来から多層基板の層間を電気的に接続する手段としては、スルーホール部を銅メッキにより接続させることが一般的に行われている。しかし、スルーホール部に施された銅メッキの線膨張係数と基板の厚さ方向の線膨張係数とは異なり、−40℃から120℃の温度範囲で冷熱衝撃試験を実施すると、やがてはスルーホールメッキにクラックが発生してしまう。
このクラック発生までのサイクル数(寿命)を伸ばす手段として、メッキの厚さを厚くすることが知られている。一方、大電流を扱う基板においては、回路導体の断面積を大きくしなければならず、一般的には導体を厚くしてこれに対応している。この結果、基板は厚くなり、基板の厚さ方向とスルーホールのメッキとの線膨張差は大きくなるので、上述したメッキ厚さを厚くする方法では限界がある。
また、軽量化のため回路導体としてアルミを選択した場合、スルーホールメッキの前処理工程でアルミが過度にエッチングされてしまい、結果的に筒状のスルーホールメッキを形成することができず、スルーホールメッキにクラックが発生し易くなるという問題もある。
基板の層間を電気的に接続する別の手段としては、スルーホールの開口部からスルーホール内に部品を挿入して加締める方法も公知である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では冷熱衝撃試験での伸縮によりコンタクトが緩み、接続部の接触抵抗が増大する問題がある。また、両面基板に対してはこの方法は適用し易いが、多層基板、特に内層回路部の接続信頼性を得ることができない問題がある。
特開平10−255880号公報
一方、近年、ハイブリッドカーの普及や電気自動車の開発に伴い、例えば80アンペア程度の大電流を流す電子部品搭載基板(以下、単に「基板」とする)が広く用いられるようになっている。そして、このような基板には内部にメタルコア基板や複数の導体層を備えたいわゆる多層基板が用いられている。
従来、多層基板のスルーホールに流せる電流は、φ0.6mm、銅メッキ厚さ20μmのスルーホールで1アンペア程度であった。これは、通電により銅メッキ部分で発生する熱によって局部的な部材の膨張収縮が起こり、繰り返し使用することによりメッキ部分が破断することが原因と考えられている。この考え方に基づけば、第1に基板内部にメタルコアと呼ばれる放熱用の銅板やアルミ板を挿入することで放熱性を高め、第2に更にメッキ厚さを2倍の40μmとし、第3に孔の内径をφ6mm程度にすることによって、発熱と放熱を考慮した計算においては約80アンペア程度まで1つのスルーホールで電流を流せることが理論上可能であり、これによって上述したハイブリッドカーや電気自動車の大電流用基板として用いることが可能となる。
しかしながら、車両全体の小型化や低コスト化に合わせて大電流用基板の小型化や低コスト化が要求される中、このような対策を施した厚メッキで大型のスルーホールを搭載した基板とするのはコスト面・サイズ面から問題がある。また、厚さ40μm程度のメッキを行うにはメッキ工程で長時間を要し、基板の生産性が極めて低下してしまう。
本発明の目的は、小型化とコスト低減を図ると共に製造工程に時間をかけずに製造できる大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る大電流用基板のスルーホール構造は、
導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホール構造であって、
スルーホール内には前記多層基板とは別部品の被メッキ体が挿入され、前記スルーホールと前記被メッキ体が同一の材質でメッキされ、前記両者のメッキ同士が互いに電気的に導通し、前記スルーホールの内面及び前記被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在していることを特徴としている。
また、本発明の請求項4に係る大電流用基板のスルーホール製造方法は、
導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホールの製造方法であって、
前記スルーホールの孔開け工程の後に当該スルーホール内に前記多層基板とは別部品の被メッキ体を挿入する工程であって、前記スルーホールの内面及び前記被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在するように前記被メッキ体を前記スルーホールに挿入する被メッキ体挿入工程と、
前記被メッキ体挿入工程の後に、前記スルーホールと前記被メッキ体を同一材質でメッキして前記両者のメッキ同士を互いに電気的に導通させるメッキ工程とを有したことを特徴としている。
また、本発明の請求項5に係る大電流用基板のスルーホール製造方法は、
導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホールの製造方法であって、
前記スルーホールを孔開けした後に当該スルーホールをメッキするスルーホールメッキ工程と、
前記スルーホールメッキ工程の後に、前記スルーホール内に前記多層基板とは別部品の被メッキ体を挿入する工程であって、前記スルーホールの内面及び前記被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在するように前記被メッキ体を前記スルーホールに挿入する被メッキ体挿入工程と、
前記被メッキ体挿入工程に続いて、前記被メッキ体を前記スルーホールのメッキと同一材質でメッキして前記両者のメッキ同士を互いに電気的に導通させる被メッキ体メッキ工程とを有することを特徴としている。
本発明によると、従来のようにスルーホールのみにメッキ層が形成されるのではなく、スルーホールとスルーホールに挿入された被メッキ体の双方にメッキ層が形成されるので、スルーホールに大電流を流しても従来のようにこの大電流に耐えうるだけのメッキ厚さを必要としない。その結果、スルーホール製造工程におけるメッキ工程の時間を短縮でき、大電流用基板自体の製造時間も結果的に短縮することができる。また、スルーホールの内面及び被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在し、この両対向面が共にメッキされるので、スルーホール内のメッキの面積が従来より大きくなり、基板自体も薄型化を達成できる。その結果、大電流基板を搭載する電気部品やこの電気部品を搭載する例えば車両等の小型化及び低コスト化に貢献することができる。
また、本発明の請求項2に係る大電流用基板のスルーホール構造は、請求項1に記載の大電流用基板のスルーホール構造において、
前記被メッキ体は、前記スルーホールへの挿入時に弾性変形可能な被メッキ弾性体からなり、
前記被メッキ弾性体の少なくとも一部が前記スルーホール内に挿通された状態で当該被メッキ弾性体の弾性力を前記スルーホールに及ぼすことで当該被メッキ弾性体が当該スルーホール内に留まっていることを特徴としている。
また、本発明の請求項6に係る大電流用基板のスルーホール製造方法は、請求項4又は請求項5に記載の大電流用基板のスルーホール製造方法において、
前記被メッキ体は、前記スルーホールへの挿入時に弾性変形可能な被メッキ弾性体からなり、
前記被メッキ弾性体を前記スルーホールに挿入する工程は、当該被メッキ弾性体の弾性力が前記スルーホール内に及ばないように拘束して当該スルーホールの内周面に当該被メッキ弾性体が接触しないように挿入する工程と、前記被メッキ弾性体の少なくとも一部が前記スルーホールの内部の所定位置に達した状態で、前記被メッキ弾性体の拘束を開放して当該被メッキ弾性体の弾性力をスルーホールに及ぼし、当該スルーホール内に前記被メッキ弾性体を留まらせる被メッキ弾性体嵌め込み工程とを有することを特徴としている。
本発明によると、被メッキ弾性体はスルーホールに挿通可能であると共に、スルーホール内において留まることができるような被メッキ弾性体からなるので、スルーホールに被メッキ弾性体を嵌め込んで固定し易く、作業効率に優れる。従って、スルーホールと被メッキ弾性体の双方にメッキすることによってメッキ層の厚さを薄くすることができることと相俟って、大電流用基板のスルーホール構造を実現するための時間を従来のスルーホールのみからなる構造よりも格段に短縮することができ、工数低減を介してコスト低減に貢献することができる。
また、本発明の請求項3に係る大電流用基板のスルーホール構造は、請求項2に記載の大電流用基板のスルーホール構造において、
前記各対向面の面積の合計が、前記被メッキ弾性体を含まないスルーホール内面の面積より大きいことを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る大電流用基板のスルーホール製造方法は、請求項6に記載の大電流用基板のスルーホール製造方法において、
前記各対向面の面積の合計が、前記被メッキ弾性体を含まないスルーホール内面の面積より大きいことを特徴としている。
本発明によると、スルーホールの内面と被メッキ弾性体の表面とがそれぞれ向き合った各対向面の面積の合計が被メッキ弾性体を含まないスルーホール内面の面積よりも大きいので、従来のスルーホール構造よりもメッキする面積が格段に大きくなり、その結果、メッキ厚を従来よりも小さくすることが可能となる。これによって、大電流用基板のスルーホール構造を実現するための時間を従来のスルーホールのみからなる構造よりも格段に短縮することができ、工数低減を介してコスト低減に貢献することができる。
本発明によると、コスト低減と小型化を図ることができると共に製造工程に時間をかけずに製造できる大電流用電子基板のスルーホール構造及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によると、スルーホール内に被メッキ弾性体を挿入することで、メッキで発生した熱が被メッキ弾性体に拡散するために放熱効果も生じる。更に、電気はメッキのみならず被メッキ弾性体にも一部流れ込むため、メッキで発生する熱自体も低減する効果も生じる。
本発明の一実施形態に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体の製造方法を説明する説明図である。 図1に示した被メッキ弾性体を用いて大電流用基板のスルーホール構造を実現する工程を示す説明図である。 図2に続いて大電流用基板のスルーホール構造を実現する工程を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体の第1変形例を示す説明図である。 図4に示した被メッキ弾性体を用いて本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造を実現する説明図である。 本発明の一実施形態の第2変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体の製造方法を説明する説明図である。 図6に示した被メッキ弾性体を用いて本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造を実現した状態を示す斜視図である。 図7に示した大電流用基板のスルーホール構造の平面図(図8(a))及び側方断面図(図8(b))である。 図6に示した被メッキ弾性体に更なる変形を加えた本発明の第3変形例に関連する大電流用基板のスルーホール構造を実現した状態を示す斜視図である。 図9に示した大電流用基板のスルーホール構造の第3変形例の平面図(図10(a))及び側方断面図(図10(b))である。 本発明の一実施形態の第3変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いられる被メッキ弾性体をスルーホール(図11(a))と共に示す平面図(図11(b))である。 図11に示した被メッキ弾性体を用いて本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造を実現する工程を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係る大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体の製造方法を説明する説明図である。また、図2は、図1に示した被メッキ弾性体を用いて大電流用基板のスルーホール構造を実現する工程を示す説明図である。また、図3は図2に続いて大電流用基板のスルーホール構造を実現する工程を示す説明図である。
なお、本発明を実施するにあたっては、大電流用基板のスルーホール内に挿入できるものであって表面をメッキ可能な被メッキ体であればいかなるものでも利用可能である。即ち、以下の説明においては、被メッキ体の一例として金属(銅)の薄板や金属(銅)の薄いパイプを加工することで得られた弾性を有する被メッキ弾性体を紹介しているが、電気メッキができるように導電性を有する「被メッキ体」であれば、金属はもちろんのこと、導電性樹脂等でできていても良い。また、被メッキ体は、弾性体が無い部材でも、大電流用基板のスルーホールに押し組んで入れられる部材であれば本発明に適用可能である。しかしながら、以下の説明においては、本発明において最も好適に利用可能な銅の薄板や銅の薄いパイプを加工することでできた金属弾性体を被メッキ弾性体と称するものとする。
最初に、本発明の一実施形態に係る電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法について説明する。本実施形態では、図1に示すように、それ自身弾性体をなす中空の銅円筒100(図1(a)参照)を基板厚さと同程度かそれ以上の長さに切断する(図1(b)参照)。そして、この切断した長さの短いリング状の円筒体110を周囲からプレスすることによって被メッキ弾性体120を形成する(図1(c)参照)。
本実施形態の場合、この被メッキ弾性体120は、リング状の長さの短い円筒体110の周方向外側から周方向等間隔をなす6箇所を円筒体の中心方向にプレスで押し込むことで形成される。なお、被メッキ弾性体120には、円筒体中心方向に向かった湾曲部121が被メッキ弾性体120の周方向に6箇所形成されると共に、隣接する湾曲部間には、半径方向外側に突出した突出部122が形成される(図1(c)及び図2(a)参照)。なお、被メッキ弾性体120の中心と突出部122との距離及び被メッキ弾性体120の弾性は、治具により被メッキ弾性体120を中心方向に更に圧縮した時にスルーホール11に被メッキ弾性体120を挿入でき、かつスルーホール内で被メッキ弾性体120の治具による拘束を開放したときに被メッキ弾性体120の弾性力を介して突出部112がスルーホール11の内周面に押し付けられるような距離及び弾性とする。また、被メッキ弾性体120の長さは、被メッキ弾性体120がスルーホール内に留まった状態でスルーホール11と被メッキ弾性体120の各対向面の面積の合計が、被メッキ弾性体120を挿入する前のスルーホール11の面積より大きくなるようにする。
続いて、被メッキ弾性体120をスルーホール11に嵌め込んでメッキする工程について説明する。最初に、上述したような寸法形状を有する被メッキ弾性体を用意し、被メッキ弾性体120をスルーホール内に挿入する。この挿入作業を行うにあたっては、図2(a)の矢印に示すように、被メッキ弾性体120の円周方向に形成された6箇所の湾曲部121の最も凹んだ部分121aを被メッキ弾性体中心方向に向かって特別な治具(図示せず)を介して押し込み、図2(b)に示すように、被メッキ弾性体120を平面視星形をなすまで圧縮弾性変形させる。そして、この弾性変形させた状態を維持したまま、即ち、図2(c)に示すように、被メッキ弾性体120の弾性変形の範囲でそれ自体の形状を縮めた状態でスルーホール11の内側に被メッキ弾性体120を挿入する(図2(c)参照)。
被メッキ弾性体120がスルーホール内の所定の位置に達した後、治具による被メッキ弾性体120の拘束を開放することによって、図3(a)に示すように、被メッキ弾性体120の弾性復元力により被メッキ弾性体120を元の形状に復元させる。その際に被メッキ弾性体120の弾性力を介して被メッキ弾性体周囲に形成された合計6箇所の各突出部122をスルーホール11の内面に押し付けることで、被メッキ弾性体120をスルーホール内にしっかりと留まらせる。
なお、この状態では、スルーホール11の内面及び被メッキ弾性体120の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在するようになっている。そして、この各対向面の面積の合計は、被メッキ弾性体120を挿入する前のスルーホール11の面積よりも大きくなっている。
その後、図3(b)に示すように、スルーホール11及び被メッキ弾性体120に銅メッキを施してメッキ層Mを形成し、例えば80アンペア程度の大電流を流すことのできる大電流用基板のスルーホール構造を実現する。
なお、本実施形態によると、スルーホール11と被メッキ弾性体120の対向面の面積の合計を、被メッキ弾性体120を挿入する前のスルーホール11の面積より大きくすることで、被メッキ弾性体120がスルーホール内に挿通されていない従来型の大電流用基板のスルーホール構造に比較して、3倍程度のメッキ断面積を同じメッキ条件で確保することができた。
このように、本実施形態に係る大電流用基板のスルーホール構造によると、スルーホール内に基板とは別部品の被メッキ弾性体120を挿入して、被メッキ弾性体120をスルーホール内に留まらせると、被メッキ弾性体120とスルーホール11の間は一部は接触しているものの両者間には隙間が存在するので、スルーホール11と被メッキ弾性体120を共にメッキすることにより、メッキ断面積を増大させ、スルーホール11の電気抵抗と発熱を低減、小型のスルーホール構造で大電流を流すことができるようになる。
また、従来のようにスルーホール11のみにメッキ層が形成されるのではなく、スルーホール11とスルーホール11に挿入された被メッキ弾性体120の双方にメッキ層Mが形成されるので、スルーホール11に大電流を流しても従来のようにこの大電流に耐え得るだけのメッキ厚さを必要としない。その結果、スルーホール製造工程におけるメッキ工程の時間を短縮でき、大電流用基板自体の製造時間も結果的に短縮することができる。また、基板自体も薄型化できるので、大電流基板を搭載する電気部品やこの電気部品を搭載する例えば車両等の小型化及び低コスト化に貢献することができる。
続いて、上述した実施形態の第1変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。図4は、本発明の一実施形態の第1変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体を示す説明図である。また、図5は、図4に示した被メッキ弾性体を用いて本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造を実現する説明図である。
本変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造は、上述した実施形態の被メッキ弾性体120とは異なり、銅でできた薄板200の単純な折り曲げによる挿入部品として被メッキ弾性体220が構成されている。具体的には、それ自身十分な弾性を有する銅の薄板200を端面視W字状を有するように隣接する折辺部222が逆方向へ鋭角をなして曲げられた構成となっている。なお、被メッキ弾性体220を構成する銅板の厚さ、被メッキ弾性体220の長さ、隣り合う折辺部間の距離、折辺部222の個数は、被メッキ弾性体を特別な治具で圧縮した状態でスルーホール11に被メッキ弾性体220を挿入することができ、かつスルーホール内で被メッキ弾性体220の治具による拘束を開放したときに被メッキ弾性体220の弾性力を介して各折辺部222がスルーホール11の内周面に押し付けられるような厚さ、長さ、距離及び、個数となっている。また、被メッキ弾性体220の長さは、被メッキ弾性体220がスルーホール内に留まった状態でスルーホール11と被メッキ弾性体220の対向面が、被メッキ弾性体220を挿入する前のスルーホール11の面積より大きくなるようにする。
続いて、本変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造の製造方法について説明する。最初に、上述したような寸法形状を有する被メッキ弾性体220を用意し(図4(a)参照)、各折辺部間の平面221が互いに近づくように被メッキ弾性体220の幅方向両側から治具を介して挟み込んで圧縮させた状態で把持する(図4(b)参照)。なお、本変形例においてはスルーホール11は、被メッキ弾性体220を挿入する前に予め銅メッキし、メッキ層M1(図5(a)参照)を形成しておく。そして、このように拘束された被メッキ弾性体220をスルーホール11の一方の開口部11aから被メッキ弾性体220の折辺部形成方向とスルーホール11の軸線方向が合致するようにして被メッキ弾性体220をスルーホール内に挿入する。
次いで、スルーホール内の所定位置に被メッキ弾性体220を位置決めした後、治具による被メッキ弾性体220の拘束を開放する。これによって、被メッキ弾性体220の弾性力を介して各折辺部222がスルーホール11の内周面に押し付けられ、被メッキ弾性体220がスルーホール内に留まる。(図5(b)参照)。そして、このようにスルーホール内の被メッキ弾性体220を銅メッキしてメッキ層M2を形成する。
このようにして本変形例においても、スルーホール内に基板とは別部品の被メッキ弾性体220を挿入して、被メッキ弾性体220をスルーホール内に留まらせると、被メッキ弾性体220とスルーホール11の間は一部は接触しているものの両者間には隙間が存在するので、スルーホール11と被メッキ弾性体220を共にメッキすることにより、メッキ断面積を増大させ、スルーホール11の電気抵抗と発熱を低減、小型のスルーホール構造で大電流を流すことができるようになる。
また、従来のようにスルーホール11のみにメッキ層が形成されるのではなく、スルーホール11とスルーホール11に挿入された被メッキ弾性体220の双方にメッキ層Mが形成されるので、スルーホール11に大電流を流しても従来のようにこの大電流に耐え得るだけのメッキ厚さを必要としない。その結果、スルーホール製造工程におけるメッキ工程の時間を短縮でき、大電流用基板自体の製造時間も結果的に短縮することができる。また、基板自体も薄型化できるので、大電流基板を搭載する電気部品やこの電気部品を搭載する例えば車両等の小型化及び低コスト化に貢献することができる。
なお、本変形例においては、被メッキ弾性体220が端面視W字状を有し、各折辺部222の端面視における鋭角折点222aが5箇所(奇数箇所)であり(図5(b)参照)、これにより被メッキ弾性体220の各折辺部222をスルーホール内面に全て接触させて被メッキ弾性体自体をスルーホール内にしっかりと留めさせることができる。このように、本変形例に関連した構成を有する被メッキ弾性体をスルーホール挿入する場合、被メッキ弾性体の鋭角折点が1箇所、3箇所、5箇所のように奇数箇所あれば、鋭角折点がスルーホール内面に全て接触させることができるので、構造上好ましいと言える。
なお、鋭角折点が偶数箇所の場合、スルーホール内面に接しない折辺部が生じる虞があるため、スルーホール内面に被メッキ弾性体がしっかりと留まる点では前者より効果が落ちるが、本発明の作用を発揮することは十分可能である。
続いて、上述した実施形態の第2変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法について説明する。なお、上述して実施形態及びその第1変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。図6は、本発明の一実施形態の第2変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体の製造方法を説明する説明図である。また、図7は、図6に示した被メッキ弾性体を用いて本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造を実現した状態を示す斜視図である。また、図8は、図7に示した大電流用基板のスルーホール構造の平面図(図8(a))及び側方断面図(図8(b))である。
この第2変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体320は、図6に示すように、それ自身弾性を有する中空の銅パイプ300(図6(a)参照)を上述した実施形態と同様に所定の幅で切断して得られた長さの短いリング状の円筒体310(図6(b)参照)を利用している。
しかしながら、本変形例に係る被メッキ弾性体320の形状は、上述した実施形態と異なり、この円筒体310を周方向対向する方向から挟み込むような力を加えてプレスし、長手方向両端部が接続され、この各接続部321から湾曲して立ち上がり、かつ互いに所定間隔隔てて対向した2枚の細長の金属板322から構成されている(図6(c)及び図7参照)。
なお、この被メッキ弾性体320を構成する銅板の厚さ、被メッキ弾性体320の長さ及び幅、金属板同士の間隔は、被メッキ弾性体320を圧縮して拘束した状態でスルーホール11に被メッキ弾性体320を挿入でき、かつスルーホール内で被メッキ弾性体320の拘束を開放したときに被メッキ弾性体320の弾性力を介して各金属板322の両側縁の基板厚みに対応する部分がスルーホール11の内周面に押し付けられるような距離及び弾性となっている。また、被メッキ弾性体320の幅は、被メッキ弾性体320がスルーホール内に留まった状態で後述するスルーホール11と被メッキ弾性体320の対向面が、被メッキ弾性体320を挿入する前のスルーホール11の面積より大きくなるようにする。
なお、本変形例においては、被メッキ弾性体320の全長は、被メッキ弾性体320を治具で拘束した状態でスルーホール11に挿通し、この治具による拘束力を開放した際に被メッキ弾性体320の長手方向中央部分から基板10の厚さに対応する部分のみがスルーホール内に留まり、その他の両側部分はスルーホール11の各開口部11aから外側に突出するような長さとなっている。
続いて、本変形例にかかる大電流用基板のスルーホール構造の製造方法について説明する。最初に、上述した被メッキ弾性体320を用意する。そして、被メッキ弾性体320の金属板同士の幅を狭める特別な治具を用いて金属板同士の間隔を狭めた状態で被メッキ弾性体320を把持する。そして、この被メッキ弾性体320の長手方向がスルーホール11の軸線方向と合致するようにした状態で、予めメッキ層M1の形成されたスルーホール11の一方の開口部11aから被メッキ弾性体320をスルーホール内に挿入する。そして、被メッキ弾性体320の両側部分がスルーホール11の各開口部11aから突出した状態に達した後、治具による被メッキ弾性体320の拘束を開放する。これによって、各金属板322の両側縁322aの基板厚みに対応する部分がスルーホール11の内周面に押し付けられ、被メッキ弾性体320がスルーホール内にしっかりと留まる。そして、この状態でスルーホール11と被メッキ弾性体320をメッキする。
このようにして、本変形例においてもスルーホール内に基板とは別部品の被メッキ弾性体320を挿入して、被メッキ弾性体320をスルーホール内に留まらせると、被メッキ弾性体320とスルーホール11の間は一部は接触しているものの両者間には隙間が存在するので、スルーホール11と被メッキ弾性体320を共にメッキすることにより、メッキ断面積を増大させ、スルーホール11の電気抵抗と発熱を低減、小型のスルーホール構造で大電流を流すことができるようになる。
また、従来のようにスルーホール11のみにメッキ層が形成されるのではなく、スルーホール11とスルーホール11に挿入された被メッキ弾性体320の双方にメッキ層Mが形成されるので、スルーホール11に大電流を流しても従来のようにこの大電流に耐え得るだけのメッキ厚さを必要としない。その結果、スルーホール製造工程におけるメッキ工程の時間を短縮でき、大電流用基板自体の製造時間も結果的に短縮することができる。また、基板自体も薄型化できるので、大電流基板を搭載する電気部品やこの電気部品を搭載する例えば車両等の小型化及び低コスト化に貢献することができる。
図9は、図6に示した被メッキ弾性体に更なる変形を加えた本発明の第2変形例に関連する大電流用基板のスルーホール構造を実現した状態を示す斜視図である。上述した第2変形例の更なる変形例として、被メッキ弾性体320の対向する金属板同士の各接続部321を第2変形例のように互いに反対側に突出させるように形成する代わりに、図9に示すように、被メッキ弾性体350の両端部350aが側面視でW字状をなすようにそれぞれ3箇所の折り曲げ部351,352,353を形成するようプレスしている。これによって、第2変形例と同等の厚みの銅板を用いても、被メッキ弾性体350の両端部350aの弾性力を第2変形例よりも更に高めることができ、被メッキ弾性体350を治具で拘束した状態でスルーホール内に挿入した後、この治具による拘束力を開放してスルーホール内に被メッキ弾性体350を留めさせる際により大きな弾性力をスルーホール内面に及ぼし、被メッキ弾性体350を第2変形例よりも更にしっかりとスルーホール内に留まらせることができる(図10(a)及び(b)参照)。続いて、被メッキ弾性体350をメッキする。
このようにして、本変形例においてもスルーホール内に基板とは別部品の被メッキ弾性体350を挿入して、被メッキ弾性体350をスルーホール内に留まらせると、被メッキ弾性体350とスルーホール11の間は一部は接触しているものの両者間には隙間が存在するので、スルーホール11と被メッキ弾性体350を共にメッキすることにより、メッキ断面積を増大させ、スルーホール11の電気抵抗と発熱を低減、小型のスルーホール構造で大電流を流すことができるようになる。
また、従来のようにスルーホール11のみにメッキ層が形成されるのではなく、スルーホール11とスルーホール11に挿入された被メッキ弾性体350の双方にメッキ層Mが形成されるので、スルーホール11に大電流を流しても従来のようにこの大電流に耐え得るだけのメッキ厚さを必要としない。その結果、スルーホール製造工程におけるメッキ工程の時間を短縮でき、大電流用基板自体の製造時間も結果的に短縮することができる。また、基板自体も薄型化できるので、大電流基板を搭載する電気部品やこの電気部品を搭載する例えば車両等の小型化及び低コスト化に貢献することができる。
続いて、上述した実施形態の第3変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造及びその製造方法について説明する。なお、上述した実施形態及びその第1及び第2変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
図11は、本発明の一実施形態の第3変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いられる被メッキ弾性体をスルーホール11(図11(a))と共に示す平面図(図11(b))である。また、図12は、図11に示した被メッキ弾性体を用いて本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造を実現する工程を示す説明図である。
この第3変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造に用いる被メッキ弾性体420は、挿入時に部品を把持する把持部と、部品寸法がスルーホールより小さく変形するための変形部と、スルーホール内面と対向してスルーホールと同じメッキが施される対向面が備わっている。
より具体的には、被メッキ弾性体420は、図11(b)に示すように、正8角形の銅板400を多数箇所打ち抜いて形成されている。そして、この多数の打ち抜き部のうち、周縁の近くに形成された4つの丸孔425は、被メッキ弾性体420をスルーホール内に挿入する際に治具によって把持する把持部をなしている。また、中心部の丸孔426及び他の多数の長孔427,428は、変形部をなすその周囲の板材が撓んで変形することでスルーホール11を被メッキ弾性体420に挿入する際に被メッキ弾性体420の外周を狭めてスルーホール内に挿入可能とすると共に、治具による被メッキ弾性体420の拘束を開放した後に被メッキ弾性体自体の弾性復元力を介して被メッキ弾性体420をスルーホール内面に留まらせる付勢力を発生するためのものである。
なお、被メッキ弾性体420を構成する銅板の板厚、被メッキ弾性体420の外周の大きさ、金属板410を打ち抜いた残りの部分から形成される弾性変形部の弾性については、被メッキ弾性体420を圧縮して拘束した状態でスルーホール11に被メッキ弾性体420を挿入でき、かつスルーホール内で被メッキ弾性体420の拘束を開放したときに被メッキ弾性体420の弾性力を介して各被メッキ弾性体420の8箇所の角ばった隅部422がスルーホール11の内周面に押し付けられるような距離及び弾性となっている。また、被メッキ弾性体420の大きさは、被メッキ弾性体420がスルーホール内に留まった状態でスルーホール11と被メッキ弾性体420の対向面の面積の合計が、被メッキ弾性体420を挿入する前のスルーホール11の面積より大きくなるようにする。
なお、本発明で言及する対向面とは、被メッキ弾性体とスルーホールの面のうち厳密な意味での互いに平行な対向面を指すのではなく、互いが斜めの角度をなしていてもそれらの面を対向面に含めるものとする。
続いて、本変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造の製造方法について説明する。最初に、上述した被メッキ弾性体420を用意する。そして、被メッキ弾性体420の外径を全周にわたって狭める特別な治具(図示せず)を用意し、この治具の4つの爪を被メッキ弾性体の4つの丸孔425に係合させ、被メッキ弾性体420を治具によりしっかりと把持する。そして、治具の4つの爪同士の間隔を狭めることで、被メッキ弾性体420の弾性変形部421を撓ませ、被メッキ弾性体420の外形を全周にわたって狭める。これは、非拘束状態で平面をなす被メッキ弾性体を3次元的に変形させることで達成される。
そして、この被メッキ弾性体420の中心が予めメッキ層M1の形成されたスルーホール11の軸線と一致するように位置決めした状態で、被メッキ弾性体420をスルーホール11の一方の開口部11aからスルーホール内に挿入する。そして、被メッキ弾性体420がスルーホール内の所定位置に達した後、治具による被メッキ弾性体420の拘束を開放する。これによって、被メッキ弾性体420の弾性力を介して被メッキ弾性体420の8箇所の角ばった隅部422がスルーホールの内周面に押し付けられる(図12(a)参照)。続いて、被メッキ弾性体420をメッキしてメッキM2を形成する。
このようにして本変形例においてもスルーホール内に基板とは別部品の被メッキ弾性体420を挿入して、被メッキ弾性体420をスルーホール内に留まらせると、被メッキ弾性体420とスルーホール11の間は一部は接触しているものの両者間には隙間が存在するので、スルーホール11と被メッキ弾性体420を共にメッキすることにより、メッキ断面積を増大させ、スルーホール11の電気抵抗と発熱を低減、小型のスルーホール構造で大電流を流すことができるようになる。
また、従来のようにスルーホール11のみにメッキ層が形成されるのではなく、スルーホール11とスルーホール11に挿入された被メッキ弾性体420の双方にメッキ層Mが形成されるので、スルーホール11に大電流を流しても従来のようにこの大電流に耐え得るだけのメッキ厚さを必要としない。その結果、スルーホール製造工程におけるメッキ工程の時間を短縮でき、大電流用基板自体の製造時間も結果的に短縮することができる。また、基板自体も薄型化できるので、大電流基板を搭載する電気部品やこの電気部品を搭載する例えば車両等の小型化及び低コスト化に貢献することができる。
なお、本発明者は、上述した第3変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造を備えた基板と、この第3変形例と同等の寸法を有する従来のスルーホール構造を備えた基板に約80アンペア程度の電流を流すことができるようにメッキした。なお、スルーホールの孔径はφ6mmとしたその結果、同等の作用を発揮するまでのメッキ工程の所要時間として、第3変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造の所要時間が従来のスルーホール構造の所要時間の約3分の1で済み、メッキ工程の工数(時間)短縮に本発明が極めて有用であることが立証できた。
なお、上述の実施形態及びその各変形例においては、金属板の材質として銅からなるパイプや板材を用いたが、必ずしもこれに限定されず銅パイプや銅板の代わりにリン青銅やベリリウム銅、アルミニウム等からなるパイプや板材を用いても良い。
また、上述の実施形態及びその第3変形例においては、スルーホールの内面に単一の被メッキ弾性体を嵌め込む形態には限定されず、基板の板厚より幅の狭い被メッキ弾性体を複数用意し、これら複数の被メッキ弾性体をスルーホール内に互いに間隔を隔てて、若しくは互いに隣接して嵌め込むような構造をとっても良い。これによって、スルーホール内のメッキの表面積をより大きくすることができ、基板の薄型化を可能にする。
また、上述の第1変形例及び第2変形例においては、被メッキ弾性体の両端部がスルーホールの開口部から双方とも突出していたが、被メッキ弾性体がスルーホール内にしっかりと留まっていれば、必ずしもこのような構造をとる必要はなく、大電流用基板の設計上の都合や製造ラインの事情に合わせて一方の端部のみがスルーホールの開口部から突出する構造としても良く、両端部がスルーホールの開口部から突出しない構造としても良い。
また、本発明に係る大電流用基板のスルーホール構造の製造方法においては、上述したようにスルーホールに予めメッキをした状態で被メッキ弾性体を挿入して嵌め込み、その後に被メッキ弾性体をメッキしても良く、この代わりにメッキをしていないスルーホールに被メッキ弾性体を挿入して嵌め込み、その後スルーホールと被メッキ弾性体を同時にメッキしても良い。このように、本発明を実施するにあたってのメッキ工程は、製造現場の都合に合わせてスルーホールと被メッキ弾性体を一度にメッキするメッキ工程としても良く、スルーホールをメッキしてからその直後又は必要な工程を経た後に被メッキ弾性体をメッキしても良い。
また、上述の実施形態及びその各変形例に係る大電流用基板のスルーホール構造は、ハイブリット車や電気自動車などのDC−DCコンバータなどの車搭搭載用基板のみにその用途が限定されるものではなく、例えば光ファイバーの中継地点に介在させる光増幅器(誘導ラマン散乱(SRS)を利用したラマンアンプ)用の基板に用いたり、産業用ロボットのアクチュエーター駆動制御用の基板に用いたり、大電流を流す必要がある対象物に広く用いることが可能である。
なお、本発明者が実際に本発明の有用性を検証したところ、例えば、スルーホールの孔径を6mmとして80アンペアの電流を流すハイブリット車のDC−DCコンバータの基板、即ち導体層厚さが200μm以上である多層基板に用いられた大電流用基板のスルーホール構造に本発明を適用すると、その効果を十分発揮できることが分かった。
また、この場合、本発明はスルーホール内面メッキ厚さが40μm以上である大電流用基板のスルーホール構造に適用するのが好ましいことが分かった。
また、この場合、導体層が少なくとも4層以上ある多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホール構造に適用するのが好ましいことが分かった。
また、この場合、本発明はスルーホールの内径がφ6.0mm以上である大電流用基板のスルーホール構造に適用するのが好ましいことが分かった。
10 基板
11 スルーホール
11a 開口部
100 銅円筒
110 円筒体
112 突出部
120 被メッキ弾性体
121 湾曲部
121a 凹んだ部分
122 突出部
200 薄板
220 被メッキ弾性体
221 平面
222 折辺部
222a 鋭角折点
300 銅パイプ
310 円筒体
320 被メッキ弾性体
321 接続部
322 金属板
322a 側縁
350 被メッキ弾性体
350a 端部
351,352,353 折り曲げ部
400 銅板
410 金属板
420 被メッキ弾性体
420 金属板
421 弾性変形部
422 隅部
425,426 丸孔
427,428 長孔

Claims (7)

  1. 導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホール構造であって、
    スルーホール内には前記多層基板とは別部品の被メッキ体が挿入され、前記スルーホールと前記被メッキ体が同一の材質でメッキされ、前記両者のメッキ同士が互いに電気的に導通し、前記スルーホールの内面及び前記被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在していることを特徴とする大電流用基板のスルーホール構造。
  2. 前記被メッキ体は、前記スルーホールへの挿入時に弾性変形可能な被メッキ弾性体からなり、
    前記被メッキ弾性体の少なくとも一部が前記スルーホール内に挿通された状態で当該被メッキ弾性体の弾性力を前記スルーホールに及ぼすことで当該被メッキ弾性体が当該スルーホール内に留まっていることを特徴とする、請求項1に記載の大電流用基板のスルーホール構造。
  3. 前記各対向面の面積の合計が、前記被メッキ弾性体を含まないスルーホール内面の面積より大きいことを特徴する、請求項2に記載の大電流用基板のスルーホール構造。
  4. 導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホールの製造方法であって、
    前記スルーホールの孔開け工程の後に当該スルーホール内に前記多層基板とは別部品の被メッキ体を挿入する工程であって、前記スルーホールの内面及び前記被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在するように前記被メッキ体を前記スルーホールに挿入する被メッキ体挿入工程と、
    前記被メッキ体挿入工程の後に、前記スルーホールと前記被メッキ体を同一材質でメッキして前記両者のメッキ同士を互いに電気的に導通させるメッキ工程とを有したことを特徴とする大電流用基板のスルーホールの製造方法。
  5. 導体層を複数備えた多層基板に用いられる大電流用基板のスルーホールの製造方法であって、
    前記スルーホールを孔開けした後に当該スルーホールをメッキするスルーホールメッキ工程と、
    前記スルーホールメッキ工程の後に、前記スルーホール内に前記多層基板とは別部品の被メッキ体を挿入する工程であって、前記スルーホールの内面及び前記被メッキ体の表面には、それぞれ互いに向き合った状態で互いが接触していない対向面が存在するように前記被メッキ体を前記スルーホールに挿入する被メッキ体挿入工程と、
    前記被メッキ体挿入工程に続いて、前記被メッキ体を前記スルーホールのメッキと同一材質でメッキして前記両者のメッキ同士を互いに電気的に導通させることを特徴とする大電流用基板のスルーホールの製造方法。
  6. 前記被メッキ体は、前記スルーホールへの挿入時に弾性変形可能な被メッキ弾性体からなり、
    前記被メッキ弾性体を前記スルーホールに挿入する工程は、当該被メッキ弾性体の弾性力が前記スルーホール内に及ばないように拘束して当該スルーホールの内周面に当該被メッキ弾性体が接触しないように挿入する工程と、前記被メッキ弾性体の少なくとも一部が前記スルーホールの内部の所定位置に達した状態で、前記被メッキ弾性体の拘束を解いて当該被メッキ弾性体の弾性力をスルーホールに及ぼし、当該スルーホール内に前記被メッキ弾性体を留まらせる被メッキ弾性体嵌め込み工程とを有することを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の大電流用基板のスルーホールの製造方法。
  7. 前記各対向面の面積の合計が、前記被メッキ弾性体を含まないスルーホール内面の面積より大きいことを特徴する、請求項6に記載の大電流用基板のスルーホールの製造方法。

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