JP2010225537A - 保護膜付ランプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素樹脂などの保護皮膜を透光性外管に形成する保護膜付ランプを安定に製造する方法を提供する。
【解決手段】発光管と、
その他ランプ構成部材を透光性外管内に保持するための外管マウントとを有し、
前記透光性外管の外表面にはフッ素樹脂からなる保護膜が被覆されている保護膜付ランプの製造方法において、
50Pa以上の蒸気分圧を有する水蒸気を内在させて前記透光性外管を気密封止する工程と、
前記透光性外管の外表面にフッ素樹脂からなる保護膜を静電塗布にて被覆する工程と、
前記透光性外管内の水蒸気分圧を1Pa以下まで除去する工程とを含む
【選択図】図2
【解決手段】発光管と、
その他ランプ構成部材を透光性外管内に保持するための外管マウントとを有し、
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【選択図】図2
Description
本発明は、透光性外管の外表面にフッ素樹脂膜が形成された保護膜付ランプの製造方法に関するものである。
この種のランプは特許文献1などにより既知である。特許文献1を例にとって説明すると、透光性外管によって真空雰囲気で気密に包囲されたランプの中央部にセラミック製の発光管を有し、その周囲には発光管の保温と破裂時の外管保護のために円筒状の透光性スリーブが設けられている。前記透光性外管の外表面には外部からの衝撃に対して前記透光性外管を保護するためにフッ素樹脂膜が形成されている。このフッ素樹脂膜を形成するには、例えば図4に示すような工程に従って製造する。
フッ素樹脂膜形成の前作業として、第1にゲッターを内蔵したランプを封止・排気工程を経て、透光性外管内に発光管を含むランプ構成部品が気密に内包された状態まで加工する。第2にゲッターを高周波加熱により活性化させて、透光性外管内の残留ガスを吸収させる。このような用途に使用されるゲッターは主にバリウムゲッターであり、高周波加熱によって透光性外管の内表面に飛散付着させることにより酸素・窒素・水分などを良く吸着する。第3にランプエージングを行ない、ランプ点灯によって発光管内部の状態を安定させると共にランプ不良があれば除去する。第4に外表面を洗浄、乾燥後、透光性外管材料であるガラスの電気伝導度を上げるためにランプを加熱する。第5にフッ素樹脂の保護膜形成工程としてプライマ−層を塗布し、フッ素樹脂の微粒子を粉体静電塗装の方式で吹き付け、炉体に入れて加熱焼成する。その後あらためて始動検査を行ない、良品を包装、出荷する。
前項の静電塗装工程において、透光性外管内に不活性ガスが充填されているタイプのランプであれば、透光性外管の内表面に帯電した電荷は透光性外管内に充填されている不活性ガスを介してランプを構成する金属部材に伝達され、ランプ外に流出するため、前項第4工程は短くて済む。しかし透光性外管内が真空雰囲気の場合、透光性外管の内表面に帯電した電荷はなかなか除去されず、フッ素樹脂粒子の付着を阻害する。そのため、前項第4工程の予備加熱が十分でないと、できあがったフッ素樹脂膜の膜厚が大きくばらつくなど、保護膜の品質が落ちる。実際には真空雰囲気の保護膜付ランプを製造する場合には不活性ガス充填タイプの保護膜付ランプと比較して前項第4工程の予備加熱時間が2〜3倍必要となっている。このために保護膜付ランプ製造工程の作業性が大きく低下している。
上記の問題点を解決するため、本発明の製造方法は発光管と、その他ランプ構成部材を透光性外管内に保持するための外管マウントとを有し、前記透光性外管の外表面にはフッ素樹脂からなる保護膜が被覆されている保護膜付ランプの製造方法において、50Pa以上の蒸気分圧を有する水蒸気を内在させて前記透光性外管を気密封止する工程と、前記透光性外管の外表面にフッ素樹脂からなる保護膜を静電塗布にて被覆する工程と、前記透光性外管内の水蒸気分圧を1Pa以下まで除去する工程とを含んでいることを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、新たな工程を追加することなく、真空雰囲気の透光性外管を有する保護膜付ランプの製造に要する時間を短縮し、さらに製造歩留まりを向上させることができる。
本発明の製造方法を実施するためには図2に示す手順を含んだランプ製造工程とすればよい。すなわち第1に周知の技術で透光性外管を有するランプを封止排気工程まで行ない、排気工程において、ランプを気密封止した後の透光性外管内部の残留水蒸気圧を50Pa以上とする。
第2にその保護膜無しランプを、エージングを行なわずに乾燥し、さらに加熱後、透光性外管にプライマーを塗布してからフッ素樹脂の粉体静電塗装を行ない、焼成して透光性外管の外表面にフッ素樹脂皮膜を形成する。この工程では、従来から製造している不活性ガスを透光性外管内に封入した「ガス入りランプ」と同じ製造条件で製造することができ、「ガス入りランプ」用の量産対応フッ素樹脂膜形成装置がそのまま使用できる。
第3にフッ素樹脂膜が形成されたランプのゲッターを高周波加熱により活性化させて透光性外管内の水分を含む残留ガスを吸着させる。この工程で透光性外管内の圧力は1Pa以下、実際には数mPa程度まで下がる。
第4にランプエージングを行ない、ランプ点灯によって発光管内部の状態を安定させると共にランプ不良があれば除去する。
最後に始動検査を行ない、良品を包装、出荷する。
上記本発明によって製造される保護膜付ランプの一例を図1に示す。ランプのほぼ中央には発光管4があり、その周囲にUVカット膜11を被覆された透光性スリーブ6が透光性スリーブ固定板5a5bにより位置固定されている。透光性スリーブ固定板5a5bはそれぞれ金属製のフレーム3に接合され、フレーム3はマウント支持板13およびステム2の導入線と接続することによりフッ素樹脂皮膜12が被覆された透光性外管7内に位置固定されている。フレーム3は位置固定用の部材であると同時に電気的接続用の部材を兼ねており、図示しない外部給電システムからの電力をステム2の導入線を介して発光管リード線9aまで伝えている。
図3の中で、口金8と透光性外管7およびフッ素樹脂膜12を除いた部品は、あらかじめ相互に接合され、外管マウント20として組み立てられた後、透光性外管7の材料であるガラス球に挿入され、溶封されている。
図3の中で、口金8と透光性外管7およびフッ素樹脂膜12を除いた部品は、あらかじめ相互に接合され、外管マウント20として組み立てられた後、透光性外管7の材料であるガラス球に挿入され、溶封されている。
発光管4の内部には、沃化ホルミウム、沃化ツリウム、沃化ディスプロシウム、沃化ナトリウム、沃化タリウム、沃化セシウム、水銀、Arガスが封入されている。この発光管4自体の構成は、周知のセラミックメタルハライドランプと特に変わるものではなく、点灯時には発光管から可視光を中心として紫外線や赤外線を含む連続した波長を有する光が放出される。
このようなランプを図2の工程図にしたがって製造すると以下のようになる。
第1に発光管4およびゲッター19を含むランプ構成部材をステム2に組み付けたものを封止機にセットし、透光性外管7の材料となるガラス球をかぶせてステムとガラス球の接近部分を加熱溶融し、透光性外管7の形状を作成する。この時点で透光性外管7の一端には排気管が形成されている。続いて透光性外管7内部の残留気体を排気管を通して真空ポンプで排気し、透光性外管内の圧力を100Pa以下にして排気管を溶融切断し、透光性外管7内部を気密封止する。
なお残留水分50Paは、排気工程中にわざわざ水蒸気を封入しなくても、外管排気工程の排気時間と外管加熱温度を調節することで達成できる。空気中の飽和蒸気圧は、10℃で600Pa、20℃で1200Pa、30℃で4200Pa、40℃7400Paである。したがって、空気中の水蒸気分圧は、冬場に10℃で湿度10%の雰囲気であっても60Paの水分が存在し、夏には5000Pa以上にもなる。実際には封止機や排気機の周りはガスバーナーなどから発生した水蒸気を含む高温多湿の雰囲気となっており、季節によって排気工程の設定を微調整するまでも無く、年間を通して50〜150Paの残留水分を得ることは容易である。
第2に前工程で気密封止された透光性外管7の外表面にフッ素樹脂皮膜を形成する。この際、乾燥し、加熱、プライマーを塗布、粉体静電塗装、および焼成の各工程は、従来から製造している不活性ガスを透光性外管内に封入した「ガス入りランプ」と同じ製造条件で製造することができ、「ガス入りランプ」用の量産対応フッ素樹脂膜形成装置がそのまま使用できる。
この第2工程において、透光性外管7外部の残留水分が50Paに満たないと、透光性外管の内表面に帯電した電荷はなかなか除去されず、フッ素樹脂粒子の付着を阻害する。そのため、できあがったフッ素樹脂膜の膜厚が大きくばらつくなどの不良が生じる。
図3に保護膜塗布前の透光性外管内水分と塗布歩留まりとの関係を示す。従来の製造方法、すなわちゲッターを内蔵したランプを封止・排気した後にゲッターを活性化させて透光性外管内の残留ガスを吸収させたランプは残留水分がほぼゼロだが、それでも90%程度の歩留となっている。また排気条件を変えて試作したランプにフッ素樹脂膜を形成し、その後に残留水蒸気分圧を測定したところ、残留水分が50Pa以上であれば「ガス入りランプ」と同じ製造条件のフッ素樹脂膜製造工程でも歩留まりが100%となることが分かった。
第3にフッ素樹脂膜が形成されたランプのゲッター19を高周波加熱により活性化させて透光性外管内の水分を含む残留ガスを吸着させる。この工程で透光性外管7内部の圧力は1Pa以下、実際には数mPa程度まで下がる。なおランプに封入するゲッター19の吸着能力は、ランプの寿命中に透光性外管7の内部から発生するガスを吸着するために、余裕を持たせた設計とするのが一般的である。しかし排気工程での残留水分が300Paを超えると初期吸着ガス量が大きくなりすぎてランプ寿命までの全期間を考慮したゲッターの吸着容量に余裕が無くなる。そのためさらに大きいゲッターを採用すると透光性外管の大きさをさらに大きくする必要がある。このような状況は好ましくないので、排気工程後の残留水分は50Pa以上、300Pa以下、実用上は200Pa以下が好ましい。
第4に通常のランプ製造工程と同様の条件でランプエージングを行ない、ランプ点灯によって発光管4内部の状態を安定させると共にランプ不良があれば除去する。最後に始動検査を行ない、良品を包装、出荷する。
以上説明したとおり、本発明の製造工程に従えば、新たな工程を追加することなく、真空雰囲気の透光性外管を有する保護膜付ランプの製造に要する時間を短縮し、さらに製造歩留まりを向上させることができる。
本発明は、粉体静電塗装により透光性外管表面に保護膜を形成するランプにおいて、従来技術を利用したランプよりも低コストかつ量産性に優れたランプの製造方法を提供するものである。
2 ステム
3 フレーム
4 発光管
7 透光性外管
12 フッ素樹脂膜
13 マウント支持板
19 ゲッター
3 フレーム
4 発光管
7 透光性外管
12 フッ素樹脂膜
13 マウント支持板
19 ゲッター
Claims (1)
- 発光管と、
その他ランプ構成部材を透光性外管内に保持するための外管マウントとを有し、
前記透光性外管の外表面にはフッ素樹脂からなる保護膜が被覆されている保護膜付ランプの製造方法において、
50Pa以上の蒸気分圧を有する水蒸気を内在させて前記透光性外管を気密封止する工程と、
前記透光性外管の外表面にフッ素樹脂からなる保護膜を静電塗布にて被覆する工程と、
前記透光性外管内の水蒸気分圧を1Pa以下まで除去する工程とを含む保護膜付ランプの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009074101A JP2010225537A (ja) | 2009-03-25 | 2009-03-25 | 保護膜付ランプの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009074101A JP2010225537A (ja) | 2009-03-25 | 2009-03-25 | 保護膜付ランプの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2010225537A true JP2010225537A (ja) | 2010-10-07 |
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ID=43042496
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JP2009074101A Pending JP2010225537A (ja) | 2009-03-25 | 2009-03-25 | 保護膜付ランプの製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2010225537A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103715039A (zh) * | 2014-01-20 | 2014-04-09 | 浙江力胜电子科技有限公司 | 节能灯封口机自动上管装置 |
-
2009
- 2009-03-25 JP JP2009074101A patent/JP2010225537A/ja active Pending
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